JP2006100023A - 燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料電池設備容量の低減を図り、システムの設備コストの低減を図ることができる燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法を提供する。
【解決手段】 複数の建築物A〜Gに分散配置した複数の燃料電池11の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池11に共通する補機であって少なくとも水電解装置13、水素の圧縮機16、水素ボンベ17、酸素の圧縮機18及び酸素ボンベ19を含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成する。低負荷時には、水電解装置13で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機16及び水素ボンベ17並びに酸素の圧縮機18及び酸素ボンベ19を用いて圧縮貯蔵する。高負荷時には、水素ボンベ17及び酸素ボンベ19から水素及び酸素を燃料電池11に供給して発電運転する。
【選択図】 図2
【解決手段】 複数の建築物A〜Gに分散配置した複数の燃料電池11の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池11に共通する補機であって少なくとも水電解装置13、水素の圧縮機16、水素ボンベ17、酸素の圧縮機18及び酸素ボンベ19を含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成する。低負荷時には、水電解装置13で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機16及び水素ボンベ17並びに酸素の圧縮機18及び酸素ボンベ19を用いて圧縮貯蔵する。高負荷時には、水素ボンベ17及び酸素ボンベ19から水素及び酸素を燃料電池11に供給して発電運転する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法に関し、特に、複数の建築物に電力及び熱を供給するのに用いて好適なものである。
住宅や集合住宅、その他の建築物に設置する燃料電池システムは、従来、独立して各棟の電力及び熱需要を賄うものが多い。一方、これらの建築物に燃料電池システムが普及するためには、燃料電池本体、燃料改質器、蓄熱槽及び補助熱源の設備コストを低減する必要がある。
最近、電力需要先をネットワークする専用の送電線により商用電力配電網から独立させるとともに、熱供給パイプラインにより熱需要先をネットワークし、複数台の燃料電池の出力と起動・停止を制御し、電力供給及び熱供給を行う電力・熱供給システムが提案されている(特許文献1)。
特開2004−134286号公報
最近、電力需要先をネットワークする専用の送電線により商用電力配電網から独立させるとともに、熱供給パイプラインにより熱需要先をネットワークし、複数台の燃料電池の出力と起動・停止を制御し、電力供給及び熱供給を行う電力・熱供給システムが提案されている(特許文献1)。
なお、コジェネレーションを地域毎に分散設置する際に、遺伝的アルゴリズムを用いた導入計画の調査が行われている(非特許文献1)。
原田拓・ほか1名, 第12回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集, (1996), 441-446
原田拓・ほか1名, 第12回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集, (1996), 441-446
しかしながら、上述の従来の燃料電池エネルギネットワークシステムでは、最も設備コストの高い燃料電池設備の容量の低減を図ることができず、そのため設備コストの低減を図ることが困難であるという問題があった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、燃料電池設備容量の低減を図ることができ、システムの設備コストの低減を図ることができる燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法を提供することである。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、燃料電池設備容量の低減を図ることができ、システムの設備コストの低減を図ることができる燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法を提供することである。
本発明者は、分散配置された複数の燃料電池の燃料系統(水素配管と酸素配管)及びエネルギ系統(送電線と温水配管)を結び、燃料改質器や蓄熱槽、補助熱源などの共通する補機を1つの機械室に集約したエネルギネットワークの運用計画を行うことで、システムトータルでの高効率化について検討した。さらに、ネットワークに導入する燃料電池の容量を低減するために、電力需要の少ない低負荷時には水電解装置で水素・酸素を生成して圧縮貯蔵しておき、高負荷時にはそれらを燃料電池に供給して発電するという、負荷平準化の導入について研究を行った。本発明者らの実験によると、燃料電池のカソードに酸素を供給すると、空気を供給する場合に比べて酸素利用率が向上することから、発電特性は大きく改善することがわかっている。従って、低負荷時に生成した酸素を、時間シフトして高負荷時に供給することにより、従来のように常時空気を供給して発電する方法と比べて、燃料電池の設備容量を低減することができる。また、熱エネルギネットワークでは各建築物を1本の温水配管で結び、機械室を起点として順次熱を供給していくことから、それぞれの建築物で消費するエネルギ量と、各建築物に設置した燃料電池での排熱出力量により、建築物の出口での温水温度は変化することとなる。そのため、ネットワーク全体での温水配管に関する放熱量は、外気温、配管距離、温水供給の起点、温水の流れ方向により異なる。そこで、ネットワークに接続する建築物の位置が予め示されており、それぞれの建築物を1本の温水配管で結んで熱エネルギを供給するときに、放熱損失が最小となる配管経路の探索について研究を行った。そして、具体的事例として、住宅、病院、工場、オフィス、コンビニエンスストアを含むローカルなエネルギネットワークについて、上で述べた水電解装置による負荷平準化を導入するときの、燃料電池の容量低減効果について評価を行い、有効性の確認を行った。さらに、温水配管での放熱量の最小化を目的関数として最適化したときの、配管経路及び各建築物に配置する燃料電池容量についても研究を行った。
一方、住宅や集合住宅、小規模店舗などに小型燃料電池を分散配置して電力及び熱を賄う際の課題として、設備コストが高価であることと、部分負荷時及び熱電比のミスマッチによる効率低下が挙げられる。そこで、本発明者は、数棟から数十棟の建築物の電力及び熱需要を、任意の1箇所に設けた燃料電池とその補機で供給して賄う方法(集中方式と称する)と、燃料電池を各棟に分散配置して賄う方法(分散方式と称する)について研究を行った。燃料電池エネルギネットワークでの集中方式では、各棟の熱エネルギ系統(温水配管)及び電力系統(送電線)を結び、分散方式ではさらに燃料系統(改質ガス配管)を結んで、システム全体で与えた目的関数を満たすよう、強調して運用することが有効である。建築物が数十棟規模のエネルギネットワークでは、送電距離が短いことから電力輸送に関するエネルギ損失量は、熱輸送でのエネルギ損失量に比べると僅かであると考えられる。ただしエネルギ単価を考慮すると、電力輸送に関する損失を改善するほうが、エネルギコストの点で有利となることも考えられるが、寒冷地方での住宅及び集合住宅、オフィスビル、病院といった、通年での熱需要が多い建築物を含むエネルギネットワークでは、熱輸送に関する損失はエネルギコスト及びシステム全体の効率に大きな影響を与えることが予想される。これまでにも、コジェネレーションを地域毎に分散設置する際に、遺伝的アルゴリズムを用いた導入計画の調査が行われている(非特許文献1)。この報告でも熱輸送に伴うコスト及び効率の問題が指摘されており、温水配管による大量の熱輸送については、放熱損失を考慮した適切な配管の経路計画を要するものと考えられる。そこで本発明者は、上記のように、燃料電池ネットワークでの温水配管の放熱量を最小とする際の、配管経路の探索プログラムを開発して、燃料電池ネットワークでの集中方式と分散方式とについて経路探索を行った。この結果、限られた条件範囲ではあるが、分散方式での最適化した温水配管経路による放熱量は、集中方式による温水配管での放熱量と比較して、大幅な削減になるものと見積もられた。そこで、次の段階として、燃料電池ネットワークに接続した各棟での負荷変動を考慮した温水配管の経路計画について研究を行った。さらに、燃料電池ネットワークに、出力変動を伴う太陽光発電装置を接続する際の、温水配管の経路計画への影響についても研究を行った。上で述べた燃料電池ネットワークを、札幌市の市街地モデルに適用して温水配管の経路探索を行い、冬期、夏期、中間期での最適な配管経路とその放熱量について研究を行った。
この発明は、上記の研究結果に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
すなわち、第1の発明は、
複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムである。
複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムである。
第2の発明は、
複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とするものである。
複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とするものである。
第1および第2の発明においては、好適には、低負荷時の水電解装置による水素及び酸素の生成量と高負荷時の燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように低負荷領域と高負荷領域とのしきい値を決める。補機は、例えば、燃料改質器、蓄熱槽、補助熱源、水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む。建築物の数をN、上記燃料電池の数をMとしたとき、N≧Mである。エネルギ系統が温水配管を含む場合、好適には、システムの全運転期間での温水配管の放熱量の総量を最小化するように、複数の燃料電池の容量及び温水配管の経路を決定する。典型的には、燃料系統は水素配管及び酸素配管であり、エネルギ系統は送電線及び温水配管である。燃料電池エネルギネットワークシステムには、必要に応じて1つまたは複数の太陽光発電装置を接続してもよく、そうすることで温水配管の放熱量をより低減することができる。
