JP2006104649A - 棒状予備賦形物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プリフォームのジョイント部に形成される空隙に補強材として充填される棒状予備賦形物であって、該棒状予備賦形物は強化繊維からなる織物基材で構成され、該基材が折り畳まれていることを特徴とする棒状予備賦形物。
【選択図】図3
Description
日本規格協会著「次世代複合材料技術ハンドブック」 日本規格協会 1990年7月31日(第578−579頁、図4.4.37)
(1)プリフォームのジョイント部に形成される空隙等に補強材として充填される棒状予備賦形物であって、該棒状予備賦形物は強化繊維からなる織物基材で構成され、該基材が折り畳まれていることを特徴とする棒状予備賦形物。
(2)前記織物基材の端部が、棒状予備賦形物の内部になるように折り込まれていることを特徴とする前記(1)に記載の棒状予備賦形物。
(3)前記織物基材が、一方向織物基材であることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
(4)前記ジョイント部に形成される空隙の延在方向と前記一方向織物基材の経糸方向とが一致し、かつ該一方向織物基材の緯糸方向に3回以上折り畳まれた断面形状を有することを特徴とする前記(3)に記載の棒状予備賦形物。
(5)前記棒状予備賦形物の繊維体積含有率Vpfが30%〜70%の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
(6)前記織物基材の少なくとも片面に接着性のある材料が接着してなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
(7)前記接着性のある材料が粒子状の樹脂であることを特徴とする前記(6)に記載の棒状予備賦形物。
(8)前記接着性のある材料が織物基材の片側表面にのみ接着してなり、前記棒状予備賦形物の外表面に該材料が接着された面がくることを特徴とする前記(6)または(7)のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
(9)前記接着性のある材料の重量が織物基材を構成する強化繊維の100重量部に対して1〜20重量部の範囲にあることを特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載される棒状予備賦形物であって、プリフォームのジョイント部に形成される空隙に補強材として充填されることを特徴とする空隙部充填用棒状予備賦形物。
(11)前記プリフォームがストリンガを形成するものであることを特徴とする前記(10)に記載の空隙部充填用棒状予備賦形物。
(12)ジョイント部等に前記(1)〜(9)のいずれかに記載の棒状予備賦形物を配置したことを特徴とするプリフォーム。
(13)ジョイント部等に前記(1)〜(9)のいずれかに記載の棒状予備賦形物を有することを特徴とする成形品。
(14)強化繊維からなる織物基材で構成される棒状予備賦形物の製造方法であって、製造工程が少なくとも下記[1]〜[3]の3工程を有することを特徴とする棒状予備賦形物の製造方法。
[1]織物基材の折り畳み工程
[2]織物基材の加熱賦形工程
[3]織物基材の冷却工程
(15)織物基材として少なくとも片面に接着性のある材料が接着したものを用い、前記の加熱賦形工程では引抜賦形用のダイを用い、該ダイが前記接着性のある材料と離型性を有することを特徴とする前記(14)に記載の棒状予備賦形物の製造方法。
試験としてはVARTM成形方法を用いて、基材に樹脂を含浸させ含浸距離、含浸時間、樹脂粘度、樹脂圧力を測定した。
1.折り畳み工程31
基材を折り曲げ、折り畳みまたは部分的に丸めて基材端部が棒状予備賦形物の内部になるようにする。また、基材の表面に粒子状の樹脂が付着した面がくるために基材を3回以上折り畳む折り畳み工程。
2.加熱賦形工程32
前記記載の折り畳んだ基材を加熱したダイ内で圧縮しながら通過させる、または、間欠式の金型内で加熱圧縮して所定断面形状の棒状予備賦形物に賦形する加熱賦形工程。この工程においては、加熱温度は前記記載の粒子状樹脂の軟化温度であるTgより5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高ければ、さらに好ましい。加熱賦形する金型、ダイの表面は粒子状の樹脂と離型性を有した材質であることが好ましい。
