≪第一実施形態≫
図1は、本発明の第一実施形態の表示装置における画素の層構成を示す。表示装置は例えば有機ELディスプレイである。ガラス基板1は表示装置の表示面である。このガラス基板1は、有機膜の層を形成できるものであるならば、プラスチックのようなものであってもよい。このガラス基板1の上に陽極2が形成される。この陽極2としては、例えば透明電極であるITOなどが使用される。
陽極2の上には有機膜発光層3が形成される。有機膜発光層3は正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、そして有機化合物からなる蛍光体である発光層との組み合わせで構成される。この組み合わせは、有機ELの特性によって適切に選択されなければならない。
有機膜発光層3の上には陰極4が形成される。陰極4として透明電極であるITOを使用する場合は、そのままでは陰極として動作しないため、ITOと有機膜発光層3との間に陰極用のリチウムなどを薄く挿入する必要がある。
電源13が、陽極2と陰極4との間に直流電圧を印加するために接続される。陽極2と陰極4との間に挟まれた有機膜発光層3の発光原理は従来例と同じである。陰極4の上にはシリコン酸化膜11と陽極5が順次積層形成される。シリコン酸化膜11は陽極5と陰極4を絶縁する効果を持っている。陽極5の上には上記同様に有機膜発光層6、陰極7、シリコン酸化膜12、陽極8、有機膜発光層9、そして陰極10が順次積層形成される。第一実施形態のように陰極10側から光を取り出さない下面光取り出し構造では、陰極10はアルミニウムなどの金属とする。
電源14、15がそれぞれ、陽極5と陰極7との間、陽極8と陰極10との間に直流電圧を印加するため接続される。これにより、有機膜発光層6、9には電源14、15を通じて陽極5、8と陰極7、10から変換された電流が供給される。それぞれの有機膜発光層3、6、9は変換された電流値に比例した輝度で発光し、光はガラス基板1側から取り出される。なお、この構造は、有機ELだけでなく無機ELでも勿論実現可能であり、アクティブ駆動だけでなくパッシブ駆動の表示装置でも実現可能である。
有機膜発光層3、6、9は、デジタル駆動すなわち、電源のオン/オフの2値により点灯と消灯(発光または非発光)を切り替えられる。有機膜発光層3、6、9はそれぞれ所定の輝度で発光する材料を選択して形成する。
図2は、本発明の第一実施形態である表示装置の画素構造を示す。図2において、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図2では、1画素を構成する各色(例えば赤、緑、青など)のうちの1ドットを示している。ここで、ガラス基板1上には、アクティブ素子である薄膜トランジスタ(TFT)16a、16b、16cが形成され、それぞれ陽極2、5、8に接続される。TFT16a〜16cは有機膜発光層3、6、9を駆動制御可能なものであるならば、p−Si(低温ポリシリコン)、a−Si(アモルファスシリコン)など、どのようなアクティブ素子で作成されていてもよい。
TFT16a〜16cは、有機膜発光層3、6、9に印加される電源をオン/オフする回路機能を持ち、電源をオン/オフすることで上記したように、有機膜発光層3、6、9を発光または非発光とするよう駆動する。また、ガラス基板1と陽極2との間に形成されたシリコン酸化膜17は、ガラス基板1から金属イオンが陽極2に移動していかないようにする膜である。陰極4、陰極7、陰極10は共通電極である。
図2に示す画素の下側であるガラス基板1側から光を取り出す場合、画素の上側である陰極10から光が漏れないようにするため、陰極10はアルミニウムなどの金属で形成される。これによって、有機膜発光層3、6、9からそれぞれ出た光は上下に放射されるが、陰極10側に出た光は陰極10で反射して下側に向かうため、ガラス基板1側からのみ取り出されることとなる。
なお、本実施形態ではガラス基板1にTFT16a〜16cが備えられ、ガラス基板1側から光を取り出す下面光取り出し構造としたが、陰極10を透明電極で形成し、陽極2をアルミニウムなどの金属で形成して、陰極10側から光を取り出す上面光取り出し構造としてもよい。
ここで、TFT16a〜16cは、通常複数個必要とする。ここでは、TFT16a〜16cを素子駆動部(第1の駆動部)と呼ぶこととする。有機膜発光層と素子駆動部とは単位素子となっている。図2に示す有機ELディスプレイは、表示装置の表示面に対して垂直方向に3個の発光層が積層された3層構造の発光素子を有するものである。
図3(a)は、図1及び図2に示したように画素が有機膜発光層3、6、9を有する3層構造の場合の、各層の輝度重み付けを表す。輝度重み付けとは、それぞれの有機膜発光層の発光輝度を、ある値を基準として相対的に数値化したものである。ここで有機膜発光層3を第1層、有機膜発光層6を第2層、有機膜発光層9を第3層とし、第1層の輝度を「1」とした場合、第2層が輝度「2」、第3層が輝度「4」となるように有機膜発光層3、6、9の材料、構成を選択する。
ここで、各有機膜発光層3、6、9の輝度は電源電圧をオンとした際の発光輝度を表し、各有機膜発光層3、6、9は電源電圧のオン/オフでデジタル駆動される。
図3(b)は、有機膜発光層が5層構造の場合の、各層の輝度重み付けの一例を示す。5層構造の場合、図1及び図2に示した構造に、更に2つの単位素子が設けられる。この5つの有機膜発光層を光が取り出される側に近い方から順に、第1層、第2層、第3層、第4層及び第5層とし、第1層の輝度を「1」とした場合、第2層は輝度「2」、第3層は輝度「4」、第4層は輝度「8」、第5層は輝度「16」となる。
有機膜発光層の輝度重み付けは、図3(a)、3(b)に示すように2のn乗の輝度重み付けにすることが有機膜発光層を少なく形成できるので望ましいが、この限りではない。また、層毎の輝度の重み付けは、図3(a)、3(b)で示したような光が取り出される側に近い層から昇順とする必要は無く、降順としても、また任意に並べ替えてもよい。なお、この輝度重み付け方法は、有機ELだけでなく無機ELでも勿論実現可能であり、アクティブ駆動だけでなくパッシブ駆動の表示装置でも実現可能である。
図4は、本発明の第一実施形態の表示装置における画素の階調表現の一例を示す。この例は、図3(a)に示した有機膜発光層が3層構造の場合の輝度重み付けの階調表現であり、有機膜発光層が3層であるために、2の3乗、つまり8階調の表現が可能となる。図4において、横軸は有機膜発光層が何層目かを示し、縦軸が表示装置に表示される階調を示す。また、黒丸はその選択された層が点灯することを意味し、印が無い層は発光しない。
例えば、階調「0」では、第1層と第2層と第3層はすべて発光しない。このため、黒となる。階調「1」では、第1層のみ点灯し、この輝度重み付けが「1」であるために階調「1」を表す。階調「2」では、第2層のみが点灯し、この輝度重み付けが「2」であるために階調「2」を表す。階調「3」では、第1層と第2層が共に点灯し、それぞれの輝度重み付けが「1」、「2」であり、この合計「3」が階調となる。階調「4」では、第3層のみ点灯し、この輝度重み付けが「4」であるので階調「4」を表す。
階調「5」では、第1層と第3層が共に発光し、それぞれの輝度重み付けが「1」と「4」であるのでこの合計「5」が階調となる。階調「6」では、第2層と第3層が共に発光し、それぞれの輝度重み付けが「2」と「4」であるので、この合計「6」が階調となる。階調「7」では、第1層と第2層と第3層のすべてが点灯し、この輝度重み付け「1」、「2」、「4」の合計「7」が階調となる。
図5は、本発明の第一実施形態の表示装置の表示パネルのドライバ構成図を示す。図5において、一つの画素36は図6で後述する画素回路に相当する。表示パネルには、二次元マトリクス状に配置された複数の画素36にデータを送るための水平ドライバ37、画素を駆動するための電源回路38と、垂直方向のラインを選択する垂直ドライバ39とが備えられている。なおここで、水平ドライバ37と垂直ドライバ39とを第2の駆動部とする。
複数の画素36は、垂直方向に並んだ行Yと水平方向に並んだ列Xとからなる二次元マトリクス状に配置されている。図5では一例としてY1〜Y4の4行で、X1〜X6の6列の表示パネルを示している。実際の表示パネルは図5に示すものよりも多くの行列を有しているが、ここでは便宜上このように示した。
第一実施形態では、水平ドライバ37にはデータドライバ371〜376が、電源回路38には電源部381〜386が、垂直ドライバ39にはゲートドライバ391〜394がそれぞれ組み込まれている。
例えば、図5に示す表示パネルの最上段であるY1行の表示ラインを走査したい場合、垂直ドライバ39のゲートドライバ391がY1行の各画素36をオンさせる。その他の表示ラインY2行〜Y4行は、ゲートドライバ392〜394がオフさせる。このとき水平ドライバ37から映像データの1ライン分のデータを出力し、各画素36に供給する。
次に、ゲートドライバ391がY1行の各画素36をオフさせることにより、Y1行の1ラインの映像が表示されることになる。続けて同様に、垂直ドライバ39をY2行のゲートドライバ392からY4行のゲートドライバ394まで順番に駆動し、水平ドライバ37から1ライン毎に映像データを出力することにより、すべての表示パネル内の画素36を走査できることとなる。
