JP2006105257A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受すきまの大きさに影響されること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクや発熱量の増加を抑えて早期の焼き付け防止を図り、長期に亘って高い潤滑性を維持可能な転がり軸受を提供する。
【解決手段】各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受2であり、水ポンプは、ハウジング内に回転可能に配置された回転軸に固定されたインペラを備えている。転がり軸受は、ハウジングと回転軸との間に構成され、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部4及び外輪構成部6と、内外輪構成部4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体8とを備えており、内輪構成部及び外輪構成部の少なくとも一方の軌道面4s(6s)が非真円形状を成し、且つ、水ポンプに組み込んだ状態において、当該転がり軸受には所定の予圧が付加されている。
【選択図】 図1
【解決手段】各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受2であり、水ポンプは、ハウジング内に回転可能に配置された回転軸に固定されたインペラを備えている。転がり軸受は、ハウジングと回転軸との間に構成され、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部4及び外輪構成部6と、内外輪構成部4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体8とを備えており、内輪構成部及び外輪構成部の少なくとも一方の軌道面4s(6s)が非真円形状を成し、且つ、水ポンプに組み込んだ状態において、当該転がり軸受には所定の予圧が付加されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受に関する。
各種自動車には、エンジンを冷却するためのラジエータが搭載されており、ラジエータからエンジン内に冷却水用パイプが配設されていると共に、冷却水用パイプには、水ポンプが連通接続されている。この場合、水ポンプを駆動することにより、ラジエータから冷却水用パイプを通って冷却水をエンジン内に循環させることができ、その際に冷却水により熱を奪うことでエンジンの温度上昇を一定温度内に保つことができる。
水ポンプとしては種々のタイプのものが知られているが、例えば図5(a)に示す水ポンプ10は、ハウジング12内に回転可能に配置された回転軸14と、回転軸14の一端側に固定されたプーリ16と、回転軸14の他端側に固定されたインペラ(羽根車)18とを備えており、ハウジング12と回転軸14とは転がり軸受2を介して相対回転可能に連結されている。
この構成において、ハウジング12は、その外周面に一体的に突設されたフランジ20を介してエンジンのシリンダブロック(図示しない)に固定されている。この場合、プーリ16に巻き掛けられたベルト(図示しない)をエンジンの駆動力を利用して走行させることにより、ハウジング12に対して回転軸14を所定方向に回転させることができる。これによりインペラ18を回転させることが可能となり、その結果、ラジエータから冷却水用パイプ(図示しない)を通って冷却水をエンジン内に循環させることができる(例えば、特許文献1参照)。
なお、ハウジング12と回転軸14との間には、メカニカルシール22が設けられており、冷却水をエンジン内に循環させている間(エンジン駆動中)、例えばウォータージャケット(図示しない)を通った熱水(水蒸気)が転がり軸受2に向けて漏出するのを防止している。また、メカニカルシール22と転がり軸受2との間には、スリンガ24が回転軸14に固定されていると共に、スリンガ24の外周縁に対向したハウジング12には、給排孔26が貫通されている。これによりメカニカルシール22から漏出した熱水(水蒸気)は給排孔26を通して外部に排出される。
このような冷却水の循環中、ハウジング12と回転軸14とを相対回転させる転がり軸受2として複列玉軸受2が適用されており、複列玉軸受2は、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部4及び外輪構成部6と、内外輪構成部4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体8とを備えている(ボール&ボール仕様)。なお、この構成例において、内輪構成部4は、回転軸14の外周に一体的に形成されている。具体的に説明すると内輪構成部4は、回転軸14の軸本体14aの外周を部分的に大径化して形成されている。一方、外輪構成部6は、ハウジング12の内周面に別体の外輪6を接着固定することで構成されている。
