JP2006104427A5 - - Google Patents

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燻焼式炭焼き窯
本発明は各種の炭焼き窯の中の方式に関するものである。
炭は古来から貴重な熱源として大切に利用されてきた。石油エネルギー資源にとって変わられ、約50年前の木炭全盛時代の面影は微塵も無いのが今日の姿である。然し、古来から伝わる芸術的とも言える伝統文化である。営々と炭の生産文化を護り炭を作り続ける人々と、脈々と炭の良さにこだわり続けて利用する人々が絶えることなく続いているのも現実である。更にはこの時期にあって炭の様々な側面が見直され、燃料以外の利用にも脚光が集まっている。特に水質浄化、緑化を始めとする環境保全事業や、農林水産業、工業分野から家庭用浄水剤、脱臭剤、家庭菜園材へとその特性を活かした活用は大きく進化しつつある。
昨今、炭焼きの副産物としての木酢液や竹酢液等が広く応用利用されるようになっている。中にはこれらの液を確保する目的の炭焼きも見られる始末である。炭焼きの伝統を、そして利用の本流を目指す者としては些かと言う感もあるが、時代の流れと、利用されて始めて価値観が生まれると言うことからすると、満更捨てたものではないと思われる。然し今一つ感じられることは、炭の利用は脚光、即ちブーム的な動きが感じられ、炭の生産にあっても愛好会的な集まりの中で生産される場面が多く見聞される。著書出版物に至っては100%近くがその傾向にあり、炭焼き窯に至っては古来からの代表的な方式の製法、運転に就いて紹介されるも、各著書とも共通した内容に終始している。
国内の炭焼き窯は地域の違い、風土慣習の違い、樹種木の違い等でそこに最も適したスタイルに造られ、各々独自の名称が付けられている。然し形状、寸法、位置等に多少の差があるとは言え、排気口、焚き口兼用の窯口その他、炭材である原木を入れて一定条件の下で炭化させると言うことには些かも変わりはない。そして何よりも典型的な共通部分は、炭焼き窯の唯一の開口である窯口を原木の搬入後に焚き口として直接薪を投入して、薪の直火で直接原木を蒸し焼きすることである。これは中国から渡来した炭焼き窯技術が国内全域に広がり、長い時代を経た独自の改良変革の中にも、基本的な部分は今日も変わることなく脈々と受け継がれてきたことを物語るものである。前項で述べるように各著書出版物で言う炭焼き窯の代表格が共通であること、そして本発明の炭焼き窯と本書説明上対極を成す本項で述べる炭焼き窯であることに畏怖の念を持って理解させられる。鹿児島県を除く国内全域に広く普及して、本発明の炭焼き窯と本書説明上対極を成す古来伝統の炭焼き窯を、本書の便宜上以降直火式炭焼き窯と言う。
直火式炭焼き窯は、大きくは黒炭窯と白炭窯に分かれる。黒炭窯は最もポピュラーな形で全国に普及している直火式炭焼き窯の代名詞的な存在である。原木は杉を除く針葉樹から全広葉樹と広い範囲に利用されるが、炭材としては伐採から3〜4週間以上の乾燥期間を経た原木を使用する。炭焼きは火入れから炭出しまで約10日と標準的な日数である。消火は窯内密閉消火方式で窯口と煙突を封鎖して3〜4日程度で消火させる。炭質は一般的に柔らかい炭となり、着火が早く容易に高温になる性質が利用される。炭焼き窯の高さは窯壁高さで約90cmとなり、原木長さも90〜100cmと短い原木で運搬、集積、搬入立て詰め等に比較的扱い易い寸法となる。これは又、乾燥処理工程に薪の燃焼直火を使用する為、原木の乾燥処理工程を極力短縮して、速やかに炭化処理工程に移行する為の先人の知恵と言わざるを得ない。
