JP2006102002A - 歯科用のドリルセット及びドリルシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 顎骨に再生歯根を埋設するための孔を形成するためのドリルセット及びドリルシステムを提供する。
【解決手段】 円柱状の基部3aの一端部側に設けられて切削刃を有する球状の刃部3cを設けた第1ドリル3、円柱状の基部5aの一端部側に設けられて基部5aと同じ径の外形に形成された切削刃を有する刃部5bを設けた第2ドリル5、第2ドリル5の刃部5bの外形よりも径が太い外形に形成された円柱状の部分7aから、円柱状の部分7aに連続して先端側に向かうに連れて漸次径が細くなる外形に形成されたテーパー状の部分7bにかけて形成した切削刃を有する刃部7c、及び刃部7cと同軸に刃部7cよりも先端側に延在する第2ドリル5の刃部5bの外形と同じ径の円柱状のガイド部7dを設けた第3ドリル7、第3ドリル7の刃部7cの円柱状の部分7aの外形と同じ径の円柱状の基部9a、及び基部9aに連続して先端側に向かうに連れて漸次径が細くなる外形に形成された切削刃を有する刃部9bを設けた第4ドリル9を備えた構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 円柱状の基部3aの一端部側に設けられて切削刃を有する球状の刃部3cを設けた第1ドリル3、円柱状の基部5aの一端部側に設けられて基部5aと同じ径の外形に形成された切削刃を有する刃部5bを設けた第2ドリル5、第2ドリル5の刃部5bの外形よりも径が太い外形に形成された円柱状の部分7aから、円柱状の部分7aに連続して先端側に向かうに連れて漸次径が細くなる外形に形成されたテーパー状の部分7bにかけて形成した切削刃を有する刃部7c、及び刃部7cと同軸に刃部7cよりも先端側に延在する第2ドリル5の刃部5bの外形と同じ径の円柱状のガイド部7dを設けた第3ドリル7、第3ドリル7の刃部7cの円柱状の部分7aの外形と同じ径の円柱状の基部9a、及び基部9aに連続して先端側に向かうに連れて漸次径が細くなる外形に形成された切削刃を有する刃部9bを設けた第4ドリル9を備えた構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、歯科用のドリルセット及びドリルシステムに係り、特に、再生歯根や歯牙などの移植に好適なドリルセット及びドリルシステムに関する。
歯科治療において、顎骨にインプラントつまり人工歯根を埋設し、この埋設した人工歯根に人工歯冠を取り付ける治療が行われている。このようなインプラント治療では、円柱状や円柱状で周面にねじが切られた金属製の人工歯根を用い、このような人工歯根を顎骨に埋設するための円形の孔や内面にねじが切られた孔の形成が行われる。このような人工歯根を埋設するための顎骨への孔の形成では、専用の種々のドリルが用いられ、また、これらのドリルを使用するためのハンドピースなどを含むインプラント用ドリルシステムが用いられる。
人工歯根を埋設するための孔を顎骨へ形成するためのドリルの1つとして、径が細い先端刃部と径が太い後端刃部とを有することで回転振れを抑えた穿孔用ドリルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、このようなドリルを使用するためのハンドピースで、トルクを所望値に設定可能なハンドピースを含むインプラント用ドリルシステムなどが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、インプラント治療では、人工歯根として円柱状や円柱状で周面にねじが切られた金属製の部材を顎骨に埋設し結合させている。このため、人工歯根と顎骨が直接接触することになり、歯を噛み合わせたときなどに人工歯根にかかる力が顎骨に直接作用してしまう。これに対して、天然の歯では、歯根と顎骨との間には歯根膜が存在し、この歯根膜が歯を噛み合わせたときなどに歯にかかる力が顎骨に直接作用するのを抑制する緩衝材のような働きをしている。したがって、インプラント治療により埋設した人工歯根では、天然の歯の場合と異なり、歯を噛み合わせたときなどに顎骨へかかる負担が増大するという問題がある。また、天然歯とインプラント治療により移植したインプラント義歯を併せ持つ症例では、咬合時に、天然歯は沈下するがインプラント義歯は移動しないことから、インプラント部分に過度の負担がかかる可能性があり、インプラント治療を行なった場合の咬合調整を困難にする原因となっている。さらに、インプラントでは、歯根膜に存在する圧受容器がないために、咬合力の調整が不安定になる。
そこで、天然の歯根と同様の構造を有する再生歯根、または、そのような再生歯根を有する再生歯を埋設する治療、さらに、抜去した歯牙を植え替える治療などが考えられている。抜去した歯牙はもちろんのこと、再生歯根も、実際の歯の歯根と同じ構造であるため、歯牙や再生歯根と顎骨つまり歯槽骨との間に歯根膜を介在させ、移植した歯牙や再生歯根は歯根膜によって顎骨に形成した孔に保持されることとなる。このため、歯を噛み合わせたときなどに歯牙や再生歯根にかかる力が顎骨に直接作用するのを歯根膜が緩衝し、歯を噛み合わせたときなどに顎骨へかかる負担が増大するのを抑制することができる。
このような抜去した歯牙や再生歯根を顎骨に埋設する場合にも、顎骨に歯牙や再生歯根を埋設するための孔を形成する必要があるが、特許文献1に提案されているようなインプラント治療で用いるようなドリルや特許文献2に提案されているようなインプラント用ドリルシステムなどでは、天然の歯と同様の形状の再生歯根を埋設するための孔を顎骨に形成することはできない。このため、歯牙や再生歯根を用いた治療を行うためには、歯牙や再生歯根を埋設して移植するための孔を顎骨に形成するためのドリルなどの再生歯根移植用の器具が必要である。
本発明の課題は、顎骨に歯牙や再生歯根を埋設するための孔を形成するための器具を提供することにある。
本発明の歯科用のドリルセットは、柱状の基部と、この基部の一端部側に設けられて切削刃を有する球状の刃部を設けた第1のドリルと、柱状の基部、及びこの基部の一端部側に設けられて柱状の外形に形成されて切削刃を有する刃部を設けた第2のドリルと、この第2のドリルの刃部の外形よりも太い外形に形成された柱状の部分から、この柱状の部分に連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成されたテーパー状の部分にかけて形成した切削刃を有する刃部、及びこの刃部と同軸にこの刃部よりも先端側に延在する第2のドリルの刃部の外形と同じ太さの柱状のガイド部を設けた第3のドリルと、この第3のドリルの刃部の柱状の部分の外形と同じ太さの柱状の基部、及びこの基部に連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成された切削刃を有する刃部を設けた第4のドリルとを備えた構成とすることにより上記課題を解決する。