第3の発明は、
複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムである。
複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムである。
第4の発明は、
複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とするものである。
複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とするものである。
第3及び第4の発明においては、好適には、低負荷時の水電解装置による水素及び酸素の生成量と高負荷時の燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように低負荷領域と高負荷領域とのしきい値を決める。補機は、例えば、燃料改質器、蓄熱槽、補助熱源、水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む。エネルギ系統が温水配管を含む場合、好適には、システムの全運転期間での温水配管の放熱量の総量を最小化するように、温水配管の経路を決定する。典型的には、エネルギ系統は送電線及び温水配管である。
第1〜第4の発明によれば、低負荷時には水電解装置で水素及び酸素を生成して水素の圧縮機及び水素ボンベ並びに酸素の圧縮機及び酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には水素ボンベ及び酸素ボンベから水素及び酸素を燃料電池に供給して発電運転することにより、燃料電池の負担が軽減され、燃料電池の設備容量の低減を図ることができる。これに加えて、燃料電池を運転するための補機の集約と熱不足時のバックアップ機器の集約とにより、システムの設備コストの低減を図ることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1及び図2は、それぞれこの発明の第1及び第2の実施形態による固体高分子膜型燃料電池による燃料電池エネルギネットワークシステムを示す。
図1及び図2は、それぞれこの発明の第1及び第2の実施形態による固体高分子膜型燃料電池による燃料電池エネルギネットワークシステムを示す。
図1(a)及び図2(a)に示すように、第1及び第2の実施形態による燃料電池エネルギネットワークシステムにおいては、各々の建築物A〜Gに設置した、燃料電池の燃料系統、即ち水素配管1及び酸素配管2、電力系統、即ち送電線3、熱エネルギ系統、即ち温水配管4を結ぶ。温水配管4には、燃料電池の排熱回収と各棟へのエネルギの供給とを行うための熱媒体(温水)を流すが、温水配管4の経路は任意に設定可能であり、その流れ方向は各図中に矢印で示すとおり一方向とする。
図1に示す第1の実施形態による燃料電池エネルギネットワークシステムは、機械室に設置した燃料電池1台で発電する電力を、ネットワークに接続した建築物A〜Gの各棟に供給するもので、以下ではR1方式と称することとする。機械室は任意の建築物に設置可能であるが、この例では建築物Aに設置されているものとする。図1(c)にこの機械室に設置する機器を示す。図1(c)に示すように、この機械室には、燃料電池11、DC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ12、水電解装置13、例えば都市ガスなどの燃料を改質するための燃料改質器14、改質ガス中の水分や不純物を除くセパレータ15、水素の圧縮機16、水素ボンベ17、酸素の圧縮機18、酸素ボンベ19、土壌熱源ヒートポンプ20及び蓄熱槽21を設置する。各棟への熱供給は、機械室に設置した燃料電池11の排熱出力と、蓄熱槽21及び土壌熱源ヒートポンプ20による熱出力とを、温水を熱媒体として任意な配管経路を計画して(この例では建築物ABCFEDGAの順番)行う。各棟には、図1(b)に示すように、温水出入口部分にヘッダ22、23を設け、これらのヘッダ22、23と接続した放熱器24及び熱交換器25を介して建物内の暖房及び給湯を行う。
一方、図2に示す第2の実施形態による燃料電池エネルギネットワークシステムは、熱輸送に伴う放熱損失を小さくするように燃料電池を全棟に分散配置するシステムで、以下ではこの方式をR2方式と称することとする。R2方式での温水の配管経路と、機械室を設置する建築物についても任意に計画することが可能であり、図2(a)に示す例では建築物ADGBFECAの順番に温水を供給するもので、機械室(図2(c))については建築物Aに設置している。R2方式での、建築物及び機械室に導入する設備概要をそれぞれ図2(b)及び図2(c)に示す。図2(c)に示すように、機械室には、水電解装置13、燃料改質器14、セパレータ15、水素の圧縮機16、水素ボンベ17、酸素の圧縮機18、酸素ボンベ19、土壌熱源ヒートポンプ20及び蓄熱槽21を設置する。各棟には、図2(b)に示すように、燃料電池11、DC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ12を設けるとともに、温水出入口部分にヘッダ22、23を設け、これらのヘッダ22、23と接続した放熱器24及び熱交換器25を介して建物内の暖房及び給湯を行う。
R1方式及びR2方式では、燃料電池11のカソードに通常はブロワで周囲の空気を供給するが、この燃料電池ネットワークシステムでは、酸素配管2を通じて酸素を供給することもできる。また、燃料改質器14の運転で都市ガスなどから生成した改質ガスと、水素ボンベ17に貯蔵した水素については、ネットワークを介して任意の時刻に燃料電池11のアノードへ供給することができるようになっている。
次に、燃料電池11の発電特性について説明する。
図3は、市販の固体高分子膜型燃料電池セルの性能測定の結果で、燃料電池のアノード及びカソードにそれぞれ水素及び酸素を供給する場合と、水素及び空気を供給する場合との発電特性を示す。図3より、発電特性は前者の場合の方が後者の場合に比べて格段に優れていることが分かる。この発電特性の違いは、酸素分圧の違いの他に、電池内部での水バランスとそれに強く依存するイオン交換膜の電気抵抗の変化とが主な理由であると考えられる。一方、アノードに改質ガスを供給する場合と、水素を供給する場合とでも発電特性は異なるが、その差はカソードに空気若しくは酸素を供給する場合と比べると僅かであることから、ここでは扱わないこととする。
図3は、市販の固体高分子膜型燃料電池セルの性能測定の結果で、燃料電池のアノード及びカソードにそれぞれ水素及び酸素を供給する場合と、水素及び空気を供給する場合との発電特性を示す。図3より、発電特性は前者の場合の方が後者の場合に比べて格段に優れていることが分かる。この発電特性の違いは、酸素分圧の違いの他に、電池内部での水バランスとそれに強く依存するイオン交換膜の電気抵抗の変化とが主な理由であると考えられる。一方、アノードに改質ガスを供給する場合と、水素を供給する場合とでも発電特性は異なるが、その差はカソードに空気若しくは酸素を供給する場合と比べると僅かであることから、ここでは扱わないこととする。
図4は、図3と同じ燃料電池セル(電極面積は1m2 )を用いて、カソードに空気及び酸素を供給したときの、水素供給量と電力及び熱出力との関係を示したものである。カソードに空気を供給する場合の最大電力出力はEfca,max =1.05kWで、酸素を供給する場合ではEfco,max =1.9kWである。このように、アノードに一定量の水素を供給した状態で、カソードに空気を供給して発電する場合よりも、酸素を供給して発電するほうが出力は増加する。従って、電力需要の多い高負荷時に、燃料電池に酸素を供給して発電することにより、空気を供給して発電する際の設計容量に比べて小型化が可能となる。図4の特性を持つ燃料電池を最大出力で使用することを考えると、(Efco,max −Efca,max )の値だけ燃料電池の設備容量は低減することとなる。
次に、水電解による負荷平準化について説明する。
図5は、図1若しくは図2中の、それぞれの建築物の電力需要量をサンプリング時刻tごとに加算して得た、電力需要量Eneed,tを表すモデルである。図中のEsep はここで導入する低負荷領域と高負荷領域とのしきい値で、この値を用いて以下に述べる方法で負荷平準化を行う。Eneed,tがEsep を下回る際のサンプリング時刻では、燃料電池のアノード及びカソードにそれぞれ改質ガス及び空気を供給して発電運転することを考える。ただし、これに該当するサンプリング時刻での燃料電池の発電量は常にEsep で、Esep とEneed,tとの差の電力を水電解装置13に供給することで、水素及び酸素を生成する(図5中の左下がりのハッチング部分)。これらのガスを圧縮機16、18で圧縮した後にそれぞれ水素ボンベ17及び酸素ボンベ19に貯蔵する。Eneed,tがEsep を超える高負荷時には、それぞれ水素ボンベ17及び酸素ボンベ19に貯蔵した水素及び酸素を、ネットワークを介して燃料電池11に供給して発電運転を行う。ただし、このような負荷平準化を実現するためには、低負荷時での水電解運転による水素及び酸素の生成量と、高負荷時での燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように、後述のような運用計画を実施してEsep を決める必要がある。
図5は、図1若しくは図2中の、それぞれの建築物の電力需要量をサンプリング時刻tごとに加算して得た、電力需要量Eneed,tを表すモデルである。図中のEsep はここで導入する低負荷領域と高負荷領域とのしきい値で、この値を用いて以下に述べる方法で負荷平準化を行う。Eneed,tがEsep を下回る際のサンプリング時刻では、燃料電池のアノード及びカソードにそれぞれ改質ガス及び空気を供給して発電運転することを考える。ただし、これに該当するサンプリング時刻での燃料電池の発電量は常にEsep で、Esep とEneed,tとの差の電力を水電解装置13に供給することで、水素及び酸素を生成する(図5中の左下がりのハッチング部分)。これらのガスを圧縮機16、18で圧縮した後にそれぞれ水素ボンベ17及び酸素ボンベ19に貯蔵する。Eneed,tがEsep を超える高負荷時には、それぞれ水素ボンベ17及び酸素ボンベ19に貯蔵した水素及び酸素を、ネットワークを介して燃料電池11に供給して発電運転を行う。ただし、このような負荷平準化を実現するためには、低負荷時での水電解運転による水素及び酸素の生成量と、高負荷時での燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように、後述のような運用計画を実施してEsep を決める必要がある。
次に、燃料電池11の分散配置について説明する。