直火式黒炭焼き窯の難点は、操作が煩雑になることである。先ず薪燃焼の直火を使用する乾燥処理工程での火力の調節は、頻繁に煙突の開度調節が必要になることである。この時の窯口は焚き口のみ開口して通風口は閉鎖状態に置かれる。次に炭化処理工程に移る時焚き口の開口は閉鎖されて通風口のみが開口される。この時点も煙突から吐き出される煙の色と温度を確認しながら通風口の開度調節と煙突の開度調節を連動して行う必要がある。この一連の操作を誤ると窯の中の原木は簡単に灰と化す。
直火式白炭焼き窯は窯壁の高さが約120cm程で黒炭焼き窯よりやや高い。窯の大きさは黒炭焼き窯より二廻り程小さく、特に窯口から奥行きを浅く造るのを特徴としている。直火式炭焼き窯の場合は炭化処理工程の最後に精煉処理が行われるが、この時の窯の温度が黒炭焼き窯は500℃前後であるのに対して、白炭焼き窯は1000℃以上で熱処理される。この為に窯内部の仕上げは高温度に耐えられるように石や耐火煉瓦等が多用されているが、その他の基本的構造は黒炭焼き窯と殆ど同じである。
直火白炭焼き窯の最大の特徴は、クヌギ、コナラ、樫類等のブナ科の固い樹種を炭材として、高級品質の固い炭を生産する為の専用の窯であると言うことである。中でもウバメ樫を炭材とする紀州備長炭が典型的な横綱級の白炭である。白炭窯は通常日窯と呼ばれる程小型の窯が多い。およそ1日で乾燥処理工程を終了して原木に火を点け、一晩で炭化処理工程を終了、翌日には精煉処理として、煙突や焚き口の開度を順次全開にして窯内の温度を400℃前後から一気に1000℃以上に上げる。これに依って未燃焼ガス成分や炭化処理の遅れている原木、特に樹皮等の不完全燃焼部分を完全燃焼させて炭化処理工程を終了、直ちに窯口から炭を出して灰をかけて消火する。
直火式白炭焼き窯も直火式であるが故に窯の操作は黒炭焼き窯以上の煩雑さが伴う。煩雑の最大要因は黒炭焼き窯では一般的に火入れから炭の窯出しまでおよそ10日程度を要するところを、白炭焼き窯では2日間で全工程を処理、更には高品質の固い高級炭に仕上げると言う神業にも等しい熟練度が必要とされる。最大の熟練度は精煉処理工程にあり、精煉操作を始めるタイミングと精煉操作を終了するタイミング、そして最大のポイントは赤々と燃え盛る窯から炭を引き摺り出すタイミングである。この精煉操作の何れかのタイミングが早すぎると炭に樹皮が残ったり、折れたり割れて裂けたりと言う品質の低い炭になる。一方タイミングが遅すぎると、窯が高温度の為炭が直ちに灰と化し、収量が極端に減少する。更には1000℃以上の窯から直接炭を引き摺り出すと言う離れ業的な危険性が常に伴う。
国内の木炭の生産量は燃料革命で激減して最盛期である1940年〜1950年頃の1%弱の約3万トン弱で推移している。農山村に於いて炭焼きの経験と技術を持つ人々は、社会情勢の変化に有無を言わせず即応させられ激減の一途を辿っている。然し、社会情勢云々、消費云々、山林云々、後継者云々・・と言う前に、炭焼き文化そのものの足元から見直す必要がある。即ち現在の直火式炭焼き窯は明治時代を中心に多少の改良がなされた記録があるがその実、大半は江戸時代末期までに略完成されたものである。それ以降今日に至るまで画期的に改良進化した形跡は殆どない。勿論、国内炭焼き窯の限りなく100%に近い窯がこの直火式炭焼き窯であることは紛れもない事実であり、古来からの伝統文化である直火式炭焼き窯の本流を今日まで忠実に守りぬいた人々には感謝以外の何ものもない。
直火式炭焼き窯で黒炭焼き窯と白炭焼き窯の両窯に共通している課題がある。先ずは直火処理の為に火入れから炭の窯出しまで窯の操作が煩雑で、相当な熟練を要することである。次に直火式の為に直火に直接触れる原木や、直火に近い所にある原木は止むを得ず灰に化すか又は品質の低下の何れかが必ず起こる。直火処理であるが故に窯の高さが高く取れない為に窯の中の作業性が極めて悪い。これは原木長さを短くして原木の乾燥処理時間を極力短くする手法であるが、その結果として窯の高さが低く造られ腰を曲げての屈みこみ作業にならざるを得ない。腰を曲げての屈みこみ作業の中に原木の立て詰め作業がある。この時の原木は根元側を上にして立て詰めする。これは直火が原木に及ぼす影響を根元部分で食い止める為の手法である。