このような構成とすれば、第1のドリルから第3のドリルによってほぼ必要な深さの孔を形成し、さらに、第4のドリルによって孔の形状を整えることによって、先端に向かうに連れて細くなった天然の歯の歯根部と同様の形状を有する再生歯根の形状に対応した形状の孔を顎骨に穿設することが可能になる。したがって、顎骨に歯牙や再生歯根を埋設するための孔を形成するための器具となる歯科用のドリルセットを提供できる。
また、第2のドリル及び第4のドリルは、各々の基部または刃部の少なくとも一方に第2のドリル及び第4のドリルが挿入された深さを指示する指示目盛りが設けられている構成とする。
ところで、天然の歯では、切歯や犬歯などの歯根は1本であるのに対して、臼歯などの歯根は複数本に分岐しており、臼歯にかかる力を分散して歯根にかかる負担や歯槽骨にかかる負担を低減している。抜去した歯牙はもちろんのこと、再生歯根でも天然の歯に対応して臼歯の再生歯根は複数本に分岐した形状となるが、この場合、複数本に分岐した歯根を有する歯牙や複数本に分岐した再生歯根の形状に対応する形状の孔を顎骨に形成する必要がある。
これに対して、柱状で一方の端面に切削刃を有する第5のドリルを備えた構成とする。このような構成とすれば、第4のドリルで顎骨の歯牙や再生歯根の移植位置に複数の孔を形成した後、複数の孔の間の顎骨の部分を第5のドリルで切削することで複数本に分岐した歯根を有する歯牙や複数本に分岐した再生歯根の形状に対応する形状の孔を顎骨に形成できる。
さらに、第4のドリルで穿設した複数の孔の外側に位置する内面に当接する複数の脚部、及び、この複数の脚部が連結されて前記第4のドリルで穿設した隣り合う複数の孔に挟まれるか、または、囲まれた部分に対応する位置に第5のドリルと同じ径で第5のドリルを挿通可能な貫通孔が形成されている板状部を有し、第5のドリルによる切削をガイドする第5のドリル用のガイド部材を含む構成とする。このような構成とすれば、第5のドリル用のガイド部材によって、複数の第4のドリルで形成した孔の間にある顎骨の部分に対する第5のドリルの位置合わせが容易になり、第5ドリル11による切削作業を簡素化できる。
また、第5のドリルは、周面に第5のドリルが挿入された深さを指示する指示目盛りが設けられている構成とする。
さらに、第2のドリルの刃部の外形と同じ径を有し、第2のドリルで穿設した孔に挿入可能な円柱状の脚部、及び、この脚部が連結されて第2のドリルの刃部の外形と同じ径で第2のドリルを挿通可能な貫通孔が形成されている板状部を有し、第2のドリルによる孔の穿設位置をガイドする第2のドリル用のガイド部材を含む構成とする。このような構成とすれば、第2のドリル用のガイド部材によって、第2のドリルにより複数の孔を形成するとき、第2のドリルにより先に形成した孔をガイドとして他の孔を形成でき、第2のドリルによる複数の孔の形成作業を簡素化できる。
また、第2のドリルの刃部の外形と同じ径の円柱状で、第2のドリルで穿設した孔に挿入する挿入部、及びこの挿入部と同軸に延在して第2のドリルで穿設した孔から突出し、第2のドリルで穿設した孔の延在方向を指示する指示部を設けた方向指示棒を含む構成とする。
さらに、本発明の歯科用のドリルシステムは、上記のいずれかのドリルセットと、このドリルセットの各ドリルを装着可能なコントラヘッドとを備えた構成とすることにより上記課題を解決する。
また、コントラヘッドは、ドリルを取り付けるための取付具を、移植する再生歯根の形状に対応する位置に複数有する構成とする。これにより、複数本に分岐した形状の歯根を有する歯牙や複数本に分岐した形状の再生歯根に対応する複数の孔を、各ドリル毎に1回の穿孔作業で形成することができ、顎骨への複数本に分岐した歯根を有する歯牙や複数本に分岐した再生歯根の移植のための孔の形成作業を簡素化できる。
さらに、コントラヘッドは、第2のドリル用のガイド部材を装着可能であり、コントラヘッドに取り付けられるドリルは、第2のドリル用のガイド部材の貫通孔に挿通させてコントラヘッドに装着する構成とする。このような構成とすることにより、第2のドリルによる複数の孔の形成作業をより簡素化できる。
また、コントラヘッドは、第5のドリル用のガイド部材を装着可能であり、コントラヘッドに取り付けられるドリルは、第5のドリル用のガイド部材の貫通孔に挿通させてコントラヘッドに装着する構成とする。このような構成とすることにより、複数本に分岐した歯根を有する歯牙や複数本に分岐した再生歯根の移植のための孔の顎骨への形成作業をより簡素化できる。
さらに、コントラヘッドは、このコントラヘッドのドリルを装着する面が向く方向を調整可能である構成とすれば、臼歯などの口の奥の方に歯牙や再生歯根を埋設するための顎骨への孔の形成作業が容易になり、作業性が向上する。
本発明によれば、顎骨に歯牙や再生歯根を埋設するための孔を形成するための器具を提供できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる歯科用のドリルセット及びドリルセットの第1の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる歯科用のドリルセットの構成を模式的に示す側面図である。図2は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれる2本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるガイド部材の構成を模式的に示す図である。図3は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれる3本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるガイド部材の構成を模式的に示す図である。図4は、本発明を適用してなるドリルシステムに含まれるコントラヘッドの概略構成を模式的に示す図である。
以下、本発明を適用してなる歯科用のドリルセット及びドリルセットの第1の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる歯科用のドリルセットの構成を模式的に示す側面図である。図2は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれる2本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるガイド部材の構成を模式的に示す図である。図3は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれる3本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるガイド部材の構成を模式的に示す図である。図4は、本発明を適用してなるドリルシステムに含まれるコントラヘッドの概略構成を模式的に示す図である。
