JP2006100275A - バックアップ極低温冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】公知バックアップ冷却装置の全体サイズおよび複雑性を減少することによって、しかも装置の投資費用および動力消費を低減することによって、公知バックアップ冷却装置の問題を解決すること。
【解決手段】バックアップ冷却が、単独バックアップ冷却剤貯蔵容器を用いて、多冷却ループを備えた極低温冷却装置に与えられる。バックアップ冷却剤貯蔵容器は、少なくとも1つの冷却ループに対して流体連通状態にあり、冷却ループが互いに対して流体連通状態にある。各冷却ループは、冷却ユニットに対して流体連通状態にある。ループの1つからの損失冷却剤がある場合、冷却剤(例えば、液体窒素)が他方のループから冷却剤を損失したループに移送され、バックアップ冷却剤貯蔵容器がバックアップ冷却剤を装置に放出する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、極低温冷却装置に関する。一観点においては、本発明は極低温冷却装置用バックアップまたは反転装置に関し、また、別の観点においては、本発明は高温超電導(HTS)ケーブルに対する極低温冷却装置用バックアップ装置に関する。さらに別の観点においては、本発明は極低温冷却装置に対してバックアップ極低温冷却能力を与える方法に関する。
高温超電導(HTS)機器に対する極低温冷却装置は、周知である。一基本形体においては、これらの装置は冷却ループ、冷却ユニット、冷却剤からなる。冷却ループ(例えば、パイプもしくはその他の導管の形状)が、冷却を必要とする機器(例えば、HTSケーブル)の周りに配置される。そのループは冷却ユニットに対して流体連通状態になっている。冷却ユニットは、産業界において周知である機械的冷却機器である。冷却剤(例えば、液体窒素)が冷却ユニットから冷却ループに流れ込み、機器から熱を抽出する冷却ループを介して循環し、そして、熱の除去用冷却ユニットまで戻り、冷却ループまで循環復帰する。
極低温冷却装置は、一次ユニットが故障した場合に、バックアップまたは反転冷却ユニットを設けられてもよい。故障のさいのこのような完全重複性または冷却ユニットの定例整備を与えることは、一般に費用効果がよくなく、装置を複雑にしかつ物理的サイズを増すことになる。
HTSケーブルに関連して用いられるループ等の2またはそれを超える冷却ループを備えた極低温冷却装置は、1冷却ループ毎に1バックアップ冷却ユニットを通常は必要とする。有効ではあるが、各冷却ループについて1バックアップユニットを設けることは、全体の冷却装置の資本費用に加重し、その運転の複雑性を増す。
HTS動力または伝送ケーブルも周知である。これらのケーブルは極低温冷却を必要とし、代表的HTS動力または伝送ケーブルは、米国特許第3,946,141号、同第3,950,606号、同第4,020,274号、同第4,020,275号、同第4,176,238号、さらに最近では米国特許第5,858,386号、同第6,342,673号、同第6,512,311号に記載されている。代表的なHTSケーブルの形体は、中空導体コアーを介してまたは導体の外側の周りにある流体通路に流れる液体窒素によって冷却されるHTS導体である。同一サイズの従来のケーブルを凌駕するHTSケーブルの魅力は、電気的能力の損失をほとんど伴わずに、従来ケーブルよりも数倍の動力を運ぶことができる点にある。
HTSケーブルを冷却する標準的な方法は、完全に氷点以下に冷却された(subcooled)液体窒素の閉ループを冷却するために、産業界では公知の機械的冷却ユニットを設けることである。「氷点以下に冷却された」液体窒素は、運転圧力で決まる沸点以下の温度まで冷却された窒素である。例えば、5絶対バールの閉ループ運転圧力においては、液体窒素の沸点は94Kである。冷却剤の温度が通常の70−75Kでは、液体窒素は19−24度冷却されて、氷点以下になる。通常は、氷点以下に冷却された単一の冷却液体ループはケーブルの全長を冷却できないから、複数の管理可能なセグメントがなければならない。与えられた構成においては、バックアップ冷却能力は個々のセグメントを基準にして与えられる。EP1,355,114A2に記載されたHTSケーブルおよび冷却装置が図示されている。