直火式炭焼き窯の宿命的な課題として、窯の中の温度や特に圧力の完全な均一性が創り出せないことにある。これは窯口又は窯口の中に設けた焚き口や通風口が殆ど解放状態で外気に面しており、燃え盛る原木がこれらの開口に迫り丸ごと見える状態にある。この為、窯口付近、窯中央付近、排気口付近と各々に温度、圧力が異なる状態が簡単に生じる。特に外気の風、気圧、温度等の変化に敏感に影響を受ける。この不均一性を限りなく補正する手法が窯の操作、即ち繁雑な煙突と窯口の開度調節である。そして不均一で起こる炭化斑を改善する処理工程が、炭化処理工程終了間際に大量に空気を送って窯温度を一気に上げて行う精煉処理工程である。
直火式黒炭焼き窯は、炭材として固い樹種1種を原木として用いても、前各項に述べるように、窯の操作の繁雑さ及び窯の温度や圧力の不均一性当の理由に因り高品質の固い高級炭は殆ど生まれ得ない。直火式白炭焼き窯の場合は、原木の固さに樹種の違いで1段階程度の差が生じても略無難に焼くことはできるが、原木の固さに2段階程度以上の差が生じると、同じ窯で同時に高級炭にするのは殆ど不可能である。それ程微妙且つ精巧な窯の操作が要求される。
直火式白炭焼き窯の1000℃以上の窯から、直接炭を引き摺り出すと言う外部消火法は、伝統技法とは言え余りにも危険極まりない作業である。これは人災と火災の両面の危険性を常時孕む。又、白炭焼き窯では炭を引き摺り出し消火作業をしたあと、窯が冷却しない状態の間に直ちに次の原木を窯に運び込み、立て詰めすると言う過酷な屈みこみ作業環境が標準的に繰り返される。
本発明が解決しようとする課題の前各項を、総合的且つ合理的に解決する為に全てに優先する最も重要な要素は、乾燥処理工程、炭化処理工程、消火処理工程の如何なる処理工程にあっても、処理窯の中は常にその処理工程の温度に応じた圧力で処理窯内全域が均一化されることが絶対条件である。その為の総合的な第一手段として外部の風雨、温度、気圧等の気象条件に殆ど影響を受けない構造様式で築造することが要求される。
その手段として密閉精度の高い処理窯と、薪を燃焼させて燃焼ガスを生成する構造の燃焼炉を、窯壁を構成する界壁で完全に分離独立させることにある。即ち、本発明請求項1は処理窯と燃焼炉を界壁で明確に区分するもので、その結果として処理窯には原木の搬入と炭の窯出しの為の専用の出入口である窯口を設ける。更には総合的第2手段として、原木の乾燥処理を燃焼ガスに依る燻し乾燥処理にすることにある。
本発明請求項2は薪を燃材として燃焼させ、処理窯の原木を燻し乾燥する為の燃焼ガスを発生させることを目的とする燃焼炉である。この為に燃焼炉は略処理窯と同じ高さに築造する。燃焼炉の外壁の下部には燃焼炉専用の開口として薪の投入口である焚き口を設ける。焚き口は燃焼用空気の通風口を兼ねる。
本発明請求項3は、乾燥処理工程、炭化処理工程及び消火処理工程に於いて、処理窯の処理温度に応じて常に均一な圧力を維持することを目的とする為の第二手段として、煙を排気する為の排気口の位置を窯壁面最下部又は窯床面に設けることが均一化実行の絶対的な築造条件となる。排気口には煙道が接続され、煙突に依って大気に煙が吐き出される。
燃焼炉と処理窯の隔壁を構成する界壁は、燃焼炉の高さを処理窯の高さと機能的にほぼ同じ高さに調整する重要な役割を持つ。燃焼炉の高さが高くなることで薪の燃焼による直火を燃焼ガスに状態変化させ易くなる。燃焼炉内の燃焼ガスは状態変化の瞬間から急激な体積膨張運動を継続しながら、燃焼炉の高さを上昇する。上昇する燃焼ガスは界壁最上部の熱気口から処理窯の天井に直接送り込まれる。この燃焼ガスの急激な体積膨張運動こそ、処理窯を均一化する圧力エネルギー源そのものであり、本発明請求項4の熱気口を界壁最上部に設ける理由の一つがここに存在する。