図5は、本発明を適用してなるドリルシステムに含まれる2本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるコントラヘッドのドリル取り付け部の平面図である。図6は、本発明を適用してなるドリルシステムに含まれる3本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるコントラヘッドのドリル取り付け部の平面図である。図7は、本発明を適用してなるドリルシステムに含まれる3本に分岐した複根の再生歯根の移植に用いるコントラヘッドの駆動機構の例を模式的に示した図である。図8は、再生歯根の移植のために形成する孔の配置の一例を歯の種類毎に示す図である。図9及び10は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムを用いた再生歯根の移植の方法を説明する図である。図11は、複根の再生歯根の移植のために顎骨に形成する孔の平面形状の一例を示す図である。
なお、以下の説明では、再生歯根を移植する場合を一例として説明を行っている。しかし、本発明は、再生歯根を移植するために顎骨に孔を形成する場合に限らず、抜去した歯牙を植え替える治療を行なうため、抜去した歯牙を移植するために顎骨に孔を形成する場合などにも適用できる。
本実施形態の歯科用のドリルセット1は、図1に示すように、第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、第5ドリル11の5種類のドリルを備えている。第1ドリル3は、円柱状の基部3a、基部3aの一端部側に設けられて基部3aと同軸で基部3aよりも径が細い柄部3b、柄部3bの先端部に設けられて切削刃を有する球状の刃部3c、基部3aの刃部3cと反対側の端部に設けられて図1には図示していないコントラヘッドに取り付けるための取付部3dなどを有している。
第2ドリル5は、円柱状の基部5a、基部5aの一端部側に設けられてこの基部5aと同じ径d1の外形の柱状に形成された切削刃を有する刃部5b、基部5aの刃部5bと反対側の端部に設けられて図1には図示していないコントラヘッドに取り付けるための取付部5cなどを有している。本実施形態の第2ドリル5では、刃部5bは基部5aよりも長くなっており、刃部5bの周面には、第2ドリル5が挿入された深さがわかるように、複数の指示目盛5dが設けられている。指示目盛5dは、基部5aが刃部5bよりも長い場合などには、基部5aに設けることもでき、基部5aや刃部5bの長さに応じて基部5aまたは刃部5bの少なくとも一方に設けるといったように適宜の位置に設けておく。第2ドリル5の刃部5bの外形の直径d1は、再生歯根の移植のために最終的に形成する孔よりも細くなっている。
第3ドリル7は、第2ドリル5の刃部5bの外形の径d1よりも太い外形に形成された柱状の部分7aから、この柱状の部分7aに連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成されたテーパー状の部分7bにかけて形成した切削刃を有する刃部7c、刃部7cと同軸で刃部7cよりも先端側に延在する第2ドリル5の刃部5bの外形と同じ径d1の円柱状のガイド部7d、刃部7cのガイド部7dと反対側の端部に設けられて図1には図示していないコントラヘッドに取り付けるための取付部7eなどを有している。このように、第3ドリル7のガイド部7dは、第2ドリル5で形成した孔に挿入可能になっており、第2ドリル5で形成した孔の延在方向に沿って第3ドリル7を挿入して行くためのガイドの役割を果たす。
第4ドリル9は、第3ドリル7の刃部7cの円柱状の部分7aの外形と同じ径d2の円柱状の基部9a、基部9aに連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成された切削刃を有する刃部9b、基部9aの刃部9bと反対側の端部に設けられて図1には図示していないコントラヘッドに取り付けるための取付部9cなどを有している。第4ドリル9の刃部9bは、再生歯根の形状に対応する形状になっており、再生歯根を挿入可能な径になっている。また、第4ドリル9の刃部9bの先端は、尖った角形状にならないよう角が取られて丸く形成されていることが望ましい。これにより顎骨に形成された孔からできるだけ角を無くし、角になった部分で生じやすい骨の吸収を抑制している。本実施形態の第4ドリル9では、刃部9bには、第4ドリル9が挿入された深さがわかるように、複数の指示目盛9dが設けられている。指示目盛9dは、基部9aが刃部9bよりも長い場合などには、基部59aに設けることもでき、基部9aや刃部9bの長さに応じて基部9aまたは刃部9bの少なくとも一方に設けるといったように適宜の位置に設けておく。
第5ドリル11は、円柱状の胴部11aの一方の端面11bに切削刃を有し、さらに、端面11bと反対側の端部に設けられて図1には図示していないコントラヘッドに取り付けるための取付部11cなどを有している。本実施形態の第5ドリル11では、切削刃を有する端面11bは、凹面状に形成されており、この凹面状の端面11bを囲む壁面の対向する部分が切り欠かれた形状になっている。第5ドリル11は、他のドリルと異なり、孔を穿設するためのものではなく、複数の孔の間に残された壁などを切削して複数の孔の開口側の少なくとも一部を連結するためのものである。また、本実施形態の第5ドリル11の円柱状の胴部11aの周面には、第5ドリル11が挿入された深さがわかるように、複数の指示目盛11dが設けられている。
なお、第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、第5ドリル11に設けられた切削刃の形状は、各ドリルの説明で示したような位置に、各ドリルの説明で示したような外形の形状になるように形成され、顎骨に孔または複数の孔の間に残された壁などを切削できれば、人工歯根を用いるインプラント治療用の公知のドリルの切削刃と同様に、様々な形態で形成できる。したがって、図1では、説明をわかりやすくするために第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9の各刃部3c、5c、7c、9bなどに切削刃を意味する実線が示されているが、図1に示された形態に限らず、切削刃の形態は適宜選択できる。また、第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、第5ドリル11は、人工歯根を用いるインプラント治療用の公知のドリルと同様に、チタンやステンレス、適宜の合金などの耐腐食性、耐錆性などを有し、必要な硬度や剛性を有する適宜の金属材料で形成されている。
さらに、本実施形態のドリルセット1では、ドリルではないが、第2ドリル5で形成した孔の延在方向を確認するための方向指示棒13を含んでいる。方向指示棒13は、第2ドリル5の刃部5bの外形と同じ径d1の円柱状で、第2ドリル5で穿設した孔に挿入する挿入部13a、挿入部13aと同軸に延在して第2ドリル5で穿設した孔から突出し、第2ドリル5で穿設した孔の延在方向を指示する指示部13bなどを有している。本実施形態の方向指示棒13では、指示部13bの挿入部13aとの境界部分には、鍔状に張り出した鍔状部分13cを有しており、鍔状部分13c以外の指示部13bの部分も挿入部13aよりも径が太くなっている。方向指示棒13は、チタンやステンレス、適宜の合金などの耐腐食性、耐錆性などを有する適宜の金属材料で形成されている。
