JP2006097866A - リミテッドスリップディファレンシャル装置 - Google Patents

リミテッドスリップディファレンシャル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 リミテッドスリップディファレンシャル装置のイニシャルトルクを調整した際のクリアランスによる差動制限機能の影響を小さくし、かつ簡単に調整を行なうこと
【解決手段】 ディファレンシャルケースと一体的に回転し、かつ車軸方向に移動可能に前記ケース内に互いに対向して収容された一対のプレッシャーリング5A,5Bの車軸方向外方への移動により多板クラッチ6A,6Bを圧着する方向と対向する方向から付勢して当該多板クラッチ6A,6Bを予圧着するための、複数のバネ部材例えばコイルスプリング7を周方向に設けた構成とする。このような構成とすれば、バネ部材の組込み数を変えてイニシャルトルクを調整することができ、プレッシャーリング5A,5Bの圧着特性を見直す必要性が少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に設けられた走行用の駆動車輪の差動動作を制御する差動制限機能を備えたリミテッドスリップディファレンシャル装置に関する。
例えば自動車等の車両には、エンジンからの駆動力を走行用の駆動車輪に伝動すると共に、例えば曲がり角において車両が速やかにカーブ可能なように、内輪側の車輪と外輪側の車輪とを互いに異なる回転速度で回転(差動)させるための差動機構をなすディファレンシャル装置が組み込まれている。
ところで上記ディファレンシャル装置を備えた車両を走行させた際、例えば左右の駆動車輪のうちのいずれか一方がぬかるみに落ち込むなどしてトルクが極端に小さくなってしまうと、ディファレンシャル装置の差動動作により当該トルクの小さくなった方の駆動車輪に集中してエンジンからの駆動力が伝達されて空転を起こし、また他方の駆動車輪へ伝動されるエンジンからの駆動力が極端に小さくなってしまい、車両がぬかるみから脱出できなくなる場合がある。その対策の一つとして、一方の駆動車輪のトルクが極端に小さくなったとしても他方の駆動車輪にエンジンからの駆動力がある程度分配されるように、差動動作を制限する差動制限機構を組み込んだリミテッドスリップディファレンシャル装置(以下、「LSD」と呼ぶ)が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
この種のLSDの概略について、図5を参照しながら一例を挙げて以下に述べておくと、このLSDは、エンジンからの駆動力により回転可能なディファレンシャルケース1と、左右の駆動車輪に各々接続された車軸10,11の軸方向に移動可能に前記ケース1内に互いに対向して収容された一対のプレッシャーリング12,13と、前記一対のプレッシャーリング12,13に挟持されたピニオンシャフト(十字形状に形成されている)14と、前記シャフトの先端部に回転自在に取り付けられたピニオンギヤ15と、前記ピニオンギヤ15を両側から挟むように配置され、それぞれ前記ピニオンギヤ15に噛み合って前記車軸に駆動力を伝達する一対のサイドギヤ16,17と、前記ケース1と前記各サイドギヤ16,17の間に設けられ、前記プレッシャーリング12,13の前記車軸方向外方への移動により圧着されて両サイドギヤ16,17の差動を制限する多数枚のクラッチ板からなる多板摩擦クラッチ18,19とを有していて、前記プレッシャーリング12,13をそれぞれ車軸外方へ移動させて両者の隙間を広げ、前記多板摩擦クラッチ18,19をそれぞれ圧着させるために、前記ピニオンシャフト4の軸横断面を例えば略D字形状に形成するとともに、前記プレッシャーリング12,13には、前記ピニオンシャフト14の軸部と係合するカム面を形成する切欠き部12a,13aが対称に形成された(両切欠き部が合わさって略三角形の形状に形成される)カム分力機構が設けられている。