図6は、図1及び図2に示したR1方式及びR2方式についての、(a)温水配管4の経路、(b)各棟に配置する燃料電池11の容量、(c)温水温度の変化、そして(d)単位長さ当たりの配管での放熱量に関するモデルを示す。両方式ともに、機械室は建築物Aに設置されているものとし、温水は(a)中に示すとおり、R1方式では建築物ABCDEFGAの順番に流れ、R2方式では建築物ADGBFECAの順番に流れるものとする。燃料電池11については、(a)及び(b)中に示すように、R1方式では建築物Aに1台設置し(FA ’)、R2方式では建築物AからGにそれぞれFA 〜FG の任意容量の設備を導入するものとする。R1方式では、建築物Aに入口温度TA,in,tで入力した温水は、燃料電池(FA ’)の排熱及び蓄熱槽21、土壌熱源ヒートポンプ20による熱供給により、(c)中に示すように出口温度TA,out,t に昇温して建築物Aから出力する。その後は温水への熱供給はなく、B〜Gの各建築物での熱需要と各棟を結ぶ配管での放熱とにより、熱を消費して温度TA,in,tで建築物Aの機械室に戻ることとなる。R1方式では建築物AからGに進むに従って、温水温度は低下することから外気温と温水温度との差は小さくなり、(d)中に示すように、単位長さ当たりの配管からの放熱量も小さくなる。これに対してR2方式では、すべての建築物に燃料電池11を設置していることから、各建築物の出口温水温度は、各棟に入力する温水の熱量、その建築物に設置した燃料電池11の排熱、そして熱需要の収支から決まる。従って、建築物の出口温水温度は(c)中に示すように、それぞれの棟に進むにつれて上下に変動する。この結果、配管の単位長さ当たりの放熱量も、(d)中に示すように上下に変化する。
図6は、図1及び図2に示したR1方式及びR2方式についての、(a)温水配管4の経路、(b)各棟に配置する燃料電池11の容量、(c)温水温度の変化、そして(d)単位長さ当たりの配管での放熱量に関するモデルを示す。両方式ともに、機械室は建築物Aに設置されているものとし、温水は(a)中に示すとおり、R1方式では建築物ABCDEFGAの順番に流れ、R2方式では建築物ADGBFECAの順番に流れるものとする。燃料電池11については、(a)及び(b)中に示すように、R1方式では建築物Aに1台設置し(FA ’)、R2方式では建築物AからGにそれぞれFA 〜FG の任意容量の設備を導入するものとする。R1方式では、建築物Aに入口温度TA,in,tで入力した温水は、燃料電池(FA ’)の排熱及び蓄熱槽21、土壌熱源ヒートポンプ20による熱供給により、(c)中に示すように出口温度TA,out,t に昇温して建築物Aから出力する。その後は温水への熱供給はなく、B〜Gの各建築物での熱需要と各棟を結ぶ配管での放熱とにより、熱を消費して温度TA,in,tで建築物Aの機械室に戻ることとなる。R1方式では建築物AからGに進むに従って、温水温度は低下することから外気温と温水温度との差は小さくなり、(d)中に示すように、単位長さ当たりの配管からの放熱量も小さくなる。これに対してR2方式では、すべての建築物に燃料電池11を設置していることから、各建築物の出口温水温度は、各棟に入力する温水の熱量、その建築物に設置した燃料電池11の排熱、そして熱需要の収支から決まる。従って、建築物の出口温水温度は(c)中に示すように、それぞれの棟に進むにつれて上下に変動する。この結果、配管の単位長さ当たりの放熱量も、(d)中に示すように上下に変化する。
次に、エネルギ収支式について説明する。
サンプリング時刻tで、ネットワークに接続しているM棟の建築物では、機械室に設置した水電解装置13の運転と、M台の燃料電池11による発電運転とが行われるものとする。ただし、R1方式ではM=1である。この際の電力に関する収支式は次式となる。
サンプリング時刻tで、ネットワークに接続しているM棟の建築物では、機械室に設置した水電解装置13の運転と、M台の燃料電池11による発電運転とが行われるものとする。ただし、R1方式ではM=1である。この際の電力に関する収支式は次式となる。
式(1)の左辺は、発電運転するM台の燃料電池のDC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口での出力を表す。また、右辺第1項は各棟での電力需要量の総和、同第2項は水電解装置13の運転に使われる電力、同第3項は土壌熱源ヒートポンプ20の運転に要する電力、同第4項はネットワークを維持するための、V台の補機(ここでは温水系ネットワークのポンプと、水素及び酸素の圧縮機とを想定)で消費する電力を表す。
さらに、システムの熱に関する収支式は次式となる。
式(2)の左辺第1項はM台の燃料電池11で出力する熱を表し、同第2項及び第3項は、それぞれ蓄熱槽21及び土壌熱源ヒートポンプ20からの熱出力を表す。また、式(2)の右辺は熱の消費を表し、第1項はネットワークに接続している各建築物での熱需要の総和、第2項は各棟を結ぶ温水配管4での放熱の総和を表す。ΔHhw,mm ' ,tは、建築物mと建築物m’とを結ぶ温水配管4での放熱量で、式(3)から計算する。
式(4)は、水素に関する物質収支の式で、左辺第1項は水電解装置13で生成する水素流量、同第2項は水素ボンベ17からネットワークに供給する水素流量、同第3項は燃料改質器14による水素生成量を表す。また、右辺についてはM台の燃料電池11で消費する水素量を表す。式(5)は酸素についての収支式で、左辺第1項は水電解装置13で生成する酸素流量、同第2項は酸素ボンベ19から供給する酸素流量、同第3項はブロワで燃料電池11に供給する空気中の酸素流量、右辺は発電運転する燃料電池11で消費する酸素量である。
上述の負荷平準化と燃料電池11の配置計画の解析を、以下に記す(1)から(3)の手順で行う。
(1)水電解を用いた負荷平準化とEsep の見積もり
上述の水電解を用いた負荷平準化方法をR1方式に導入する。R2方式についても同様である。そこで、対象とする代表日の電力需要パターンの下で、図5中に示したEsep を決定するために適当な初期値を与えて、低負荷時に生成する水素・酸素量と高負荷時に消費する水素・酸素量との収支を見積もる。以下、この収支が釣り合うまで(後述の解析事例では誤差1%未満まで)はさみうち法で繰返し計算を行い、Esep を見積もる。この収支計算では、電力に関する収支式(1)と、水素及び酸素に関する収支式(4)及び式(5)を導入する。後述の解析事例では、式(1)及び式(4)に導入する、燃料電池11の発電特性と水電解装置13の特性とについては、図4及び図7を用いる。ただし、設定する燃料電池11の発電容量が図4の特性よりも増減する際には、相対的に図中の関係が維持されるものとして扱う。
(1)水電解を用いた負荷平準化とEsep の見積もり
上述の水電解を用いた負荷平準化方法をR1方式に導入する。R2方式についても同様である。そこで、対象とする代表日の電力需要パターンの下で、図5中に示したEsep を決定するために適当な初期値を与えて、低負荷時に生成する水素・酸素量と高負荷時に消費する水素・酸素量との収支を見積もる。以下、この収支が釣り合うまで(後述の解析事例では誤差1%未満まで)はさみうち法で繰返し計算を行い、Esep を見積もる。この収支計算では、電力に関する収支式(1)と、水素及び酸素に関する収支式(4)及び式(5)を導入する。後述の解析事例では、式(1)及び式(4)に導入する、燃料電池11の発電特性と水電解装置13の特性とについては、図4及び図7を用いる。ただし、設定する燃料電池11の発電容量が図4の特性よりも増減する際には、相対的に図中の関係が維持されるものとして扱う。
(2)温水配管4からの放熱量の見積もり
図8は温水配管4からの放熱に関するモデルを示し、燃料電池11を配置している建築物AからDの4棟を順次配管で結んで、最終的に温水はAに戻るシステムである。建築物Aには機械室が設けてあり、そこに設置した蓄熱槽21及び土壌熱源ヒートポンプ20では、Hst,t及びHhp,tの熱出力がある。建築物AからDでは、それぞれHneed,A,tからHneed,D,tの熱需要があり、各棟に設置した燃料電池ではHf,A,t からHf,D,t の排熱出力があるものとする。従って、建築物AからDの熱収支は式(2)から計算できる。また、各棟の燃料電池11を結ぶ温水配管4での放熱量(ΔHhw,AB,t からΔHhw,DA,t )は式(3)で計算する。後述の解析事例では、式(3)中の外気温Tatm,t について、図9に示す東京都での夏期(8月)、冬期(1月)、中間期(5月)のデータを導入する(井上宇市、「空気調和ハンドブック」、(1996)、14、丸善)。
図8は温水配管4からの放熱に関するモデルを示し、燃料電池11を配置している建築物AからDの4棟を順次配管で結んで、最終的に温水はAに戻るシステムである。建築物Aには機械室が設けてあり、そこに設置した蓄熱槽21及び土壌熱源ヒートポンプ20では、Hst,t及びHhp,tの熱出力がある。建築物AからDでは、それぞれHneed,A,tからHneed,D,tの熱需要があり、各棟に設置した燃料電池ではHf,A,t からHf,D,t の排熱出力があるものとする。従って、建築物AからDの熱収支は式(2)から計算できる。また、各棟の燃料電池11を結ぶ温水配管4での放熱量(ΔHhw,AB,t からΔHhw,DA,t )は式(3)で計算する。後述の解析事例では、式(3)中の外気温Tatm,t について、図9に示す東京都での夏期(8月)、冬期(1月)、中間期(5月)のデータを導入する(井上宇市、「空気調和ハンドブック」、(1996)、14、丸善)。
(3)放熱損失を考慮した温水配管4の経路探索
R2方式では、各棟に燃料電池11を分散配置することから、各棟に設置する燃料電池11の容量を決定する必要がある。この際に、燃料電池11の分散配置に関する上記説明及び図8で述べたように、ある建築物の出口温水温度はそこでの熱収支で決まり、さらに、出口温水温度と外気温との差から温水配管4での放熱量を計算する。従って、ネットワーク全体での放熱量は各棟に配置する燃料電池容量で異なり、ここでは、各棟での燃料電池容量を未知数として配管経路の探索を行う。そこで、ここでは、図10に示すように、各棟での燃料電池容量及び配管経路の情報を、遺伝子で表現する染色体モデルで表し、これを遺伝的アルゴリズムに導入する。そして、システムの全運転期間での、各温水配管4についての放熱量の総和を表す目的関数(式(6))の値が小さいものほど、適応度が高い解であると評価して、染色体をそれらの解に世代交代しながら繰り返し計算を行い、各棟に配置する燃料電池11の容量及び配管経路を決定する。