加えて、本実施形態のドリルセット1では、ドリルではないが、第5ドリル11の切削位置の位置決めをガイドする第5ドリル用のガイド部材15、17を含んでいる。ガイド部材15は、図2に示すように、2本に分岐した複根の再生歯根に対応する孔を顎骨に形成する場合に用いるものであり、中央部分に第5ドリル11の直径d3と同じ径で第5ドリル11を挿入可能な貫通孔15aが形成された板状部15b、板状部15bの対向する縁部分に同方向に突設された2本の脚部15cなどを有している。
本実施形態のガイド部材15では、図2(c)に示すように、板状部15bは、第4ドリル9で穿設した隣り合う2つの孔19を覆う楕円形状に形成されている。そして、脚部15cは、第4ドリル9で穿設した隣り合う2つの孔19に挿入されたとき、隣り合う2つの孔19の各々の外側に位置する内面部分に当接する板状部15bの位置に設けられている。さらに、板状部15bに形成された貫通孔15aは、隣り合う2つの孔19に挟まれた顎骨の部分21に対応する位置に形成されている。なお、ガイド部材15は、チタンやステンレス、適宜の合金などの耐腐食性、耐錆性などを有する適宜の金属材料で形成されている。また、必要に応じ、ガイド部材15は、第4ドリル9で穿設した隣り合う2つの孔19の間隔に応じて脚部15cの間隔が異なるものを複数種類用意する。
ガイド部材17は、図3に示すように、3本に分岐した複根の再生歯根に対応する孔を顎骨に形成する場合に用いるものであり、中央部分に第5ドリル11の直径d3と同じ径で第5ドリル11を挿入可能な貫通孔17aが形成された板状部17b、板状部17bのほぼ等間隔に3カ所の縁部分に同方向に突設された3本の脚部17cなどを有している。
本実施形態のガイド部材17では、図3(c)に示すように、板状部17bは、第4ドリル9で三角形の角にあたる位置に穿設した3つの孔19を覆うほぼ円形状に形成されている。そして、3本の脚部17cは、第4ドリル9で穿設した3つの孔19に挿入されたとき、これら3つの孔19の各々の外側に位置する内面部分に当接する板状部17bの位置に設けられている。さらに、板状部17bに形成された貫通孔17aは、3つの孔19に囲まれた顎骨の部分に対応する位置に形成されている。なお、ガイド部材17も、チタンやステンレス、適宜の合金などの耐腐食性、耐錆性などを有する適宜の金属材料で形成されている。また、必要に応じ、ガイド部材17は、第4ドリル9で穿設した3つの孔19の間隔に応じて脚部17cの間隔が異なるものを複数種類用意する。
ガイド部材15、17の縁部には、各々、貫通孔15d、17dが穿設されており、この貫通孔15d、17dに糸15e、17eの一端が結び付けられている。また、この糸15e、17eの他端は、医者が手で持ったり、机などに固定されている。これにより、ガイド部材15、17を患者の口の中などに落としたりしても、容易にガイド部材15、17を回収できるようになっている。なお、糸15e、17eには、容易に切れないものであれば様々な材料の糸や紐などを用いることができる。
このようなドリルセット1と共にドリルシステムを構成するコントラヘッドについて説明する。本実施形態のドリルシステムのコントラヘッド27は、図4に示すように、ドリルを取り付けるヘッド部27a、柄部27bなどを有しており、図示していないインプランターやその他のマイクロモータのハンドピースなどに連結して用いられる。本実施形態のコントラヘッド27は、ヘッド部27aと柄部27bとの間に関節部27cを有している。コントラヘッド27のヘッド部27aは、ドリルセット1の第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、第5ドリル11の各取付部3d、5d、7e、9c、11cを取り付けるチャックなどの取付具27dが設けられたドリル装着面27eを有している。また、本実施形態のコントラヘッド27の柄部27bには、図示していないハンドピースに連結するための連結面27fを有している。
コントラヘッド27の連結面27f側に設けられ図示していないハンドピースの駆動軸に連結されるカプリング27gとドリル装着面27eの取付具27dとの間はワイヤー27hで連結されており、このワイヤー27hを介してハンドピースの回転が取付具27dに伝達され、取付具27dに取り付けられたドリルを回転させる。したがって、関節部27cでヘッド部27aの柄部27bに対する角度を変えることができるようになっている。
なお、本実施形態のコントラヘッド27は、インプランターやその他のマイクロモータのハンドピースなどに連結するものであるが、ハンドピースからの駆動力の伝達は、本実施形態のようにワイヤー27hに限らず、エアー駆動などにすることもできる。つまり、本発明のドリルシステムのコントラヘッドは、エアタービンなどのハンドピースに連結して用いる構成にすることもできる。このようなエアタービンを用いたエアー駆動の場合も、関節部を設けることでヘッド部の柄部に対する角度を変えることができる。
このように、コントラヘッド27は、関節部27cによってヘッド部27aの柄部27bに対する角度を変えることで、ドリルを装着するドリル装着面27eが向く方向を調整可能になっている。また、本実施形態のコントラヘッド27のヘッド部27aのドリル装着面27eには、図示していないガイド部材取付具が設けてあり、図4(c)に示すように、ドリル装着面27eに、貫通孔15a、17aに第5ドリル11を相通した状態でガイド部材15、17を取り付け可能になっている。
コントラヘッド27は、図4に示すように、1本のドリルを取り付けるためのものであるが、本実施形態のドリルシステムでは、このコントラヘッド27以外に、2本のドリルを取り付けるためのコントラヘッド、3本のドリルを取り付けるためのコントラヘッドを含んでおり、併せて3種類のコントラヘッドが含まれている。2本のドリルを取り付けるためのコントラヘッド29及び3本のドリルを取り付けるためのコントラヘッド31は、1本のドリルを取り付けるためのコントラヘッド27と基本的な構造は同じである。
ただし、コントラヘッド29のヘッド部29aのドリル装着面29bには、図5に示すように、横並びに2つのドリルを取り付ける取付具29cを有している。コントラヘッド31のヘッド部31aのドリル装着面31bには、図6に示すように、三角形の角にあたる位置に3つのドリルを取り付ける取付具31cを有している。また、必要に応じ、コントラヘッド29とコントラヘッド31は、患者の顎骨の大きさや顎骨に穿設する孔19の間隔に応じて、取付具29c、31cの間隔が異なるもの、取付具29c、31cの間隔によってはドリル装着面29b、31bの大きさが異なるものなどを複数種類用意する。