また図中2は、その復元力により多板摩擦クラッチ18,19を圧着させてイニシャルトルクを形成するための付勢手段をなすコーンスプリングである。ここで、イニシャルトルクとは、例えば前記したようにぬかるみに落ち込むなどして左右の駆動車輪のうちのいずれか一方のトルクが極端に小さくなったとしても、差動動作を制限して他方の駆動車輪に駆動力が分配されるように、多板摩擦クラッチ18,19を予圧着することにより車軸11,12に付加したトルクを意味する。
また上記特許文献2には、互いに対向するプレッシャーリング12,13の側端面の各々に周方向に沿って複数のスプリング収納孔を設け、このスプリング収納孔内にコイルスプリングを配設してプレッシャーリング12,13を車軸方向外側に付勢することにより、イニシャルトルクを付加させる構成が記載されている。
実開昭59−17352号公報(第2図) 特開平9−4696号公報(第1図,段落0010〜0015)
しかしながら上述のLSDにおいては以下のような問題があった。即ち、イニシャルトルクの調整は、コーンスプリング2の圧縮量を調整することにより行なわれるが、コーンスプリング2の変形ストロークは小さいため、この圧縮量の調整はディファレンシャルケース1内部に設けられる部品の長さ方向の厚みを変えてスプリング収納領域のクリアランスを調整することにより行なわれていた。より具体的には、互いに厚みの異なるクラッチ板を用意しておき、実際にLSDを組み立てた後にイニシャルトルクを測定し、所望のトルク値となるようにクラッチ板の厚みの組み合せを変えるといったように、試行錯誤により調整が行なわれていた。そのため、非常に手間がかかり調整作業が煩わしいという問題があった。更にイニシャルトルクに応じて前記クリアランスを変えると、走行時にカム分力機能により開いたプレッシャーリング12,13の多板摩擦クラッチ18,19に対する圧着特性(LSD本来の差動制限の効き具合)が変わってしまう懸念がある。
特に、例えばラリー用の自動車に組み込まれるLSDにおいては、ドライバの好みによりイニシャルトルクの最適な設定値も異なり、そのため任意のイニシャルトルクに簡単に調整することのできる手法の実現化が望まれていた。
なお、イニシャルトルクを調整する手法としては、上記のクラッチ板の厚みを変える手法に代えて、例えばコーンスプリング2の仕様を変えることも考えられるが、そのためには互いにバネ定数の異なる種々のコーンスプリング2を用意しておかなくてはならず、種々の厚みのクラッチ板を用意する場合に比べてコストが割高になる懸念がある。
また特許文献2においては、ディファレンシャルケース1にスプライン結合されたプレッシャーリング12,13の間に収納されたスプリングを交換するのに手間を要する場合がある。
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、イニシャルトルクを調整した際のクリアランスによる差動制限機能の影響することが少なく、かつ簡単に調整を行なえるリミテッドスリップディファレンシャル装置を提供することにある。
本発明のリミテッドスリップディファレンシャル装置は、エンジンからの駆動力により回転するディファレンシャルケースと、このケースと一体的に回転し、かつ車軸方向に移動可能に前記ケース内に互いに対向して収容された一対のプレッシャーリングと、これら一対のプレッシャーリングに挟持されたピニオンシャフトに回転自在に取り付けられたピニオンギヤと、このピニオンギヤを両側から挟むように配置され、それぞれ前記ピニオンギヤに歯合して車軸に駆動力を伝達する一対のサイドギヤと、前記ケースと前記サイドギヤの間に設けられ、前記プレッシャーリングの車軸方向外方への移動により圧着されて前記両サイドギヤの差動を制限する多板クラッチと、前記プレッシャーリングおよび前記ピニオンシャフトに形成され、前記各プレッシャーリングを車軸方向外方に移動させるカム分力機構と、を備えたリミテッドスリップディファレンシャル装置において、
