JP2006104037A - M−Al−B組成を有する単結晶の製造方法および該製造方法により製造されたM−Al−B組成を有する単結晶 - Google Patents

M−Al−B組成を有する単結晶の製造方法および該製造方法により製造されたM−Al−B組成を有する単結晶 Download PDF

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Abstract

【課題】 M−Al−Bの組成を有する単結晶の製造方法および該製造方法により製造されたM−Al−B組成を有する単結晶を提供する。
【解決手段】 本発明の製造方法は、インゴットから切り出した薄片状のAlと、M成分供給源とホウ素供給源とを、前記薄片状Alと前記成分M供給源および前記ホウ素供給源の混合物とを交互に層状に反応容器に充填し、前記反応容器の中央部と上端部および下端部との間に温度勾配を生じさせて溶融し、徐冷する、M−Al−Bの組成を有する単結晶の製造方法である。(ここで、前記Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類元素を示す。)。
【選択図】 図6

Description

本発明は、Al(アルミニウム)、M(Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)およびB(ホウ素)からなる単結晶の製造方法に関し、より詳細には、M−Al−B組成を有する単結晶の効率的な製造方法および該製造方法により製造されたM−Al−B組成を有する単結晶に関する。
ホウ素正20面体を骨格とするホウ素過剰の高ホウ素化化合物は、耐熱性、硬度の点から、切削工具用の高硬度材料、熱電変換素子、光感受性デバイスの光検出要素、中性子吸収材料、および中性子検出装置などへの応用が期待される材料であり、その物性について本発明者らは、種々の検討を加えてきている(非特許文献1〜3)。非特許文献1〜3に記載されるように、高ホウ化化合物の単結晶については、種々の物性が検討されている。しかしながら、非特許文献1〜3に記載された方法により製造されたM−Al−B系の単結晶の製造方法は、たしかに最大サイズの大きな単結晶を製造することは可能とするものの、単結晶全体の生成という観点から見れば、単結晶生成の収率が充分ではなく、工業的にその用途を検討するに足る、所定のサイズ以上の単結晶を、効率よく生成させるには充分ではなく、そのため用途の検討が制限されてしまっていた。
このため、上記の非特許文献において硬度および製造されたうちの最大の単結晶の大きさが開示され、また、いくつかの基本的な物性が開示されているものの、さらにM−Al−B組成を有する単結晶の工業的用途を検討するためには、上述した従来の製造方法よりも高い収率で比較的大きなM−Al−B単結晶を製造する新たな方法が必要とされていた。
さらに、工業的な用途のさらなる検討を行うためにも、上述した新たな製造方法により製造されたM−Al−B系の単結晶が必要とされていた。
東等、J. Crystal Growth, 128 (1993) 1113 工藤等、Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 41, (2002) pp.L928-930 岡田等、「Na−Al−B系フラックスから新しい高ホウ化物単結晶の育成」、第48回人工結晶討論会要旨集、平成15年11月4日p.45-p.46
本発明は、従来のM−Al−B組成を有する単結晶(以下、本発明では、単に単結晶として参照する。)の製造における上述した課題を解決し、工業的な用途の検討に提供するだけの充分な量および結晶サイズを有するM−Al−B組成を有する単結晶の製造方法および該製造方法により製造された単結晶を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を加えた結果、使用するAl供給源として、表面に酸化物の形成されていない薄片状のAlを用い、さらに、原料を溶融させる反応容器内に積極的に熱対流を生じさせるように、温度勾配を形成させることにより、一定以上の結晶サイズの単結晶の生成を促進させつつ、高い効率で単結晶を製造することができることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明者らは、Al供給源として粉末状アルミニウムではなく、アルミニウム・インゴットを切断して得られるフレッシュな金属面を有するAlをAl供給源として使用することにより、バイプロダクトの生成を抑制し、さらに、本発明の単結晶の結晶成長を効率化させることができることを見出した。