コントラヘッド31のような複数のドリルを取り付けてワイヤーで図示していないハンドピースからの駆動力を伝達する場合は、例えば図7(a)(b)に示すように、各取付具31cの軸状部分のヘッド部31a内に位置する基部に各々歯車31dを取り付ける。そして、これらの取付具31cの1つに駆動力を伝達するワイヤー31eを、カップリング31fを介して連結し、残りの2つの取付具31cの歯車31dをワイヤー31eが連結された取付具31cの歯車31dに噛み合わせた状態とする。また、取付具31cは、ヘッド部31aのドリル装着面31gとなる壁に形成された3つの貫通孔31h内に挿通され、貫通孔31h内に設けられたベアリング、メタル軸受や含油軸受などからなる軸受31iによって回転可能に支持されている。
また、各取付具31cの歯車31dへの駆動力の伝達方法は、例えば図7(c)に示すように、各取付具31cの歯車31dの周囲に内面側に歯を有する環状の歯車31jを設け、各取付具31cの歯車31dを、各々、この環状の歯車31jに噛み合わせる構成にすることもできる。さらに、各取付具31cの歯車31dへの駆動力の伝達方法は、例えば図7(d)に示すように、各取付具31cの歯車31d間の中央部に駆動用のワイヤー31eが連結された歯車31kを設け、各取付具31cの歯車31dを、各々、この歯車31kに噛み合わせる構成などにすることもできる。
このような構成のドリルセット1及びドリルシステムを用いた再生歯根の移植のための施術方法と本発明の特徴部などについて説明する。ドリルセット1及びドリルシステムを用いて再生歯根の移植のために顎骨に形成する孔の数及び配置は、例えば図8に示すようなものである。永久歯の場合、図8(a)に示すように、切歯や犬歯は単根の再生歯根となるため、移植のために形成する孔35、37は、各1つとなる。小臼歯は2本の複根の再生歯根となるため、移植のために形成する孔39は、各2つとなる。大臼歯は3本の複根の再生歯根となるため、移植のために形成する孔41は、各3つとなる。また、大臼歯では、一番奥に位置するもの以外は、両隣に他の歯があるため、小臼歯と同様に、2本の複根の再生歯根を用い、移植のために形成する孔41を各2つとする場合もある。
一方、乳歯の場合、図8(b)に示すように、切歯や犬歯は単根の再生歯根となるため、移植のために形成する孔43、45は、各1つとなる。乳臼歯は3本の複根の再生歯根となるため、移植のために形成する孔47は、各3つとなる。また、乳臼歯では、一番奥に位置するもの以外は、両隣に他の歯があるため、2本の複根の再生歯根を用い、移植のために形成する孔47を各2つとする場合もある。
まず、切歯や犬歯などの単根の再生歯根の移植について説明する。ここでは、図4に示したような1つの取付具27dを設けたドリル装着面27eを有するコントラヘッド27に、図1に示したようなドリルセット1の各ドリルを取り付けて穿孔を行う。顎骨の所定の位置に、図9(a)(b)に示すように、第1ドリル3を用いて、単根の再生歯根の移植のための孔35、37、43、45を形成する位置の位置決めのために、浅い孔48を形成する。この浅い孔48をガイドとして、第2ドリル5を用いて、図9(c)に示すように、最終的に形成しようとする孔35、37、43、45に近い深さの孔49を形成する。このとき、第2ドリル5の周面に設けた5dによって深さを確認しながら孔49を穿孔する。孔49の径は、再生歯根の移植のために最終的に形成しようとする孔49よりも細くなっている。孔49を穿孔した後、図9(d)に示すように、この孔49に方向指示棒13の挿入部13aを挿入し、指示部13bの延在方向から、孔49の穿孔方向などの確認を行う。
孔49の穿孔方向などの確認後、方向指示棒13を抜き取り、今度は、図9(e)に示すように、第3ドリル7を用いて、孔49の開口部分の径を、最終的に形成しようとする孔35、37、43、45の径に拡げる。この後、図9(f)に示すように、第4ドリル9を用い、第3ドリル7で径を拡げた孔49の開口部分をガイドとしながら穿孔を行う。このとき、第4ドリル9の周面に設けた指示目盛9dによって深さを確認しながら穿孔する。
これにより、切歯や犬歯などの単根の再生歯根の形状に対応する漸次径が小さくなる形状の孔35、37、43、45が形成される。なお、永久歯の切歯や犬歯のための単根の再生歯根の移植のための孔35、37、乳歯の切歯や犬歯のための単根の再生歯根の移植のための孔43、45は、形成の手順は同じであるが、必要な孔の大きさが異なるため、適宜必要な径や長さの第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、方向指示棒13などを用いて作業を行う。
このように形成した孔35、37、43、45に、図9(g)に示すように、再生歯根51を埋入して縫合し、さらに、図9(h)に示すように、この再生歯根51に人工歯冠や再生歯冠などの歯冠53を補綴する。なお、ここでは、再生歯根51に人工歯冠や再生歯冠などの歯冠53を補綴する場合を例として説明している。しかし、天然の歯と同様に、歯根と歯冠を一体に再生して形成した再生歯を用いることもでき、この場合、図9(h)に示すような再生歯根51に歯冠53を補綴する手順は必要ない。
次に、臼歯などの複根の再生歯根の移植について説明する。ここでは、2本に分岐した再生歯根の場合、図5に示したような2つの取付部29cを設けたドリル装着面29bを有するコントラヘッド29に、図1に示したようなドリルセット1の第1ドリル3から第4ドリル9までの各ドリルを2本ずつ取り付けて穿孔を行う。3本に分岐した再生歯根の場合、図6に示したような3つの取付部31cを設けたドリル装着面31bを有するコントラヘッド31に、図1に示したようなドリルセット1の第1ドリル3から第4ドリル9までの各ドリルを3本ずつ取り付けて穿孔を行う。さらに、図4に示したような1つの取付部27cを設けたドリル装着面27bを有するコントラヘッド27に、図2に示したようなガイド部材15またはガイド部材17、そして1本の第5ドリル11を取り付けて切削を行う。
なお、以下の説明では、小臼歯のように2本に分岐した複根の再生歯根の移植のための2つの孔39を形成する場合を例として説明を行うが、大臼歯や乳臼歯のように3本に分岐した複根の再生歯根の移植のための3つの孔41、47を形成する場合でも、使用する各ドリルの本数や、ガイド部材15に代えて図3に示したようなガイド部材17を用いる点以外、手順などは同じである。
顎骨の所定の位置に、図10(a)(b)に示すように、2本の第1ドリル3を用いて、複根の再生歯根の移植のための孔39を形成する位置の位置決めのために、2つの浅い孔48を形成する。この浅い孔48をガイドとして、2本の第2ドリル5を用いて、図10(c)に示すように、最終的に形成しようとする孔39に近い深さの2つの孔49を形成する。このとき、第2ドリル5の周面に設けた指示目盛5dによって深さを確認しながら孔49を穿孔する。孔49の径は、再生歯根の移植のために最終的に形成しようとする孔49よりも細くなっている。孔49を穿孔した後、図10(d)に示すように、各孔49に方向指示棒13の挿入部13aを挿入し、指示部13bの延在方向から、各孔49の穿孔方向などの確認を行う。