前記プレッシャーリングの圧着方向と対向する方向から多板クラッチを付勢して予圧着させるための複数のバネ部材を当該多板クラッチの周方向に沿って設けたことを特徴とする。
前記複数のバネ部材は、前記多板クラッチの表面と対向するガイド部材の表面に形成されたバネ部材収納孔に収納されている構成であってもよい。この場合、前記複数の収納孔の全部又は一部にバネ部材を収納してもよく、更にはこれによりイニシャルトルクを調整する構成であってもよい。更に前記複数のバネ部材は、互いにバネ定数の異なるバネ部材を含んでいる構成であってもよい。
本発明によれば、多板クラッチを付勢する複数のバネ部材を多板クラッチの周方向に設け、前記プレッシャーリングの圧着方向と対向する方向から多板クラッチを予圧着したことにより、イニシャルトルクを調整した際のクリアランスによる差動制限機能の影響を小さくしてイニシャルトルクの調整を行なうことができる。また車軸に発生するイニシャルトルクはこれらバネ部材の各バネ定数の総和に見合うトルクとなるので、バネ部材の組込み数を変えてイニシャルトルクを調整すれば、所望のトルクに簡単に設定することができる。
本発明のLSDの実施の形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図中3は、図示しない駆動機構であるエンジンからの駆動力が伝動されて回転可能な例えば円筒形空洞状のディファレンシャルケースであり、このディファレンシャルケース3は2個の有底筒状部材の開口部を互いに係合させ、各開口部の端面に夫々設けられたフランジ部31同士を図示しないボルトなどの固定手段により固定してケース体を形成している。更にこのフランジ部31の表面には、エンジンからの駆動力により回動するドライブピニオンギヤ32と歯合するドライブギヤ33が全周に亘って設けられている。
前記ディファレンシャルケース3には、一端側が左右の駆動車輪と各々接続され、さらにその軸心がディファレンシャルケース3の回転軸と同一線上に位置するように配置された車軸34,35の他端側が挿設されており、これら車軸34,35の端部には互いに隙間をあけて対向する一対の傘歯車であるサイドギヤ36A,36Bが車軸34,35に対し着脱自在に夫々設けられている。更に、対向するサイドギヤ36A,36B同士の隙間領域には前記車軸34,35の軸中心線と直交する方向に延びる例えば十字形状に組み合わされた2本のピニオンシャフト4が設けられ、両サイドギヤ36A,36Bはこのピニオンシャフト4の軸回りに回転可能に設けられた例えば4個のピニオンギヤ41と歯合されている。なお、本例のLSDはピニオンシャフト4を挟んで略対称に構成されていることから、図2では作図の便宜上車軸35側の記載を省略してある。
更にディファレンシャルケース3の内周面には、車軸34,35の長さ方向に各々独立してスライド移動可能な概ねその外周面が筒状体をなす一対のプレッシャーリング5A,5Bがディファレンシャルケース3に対しスプライン結合されて設けられている。これらプレッシャーリング5A,5Bの互いに対向する側端面には、前記ピニオンシャフト4よりも外側に突出すると共に、例えば断面が平面部4aと曲面部4bとからなる略D字状に形成されたピニオンシャフト4の軸端部を挟持する例えば三角形状の切り欠き部51が左右対称に形成されている。これによりエンジンからの駆動力によりディファレンシャルケース3が回転すると、プレッシャーリング5A,5Bとピニオンシャフト4とがディファレンシャルケース3と一体的に回転し、左右の車軸34,35が同方向に回転される。