R2方式では、各棟に燃料電池11を分散配置することから、各棟に設置する燃料電池11の容量を決定する必要がある。この際に、燃料電池11の分散配置に関する上記説明及び図8で述べたように、ある建築物の出口温水温度はそこでの熱収支で決まり、さらに、出口温水温度と外気温との差から温水配管4での放熱量を計算する。従って、ネットワーク全体での放熱量は各棟に配置する燃料電池容量で異なり、ここでは、各棟での燃料電池容量を未知数として配管経路の探索を行う。そこで、ここでは、図10に示すように、各棟での燃料電池容量及び配管経路の情報を、遺伝子で表現する染色体モデルで表し、これを遺伝的アルゴリズムに導入する。そして、システムの全運転期間での、各温水配管4についての放熱量の総和を表す目的関数(式(6))の値が小さいものほど、適応度が高い解であると評価して、染色体をそれらの解に世代交代しながら繰り返し計算を行い、各棟に配置する燃料電池11の容量及び配管経路を決定する。
次に、解析パラメータについて説明する。
次に説明する解析事例では、遺伝的アルゴリズムのパラメータとして、個体群の多様性の維持と生存する個体数を一定数に確保するために、個体数は10000で世代数を20とし、交叉確率は0.5で突然変異による遺伝子操作は行わないこととした。また、R1方式での温水配管4の経路探索についても、上で述べた遺伝的アルゴリズムを導入して解析するが、この際には図10の染色体モデルのうちの、温水配管4の経路に関する遺伝子情報のみを導入して計算する。
次に説明する解析事例では、遺伝的アルゴリズムのパラメータとして、個体群の多様性の維持と生存する個体数を一定数に確保するために、個体数は10000で世代数を20とし、交叉確率は0.5で突然変異による遺伝子操作は行わないこととした。また、R1方式での温水配管4の経路探索についても、上で述べた遺伝的アルゴリズムを導入して解析するが、この際には図10の染色体モデルのうちの、温水配管4の経路に関する遺伝子情報のみを導入して計算する。
次に、解析事例について以下の(1)〜(4)に説明する。
(1)エネルギ需要パターンとネットワークシステム
ここでは、7棟の建築物で構成するエネルギネットワークについて考える。各棟の冬期(1月)、中間期(5月)、夏期(8月)のエネルギ需要パターンを図11に示す(日本建築学会、平成13年度住宅内のエネルギー消費に関する全国調査研究、3 (2002)、3-6
;山野佳哉,電機,12 (2002) , 56-61 ;尾崎信司・ほか1名,エネルギー・資源研究会第9回研究発表会講演論文集,9 (1990), 174-179)。これらの需要パターンは、東京都での負荷を想定しており、また、図12はこれら7棟の電力需要量の総和である。図11に示した各電力需要には夏期の冷房用電力を含んでおり、熱需要の内訳には給湯及び暖房用の熱を含んでいる。ただし、図11中に熱需要を載せていない建築物、即ちコンビニエンスストア、オフィス、工場については、その熱供給を電動のヒートポンプで行っている。各建築物の電力及び熱需要の最大値を表1に示すが、明らかとなっているものは建築床面積を記した。本解析では、これらの建築物の配置を図13のように与える。また、図13中の破線は、各棟を結ぶ温水配管4の経路の中で最短距離となるものである。本解析事例では、配管内の温水流速を1m/s以下となるように配管直径を60mmとし、その周囲に厚さ40mmの発泡プラスチック系保温筒を装着することとする。また、保温筒表面での熱伝達率は8.0W/m2 Kとした。上で述べた条件の下で、上述の負荷平準化による燃料電池容量の低減と、上述の燃料電池11の分散配置による温水配管4での放熱量の低減について解析を行う。
(1)エネルギ需要パターンとネットワークシステム
ここでは、7棟の建築物で構成するエネルギネットワークについて考える。各棟の冬期(1月)、中間期(5月)、夏期(8月)のエネルギ需要パターンを図11に示す(日本建築学会、平成13年度住宅内のエネルギー消費に関する全国調査研究、3 (2002)、3-6
;山野佳哉,電機,12 (2002) , 56-61 ;尾崎信司・ほか1名,エネルギー・資源研究会第9回研究発表会講演論文集,9 (1990), 174-179)。これらの需要パターンは、東京都での負荷を想定しており、また、図12はこれら7棟の電力需要量の総和である。図11に示した各電力需要には夏期の冷房用電力を含んでおり、熱需要の内訳には給湯及び暖房用の熱を含んでいる。ただし、図11中に熱需要を載せていない建築物、即ちコンビニエンスストア、オフィス、工場については、その熱供給を電動のヒートポンプで行っている。各建築物の電力及び熱需要の最大値を表1に示すが、明らかとなっているものは建築床面積を記した。本解析では、これらの建築物の配置を図13のように与える。また、図13中の破線は、各棟を結ぶ温水配管4の経路の中で最短距離となるものである。本解析事例では、配管内の温水流速を1m/s以下となるように配管直径を60mmとし、その周囲に厚さ40mmの発泡プラスチック系保温筒を装着することとする。また、保温筒表面での熱伝達率は8.0W/m2 Kとした。上で述べた条件の下で、上述の負荷平準化による燃料電池容量の低減と、上述の燃料電池11の分散配置による温水配管4での放熱量の低減について解析を行う。
(2)燃料電池設備容量の低減効果
上述の手順に従って、低負荷領域と高負荷領域とのしきい値Esep を計算したところ、1月代表日では109kW、5月と8月の代表日では125kWであった。上述の負荷平準化の方法に、上で述べたEsep の値を導入して、図12で示したトータルでの電力需要を賄うように燃料電池11を運転すると、燃料電池11での排熱出力は図14のようになる。この図の1月代表日の熱需給について着目すると、7時から17時の時間帯では熱供給不足となり、ヒートポンプによる熱供給を要することが分かる。一方、5月及び8月代表日の熱需給については、熱供給量が消費量を上回る時間帯がほとんどであり、熱供給は過剰となっている。また、図15は、図3で示した燃料電池11の発電特性を仮定し、上で述べたEsep を導入して負荷平準化を行う際の、燃料電池の電極面積(即ち容量)の計算結果である。ただし図中の破線で囲ったデータは、水素及び酸素を燃料として発電する部分で、これらのガスは破線領域以外の時間帯に、改質ガス及び空気で発電した電力の一部を水電解装置13に供給して生成したものである。この結果、水電解による負荷平準化を導入することで、8月代表日の12時から16時の高負荷時に、従来はおよそ180m2 の電極面積を要していた燃料電池設備が、2/3に相当する120m2 の電極面積(20時のピーク)まで低減するものと見積もられる。
上述の手順に従って、低負荷領域と高負荷領域とのしきい値Esep を計算したところ、1月代表日では109kW、5月と8月の代表日では125kWであった。上述の負荷平準化の方法に、上で述べたEsep の値を導入して、図12で示したトータルでの電力需要を賄うように燃料電池11を運転すると、燃料電池11での排熱出力は図14のようになる。この図の1月代表日の熱需給について着目すると、7時から17時の時間帯では熱供給不足となり、ヒートポンプによる熱供給を要することが分かる。一方、5月及び8月代表日の熱需給については、熱供給量が消費量を上回る時間帯がほとんどであり、熱供給は過剰となっている。また、図15は、図3で示した燃料電池11の発電特性を仮定し、上で述べたEsep を導入して負荷平準化を行う際の、燃料電池の電極面積(即ち容量)の計算結果である。ただし図中の破線で囲ったデータは、水素及び酸素を燃料として発電する部分で、これらのガスは破線領域以外の時間帯に、改質ガス及び空気で発電した電力の一部を水電解装置13に供給して生成したものである。この結果、水電解による負荷平準化を導入することで、8月代表日の12時から16時の高負荷時に、従来はおよそ180m2 の電極面積を要していた燃料電池設備が、2/3に相当する120m2 の電極面積(20時のピーク)まで低減するものと見積もられる。
(3)温水配管4の経路探索結果
ネットワークを構成する各建築物での、出口温水温度の解析結果について述べる。出口温水温度はR1方式とR2方式とで異なり、また、各棟を結ぶ配管での放熱量は、外気温の条件で異なることから、日時で異なる。図16には、このうちの1月及び8月の代表日での4時及び16時の結果を示す。図12に示すように、1月及び8月代表日の4時ではネットワークに接続している各棟の電力需要の総和は小さく、同16時ではこの値が大きい。ここで、図16の横軸には温水配管4の経路順番1から7をとっており、図中の各データの近くに記しているAからGの記号は、図13中に示した建築物の記号に対応している。従って、例えば1月代表日のR1方式での4時及び16時の解析結果では、建築物Gを起点としてGFDCABEの順番をたどって温水が流れる。結果をまとめると、R1方式での1月代表日では経路GFDCABEとなり、8月代表日での結果は経路BEGFDCAとなる。また、R2方式では両月代表日ともに経路GEBACDFとなる。経路GFDCABE,BEGFDCA及びGEBACDFの何れも、図13中に示した各棟を結ぶ最短経路を示す破線をたどる結果であるが、前2つの経路は時計回りで、最後の経路は反時計回りである。各建築物の出口温水温度は、図17に示すように、温水配管4の起点、経路及び流れ方向により異なる。この結果、温水配管4での放熱量のプロフィールも、図18に示すように変化する。ただし、図18中の各記号と温水配管4の経路については、図17中のものと同じである。
ネットワークを構成する各建築物での、出口温水温度の解析結果について述べる。出口温水温度はR1方式とR2方式とで異なり、また、各棟を結ぶ配管での放熱量は、外気温の条件で異なることから、日時で異なる。図16には、このうちの1月及び8月の代表日での4時及び16時の結果を示す。図12に示すように、1月及び8月代表日の4時ではネットワークに接続している各棟の電力需要の総和は小さく、同16時ではこの値が大きい。ここで、図16の横軸には温水配管4の経路順番1から7をとっており、図中の各データの近くに記しているAからGの記号は、図13中に示した建築物の記号に対応している。従って、例えば1月代表日のR1方式での4時及び16時の解析結果では、建築物Gを起点としてGFDCABEの順番をたどって温水が流れる。結果をまとめると、R1方式での1月代表日では経路GFDCABEとなり、8月代表日での結果は経路BEGFDCAとなる。また、R2方式では両月代表日ともに経路GEBACDFとなる。経路GFDCABE,BEGFDCA及びGEBACDFの何れも、図13中に示した各棟を結ぶ最短経路を示す破線をたどる結果であるが、前2つの経路は時計回りで、最後の経路は反時計回りである。各建築物の出口温水温度は、図17に示すように、温水配管4の起点、経路及び流れ方向により異なる。この結果、温水配管4での放熱量のプロフィールも、図18に示すように変化する。ただし、図18中の各記号と温水配管4の経路については、図17中のものと同じである。
図19は、各月代表日のネットワーク全体での配管放熱量の結果である。本解析条件では、各月代表日でのR1方式及びR2方式での放熱量の違いは3%未満である。遺伝的アルゴリズムによる解析誤差を考慮すると、これらは同じ値であると評価することができる。従って、R1方式及びR2方式のそれぞれについて、ネットワーク全体での放熱量を最小とするような、燃料電池11の配置計画及び温水配管4の経路計画を行うと、放熱量はほぼ同じ値に収束することとなる。
