JP2006097154A - 有機繊維コードの改質方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 接着剤液の含浸とともに行うコードの改質を、環境面で問題を生ずることなく高効率化することができる有機繊維コードの改質方法、その方法に使用する過熱水蒸気噴射装置および改質された有機繊維コードを提供する。
【解決手段】 有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより有機繊維コードを改質する有機繊維コードの改質方法である。上記改質方法に使用する過熱水蒸気噴射装置である。走行する有機繊維コードに対し、対向する2方向から垂直に過熱水蒸気を噴射する少なくとも一対の噴射口を有する噴射管と、噴射管に連通する過熱水蒸気発生手段とを具備する。
【選択図】 なし
【解決手段】 有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより有機繊維コードを改質する有機繊維コードの改質方法である。上記改質方法に使用する過熱水蒸気噴射装置である。走行する有機繊維コードに対し、対向する2方向から垂直に過熱水蒸気を噴射する少なくとも一対の噴射口を有する噴射管と、噴射管に連通する過熱水蒸気発生手段とを具備する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コード(以下、単に「コード」とも称する)の改質方法、その方法に使用する過熱水蒸気噴射装置および改質された有機繊維コードに関し、詳しくは、タイヤ等のゴム物品の補強に用いられるコードを短時間でかつ均一に改質して接着性等の面で高機能化するための有機繊維コードの改質方法、その方法に使用する過熱水蒸気噴射装置および改質された有機繊維コードに関する。
タイヤを始めとするゴム物品補強用として用いられるポリエステルやポリアミド(ナイロン)等の有機繊維コードは、通常、ゴムとの接着のためにレゾルシン・ホルマリン/ゴムラテックス(RFL)液等の接着剤液を含浸した後、乾燥、熱処理を施すことにより改質されて、補強用コードとしての所望のコード性能を付与される。このコード改質工程は、従来、有機繊維コードに対し張力をかけながら熱延伸していく方法により行われることが一般的である。
この際、従来の熱延伸装置では、内部の熱処理ゾーンを空気加熱により加温して、この熱処理ゾーンにコードを通過させることでタイヤコードを熱延伸している。かかる熱処理の主な目的としては、寸度安定性(高弾性化、低熱収縮化等)および耐疲労性の改善を行うためのコード改質と、コードと接着剤液との接着とを図ることにある。
一方、有機繊維の改質に係る技術として、例えば、特許文献1には、口金より溶融紡出したポリエステルを冷却した後、過熱水蒸気を用いて延伸する工程を含むポリエステル繊維の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、過熱水蒸気を用いる特定の製造方法により単糸断面において中央から外側にかけ、連続的に極限粘度が低下しかつ複屈折率分布がほぼ均一である繊維構造を実現することにより高強度かつ低収縮率のポリエステル繊維が得られることが開示されている。さらに、特許文献3には、溶融紡糸したポリエステル未延伸糸を連続して多段延伸した後、過熱水蒸気を噴射しつつ熱処理する工程を含む高タフネス低収縮ポリエステル繊維の製造方法が記載されている。
特開昭59−66515号公報(特許請求の範囲等)
特開平5−311512号公報(特許請求の範囲等)
特開2000−27029号公報(特許請求の範囲等)
従来、有機繊維の改質に係る技術として上述のように過熱水蒸気を撚糸前の繊維に対し施すことは知られていたが、有機繊維コードに対しては行われておらず、上記のような空気加熱を用いた方法が一般に採用されていた。しかし、空気加熱を用いた方法によりタイヤコードの改質を行う場合には、伝熱媒体が空気であるため、伝熱手段が対流伝熱に限られてしまい、大半の熱エネルギーが大気中に放出されることになり、効率面および環境面で問題があった。そのため、コードに十分な量の熱エネルギーを与えて所望の改質を行い、工業的に大量生産するためには、改質機を大型化することが必要となっていた。
そこで本発明の目的は、接着剤液の含浸とともに行うコードの改質を、環境面で問題を生ずることなく高効率化することができる有機繊維コードの改質方法、その方法に使用する過熱水蒸気噴射装置および改質された有機繊維コードを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、コードの改質手段として所定の条件下で過熱水蒸気を利用することにより、コード改質処理の均一化および高効率化を図ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の有機繊維コードの改質方法は、有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより該有機繊維コードを改質することを特徴とするものである。