より詳しくは、例えば図3に示すように、前記切り欠き部51は正対する切欠き部51aと切欠き部51bとが合わさって断面が略三角形を形成しており、ピニオンシャフト4の軸端部における平面部4aは切欠き部51の車軸方向に伸びる面と当接し、曲面部4bはカム面をなす他の面(傾斜面)と当接されている。これにより、エンジンからの駆動力により図中下方向に向かって車軸回りにピニオンシャフト4が回転されると、このピニオンシャフト4の曲面部4bに切欠き部51のカム面が押されてプレッシャーリング5A,5Bは車軸外方側に押し開かれ、また例えばエンジンブレーキを作動させた際には曲面部4bがカム面を押すのを止めて平面部4aが切欠き部51を押圧し、プレッシャーリング5A,5Bが閉じた状態となるように構成されている。即ち、切欠き部51及びピニオンシャフト4の軸端部は、LSDのカム分力機構を構成する。なお、本例のLSDは例えばラリー用の自動車に組み込まれるものであり、エンジンブレーキを作動させたときにプレッシャーリング5A,5Bによる差動制限機能が働かないようにするため、ピニオンシャフト4の軸端面を断面D字状としているが、必ずしも断面D字状としなくともよく、更には切欠き部51も必ずしも三角形状としなくともよい。
前記サイドギヤ36A、36Bと、ディファレンシャルケース3との間には、詳しくは後述するクラッチ作用により車軸34,35の差動を制限するための一対の多板クラッチ6A,6Bがプレッシャーリング5A,5Bを挟んで対称に設けられている。この多板クラッチ6A(6B)は、サイドギヤ36A(36B)の軸部表面に間隔をおいて着脱自在に設けられた当該サイドギヤ36A(36B)と一体となって回転する第1の摩擦板をなす第1のクラッチ板61と、これら第1のクラッチ板6同士の隙間に位置するようにディファレンシャルケース3の内周面に着脱自在に設けられた当該ディファレンシャルケース3と一体となって回転する第2の摩擦板をなす第2のクラッチ板62とを備え、対向するクラッチ板表面が当接して発生する摩擦力によりサイドギヤ36、37を介して車軸34,35にトルクを発生させる。更に、これらクラッチ板のうち最もサイドギヤ34,35寄りに位置する第1のクラッチ板61の表面は前記プレッシャーリング5A(5B)の外側端面と当接されており、前記カム分力機構により一対のプレッシャーリング5A,5Bが車軸外方側に押し開かれると、第1のクラッチ板61と第2のクラッチ板62とが圧着されて車軸34,35にトルクを発生させる。
なお、前記第1のクラッチ板61は、例えばその内周縁に設けられた舌片部61aを車軸34(35)の表面の長さ方向に沿って形成された図示しない溝に車軸先端部から差し込んで取り付けられ、また第2のクラッチ板62は、ディファレンシャルケース3を開いた状態で、その外周縁が設けられた舌片部62aをディファレンシャルケース3の内周面に沿って形成された図示しない溝に開口部から差し込んで取り付けられる。
また、前記ディファレンシャルケース3の内側側端面と、前記クラッチ板のうち最も外方側にあたる位置に設けられた第2のクラッチ板62の表面との隙間には、当該第2のクラッチ板62を軸方向内側に向かって押圧(予圧着)することにより、車軸34,35にイニシャルトルクを発生させるためのバネ部材例えば線状部材を長さ方向に巻き回してなるコイルスプリング7が車軸34,35の外側を囲むようにして周方向に間隔をおいて例えば同心円上に着脱自在に設けられている。これらコイルスプリング7は、ディファレンシャルケース3の内側側端面と第2のクラッチ板62との間の隙間に設けられ、前記ディファレンシャルケース3と一体となって回転するガイド部材であるガイドリング71の表面に複数形成された収納孔である孔部(貫通孔)72内に収納されて位置決めされている。
前記ガイドリング71は、例えば前記第2のクラッチ板62と同様に、ディファレンシャルケース3を開いた状態において、その外周縁に設けられた舌片部71aをディファレンシャルケース3の内周面に沿って形成された図示しない溝に開口部から差し込んで取り付けられる。またガイドリング71の厚みは、例えばコイルスプリング7がその伸縮方向においてそれ以上縮まないところまで圧縮された状態、つまり伸縮方向において互いに隣りあう線状部材が密着してしまう状態(この状態を「完全密着状態」と呼ぶ)となったときのスプリングの長さよりも大きくなるように設定されている。