EP1,355,114A2のHTSケーブルおよび極低温冷却装置は、HTSケーブルの周りに第1および第2冷却チャネル(4、5)を備えている。液体窒素はこれらのチャネルを介して循環される。これらのチャネルにおいては、液体窒素はケーブルから熱を奪い、低圧沸騰液体窒素浴(9)(すなわち、熱が液体窒素から除去されるサブクーラ)を通過し、そして、液体窒素がチャネルまで循環復帰される。液体窒素が何らかの理由で装置から損失されたならば、補充窒素が貯蔵タンク(1)から装置に加えられる。貯蔵タンクおよびその接続ハードウエアは、冷却装置を充填しかつ必用に応じて補給することを要求される初期窒素を与えるように設計される。貯蔵タンクは、液体および気体窒素混合装置を介して初期冷却に必要な冷却剤も供給する。
米国特許第3,946,141号明細書
本発明は、公知バックアップ冷却装置の全体サイズおよび複雑性を減少することによって、しかも装置の投資費用および動力消費を低減することによって、公知バックアップ冷却装置の問題を解決するように意図される。
本発明によれば、バックアップ冷却が、単独バックアップ冷却容器を用いて、多冷却ループを備えた極低温冷却装置に与えられる。バックアップ冷却容器は、少なくとも1つの冷却ループに対して流体連通状態にあり、冷却ループが互いに対して流体連通状態にある。各冷却ループは、冷却ユニットに対して流体連通状態にある。ユニット用冷却源は、機械的に(例えば、ヘリウム・サイクル冷却装置)または液化ガス(例えば、液体窒素)の大量気化によって得られる。運転のさいには、液体冷却剤(例えば、液体窒素)が、冷却を必要とする機器(例えば、ケーブル)を貫通しまたは周りに形成された各冷却ループを介して循環され、冷却ループまで戻る前に熱の除去または最凝縮のために冷却ユニットへ循環される。冷却剤が、いかなる理由にせよ、1またはそれを超えるループから損失した場合に、冷却剤を損失したループに冷却剤が直接または間接に接続された他のループから移送され、バックアップ冷却剤が貯蔵容器からその容器に直接接続された1つまたは複数のループに放出される。バックアップ冷却剤のこの追加は、極低温冷却装置が運転を継続している間、達成される。
一実施例においては、液体冷却剤は正常な圧力発生コイルを組み込んだ単独の容器に貯蔵される。選択的には、容器は、いかなる容器内容物の損失を許さずに、容器内に所望の上位圧力を維持するように制御された再凝結コイルを組み込んでもよい。選択的な再凝結コイルによって、液体冷却剤バックアップが、いかなる損失または補給の要請なしに、無期限の時間期間中維持されることができる。
別の実施例においては、バックアップ液体冷却剤容器は、(i)氷点以下に冷却された冷却剤ループに接続され、(ii)ループの正常運転中のバッファ容器として働き、(iii)これらのループを好適圧力に維持する。個々の氷点以下に冷却されたセグメント・ループは、正常運転のさいには相互間に冷却剤を移送しない。むしろ、各ループは同じ公称一定圧力に維持される。しかし、1またはそれを超える冷却ループ・セグメントが何らかの理由で冷却剤を損失したとき、補充冷却剤が貯蔵容器から冷却セグメントまで移送され、冷却剤が液体冷却剤の在庫を回復する要請に応じて、冷却ループ間に自然に移送される。
別の実施例においては、高温超電導ケーブル用バックアップ極低温冷却装置が設けられる。その装置は、
A.バックアップ再凝結コイルを選択的に含むバックアップ冷却容器と、
B.第1冷却ユニットに対して冷却関係にある第1熱交換コイルを含む第1熱交換機と、
C.高温超電導ケーブルの第1セグメントおよび第1熱交換機の両方に対して冷却関係にある第1循環ループと、
D.第2冷却ユニットに対して冷却関係にある第2熱交換コイルを含む第2熱交換機と、
E.高温超電導ケーブルの第2セグメントおよび第2熱交換機の両方に対して冷却関係にある第2循環ループと、
