JP2006106543A - 光学部品又はマイクロレンズアレイ及びそれらの製造方法 - Google Patents

光学部品又はマイクロレンズアレイ及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
マイクロレンズアレイの形成及びマイクロレンズアレイの液晶パネルへの取り付けを容易にし、マイクロレンズアレイの薄さによる製造工程上及び流通上の不具合を解決した、好適なマイクロレンズアレイを提供すること。
【解決手段】
本発明にかかるマイクロレンズアレイは、複数のマイクロレンズ201が形成された第1の透明基板203と、第1の透明基板203と第1の接着層204を介して接着された第2の透明基板205とを備えた表示パネル用マイクロレンズアレイ200であって、第1の接着層は所定の温度以上の加熱により剥離する熱剥離接着層であるものである。
【選択図】 図3

Description

本発明は光学部品又はマイクロレンズアレイ及びそれらの製造方法に関する。
液晶表示装置の課題として高輝度化及び高視野角化がある。この課題を解決するものとしてマイクロレンズアレイを用いた液晶表示装置の発明が提案されている。
マイクロレンズアレイを用いた液晶表示装置の例の模式図を図8に表す。液晶表示装置は2枚の透明基板2、12の間に液晶層7が挟持されている。そして、透明基板2の前面側には偏光フィルム1が設けられている。透明基板2の背面側にはブラックマトリクス3、カラーフィルタ層4、透明電極5、配向膜6が形成されている。透明基板2と透明基板12の間にはスペーサ8が設けられている。透明基板12の前面側には、TFT素子11、透明電極10、配向膜9が形成されている。
マイクロレンズアレイ122及びリム121は透明基板12の背面側に形成されている。偏光フィルム13を通って入射してくる光源からの光を、マイクロレンズアレイ122が集光しTFT素子11やブラックマトリクス3を避けて透明基板2へ照射することによって光の利用効率を高め高輝度化を図っている。
ここで紹介した例の他にもマイクロレンズアレイを透明基板2側(観察者側)に配置することによって高視野角化を図る技術もある。このような技術は例えば特許文献1に記載されている。
従来のマイクロレンズアレイの製造方法としては、あらかじめガラス基板表面に形成されたUV(Ultra Violet ray:紫外線)樹脂層にNi電鋳原盤を押圧してマイクロレンズ面を転写した後、ガラス基板裏側からUV光を照射しUV樹脂層を硬化させてマイクロレンズ面の凹凸を形成した後、この凹凸形成後のUV樹脂層に所定の屈折率を有する光学樹脂層で埋めて硬化させることでマイクロレンズ面を形成する2P(Photo−Polymer)法がある。このような方法は例えば特許文献2に記載されている。
特開平8−166502号公報 特開2000−89003号公報
液晶表示装置には小型化、薄型化が望まれるため、必然的に液晶表示装置を構成する各部の部品も小型化、薄型化が必要となる。また、コストを下げるために大型の基板によって同時多数個取りすることも必要となる。マイクロレンズアレイに求められる薄さとしては300μm以下であり、同時多数個取りするための基板は少なくとも360mm×460mmである。
マイクロレンズアレイは光学機器として当然のごとく透明性を有する材料で構成することが必須となる。透明性を有する材料の例としてはガラスやプラスチックなどがある。例えば300μm程度の厚さで360mm×460mmの面積の板状の部品をガラスで形成すると割れやすいものとなってしまうため、取り扱いが非常に難しい。
プラスチックで形成する場合は射出成形で形成することもできるが、レンズ、基板を含めた全体の寸法を360mm×460mm以上の大きさで300μm以下の厚さとすることは難しく、従ってキャスティングや押圧によるロール転写、あるいは2P法を用いて、板というよりもフィルム状に形成されることになる。この場合、割れることはないが剛性がないためにこちらも取り扱いに手間のかかるものとなる。また、フィルム基板となるため、製作工程において力をかけると伸びてしまい、レンズのピッチずれや変形が起こる。これにより、マイクロレンズアレイの各レンズと液晶パネルの各画素との位置がずれてしまい、光学特性の高効率化機能を十分に果たさないものとなってしまう。
このような問題を解決する単純な方法としてはマイクロレンズアレイの基板を厚くして製造工程を行う方法が考えられる。ガラスであれば割れにくく、フィルムであれば剛性を高めることができる。そして、マイクロレンズアレイを液晶表示装置パネルに組み付ける前若しくは組み付けた後に研磨もしくはエッチングによってマイクロレンズアレイを薄くすることによって所定の厚さに形成できる。しかしながら、かかる方法によれば工程数が増えてしまいコストアップは避けられない。また、研磨やエッチングには時間がかかるので生産性の面からも好ましくない