図6は第一実施形態の画素を駆動するための回路図を示す。図6において、有機EL発光層18、19、20は、図1及び図2に示した有機膜発光層3、6、9に相当する。第一実施形態の画素36は、有機EL発光層18、19、20(有機膜発光層3、6、9)をそれぞれ発光輝度の異なる材料で形成することで図3(a)に示した重み付けを行う。従って有機EL発光層18、19、20それぞれに流れる電流、及びその流れる時間は同じである。
有機EL発光層18〜20の各一端(図ではアノード)は、駆動用TFT24〜26の各ソース、ドレインを介して電源部381を構成する電源30〜32に接続されている。また、TFT24〜26の各ゲートは、ゲートトランジスタとしてのTFT27〜29の各ソースに接続される一方、コンデンサ21〜23を介して電源30〜32に接続されている。
電源部381の電源30、31及び32は、図1に示した電源13、14及び15に相当する。電源30〜32は、個別の電源でも共通の電源であってもよく、有機EL発光層18〜20を所定の重み付けで所定の輝度で発光させるように設定する。更に、TFT27〜29の各ドレインは、データドライバ371内のデータ保持部350〜352に接続され、各ゲートはゲートドライバ391に共通接続されている。
ここでは、データドライバ371、電源部381、ゲートドライバ391について示したが、図6に示すように、データドライバ372〜376、電源部382〜386、ゲートドライバ392〜394も同様の構成である。データドライバ371〜376、電源部381〜386、ゲートドライバ391〜394は表示パネルの各行Y、各列Xの画素36を駆動する。
次に、この駆動回路の動作について説明する。図6において、まず、画素36に表示する所定階調のデータ33(3ビット)がデータドライバ371に入力される。データ33は、デジタルのシリアルデータ又はパラレルデータであることが望ましい。データドライバ371に入力されたデータ33は、有機EL発光層18、19、20のうち表示装置に表示する階調に対応した有機EL発光層を発光させるために使用される。
データ33の各ビット(1または0)がデータ保持部350〜352に保持され、ゲートドライバ391は、ゲートトランジスタ27〜29のゲートに所定の第1の電位を印加してこれらをオン状態にする。データドライバ371から出力されるデータが、ゲートトランジスタ27〜29の各ドレイン、ソースを通して、コンデンサ21〜23に送られる。これにより、コンデンサ21〜23の両端には電源とデータ電圧が印加され、その電位差を保持するのに十分な電荷がコンデンサ21〜23に蓄えられる。すなわち、データドライバ371から出力される表示データが、データ保持のためのコンデンサ21〜23に書き込まれ、記憶される。続いてゲートドライバ391は、ゲートトランジスタ27〜29のゲートに所定の第2の電位を印加してこれらをオフ状態にする。ゲートトランジスタ27〜29をオフにすると、コンデンサ21〜23に蓄えられた電荷が保持される。コンデンサ21〜23に保持される電荷は、電源30〜32とデータドライバ371の出力電圧との電位差である。
例えば表示装置に階調「5」の映像を表示する場合を説明する。図4より、階調「5」では第1層と第3層の有機EL発光層18と20を点灯させる必要がある。入力されたデータ33は、データドライバ371で対応する有機EL発光層の信号線に繋がるデータ列に変換されるが、この場合、データ保持部350と352に有機EL発光層18と20とを発光させるデータが保持される。
このときコンデンサ21には、TFT24をオンする電圧が印加され、コンデンサ23にも、TFT26をオンする電圧が印加されているため、TFT24と26がそれぞれオン状態とされる。一方、コンデンサ22には、TFT25を駆動する電圧が印加されていないため、TFT25はオフ状態である。
従って、TFT24と26がオン状態なので、電源30、32から電流がTFT24、26の各ドレイン、ソースを通して有機EL発光層18、20に供給され、有機EL発光層18、20が発光する。このとき有機EL発光層18と20の発光輝度の重み付けは「1」と「4」であるので、この合計である階調「5」が表示装置に映し出される。
第一実施形態の画素の駆動において、駆動用TFT24〜26はオン/オフのみの動作となる。そのため回路構成は図6に示すように駆動用TFT24〜26をオン/オフするためのデータを蓄えるコンデンサ21〜23と、それを保持するためのゲートトランジスタ27〜29というとても簡単な回路構成で済む。
また、駆動用TFT24〜26の動作はオン/オフのみとなるために、従来の有機EL表示装置で問題であった、アクティブ素子であるTFTの素子特性による閾値ばらつきの影響の無い飽和領域で動作させることができる。このため、表示パネル内における表示輝度むら、および階調ずれ等の問題を限りなく少なくできる。更に、飽和領域での動作はTFTによる電力損が少ないため、従来例と比較すると低消費電力である。
更に、第一実施形態において有機ELに供給される電流は複数の発光層に分散される。有機ELの寿命は電流値の2乗に逆比例するといわれている。電流が複数の層に分散されることによって、一層あたりの電流量を少なくすることができるため、従来の回路構成と比較して長寿命となる。
≪第二実施形態≫
次に、本発明の第二実施形態の表示装置における画素について詳述する。上述した第一実施形態では、各有機膜発光層を所定の輝度で発光するような異なる材料で形成して輝度重み付けを行った。第二実施形態では、各有機膜発光層は同一の材料で形成し、各有機膜発光層に与える電流値及び電流を与える時間を異ならせることで所定の輝度での発光を実現させる。以下、第二実施形態の具体的構成と、第二実施形態の好適な実施例である第一実施例から第七実施例による輝度重み付け方法について詳述する。画素の層構成、画素構造は図1及び図2に示した第一実施形態の画素と同じであるため、その説明を省略する。また各層の輝度重み付けは図3(a)に従い、階調表現は図4に従う。
図7は、本発明の第二実施形態の表示装置の表示パネルのドライバ構成図を示す。図7において、一つの画素362は後述する図8の画素回路に相当する。図7において、図5と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。第二実施形態の表示パネルには、時間長制御部800、水平ドライバ37内にデータドライバ371’〜 376’、電流制御部900、電源回路38内に電源部381’〜386’を新たに設けた。
図8は、第二実施形態の画素362を駆動する回路を示す。図8において、図6と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。時間長制御部800内にある時間長テーブル保持部80は時間長テーブルを保持し、時間長制御信号発生部81は時間長テーブルより読み出した時間長データに基づき時間長制御信号をセレクタ制御部82に出力する。切替信号発生部820〜822は時間長制御信号に基づいてデータドライバ371’内のセレクタ830〜832が選択する端子a、bを切り替える。セレクタ830〜832のそれぞれの端子aにはデータ33の各ビットが入力され、端子bは接地されて0が入力されている。なお、データドライバ371’は端子aの前に図6ですでに示したデータ保持部350〜352と同等のものを備える。
電流制御部900内にある電流値テーブル保持部90は電流値テーブルを保持し、電流制御信号発生部91は電流値テーブルより読み出した電流値データに基づき各ビットの電流値切替信号Si0〜Si2を電流値切替信号発生部910〜912より出力する。また、電流切替信号発生部91には各フレームの先頭でハイになるフレーム同期パルスを有するフレーム信号Sfが入力される。図9に示すように、電流値切替信号Si0〜Si2はフレーム信号Sfに同期して切り替えられる。電流値切替信号発生部910〜912に電源部381’を構成する可変器330〜332がそれぞれ接続され、可変器330〜332はそれぞれ電流値切替信号Si0〜Si2に基づいて電流値を切り替える。可変器330〜332は電源30〜32から供給される電流を可変して、所定の電流値の電流をそれぞれ有機EL発光層18〜20に供給する。
なお、ここでは時間長テーブル保持部80を時間長制御部800内に、電流値テーブル保持部90を電流制御部900内に設けたがこれに限定されることはなく、時間長テーブル保持部80と電流値テーブル保持部90を同一の記憶装置内に設けてもよい。
更にここでは、データドライバ371’、電源部381’、ゲートドライバ391について示したが、図8に示すように、データドライバ372’〜376’、電源部382’〜386’、ゲートドライバ392〜394も同様の構成である。データドライバ371’〜376’、電源部381’〜386’、ゲートドライバ391〜394は表示パネルの各行Y、各列Xの画素362を駆動する。
ここで、全ての実施例は、各有機EL発光層18〜20が発光する発光輝度がそれぞれ「1」、「2」、「4」となるよう重み付けするものとし、特記しない限りは重み付けとはこれを指す。また、有機EL発光層18に輝度重み付け「1」を表示する際に、電源30からTFT24へ流れる電流をI1とし、TFT24がオンする時間をT1とする。同様に有機EL発光層19に輝度重み付け「2」を表示する際に、電源31からTFT25へ流れる電流をI2とし、TFT25がオンする時間をT2とし、有機EL発光層20に輝度重み付け「4」を表示する際に、電源32からTFT26へ流れる電流をI3とし、TFT26がオンする時間をT3とする。