F.第1および第2循環装置を接続するパイプを備え、かつ、バックアップ冷却容器が、第1および第2循環ループの少なくとも1つと流体連通状態にある。
一実施例においては、第1および第2冷却ユニットは、機械的冷却ユニットである。選択的バックアップ再凝結コイルがバックアップ冷却容器に与えられている場合には、冷却装置はバックアップ冷却ユニット、通常はバックアップ再凝結コイルに対して冷却関係にある機械的冷却ユニットをさらに備えていてもよい。第1または第2冷却ユニットは、バックアップ冷却ユニットとして働いてもよい。
さらに別の実施例においては、高温超電導ケーブルに対して極低温冷却を与える方法は、液体極低温冷却剤を収容する液体極低温バックアップ容器を設けること、バックアップ容器を高温超電導ケーブル用多セグメント冷却装置の少なくとも1つのセグメントに対して流体連通状態にすること、液体極低温冷却剤を個々のセグメント内で循環させること、冷却装置の個々のセグメントを互いに対して流体連通状態にすること、接続されたセグメントのうち任意の1つに冷却剤損失が起きたときに冷却剤がバックアップ容器から冷却剤を損失したセグメントまで移送されるように、バックアップ容器を冷却装置のセグメントの少なくとも1つに対して流体連通状態にすることからなる。
本発明のさらに別の実施例においては、極低温冷却装置は、多セグメントHTSケーブルに対して一次(バックアップに対立した場合)冷却を与えることができる。この実施例においては、各セグメントについての冷却ユニットは、サブクーラであり、冷却剤が冷却ユニットから損失されたとき(従って、ケーブル・セグメントから損失されたとき)、損失冷却剤が液体貯蔵容器からの冷却剤と置き換えられる。
本発明の様々な実施例が、同様な参照番号が同様な部品を指示するように用いられている図面を参照することによって記載される。備品、装着物、センサ、弁等の機器の様々な物品は、記載を簡明化するために省略された。しかし、このような従来の機器およびその用途は当業者にとっては公知であり、このような機器は必要に応じて採用されうる。さらに、本発明は多セグメントHTSケーブルを冷却することに関連して以下に記載されるが、当業者であれば氷点以下に冷却された液体窒素冷却装置に対するバックアップ極低温冷却能力を必要とする他の機器への適用可能性を認識できるであろう。
図1Aは、最も基本的な要素を備えた本発明の概略構成図である。バックアップ冷却剤貯蔵容器10(バックアップ冷却容器とも言う)は、冷却ループ21に対して流体連通状態にあり、冷却ループ21は冷却ループ22に対して流体連通状態にある。冷却ループ21、22はそれぞれ冷却ユニット23、24に対して流体連通状態にある。各冷却ループは、パイプ25を介して互いに流体連通状態にある。
運転にさいしては、各冷却ループは機器(図示せず。例えば、HTSケーブル・セグメント)を取り囲み、包囲し、通過し、または別の形体においてはその周りにあり、冷却剤(液体窒素のような揮発性液体冷却剤)を、冷却ループを介して循環させることによって機器に冷却を与える。各ループからの冷却剤は、任意の形式の冷却ユニット(例えば、機械的冷却機、サブクーラ等)を介して循環される。その冷却ユニットにおいて、冷却剤は冷却または再凝結され、ループに戻される。各ループは、通常は同一平均圧力で運転される。その場合には、冷却剤は一方のループから他方のループまでパイプ25を介して通過しない。しかし、冷却剤の漏洩またはその他の損失がいずれかのループに起きたとき、圧力の合成損失が、液体冷却剤貯蔵容器10から装置へのバックアップ冷却剤の放出を誘発する。これは、装置圧力または冷却剤の在庫を監視できる制御装置および弁装置の作用を介して自然に起こる。損失が冷却ループ21に起きた場合には、バックアップ冷却剤が貯蔵容器10から冷却ループ21に流れ込む。損失が冷却ループ22に起きた場合には、ループ21からの冷却剤がループ22に流れ込み、貯蔵容器10からの冷却剤がループ21に流れ込む。2つのループの圧力を平衡にする必要があるとき、冷却剤は一方のループから他方のループへ移動する。図1Bに示すように、2以上の冷却ループが直列に接続されかつ各冷却ユニットが1つ以上の冷却ループに働くことができる場合に、この冷却剤移送機構は同様に働く。