燃焼炉内の前項で述べる体積膨張した燃焼ガスが上昇通過した後には、論理的に真空状態が生じる。この真空は、周辺の空気や燃焼ガス、還流ガス等を強力に吸引する天然の通風力であるドラフトを生じさせる。このドラフトに依り、処理窯の原木の燻し乾燥処理時に生じる生成未燃焼ガス成分である還流ガスを界壁の最下部にある還気口より誘引し、燃焼炉の直火で燃焼した後燃焼ガスとして処理窯に送り込まれる。この還流ガスの燃焼形態は燻し乾燥処理に於ける精煉処理の一部に相当し、本発明請求項4の還気口を界壁最下部に設ける理由の一つがここに存在する。
本発明の燻焼式炭焼き窯の適用原木は、針葉樹を除く全ての樹種が炭材として可能であり、且つ如何なる樹種が混在しても同時にそして完全な炭化処理を可能とする。その手段として長さ150cm〜180cmの原木全ての根元側を下にして立て詰めする。原木の細胞組織内の仮道管又は分化した道管や繊維等は発達した根元側が太い管状にある。均一化した圧力の中で原木の頂部を低温刺激することで、原木内の水分は膨張と凝縮を繰り返し水滴となる。水滴となった水分には重力が作用して、廻りの水分を誘引して落下流れを加速させて原木の根元側から外部に容易に排出される。この事象で軟らかい原木も固い原木も略同一の含水率で燻し乾燥処理工程が終了する。本発明請求項5の処理窯に於いて、炭材である原木の根元側を下にして立て詰めに処理する理由の一つがここに存在する。乾燥処理工程終了の全ての原木は、略同一の環境条件で炭化処理工程に移行する。
本発明の燻焼式炭焼き窯の炭化処理工程は、原木の頂部で自燃に依る熱分解が始まることを煙突の煙の色合いで判断して、燃焼炉における薪の燃焼を速やかに終了することで炭化処理を開始する。この炭化処理時の原木の熱分解に依る燃焼ガスの体積膨張現象は、処理窯の天井部で平面的に起こり燃焼炉全体にドラフトを生じる。このドラフトで熱分解に必要な燃焼用空気も通気口から吸引流入するが、原木の熱分解が激しくなる程に処理窯から燃焼炉に流れ込む還流ガスも多くなる。還気口から燃焼炉に入った還流ガスは、燃焼炉で燃焼用空気量を温度差で最少量以下に制限する重大な働きをした後、熱気口から処理窯に入り完全に焼却される。この炭化処理工程に於ける燃焼炉内の還流ガス、燃焼用空気等の流動は、正しく精煉処理そのものであり、天然の精煉処理である。これこそ完璧な固い高品質の炭を作り出す絶対条件の一つである。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、煙突から吐き出される煙の色合いの変化を捉え炭化処理工程の終了を判断、直ちに通風口と煙突を閉鎖して窯内密閉消火処理工程に移行する。約3日間の密閉消火処理期間を経た後、封鎖してあった処理窯の窯口を開口する。処理窯の中には、原木の形を残したままの炭がほぼ直立不動の立ち居姿勢で並ぶ。原木が炭化して軽量化した自重の応力を、炭化しても変わらぬ垂直応力として受け止め続けることで表面割れ、内部割れ等の少ない高品質の炭が生まれる。本発明請求項5の処理窯に於いて、炭材である原木の根元側を下にして立て詰めに処理する理由の一つがここにも存在する。原木の原型を留め、根元から頂部まで均一に炭化して立っている炭を一本一本丁重に窯出しする。窯出しした炭を鋸で定尺に切断しながら等級分けも同時に行う。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、古代から数十年まえの炭焼き全盛期に亘る長い歴史の中で、これに営々と関わってきた先人の知恵である炭焼き文化に、幸運にもその時実践的に学び得たその延長線上にある。