(重み付けの第一実施例)
まず、有機EL発光層18、19、20へそれぞれ異なった電流値を流し、重み付けする例について示す。TFT24〜26がオンする時間はT1=T2=T3=tである。ここで、有機EL発光層18へ流れる電流I1の電流値をi、有機EL発光層19へ流れる電流I2の電流値を2i、有機EL発光層20へ流れる電流I3の電流値を4iと設定する。上述のように設定された電流値は、電流制御部900と電源回路38内の電源部381’とで供給される。なお、有機EL発光層18〜20へ流れる電流値と時間長とを掛け合わせたものが、それぞれの層の輝度重み付けとなる。
(重み付けの第二実施例)
次に、有機EL発光層18〜20へ同じ電流値の電流をそれぞれ異なった時間長で流し、重み付けする例について示す。有機EL発光層18〜20へ流れる電流値はそれぞれ等しく、I1=I2=I3=iである。ここで、有機EL発光層18が点灯している時間T1の時間長をt、有機EL発光層19が点灯している時間T2の時間長は2t、有機EL発光層20が点灯している時間T3の時間長は4tと設定する。上述したようにそれぞれの時間長データは時間長制御部800に設定される。
第一実施例及び第二実施例では、有機EL発光層18〜20への発光輝度の重み付けの方法として、それぞれ異なった電流値を同じ時間流す方法と、同じ電流値の電流をそれぞれ異なった時間長で流す方法について説明したが、これらに限定されることはなく、後述する第三実施例、第四実施例のように2つの方法を共に用いてもよい。
(重み付けの第三実施例)
続いて、電流値と時間長をそれぞれ全て異なるように設定する例について示す。有機EL発光層18へ流れる電流I1を電流値i、点灯している時間T1を時間長tとし、有機EL発光層19へ流れる電流I2を電流値(3/2)i、点灯している時間T2を時間長(4/3)tとし、有機EL発光層20へ流れる電流I3を電流値2i、点灯している時間T3を時間長2tと設定する。
(重み付けの第四実施例)
2つの方法を共に用いる他の一例として、電流値や時間長がそれぞれ部分的に異なるよう設定する例について示す。例えば、有機EL発光層18へ流れる電流I1を電流値i、点灯している時間T1を時間長tとし、有機EL発光層19へ流れる電流I2を電流値i、点灯している時間T2を時間長2tとし、有機EL発光層20へ流れる電流I3を電流値2i、点灯している時間T3を時間長2tと設定する。
次に、上記の第一実施例〜第四実施例を更に改良し、電流値や発光時間長を発光層毎に異なるよう設定しながらも、所定時間内で平均化した場合に各発光層間の電流値や発光時間長を均等にさせる方法について説明する。図10(a)、10(b)、10(c)はフレーム毎(インターレース駆動時にはフィールド毎)の階調表現方法を説明するためのテーブルを示す。図10(a)〜10(c)共に、第1層〜第3層である各有機EL発光層18〜20において、フレーム毎で変化するように設定した電流値や時間長の関係を示す。また、いずれも1フレーム内で全ての発光層が発光した場合の合計輝度は等しい。
(重み付けの第五実施例)
図10(a)は、各有機EL発光層へ異なる電流値を流すよう設定し、1フレーム毎に切り替えて重み付けする第五実施例のテーブルを示す。なお、時間長tは全て等しい。図10(a)のテーブルより、第1フレームでは第1層の電流値を「i」、第2層の電流値を「2i」、第3層の電流値を「4i」と設定する。第2フレームでは、第1層の電流値を「2i」、第2層の電流値を「4i」、第3層の電流値を「i」と設定する。第3フレームでは、第1層の電流値を「4i」、第2層の電流値を「i」、第3層の電流値を「2i」と設定する。このように、各有機EL発光層に供給する電流の電流値をフレーム毎に切り替えることで、各有機EL発光層に対する重み付けをフレーム毎に切り替える。第五実施例では、第4フレーム以降は設定された第1フレームから第3フレームまでの各層の電流値を順次繰り返す。
すなわち、3フレームで各層の電流値が一巡するように設定する。従って、第五実施例では3種類の重み付けを設定した。更に、全てのフレームで全ての有機EL発光層が発光した場合、各有機EL発光層における合計輝度は3フレーム単位でいずれも同じ値である。このように設定することで、各有機EL発光層に流れる電流値の総量が平均化され、各有機EL発光層の寿命が均一化される効果がある。上述したように、電流値テーブル保持部90に保持された図10(a)のテーブルに基づいて、電流値は切り替えられる。
図11は第五実施例のタイミングチャートである。図11(A)〜(C)は第1層から第3層の各有機EL発光層の電流印加の状態を示している。図11(A)〜(C)の縦方向は表示パネルの各行を示しており、ここでは図7に従ってY1〜Y4行として示している。横方向は、時間(TIME)を示している。また、1フレームは16.6ミリ秒(ms)であり、時間の経過に伴いフレームが順次切り替わる。
時刻tm1において図7のゲートドライバ391がY1行の各画素362をオンすると、Y1行の各画素362は時刻tm2までの時間長tで駆動される。続いてゲートドライバ392がY2行の各画素362をオンし、Y2行の各画素362は時間長tで駆動される。このように、ゲートドライバ391〜394が順次Y1〜Y4行をオンさせる。時刻tm3においてY4行がオンされ、時刻tm4までの時間長tで駆動される。
(重み付けの第六実施例)
図10(b)は、各発光層(第1層〜第3層)へ異なった時間長で同じ電流値の電流を流すよう設定し、1フレーム毎に切り替えて重み付けする第六実施例のテーブルを示す。第1フレームでは、第1層の時間長が「t」、第2層の時間長が「2t」、第3層の時間長が「4t」と設定する。第2フレームでは、第1層の時間長が「2t」、第2層の時間長が「4t」、第3層の時間長が「t」と設定する。第3フレームでは、第1層の時間長が「4t」、第2層の時間長が「t」、第3層の時間長が「2t」と設定する。このように各有機発光層に対する重み付けをフレーム毎に切り替えて、第4フレーム以降は、設定された第1フレームから第3フレームまでの各層の時間長を順次繰り返す。
上述したように、時間長テーブル保持部80に記録された図10(b)のテーブルに基づいて、時間長は切り替えられる。すなわち、3フレームで各発光層へ流す電流の時間長が一巡するように設定していく。第六実施例では3種類の重み付けを設定した。このように設定することで、各発光層に流れる電流値の総時間量が平均化され、各発光層の寿命が均一化される効果がある。第六実施例では、各発光層は時分割(PWM)の発光をするようになっており、よりきめ細かな階調表現ができる。
図12は第六実施例のタイミングチャートである。図12(A)〜(C)は第1層から第3層の各有機膜発光層の電流印加の状態を示している。縦方向及び横方向に示すものは図11と同じであるため説明を省略する。なお図12では、図11における時間長tの1/4を時間長tとしている。従って図12の時間長4tと図11の時間長tとが等しい。
第五実施例と同様に時刻tm1においてY1行の各画素362がオンされると、各画素362の第1層は時刻tm2までの時間長t、第2層は時刻tm3までの時間長2t、第3層は時刻tm4までの時間長4tで駆動される。
(重み付けの第七実施例)
図10(c)は、各発光層へそれぞれ異なった電流値で、かつ、それぞれ異なった時間長の電流を流すよう設定し、1フレーム毎に切り替えて重み付けする第七実施例のテーブルを示す。図10(c)では、第1フレームにおいて、第1層の電流値が「i」で時間長が「t」、第2層の電流値が「(3/2)i」で時間長が「(4/3)t」、第3層の電流値が「2i」で時間長が「2t」と設定する。第2フレーム以降は、輝度重み付けが「1」,「2」,「4」となる電流値と時間長の組み合わせが、各層で3フレーム単位毎に一巡するように設定する。すなわち、各層において第1フレームから第3フレームの間に輝度重み付けが「1」,「2」,「4」となる電流値と時間長の組み合わせが一巡し、各フレームの合計輝度は常に「7」であるよう設定する。第4フレーム以降も同様に設定するが、一巡する組み合わせの順序は図10(c)に示すように3フレーム毎に変えてもよいし、同じとしてもよい。
第七実施例では3種類の時間長と電流値の組み合わせを設定して、3種類の重み付けを設定した。このように設定することで、各発光層に流れる電流値と時間長の総量が平均化され、各発光層毎の寿命が均一化される効果がある。第七実施例も、各発光層は時分割(PWM)の発光をするようになっており、よりきめ細かな階調表現ができる。
図13は第七実施例の、タイミングチャートである。図13(A)〜(C)は第1層から第3層の各発光層の電流印加の状態を示している。図12で示したものと同じものについては説明を省略する。