また、複列玉軸受2の両側には、シールリング(シール、シールド)28が設けられており、これにより、軸受内に封入した潤滑剤(例えば、グリース、油)が外部に漏洩したり、外部から異物(例えば、水、塵埃)が軸受内に浸入するのを防止することができる。
また、複列玉軸受2の両側には、シールリング(シール、シールド)28が設けられており、これにより、軸受内に封入した潤滑剤(例えば、グリース、油)が外部に漏洩したり、外部から異物(例えば、水、塵埃)が軸受内に浸入するのを防止することができる。
ところで、転がり軸受2には、例えばハウジング12と回転軸14との間の取付環境や軸受運転時の熱膨張などを考慮して、内外輪構成部4,6と転動体8との間に所定量の軸受すきま(ラジアル内部すきま、アキシアル内部すきま、角すきま)が構成されている。この場合、軸受すきまが大き過ぎると、それに応じてハウジング12と回転軸14との相対位置や相対角度が変化し、その結果、インペラ18がガタ付いたり揺動(傾斜)して、トルク制御を安定して行うことが困難になってしまう場合がある。
また、メカニカルシール22の性能維持、プーリ16に掛け渡されたベルトの異音発生防止や磨耗防止などを図るために、転がり軸受2のアキシアル内部すきまを抑える必要がある。この場合、例えば特許文献1(図5(a))のようなボール&ボール仕様の転がり軸受2では、所定の接触角を設けて背面組合せ(DB)とすることにより対応が比較的容易であるが、ボール&ローラ仕様の軸受では、玉列側でアキシアル方向の動きを規制する必要がある。
このような場合、例えば特許文献2に示すように、軸受すきまを極力小さく設定する構成も考えられるが、このような構成で水ポンプ10を動作すると、転がり軸受2の温度上昇に伴って早期に焼き付きが生じる場合がある。
具体的に説明すると、転がり軸受2の運転中には転動体8と内輪構成部4と外輪構成部(外輪)6との間の温度差が生じるが、その際、例えば転動体8の温度が最も高く、内輪構成部4がそれに次ぎ、外輪構成部(外輪)6が最も低い温度になると、外輪構成部(外輪)6よりもその内部の部品(転動体8、内輪構成部4)の温度が高くなる。このとき部品の熱膨張は外輪構成部(外輪)6よりも大きな値となるため、例えば特許文献2のように軸受すきまを負の値に設定すると、内外輪構成部4,6と転動体8との間の接触面圧が高くなり、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。このような焼き付きを防止するためには、例えば運転条件(例えば、プーリ16の回転速度)や使用条件(例えば、転がり軸受2のすきま設定値)が制限されてしまうため、満足できるものでは無い。
具体的に説明すると、転がり軸受2の運転中には転動体8と内輪構成部4と外輪構成部(外輪)6との間の温度差が生じるが、その際、例えば転動体8の温度が最も高く、内輪構成部4がそれに次ぎ、外輪構成部(外輪)6が最も低い温度になると、外輪構成部(外輪)6よりもその内部の部品(転動体8、内輪構成部4)の温度が高くなる。このとき部品の熱膨張は外輪構成部(外輪)6よりも大きな値となるため、例えば特許文献2のように軸受すきまを負の値に設定すると、内外輪構成部4,6と転動体8との間の接触面圧が高くなり、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。このような焼き付きを防止するためには、例えば運転条件(例えば、プーリ16の回転速度)や使用条件(例えば、転がり軸受2のすきま設定値)が制限されてしまうため、満足できるものでは無い。
更に、水ポンプ10に組み込まれる転がり軸受2には、例えばプーリ16に掛け渡されたベルト(図示しない)の張力により、回転軸14を傾斜させようとする大きなモーメント荷重が加わる場合がある。このようなモーメント荷重は、転がり軸受2の中心とプーリ16の中心とのオフセット量が増加するに従って大きくなる。この場合、回転軸14やインペラ18の回転動作を安定して行うために、転がり軸受2には高いモーメント剛性が要求される。
この要求に応える構成として、例えば特許文献1の発明では3点接触玉軸受を適用すると共に、例えば特許文献3の発明では4点接触玉軸受を適用することにより、所定のモーメント剛性を確保している。