(d)燃料電池配置計画の結果
図20は、R2方式による各棟での燃料電池11の配置計画の結果を示し、各月代表日のサンプリング時刻(4時と16時)をパラメータとしている。この結果から、各建築物に設置すべき燃料電池11の容量は、建築物毎の最も大きい値(図20中の破線の円)となる。図20中の各建築物での電極面積を加算すると97m2 である。上記の(2)で述べたR2方式での負荷平準化による設備容量の低減に(この際の電極面積は120m2 )、上述の燃料電池の分散配置に関する計画を加えることで、電極面積は97m2 まで低減するものと見積もられる。この効果は、従来方式での電極面積180m2 に対して46%の低減である。
図20は、R2方式による各棟での燃料電池11の配置計画の結果を示し、各月代表日のサンプリング時刻(4時と16時)をパラメータとしている。この結果から、各建築物に設置すべき燃料電池11の容量は、建築物毎の最も大きい値(図20中の破線の円)となる。図20中の各建築物での電極面積を加算すると97m2 である。上記の(2)で述べたR2方式での負荷平準化による設備容量の低減に(この際の電極面積は120m2 )、上述の燃料電池の分散配置に関する計画を加えることで、電極面積は97m2 まで低減するものと見積もられる。この効果は、従来方式での電極面積180m2 に対して46%の低減である。
以上のように、第1及び第2の実施形態による燃料電池エネルギネットワークシステムによれば、低負荷時には機械室に設けた水電解装置13を運転して水素・ 酸素を生成した後にこれらをそれぞれ水素ボンベ17及び酸素ボンベ19に圧縮貯蔵し、高負荷時にはこれらをネットワークに放出して燃料電池11で発電するような負荷平準化を行うことにより、燃料電池11の設備容量を低減することができる。具体的には、上述の負荷平準化により、燃料電池11の設備容量は、従来システムと比べて34%低減する。さらに、各棟に設置する燃料電池11の容量、温水の起点となる機械室の位置、配管経路、温水の流れ方向などの最適化により、各棟を結ぶ温水配管4での放熱量を最小化することができ、これによって第2の実施形態において各棟に分散配置する燃料電池11の合計容量は、従来方式に比べて46%低減する。また、燃料電池11の設備容量の低減に加えて、燃料電池11を運転するための補機の集約と熱不足時のバックアップ機器の集約とにより、システムの設備コストの低減を図ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態においては、燃料電池エネルギネットワークに接続した各棟での負荷変動を考慮した温水配管の経路の最適化について説明する。また、燃料電池エネルギネットワークに、出力変動を伴う太陽光発電装置を接続する際の、温水配管の経路計画への影響についても説明する。
まず、燃料電池エネルギネットワークシステムとエネルギ収支について以下の(1)〜(5)に説明する。
この第3の実施形態においては、燃料電池エネルギネットワークに接続した各棟での負荷変動を考慮した温水配管の経路の最適化について説明する。また、燃料電池エネルギネットワークに、出力変動を伴う太陽光発電装置を接続する際の、温水配管の経路計画への影響についても説明する。
まず、燃料電池エネルギネットワークシステムとエネルギ収支について以下の(1)〜(5)に説明する。
(1)燃料電池エネルギネットワークシステム
固体高分子膜型燃料電池エネルギネットワークシステムとして、1ヶ所の機械室に設置した燃料電池を運転して発電した電力とその排熱を、ネットワークに接続している各建築物に供給するという集中方式と、図21に示すように、燃料電池11を全棟に分散配置して電力及び熱を供給する分散方式とを考える。集中方式では各々の建築物の熱エネルギ系統(温水配管)及び電力系統(送電線)を結び、分散方式では、これらに加えて各棟に設置した燃料電池の燃料系統(改質ガス配管)も結ぶ。両方式の温水系統には熱媒体を流して、これにより燃料電池の排熱回収と各棟への熱供給を行う。ここでは、温水配管の経路設定については任意に計画することができるが、熱媒体の流れ方向は一方向であるものとする。分散方式での機械室には、図21(b)中に示すように、燃料改質器14、セパレータ15、水素ガスの圧縮機16、水素ボンベ17、蓄熱槽21及び補助ボイラ26を設置する。分散方式では燃料電池11を各棟に配置しており、各棟での熱需要については、先ずその建築物に設置している燃料電池11の排熱で賄うが、その際の過不足分については、ネットワークを介して蓄熱槽21での熱の出し入れと、補助ボイラ26での追い炊きで対応する。一方、集中方式での機械室に設ける機器は、上で述べた燃料改質器14、蓄熱槽21、補助ボイラ26などの他に燃料電池11を設置する。集中・分散両方式での各棟には、温水出入口部分にヘッダ22、23を設け、これらのヘッダ22、23と接続した放熱器24及び熱交換器25を介して建物内の暖房及び給湯を行う。
固体高分子膜型燃料電池エネルギネットワークシステムとして、1ヶ所の機械室に設置した燃料電池を運転して発電した電力とその排熱を、ネットワークに接続している各建築物に供給するという集中方式と、図21に示すように、燃料電池11を全棟に分散配置して電力及び熱を供給する分散方式とを考える。集中方式では各々の建築物の熱エネルギ系統(温水配管)及び電力系統(送電線)を結び、分散方式では、これらに加えて各棟に設置した燃料電池の燃料系統(改質ガス配管)も結ぶ。両方式の温水系統には熱媒体を流して、これにより燃料電池の排熱回収と各棟への熱供給を行う。ここでは、温水配管の経路設定については任意に計画することができるが、熱媒体の流れ方向は一方向であるものとする。分散方式での機械室には、図21(b)中に示すように、燃料改質器14、セパレータ15、水素ガスの圧縮機16、水素ボンベ17、蓄熱槽21及び補助ボイラ26を設置する。分散方式では燃料電池11を各棟に配置しており、各棟での熱需要については、先ずその建築物に設置している燃料電池11の排熱で賄うが、その際の過不足分については、ネットワークを介して蓄熱槽21での熱の出し入れと、補助ボイラ26での追い炊きで対応する。一方、集中方式での機械室に設ける機器は、上で述べた燃料改質器14、蓄熱槽21、補助ボイラ26などの他に燃料電池11を設置する。集中・分散両方式での各棟には、温水出入口部分にヘッダ22、23を設け、これらのヘッダ22、23と接続した放熱器24及び熱交換器25を介して建物内の暖房及び給湯を行う。
(2)温水配管4の放熱に関するモデル
図22は、燃料電池エネルギネットワークシステムでの集中方式と分散方式とについて、(a)温水配管4の経路、(b)各棟に配置する燃料電池11の容量、(c)温水温度の変化、(d)単位長さ当たりの配管での放熱量に関するモデルを示す。このモデルでは、両方式とも機械室を建築物Aに設置するものとし、熱供給用の温水は図22(a)中に示すとおり建築物ABCDEFGAの順に流れるものとする。燃料電池11については図22(b)中に示すように、集中方式では建築物Aに導入し、分散方式では建築物AからGの各棟に任意の容量で導入する。図22(c)中に示すように、集中方式では、建築物Aに入口温度TA,in,tで入力した温水が、燃料電池11の排熱と蓄熱槽21及び補助ボイラ26による熱供給により、温度TA,out,t に昇温して建築物Aから出力する。この方式では、各棟に燃料電池11が設置されておらず、その後は温水を昇温するような熱源はないことから、B〜Gの各建築物での熱需要と各棟を結ぶ配管での放熱とにより、温度TA,in,tとなって建築物Aの機械室に戻ることとなる。集中方式では、建築物AからGに進むに従って、温水温度は順次低下することから外気温と温水の温度との差は小さくなり、図22(d)中に示すように、単位長さ当たりの配管からの放熱量も小さくなる。これに対して分散方式では、すべての建築物に燃料電池11を設置しており、各建築物の出口温水温度は、各棟に入力する温水の熱量、その建築物に設置した燃料電池11の排熱量、その建築物での熱需要量の収支関係で決まる。従って、建築物の出口温水温度は図22(c)中に示すように、各棟に進むにつれて上下に変動することとなる。この結果、配管の単位長さ当りの放熱量も、図22(d)中に示すように上下に変化する。従って、温水配管4がどの建物を経由するかによって、配管全体での放熱量は異なることとなり、このことは、分散方式の場合で顕著に現れるものと考えられる。
図22は、燃料電池エネルギネットワークシステムでの集中方式と分散方式とについて、(a)温水配管4の経路、(b)各棟に配置する燃料電池11の容量、(c)温水温度の変化、(d)単位長さ当たりの配管での放熱量に関するモデルを示す。このモデルでは、両方式とも機械室を建築物Aに設置するものとし、熱供給用の温水は図22(a)中に示すとおり建築物ABCDEFGAの順に流れるものとする。燃料電池11については図22(b)中に示すように、集中方式では建築物Aに導入し、分散方式では建築物AからGの各棟に任意の容量で導入する。図22(c)中に示すように、集中方式では、建築物Aに入口温度TA,in,tで入力した温水が、燃料電池11の排熱と蓄熱槽21及び補助ボイラ26による熱供給により、温度TA,out,t に昇温して建築物Aから出力する。この方式では、各棟に燃料電池11が設置されておらず、その後は温水を昇温するような熱源はないことから、B〜Gの各建築物での熱需要と各棟を結ぶ配管での放熱とにより、温度TA,in,tとなって建築物Aの機械室に戻ることとなる。集中方式では、建築物AからGに進むに従って、温水温度は順次低下することから外気温と温水の温度との差は小さくなり、図22(d)中に示すように、単位長さ当たりの配管からの放熱量も小さくなる。これに対して分散方式では、すべての建築物に燃料電池11を設置しており、各建築物の出口温水温度は、各棟に入力する温水の熱量、その建築物に設置した燃料電池11の排熱量、その建築物での熱需要量の収支関係で決まる。従って、建築物の出口温水温度は図22(c)中に示すように、各棟に進むにつれて上下に変動することとなる。この結果、配管の単位長さ当りの放熱量も、図22(d)中に示すように上下に変化する。従って、温水配管4がどの建物を経由するかによって、配管全体での放熱量は異なることとなり、このことは、分散方式の場合で顕著に現れるものと考えられる。
(3)燃料電池の出力特性
図23に、固体高分子膜型燃料電池の負荷率に対する、熱出力と電力出力の試験結果を示す。ただし、電力出力についてはDC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口での、熱出力については燃料電池11の出口での値である。後述の解析事例では、集中方式及び分散方式での燃料電池11の発電容量を、その燃料電池11に加わる最大電力負荷の1.2倍として決める。また、任意のサンプリング時刻に、ある燃料電池11に加わる電力負荷が分かると、上で述べた発電容量と電力負荷とから負荷率を計算して、この値を図23に適用することで燃料電池11の熱出力量(後述の式(7)中のHf,m,t )を計算することができる。