同時に、さらに単結晶の生成効率を向上させるため、反応容器に対して温度勾配を生じさせるように加熱を行うことで、単結晶の生成効率を高めること、およびホウ素供給源とM供給源との比(B/M)を、所定の範囲とすることで、選択的なMAlB14単結晶の製造を行うことが可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明によれば、M−Al−Bの組成を有する単結晶の製造方法であって、前記製造方法は、インゴットから切り出した薄片状のAlと、成分M供給源とホウ素供給源とを、前記薄片状Alと前記成分M供給源および前記ホウ素供給源の混合物とを交互に層状に反応容器に充填し、前記反応容器の中央部と上端部および下端部との間に温度勾配を生じさせて溶融し、徐冷する方法で、M−Al−B組成を有する単結晶の製造方法(ここで、前記Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類元素を示す。)が提供される。本発明の前記Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mgを含む群から選択される1種またはそれ以上の元素から選択することができる。本発明の前記単結晶は、MAlB14である。本発明における前記M成分供給源とホウ素供給源との比(B/M)は、1〜4とすることが好ましい。
本発明によれば、上記製造方法により製造される製造方法により製造されるM−Al−Bの組成を有する単結晶(ここで、前記Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類元素を示す)が提供される。本発明の前記Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mgを含む群から選択される1種またはそれ以上の元素から選択することができる。本発明の前記単結晶は、MAlB14である。
本発明によれば、M−Al−B組成を有する単結晶を、選択的に高い効率で製造することができ、その結果、M−Al−B組成を有する単結晶は、高い収率で、比較的大きな結晶サイズとして製造することができる。このため、これまでのように結晶系および基礎物性の測定ばかりではなく、M−Al−B系の単結晶を、工業的応用の検討に対して提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は後述する実施の形態に限定されるものではない。
図1には、本発明において使用する製造装置を示す。図1に示した製造装置は、概ね、電気炉10と、電気炉10内にHe、Ne、Arなどの希ガスを導入するためのガス供給システム12と、電気炉10の温度を制御するためのプログラマブル・コントローラ14とからなる。電気炉10内には、反応容器16が配置されていて、電気炉10による制御された温度および環境下で単結晶の製造が行われる。電気炉10は、本発明において後述する温度勾配を生成させるため、加熱手段18と、断熱材20とを含んで構成されている。また、反応容器16は、アルミナ、BN、溶融石英などから形成された反応容器を使用することができるが、窒素およびSi元素の影響などを考慮して、特定の実施の形態では、アルミナ製のタンマン管(SSA型、日本特殊陶器株式会社製)を使用することが好ましい。製造された単結晶は、室温までのプログラムされた徐冷操作の後、電気炉10から取り出され、塩酸などにより洗浄が行われた後、単体の単結晶として取り出される。
本発明において単結晶は、Al供給源と、Mで示される元素供給源と、ホウ素供給源とを混合し、溶融させたのち、冷却することにより製造される。
本発明者は、鋭意検討の結果、アルミニウムの表面酸化物が単結晶の生成に大きく影響を与えることを見出した。アルミニウムは非常に酸化されやすく、通常では、表面にAlの被膜が形成される。すなわち、本発明では、使用するAl供給源としては、あらかじめ、粉末、箔リボンに成形され、表面に酸化物が形成されたAlではなく、フレッシュなアルミニウム金属が露出した薄片状のAlを使用することが、単結晶の効率的な形成において必要であることを見出した。このような薄片状のAlは、Alインゴットから製造直前に切り出して直ちに非酸化性環境に保存して得ることができる。また、本発明においてAlインゴットの切断を自動化し、Arといった不活性ガス中など、非酸化性環境でAlインゴットを切断することもできる。
また、本発明において使用することができるM成分としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を使用することができ、アルカリ金属供給源としては、金属ナトリウム、金属リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、これらのフッ化物、塩化物、炭酸塩、または四ホウ酸塩からなる群から選択することが好ましい。また、アルカリ土類元素としては、ベリリウム、マグネシウム、これらのフッ化物、塩化物、炭酸塩、四ホウ酸塩からなる群から選択することが好ましい。
さらに、本発明においてはホウ素供給源としては、高純度の結晶性または非晶質のホウ素を使用することができ、特に限定されるものではない。