そのため、発明者はマイクロレンズアレイ形成時に、マイクロレンズアレイが形成されるフィルム基板を剛性補佐用の固定基板に固定する発明及びマイクロレンズアレイを液晶パネルに組み付ける際にマイクロレンズアレイを固定基板で固定する発明を行ない、先に特許出願を行なった(特願2004−208852、特願2004−214145)。当該固定基板はマイクロレンズアレイから剥離させる必要がある。そのためにマイクロレンズアレイと固定基板との間には剥離手段が設けられ、この剥離手段によりマイクロレンズアレイの光学特性を損なわずに固定基板をマイクロレンズアレイから剥離できる。
上記のような課題が解決され、フィルム基板上にマイクロレンズアレイが形成され、若しくはマイクロレンズアレイが液晶表示装置に組みつけられた場合においても、マイクロレンズ形成後液晶表示装置に接着されるまではあくまでも剛性の低いフィルム基板上にマイクロレンズが形成されている状態である。そのため、マイクロレンズアレイとして流通する場合、流通時においてもフィルム基板が変形してしまい、若しくは伸びてしまうことによりマイクロレンズのピッチがずれてしまうことやマイクロレンズが破損してしまう問題を考慮しなくてはならない。
このような問題は上記のようにマイクロレンズアレイにおいて特に顕著であるが、シート状のプリズムアレイ、構造性ARシート、シート状の導波性アレイ等の光学部品一般において考えられる。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、マイクロレンズアレイの形成及びマイクロレンズアレイの表示パネルへの取り付けを容易にし、マイクロレンズアレイの薄さによる製造工程上及び流通上の不具合を解決した、好適なマイクロレンズアレイを提供することを目的とする。
本発明にかかるマイクロレンズアレイは、複数のマイクロレンズ(例えば、本発明の実施の形態における凹型レンズ201)が形成された第1の透明基板(例えば、本発明の実施の形態におけるレンズ基板203)と、前記第1の透明基板と第1の接着層(例えば、本発明の実施の形態における熱剥離接着層204)を介して接着された第2の透明基板(例えば、本発明の実施の形態における固定基板205)とを備えた表示パネル(例えば、本発明の実施の形態における液晶パネル100)用マイクロレンズアレイ(例えば、本発明の実施の形態におけるマイクロレンズアレイ200)であって、前記第1の接着層は所定の温度以上の加熱により剥離する熱剥離接着層であるものである。これにより、マイクロレンズアレイの形成及びマイクロレンズアレイの液晶パネルへの取り付けを容易にし、マイクロレンズアレイの薄さによる製造工程上及び流通上の不具合を解決した、好適なマイクロレンズアレイを提供することができる。
ここで、前記第2の透明基板は前記マイクロレンズアレイを表示パネルに接着する場合には第1の接着層を加熱することにより前記第1の透明基板から剥離されることが好ましい。これにより、前記第1の透明基板によって液晶表示装置の薄型化が損なわれることがない。
また、前記第1の透明基板はフィルム状の素材であり、前記マイクロレンズアレイはシート状であってもよい。これにより、薄型化に好適なマイクロレンズアレイを提供することができる。
好適には前記表示パネルは液晶表示装置用の表示パネルである。これにより高輝度、薄型の液晶表示装置を提供することができる。
詳細には、前記第1の接着層は加熱により発泡する発泡剤を含有するものである。これにより、接着層の加熱による接着力の低下を実現することができる。
更に、前記第1の接着層は、波長350nm以上400nm以下の光に対して10%以上の透過率を有することが好ましい。これにより、当該第1の接着層を介してUV硬化樹脂の露光等を行なうことができる。
更にまた、前記第1の透明基板の厚さは前記第2の透明基板よりも薄いことが好ましい。これにより、最終的に剥離される透明基板に厚さを集中させ、薄型化を図ることができる。
詳細には、前記第2の透明基板の厚さは50μm以上300μm以下で薄型化と強度のバランスを調整することが好ましい。
他方、前記第2の透明基板の前記第1の接着層が形成された面とは反対側の面に第2の接着層(例えば、本発明の実施の形態における熱剥離接着層206)を介して接着された第3の透明基板(例えば、本発明の実施の形態におけるキャリア基板207)とを更に有してもよい。これにより、例えば液晶表示装置への当該マイクロレンズアレイの組み付け工程において、当該マイクロレンズの薄さによる扱い辛さを解消することができる。
ここで、前記第2の接着層は所定の温度以上の加熱により剥離する熱剥離接着層であることが好ましい。これにより、第3の透明基板が最終的に不要となった際に当該第3の基板を剥離して取り除くことができる。