図10(a)〜10(c)では、有機膜発光層が3層の場合の輝度重み付けの一例を示したが、これに限定されることはなく、更に多層化された場合でも適用可能である。その場合には、発光層の層数をn層としたとき、それぞれの層に対する重み付けをフレーム毎に切り替え、m種類(mはn以下の自然数)の電流値と時間長の組み合わせがnフレームで一巡するように設定する。更に、上記したように各フレームにおいて全ての発光層が発光した場合の合計輝度は、いずれも同じ値となるように設定する。また、全てのフレームで全ての発光層が発光した場合、各発光層における合計輝度はnフレーム単位でいずれも同じ値となるように設定する。
また、図10(a)〜10(c)では、各有機発光層毎に全て異なった電流値や時間長を設定したが、これに限定することはない。例えば、第1層〜第3層の電流値や時間長を「1」,「1」,「1」のように同じ電流値や時間長としてもよいし、「1」,「2」,「2」のように部分的に同じ電流値や時間長としてもよい。
なお、以上で述べた実施例では、第1層から第3層、あるいは、第1層から第5層の有機膜発光層を同じ材料で構成するとしたが、これに限定されることはない。有機膜発光層の材料が異なっていても、上記のようにそれぞれの有機膜発光層に対して、電流値や電流を流す時間長を異ならせることにより、トータルとしての輝度を図3(a)の場合、第1層が「1」、第2層が「2」、第3層が「4」となるように構成し、図3(b)の場合、第1層が「1」、第2層が「2」、第3層が「4」、第4層が「8」、第5層が「16」となるように構成していればよい。
第二実施形態の素子によれば、n個の発光素子に対してそれぞれ発光輝度の重み付けを設定した状態でn個の発光素子を発光させることにより各ドットの階調表現を行うようにしたため、1個の発光素子にのみ電流を供給して階調表現する従来装置に比べて発光素子が長寿命な表示装置の実現ができる。また、階調毎に発光と非発光の期間がないため、フリッカを無くすことができ、更に、デジタル駆動であるため、素子駆動部にTFTを用いた場合のTFTの持つ素子特性のばらつきによる輝度むらを無くすことができる。
また、第二実施形態の素子によれば、発光素子の各発光層に対して電流を流す時間長及び電流値のうち、一方を同じ値に他方をm種類の値として設定したとき、あるいは時間長と電流値の組み合わせをm種類の値として設定したとき、m種類の値をnフレーム(インターレース駆動時にはnフィールド)の期間で一巡するように設定することにより、各発光層に流れる電流値と時間長の総量を平均化するようにしたため、各発光層の寿命を均一化できる。
≪第三実施形態≫
次に、本発明の第三実施形態の表示装置における画素について詳述する。第一及び第二実施形態では、各有機膜発光層がデジタル駆動されるデジタル駆動層のみで形成されている画素を使用したが、第三実施形態では、アナログ駆動されるアナログ駆動層とデジタル駆動層とからなる画素を使用する。
図14に、本発明の第三実施形態の表示装置における画素の層構成を示す。表示装置は例えば有機ELディスプレイである。図14において、ガラス基板301は表示装置の表示面である。このガラス基板301は、有機膜の層を形成できるものであるならば、プラスチックのようなものであってもよい。このガラス基板301の上に陽極302が形成される。陽極302としては、例えば透明電極であるITOなどが使用される。
陽極302の上には有機膜発光層303が形成される。この有機膜発光層303は正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、そして有機化合物からなる蛍光体である発光層との組み合わせで構成される。この組み合わせは、有機ELの特性によって適切に選択されなければならない。
有機膜発光層303の上には、陰極304が形成される。陰極304として透明電極であるITOを使用する場合は、そのままでは陰極として動作しないため、ITOと有機膜発光層303との間に陰極用のリチウムなどを薄く挿入する必要がある。
電源3013が、陽極302と陰極304との間に直流電圧を印加するために接続される。陽極302と陰極304との間に挟まれた有機膜発光層303の発光原理は従来例と同じである。
陰極304の上にはシリコン酸化膜3011と陽極305が順次積層形成される。シリコン酸化膜3011は、陽極305と陰極304を絶縁する効果を持っている。陽極305の上には上記同様に有機膜発光層306、陰極307、シリコン酸化膜3012、陽極308、有機膜発光層309、陰極3010、シリコン酸化膜3103、陽極3100、有機膜発光層3101、そして陰極3102が順次積層形成される。第三実施形態のように陰極3102側から光を取り出さない下面光取り出し構造では、陰極3102はアルミニウムなどの金属とする。
電源3014、3015、3104がそれぞれ、陽極305と陰極307との間、陽極308と陰極3010との間、及び陽極3100と陰極3102との間に直流電圧を印加するため接続される。これにより、それぞれの有機膜発光層306、309、3101には電源3014、3015、3104を通じて陽極と陰極とから、直流電圧から変換された電流が供給される。
それぞれの有機膜発光層303、306、309、3101は変換された電流値に比例した輝度で発光し、光はガラス基板301側から取り出される。なお、この構造は、有機ELだけでなく無機ELでも勿論実現可能であり、アクティブ駆動だけでなくパッシブ駆動の表示装置でも実現可能である。ここで、有機膜発光層303、306、309は、電源のオン/オフの2値により発光と非発光(点灯と消灯)を切り替えられるデジタル駆動層である。有機膜発光層303、306、309はそれぞれ所定の輝度で発光する材料を選択して形成する。
これに対し、有機膜発光層3101は、電源3104から供給される電流量に比例して輝度が変化する材料を選択し、所定の輝度で発光させる。すなわち、有機膜発光層3101は、電流の大きさを変化させる動作によって、輝度が変化するアナログ駆動層であり、中間調レベルの発光ができる。従って第三実施形態の素子は、デジタル駆動層が3層、アナログ駆動層が1層の構造である。
図15は、本発明の第三実施形態である表示装置の画素構造を示す。図15において、図14と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図15では、1画素を構成する各色(例えば赤、緑、青など)のうちの1ドットを示している。ここで、ガラス基板301上には、アクティブ素子である薄膜トランジスタ(TFT)3016a、3016b、3016c、3016dが形成され、それぞれ陽極302、305、308、3100に接続される。TFT3016a〜3016dは有機膜発光層303、306、309、3101を駆動制御可能なものであるならば、p−Si(低温ポリシリコン)、a−Si(アモルファスシリコン)など、どのようなアクティブ素子で作成されていてもよい。
TFT3016a〜3016dは、有機膜発光層303、306、309、3101に供給される電源をオン/オフする回路機能を持つ。また、ガラス基板301と陽極302との間に形成されたシリコン酸化膜3017は、ガラス基板301から金属イオンが陽極302に移動していかないようにする膜である。陰極304、陰極307、陰極3010、陰極3102は共通電極である。
図15に示す画素の下側であるガラス基板301側から光を取り出す場合、画素の上側である陰極3102側から光が漏れないようにするため、陰極3102はアルミニウムなどの金属で形成される。これによって、有機膜発光層303、306、309、3101からそれぞれ出射された光は上下に放射されるが、陰極3102側に出射された光は陰極3102で反射して下側に向かうため、ガラス基板301側からのみ取り出されることとなる。
なお、第三実施形態ではガラス基板301にTFT3016a〜3016dが備えられ、ガラス基板301側から光を取り出す下面光取り出し構造としたが、陰極3102を透明電極で形成し、陽極302をアルミニウムなどの金属で形成して、陰極3102側から光を取り出す上面光取り出し構造としてもよい。
ここでTFT3016a〜3016dは、通常複数個必要とする。ここでは、TFT3016a〜3016dを素子駆動部(第1の駆動部)と呼ぶこととする。有機膜発光層と素子駆動部とは単位素子となっている。図14に示す有機ELディスプレイは、表示装置の表示面に対して垂直方向に4個の発光層が積層された4層構造の発光素子を有するものである。
図14及び図15に示した第三実施形態の画素における有機膜発光層303、306、309の輝度重み付け方法は、図3(a)、3(b)に既に示した方法に従う。有機膜発光層303を第1層、有機膜発光層306を第2層、有機膜発光層309を第3層とする。
図3(b)は、有機膜発光層が5層構造の場合の例を示すので、図14及び図15に示した構造に更に1つの単位素子が設けられた5層構造を考える。5つの有機膜発光層のうち、光が取り出される側に近い方から順に第1層、第2層、第3層、第4層及び第5層とする。
第三実施形態の表示装置における画素の階調表現の一例は図4に示し、既に説明したとおりである。
図16は、本発明の第三実施形態の表示装置の表示パネルのドライバ構成図を示す。図16において、一つの画素3036は後述する図17の画素回路に相当する。第三実施形態の表示パネルには、二次元マトリクス状に配置された複数の画素3036に、アナログデータ及び3ビットのデジタルデータを送るための水平ドライバ3037と、画素を駆動するための電源回路3038と、垂直方向のラインを選択する垂直ドライバ3039とが備えられている。