炭焼き文化には木と火と人とが不完全で苦しい中にも融合する様が論理的に読みとれる。本発明は木と火と人が更に完璧に融合する手段として、炭焼き技術のより明確な論理の確立と、これに基づく実践の確立、更には安全の確立である。その結果として炭の本流即ち、熱量としての炭、熱資源としての炭の確立にある。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分したことで、火力の調節に煙突の開度調節を一切することなく焚き口の薪の加減調節のみで可能とした。これにより処理窯が風雨、温度、気圧等の外気条件の影響を一切生じることがない。燃焼炉の直火が処理窯の原木に影響を一切及ぼさないことにより原木の歩留まり100%が保証される。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分したことに依り、燃焼炉で燃焼ガスを生成させることが可能となる。この燃焼ガスに依り処理窯の原木に最も優しい低温度の燻し乾燥が可能となる。即ち直火式と異なり燃焼ガス式の場合は、原木の乾燥初期に於いては充分に低温度の燃焼ガスを処理窯に送ることが可能であり、この低温度の燃焼ガスであっても処理窯の原木全部に均一に作用させることが自在に可能となる。これにより原木の乾燥応力を極端に軽減させられる。ここから高品質で固い炭の原版が創られていく。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分したことと、排気口を窯壁の最下部又は処理窯の床面に設けることで、処理窯の中の圧力が温度に応じて乾燥処理、炭化処理、消火処理の如何なる処理時でも窯全域に均一に作用する。これにより燃焼ガスが炭材としての原木の樹種や大きさ、そして固さや柔らかさに一切関わらず何れの原木に対しても均一に作用する。ここに生産性の高い炭焼き窯としての源がある。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分したことで、炭焼き処理中は処理窯の中が何時でも均一状態である。この為に煙突から吐き出される煙の色度、臭度、温度、そして勢い度合いで処理窯の中の正確な情報として確実に伝達される。この情報により窯の操作が焚き口の火力調整のみと単純化される。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分して還気口を設けたことで、原木の燻し乾燥処理工程と炭化処理工程の各々異なる処理工程に応じた天然の精煉処理が自然励起される。直火式炭焼き窯に宿命的に付き纏う人に依る精煉操作の繁雑さと、タイミングの煩わしさ、そして結果に対する一喜一憂等々。本発明の燻焼式炭焼き窯は前記のような煩雑さから一切解放されるばかりでなく、その結果としての品質と量の最小限が絶対的に保証されるものである。
本発明の燻焼式炭焼き窯は、処理窯と燃焼炉を明確に区分して還気口を設けたことで、原木の生木ばかりでなく燃材としての薪も、立ち木から炭材として原木を取った後の小枝材生木がそのまま使用できる合理性がある。又、燃焼炉の大小に関わらず処理窯の大きさを状況に合わせて自在且つ合理的に選定できる。
本発明の燻焼式炭焼き窯の処理窯の原木にあって、炭化処理の終了で確実に灰化する部分がある。それは完璧にも原木の樹皮部分のみであり、窯の均一性がもたらす完璧な業でもある。