詳細には、前記第2の接着層は加熱により発泡する発泡剤を含有するものである。これにより、接着層の加熱による接着力の低下を実現することができる。
好適には、前記第1の接着層及び前記第2の接着層の接着力が低下する温度はそれぞれ異なるものである。これにより、第1の接着層と第2の接着層とを別々に剥離させることが可能となる。
詳細には、前記第1の接着層が有する発泡剤及び前記第2の接着層が有する発泡剤が発泡する温度がそれぞれ異なるものであることが好ましい。これにより上記の効果を実現することができる。
態様の1つとしては、前記第1の接着層の接着力が低下する温度を前記第2の接着層の接着力が低下する温度よりも高くすることができる。これにより、先に第2の接着層のみを剥離させ、後から第1の接着層を剥離させることができる。
詳細には、前記第1の接着層が有する発泡剤が発泡する温度は前記第2の接着層が有する発泡剤が発泡する温度よりも高いことが好ましい。これにより上記の効果を実現することができる。
また、前記第2の接着層は、波長350nm以上400nm以下の光に対して10%以上の透過率を有することが好ましい。これにより、当該第2の接着層を介してUV硬化樹脂を露光することが可能となる。
他方、前記マイクロレンズは凹状レンズであることが好ましい。これにより、例えば液晶パネルに組みつけられた際のレンズの向きを好適なものとすることができる。
ここで、前記マイクロレンズが有する凹形状内に当該マイクロレンズと屈折率の異なる透明樹脂(例えば、本発明の実施の形態における半硬化樹脂部302)が充填されていることが好ましい。これにより、例えば液晶表示装置に当該マイクロレンズアレイを組み付ける際に改めて当該凹形状内に透明樹脂を充填する必要がなくなり工程数の低減を図るとともに、当該凹部の充填に好適な材料の使用を確実にすることができる。
また、前記凹形状内に充填された透明樹脂上にシート基板(例えば、本発明の実施の形態におけるカバー層301)が設けられていてもよい。これにより、当該凹形状レンズ及び当該凹形状内部に充填された樹脂を保護することができる。
更に、前記透明樹脂はUV硬化樹脂を材料とし、半硬化状態で前記凹形状内に充填されていることが好ましい。これにより、当該透明樹脂を用いて例えば液晶パネルとの接着を行なうことができるとともに、半硬化状態による適度な接着力によってシート基板を適度に固定することができる。
本発明により、マイクロレンズアレイの形成及びマイクロレンズアレイの表示パネルへの取り付けを容易にし、マイクロレンズアレイの薄さによる製造工程上及び流通上の不具合を解決した、好適なマイクロレンズアレイを提供することができる。
実施の形態1.
図1は本実施形態にかかるマイクロレンズアレイ200を搭載した液晶表示装置の断面図を示す図である。図1において液晶表示装置は複数の画素により画面表示を実現する液晶パネル100である。この液晶パネル100は2枚の透明基板101、102で液晶層103を挟持して構成される。画素とは、液晶表示パネル画面全体を格子状に細分化して、色/明るさの情報を蓄える微小単位をいい、画素ごとに蓄えられる情報量(Bit:ビット)で明暗を含む色彩の表現能力が決められる。
透明基板101、102は例えばガラス、ポリカーボネイト、アクリル樹脂等により形成される。液晶表示装置の前面側に配置されている透明基板101の背面側である、液晶層103と接する面には、カラーフィルタ層104が形成される。カラーフィルタ層104は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の色表示を行なう3領域により構成される。ブラックマトリクス105はカラーフィルタ層104の各画素間に配置される遮光膜であり、画素間の光漏れを防止する。
カラーフィルタ層104の背面側には、透明電極106、配向膜107が順次積層形成されている。透明電極106は、例えばフォトリソグラフィ法により透明導電性薄膜(ITO:Indium Tin Oxide)から形成される。配向膜107は例えば高分子材料であるポリイミド(Polyimide)薄膜等の有機薄膜で形成され、液晶層103の液晶分子を所定の方向に揃える役割を果たす。液晶表示装置の背面側に配置されている透明基板102にはTFT素子108が形成され、更に透明電極106、配向膜107が積層形成される。TFT素子108は液晶駆動用のスイッチング素子である。
透明基板102の背面側にはマイクロレンズアレイ200が設けられている。マイクロレンズアレイ200は凹型レンズ201、充填部202及びレンズ基板203を有する。凹型レンズ201はマイクロレンズとして機能し、透明製を有する材料で形成されており、例えばUV硬化樹脂が用いられる。また、凹型レンズ201は、直径数mm以下の凹形状のレンズである。マイクロレンズアレイ200のレンズ面が透明基板102に接着されている。凹型レンズ201の最も厚い部分の厚さはマイクロレンズアレイ200の強度と機能及び薄型化要求のバランスを考慮して決定されるのが好ましく、例えば10μm以上50μm以下の間で調整される。本実施形態においては凹型レンズ201の最も厚い部分の厚さは20μmである。