3.冷却工程33
前記加熱賦形工程で所定断面形状、所定強化繊維体積率に賦形された棒状予備賦形物を冷却し、粒子状の樹脂を固形化することで形状固定する冷却工程。また前記記載1.折り畳み工程の前に以下の4.スリット工程が入っていても良い。該冷却工程では粒子状の樹脂のTgより低い温度で冷却され、同時に圧縮力を受けていることが好ましいが、加熱賦形工程後にすみやかにTg以下になれば圧縮力を受けなくても良い。
Vpf=F×L/ρ/S/100(%)
F:強化繊維目付(g/m2)
L:一方向基材の幅(cm)
ρ:一方向織物基材1cm3辺りの強化繊維重量(g/cm2)
S:一方向織物基材が通過可能な最終断面形状となるダイ内の空間断面積(cm2)
上記の測定方法の他の方法として、一方向織物基材の重量を測定し、密度、断面積を用いて上式と同様に除法により算出しても良い。かかる目付F及び基材幅Lの測定はJIS R 7602に準拠する。密度は炭素繊維の場合はJIS R 7603に準拠する。それ以外の繊維をアルキメデス法で測定する場合は繊維との濡れ性(悪い場合は気泡を噛み込み易い)や繊維の溶解性を考慮して溶媒を選択し測定する。また、Vpfは30〜70%の間にあることが好ましく、さらに好ましくは35〜65%の間である。Vpfが70%を超えるとダイと繊維が直接接触し、加熱賦形工程のダイの前後で糸切れが発生しやすくなる。また、30%より低い場合はダイの断面積を充填することが出来なくなる。該1.〜3.の工程を経て得られた該棒状予備賦形物は様々なプリフォームの空隙充填材として用いることができ、断面形状もダイの断面に依存しほぼ任意の形状にすることができる。ただし、一方向織物基材を用いる場合は該一方向織物基材の厚さより狭い空隙の形状に賦形することが困難になるため、割型を用いて、型同士の隙間を広げてやることで略ダイの断面形状品を得ることができる。
4.スリット工程34
基材を必要幅にカットし、ある断面に投入する繊維量を調整する基材スリット工程。
前記冷却工程では棒状予備賦形物の断面形状を固定するために、粒子状の樹脂のTgより低い温度で冷却され、同時に圧縮力を受けていることが好ましいが、加熱賦形工程後にすみやかにTg以下なれば圧縮力を受けなくても良い。
織物基材としてフィラメント数が24,000本、繊度が1,030テックス、引張強度が5.8GPa、引張弾性率が290GPa、サイジング付着量が0.5重量%、撚数が実質的に零回の炭素繊維を縦糸とし、縦糸補助糸として22.5デシテックスのカップリング剤を付着させたガラス繊維糸に精練加工を施した17デシテックスのナイロン66フィラメント糸を撚数250回/mでカバーリング(被覆)したカバーリング糸、横糸として精錬加工を施した撚数が実質的に零回の17デシテックスのナイロン66フィラメント糸を用い、炭素繊維、補助糸の縦糸密度が各々1.84本/cmで、横糸密度が3本/cmの炭素繊維目付が190g/m2、炭素繊維密度が1.8g/m2の一方向織物基材を用いた。この織物基材の上面にTg=65℃、平均径120ミクロンの粒子27g/m2を均一に散布し、200℃の加熱によって織物基材表面に接着させ織物基材を作成した。かかる基材を80mm幅になるようにスリットし、前記80mm幅の基材を用いて引抜き賦形を行った。手順は以下の通りである。紙管に巻かれた基材が基材道を通って基材両端を基材幅方向の中心線と一致するように折り畳まれ、さらに、基材の両端部が棒状予備賦形物の内部になるように折り畳まれた。その後、80±5℃に加熱された長さ60mmの楔形断面(ここでは横13mm、高さ6.5mmからR6.5の扇形を除いた略三角形断面)のダイ内を1mm/secで通過させた。ダイはSS400製で表面にフッ素樹脂で離型処理(ダイフリー:ダイキン工業)を施した。その後、前記ダイと同断面形状のダイで50℃以下になるまで冷却され棒状予備賦形物を得た。
実施例1と同じ一方向織物基材を用いて、織物基材の片端より繊維配向方向に対してほぼ並行に丸めて螺旋断面形状との棒状物を得た。その後、実施例1と同様に加熱された楔形断面のダイ内を1mm/secで通過させたところ、表面にある端部の繊維がダイの入り口で切れて大量に毛羽が発生し、賦形することが困難であった。