複数の画素3036は、垂直方向に並んだ行Yと水平方向に並んだ列Xとからなる二次元マトリクス状に配置されている。図16では一例としてY1〜Y4の4行で、X1〜X6の6列の表示パネルを示している。実際の表示パネルは図16に示すものよりも多くの行列を有しているが、ここでは便宜上このように示した。第三実施形態では、水平ドライバ3037にはデータドライバ3371〜3376が、電源回路3038には電源部3381〜3386が、垂直ドライバ3039にはゲートドライバ3391〜3394がそれぞれ組み込まれている。なおここで、水平ドライバ3037及び垂直ドライバ3039を第2の駆動部とする。
例えば、図16に示す表示パネルの最上段であるY1行の表示ラインを走査したい場合、垂直ドライバ3039のゲートドライバ3391(ゲート用TFT)がY1行の各画素3036をオンさせる。その他の表示ラインY2行〜Y4行は、ゲートドライバ3392〜3394がオフさせる。このとき水平ドライバ3037から映像データの1ライン分のデータ(デジタルデータとアナログデータからなる)を出力し、各画素3036に供給する。
次に、ゲートドライバ3391がY1行の各画素3036をオフさせることにより、Y1行の1ラインの映像が表示されることになる。続けて同様に、垂直ドライバ3039をY2行のゲートドライバ3392からY4行のゲートドライバ3394まで順番に駆動し、水平ドライバ3037から1ライン毎に映像データを出力することにより、すべての表示パネル内の画素3036を走査できることとなる。
図17は、本発明の第三実施形態の画素を駆動するための駆動回路の回路図を示す。図17において、有機EL発光層3018、3019、3020、3105は、図14及び図15に示した有機膜発光層303、306、309、3101に相当する。第三実施形態の画素は、デジタル層が3層で、アナログ層が1層の計4層構造を示し、デジタル層を構成するそれぞれの層の輝度重み付けは図3(a)と同様に「1」,「2」,「4」である。
有機EL発光層3018〜3020、3105の各一端(図ではアノード)は、駆動用TFT3024〜3026、3107の各ソース、ドレインを介して電源部3381を構成する電源3030〜3032、3109に接続されている。また、TFT3024〜3026、3107の各ゲートは、TFT3027〜3029、3108の各ソースに接続される一方、コンデンサ3021〜3023、3106を介して電源3030〜3032、3109に接続されている。
電源3030、3031、3032及び3109は、それぞれ図14に示した電源3013、3014、3015及び3104に相当する。電源3030〜3032及び3109は、個別の電源でも共通の電源であってもよく、有機EL発光層3018〜3020、3105を所定の重み付けで所定の輝度で発光させるように設定する。更に、TFT3027〜3029の各ドレインは、データドライバ3371内のデータ保持部3350〜3352に接続され、各ゲートはゲートドライバ3391に共通接続されている。また、TFT3107のゲートは、TFT3108のソース、ドレインを介してアナログデータ3110が印加される。
ここでは、データドライバ3371、電源部3381、ゲートドライバ3391について示したが、図16に示すように、データドライバ3372〜3376、電源部3382〜3386、ゲートドライバ3392〜3394も同様の構成である。データドライバ3371〜3376、電源部3381〜3386、ゲートドライバ3391〜3394は表示パネルの各行Y、各列Xの画素3036を駆動する。図17では便宜上、ゲートトランジスタ3027〜3029とゲートトランジスタ3108とに接続するゲートドライバ3391(〜3394)を別体の如く図示している。
次に、この駆動回路の動作について説明する。最初に、デジタル層である有機EL発光層3018、3019及び3020を、オン/オフの2値により発光/非発光を行うようにデジタル駆動させる場合について説明する。
まず、画素3036に表示する所定階調のデータ3033(3ビット)がデータドライバ3371に入力される。データ3033は、デジタルのシリアルデータ又はパラレルデータであることが望ましい。データドライバ3371に入力されたデータ3033は、有機EL発光層3018〜3020のうち表示装置に表示する階調に対応した有機EL発光層を発光させるために使用される。
データ3033の各ビット(1または0)がデータ保持部3350〜3352に保持され、ゲートドライバ3391は、ゲートトランジスタ3027〜3029のゲートに所定の第1の電位を印加してこれらをオン状態にする。データドライバ3371から出力される表示データが、ゲートトランジスタ3027〜3029の各ドレイン、ソースを通して、データ保持のためのコンデンサ3021〜3023に書き込まれ、記憶される。
続いて、ゲートドライバ3391は、ゲートトランジスタ3027〜3029のゲートに所定の第2の電位を印加してこれらをオフ状態にする。ゲートトランジスタ3027〜3029をオフにすると、コンデンサ3021〜3023に蓄えられたデータが保持される。コンデンサ3021〜3023に保持される電荷は、電源3030〜3032とデータドライバ3371の出力電圧との電位差である。
例えば、表示装置に階調「5」の映像を表示する場合を例にとって説明する。図4より階調「5」では、第1層と第3層の有機EL発光層3018と3020を点灯させる必要がある。ここでは、有機EL発光層3018を第1層、有機EL発光層3019を第2層、有機EL発光層3020を第3層とした。
入力されたデータ3033は、データドライバ3371で対応する発光層の信号線に繋がるデータ列に変換されるが、この場合、データ保持部3350と3352に有機EL発光層3018と3020が発光させるデータが保持される。このときコンデンサ3021には、TFT3024をオンする電圧が印加され、コンデンサ3023にも、TFT3026をオンする電圧が印加されているため、TFT3024と3026がそれぞれオン状態とされる。一方、コンデンサ3022には、TFT3025を駆動する電圧が印加されていないため、TFT3025はオフ状態である。
従って、TFT3024と3026がオン状態なので、電源3030、3032から電流がTFT3024、3026の各ドレイン、ソースを通して有機EL発光層3018、3020に供給され、有機EL発光層3018、3020が発光する。このとき有機EL発光層3018と3020の発光輝度の重み付けは「1」と「4」であるので、この合計である階調「5」が表示装置に映し出される。
次に、有機EL発光層3105を用いて中間調レベルの発光を行うように、アナログ駆動させる場合を説明する。まず、画素に表示したい階調のアナログデータ3110が入力される。アナログデータ3110は、デジタルデータ3033で表現できる最小発光輝度よりも小さいレベルの発光輝度に対応した階調のデータが用いられる。
ここで、表示装置に階調「0.3」を表示する場合を例にして考える。アナログデータ3110が入力されると、ゲートドライバ3391によりTFT3108がオン状態とされるため、アナログデータ3110はTFT3108のドレイン、ソースを介して、データ保持のためのコンデンサ3106に蓄えられる。続いて、ゲートドライバ3391によりTFT3108がオフ状態に制御されるため、コンデンサ3106にアナログデータ3110が保持される。
このとき、コンデンサ3106に保持される電荷は、電源3109とアナログデータ3110との電位差であり、これは階調データ「0.3」に応じた電流量が駆動用TFT3107に流れるような値である。コンデンサ3106に保持された電荷により、駆動用TFT3107が動作し、電源3109から電流がTFT3107のドレイン、ソースを介して有機EL発光層3105に供給され、有機EL発光層3105が発光する。このとき、階調「0.3」が表示装置に映し出される。
第三実施形態のデジタル駆動法においては、図17に示した駆動用TFT3024〜3026はオン/オフのみの動作となる。そのため回路構成は駆動用TFT3024〜3026をオン/オフするためのデータを蓄えるコンデンサ3021〜3023と、これらのコンデンサ3021〜3023に上記のデータを保持するためのゲート用TFT3027〜3029とからなる、極めて簡単な回路構成で済む。また、駆動用TFT3024〜3026は、オン/オフのスイッチング動作となるために、従来の有機EL表示装置で問題であった、アクティブ素子であるTFTの素子特性による閾値ばらつきの影響の無い飽和領域で動作させることができる。このため、表示装置面内における表示輝度むら、および階調ずれ等の問題を限りなく少なくできる。
また、第三実施形態のデジタル駆動法においては、駆動用TFT3024〜3026は、オン/オフのスイッチング動作だけを行うため、TFTによる電力損が少ない飽和領域で動作させることができる。このため、従来の表示装置と比較すると低消費電力にできる。
更に第三実施形態においては、有機EL発光層に供給される電流は、複数の有機EL発光層に分散される。有機ELの寿命は電流値の2乗に逆比例するといわれている。電流が複数の有機EL発光層に分散されることによって,一層あたりの電流量を少なくすることができるため、従来の回路構成と比較して長寿命となる。