図2Aは図1の詳細構成図である。図2Aは、複数のセグメントに分けられた、HTSケーブル用の氷点以下に冷却された液体のループを示す。図2Aは2つだけのセグメントを示しているが、これは簡明化のためである。上述したように、本発明は任意の数のセグメントを備えた装置に適用可能である。さらに、セグメントはほぼ等しい長さに示されているが、セグメントは長さが変化してもよく、パイプのサイズ、形状等も変化してもよい。さらに、様々なセグメントが異なる形式の機器(例えば、ケーブルおよびその他のHTS機器)を含むことができる。
図2Aにおいて、バックアップ冷却容器10は、頭隙12に配置された選択的バックアップ再凝結コイル11を備え、液体窒素13を保持する。圧力調整器18は、液体窒素をライン15、16をかいして蒸発コイル20まで流し、容器10に要求される上位圧力を維持するさいに助成するように、加圧窒素ガスを頭隙12まで循環させる標準仕様で動作する。再凝結コイル11は、バックアップ機械的冷却ユニット14に対して冷却関係にある。すなわち、機械的冷却ユニット14は、再凝結コイル11が液体窒素13から蒸発された窒素を再凝結しかつそれを液体窒素13に戻すように、再凝結コイル11を十分に冷却する。代案として、再凝結コイル11は、別個の機械的冷却ユニット(図示せず)に対して冷却関係にあってもよい。
ケーブル・セグメントまたは循環ループ21に対して流体連通状態にある上述したバックアップ冷却容器組立体を除いて、ケーブル・セグメント21、22は互いに実質的に鏡像関係にある。HTSケーブルそれ自体は図示されていない。ケーブル・セグメント21、22の氷点以下に冷却された組立体は、熱交換機、より詳しくは、再凝結熱サイホン23、24をそれぞれ備えている。各熱サイホンは、頭隙23a、24aを備えている。再凝結コイル23b、24bがバックアップ再凝結コイルとバックアップ冷却ユニットとの間で上述したものと類似の冷却関係でそれぞれ頭隙23a、24a内に延びている。図2Aの実施例においては、再凝結コイル23bはバックアップ冷却ユニット14内に延びている。この好適形体においては、1つの冷却ユニットは2つの再凝結コイルを運転し、従って投資および運転費用を節約する。図示されていない別の実施例においては、再凝結コイル11、23bは別個の冷却ユニットによってそれぞれ作用を受ける。さらに別の実施例においては、単独の冷却ユニットは、3またはそれを超える再凝結コイルを運転することができる。さらに別の実施例においては、2またはそれを超える機械的冷却ユニットが1つの熱サイホンを運転することができる。再凝結コイル24bに作用する冷却ユニットは、図示されていない。液体窒素23c、24cはそれぞれ容器23、24に保持される。当業者であれば、再凝結コイル11、23b、24bがそれらの各圧力容器の外部に配置されるがそれらと流体連通状態にありうることを認識するであろう。さらに、図示したコイルは、機械的冷却ユニットに用いられた冷却流体(例えば、ヘリウム)を循環させることによって冷却されるか、あるいは機械的冷却ユニットの作用を介して低下された温度に維持された単なる冷表面(「冷間頭部」)であってもよい。
液体窒素は、パイプ23d−e、24d−eをそれぞれ介してケーブル・セグメント21、22をそれぞれ通して循環される。パイプ23d−e、24d−eは、ポンプ23f、24fによってそれぞれ接続される。パイプ23e、24eは相互接続パイプ25によって接続される。パイプ16および23eは、バックアップ容器10がケーブル・セグメント21に対して連通状態にある開放ジャンクション26を形成する。ジャンクション26は、バックアップ容器10が循環ループ内に圧力を維持する箇所であり、また、自然の液体膨張・収縮が膨張タンクとして容器10を使用することによって吸収される点としても働く。