比較例1と同様にして、織物基材の片端より繊維配向方向に対してほぼ並行に丸めて螺旋断面形状の棒状物を得た。その後、棒状物よりやや長い楔形断面の雌型の金型内に棒状物を配置し、上からCAP(Al製の平板:1100mm×30mm×5mm)を被せて0.1MPa(大気圧)相当の重りをCAP上に乗せ80±5℃で1分間加熱賦形、脱型した。加熱前は前記雌型と雄型の間にクリアランスが観察されたが、加熱後は型が閉じられていた。その後、実施例1と同様手順でVARTM成形を行い、得られた繊維強化プラスチックの断面を顕微鏡で観察したところ螺旋断面形状の中心部に未含浸部が観察された。
実施例1と同様の炭素繊維を使用し、ストランド15本(1.84(本/cm)×80mm)、打ち込み角度5°になるようにブレード織りの棒状予備賦形物を製造した。実施例1と同様の手順でVARTM成形を行い、得られた繊維強化プラスチックの断面を顕微鏡で観察したところ、楔形断面の頂点部分に樹脂リッチが観察され、樹脂リッチ部にボイドが観察された。
12:水平部材の支持部材
13:楔形の空隙
21:基材端部より丸める方法
22:3回以上折り畳む方法
23:連続強化繊維束を引き揃える方法
24:3回以上折り畳んだ断面
25:螺旋形状断面
26:隙間
27:連続強化繊維束
28:一体化
31:折り畳み工程
32:加熱賦形工程
33:冷却工程
34:スリッター工程
41:一方向織物基材
42:強化繊維
43:細い横糸
44:粒子
45:縦糸方向補助糸
Claims (15)
- プリフォームのジョイント部に形成される空隙等に補強材として充填される棒状予備賦形物であって、該棒状予備賦形物は強化繊維からなる織物基材で構成され、該基材が折り畳まれていることを特徴とする棒状予備賦形物。
- 前記織物基材の端部が、棒状予備賦形物の内部になるように折り込まれていることを特徴とする請求項1に記載の棒状予備賦形物。
- 前記織物基材が、一方向織物基材であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
- 前記ジョイント部に形成される空隙の延在方向と前記一方向織物基材の経糸方向とが一致し、かつ該一方向織物基材の緯糸方向に3回以上折り畳まれた断面形状を有することを特徴とする請求項3に記載の棒状予備賦形物。
- 前記棒状予備賦形物の繊維体積含有率Vpfが30%〜70%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
- 前記織物基材の少なくとも片面に接着性のある材料が接着してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
- 前記接着性のある材料が粒子状の樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の棒状予備賦形物。
- 前記接着性のある材料が織物基材の片側表面にのみ接着してなり、前記棒状予備賦形物の外表面に該材料が接着された面がくることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
- 前記接着性のある材料の重量が織物基材を構成する強化繊維の100重量部に対して1〜20重量部の範囲にあることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の棒状予備賦形物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載される棒状予備賦形物であって、プリフォームのジョイント部に形成される空隙に補強材として充填されることを特徴とする空隙部充填用棒状予備賦形物。
- 前記プリフォームがストリンガを形成するものであることを特徴とする請求項10に記載の空隙部充填用棒状予備賦形物。
- ジョイント部等に請求項1〜9のいずれかに記載の棒状予備賦形物を配置したことを特徴とするプリフォーム。
- ジョイント部等に請求項1〜9のいずれかに記載の棒状予備賦形物を有することを特徴とする成形品。
- 強化繊維からなる織物基材で構成される棒状予備賦形物の製造方法であって、製造工程が少なくとも下記[1]〜[3]の3工程を有することを特徴とする棒状予備賦形物の製造方法。
[1]織物基材の折り畳み工程
[2]織物基材の加熱賦形工程
[3]織物基材の冷却工程 - 織物基材として少なくとも片面に接着性のある材料が接着したものを用い、前記の加熱賦形工程では引抜賦形用のダイを用い、該ダイが前記接着性のある材料と離型性を有することを特徴とする請求項14に記載の棒状予備賦形物の製造方法。
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