ここで、凹型レンズ201の凹形状のレンズの凹部には高屈折率樹脂が充填されている。このレンズの凹部に充填された高屈折率樹脂により充填部202が形成される。充填部202によって凹型レンズ201と透明基板102とが接着されている。充填部202は少なくとも凹型レンズ201よりも高い屈折率を有する樹脂材料で形成され、例えば光硬化性樹脂等が用いられる。レンズ基板203はその表面に凹型レンズ201が形成される。レンズ基板203は、PET等のフィルム材料が用いられるがガラスや樹脂材料であってもよい。レンズ基板203の厚さについてもマイクロレンズアレイ200の強度と機能及び薄型化要求のバランスを考慮して決定され、5μm以上50μm以下の間で調整される。本実施形態におけるレンズ基板203の厚さは10μmである。
偏光板109は、入射光に対して特定の偏光成分のみを透過させる機能を有する光学部材であって、液晶パネル100とマイクロレンズアレイ200とが貼り合わせられた両側表面に貼り付けられる。スペーサ110は、透明基板101、102間の液晶層103の高さ(セルギャップ)を制御する樹脂粒子で、透明基板101、102間の全範囲に亘り、複数個散在される。
透明基板101、102は大型のマザー基板により多数個取りされる。図2は液晶パネル100のマザー基板の平面図である。マザー基板1000には液晶パネル100が一定の間隔をもって配列されている。液晶パネル100は上記のように各部材が透明基板101及び透明基板102によって挟持される形で形成されており、複数の透明基板101のそれぞれの領域内には、背面側にカラーフィルタ層104、透明電極106および配向膜107が積層形成される。複数の透明基板102のそれぞれの領域内には、前面側にTFT素子108、透明電極106、および配向膜107が積層形成される。そして各透明基板101または102はマザー基板1000から分離切断可能に形成される。
すなわち本実施形態における液晶表示装置は液晶層103、カラーフィルタ層104、ブラックマトリクス105、透明電極106、配向膜107、TFT素子108及びスペーサ110を透明基板101と透明基板102とで挟持する形で形成される液晶パネル100と、マイクロレンズアレイ200と、液晶パネル100の前面側及びマイクロレンズアレイ200の背面側に設けられる偏光板109とで形成される。
次に本実施形態にかかるマイクロレンズアレイ200について詳細に説明する。図3は液晶パネル100に取り付けられる前のマイクロレンズアレイ200の状態を示したものである。図3に示される状態はマイクロレンズアレイ200の流通時の状態でもある。図3によると、固定基板205上に熱剥離接着層204を介してマイクロレンズアレイ200が形成されている。ここで、本実施形態において充填部202は液晶パネル100に接着される際に形成されるため図3には図示されていない。液晶パネル100にマイクロレンズアレイ200を接着する前の流通時に凹型レンズ201に充填部202が形成されていてもよい。
固定基板205は、10μm程度であるために非常に剛性の低いレンズ基板203を平坦に保ち、扱い辛さを解消する目的で用いられるものである。その目的から、固定基板205はレンズ基板203よりも厚いことが好ましく100μm以上であることが望まれるがそれ以下でもよい。また本実施形態においては透明性を有することが望まれる。本実施形態では厚さが200μmのPETフィルムを使用しているが、材料はPETに限定されず例えば他の樹脂やガラスであってもよい。図3に示される状態は主に流通時の状態であるため、固定基板205にPETフィルムを採用すれば筒状に巻いて持ち運ぶことができる。
熱剥離接着層204は加熱すると粘着力が低下する剥離手段を有する層であり、透明性を有する。例えば日東電工株式会社の熱剥離粘着シート、リバアルファ(登録商標)等が挙げられる。本実施形態では120℃弱で粘着力が低下するタイプを用いている。この熱剥離粘着シートは粘着層内にマイクロカプセルを有しており、加熱されると粘着層中のマイクロカプセルが発泡し、粘着層表面に微細な凹凸が生じる。この剥離手段により、加熱前はシート状で被着体と面で接着していたものが点での接着となり接触面積が著しく減少する。この効果によって接着力を短時間で消失させることができる。