更にまた第三実施形態では、デジタル駆動とアナログ駆動の方法として、アナログデータ3110はデジタルデータ3033で表現できる最小発光輝度よりも小さいレベルの発光輝度に対応した階調のデータが用いられるように構成する方法について説明したが、これに限定されるものではない。アナログデータ3110に、デジタルデータ3033で表現できる最大発光輝度よりも大きいレベルの発光輝度に対応した階調のデータが用いられるように構成する方法であってもよい。
(階調表現の第一実施例)
次に、第三実施形態の表示装置における画素の階調表現方法について説明する。
図18は、図14に示した第三実施形態の画素を用いて、直線的特性を持った階調を表現する第一実施例を示す。既述したように、デジタル駆動層は電源のオン/オフの動作によって発光/非発光となり、アナログ駆動層は電流の大きさを変化させることで輝度が変化する。
図18において、縦軸は画素全体の発光輝度を示し、横軸は入力データ(入力階調)を示す。後述する図19〜図21も同様である。ここで全体の発光輝度は、1画素を構成する積層された複数の有機膜発光層の全体の発光輝度(複数の有機膜発光層の輝度合計)である。
デジタル駆動層が3層構造の場合、デジタル駆動層のみによる階調表現は0も含めて8段階しか表現できないため、図18にIで示すように発光輝度レベルの段差が大きくなって細かな階調表現が難しい。デジタル駆動層の層数を増やせば、階調数もそれに応じて増えるが、パネル構造も比例して複雑になり、工法も複雑になってしまう。
そこで、第三実施形態の画素のようにアナログ層を1層追加してデジタル層の階調段差を補間するように発光させる。具体的には、入力データが「32」、「64」、「96」、「128」、「160」、「192」、「224」と32の倍数の場合は、デジタル駆動層の階調レベルを0〜7まで段階的に先に述べた第1層から第3層である有機膜発光層303、306、309の輝度重み付けにより上げ、発光輝度を上げる。ここで、第1層から第3層に対して図3(a)に既に示した3種類の重み付けを設定した。
入力データが「0」〜「31」の場合は、デジタル駆動層を駆動するデジタル駆動部は階調レベルを「0」に設定する。アナログ駆動層を駆動するアナログ駆動部は、有機膜発光層3101が入力データ「0」〜「31」に応じて発光するよう階調レベルを設定する。
同様に、入力データが「32」〜「63」の場合は、デジタル駆動層の階調レベルを「1」にして、アナログ駆動層の階調レベルを入力データ「32」〜「63」から「32」を引いた「0」〜「31」に応じて発光するように設定する。入力データが「64」〜「95」の場合は、デジタル駆動層の階調レベルを「2」にして、アナログ駆動層の階調レベルを入力データ「64」〜「95」から「64」を引いた「0」〜「31」に応じて発光するように設定する。入力データが「96」〜「127」の場合は、デジタル駆動層の階調レベルを「3」にして、アナログ駆動層の階調レベルを入力データ「96」〜「127」から「96」を引いた「0」〜「31」に応じて発光するように設定する。
同様にして、入力データが「128」〜「159」の場合、「160」〜「191」の場合、「192」〜「223」の場合、「224」〜「255」の場合、デジタル駆動層の階調レベルを「4」、「5」、「6」、「7」と増加させて、アナログ駆動層の階調レベルを「0」〜「31」に応じて発光するように設定する。
このように設定することで、アナログ駆動層による輝度レベルは図18にIIで示すように、直線的な特性を持った階調表現をする。このように、アナログ駆動層はデジタル駆動層のみの構造に比べて、多階調を実現できる効果があり、デジタル駆動層はアナログ駆動層のみの構造に比べて、輝度むらを低減する効果がある。
(階調表現の第二実施例)
図19は、第三実施形態の画素が、図18のような直線的特性ではなく、ガンマ特性を持った階調を表現する第二実施例を示す。画素がデジタル駆動層のみの構造の場合、図19にIIIで示すように入力データの階調が大きくなるほど発光輝度レベルの段差が大きくなって細かな階調表現が難しい。そこで、アナログ駆動層を1層追加してデジタル駆動層の階調段差を補間するように発光させる。
ただし、図18に示した第一実施例と異なり、アナログ駆動層の階調レベルを入力データ「0」〜「31」に比例させず、ガンマ特性を持たせて発光するように設定する。すなわち、入力データと全体の発光輝度との関係が図19のような曲線を描くガンマ特性を有するように、アナログ駆動層の輝度レベルが入力データに応じて図19のIVを示すような設定をする。
このように設定することで、アナログ駆動層はデジタル駆動層のみの構造に比べて、多階調を実現できる効果があり、デジタル駆動層はアナログ駆動層のみの構造に比べて、輝度むらを低減する効果がある。またディスプレイの特性に合わせたガンマ補正が可能である。
(階調表現の第三実施例)
図20は、3層のデジタル駆動層と、2層のアナログ駆動層とで発光素子(多層部)を構成する第三実施形態の画素を用いた、ガンマ特性を持った階調を表現する場合の第三実施例を示す。すでに述べているようにデジタル駆動層が3層構造であると、デジタル駆動層のみによる階調表現は0も含めて8段階しか表現できない。そのため、入力データと全体の発光輝度との関係にガンマ特性を持たせようとすると、図20にVで示すように発光輝度レベルの段差が大きくなって細かな階調表現が難しい。
そこで、図20にVIで示すように、1層目のアナログ駆動層の入力データと発光輝度レベルとの関係がデジタル駆動層の階調段差を補間し、更に図20にVIIで示すように、2層目のアナログ駆動層の入力データと発光輝度レベルとの関係がガンマ特性を微調整するように発光させる。この2層目のアナログ駆動層は、ディスプレイ毎の特性ばらつき、経時変化に合わせてガンマ特性を変化できるように設定する。
このように設定することで、アナログ駆動層はデジタル駆動層のみの構造に比べて、多階調を実現できる効果があり、デジタル駆動層はアナログ駆動層のみの構造に比べて、輝度むらを低減する効果がある。またディスプレイの特性に合わせたガンマ補正が可能である。
(階調表現の第四実施例)
図21は、3層のデジタル駆動層と、2層のアナログ駆動層とで多層部を構成する第三実施形態の画素を用いた、ピーク輝度を上げる場合の階調表現方法である第四実施例を示す。デジタル駆動層が3層構造であると、デジタル駆動層のみによる階調表現は0も含めて8段階しか表現できない。そのため、入力データと全体の発光輝度との関係のピーク輝度を高めるように設定する場合、図21にVIIIで示すように発光輝度レベルの段差が大きくなって細かな階調表現が難しい。
そこで、図21にIXで示すように、1層目のアナログ駆動層の入力データと発光輝度レベルとの関係がデジタル駆動層の階調段差を補間し、更に図21にXで示すように、2層目のアナログ駆動層の入力データと発光輝度レベルとの関係が、ピーク輝度が100%を超えたレベルで表現する時のみ発光させるようにする。
このように設定することで、アナログ駆動層はデジタル駆動層のみの構造に比べて、多階調を実現できる効果があり、デジタル駆動層はアナログ駆動層のみの構造に比べて、輝度むらを低減する効果がある。また、ピーク輝度を上げることでインパクトのある画像出力が可能である。
以上説明した第三実施形態の素子は、デジタル層とアナログ層とを組み合わせた構成としたため、n個の発光層の全てをデジタル駆動して発光する構成に比べてアナログ層を形成することで多階調を表現することができ、更には所望の1ドットの所望の階調特性の階調表現ができる。また、n個の発光層の全てをアナログ駆動して発光する構成に比べて、画素毎の輝度のばらつきを大幅に低減できるため、輝度むらや階調ずれを低減できると共に電力損失を低減できる。
上記の図18から図21に示した第一実施例〜第四実施例では、画素が3層のデジタル駆動層と1層または2層のアナログ駆動層を有するものを用いて一例を示したが、これに限定されることはなく、更に多層化された場合でも適用可能である。
≪第四実施形態≫
図22は、マルチフォトンを用いた実施形態である本発明の第四実施形態の表示装置における画素の層構成を示す。表示装置は例えば有機ELディスプレイである。図22において、ガラス基板401は表示装置の表示面である。このガラス基板401は、有機膜の層を形成できるものであるならば、プラスチックのようなものであってもよい。このガラス基板401の上に陽極402が形成される。この陽極402としては、例えば透明電極であるITOなどが使用される。
陽極402の上には有機膜発光層403が形成される。有機膜発光層403は正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、そして有機化合物からなる蛍光体である発光層との組み合わせで構成される(後述の有機膜発光層405、407、409も同様)。この組み合わせは、有機ELの特性によって適切に選択されなければならない。
有機膜発光層403の上には図22に示すように電荷生成層404が形成される。電荷生成層404は、電子と正孔の注入層として動作する。電荷生成層404には、ITO又はV2O5などが適応できる。電荷生成層404の上には有機膜発光層405が形成され、更にその上に電荷生成層406、有機膜発光層407、電荷生成層408、有機膜発光層409が順次に積層される。そして、有機膜発光層409の上には陰極410が形成され、電源411が陰極410と陽極402に接続される。