図23に、固体高分子膜型燃料電池の負荷率に対する、熱出力と電力出力の試験結果を示す。ただし、電力出力についてはDC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口での、熱出力については燃料電池11の出口での値である。後述の解析事例では、集中方式及び分散方式での燃料電池11の発電容量を、その燃料電池11に加わる最大電力負荷の1.2倍として決める。また、任意のサンプリング時刻に、ある燃料電池11に加わる電力負荷が分かると、上で述べた発電容量と電力負荷とから負荷率を計算して、この値を図23に適用することで燃料電池11の熱出力量(後述の式(7)中のHf,m,t )を計算することができる。
(4)エネルギ収支式
ネットワークに接続している建築物の数はN棟で、サンプリング時刻tに、合計M台の燃料電池11での発電運転が行われているものとする(N≧M、集中方式ではM=1)。この際の電力に関する収支式は式(7)で、熱に関する収支式は式(8)で表される。
式(7)の左辺は、発電運転するM台の燃料電池11のDC−ACコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口での出力の総和を表す。また、右辺第2項はネットワークを維持するための、V台の補機(ここでは改質ガスの圧縮機を想定)で消費する電力の総和を表す。式(8)の左辺第1項はM台の燃料電池11で出力する熱の総和を表し、同第2項及び第3項は、それぞれ蓄熱槽21及び補助ボイラ26での熱出力を表す。また、右辺第2項は各棟を結ぶ温水配管4での放熱量を表す。ΔHhw,nn ' ,tは、建築物nと建築物n’とを結ぶ温水配管4での放熱量で、式(9)から計算する。後述の解析事例では、配管内の温水流速を1m/s以下となるように配管直径を60mmとし、その周囲に厚さ40mmの発泡プラスチック系保温筒を装着することとする。また、配管内の温水と大気との間の熱透過率(h)を8.0W/m2 Kとする。
ネットワークに接続している建築物の数はN棟で、サンプリング時刻tに、合計M台の燃料電池11での発電運転が行われているものとする(N≧M、集中方式ではM=1)。この際の電力に関する収支式は式(7)で、熱に関する収支式は式(8)で表される。
(5)市街地モデルとエネルギ需要パターン
燃料電池エネルギネットワークシステムを適用する、札幌市を想定した市街地モデルを図24に示す。市街地モデル中の建築物は全部で74棟であるが、これをArea1からArea5のそれぞれ16棟、23棟、13棟、12棟、10棟に分けて、それぞれのAreaにネットワークを構築するものとして検討する。建築物の用途については図中に示すように、単身世帯(S:記号は図24中のものに対応)、2人世帯(D)、3〜4人世帯(F)及び5人以上の2世帯同居(DH)の戸建住宅と、小規模オフィス(SO)、24時間開店しているコンビニエンスストア(CS)、集合住宅(AP)を想定する。このうちの集合住宅については、6世帯(AP(1)、図4中のAP2とAP4)、8世帯(AP(2)、同AP3とAP6)、10世帯(AP(3)、同AP1とAP5)の構成であるものとする。上で述べた各建築物での冬期、夏期、中間期のそれぞれの電力及び熱エネルギ需要パターンを図25に示す(日本建築学会, 平成13年度住宅内のエネルギー消費に関する全国調査研究, 3 (2002 ), 3-6 ;永瀬修・他2名, 第19回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集, (2003), 461-466 ;羽田野由起・他2名,
空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集, (2003), 1745-1748 )。また、図26はArea1からArea5それぞれでの、各時期代表日での電力及び熱需要の総量をまとめたものである。
燃料電池エネルギネットワークシステムを適用する、札幌市を想定した市街地モデルを図24に示す。市街地モデル中の建築物は全部で74棟であるが、これをArea1からArea5のそれぞれ16棟、23棟、13棟、12棟、10棟に分けて、それぞれのAreaにネットワークを構築するものとして検討する。建築物の用途については図中に示すように、単身世帯(S:記号は図24中のものに対応)、2人世帯(D)、3〜4人世帯(F)及び5人以上の2世帯同居(DH)の戸建住宅と、小規模オフィス(SO)、24時間開店しているコンビニエンスストア(CS)、集合住宅(AP)を想定する。このうちの集合住宅については、6世帯(AP(1)、図4中のAP2とAP4)、8世帯(AP(2)、同AP3とAP6)、10世帯(AP(3)、同AP1とAP5)の構成であるものとする。上で述べた各建築物での冬期、夏期、中間期のそれぞれの電力及び熱エネルギ需要パターンを図25に示す(日本建築学会, 平成13年度住宅内のエネルギー消費に関する全国調査研究, 3 (2002 ), 3-6 ;永瀬修・他2名, 第19回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集, (2003), 461-466 ;羽田野由起・他2名,
空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集, (2003), 1745-1748 )。また、図26はArea1からArea5それぞれでの、各時期代表日での電力及び熱需要の総量をまとめたものである。
次に、配管経路の探索方法について以下の(1)(2)に説明する。
(1)TSP(Traveling salesman problem)(北野宏明, 遺伝的アルゴリズム2, 49-53,
産業図書, 東京 (1995))の考え方を用いた配管経路の探索方法
配管経路を単純に表記した染色体モデルを遺伝的アルゴリズムに導入して、通常の交叉や突然変異などの遺伝子操作を加えると、同じ建築物を複数回通過する経路や、ある建築物については1度も経由しない経路を表す染色体モデルが多数生じることとなる。ここではこのような経路を扱うことができないために、これらの染色体モデルをすべて破棄することとなり、解析効率が悪化する。そこでここでは、Dewdney による経路の順序表現(Dewdney, Scientific American, 85 (5), 16 (1985))の考え方を導入する。この考え方によると、染色体モデルを構成する各遺伝子モデルは、それぞれの建築物の建築物番号を表すものとなるが、この建築物番号は実際の建築物の番号ではなく、別に作成する建築物リストに記載されているリスト番号を用いる。このリスト番号を導入する方法を用いることで、染色体のモデルに交叉や突然変異などの遺伝子操作を加えても、破棄すべき染色体モデルが出現しないことから、解析効率は大幅に改善される。
ここで考える温水配管の経路探索問題では、配管での放熱量が最小である経路を最適解とする。そこで、遺伝的アルゴリズムでの適応度を、式(10)に示す目的関数の値が小さいものほど高いものとして評価する。
(1)TSP(Traveling salesman problem)(北野宏明, 遺伝的アルゴリズム2, 49-53,
産業図書, 東京 (1995))の考え方を用いた配管経路の探索方法
配管経路を単純に表記した染色体モデルを遺伝的アルゴリズムに導入して、通常の交叉や突然変異などの遺伝子操作を加えると、同じ建築物を複数回通過する経路や、ある建築物については1度も経由しない経路を表す染色体モデルが多数生じることとなる。ここではこのような経路を扱うことができないために、これらの染色体モデルをすべて破棄することとなり、解析効率が悪化する。そこでここでは、Dewdney による経路の順序表現(Dewdney, Scientific American, 85 (5), 16 (1985))の考え方を導入する。この考え方によると、染色体モデルを構成する各遺伝子モデルは、それぞれの建築物の建築物番号を表すものとなるが、この建築物番号は実際の建築物の番号ではなく、別に作成する建築物リストに記載されているリスト番号を用いる。このリスト番号を導入する方法を用いることで、染色体のモデルに交叉や突然変異などの遺伝子操作を加えても、破棄すべき染色体モデルが出現しないことから、解析効率は大幅に改善される。
ここで考える温水配管の経路探索問題では、配管での放熱量が最小である経路を最適解とする。そこで、遺伝的アルゴリズムでの適応度を、式(10)に示す目的関数の値が小さいものほど高いものとして評価する。
(2)配管経路探索プログラムの解析フロー
経路探索の解析手順について述べる。まず、図24に示した市街地モデルの各棟の座標及びその用途のデータと、図25に示した建築物用途別のエネルギ需要パターンデータ、さらに後述の各月代表日での外気温データ(図28)を解析プログラムに入力した後に、上記の経路順序を表す染色体モデルを複数個ランダムに作成する。この染色体モデル群の個々について、式(10)に示した適応度を評価して、適応度の高いモデルについては増殖させ、低いものについては淘汰する。さらに、生き残った染色体モデルに交叉及び突然変異を予め与えた確率で加え、これらについてさらに適応度を評価するということを、予め決めた回数(世代数)だけ繰り返す。そして、最終世代の染色体モデル群の中で、最も適応度の大きい染色体モデルの表す配管経路を最適解として決める。式(10)の適応度の計算では、式中の各棟を結ぶ配管での放熱量ΔHhw,nn ' ,tを以下の手順で計算する。各棟での電力需要パターンから、あるサンプリング時刻の電力需要量E need,n,tを知ることができる。各棟に配置する燃料電池11の容量及び特性については、既に述べたとおりで、これと式(7)とから、燃料電池11を電主熱従運転するときの熱出力量Hf,m,t を見積もることができる。Hf,m,t については、分散方式では各棟に設置した燃料電池11の熱出力を、集中方式では機械室に設置した燃料電池11の熱出力量を見積もる。集中・分散のいずれの方式も機械室出口での温水温度を353K(80℃)として、既に述べた配管仕様を想定して、式(9)から配管放熱量ΔHhw,nn ' , t を求める。以上に述べたHf,m,t 及びΔHhw,nn ' ,tと、各棟での熱需要量Hneed,n,tとを式(8)に導入することで、蓄熱槽21での熱の入出力量Hst,tを計算し、熱不足の際には補助ボイラ26での熱出力量Hbo,tを計算して見積もる。