流通時のマイクロレンズアレイ200の強度及び製造工程時のマイクロレンズアレイ200の扱い難さを解消するために固定基板205を設けるが、最終的に固定基板205は取り除かなくてはならない。その際にマイクロレンズアレイ200と固定基板205とを接着している接着層の粘着力に逆らって固定基板205を取り除くとレンズ基板203や凹型レンズ201に余分な力が加わり、それらを破損してしまう虞がある。加熱により接着力が低下する熱剥離接着層204を介して固定基板205をマイクロレンズアレイ200に対し固定することにより、このような問題を解決することができる。
次に図4を用いて図3に示す固定基板205付きのマイクロレンズアレイ200の製造方法を説明する。まず、図4(a)に示すように、片面に熱剥離接着層204を介してレンズ基板203が接着された固定基板205の他方の面に、第2の接着層としての熱剥離接着層206を介してキャリア基板207を接着する。熱剥離接着層206は熱剥離接着層204と同様に加熱により接着力が低下する接着層であるが、熱剥離接着層204よりも低い温度で接着力の低下が生じるものである。熱剥離接着層206は例えば100℃以下で接着力の低下が生じることが望ましく本実施形態にかかる熱剥離接着層206は85℃で接着力が消失するものとする。
キャリア基板207はレンズ基板203上に凹型レンズ201を形成する際に、レンズ基板203等の構成部材を確実に固定するための基板であり、固定基板205よりも更に剛性の高い基板であることが望まれる。キャリア基板207は透明性を有する樹脂又はガラス等にけり形成され、厚さは1mm以上である。本実施形態にかかるキャリア基盤207は厚さ3mmのガラス基板をである。
次に、図4(b)に示すようにレンズ基板203上に設けたUV硬化性樹脂層にスタンパ208を押圧する。そしてUV硬化性樹脂層を露光することによって硬化させ、凹型レンズ201を形成する。UV硬化樹脂層は例えばアクリル系樹脂材料からなる。スタンパ208は凹型レンズ201の凹型レンズ形状を転写し得る形状を有する金型である。
次に図4(c)に示すようにスタンパ208を凹型レンズ201から剥離する。この際、レンズ基板203や凹型レンズ201等の各部材が固定基板205及びキャリア基板207に固定されているので、レンズ基板203や凹型レンズ201が破損することなくスタンパ208を剥離することが可能となる。スタンパ208を剥離することによってレンズ基板203や凹型レンズ201に加えられる応力は固定基板205やキャリア基板207に伝達され、緩和されるため、レンズ基板203や凹型レンズ201に生じる歪みを少なく出できる。これにより固定基板205及びキャリア基板207の変形や破損を抑制できる。スタンパ208を剥離したら熱剥離接着層206を85℃に加熱する。
熱剥離接着層206は85℃に加熱されることによって内部の熱発泡剤が図4(d)に示すように発泡し、接着力が消失する。これによりキャリア基板207を固定基板205から剥離することができ、図3に示した固定基板205に固定されたマイクロレンズアレイ200が完成する。固定基板205はレンズ基板203と同様にPETにより構成されているため、キャリア基板207に対して力を加えて固定基板205から剥離すると伸びてしまう虞があり、凹型レンズ201のピッチずれや破損の原因となり得る。本発明の実施の形態では、熱剥離接着層206により固定基板205からキャリア基板207をほとんど力を加えることなく剥離できるため、この問題を解決することができる。
出荷時においては、マイクロレンズアレイ200の扱いやすさを高めるために、固定基板205はレンズ基板203に固定された、図3に示す状態である必要がある。本発明の実施の形態では、熱剥離接着層206の剥離温度を熱剥離接着層204よりも低くすることによって、熱剥離接着層206だけを剥離させ、これによりキャリア基板207のみが剥離するようにしている。前述の通り、本実施形態においては熱剥離接着層206の剥離温度は85℃、熱剥離接着層204の剥離温度は120℃である。
尚、図2に示した液晶パネル100と同様に、当該マイクロレンズアレイ200についても同時に多数個を形成することが可能である。図5にその方法の一例を示す。図5(a)は、図4(c)に示す工程、即ちレンズ形成が完了した状態に対応するものであり、図5では同時多数個形成のために図4よりも大面積での形成が行なわれている。ここで大型スタンパ2080はスタンパ208に対応し、大型凹型レンズ2010は凹型レンズ201に対応し、大型レンズ基板2030はレンズ基板203に対応し、熱剥離接着層2040、2060は熱剥離接着層204、206にそれぞれ対応し、大型固定基板2050は固定基板205に対応し、大型キャリア基板2070はキャリア基板207に対応する。
図5(a)において大型凹型レンズ2010を形成した後、熱剥離接着層2060を85℃に加熱する。すると熱剥離接着層2060は内部の発泡剤が発泡し接着力を失う。これにより、図5(b)に示すように大型キャリア基板2070と大型固定基板2050とが剥離する。更に図5(b)に示すようにマイクロレンズアレイ200毎に切断することによって同時に多数個のマイクロレンズアレイ200を形成することができる。