各孔49の穿孔方向などの確認後、今度は、図10(e)に示すように、2本の第3ドリル7を用いて、各孔49の開口部分の径を、最終的に形成しようとする孔39の径に拡げる。この後、図10(f)に示すように、2本の第4ドリル9を用い、第3ドリル7で径を拡げた各孔49の開口部分をガイドとしながら穿孔を行う。このとき、第4ドリル9の周面に設けた指示目盛9dによって深さを確認しながら穿孔する。これにより、第4ドリル9によって、臼歯などの複根の再生歯根の2本に分岐した部分の形状に対応する2つの孔39が形成される。
さらに、臼歯などの複根の再生歯根の分岐していない部分が収容される空間54を形成するため、図10(g)に示すように、ガイド部材15と第5ドリル11を用いて、2つの孔39の間の顎骨の部分21を、2つの孔39の開口部分から中央部分に対応する位置まで切削して除去する。このとき、第5ドリル11の胴部11aの周面に設けた指示目盛11dによって深さを確認しながら切削を行う。また、このとき、コントラヘッド27に、図2に示したようなガイド部材15、そして、1本の第5ドリル11を取り付け、図2(c)に示すように、ガイド部材15の脚部15cが隣り合う2つの孔39に挿入されたとき、隣り合う2つの孔19の各々の外側に位置する内面部分に当接することで、第5ドリル11が2つの孔39の間の顎骨の部分に位置合わせされる。なお、図2(c)に示す孔19は、図10では孔39となっている。
これにより、臼歯などの複根の再生歯根の形状に対応する漸次径が小さくなる形状の2つの孔39を含む、図10(h)に示したような断面形状及び図11(a)に示したような平面形状を有する孔55が形成される。なお、永久歯の小臼歯や大臼歯のための複根の再生歯根の移植のための孔39、41、乳歯の乳臼歯のための複根の再生歯根の移植のための孔47は、形成の手順は同じであるが、必要な孔の大きさや間隔が異なるため、適宜必要な径や長さの第1ドリル3、第2ドリル5、第3ドリル7、第4ドリル9、第5ドリル11、方向指示棒13、適宜必要な間隔の脚部15c、17cを有するガイド部材15、17、適宜必要な間隔の取付具取付具29c、31cを有するコントラヘッド29、31などを用いて作業を行う。
また、3本に分岐した複根の再生歯根の場合には、図3に示すようなガイド部材17と第5ドリル11を用いて、3つの孔19に囲まれた顎骨の部分を、3つの孔19の開口部分から中央部分に対応する位置まで切削して除去する。このとき、コントラヘッド27に、図3に示したようなガイド部材17、そして、1本の第5ドリル11を取り付け、図3(c)に示すように、ガイド部材17の脚部17cが3つの孔19に挿入されたとき、3つの孔19の各々の外側に位置する内面部分に当接することで、第5ドリル11が3つの孔19の間の顎骨の部分に位置合わせされる。これにより、臼歯などの複根の再生歯根の形状に対応する漸次径が小さくなる形状の3つの孔41、47を含む、図11(b)に示したような平面形状を有する孔56が形成される。なお、図3(c)に示す孔19は、図11では孔41、47となっている。
このように形成した孔55に、図10(h)に示すように、複根の再生歯根57を埋入して縫合し、さらに、図10(i)に示すように、この再生歯根57に人工歯冠や再生歯冠などの歯冠59を補綴する。なお、ここでも、再生歯根57に人工歯冠や再生歯冠などの歯冠59を補綴する場合を例として説明している。しかし、天然の歯と同様に、歯根と歯冠を一体に再生して形成した再生歯を用いることもでき、この場合、図10(i)に示すような再生歯根57に歯冠59を補綴する手順は必要ない。
このように、本実施形態のドリルセット1及びドリルセット1を含むドリルシステムでは、再生歯根の移植のために形成する孔の位置決めのための浅い孔を形成する第1ドリル3、再生歯根の移植のために形成する孔に近い深さのより細い孔を形成する第2ドリル5、この第2ドリル5で形成した孔の開口部分の径を拡げる第3ドリル7、そして、この第3ドリル7で径を拡げた孔の開口部分をガイドとしながら穿孔を行い、移植する再生歯根の形状に対応する形状の孔を形成する第4ドリル9を備えている。このため、先端に向かうに連れて細くなった天然の歯の歯根部と同様の彎曲した形状を有する再生歯根の形状に対応した先端に向かうに連れて細くなった彎曲した形状の孔を顎骨に穿設することが可能になる。したがって、顎骨に再生歯根を埋設するための孔を形成するための器具となる歯科用のドリルセット及びドリルシステムを提供できる。
さらに、本実施形態のドリルセット1及びドリルシステムでは、第2ドリル5、第4ドリル9及び第5ドリル11には、第2ドリル5、第4ドリル9及び第5ドリル11が挿入された深さを指示する指示目盛5d、9d、11dが設けられている。このため、穿孔しながら孔の深さを確認することができる。ただし、第2ドリル5、第4ドリル9及び第5ドリル11は、深さを指示する指示目盛5d、9d、11dが設けられていない構成にすることもできる。
ところで、天然の歯では、切歯や犬歯などの歯根は1本であるのに対して、臼歯などの歯根は複数本に分岐しており、臼歯にかかる力を分散して歯根にかかる負担や歯槽骨にかかる負担を低減している。再生歯根でも天然の歯に対応して臼歯の再生歯根は複数本に分岐した形状となるが、この場合、複数本に分岐した再生歯根の形状に対応する形状の孔を顎骨に形成する必要がある。
これに対して、本実施形態のドリルセット1及びドリルシステムでは、複数の孔に挟まれた顎骨の部分、または、複数の孔に囲まれた顎骨の部分を切削するための第5ドリル11を備えている。このため、複数本に分岐した再生歯根の形状に対応する形状の孔を顎骨に形成できる。ただし、単根の再生歯根の移植しか行わない場合などには、第5ドリル11を含まない構成にすることもできる。
さらに、現在、歯牙の再移植手術が臨床で用いられているが、臼歯のような複数本に分岐した歯根を有する歯を移植する場合、複数本に分岐した歯根全てを収容する1つの大きな孔を顎骨に形成している。
これに対して、本実施形態のドリルセット1及びドリルシステムでは、複数本に分岐した歯根に対応する数の孔を顎骨に形成できる。このため、複数本に分岐した歯根を有する歯牙の再移植において、顎骨の削除量を低減することができる。
また、術後の移植した歯牙の安定化の向上や治療の早期化なども可能となる。
また、術後の移植した歯牙の安定化の向上や治療の早期化なども可能となる。
さらに、本実施形態のドリルセット1及びドリルシステムでは、第5ドリル11による切削位置をガイドするガイド部材15、17を含んでいる。したがって、第5ドリル11による切削を行うとき、第5ドリル11の位置合わせが容易になり、第5ドリル11による切削作業を簡素化できる。ただし、ガイド部材15、17を含んでいない構成にすることもできる。
加えて、本実施形態のドリルシステムでは、コントラヘッド29、31といった、再生歯根の分岐数及び形状に対応する数及び位置に複数のドリルを装着可能なコントラヘッドを含んでいる。このため、複数本に分岐した形状の再生歯根に対応する複数の孔を、各ドリル毎に1回の穿孔作業で形成することができ、顎骨への再生歯根の移植のための孔の形成作業を容易にできる。