本発明の燻焼式炭焼き窯自体が、炭焼き技術の本流と、後世への継承広がりを目指すものである。然るに本発明の燻焼式炭焼き窯の実施例は全て古来からの伝承に基づく素材である粘土、山土、石のみを使用、且つ伝承に基づく築造法とする。勿論最先端素材のコンクリート、耐火煉瓦、セラミック素材等の建築素材から、鉄を始めとする金属素材等で構築することも充分可能である。それでも固い高品質の炭は、土や石の素材でできた窯床、窯壁、天井等の窯のみが持つ天然の呼吸作用、吸放湿作用、蓄放熱作用、更には窯の造形が醸し出す曲線等が、複雑にも見事に絡み合い融合の果てに創られると確信する。本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例は一切の電化機器具は用いず、唯一の測定器具は棒状温度計1本である。窯の操作は伝承的経験に基づく視覚、嗅覚、触覚による人為操作とする。尚、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
図1は本発明燃焼式炭焼き窯の実施例平面図であり、図2はその断面図である。処理窯1には原木の搬入路である窯口1aから原木6が搬入され、原木6の根元側を下にして立て詰めとする。原木の搬入立て詰めが終了すると、窯口1aに外から煉瓦形状の石を窯口1aの間口に敷き並べる。次に敷き詰めた石の隙間を塞ぐように粘土を練り込む。このようにして石と粘土の積み上げ練り込みを繰り返しながら、窯口1aの開口部全部を封鎖して処理窯1を密閉状態にする。
燃焼炉2の焚き口2aから燃材である薪5を投入して、これに火入れである着火をする。薪5は火入れ時のみ枯れ小枝とし、燃焼直火5aの勢いが増してきたら徐々に生木小枝にする。火入れ後30分程度で煙突3bから白い煙が吐き出されるのを確認する。この時の煙は薪5の燃焼のみの煙である。煙突3bから煙3cを確認した後、窯口1aを中心に処理窯1から外部に煙の漏れがないかを点検確認する。この点検確認は処理窯1の消火処理工程終了まで断続的に続ける。万一に漏煙ヵ所があった場合には速やかに粘土で練り込み補修し、処理窯1の密閉維持に努める。
燃焼炉2の燃焼ガス熱量は火入れから約2〜3時間程度は原木6の表皮面や窯1内表面の水分蒸発に消費される。この後煙3cは濃淡灰白色から濃厚灰白色に変わり、燃焼ガス5bは処理窯1本体や原木6の内部温度を徐々に上げる燻し乾燥処理の本工程を開始する。火入れから丸1日間は処理窯1の内部温度を40〜50℃程度まで緩やかに立ち上げる。2日目は80〜90℃を目安に燃焼炉2の火力をやや増す。この時の煙3cが水蒸気ガスを最大多量に含む濃厚灰白色となる。3日目も燃焼炉2の火力は2日目と同じであるが、煙3cの濃厚灰白色がやや薄れ、代わって淡青色が混ざるようになる。3日目後半の煙3cの色に、目測で青色が約10%程度含まれることを確認した時点で、燃焼炉2の薪5の投入を停止して燻し乾燥処理の工程を終了する。
燃焼炉2の火力が完全に停止することで、代わって炭化処理の工程が開始する。即ち処理窯1の原木6の頂部に火が点火したことになる。この原木6の点火は自燃に依る熱分解処理の始まりであり、「課題を解決するための手段」の項でも説明する通り燃焼用空気7を天然の調節作用で制限しながらほぼ2日間の炭化処理工程が続く。この間煙3cは淡青白色から青淡白色へと変わり、処理窯1の温度も400〜500℃へと急激に上昇する。この炭化処理工程の終盤になると煙3cは淡青透明色となり温度も700℃を超える。この時点で直ちに炭化処理工程を終了させる。
炭化処理工程は、炭化処理中に燃焼用空気7の通風口として使用した焚き口2aの開口部を、処理窯2の窯口1aの封鎖で説明する要領と同じように石と粘土の練り込みで封鎖し、煙突3bの吐出し口も石と土で封鎖することで終了する。これ以降、処理窯1及び燃焼炉2を完全な密閉状態にしての炭の窯内密閉消火処理工程に入る。約3日間程の密閉消火処理工程の処理窯1の外表面温度が、触手できる約80℃以下の温度になった時点で密閉消火処理工程を終了する。
消火処理工程終了後、窯口1aの練り込み封鎖壁を丁重に破壊する。封鎖壁の破壊途中で、処理窯1の炭の火が完全に消火していることを再点火の音や目視で確認した後に窯口1aの開口を全開にする。処理窯1の中で立ったままの炭化した原木状の炭を一本一本丁重に窯口1aから窯出しする。その後、鋸で定尺に切断の上、品質等級分けして袋詰め又は箱詰め梱包する。