ケーブル・セグメント21、22用氷点以下冷却ループの正常運転において、氷点以下に冷却された液体窒素はポンプ23f、24fによってパイプ23d−e、24d−eを介してそれぞれ循環される。液体窒素の温度は、液体窒素が各熱サイホンを去るときに最も冷たくなり、また、液体窒素が各熱サイホンに戻るときに最も暖かくなる。液体窒素が各ケーブル・セグメントの長さに亘って通過するとき、液体窒素は各ケーブル・セグメントから熱を吸収し、暖まり、そして、熱サイホンへ戻るさいにこの熱から解放されることを必要とする。これは、熱サイホンの内側で蒸発コイル23m、24mを介して暖められた液体を通過させることによって達成される。暖められた液体は、より冷たい液体23c、24cとの熱交換によって冷却され、次いでその熱交換は液体23c、24cの一部を沸騰させる。蒸発コイル23m、24mの作用のために、液体窒素は各熱サイホンの頭隙内に一定に蒸発しつつある。この蒸発は圧力を熱サイホンの内側で上昇させる。その圧力は、再凝結コイル23b、24bの作用によってそれぞれ防止される。再凝結コイル23b、24bは蒸発液体を凝縮しかつ所望の熱サイホン温度および圧力を維持するのに十分な速度で、機械的冷却ユニット(例えば、再凝結コイル23b用機械的冷却ユニット14)からの冷却を供給される。機械的冷却ユニットからの冷却は、熱サイホン圧力または代案として冷却ループ温度のいずれかを維持すべき速度および量で制御される。この制御作用は、周知のオン・オフまたは比例−積分−微分(PID)形制御論理による。窒素はこの運転モード中に熱サイホン容器23、24から損失または利得されないので、熱サイホン内の液体窒素のレベルは一定に維持する。正常、安定運転中、公称一定圧力が両ループに維持されるので(循環流体によって負わされた圧力低下を除く)、液体窒素は相互接続導管25を介してパイプ23e、24eからおよび/またはそこへ通過しない。公称量の液体窒素は、ループ21、22内の液体窒素を膨張または収縮させる運転温度または条件の変化に応答して正常運転中に、導管25を介しておよび同様にジャンクション26を介していずれかの方向に通過してもよい。
熱サイホンの1つにおいて液体窒素を維持するために責任を負う冷却ユニットの1つが故障した場合に、1組の弁の対(すなわち、23h/jまたは24h/j)が、ループがその冷却源を喪失したことに基づいて実際に作動された対を活性化する。図示の目的のために、故障が、熱サイホン24において液体窒素を維持するために責任を負う冷却ユニットに起きたとするならば、熱サイホン24における液体窒素の閉じられた浴(常態では、沸騰と再凝結との間の平衡によって一定圧力に維持されている)が圧力上昇する傾向がある。熱サイホン24に関連された冷却ユニットの故障に伴って、上昇圧力が弁24jを開き、真空ポンプ24kに運転を開始させる。弁24jの開放およびポンプ24kの運転は、上昇圧力を所望の値まで戻すべき速度および量で制御される。この制御作用は、周知のオン・オフまたはPID形式の制御論理を介して行われる。真空ポンプ24kの使用は、熱サイホン24を大気圧以下の圧力に維持する要請を保証する。維持されるべき圧力が正常大気圧にまたはそれ以上にあるならば、真空ポンプ24kは排除されてもよい。図示するように、真空ポンプ23k、24kは冷間条件で運転しなければならない。パイプ23l、24jを通過する排出蒸気が暖められているならば、真空ポンプ23k、24kは暖かい条件で運転してもよい。弁24jおよび真空ポンプ24kの組合せ作用が浴圧力を維持するが、しかし、液体レベルは低下し、ケーブル・セグメント22のための氷点以下に冷却された液体ループを冷却すべき能力を最終的に喪失する。
液体窒素24cのレベルは弁24hを開放することによって熱サイホン24内に維持される。弁24hは、ループ22から浴まで高圧液体窒素を流す。弁24hの開放は、液体窒素24cの低下レベルを所望のレベルまで戻すべき速度および量で制御される。この制御作用は、周知のオン・オフまたはPID形式の制御論理を介して行われる。熱力学および工程の流量は、補充液体、すなわち、液体窒素の質量の流れが循環されかつ氷点以下に冷却された液体窒素の流量よりもずっと少ないことを保証する。質量の維持は、等量の液体をケーブル・セグメント22の氷点以下に冷却ループから抜き取られるようにする。氷点以下冷却ループは、接続パイプ25によってケーブル・セグメント21用の氷点以下冷却ループから補給される。