さらに、本実施形態のドリルシステムでは、コントラヘッド27は、第5ドリル11用のガイド部材15、17を装着可能になっている。このため、ガイド部材15、17を第4ドリル9で形成した複数の孔に設置し、その後、第5ドリル11による切削作業を行うといった手順が必要なくなる。このため、第5ドリル11による切削作業をより簡素化できる。
加えて、本実施形態のドリルシステムでは、コントラヘッド27、29、31は、このコントラヘッド27、29、31のドリル装着面27e、29b、31bが向く方向を調整可能になっている。このため、臼歯などの再生歯根などのように、口の奥の方に再生歯根を移植するための顎骨への孔の形成作業が容易になり、作業性が向上する。
また、本実施形態では、第2ドリル5で穿設した孔の延在方向を確認するため、第2ドリル5で穿設した孔の延在方向を指示する指示部を設けた方向指示棒13を含んでいる。しかし、方向指示棒13を含んでいない構成にすることもできる。
また、本実施形態では、第2ドリル5で穿設した孔の延在方向を確認するため、第2ドリル5で穿設した孔の延在方向を指示する指示部を設けた方向指示棒13を含んでいる。しかし、方向指示棒13を含んでいない構成にすることもできる。
また、本実施形態では、ドリルの取り付け本数が異なる3種類のコントラヘッド27、29、31を用いている。しかし、コントラヘッドのドリル装着面を含む部分を取り替え可能な構成とし、1種類のコントラヘッドで異なるドリルの取り付け本数に対応できるようにすることもできる。
例えば、コントラヘッド61は、図12に示すように、ヘッド部分61aに、このヘッド部分61aに着脱可能で、ドリル装着面63aを含む交換ユニット63を有する構成とする。コントラヘッド61の交換ユニット63の内部は、コントラヘッド31のヘッド部分61aの内部と同様の構成になっており、各取付具63bの軸状部分の交換ユニット63内に位置する基部に各々歯車63cが取り付けられている。そして、これらの取付具63bの1つに駆動力を伝達する回転軸63dが設けられている。
回転軸63dは、交換ユニット63の、コントラヘッド61のヘッド部分61aに取り付ける側の面63eから外に突出した状態となっており、コントラヘッド61のヘッド部分61aの交換ユニット63を取り付ける面に設けられたカップリング61bに連結される。そして、交換ユニット63の残りの2つの取付具63bの歯車63cは、回転軸63dが連結された取付具63bの歯車63cに噛み合わせた状態とする。また、取付具63bは、交換ユニット63のドリル装着面63aとなる壁に形成された3つの貫通孔63f内に挿通され、貫通孔63f内に設けられたベアリング、メタル軸受や含油軸受などの軸受63gによって回転可能に支持されている。回転軸63dも同様に、面63eを有する壁に形成された貫通孔63h内に設けられたベアリング、メタル軸受や含油軸受などの軸受63gによって回転可能に支持されている。
一方、交換ユニット63を取り付けて使用するコントラヘッド61は、コントラヘッド27と同様に、コントラヘッド61の連結面61c側に設けられ図示していないハンドピースの駆動軸に連結されるカプリング61dと、交換ユニット63を取り付けるヘッド部61aの面61eに設けられたカップリング61bとの間がワイヤー61fで連結されている。
このように、コントラヘッドは、本実施形態で示したコントラヘッド27、29、31のような形状や構造に限らず、様々な形状や構造のものを用いることができる。
また、第5ドリル用のガイド部材は、本実施形態で示したガイド部材15、17のような形状や構造に限らず、脚部や貫通孔が形成された板状部などを有し、第5ドリルの切削位置の位置決めができれば、様々な形状や構造のものを用いることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用してなるドリルシステムの第2の実施形態について図1、図10、図13及び図14を参照して説明する。図13は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれるガイド部材の概略構成を模式的に示す斜視図である。図14は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれるガイド部材をコントラヘッドに取り付けた状態を模式的に示す側面図である。なお、本実施形態では第1の実施形態と同一の構成などは同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成などについて説明を行う。
以下、本発明を適用してなるドリルシステムの第2の実施形態について図1、図10、図13及び図14を参照して説明する。図13は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれるガイド部材の概略構成を模式的に示す斜視図である。図14は、本発明を適用してなるドリルセット及びドリルシステムに含まれるガイド部材をコントラヘッドに取り付けた状態を模式的に示す側面図である。なお、本実施形態では第1の実施形態と同一の構成などは同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成などについて説明を行う。
本実施形態のドリルシステムが第1の実施形態と相違する点は、複数本のドリルを取り付けることができるコントラヘッドの代わりに、1本のドリルを取り付けるコントラヘッドを用いて複数の孔を順次形成するため、穿孔をガイドするガイド部材を含むことにある。すなわち、本実施形態のドリルシステムでは、図1に示すようなドリルセット1の第2ドリル5による複数の孔の穿設をガイドするため、第2ドリル用のガイド部材65を含んでいる。ガイド部材65は、図13に示すように、第2ドリル5の刃部5bの外形の径d1と同じ径を有し、第2ドリル5で穿設した孔に挿入可能な円柱状の脚部65a、そして、脚部65aが連結された板状部65bを有している。板状部65bには、第2ドリル5の径と同じ径で第2ドリル5を挿通可能な貫通孔65cが形成されている。
ガイド部材65の脚部65aの中心軸と貫通孔65cの中心の位置の間隔は、移植する複根の再生歯根の分岐した部分の間隔に対応した間隔になっている。したがって、必要に応じ、ガイド部材65は、顎骨に形成する孔の間隔に応じて脚部65aと貫通孔65cとの間隔が異なるものを複数種類用意する。ガイド部材65の縁部には、貫通孔65dが穿設されており、この貫通孔65dに糸65eの一端が結び付けられている。また、この糸65eの他端は、医者が手で持ったり、机などに固定されたりしている。これにより、ガイド部材65を患者の口の中などに落としたりしても、容易にガイド部材65を回収できるようになっている。なお、糸65eには、容易に切れないものであれば様々な材料の糸や紐などを用いることができる。