上記の説明においては、キャリア基板207は最終的に剥離させて凹型レンズ201から固定基板205までを流通時の形態とした。このため流通時の状態はフィルムシート状であるから、巻いて筒状にする等の運搬形態をとることが可能となる。しかしこれに限定されるものではなく、キャリア基板207も接着された状態で流通させることも可能である。その場合はフィルムシート状ではなく板状となり、剛性の面ではより強固な状態となる。また、そのような場合は熱剥離接着層204があれば固定基板205及びキャリア基板207共に剥離させることができるため、固定基板205とキャリア基板207の間に必ずしも剥離手段を設ける必要はない。これらの態様は必要に応じて適宜選択される。
次に図6を用いて図3に示すマイクロレンズアレイ200を、図1に示すように液晶パネル100に接着する方法を説明する。まず図6(a)に示されるように、図3に示された固定基板205に固定されたマイクロレンズアレイ200にキャリア基板210を固定する。キャリア基板210はキャリア基板207と同様にレンズ基板203等の構成部材を確実に固定するための基板であり、固定基板205よりも更に剛性の高い基板であることが望まれる。素材は透明性を有する樹脂やガラス等が用いられ、厚さは1mm以上である。本実施形態においては厚さ3mmのガラス基板を用いる。即ちキャリア基板207とキャリア基板210とには同一のものを用いることもできる。従って、上記した態様の1つである、キャリア基板207も含んだマイクロレンズアレイ200の流通形態であれば、図6(a)に示すキャリア基板210の接着工程は必ずしも必要ではない。
固定基板205とキャリア基板210とは接着層209を介して接着される。接着層209は固定基板205とキャリア基板210とを確実に接着し得るものであって透明性を有するものであればよい。本実施形態においてはこの接着層209としてアクリル系光硬化性樹脂を用いる。
次に図6(b)に示すように、凹型レンズ201の凹部に高屈折率樹脂を充填することにより充填部202を形成した後、凹型レンズ201の凹形状が形成された面を液晶パネル100に接着する。前述の通り充填部202は光硬化性樹脂により構成される。従って当該接着は図6(c)に示されるように充填部202を露光することによって行なう。この時、凹型レンズ201の凹形状の中心部と液晶パネル100内部のブラックマトリクス105やTFT素子108の開口部とをアライメントする。また、露光はキャリア基板210側から行なうが、キャリア基板210から充填部202の間に存在する基板及び接着層はすべて透明性を有するので、キャリア基板210側から充填部202を露光することが可能となる。
また、充填部202を形成する高屈折率樹脂は凹型レンズ201の凹部のみならず凹型レンズの凹形状が形成された面全体に塗布されてもよい。こうすることにより凹型レンズ201と液晶パネル100との間には高屈折率樹脂層が形成されることとなり、両者の接着力をより強固にすることが可能となる。
次に前工程までの成果物のうち、少なくとも熱剥離接着層204の存在する部位を120℃に加熱する。すると図6(d)に示されるように、熱剥離接着層204内部の発泡剤が発泡し、熱剥離接着層204は接着力を消失するので、レンズ基板203と固定基板205とが剥離する。これにより、マイクロレンズアレイ200の接着された液晶パネル100が完成する。
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかるマイクロレンズアレイでは、マイクロレンズアレイの形成及びマイクロレンズアレイの液晶パネルへの取り付けを容易にし、マイクロレンズアレイの薄さによる製造工程上及び流通上の不具合を解決した、好適なマイクロレンズアレイの製造方法及びマイクロレンズアレイを提供することができる。
なお、図4に示すマイクロレンズアレイの形成工程においては、レンズ基板203に固定基板205を接着し、更にキャリア基板207を接着した上でレンズ基板203上に凹型レンズ201を形成し、キャリア基板207を剥離して流通時の状態としたが、レンズ基板203に固定基板205を介さずに直接キャリア基板207を接着した上でレンズ基板203上に凹型レンズ201を形成し、キャリア基板207を剥離した後で固定基板205を接着してもよい。この際に、固定基板205やキャリア基板207等、後から剥離が必要となる接着においては熱剥離接着層により接着することが望ましい。
また、本実施形態においてはマイクロレンズアレイ200を液晶表示装置に適用する例を示したが、液晶表示装置意外にも映写機、投影機、カメラ、顕微鏡及び望遠鏡等の光学機器全般に適用可能である。
実施の形態2.