本例においては、ガイドリング71の表面には例えば12個の孔部72が形成され、これら孔部72は互いに狭い間隔で配置された2個一組の孔部群が周方向に等間隔に配置されている。但し、孔部72は必ずしも12個形成しなくともよく、必要に応じて数を増減させることができ、また周方向に等間隔で配置するようにしてもよい。
続いて、上述のLSDを組み立ててイニシャルトルクを調整する手順について、一例を挙げて以下に述べておくが、これにより本発明が限定されることはない。先ず、フランジ部31を介してディファレンシャルケース3を開いた状態において、車輪34,35をケース内に挿入し、次いでガイドリング71をディファレンシャルケース3内に取り付け、例えば予め決めておいた本数例えば6本のコイルスプリング7を当該ガイドリング71の孔部72内に収納する、続いて第1のクラッチ板61及び第2のクラッチ板62を交互に取り付けて、最後にサイドギヤ36A,36Bを車軸34,35端部に取り付ける。更に続いてプレッシャーリング5A,5B、ピニオンシャフト4、ピニオンギヤ41を取り付けた後、ディファレンシャルケース3を閉じる。なお、組立時においては各部品に適宜潤滑油の塗布が行われ、更にディファレンシャルケース3内には潤滑油が注入される。
その後、例えば実際に車軸34,35を回転させてトルク測定器によりイニシャルトルクを測定する。その結果、測定トルク値と所望のトルク値とが異なる場合には、ディファレンシャルケース3を開いて前記部品群を一旦取り外し、そして測定トルク値の結果に基づいてコイルスプリング7の組込み数を変更して再度LSDを組み立てる。この作業は測定トルク値と所望のトルク値とが同じになるか、あるいは差があったとしてもその差が許容範囲内となるまで繰り返し行なわれることとなる。
続いて、上述のLSDを備えた車両を走行させた際における当該LSDの作用について説明する。先ず、例えば凹凸の少ない平坦面を前進走行させた場合、エンジンからの駆動力によりディファレンシャルケース3が回転され、ピニオンシャフト4が車軸回りに回転し、そしてピニオンシャフト4と一体となって車軸回りに回転(公転)するピニオンギヤ41によりサイドギヤ36A,36Bが回転されて車軸34,35を回転させる。このときエンジンの駆動力によりピニオンシャフト4が回転することにより、既述のカム分力機能が働いてプレッシャーリング5A,5Bが車軸外方側に開かれ、多板クラッチ6A,6Bを圧着し、その圧着量に見合うトルクと、前記コイルスプリング7によるイニシャルトルクとを合わせた量のトルクが車軸34,35に付加される。
例えば左右の駆動車輪のうちの一方例えば右側の駆動車輪のトルクが極端に小さくなり、そのためにピニオンギヤ41がピニオンシャフト4の軸回りに回転(自転)して右側車軸35がディファレンシャルケース3よりも速い速度で回転しても、右側の多板クラッチ6Bを介して当該右側車軸35の回転駆動力はディファレンシャルケース3に伝動され、この駆動力はさらにディファレンシャルケース3及び左側の多板クラッチ6Aを介して左側車軸34に伝動される。即ち、LSDの差動制限機能が働くこととなる。そのため、例えばぬかるみに駆動車輪の一方が落ち込んだ場合や、例えば急カーブ走行時に一方の駆動車輪が浮き上がった場合など、左右いずれかの駆動車輪のトルクが極端に小さくなったとしても車軸34,35差動が制限されて他方の駆動車輪にエンジンからの駆動力が伝動される。