本実施形態のガイド部材65は、第1の実施形態で説明した第5ドリル用のガイド部材と同様、図14に示すように、コントラヘッド27のヘッド部27aに設けられたドリル装着面27eが有する図示していないガイド部材取付具によって、ドリル装着面27eに取り付け可能になっている。このとき、コントラヘッド27のドリル装着面27eに装着された第2ドリル5は、ガイド部材65の貫通孔65cに挿通された状態となる。
このようなガイド部材65の使用方法について説明する。コントラヘッド27に第2ドリル5のみを装着した状態とし、図10(c)に示すような工程で、第2ドリル5で複数の孔49のうち、最初の1つの孔49を穿孔する。この後、コントラヘッド27に第2ドリル5とガイド部材65とを装着した状態とし、最初に形成した孔49にガイド部材65の脚部65aを挿入しながら、第2ドリル5で残りのもう1つの孔49を穿孔する。これにより、複数の孔を形成するとき、第2ドリル5によって先に形成した孔49をガイドとして、残りの孔49を形成できる。
このように、本実施形態のドリルセット及びドリルシステムでは、ガイド部材65を含んでいることで、第1の実施形態と同様の効果が得られるのに加え、複数種類のコントラヘッドを用いず1本のドリルを取り付けて用いる1種類のコントラヘッドだけを用いる場合でも、複数の孔の形成作業を簡素化できる。
また、第2ドリル用のガイド部材は、本実施形態で示したガイド部材65のような形状や構造に限らず、脚部や貫通孔が形成された板状部などを有し、第2ドリルの穿孔位置の位置決めや穿孔方向を決めることができれば、様々な形状や構造のものを用いることができる。
また、本発明を適用してなるドリルセットやドリルシステムを構成する各ドリルは、第1及び第2の実施形態の形状や構造に限らず、各ドリルの基部や取付部などは様々な形状や構造で形成することができる。
1 ドリルセット
3 第1ドリル
5 第2ドリル
7 第3ドリル
9 第4ドリル
11 第5ドリル
13 方向指示棒
3 第1ドリル
5 第2ドリル
7 第3ドリル
9 第4ドリル
11 第5ドリル
13 方向指示棒
Claims (9)
- 柱状の基部と、該基部の一端部側に設けられて切削刃を有する球状の刃部を設けた第1のドリルと、柱状の基部、及び該基部の一端部側に設けられて柱状の外形に形成されて切削刃を有する刃部を設けた第2のドリルと、該第2のドリルの刃部の外形よりも太い外形に形成された柱状の部分から、該柱状の部分に連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成されたテーパー状の部分にかけて形成した切削刃を有する刃部、及び該刃部と同軸に該刃部よりも先端側に延在する前記第2のドリルの刃部の外形と同じ太さの柱状のガイド部を設けた第3のドリルと、該第3のドリルの刃部の柱状の部分の外形と同じ太さの柱状の基部、及び該基部に連続して先端側に向かうに連れて漸次細くなる外形に形成された切削刃を有する刃部を設けた第4のドリルとを備えた歯科用のドリルセット。
- 柱状で一方の端面に切削刃を有する第5のドリルを備えたことを特徴とする請求項1に記載の歯科用のドリルセット。
- 前記第4のドリルで穿設した複数の孔の外側に位置する内面に当接する複数の脚部、及び、該複数の脚部が連結されて前記第4のドリルで穿設した隣り合う複数の孔に挟まれるか、または、囲まれた部分に対応する位置に前記第5のドリルの外形と同じ径で前記第5のドリルを挿通可能な貫通孔が形成されている板状部を有し、前記第5のドリルによる切削をガイドする前記第5のドリル用のガイド部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の歯科用のドリルセット。
- 前記第2のドリルの刃部の外形と同じ径を有し、前記第2のドリルで穿設した孔に挿入可能な円柱状の脚部、及び、該脚部が連結されて前記第2のドリルの刃部の外形と同じ径で前記第2のドリルを挿通可能な貫通孔が形成されている板状部を有し、前記第2のドリルによる孔の穿設位置をガイドする第2のドリル用のガイド部材を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯科用のドリルセット。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科用のドリルセットと、該ドリルセットの各ドリルを装着可能なコントラヘッドとを備えた歯科用のドリルシステム。
- 前記コントラヘッドは、ドリルを取り付けるための取付具を、移植する再生歯根の形状に対応する位置に複数有することを特徴とする請求項5に記載の歯科用のドリルシステム。
- 前記コントラヘッドは、前記第5のドリル用のガイド部材を装着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられる前記第5のドリルは、前記第5のドリル用のガイド部材の貫通孔に挿通させて前記コントラヘッドに装着することを特徴とする請求項5または6に記載の歯科用のドリルシステム。
- 前記コントラヘッドは、前記第2のドリル用のガイド部材を装着可能であり、前記ヘッド部に取り付けられる前記第2のドリルは、前記第2のドリル用のガイド部材の貫通孔に挿通させて前記コントラヘッドに装着することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の歯科用のドリルシステム。
- 前記コントラヘッドは、該コントラヘッドのドリルを装着する面が向く方向を調整可能であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の歯科用のドリルシステム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008207276A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-11 | Japan Medical Materials Corp | 深さ調整用ドリル |
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JP2015036006A (ja) * | 2013-08-12 | 2015-02-23 | Bio Graft 合同会社 | 歯科インプラントのドリリングシステム |
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US9968368B2 (en) | 2013-11-22 | 2018-05-15 | Teijin Medical Technologies Co., Ltd. | Drill guide |
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2004
- 2004-10-01 JP JP2004290602A patent/JP2006102002A/ja active Pending
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