図1には、電気炉10における加熱手段18の配置も示してある。本発明では、反応容器16に対して温度勾配を与えるために加熱手段18は、反応容器の中央に最も高密度に配置し、上下に向かって温度が低くなるように形成される。加熱手段18としては、これまで知られた抵抗加熱部材でも使用することができる。また、加熱手段18は、反応容器16の中央から上下の端部にかけて巻線密度を低下されてゆくように形成させている。本発明において、反応容器16内の温度は、白金−ロジウムの熱電対を使用して測定することができ、またこれ以外に、これまで知られた幾つかの温度測定手段でも用いることができる。この場合、反応温度は、反応容器16の外壁に熱電対を接触させて測定し、温度勾配は、反応容器の上端部および下端部外壁の温度をもって測定される。なお、本発明においては上述した効果を与えることができる限り、加熱手段18の構成には特に制限はない。
本発明における温度勾配は、上述したように、反応容器16の中央部で最も高く、上端部および下端部に向かって低温となるように設定する。温度勾配は、使用する反応容器16のサイズによっても変化するものの、中央部から上端部までで、約7K〜10Kの温度差が与えられるように設定することが好ましい。また、中央部から下端部までの温度差についても、約7K〜10Kの温度差として温度勾配を与えることが好ましい。本発明の特定の実施の形態では、上記の温度差は、概ね2〜5K/cmの温度勾配を与える。上述したような温度勾配を与えることにより、中央部を境界として上側に向かう対流が形成されると同時に、下側では上側に向かう対流により生じる物質移動に伴う攪拌効果が与えられる。このため、反応容器16の内部において、本発明の単結晶が形成される領域を増加させることができる。
本発明では、さらに反応効率を高めるべく検討を行い、薄片状Alと、粉体であるNa、LiなどのM供給源とホウ素供給源とを、一様に混合させておくのではなく、交互的に積層することにより、さらに反応効率を高めることができることを見出した。上述した成分のうち、アルカリ金属以外を使用する場合には、その融点で最も低いのがアルミニウムの約660℃である。このため、アルミニウムおよび他の成分を均等に混合させておくよりもアルミニウムを層状に積層させることにより、溶融したアルミニウム成分がより効率的に他の成分と反応すること、およびフレッシュなAl金属としてM供給源およびB供給源と反応する結果、本発明の単結晶の形成を促進するものと考えられる。
本発明においては、原料混合物の組成比は、ホウ素成分(B)およびM成分の配合比は、質量比で、0.2≦B/M≦8の範囲とすることができ、より好ましくは、1≦B/M≦4の範囲とすることができる。(B/M)比は、本発明の単結晶の生成において重要な影響を有し、1.0〜4.0の範囲において特に本発明の結晶の選択的生成を促進させることが判明した。(B/M)比を1より低くしても本発明の単結晶は製造できるが、B供給源が少なくなることにしたがい、収量が低下する傾向となる。また、(B+M)成分とAl薄片との配合比(B+M):Alは、質量比で1:15〜1:20の範囲とすることができる。本発明では、この他、α−AlB12、β−AlB12およびAlBの結晶がバイプロダクトとして生成される。特に本発明の方法によれば、α−AlB12、β−AlB12およびAlBといったバイプロダクトの生成量に比較して、効率的、かつ比較的大きな単結晶を形成することができる。
以下、さらに本発明の製造方法を詳細に説明する。本発明における加熱シーケンスを図2に示す。本発明では、室温から各成分が充分に溶融する温度まで、約300K/hrで昇温させ、その後、約1500K〜2000Kの温度において数時間、好ましくは約1時間維持し、その後、約50K/hrのレートで徐冷する。1500Kよりも温度が低いと溶融および物質移動の効率が低く、単結晶の生成収率が低下し、2000Kを越えると成分の昇華などが発生し、同様に単結晶の生成収率が低下する。また、徐冷レートをさらに低下させると結晶の形状は不規則にはなるものの、単結晶自体の生成は促進されることが見出された。また、徐冷レートをより高めると、結晶の形状が板状結晶から針状結晶へと変化し、個数は増えるものの、一定以上の大きさ(結晶サイズ)を有する結晶が得られにくいという結果が得られた。
このため、本発明においては、徐冷レートは、数K/hr〜約200K/hrの範囲で設定することができ、冷却効率および一定以上の大きさを有する結晶を得るという観点からは、数K〜50K/hrの範囲とすることが好ましい。また、本発明では、各相が熱力学的に安定な温度以下(約1000K〜800K)となった後に、さらに高い冷却レートで冷却することが、製造効率を高める観点から好ましい。
徐冷後、反応塊を酸洗浄し、本発明の単結晶を分離する。この酸洗浄は、塩酸、硫酸、硝酸など種々の酸を使用できるものの、洗浄後の成分の残留性および除去性の点から、希塩酸を使用することが好ましい。