経路探索の解析手順について述べる。まず、図24に示した市街地モデルの各棟の座標及びその用途のデータと、図25に示した建築物用途別のエネルギ需要パターンデータ、さらに後述の各月代表日での外気温データ(図28)を解析プログラムに入力した後に、上記の経路順序を表す染色体モデルを複数個ランダムに作成する。この染色体モデル群の個々について、式(10)に示した適応度を評価して、適応度の高いモデルについては増殖させ、低いものについては淘汰する。さらに、生き残った染色体モデルに交叉及び突然変異を予め与えた確率で加え、これらについてさらに適応度を評価するということを、予め決めた回数(世代数)だけ繰り返す。そして、最終世代の染色体モデル群の中で、最も適応度の大きい染色体モデルの表す配管経路を最適解として決める。式(10)の適応度の計算では、式中の各棟を結ぶ配管での放熱量ΔHhw,nn ' ,tを以下の手順で計算する。各棟での電力需要パターンから、あるサンプリング時刻の電力需要量E need,n,tを知ることができる。各棟に配置する燃料電池11の容量及び特性については、既に述べたとおりで、これと式(7)とから、燃料電池11を電主熱従運転するときの熱出力量Hf,m,t を見積もることができる。Hf,m,t については、分散方式では各棟に設置した燃料電池11の熱出力を、集中方式では機械室に設置した燃料電池11の熱出力量を見積もる。集中・分散のいずれの方式も機械室出口での温水温度を353K(80℃)として、既に述べた配管仕様を想定して、式(9)から配管放熱量ΔHhw,nn ' , t を求める。以上に述べたHf,m,t 及びΔHhw,nn ' ,tと、各棟での熱需要量Hneed,n,tとを式(8)に導入することで、蓄熱槽21での熱の入出力量Hst,tを計算し、熱不足の際には補助ボイラ26での熱出力量Hbo,tを計算して見積もる。
図27は温水配管ネットワークの熱収支モデルで、建築物AからGの6棟を順次配管で結び、温水は最終的に建築物Aに戻るシステムを想定している。建築物Aには機械室が設けてあり、そこに設置した蓄熱槽21及び補助ボイラ26では、それぞれHst,t及びHbo,tの熱出力がある。建築物AからGでは、それぞれHneed,A,tからHneed,G,tの熱需要があり、分散方式の場合には、各棟に設置した燃料電池11によりHf,A,t からHf,G,t の排熱出力があり、集中方式の場合には、建築物Aに設置した燃料電池11による排熱出力Hf,A,t のみがあるものとする。各棟を結ぶ配管での放熱量ΔHhw,nn ' ,t(n=A,B,C,…,G)を見積もるためには、式(9)に外気温Tatm,t を与える必要がある。そこで後述の解析事例では、図28に示す夏期(8月)、冬期(2月)、中間期(5月)の、札幌の気象データ(気象庁ホームページ, http://www.data.kishou.go.jp/, (アクセス日2004年6月)を用いる。
次に、解析事例について以下の(1)〜(4)に説明する。
(1)最短経路探索によるプログラムチェック
上記の配管経路の探索プログラムの解析精度をチェックするために、図24の市街地モデルについて、簡単のため最短距離の経路探索を実施する。この解析結果を図29に示す。図29の結果から、すべてのAreaについての温水配管4は閉じた経路となっており、さらにこれらの経路結果が最短距離をたどるものであることを確認した。また、遺伝的アルゴリズムに導入する変数を様々に変えて数値実験を繰り返し、最も解析効率(計算時間と精度)が良いと考えられる値群として、染色体モデルの個体数を2500個、交叉確率を0.9、突然変異確率を0.001、世代数を200とした。
(1)最短経路探索によるプログラムチェック
上記の配管経路の探索プログラムの解析精度をチェックするために、図24の市街地モデルについて、簡単のため最短距離の経路探索を実施する。この解析結果を図29に示す。図29の結果から、すべてのAreaについての温水配管4は閉じた経路となっており、さらにこれらの経路結果が最短距離をたどるものであることを確認した。また、遺伝的アルゴリズムに導入する変数を様々に変えて数値実験を繰り返し、最も解析効率(計算時間と精度)が良いと考えられる値群として、染色体モデルの個体数を2500個、交叉確率を0.9、突然変異確率を0.001、世代数を200とした。
(2)燃料電池の発電容量
集中方式については、図29に示すArea1での建築物1、Area2での17、Area3での40、Area4での53、Area5での65に機械室を設けて、それぞれに燃料電池11を設置する。燃料電池11の発電容量は、既に述べた方法に従って、それぞれ26kW、26kW、36kW、42kW、78kWとする。また、分散方式による燃料電池の発電容量についても、やはり既に述べた方法に従うものとして、表2中に記す値とした。
集中方式については、図29に示すArea1での建築物1、Area2での17、Area3での40、Area4での53、Area5での65に機械室を設けて、それぞれに燃料電池11を設置する。燃料電池11の発電容量は、既に述べた方法に従って、それぞれ26kW、26kW、36kW、42kW、78kWとする。また、分散方式による燃料電池の発電容量についても、やはり既に述べた方法に従うものとして、表2中に記す値とした。
(3)経路探索の結果
(a)分散方式と集中方式の違い
図30及び図31は、それぞれ分散方式と集中方式での、冬期、夏期、中間期代表日の経路探索の解析結果を示す。図30及び図31中の各Areaでの配管経路が、図29で示した最短経路と異なるのは、上記の温水配管の放熱に関するモデルの説明及び図22で説明したように、配管の経路により放熱量が異なることが主な理由である。特に、図30(a)から(c)のArea5についての解析結果は、図29に示した最短経路と大きく異なる。このAreaでは、周囲の建築物に比べて電力消費量は大きいが、熱電比については極端に少ないという需要特性を持つコンビニエンスストアが2軒(建築物番号70と71)含まれており、分散方式の場合には、この2棟に設置した燃料電池11での排熱は余剰となる。この解析プログラムでは、このように大きな熱余剰を生じる場合の対応を考慮しておらず、経路探索の解析精度が低下したことが原因であると考えられる。これに対して、図31に示す集中方式による配管経路の解析結果では、経路途中で大きな熱余剰を生じることはないから、分散方式のArea5での結果と比べると、最短経路に近い順序を辿るものとなる。
(a)分散方式と集中方式の違い
図30及び図31は、それぞれ分散方式と集中方式での、冬期、夏期、中間期代表日の経路探索の解析結果を示す。図30及び図31中の各Areaでの配管経路が、図29で示した最短経路と異なるのは、上記の温水配管の放熱に関するモデルの説明及び図22で説明したように、配管の経路により放熱量が異なることが主な理由である。特に、図30(a)から(c)のArea5についての解析結果は、図29に示した最短経路と大きく異なる。このAreaでは、周囲の建築物に比べて電力消費量は大きいが、熱電比については極端に少ないという需要特性を持つコンビニエンスストアが2軒(建築物番号70と71)含まれており、分散方式の場合には、この2棟に設置した燃料電池11での排熱は余剰となる。この解析プログラムでは、このように大きな熱余剰を生じる場合の対応を考慮しておらず、経路探索の解析精度が低下したことが原因であると考えられる。これに対して、図31に示す集中方式による配管経路の解析結果では、経路途中で大きな熱余剰を生じることはないから、分散方式のArea5での結果と比べると、最短経路に近い順序を辿るものとなる。
図32は、集中方式及び分散方式での温水配管4の放熱量の解析結果をまとめた図である。各Areaでの配管放熱量の結果を分散方式と集中方式とで比較すると、分散方式では集中方式の10〜80%の放熱量で済むという結果となる。また、全Areaでの各時期の放熱量を加算すると、分散方式では集中方式のおよそ半分弱となる。この結果から、燃料電池エネルギネットワークシステムの温水配管4の経路計画に、最適化解析を導入した設計を行うことで、ネットワーク全体での放熱量を大きく削減することが可能であることが分かる。
(b)負荷変動を伴う場合の温水配管4の経路計画
図33は分散方式について、冬期代表日での電力及び熱需要パターンに、±15%以内の負荷変動をランダムに加えて解析した経路探索の結果である。ただし、ここに示す経路パターンは結果のすべてではなく、負荷変動を加えた解析を繰り返し行うと、何れのAreaでも複数の異なる経路パターンが出現する。また、図34は、この際の温水配管4での放熱量の解析結果をまとめた図である。負荷変動のない解析結果に対して、±30%までの負荷変動を加えたときの放熱量は、−19%〜3%の範囲で変動し、平均すると6%の削減となる。負荷変動の有無により平均での放熱量が低減する理由は、負荷変動を加えることで建築物の電力需要が小さい時間帯に、電力需要量が零という燃料電池を停止する状況が生じるためであると考えられる。
図33は分散方式について、冬期代表日での電力及び熱需要パターンに、±15%以内の負荷変動をランダムに加えて解析した経路探索の結果である。ただし、ここに示す経路パターンは結果のすべてではなく、負荷変動を加えた解析を繰り返し行うと、何れのAreaでも複数の異なる経路パターンが出現する。また、図34は、この際の温水配管4での放熱量の解析結果をまとめた図である。負荷変動のない解析結果に対して、±30%までの負荷変動を加えたときの放熱量は、−19%〜3%の範囲で変動し、平均すると6%の削減となる。負荷変動の有無により平均での放熱量が低減する理由は、負荷変動を加えることで建築物の電力需要が小さい時間帯に、電力需要量が零という燃料電池を停止する状況が生じるためであると考えられる。
(4)太陽光発電を伴う際の配管経路計画
分散方式によるエネルギネットワークの電力系統に、太陽光発電装置を接続する際の温水配管経路の影響について調査する。想定する太陽光発電装置の仕様は、発電部のモジュール面積が24m2 で、DC−ACコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口の電力出力を最大で3.0kWとする。本解析では、札幌市での太陽光発電に関する実測データ(長野・他11名, 空気調和・衛生工学会北海道支部, 第33回学術講演会論文集, (1999), 5-8 )から、図35に示す発電特性モデルを作成し、これに±25%及び±50%以内の出力変動をランダムに加えて解析に用いる。太陽光発電で得た電力は電力系ネットワークを介して各棟に供給するが、この際には、太陽光発電で得た電力量の範囲内で、ネットワークに接続している燃料電池のうちの発電効率が低い順番に停止することとする。
分散方式によるエネルギネットワークの電力系統に、太陽光発電装置を接続する際の温水配管経路の影響について調査する。想定する太陽光発電装置の仕様は、発電部のモジュール面積が24m2 で、DC−ACコンバータ及びDC−ACインバータ12の出口の電力出力を最大で3.0kWとする。本解析では、札幌市での太陽光発電に関する実測データ(長野・他11名, 空気調和・衛生工学会北海道支部, 第33回学術講演会論文集, (1999), 5-8 )から、図35に示す発電特性モデルを作成し、これに±25%及び±50%以内の出力変動をランダムに加えて解析に用いる。太陽光発電で得た電力は電力系ネットワークを介して各棟に供給するが、この際には、太陽光発電で得た電力量の範囲内で、ネットワークに接続している燃料電池のうちの発電効率が低い順番に停止することとする。