しかし、内外輪構成部4,6と転動体8とを3点又は4点で接触させる構成では、接触点の数が増えるに従ってトルクや発熱量が増加し、このトルクや発熱量の増加に伴って転がり軸受自体の温度も上昇する。転がり軸受2の温度が上昇すると、上述したように内外輪構成部4,6と転動体8との間の接触面圧が高くなり、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。また、転がり軸受2の温度上昇は、封入された潤滑剤の劣化(潤滑性の低下)を促進し、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。
特開2003−65287号公報
特開2003−49837号公報
特開2003−343575号公報
しかし、内外輪構成部4,6と転動体8とを3点又は4点で接触させる構成では、接触点の数が増えるに従ってトルクや発熱量が増加し、このトルクや発熱量の増加に伴って転がり軸受自体の温度も上昇する。転がり軸受2の温度が上昇すると、上述したように内外輪構成部4,6と転動体8との間の接触面圧が高くなり、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。また、転がり軸受2の温度上昇は、封入された潤滑剤の劣化(潤滑性の低下)を促進し、その結果、早期に焼き付きが生じる場合がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、軸受すきまの大きさに影響されること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクや発熱量の増加を抑えて早期の焼き付け防止を図り、長期に亘って高い潤滑性を維持可能な転がり軸受を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受であって、水ポンプは、ハウジング内に回転可能に配置された回転軸と、回転軸の一端側に固定されたプーリと、回転軸の他端側に固定されたインペラとを備えており、回転軸とハウジングとは転がり軸受を介して相対回転可能に連結されていると共に、転がり軸受は、ハウジングと回転軸との間に構成され、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部及び外輪構成部と、内外輪構成部の軌道面間に転動自在に配列された複数の転動体とを備えており、内輪構成部及び外輪構成部の少なくとも一方の軌道面が非真円形状を成し、且つ、水ポンプに組み込んだ状態において、当該転がり軸受には所定の予圧が付加されている。
この発明では、複数の転動体において内外輪構成部に対して接触面圧を有する転動体と接触面圧の無い転動体とが混在することにより、転がり軸受は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となる。この場合、非真円形状の軌道面は、所定の非真円量に対応した多角形状の歪円を成している。また、非真円量は、多角形状の歪円に対する外接円径から内接円径を減じて算出される。
この発明では、複数の転動体において内外輪構成部に対して接触面圧を有する転動体と接触面圧の無い転動体とが混在することにより、転がり軸受は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となる。この場合、非真円形状の軌道面は、所定の非真円量に対応した多角形状の歪円を成している。また、非真円量は、多角形状の歪円に対する外接円径から内接円径を減じて算出される。
本発明によれば、内輪及び外輪の少なくとも一方の軌道面が非真円形状を成し、且つ、水ポンプに組み込んだ状態において、当該転がり軸受に所定の予圧が付加されるため、軸受すきまの大きさに影響されること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクや発熱量の増加を抑えて早期の焼き付け防止を図り、長期に亘って高い潤滑性を維持可能な転がり軸受を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受について添付図面を参照して説明する。
本実施の形態では、各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受を想定する。なお、水ポンプ10は、図5(a)に示した構成例と同一であるため、以下では相違する部分の説明に止める。
本実施の形態では、各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受を想定する。なお、水ポンプ10は、図5(a)に示した構成例と同一であるため、以下では相違する部分の説明に止める。