本実施形態においては、マイクロレンズアレイの流通時の他の態様を説明する。前実施の形態と同様の符号を付す構成については前実施の形態と同一又は相当部を示し、説明を省略する。本発明がマイクロレンズアレイの流通時の状態を考慮していることからもわかる通り、マイクロレンズアレイの製造と当該マイクロレンズアレイを用いた最終的な製品の製造は別々に行なわれることが想定される。実施の形態1においては、図3に示されるマイクロレンズアレイ200における凹型レンズ201の凹形状内部に高屈折率樹脂202は充填されていない。凹型レンズ201の凹形状内部には凹型レンズ201よりも屈折率の高い材料を充填することが好ましく、当該材料の種類が既に決定されている場合には、流通時のマイクロレンズアレイ200の凹形状内部にこの材料が充填されていることが望ましい。
他方、実施の形態1においては液晶パネル100とマイクロレンズアレイ200との接着は充填部202を形成する高屈折率樹脂を硬化させることにより行なわれており、予めマイクロレンズアレイ200の流通状態に高屈折率樹脂を形成しておくことは困難である。なぜなら、流通時に高屈折率樹脂をマイクロレンズアレイ200に形成するためには、凹型レンズ201の凹形状内部に高屈折率樹脂を充填し硬化させなくてはならないが、これでは液晶パネル100との接着のために高屈折率樹脂を用いることが出来ない。
高屈折率樹脂を硬化させた状態でマイクロレンズアレイ200を流通させた場合には、改めて他の接着剤を用いてマイクロレンズアレイ200と液晶パネル100とを接着することは可能であるが、液晶表示装置の薄型化の観点から更に新たな接着層を設けることは好ましくない。本実施形態においてはこの様な問題を解決し、流通時に凹型レンズ201の凹形状内部が、凹型レンズ201とは異なる屈折率を有する樹脂材料で充填されたマイクロレンズアレイを提供するものである。
図7は本実施の形態にかかる流通時のマイクロレンズアレイ300の構成を示すものである。実施の形態1における図3のマイクロレンズアレイ200に加え、凹型レンズ201の凹形状内部に透明樹脂としての半硬化樹脂部302が充填され、更に凹型レンズ201の凹形状が設けられた面全体に半硬化樹脂部302が設けられている。更に半硬化樹脂部302の上からはカバー層301が被せられている。
半硬化樹脂部302は透明性を有し、凹型レンズ201とは異なる屈折率を有する樹脂材料により構成される。更に半硬化樹脂部302を構成する半硬化樹脂の屈折率は凹型レンズ201よりも高いことが好ましい。本実施形態における半硬化樹脂部302は半硬化状態のUV硬化樹脂を用いるが、たとえば熱硬化樹脂等でもよい。半硬化樹脂部302は半硬化状態であるため、適度な粘着性を有し、この粘着性を利用してカバー層301が上から被せられている。
カバー層301は流通時において半硬化樹脂部302を保護するためのシート基板であり、PETフィルムやプラスチックシート等により構成される。特にこのカバー層301は、透明性を有する必要なく、半硬化樹脂部302を保護し流通時において不具合のないものであればよい。
実施の形態1においては、図6(b)においてマイクロレンズアレイ200を液晶パネル100に固定する際に凹型レンズ201の凹形状部分に高屈折率樹脂を充填する工程が必要であったが、本実施形態にかかるマイクロレンズアレイ300を用いれば既に流通時に半硬化樹脂部302が形成されているのでその工程を省略することが可能となる。
マイクロレンズアレイ300のカバー層301及び半硬化樹脂部302以外の構成の製造方法、マイクロレンズアレイ300の液晶パネル100への固定方法は実施の形態1と同様である。
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかるマイクロレンズアレイでは、凹型レンズの凹型形状内に樹脂材料が充填された状態で流通可能であるため、流通後の表示パネルへの固定を容易に行うことができ、凹形状内に充填されている樹脂材料が半硬化状態であるため、この樹脂材料を用いて表示パネルとの接着を行なうことができ、新たな接着層を設けることによって薄型化が損なわれない。
本発明にかかるマイクロレンズアレイを搭載した液晶表示装置の断面図である。 従来技術にかかる液晶表示装置の同時多数個形成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1にかかる固定基板付きマイクロレンズアレイを示す断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる固定基板付きマイクロレンズアレイの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる固定基板付きマイクロレンズアレイの同時多数個形成の製造工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1にかかる固定基板付きマイクロレンズアレイを液晶表示パネルに組み付ける工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態2にかかる固定基板付きマイクロレンズアレイを示す断面図である。 従来技術にかかるマイクロレンズアレイを搭載した液晶表示装置を示す断面図である。
符号の説明
1 偏光フィルム、2 透明基板、3 ブラックマトリクス、
4 カラーフィルタ層、5 透明電極、6 配向膜、7 液晶層、
8 スペーサ、9 配向膜、10 透明電極、11 TFT素子、
12 透明基板、13 偏光フィルム、100 液晶パネル、
101、102 透明基板、103 液晶層、104 カラーフィルタ層、