国内熱資源の革命的な構造変化の煽りで、壊滅的な衰退産業となっている木炭生産業は、今や営々と積み重ねてきた伝統技術の伝承でさえ息絶えかねざる状態にある。この状況が波及して、放置され続け、再生能力を失った山林野が齎す災害は、洪水、土砂流、倒潰木流、崩落、鳥獣等々と、その被害は年々累乗的に拡大している。正しく自然界の異常事態である。本発明の燻焼式炭焼き窯は、先ず木炭の本流即ち、熱量としての炭、熱資源としての炭の生産に携わる人々や、山林野を管理育成する人々や団体等に広く理解と普及を図る。その上に於いて、燻焼式炭焼き窯は、少なくとも全国の山林野が、人々の手によって自然に更生され続ける為の一環となり得る。本発明の燻焼式炭焼き窯は、都市環境に於ける建築廃木材を、無害化炭化処理することで再資源燃材に再生することが可能である。また、本発明の原理部分に於いては、木材の燃焼ガス乾燥処理、燻蒸処理等に応用できる。
本発明の実施例に関わる燻焼式炭焼き窯の基本的な形態の平面を示す図である。 本発明の実施例に関わる燻焼式炭焼き窯の基本的な形態の断面を示す図である。
符号の説明
1 処理窯
1a 窯口
1b 窯壁
1c 窯天井
1d 窯床
2 燃焼炉
2a 焚き口
2b 炉壁
3 排気口
3a 煙道
3b 煙突
3c 煙
4 界壁
4a 熱気口
4b 還気口
4c 還流ガス
5 薪(燃材)
5a 燃焼直火
5b 燃焼ガス
6 原木(炭材)
7 燃焼用空気
8 地盤

Claims (5)

  1. 耐火性と密閉性を有し、炭材である原木の燃焼ガスに依る燻し乾燥処理と、乾燥処理原木の自燃に依る炭化処理と、炭化処理原木の密閉に依る窯内消火処理と、これらの処理を工程的に処理する為の処理窯で、窯専用の出入口である窯口を有し、燃焼ガスを発生する燃焼炉と明確に区分することを特長とする燻焼式炭焼き窯。
  2. 処理窯と界壁で明確に区分され、処理窯の原木を燻し乾燥する為に燃材を燃焼させ、燃焼ガスを発生させることを目的に処理窯とほぼ同じ高さに築造して、外壁の最下部に通風口と燃材である薪の投入口を兼ねる焚き口を有することを特長とする請求項1記載の燻焼式炭焼き窯。
  3. 処理窯の原木の燻し乾燥処理工程、乾燥処理原木の炭化処理工程及び炭化処理原木の消火処理工程にあって、処理窯内を温度に応じて常に均一の圧力に維持することを目的として、処理窯内の燃焼ガスや水蒸気ガスその他熱分解ガス等の集合体である煙の排気口位置を、窯壁面最下部又は窯床面に設けることを特長とする請求項1及び請求項2記載の燻焼式炭焼き窯。
  4. 燃焼炉と処理窯間の窯壁を構成する界壁は、燃焼炉から原木の燻し乾燥処理工程に於ける燃焼ガスと、炭化処理工程に於ける原木の自燃性熱分解の為の燃焼用空気を処理窯に送る為の開口である熱気口を界壁最上部に有し、処理窯の原木の熱分解に因って生じる生成未燃焼ガス成分である還流ガスを、還流焼却させる為に燃焼炉に送る開口である還気口を、界壁の最下部に有することを特長とする請求項1〜請求項3記載の燻焼式炭焼き窯。
  5. 処理窯の中の原木の燻し乾燥処理過程に於いて、原木の成長応力の差で生じる表面割れ、内部割れ等の乾燥応力を極力小さくする目的として、原木に含有する水分が原木の細胞組織内を速やかに流れ落ちるように、全ての原木の根元側を下にして垂直に立て詰めにすることを特長とする請求項1〜請求項4記載の燻焼式炭焼き窯。
JP2004317141A 2004-10-04 2004-10-04 燻焼式炭焼き窯 Pending JP2006104427A (ja)

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