上述した単結晶は、メッシュなどを使用して分級することにより、所定以上の大きさの結晶を分離することができる。本発明では、所定の大きさの結晶とは、概ね200μm以上の大きさの単結晶を意味する。また、結晶の形状が立体的である場合には、結晶面の最大長さを意味する。また、約200μmの目開きのメッシュは、概ね、78メッシュから80メッシュの目開きのメッシュを備える篩いを使用することができる。
図3には、本発明において得られたNaAlB14単結晶の走査型電子顕微鏡写真(JEOL、T−20)を示す。図3に示されるように、得られた結晶は、柱状結晶として生成されていることが示されている。また、結晶サイズは、単結晶の最大の辺に沿って約500μmであり、最大の辺に直交する(100)面で、約200μm×300μmの大きさを有しており、充分な結晶サイズを有していることが示されている。また図4には、粉末X線回折装置(RIGAKU、RU−200)を用いて得られた粉末X線回折パターンを示す。○で示されたピークが、本発明により得られたNaAlB14に起因するピークであり、△は、反応容器に起因するコンタミネーションによるAlのピークである。さらに、本発明者らは、得られた粉末X旋回折パターンのデータを使用して、結晶構造のシミュレーションを行った。シミュレーションにおいては、シミュレータSIR92およびSHELXL−97を使用した。結晶構造シミュレーションの結果を、図5に示す。図5に示されるように、得られた単結晶は、従来報告されているMAlB14単結晶の空間群Immaを有する斜方晶系であることが示された。
以下、本発明を具体的な実施の形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アルミニウム・インゴット(純度99.99%:住友化学工業株式会社)から切り出したAl薄片と、ナトリウム源としてNa(純度99%:アルドリッチケミカル株式会社)と、ホウ素源として結晶性ホウ素(純度99%:三津和化学薬品株式会社)とを使用し、B/Na比を、質量比2.0とし、(B+Na):Al薄片との比を質量比で1:15として、Al製の反応容器(SSA型、日本特殊陶業株式会社)に充填した。充填に際しては、Al薄片を最下段に積層させ、その上に、Na供給源およびB供給源の粉末を加え、その後さらにAl薄片を堆積させ、これを数層繰り返し、最上部にNa源およびB供給源の粉末を配置した。
その後、Al製の蓋で反応容器を被覆し、直ちにAr置換した電気炉に反応容器をセットし、昇温レート300K/hrで昇温させ、約1600Kで1hr保持させた後、徐冷レート30K/hrで約1073Kまで徐冷した。その後、約400K/hrで冷却した。このとき、反応容器の中心が最も高温となり、反応容器の上端部および下端部で、約4K/cmの温度勾配を与えた。なお、昇温レート、保持温度、徐冷レートは、それぞれ反応容器中央部の温度である。その後、反応容器を室温まで冷却した後、反応容器内の隗状物を希塩酸−エタノール混合溶液により洗浄し、生成した単結晶を分離した。分離した単結晶を約200μmの目開きのメッシュにより分級し、大きさが200μm以上の単結晶を分離した。
表1に得られたNaAlB14のX線回折データを示す。また、表2には、NaAlSi、およびB4.5Cを標準試料として、EPMA(JEOL Co.、JXA−8600MX)を用いて得られた単結晶の元素分析結果を示す。
表1に示されるように、得られた単結晶のX線回折データは、従来得られたNaAlB14のデータと良好な一致を示し、また、表2に示されるように、元素分析の値についても誤差範囲内で、矛盾しない本発明の製造方法においても単結晶が製造されていることが示された。さらに、単結晶は、メッシュ上に相当量残留し、200μm以上の結晶サイズを有する結晶が相当の割合で生成されていた。
(実施例2〜5)
B/Na比を1.0、4.0、6.0、8.0と変化させたことを除き、実施例1と同様にしてNaAlB14を製造し、実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を、実施例1の結果と共に表3に示す。
(実施例6)
M供給源として四ホウ酸リチウム(Li:純度99%、アルドリッチケミカル株式会社)を使用し、昇温レート300K/hrで昇温させ、約1573Kで1hr保持させた後、徐冷レート50K/hrで室温まで冷却したことを除き、実施例1と同様にして単結晶(LiAlB14)を製造し、評価を行った。
(実施例7)
M供給源として塩基性炭酸マグネシウム(MgCO、重質:和光規格Practical grade、和光純薬工業株式会社)を使用したことを除き、実施例1と同様にして単結晶(MgAlB14)を製造し、評価を行った。得られた結果を表3に示す。
(実施例8〜17)