第四実施形態の表示装置は、陽極402と陰極410との間に有機膜発光層と電荷生成層とが交互に多層積層された構造で、このような構造のものをマルチフォトンと呼ぶ。ここでは、陽極402と陰極410との間に挟まれたマルチフォトン構造による発光素子部を、発光ユニットと呼ぶこととする。
ガラス基板401から光を取り出す場合は、陰極410はアルミニウムなどの光を反射する金属で形成される。陽極402と陰極410との間に挟まれた各有機膜発光層403、405、407、409の発光原理は従来例と同じである。これに電源411が備えられる。
図23はマルチフォトンの動作原理を示す。図23中、図22と同一構成部分には同一符号を付してある。図23において、電荷生成層404、406、408は、隣接する有機膜発光層403、405、407、409に電子と正孔を注入する機能を持つ。有機膜発光層403、405、407、409では、電子と正孔が再結合し、発光する。有機ELから出力される明るさは、それぞれの有機膜発光層403、405、407、409から発光される各輝度の合計となる。
ここではマルチフォトンが、4層の有機膜発光層403、405、407、409で構成されているが、それぞれの有機膜発光層に同じ特性の発光材料を用いて、それぞれの層に1層の場合と同じ電圧を印加した場合、従来の有機膜発光層が1層の構成と比較して4倍の輝度が得られる。これより、マルチフォトンで従来の構成と同じ輝度を得る場合、各有機膜発光層を流れる電流を4分の1にすることができるため、有機膜発光層の長寿命化を達成できる。第四実施形態では、マルチフォトンの各層に同じ発光材料を使用する事を前提に考えているが、同じ発光特性が得られる場合にはこの限りではない。
図24はマルチフォトンを適応した第四実施形態の表示装置の画素構成を示す。第四実施形態では、まず、ガラス基板415の上に陽極416が形成され、その上に有機膜発光層417が形成される。有機膜発光層417は従来例の構成と同じである。有機膜発光層417上に陰極418が形成される。陽極416と陰極418には電源430から電圧が印加される。
これらの層の上には、シリコン酸化膜419が形成される。シリコン酸化膜419は、シリコン酸化膜419の上に形成される陽極420と、下に形成されている陰極418とを電気的に絶縁する効果を持つ。陽極420の上に有機膜発光層421a、電荷生成層422、有機膜発光層421bおよび陰極423の順で積層される。陽極420と陰極423との間の構造は2層構成のマルチフォトンである。
有機膜発光層421a及び421bは有機膜発光層417と同材料で形成され、それぞれの層に同じ電圧が加えられた場合、同じ特性で発光する。陽極420と陰極423との間には電源431が接続されて電圧が印加される。
陰極423の上にはシリコン酸化膜424が形成される。シリコン酸化膜424はシリコン酸化膜424の上に形成される陽極425と、下に形成されている陰極423とを電気的に絶縁する効果を持つ。この陽極425の上に有機膜発光層426a、電荷生成層427a、有機膜発光層426b、電荷生成層427b、有機膜発光層426c、電荷生成層427c、有機膜発光層426dおよび陰極428の順で積層される。陽極425と陰極428との間の構造は4層構成のマルチフォトンである。
有機膜発光層426a〜426dは有機膜発光層417と同材料で形成され、それぞれの層に同じ電圧が加えられた場合、同じ特性で発光する。陽極425と陰極428との間には電源432が接続されて電圧が印加される。なお、陰極428側から光を取り出す上面光取り出し構造である場合は、陰極428はITOなどの透明電極で構成される。
それぞれの有機膜発光層417、421a、421b、426a〜426dは印加される電流に比例した輝度で発光し、光はガラス基板415側から取り出される。ここでは、各有機膜発光層417、421a、421b、426a〜426dから出力される輝度を同じにするために、各有機膜発光層417、421a、421b、426a〜426dに同じ電圧が印加されるように、電源430、431、432の電源値を決める。ここでは、電源430、431、432には、1:2:4の比率の電源電圧が印加される。なお、この第四実施形態の構造は、有機ELだけでなく無機ELでも勿論実現可能であり、アクティブ駆動だけでなくパッシブ駆動の表示装置でも実現可能である。
各マルチフォトン層は、電源のオン/オフの2値により発光と非発光(点灯と消灯)を切り替えることで、それぞれ所定の輝度で発光する。すなわち、電源のオン/オフの動作によって、有機膜発光層417、421a、421b、426a〜426dはデジタル駆動となる。
ここで前述したように、一つの陽極と一つの陰極との間に挟まれた、有機膜発光層と電荷生成層とからなるマルチフォトンによる発光部を、発光ユニットと呼ぶこととすると、図24の表示装置は、図25に示す画素構造で示される。ここでは、1画素を構成する各色(例えば赤緑青など)のうちの1ドットを示している。図25中、図24と同一構成部分には同一符号を付してある。
図25において、ガラス基板415の上にはシリコン酸化膜433、陽極416、発光ユニット434、陰極418が順次積層され、更にその上にはシリコン酸化膜419、陽極420、発光ユニット435、陰極423が順次積層される。更にその上には、シリコン酸化膜424、陽極425、発光ユニット436、陰極428が順次積層されている。
発光ユニット434は有機膜発光層417に相当し、発光ユニット435は有機膜発光層421a、電荷生成層422及び有機膜発光層421bからなる2層のマルチフォトンによる発光部に相当する。発光ユニット436は、有機膜発光層426a、電荷生成層427a、有機膜発光層426b、電荷生成層427b、有機膜発光層426c、電荷生成層427c及び有機膜発光層426dからなる4層のマルチフォトンによる発光部に相当する。
ここで第四実施形態において、一つの発光ユニット及びこれを挟む陽極と陰極、陽極と陰極に電源電圧を供給する電源とを合わせて単位素子と呼ぶこととすると、陽極416、発光ユニット434、陰極418は図示しない電源と共に一つの単位素子を構成している。同様に、陽極420、発光ユニット435、陰極423は図示しない電源と共に一つの単位素子を構成しており、陽極425、発光ユニット436、陰極428は図示しない電源と共に一つの単位素子を構成している。従って図25に示す有機ELディスプレイは、表示装置の表示面に対して垂直方向に3個の単位素子が積層された3層構造の発光素子を有するものである。
また、ガラス基板415上には、図25に示すように、アクティブ素子である薄膜トランジスタ(TFT)437a、437b、437cが形成され、それぞれ陽極416、420、425に接続される。TFT437a〜437cは有機膜発光層を駆動制御可能なものであるならば、p−Si(低温ポリシリコン)、a−Si(アモルファスシリコン)、さらには有機トランジスタなどのどのようなアクティブ素子で作成されていてもよい。
TFT437a〜437cは、発光ユニット434〜436に印加される電源をオン/オフする回路機能を持つ。電源をオン/オフすることでTFT437a〜437cは上記したように、発光ユニット434〜436(発光部)を発光または非発光とするようデジタル駆動する。
シリコン酸化膜433は、ガラス基板415から金属イオンが陽極416に移動していかないようにする膜である。図示していないが、陰極418、陰極423、陰極428は共通電極である。
画素の下側であるガラス基板415側から光を取り出す場合、画素の上側である陰極428側から光が漏れないようにするため、陰極428はアルミニウムなどの金属で形成される。これによって、発光ユニット434〜436から出た光は上下に放射されるが、陰極428側に出た光は陰極428で反射して下側に向かうため、ガラス基板415側からのみ取り出されることとなる。
ここで、ガラス基板415にTFT437a〜437cが備えられ、ガラス基板415側から光を取り出す下面光取り出し構造と、陰極428を透明電極で形成し、陽極416をアルミニウムなどの金属で形成して、陰極428側から光を取り出す上面光取り出し構造とがあるが、本発明ではどちらの構造を用いてもよい。ここで、TFT437a〜437cは、通常複数個必要とする。ここでは、TFT437a〜437cを素子駆動部(第1の駆動部)と呼ぶこととする。
図25に示すように発光ユニットが3層構造の場合、各層の輝度重み付けは図3(a)に示すように行う。輝度重み付けとは、それぞれの発光層の発光輝度をある値を基準として相対的に数値化したものである。
ここで、図24及び図25に示した発光ユニット434を第1層、発光ユニット435を第2層、発光ユニット436を第3層とし、第1層の輝度を「1」、第2層が輝度「2」、第3層が輝度「4」と設定する。これは、マルチフォトン構造の各有機膜発光層に印加される電圧が同じである場合、各発光ユニットから出力される輝度は、各発光ユニットが有する有機膜発光層の数の整数倍となることによる。ここで、各発光ユニットの輝度は電源電圧をオンとした際の発光輝度を表し、各発光ユニットは電源電圧のオン/オフでデジタル駆動される。