本実施の形態に係る転がり軸受2は、水ポンプ10のハウジング12と回転軸14との間に構成されており、図1(a),(b)の基本構成図に示すように、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部4及び外輪構成部6と、内外輪構成部4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体(例えば、玉、ころ)8とを備えている。
なお、基本構成図では、内輪構成部4は単体としての内輪4を想定し、一方、外輪構成部6は単体としての外輪6を想定している。
なお、基本構成図では、内輪構成部4は単体としての内輪4を想定し、一方、外輪構成部6は単体としての外輪6を想定している。
このような転がり軸受2において、内輪構成部(内輪)4及び外輪構成部(外輪)6の少なくとも一方の軌道面4s(6s)が非真円形状を成し、且つ、水ポンプ10に組み込んだ状態において、当該転がり軸受2には所定の予圧が付加されている。
本実施の形態では一例として、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sが非真円形状を成しており、当該軌道面4sは、所定の非真円量に対応した多角形状の歪円を成している。なお、多角形状の歪円としては、例えば等径の三角形状や四角形状、或いはそれ以上の角度を成す形状(例えば、五角形状、六角形状など)を適用することができるが、本実施の形態では等径の三角形状の歪円を成す軌道面4sを想定する。
本実施の形態では一例として、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sが非真円形状を成しており、当該軌道面4sは、所定の非真円量に対応した多角形状の歪円を成している。なお、多角形状の歪円としては、例えば等径の三角形状や四角形状、或いはそれ以上の角度を成す形状(例えば、五角形状、六角形状など)を適用することができるが、本実施の形態では等径の三角形状の歪円を成す軌道面4sを想定する。
この場合、非真円量は、多角形状(等径の三角形状)の歪円に対する外接円径Routから内接円径Rinを減じて算出される。なお、非真円量は、転がり軸受2の使用環境や使用目的に応じて任意に設定することができるため、ここでは特に数値限定はしない。また、符号Rbで示す円径は、外接円径Rout及び内接円径Rinを規定する際の基準円径である。
このような構成によれば、複数の転動体8において内外輪構成部(内外輪)4,6に対して接触面圧を有する転動体8と接触面圧の無い転動体8とが混在することになり、転がり軸受2は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となる。
このような構成によれば、複数の転動体8において内外輪構成部(内外輪)4,6に対して接触面圧を有する転動体8と接触面圧の無い転動体8とが混在することになり、転がり軸受2は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となる。
かかる状態は転がり軸受2の動作中にも維持され、内外輪構成部(内外輪)4,6が転動体8を介して相対的に回転する際、内外輪構成部(内外輪)4,6に対して接触面圧を有する転動体8の位置が周方向に変化することになるが、その間、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sの外接円径Routは常にいずれかの転動体8に接した状態を維持する。
以上、本実施の形態によれば、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sを非真円形状とすることにより、転がり軸受2の周方向に沿って部分的に予圧を付加した状態にすることができるため、軸受すきまの大きさに影響されること無くラジアル荷重及びアキシアル荷重並びにモーメント荷重に対して高いモーメント剛性を有する転がり軸受2を実現することができる。例えば図1(b)に示すように、転がり軸受2の中心Tからオフセットされた位置にラジアル荷重Frが加わってもモーメント剛性の変化を小さくすることができる。この結果、転がり軸受2を安定して且つ滑らかに動作させることが可能となり、トルク制御を安定して行うことが可能となる。