図36は、冬期代表日での電力及び熱需要パターンに±30%以内の負荷変動をランダムに加え、さらに太陽光発電の出力変動を±25%以内でランダムに加えたときの、配管経路パターンの解析結果である。何れのAreaでも、上記の負荷変動を伴う場合の温水配管4の経路計画の説明で述べたように、解析を繰り返すことで複数の経路パターンの結果が出現する。さらに、太陽光発電装置をネットワークに接続することで、分散配置された燃料電池のうちで運転を停止させるものがあることから、図33の結果と比べて大きく異なる経路をとることが多い。
図37は、電力及び熱エネルギの負荷変動の割合が±30%以内で、太陽光発電の出力変動の割合が±25%以内及び±50%以内のときの、温水配管4での放熱量の結果である。太陽光発電の出力変動の割合が、±25%以内のときの放熱量の結果に対して±50%以内のときの結果は、−16%〜5%以内の範囲で変動し、平均すると2%の放熱量の削減となる。また、太陽光発電装置をネットワークに接続しない場合と比べて接続する場合では、−7%〜1%の放熱量の変動が生じ、平均すると放熱量は2%の削減となる。太陽光発電によるネットワークへの電力供給を行うと、ネットワークに接続している燃料電池11のいくつかが運転を停止することとなり、この結果、温水系統に出力する燃料電池排熱が減少し、上で述べた放熱量の削減が生じるものと考えられる。本事例では、太陽光発電装置の容量が小さく、温水配管4での放熱量の削減効果は2%程度と少なかったものの、ネットワークに接続する太陽光発電の容量を大きくすることで、温水配管での放熱量をさらに小さくすることができる。
以上のように、この第3の実施形態においては、集中方式及び分散方式による燃料電池エネルギネットワークシステムでの温水配管4の経路を最適化することができる。また、燃料電池エネルギネットワークに、負荷変動を伴う建築物と出力変動を伴う太陽光発電装置とを接続する際の配管経路及び放熱量に関する検討の結果、集中方式に対する分散方式での通年での配管放熱量はおよそ半分弱で、±30%までの負荷変動があるときの配管放熱量は、負荷変動がない場合と比べて平均で6%減少することが分かった。この理由は、電力需要が小さい時間帯での負荷変動時には、燃料電池11による発電を要さない状況が生じるためと考えられる。また、太陽光発電装置の出力が±50%の変動を伴う際には、太陽光発電装置を接続しない場合と比べて、平均で2%の放熱量の削減となる。この理由は、太陽光発電による電力供給により、ネットワークに接続している燃料電池11のいくつかの運転を停止したことで、温水配管4に供給する燃料電池11の排熱量が減少したものと考えられる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成などを用いてもよい。
具体的には、上述の実施形態においては、固体高分子膜型燃料電池を用いているが、他の燃料電池を用いてもよい。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成などを用いてもよい。
具体的には、上述の実施形態においては、固体高分子膜型燃料電池を用いているが、他の燃料電池を用いてもよい。
1…水素配管、2…酸素配管、3…送電線、4…温水配管、11…燃料電池、12…DC−DCコンバータ及びDC−ACインバータ、13…水電解装置、14…燃料改質器、15…セパレータ、16、18…圧縮機、17…水素ボンベ、19…酸素ボンベ、20…土壌熱源ヒートポンプ、21…蓄熱槽、22、23…ヘッダ、24…放熱器、25…熱交換器、26…補助ボイラ
Claims (14)
- 複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には上記水電解装置で水素及び酸素を生成して上記水素の圧縮機及び上記水素ボンベ並びに上記酸素の圧縮機及び上記酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には上記水素ボンベ及び上記酸素ボンベから水素及び酸素を上記燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステム。 - 低負荷時の上記水電解装置による水素及び酸素の生成量と高負荷時の上記燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように低負荷領域と高負荷領域とのしきい値を決めることを特徴とする請求項1記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記補機は燃料改質器、蓄熱槽、補助熱源、水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記建築物の数をN、上記燃料電池の数をMとしたとき、N≧Mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記エネルギ系統が温水配管を含み、システムの全運転期間での上記温水配管の放熱量の総量を最小化するように上記複数の燃料電池の容量及び上記温水配管の経路を決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記燃料系統が水素配管及び酸素配管であり、上記エネルギ系統が送電線及び温水配管であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 1つまたは複数の太陽光発電装置が接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 複数の建築物に分散配置した複数の燃料電池の燃料系統及びエネルギ系統をそれぞれ結び、これらの燃料電池に共通する補機であって少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むものを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には上記水電解装置で水素及び酸素を生成して上記水素の圧縮機及び上記水素ボンベ並びに上記酸素の圧縮機及び上記酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には上記水素ボンベ及び上記酸素ボンベから水素及び酸素を上記燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法。 - 複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成され、
低負荷時には上記水電解装置で水素及び酸素を生成して上記水素の圧縮機及び上記水素ボンベ並びに上記酸素の圧縮機及び上記酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には上記水素ボンベ及び上記酸素ボンベから水素及び酸素を上記燃料電池に供給して発電運転するように構成されていることを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステム。 - 低負荷時の上記水電解装置による水素及び酸素の生成量と高負荷時の上記燃料電池による水素及び酸素の消費量との収支が釣り合うように低負荷領域と高負荷領域とのしきい値を決めることを特徴とする請求項9記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記補機は燃料改質器、蓄熱槽、補助熱源、水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含むことを特徴とする請求項9または10記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記エネルギ系統が温水配管を含み、システムの全運転期間での上記温水配管の放熱量の総量を最小化するように上記温水配管の経路を決定することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 上記エネルギ系統が送電線及び温水配管であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項記載の燃料電池エネルギネットワークシステム。
- 複数の建築物のエネルギ系統をそれぞれ結び、1つの燃料電池と少なくとも水電解装置、水素の圧縮機、水素ボンベ、酸素の圧縮機及び酸素ボンベを含む補機とを1つの建築物の1つの機械室に集約して各建築物に電力及び熱を分配するように構成された燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法であって、
低負荷時には上記水電解装置で水素及び酸素を生成して上記水素の圧縮機及び上記水素ボンベ並びに上記酸素の圧縮機及び上記酸素ボンベを用いて圧縮貯蔵し、高負荷時には上記水素ボンベ及び上記酸素ボンベから水素及び酸素を上記燃料電池に供給して発電運転することにより、予想されるネットワークの電力負荷の時間変化を平準化するようにしたことを特徴とする燃料電池エネルギネットワークシステムの運転方法。
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JP2004281997A JP2006100023A (ja) | 2004-09-28 | 2004-09-28 | 燃料電池エネルギネットワークシステム及びその運転方法 |
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JP2007299564A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Equos Research Co Ltd | 燃料電池システム及びその運転方法 |
JP2015018729A (ja) * | 2013-07-12 | 2015-01-29 | パナソニック株式会社 | 燃料電池コージェネレーションシステム |
WO2024071247A1 (ja) * | 2022-09-27 | 2024-04-04 | 京セラ株式会社 | 情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム |
-
2004
- 2004-09-28 JP JP2004281997A patent/JP2006100023A/ja active Pending
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