ところで、例えばエンジンブレーキを作動させると、例えば断面D字形状をなすピニオンシャフト4の端部における曲面部がカム面を押し広げない状態、つまりカム分力機能が働かずプレッシャーリング5A,5Bが多板クラッチ6A,6Bを圧着しない状態となるが、このときにもコイルスプリング7により多板クラッチ6A,6Bが圧着されて車軸34,35にはイニシャルトルクが付加されているため、例えばカーブの入口において左右の駆動車輪のいずれか一方の駆動車輪がぬかるみに落ち込んでトルクが極端に小さくなったとしても、このイニシャルトルクに見合う量のトルクが他方の駆動車輪に伝達され、スムーズにぬかるみから脱出してカーブ前半を通過することができ、更にカーブ後半にてアクセルをオンするとプレッシャーリング5,51による差動制限機能が働いて速やかにカーブから脱出することができる。
上述の実施の形態によれば、多板クラッチ6A,6Bの表面に対しバネ部材である複数のコイルスプリング7を多板クラッチ6A,6Bの周方向に沿って例えば並列配置してイニシャルトルクを発生させる構成としたことにより、イニシャルトルクはこれらコイルスプリング7の各々のバネ定数の総和に見合うトルクとなる。従って、組み込むコイルスプリング7の本数を変えることでイニシャルトルクを調整することができるので、クラッチ板61(62)の厚みを変えてイニシャルトルクを調整する場合に比べて手間を少なくすることができ、その結果として調整作業を簡単することができる。
また、コイルスプリング7は伸長ストロークがコーンスプリングよりも大きいため、調整時においてクラッチ板61(62)の厚みを変える必要性が少ない。そのためディファレンシャルケース3と多板クラッチ6A(6B)との間のクリアランスが変わらないので、この本来の差動制限機能に影響を及ぼすことなく任意のイニシャルトルクに調整することができる点で本発明は極めて有効である。また多板クラッチ6A,6Bを挟んでプレッシャーリング5A,5Bと対向する位置にコイルスプリング7を設けたことにより、プレッシャーリング5A,5Bからの圧着作用に影響することが少ない。
更には、一旦LSDを組み上げてイニシャルトルクを測定すれば、例えば測定トルク値をバネ数で除して1本あたりのトルク値を計算にて求めることができる。よって所望のトルク値にするためにはバネを何本組み込めば良いのかを簡単に把握することができるので、組み直し作業の回数を少なくしてイニシャルトルクを調整することができる。従って、本例によれば、より確実に調整作業を簡単にすることができる。
更に上述の実施の形態によれば、ガイドリング71の表面に設けられた孔部72にコイルスプリング7を収納した構成としたことにより、当該コイルスプリング7の交換を容易に行なうことができ、その結果調整作業をより確実に簡単に行なうことができる。即ち、例えば「背景技術」の欄に記載したように車軸34,35を全周に亘って囲む一個のスプリングを用いたとすると、別のスプリングに交換するためにはクラッチ板61,62やサイドギヤ36A,36Bまでも一旦車軸34,35から取り外さなくてはならない。これに対し、本例においては、ガイドリング71を車軸34,35に通しておけば、これらを取り外さなくともディファレンシャルケース3を開いてガイドリング71との間に隙間を作ればこの隙間からスプリングを交換することができるので、その分においてスプリングの交換作業を簡単にすることができる。
更に上述の実施の形態によれば、複数のコイルスプリング7を周方向に配置した構成としたことにより、例えば図4(a)に示すように、多板クラッチ6A(6B)の表面を押圧するスプリングの線長領域Q1はその内周縁側から外周縁側に跨った円形状となる。これに対しコーンスプリングを用いた場合には図4(b)に示すように、多板クラッチ6A(6B)の表面を押圧するスプリングの線長領域Q2はその内周縁側に寄ってしまう。即ち、本例の構成によれば多板クラッチ6A(6B)の表面を面内均一に押圧することができ、クラッチ板の表面が局部的に摩耗することを抑えることができる。更には、面内均一に押圧することにより、第1のクラッチ板61と第2のクラッチ板62との間の伝動効率が向上するので、ディファレンシャルケース3と車軸34,35との間で安定したイニシャルトルクの伝達をすることができる。