更に、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sを非真円形状とし部分的な予圧付加状態とすることにより、軸受すきまの大きさを問わず(軸受すきまが大きくても小さくても)、内輪構成部(内輪)4の軸線に対する外輪構成部(外輪)6の軸線の傾斜を(可能な限り)無くすることができる。この結果、内外輪構成部(内外輪)4,6の軌道面4s,6sと転動体8との間に潤滑剤を引き込み易くなり、潤滑不良による焼き付きも生じない。特に、耐熱性の潤滑剤を用いた転がり軸受2では、低温化での潤滑剤の流動性が低くなるが、この場合でも焼き付きが生じることはない。
ここで、三角形状の歪円を成す軌道面4sを有する内輪4を備えた転がり軸受2のモーメント剛性の計算結果について説明する。
この計算では呼び番号(開放形)6203の転がり軸受2を適用する。この場合、転がり軸受2は、内径が17mm、外径が40mm、幅が12mmであり、玉径は6.747mm、玉数は8個に設定した。また、ラジアル荷重Fr(図1(b))は1000Nとした。
この計算では呼び番号(開放形)6203の転がり軸受2を適用する。この場合、転がり軸受2は、内径が17mm、外径が40mm、幅が12mmであり、玉径は6.747mm、玉数は8個に設定した。また、ラジアル荷重Fr(図1(b))は1000Nとした。
軸受すきま:0、非真円量:0のモーメント剛性比を1(基準仕様M)としたときの非真円量とモーメント剛性比との関係(真円でラジアル内部すきま0mmを基準)では、例えば図2に示すように、ラジアル内部すきま(軸受すきま)が正の値(例えば、0.01mm、0.02mm)でも歪量(非真円量)がある程度大きければ、基準仕様M(真円で軸受すきま:0mm、モーメント剛性比:1)の転がり軸受よりも高いモーメント剛性比が得られることが分る。
今回の計算結果では、ラジアル内部すきま:0.01mmで、非真円量:0.03mm以上、及び、ラジアル内部すきま:0.02mmで、非真円量:0.04mm以上の歪量(非真円量)があれば、基準仕様Mよりも大きなモーメント剛性比が得られた。なお、モーメント荷重は1Nmとしている。
今回の計算結果では、ラジアル内部すきま:0.01mmで、非真円量:0.03mm以上、及び、ラジアル内部すきま:0.02mmで、非真円量:0.04mm以上の歪量(非真円量)があれば、基準仕様Mよりも大きなモーメント剛性比が得られた。なお、モーメント荷重は1Nmとしている。
また、非真円量を一定(例えば、0.02mm、0.04mm)にしてモーメント荷重を変化させた場合、例えば図3に示すように、非真円形状の軌道面4sを有する転がり軸受2(軸受すきま:0mm)は、そのモーメント剛性比の変化が基準仕様(非真円量:0mm)に比べて小さくなっていることが分る。即ち、モーメント荷重の変化に鈍感になっている。これにより、非真円形状の軌道面4sを有する転がり軸受2は、その取付誤差や取付制限などから生じるオフセット荷重Fr(図1(b))に対してモーメント剛性比が変化し難いという意味で、基準仕様よりも高いロバスト性(例えば、安定性、最適性)を有していることが分る。
更に、モーメント荷重を変化させた際の4点接触軸受と本実施の形態の非真円軸受(軸受すきま:0.02mm、非真円量:0.04mm、転動体径:6.35mm)との軸受内部発熱比については、例えば図4に示すように、非真円軸受は4点接触軸受に比べて軸受内部の発熱量を小さくすることができる。この結果、従来に比べて、本実施の形態の転がり軸受2では、潤滑剤の劣化(潤滑性の低下)を生じさせることが無いと共に、早期に焼き付きが生じることも無い。なお、かかる比較では、回転数:12000rpm、軸受温度:120℃に設定している。
このような転がり軸受2を組み込んだ水ポンプ10(図5)によれば、水ポンプ10の運転中、水ポンプ10(図5(a))のハウジング12と回転軸14との相対位置や相対角度を変化させること無く、インペラ18を安定して且つ滑らかに回転させることができる。
また、内輪構成部(内輪)4の軌道面4sを非真円形状にして、転がり軸受2の周方向に沿って部分的に予圧を付加した状態にしたことにより、軸受すきまの大きさを問わずラジアル荷重及びアキシアル荷重並びにモーメント荷重に対して高いモーメント剛性を確保することが可能になる。この場合、例えばプーリ16に掛け渡されたベルト(図示しない)の張力により転がり軸受2の中心Tからオフセットされた位置にラジアル荷重Frが加わっても(図1(b))、モーメント剛性の変化を小さくすることができるため、転がり軸受2を安定して且つ滑らかに動作させることが可能となる。この結果、水ポンプ10を安定して且つ滑らかに動作させることができる。
更に、アキシアル内部すきまを小さくすることにより、転がり軸受2の高いモーメント剛性を確保しつつ、同時にメカニカルシール22の耐水性能を維持向上させることができる。この結果、エンジン駆動中に例えばウォータージャケット(図示しない)を通った熱水(水蒸気)が転がり軸受2に向けて漏出するといった不具合の発生を抑制することが可能となる。