この液体窒素は、パイプ15、16、およびジャンクション26を介してバックアップ冷却容器10から抜き取られる。全体の工程は、追加の必要な制御論理なしに起こり、それは氷点以下に冷却された液体ループのケーブル冷却特性に少しもまたはまったく影響を及ぼさない。必要ならば、冷却サイクル21、22を介して循環される液体の量は、この工程によって生じた小さな流れの変化を補償するようにバックアップ運転期間中にポンプ23f、24fによって調節されてもよい。顕著な衝撃だけが、液体バックアップの損失であり、通常の圧力発生コイル20をより大きな範囲まで作動させる。抜き取られるべき液体の量および容器のサイズに基づいてきまる時刻に、バックアップ容器10の液体在庫を補給する必要がある。
図2Bは、各熱サイホンおよび冷却回路が2つ(またはそれ以上)の機械的冷却ユニットを用いて冷却される別の実施例を示す。図2Bにおいて、熱サイホン23は、機械的冷却ユニット14a、14bから頭隙23aまで延びる再凝結コイル23b、23b′を有している。この構成においては、1つの冷却ユニットの故障または要求された保守は、不活性な機械的冷却ユニットの冷却能力を置き換えるようにバックアップ冷却装置を一般に要求するだけである。この場合、バックアップ冷却ユニットおよび残りの活性機械的冷却ユニットの両方が、一緒に運転をする。さらに別の実施例においては、冷却ループに働く両機械的冷却ユニットは、要請が高まったとき(例えば、ピークカット状況において)、増加された全体の冷却能力を与えるように、バックアップ冷却装置に関連して運転されることができる。
上述した氷点以下に冷却された液体窒素ループは、ハイブリッド熱交換機(すなわち、熱サイホン)によって冷却される。別の熱交換機は、本発明の実施において使われてもよい。これらは熱サイホンの二重冷却モードの融通性を提案しないが、各冷却モードはそれらを同程度に実行可能な熱交換として選択することができる。各々がそれ自体の特定の冷却源に焦点を合わされているので、それらは提案された熱サイホンの二重運転モードの実例となる。
図3は、単純で伝統的な機械的冷却源用の逆流熱交換機の概略構成図である。この機械的冷却源の特徴は、本発明に関連しては重要ではなく、本発明の目的のために、冷却剤(例えば、ヘリウム・ガス)が所定の温度および流量で熱交換機に入る。熱交換機においてその冷却任務を遂行した後、冷却剤はそれが熱交換機に入ったときよりも暖かい温度で熱交換機を去る。正確な出口温度は、冷却剤の特性、流量、冷却任務(通常は、ワットで測定される)等の変数によって決まる。他の形式の熱交換機は、機械的冷却ユニットの特性に基づいて本発明の実施のさいに使用されうる。例えば、機械的冷却源が「冷間頭部」を使用する場合には、熱交換機は冷間頭部の周りを囲むコイルと同程度に単純になりうる。
図4は、冷却源が大量の液体窒素である最も単純な熱交換機を示す。伝統的なサブクーラのこの形体は、産業界において周知である。本発明の実施において、浴が異常に低い圧力(77K以下の浴温に対して大気圧)で運転される。液体供給(浴圧力より大きい任意の供給圧力でもよい)は所定の浴レベルを維持するように単純に運転する。浴は飽和状態で一般に運転する。すなわち、液体が浴圧力に基づいて独特に決まる沸点にある。
最も単純な可能サブクーラにおいては、浴は周囲の状態に曝され、任意の排気または蒸気が開口を介して外部に単純に出る。この場合、圧力は大気圧であり、沸点は約77Kである。低下した圧力(低い浴温度を伴う)で運転をするために、真空ポンプ/ブロワーが所定の浴圧力を維持するように減圧される。図3の単純熱交換機とは対照的に、熱力学過程がより複雑である。浴は、冷却されるべき入ってくる液体よりも一般に冷たい沸点にあるので、要求される冷却量に比例した蒸発損の発生がある。ポンプ/ブロワーを通る排気流量が2つの流れの合計となる点で、適度な複雑性が与えられる。第1は、熱交換機コイルから浴内に発生する蒸発損から起こる。第2は浴を満杯に維持するように供給された液体窒素から起こる。供給液体窒素の温度および圧力に基づいて、液体窒素は、それが浴のより低い圧力環境に減圧されるときに、「急速に気化する(flash)」する。熱力学的には、これは等エンタルピ(一定のエンタルピ)膨張と言われる。ある「気化」ガスは液体窒素の配管内の上流に形成されてもよい。充填ラインから浴に入る後続液体および蒸気が浴温に等しい温度で飽和される。