Mとして、Na、K、Rb、Cs、Be、Mgに対応する供給源をフッ化物または炭酸塩から選択使用して、実施例1と同様にして、単結晶を製造し、評価を行った(実施例8〜14)。その結果を、表3に示す。また、B/M比をさらに変化させて実施例1と同様にして単結晶を作成し、B/M比の上限の検討を行った(実施例15〜17)。その結果を、表3に示す。
(比較例1〜6)
アルミニウム供給源として、アルミニウム粉末を使用して均一に混合し、得られた混合物を反応容器に充填し、市販の電気炉で、温度勾配を生じさせずに反応させたことを除き、実施例1〜実施例6と同様にして単結晶の生成を行った。得られた結果を表3に示す。表3に示されるように、実施例1〜6では、充分な量の単結晶が得られるものの、比較例1〜6では、200μm以上の大きさを有する結晶は、ほとんど得られなかったことがわかる。このため、比較例1〜6で製造された単結晶は、実体顕微鏡を使用して結晶を選別することにより種々の評価を行わざるをえなかった。
(比較例7、8)
比較例7および比較例8として、16、20と変化させた他は、実施例1と同様にして単結晶を生成し、他の化合物に対する本発明の単結晶の選択的生成を測定した。測定にあたっては、試料を粉砕し、粉末X線回折測定を行い、AlBおよびα−AlB12およびβ−AlB12の結晶のピーク比を使用して測定を行った。
図6には、実施例1〜5、実施例15〜17、比較例7、8において得られたNaAlB14の単結晶の生成割合を示す。生成割合は、生成物を粉砕し、粉末X線回折におけるピークの強度比を使用して判断した。B/Naの比が高くなるとNaAlB14の単結晶と共に、AlBおよびα−AlB12およびβ−AlB12の結晶が形成され易くなり、NaAlB14単結晶の収率が低下していることが示されている。一方、B/Na=1.0以下では、バイプロダクトの生成は顕著ではないが、本発明の単結晶自体の生成量が少なく、効率的に単結晶を得るために充分ではなかった。
さらに、実施例1、実施例6、実施例7で得られた単結晶について、マイクロビッカース硬度計(JISZ2244)により得られた各結晶面の硬度を、表4に示す。表4に示されるように、本発明において得られた単結晶のビッカース硬度は、従来の方法で得られた値と同様の値を示し、概ねSiC程度(約28GPa)に匹敵する、高い硬度を維持していることが示された。
上述したように、本発明によれば、M−Al−B組成を有する単結晶を効率よく生成することが可能となり、M−Al−B系材料の、切削工具用の高硬度材料、熱電変換素子、光感受性デバイスの光検出要素、中性子吸収材料、および中性子検出装置などへの応用が期待される材料としての検討を行うことが可能となる。
本発明において使用する電気炉の概略的構成を示した図。 本発明における温度制御プロファイルを示した図。 本発明において得られたNaAlB14の結晶構造を示した走査型電子顕微鏡写真を示した図。 本発明で得られたNaAlB14の粉末X線回折パターンを示した図。 本発明で得られたNaAlB14単結晶の結晶構造をシミュレーションした図。 本発明におけるB/Na比と、バイプロダクト生成の関係を示した図。
符号の説明
10…電気炉:12…ガス供給システム:14…プログラマブル・コントローラ:16…反応容器:18…加熱手段:20…断熱材

Claims (7)

  1. M−Al−Bの組成を有する単結晶の製造方法であって、前記製造方法は、インゴットから切り出した薄片状のAlと、M成分供給源とホウ素供給源とを、前記薄片状Alと前記成分M供給源および前記ホウ素供給源の混合物とを交互に層状に反応容器に充填し、前記反応容器の中央部と上端部および下端部との間に温度勾配を生じさせて溶融し、徐冷する、M−Al−B組成を有する単結晶の製造方法(ここで、前記Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類元素を示す。)。
  2. 前記Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mgを含む群から選択される、1種またはそれ以上の元素から選択される請求項1記載の製造方法。
  3. 前記単結晶は、MAlB14である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記M成分供給源とホウ素供給源との比(B/M)を、1〜4とする、請求項1に記載の製造方法。
  5. 請求項1の製造方法により製造されるM−Al−Bの組成を有する単結晶(ここで、前記Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類元素を示す)。
  6. 前記Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mgを含む群から選択される、1種またはそれ以上の元素から選択される請求項5記載の単結晶。
  7. 前記単結晶は、MAlB14である、請求項5に記載の単結晶。
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