更にまた、本実施の形態の転がり軸受2は、非真円軸受は4点接触軸受に比べて軸受トルクを小さくすることができるため(図4)、運転中の転がり軸受2の発熱量を軽減することができる。この結果、従来の転がり軸受に比べて、潤滑剤の劣化(潤滑性の低下)を生じさせることが無いと共に、早期に焼き付きが生じることも無い。これにより、水ポンプ10(回転軸14、インペラ18)の回転安定性及び円滑性を長期に亘って確保することが可能となる。更に、転がり軸受2の軸受トルクを小さくすることにより、水ポンプ10の消費馬力の増大を抑えることも可能となる。
なお、上述した実施の形態において、転がり軸受2の種類については特に限定しなかったが、単列及び複列の軸受にも本発明を適用することができる。また、上述した実施の形態では等径の三角形状の歪円を成す軌道面4sを想定したが、当該内輪構成部(内輪)4の軌道面4sに代えて外輪構成部(外輪)6の軌道面6sを非真円形状にしても良いし、或いは、内外輪構成部(内外輪)4,6の軌道面4s,6sの双方を非真円形状にしても上記同様の効果を実現することができる。
また、上述した実施の形態において、水ポンプ10に組み込まれた転がり軸受2は、内輪構成部4が回転軸14の外周に一体的に形成された構成(図5(a))を想定したが、これに限定されることは無く、例えば図5(b)に示すように、内輪構成部4を回転軸14とは別体の内輪4で構成しても良い。この場合、内輪4は、回転軸14(軸本体14a)の外周面に接着固定すれば良い。なお、内輪4の構成は上述した内輪構成部4の場合と同様であるため、その説明は省略する。
また、例えば内輪構成部4を回転軸14の外周に一体的に形成すると共に、外輪構成部6をハウジング12の内周に一体的に形成した転がり軸受や、内輪構成部4を回転軸14とは別体の内輪4で構成すると共に、外輪構成部6をハウジング12の内周に一体的に形成した転がり軸受にも上述した実施の形態の構成を適用することができる。
2 転がり軸受
4 内輪構成部(内輪)
4s 内輪構成部(内輪)の軌道面
6 外輪構成部(外輪)
6s 外輪構成部(外輪)の軌道面
8 転動体
10 水ポンプ
12 ハウジング
14 回転軸
16 プーリ
18 インペラ
20 フランジ
22 メカニカルシール
24 スリンガ
26 給排孔
28 シールリング
4 内輪構成部(内輪)
4s 内輪構成部(内輪)の軌道面
6 外輪構成部(外輪)
6s 外輪構成部(外輪)の軌道面
8 転動体
10 水ポンプ
12 ハウジング
14 回転軸
16 プーリ
18 インペラ
20 フランジ
22 メカニカルシール
24 スリンガ
26 給排孔
28 シールリング
Claims (4)
- 各種自動車のエンジンを冷却するための冷却水を循環させる水ポンプに組み込まれた転がり軸受であって、
水ポンプは、ハウジング内に回転可能に配置された回転軸と、回転軸の一端側に固定されたプーリと、回転軸の他端側に固定されたインペラとを備えており、回転軸とハウジングとは転がり軸受を介して相対回転可能に連結されていると共に、
転がり軸受は、ハウジングと回転軸との間に構成され、相対的に回転可能に対向配置された内輪構成部及び外輪構成部と、内外輪構成部の軌道面間に転動自在に配列された複数の転動体とを備えており、
内輪構成部及び外輪構成部の少なくとも一方の軌道面が非真円形状を成し、且つ、水ポンプに組み込んだ状態において、当該転がり軸受には所定の予圧が付加されていることを特徴とする転がり軸受。 - 複数の転動体において内外輪構成部に対して接触面圧を有する転動体と接触面圧の無い転動体とが混在することにより、転がり軸受は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 非真円形状の軌道面は、所定の非真円量に対応した多角形状の歪円を成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり軸受。
- 非真円量は、多角形状の歪円に対する外接円径から内接円径を減じて算出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転がり軸受。
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2004
- 2004-10-05 JP JP2004292083A patent/JP2006105257A/ja active Pending
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