本発明は上述の実施例を介してかなり詳細に記載されたが、この詳細は図示の目的のためである。添付特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、多くの変更および修正がなされうる。上述したすべての米国特許および受理された米国特許出願が引用によってここに組み入れられる。
多冷却ループ用基本的バックアップ極低温冷却装置の概略構成図である。 冷却ユニットが1以上のものとして働く図1Aの概略構成図の変形を示す。 多セグメントHTSケーブル用バックアップ極低温冷却装置の概略構成図である。 1つの熱サイホンおよび冷却回路が2つの機械的冷却ユニットを用いて冷却される図2Aの概略構成図の変形を示す。 単純な逆流熱交換機の概略構成図である。 冷却源が大量液体窒素である熱交換機の概略構成図である。

Claims (10)

  1. 高温超電導ケーブル用のバックアップ極低温冷却装置であって、
    A.バックアップ冷却容器と、
    B.第1冷却ユニットに対して冷却関係にある第1熱交換コイルを備えた第1熱交換機と、
    C.前記ケーブルの第1セグメントおよび前記第1熱交換機の両方に対して冷却関係にある第1循環ループと、
    D.第2冷却ユニットに対して冷却関係にある第2熱交換コイルを備えた第2熱交換機と、
    E.前記ケーブルの第2セグメントおよび前記第2熱交換機の両方に対して冷却関係にある第2循環ループと、
    F.前記第1および第2循環装置を接続するパイプと、を備え、
    前記バックアップ冷却容器が前記第1および第2循環ループの少なくとも1つと流体連通していることを特徴とするバックアップ極低温冷却装置。
  2. 前記第1および第2冷却ユニットは、機械的冷却ユニットである、請求項1に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  3. 前記バックアップ冷却容器はバックアップ再凝結コイルをさらに備えている、請求項1に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  4. 前記バックアップ再凝結コイルは、バックアップ冷却ユニットに対して冷却関係にある、請求項3に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  5. 前記バックアップ冷却ユニットは、第1または第2冷却ユニットである、請求項4に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  6. 前記バックアップ冷却容器は圧力発生コイルをさらに備えている、請求項1に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  7. 前記熱交換機の少なくとも1つが熱サイホンである、請求項1に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  8. 前記熱交換機の少なくとも1つは、(i)前記循環ループと前記機械的冷却ユニットとの間の直接的な熱交換のための手段と、(ii)前記循環ループに対して熱交換関係にある揮発性冷却流体の浴との組合せである、請求項2に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  9. 極低温冷却剤を収容した請求項1に記載のバックアップ極低温冷却装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載のバックアップ極低温冷却装置を用いた高温超電導ケーブル用のバックアップ極低温冷却を提供する方法。
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