更に上述の実施の形態によれば、コイルスプリング7が完全密着した状態における長さよりもガイドリング71の厚みを大きく設定したことにより、プレッシャーリング5A,5Bにより多板クラッチ6A,6Bが車軸外方側から押されても、当該ガイドリング71の厚みよりもコイルスプリング7が縮むことが少なく、スプリング自体が完全密着状態となることが少ない。そのためコイルスプリング7の復元力を長期に亘って安定して維持することができるので、結果として所望のイニシャルトルクを長期に亘って安定して維持することができる。
本発明においては、バネ定数を同じくするコイルスプリング7を必ずしも用いた構成に限られず、例えばバネ定数の異なるコイルスプリング7を複数組用意しておき、これらを組み合せてイニシャルトルクを調整するようにしてもよい。このような構成であっても上述の場合と同様の効果を得ることができ、更にこの例によればスプリング組込み数を変えることと相まって、よりきめの細かいイニシャルトルクの調整を行なうことができる。
更に本発明においては、スプリングは必ずしもコイルスプリング7に限られず、例えば複数のコーンスプリングを用いるようにしてもよい。この場合であっても上述の場合と同様の効果を得ることができる。さらに、コーンスプリング以外のスプリングであっても勿論よい。
本発明の実施の形態に係るLSDを示す縦断面図である。 本発明の実施の形態に係るLSDを示す斜視図である。 上記LSDのカム分力機構を示す説明図である。 上記LSDのコイルスプリングの線長領域を示す説明図である。 従来のLSDを示す説明図である。
符号の説明
3 ディファレンシャルケース
34,35 車軸
36A,36B サイドギヤ
4 ピニオンシャフト
41 ピニオンギヤ
5A,5B プレッシャーリング
6A,6B 多板クラッチ
61 第1のクラッチ板
62 第2のクラッチ板
7 コイルスプリング
71 ガイドリング
72 孔部

Claims (5)

  1. エンジンからの駆動力により回転するディファレンシャルケースと、このケースと一体的に回転し、かつ車軸方向に移動可能に前記ケース内に互いに対向して収容された一対のプレッシャーリングと、これら一対のプレッシャーリングに挟持されたピニオンシャフトに回転自在に取り付けられたピニオンギヤと、このピニオンギヤを両側から挟むように配置され、それぞれ前記ピニオンギヤに歯合して車軸に駆動力を伝達する一対のサイドギヤと、前記ケースと前記サイドギヤの間に設けられ、前記プレッシャーリングの車軸方向外方への移動により圧着されて前記両サイドギヤの差動を制限する多板クラッチと、前記プレッシャーリングおよび前記ピニオンシャフトに形成され、前記各プレッシャーリングを車軸方向外方に移動させるカム分力機構と、を備えたリミテッドスリップディファレンシャル装置において、
    前記プレッシャーリングの圧着方向と対向する方向から多板クラッチを付勢して予圧着させるための複数のバネ部材を当該多板クラッチの周方向に沿って設けたことを特徴とするリミテッドスリップディファレンシャル装置。
  2. 前記複数のバネ部材は、前記多板クラッチの表面と対向するガイド部材の表面に形成されたバネ部材収納孔に収納されていることを特徴とする請求項1記載のリミテッドスリップディファレンシャル装置。
  3. 前記複数の収納孔の全部又は一部にバネ部材を収納していることを特徴とする請求項1又は2記載のリミテッドスリップディファレンシャル装置。
  4. 前記バネ部材の組込み数を変えてイニシャルトルクを調整することを特徴とする請求項1又は2記載のリミテッドスリップディファレンシャル装置。
  5. 前記複数のバネ部材は、互いにバネ定数の異なるバネ部材を含んでいることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載のリミテッドスリップディファレンシャル装置。
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