図3(b)は、発光ユニットが5層構造の場合の輝度重み付け方法の一例を示す。5層構造の場合、図24及び図25に示した構造に更に2つの単位素子が積層され、発光ユニットが全部で5つとなるように形成される。この5つの発光ユニットのうち、光が取り出される側に近い方から順に第1層、第2層、第3層、第4層及び第5層としたとき、図3(b)に示すように、第1層の輝度を「1」とした場合、第2層は輝度「2」、第3層は輝度「4」、第4層は輝度「8」、第5層は輝度「16」となる。
図4は、図3(a)の輝度重み付けの場合における階調表現の方法を示し、既に説明したとおりである。
図26は本発明の第四実施形態の表示装置における画素を用いた表示パネルのドライバ構成図を示す。図26において、一つの画素456は後述する画素回路に相当する。表示パネルには、二次元マトリクス状に配置された複数の画素456に、3ビットのデジタルデータを送るための水平ドライバ457と、画素を駆動するための電源回路458と、垂直方向のラインを選択する垂直ドライバ459とが備えられている。
複数の画素456は、垂直方向に並んだ行Yと水平方向に並んだ列Xとからなる二次元マトリクス状に配置されている。図26では一例としてY1〜Y4の4行で、X1〜X6の6列の表示パネルを示している。実際の表示パネルは図26に示すものよりも多くの行列を有しているが、ここでは便宜上このように示した。
第四実施形態では、水平ドライバ457にはデータドライバ471〜476が、電源回路458には電源部481〜486が、垂直ドライバ459にはゲートドライバ491〜494がそれぞれ組み込まれている。なおここで、水平ドライバ457及び垂直ドライバ459を第2の駆動部とする。
例えば、図26に示す表示パネルの最上段であるY1行の表示ラインを走査したい場合、垂直ドライバ459のゲートドライバ491がY1行の各画素456をオンさせる。その他の表示ラインY2行〜Y4行は、ゲートドライバ492〜494がオフさせる。このとき水平ドライバ457から映像データの1ライン分のデータを出力し、各画素456に供給する。
次に、ゲートドライバ491がY1行の各画素456をオフさせることにより、Y1行の1ラインの映像が表示されることになる。続けて同様に、垂直ドライバ459をY2行のゲートドライバ492からY4行のゲートドライバ494まで順番に駆動し、水平ドライバ457から1ライン毎に映像データを出力することにより、すべての表示パネル内の画素456を走査できることとなる。
図27は本発明の第四実施形態の画素を駆動するための回路図を示す。図27において、発光ダイオードのシンボルで記載した434、435及び436は、図25に示した発光ユニット434、435及び436に相当する。第四実施形態では、デジタル層が3層構造を示し、デジタル層を構成するそれぞれの有機膜発光層の輝度重み付けは図3(a)と同様に「1」,「2」,「4」である。
また、発光ユニット434〜436の各一端(図ではアノード)は、駆動用TFT444〜446の各ソース、ドレインを介して電源部481を構成する電源450〜452に接続されている。また、TFT444〜446の各ゲートは、TFT447〜449の各ソースに接続される一方、コンデンサ441〜443を介して電源450〜452に接続されている。
電源450〜452は、個別の電源でも共通の電源であってもよく、発光ユニット434〜436を所定の重み付けで所定の輝度で発光させるように設定する。更に、TFT447〜449の各ドレインは、データドライバ471内のデータ保持部460〜462に接続され、各ゲートはゲートドライバ491に共通接続されている。
ここでは、データドライバ471、電源部481、ゲートドライバ491について示したが、図27に示すように、データドライバ472〜476、電源部482〜486、ゲートドライバ492〜494も同様の構成である。データドライバ471〜376、電源部481〜386、ゲートドライバ491〜494は表示パネルの各行Y、各列Xの画素456を駆動する。
次に、この駆動回路の動作について説明する。まず、画素456に表示する所定階調のデータ453(3ビット)がデータドライバ471に入力される。データ453は、デジタルのシリアルデータ又はパラレルデータであることが望ましい。データドライバ471に入力されたデータ453は、発光ユニット434、435、436のうち表示装置に表示する階調に対応した発光ユニットを発光させるために使用される。
データ453の各ビット(1または0)がデータ保持部460〜462に保持され、ゲートドライバ491は、ゲートトランジスタ447〜449のゲートに所定の第1の電位を印加してこれらをオン状態にする。データドライバ471から出力される表示データが、ゲートトランジスタ447〜449の各ドレイン、ソースを通して、データ保持のためのコンデンサ441〜443に書き込まれ、記憶される。
続いてゲートドライバ491は、ゲートトランジスタ447〜449のゲートに所定の第2の電位を印加してこれらをオフ状態にする。ゲートトランジスタ447〜449をオフにすると、コンデンサ441〜443に蓄えられた電荷が保持される。コンデンサ441〜443に保持される電荷は、電源450〜452とデータドライバ471の出力電圧との電位差である。
いま、表示装置に階調「5」の映像を表示する場合を例にとって説明する。図4より階調「5」では、第1層と第3層の発光ユニット434と436を点灯させる必要がある。入力されたデータ453はデータドライバ471で、対応する発光層の信号線に繋がるデータ列に変換される。この場合、データ保持部460と462に発光ユニット434と436とを発光させるデータが保持される。
このときコンデンサ441には、TFT444をオンする電圧が印加され、コンデンサ443にも、TFT446をオンする電圧が印加されているため、TFT444と446がそれぞれオン状態とされる。一方、コンデンサ442には、TFT445を駆動する電圧が印加されていないため、TFT445はオフ状態である。
従って、TFT444と446がオン状態なので、電源450、452から電流がTFT444、446の各ドレイン、ソースを通して発光ユニット434、436に供給され、発光ユニット434、436が発光する。このとき発光ユニット434、436の発光輝度の重み付けは「1」と「4」であるので、この合計である階調「5」が表示装置に映し出される。
第四実施形態の表示パネルのデジタル駆動法においては、駆動用TFT444〜446はオン/オフのみの動作となる。そのため回路構成は駆動用TFT444〜446をオン/オフするためのデータを蓄えるコンデンサ441〜443と、これらのコンデンサ441〜443に上記のデータを保持するためのゲート用TFT447〜449とからなる、極めて簡単な回路構成で済む。
また、駆動用TFT444〜446は、オン/オフのスイッチング動作となるために、従来の有機EL表示装置で問題であった、アクティブ素子であるTFTの素子特性による閾値ばらつきの影響の無い飽和領域で動作させることができる。このため、表示装置面内における表示輝度むら、および階調ずれ等の問題を限りなく少なくできる。
更にTFTによる電力損が少ない飽和領域で動作させることができる。このため、従来の表示装置と比較すると低消費電力にできる。
第四実施形態の素子においては、発光ユニット434〜436にマルチフォトン構造を採用しているために、各有機膜発光層に流れる電流を少なくしたまま従来以上の輝度が得られる。有機ELの寿命は電流値の2乗に逆比例するため、従来の回路構成と比較して長寿命となる。
更にデジタル表示をするにあたり、各発光ユニットにマルチフォトンを適応し、その各発光層に同じ特性の材料を使用することで、デジタル表示に必要な整数倍の輝度の階調を容易に得ることができる。
なお、本発明は以上の第一実施形態から第四実施形態のように例えば、第1層から第3層、あるいは、第1層から第5層までの有機膜発光層(発光ユニット)を異なる材料で構成しても同じ材料で構成してもかまわない。例えば有機膜発光層の材料が異なっていても、上記のようにそれぞれの有機膜発光層に対して、電流値や電流を流す時間長を異ならせることにより、トータルとしての輝度を図3(a)の場合、第1層が「1」、第2層が「2」、第3層が「4」となるように構成し、図3(b)の場合、第1層が「1」、第2層が「2」、第3層が「4」、第4層が「8」、第5層が「16」となるように構成していればよい。
また、有機膜発光層及び発光ユニットの輝度重み付けは、発光層を少なく形成できる2のn乗の輝度重み付けにすることが望ましいが、この限りではない。また、層毎の輝度の重み付けは、図3(a)、3(b)で示したような光が取り出される側に近い層から昇順とする必要は無く、降順としても、また任意に並べ替えてもよい。
更には例えば、図4では、各発光層毎に異なった輝度重み付けとして説明してきたがこれに限定されるものではなく、第1層と第2層と第3層の輝度重み付けを「1」,「1」,「1」のように同じ輝度重み付けとしてもよいし、第1層と第2層と第3層の輝度を「1」,「2」,「2」のように部分的に同じ輝度重み付けとしてもよい。
また、本発明は、有機ELだけでなく無機ELでも勿論実現可能であり、アクティブ駆動だけでなくパッシブ駆動の表示装置でも実現可能である。更に、本発明の素子によれば、一画素を構成するための複数の副画素が不要であるので、今後のパネルの高解像度化に充分対応できる。