105 ブラックマトリクス、106 透明電極、107 配向膜、
108 TFT素子、109 偏光板、110 スペーサ、121 リム
122 マイクロレンズアレイ、200 マイクロレンズアレイ、
201 凹型レンズ、202 充填部、203 レンズ基板、
204 熱剥離接着層、205 固定基板、206 熱剥離接着層、
207 キャリア基板、208 スタンパ、209 接着層、
210 キャリア基板、300 マイクロレンズアレイ、301 カバー層、
302 半硬化樹脂部、1000 マザー基板、
2001 マイクロレンズアレイ、2010 大型凹型レンズ、
2030 大型レンズ基板、2040 大型熱剥離接着層、
2050 大型固定基板、2060 大型熱剥離接着層、
2070 大型キャリア基板、2080 大型スタンパ

Claims (20)

  1. 複数のマイクロレンズが形成された第1の透明基板と、
    前記第1の透明基板と第1の接着層を介して接着された第2の透明基板とを備えた表示パネル用マイクロレンズアレイであって、
    前記第1の接着層は所定の温度以上の加熱により剥離する熱剥離接着層である表示パネル用マイクロレンズアレイ。
  2. 前記第2の透明基板は、前記マイクロレンズアレイを表示パネルに接着する場合、又は前記マイクロレンズアレイが表示パネルに接着された後には第1の接着層を加熱することにより前記第1の透明基板から剥離されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
  3. 前記第1の透明基板はフィルム状の素材であり、前記マイクロレンズアレイはシート状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイ。
  4. 前記表示パネルは液晶表示装置用の液晶パネルであることを特徴とする請求1乃至3いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  5. 前記第1の接着層は加熱により発泡する発泡剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  6. 前記第1の接着層は、波長350nm以上400nm以下の光に対して10%以上の透過率を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  7. 前記第1の透明基板の厚さは前記第2の透明基板よりも薄いことを特徴とする請求項1乃至6に記載のマイクロレンズアレイ。
  8. 前記第2の透明基板の厚さが50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7に記載のマイクロレンズアレイ。
  9. 前記第2の透明基板の前記第1の接着層が形成された面とは反対側の面に第2の接着層を介して接着された第3の透明基板を更に有することを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  10. 前記第2の接着層は所定の温度以上の加熱により剥離する熱剥離接着層であることを特徴とする請求項9に記載のマイクロレンズアレイ。
  11. 前記第2の接着層は加熱により発泡する発泡剤を含有することを特徴とする請求項9又は10いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  12. 前記第1の接着層及び前記第2の接着層の接着力が低下する温度がそれぞれ異なることを特徴とする請求項10又は11いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  13. 前記第1の接着層が有する発泡剤及び前記第2の接着層が有する発泡剤が発泡する温度がそれぞれ異なることを特徴とする請求項11に記載のマイクロレンズアレイ。
  14. 前記第1の接着層の接着力が低下する温度は前記第2の接着層の接着力が低下する温度よりも高いことを特徴とする請求項10又は12いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  15. 前記第1の接着層が有する発泡剤が発泡する温度は前記第2の接着層が有する発泡剤が発泡する温度よりも高いことを特徴とする請求項11又は13いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  16. 前記第2の接着層は、波長350nm以上400nm以下の光に対して10%以上の透過率を有することを特徴とする請求項9乃至15いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  17. 前記マイクロレンズは凹状レンズであることを特徴とする請求項1乃至16いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
  18. 前記マイクロレンズが有する凹形状内に当該マイクロレンズと屈折率の異なる透明樹脂が充填されていることを特徴とする請求項17に記載のマイクロレンズアレイ。
  19. 前記凹形状内に充填された透明樹脂上にシート基板が設けられたことを特徴とする請求項18に記載のマイクロレンズアレイ。
  20. 前記透明樹脂はUV硬化樹脂を材料とし、半硬化状態で前記凹形状内に充填されていることを特徴とする請求項18又は19いずれかに記載のマイクロレンズアレイ。
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