また、本発明の過熱水蒸気噴射装置は、前記改質方法に使用する過熱水蒸気噴射装置であって、走行する有機繊維コードに対し、対向する2方向から垂直に過熱水蒸気を噴射する少なくとも一対の噴射口を有する噴射管と、該噴射管に連通する過熱水蒸気発生手段とを具備することを特徴とするものである。
さらに、本発明の有機繊維コードは、前記改質方法で改質されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、如何なる有機繊維コードに対しても、高速で均一な物性改質加工が可能となる。また、接着剤液含浸後においてもそれ以前の撚りコードの強力を極力維持でき、タイヤ等の補強材としての使用に対し適切な物性と接着性が維持される。よって、環境面で問題を生ずることなく、有機繊維コードの改質工程の高効率化を図ることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の改質方法は、有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより該有機繊維コードを改質するものであり、ゴム物品補強用としての有機繊維コードを接着剤液で含浸処理する含浸処理工程を含む改質方法において特に有用である。例えば、有機繊維コードにRFLによる通常の接着剤液への浸漬または塗布処理を施した後(処理後の有機繊維コードを「ディップコード」と称する)、図1に示すように、ディップコード1を少なくとも乾燥ゾーン2及び熱処理ゾーン3に通して接着熱処理を行うにあたり、この乾燥ゾーン2及び熱処理ゾーン3の双方において過熱水蒸気処理を好適に施すことができる。図1中、符号3、4および5は夫々駆動ロールである。
本発明の改質方法は、有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより該有機繊維コードを改質するものであり、ゴム物品補強用としての有機繊維コードを接着剤液で含浸処理する含浸処理工程を含む改質方法において特に有用である。例えば、有機繊維コードにRFLによる通常の接着剤液への浸漬または塗布処理を施した後(処理後の有機繊維コードを「ディップコード」と称する)、図1に示すように、ディップコード1を少なくとも乾燥ゾーン2及び熱処理ゾーン3に通して接着熱処理を行うにあたり、この乾燥ゾーン2及び熱処理ゾーン3の双方において過熱水蒸気処理を好適に施すことができる。図1中、符号3、4および5は夫々駆動ロールである。
ここで、過熱水蒸気とは、ボイラーからの飽和蒸気を圧力を加えることなく加熱することにより得られる100℃以上の水蒸気のことをいう。過熱水蒸気の特長としては、加熱空気に比べて熱容量が大きいため、加熱対象物を急速に加熱することができる点、および、空気による伝熱は対流伝熱に限られてしまう一方、過熱水蒸気では対流伝熱に加えて放射伝熱や凝縮伝熱によっても伝熱するため、エネルギー効率に優れる点が挙げられる。従って、これらの特長点より、過熱水蒸気は、コードの熱延伸装置における熱処理において使用するに際し、従来の加熱空気に比し極めて有効である。
具体的な熱処理条件としては、ディップコード1に対し、従来の乾燥ゾーン2および熱処理ゾーン3における温度に対応する温度とすればよく、また、過熱水蒸気の供給量および処理速度、即ち、コードの走行速度により適宜調整すればよい。
過熱水蒸気の供給量および熱処理工程におけるコードの速度は、必要な付与エネルギー量に合わせ適宜設定することができ、特に制限されるものではないが、例えば、過熱水蒸気の供給量は5〜100kg/時間の範囲内とすることができ、また、熱処理工程におけるコードの速度は5〜1000m/minの範囲内とすることができる。この程度の範囲内とすることにより、コードの改質を、高効率でかつ十分に行うことが可能となる。
かかる観点より、過熱水蒸気に対するディップコード1の暴露時間は、好ましくは5〜20秒間である。5秒未満であると乾燥および熱処理が不十分の場合があり、一方、20秒あれば十分に所期の目的を達成することができ、それ以上はエネルギー効率面で却って好ましくない。
さらに、ディップコード1に対して過熱水蒸気を垂直方向から、かつ対向する2方向から噴射することが好ましい。これにより、効率的にディップコード1を改質することができる。
本発明の改質方法に好適に使用することができる本発明の過熱水蒸気噴射装置は、走行するディップコードに対し、対向する2方向から垂直に過熱水蒸気を噴射する少なくとも一対の噴射口を有する噴射管と、該噴射管に連通する過熱水蒸気発生手段とを具備するものである。
過熱水蒸気発生手段としては、特に制限されるものではないが、例えば、第一高周波工業(株)の過熱水蒸気発生装置(DHF Super−Hi)を用いることができる。この装置では、誘導過熱方式により過熱水蒸気を発生させるため、バーナーや電気ヒーター式の装置に比して、急速な昇温および正確な温度制御を行うことが可能である。
また、噴射管においては、図2の平面図および図3の断面図に示すように、適宜間隔にてお互いに対向してフォーク状に分岐する一対の噴射管10の各分岐に、対向する一対の噴射口11が設けられている形態とすることが好ましい。この場合、ディップコード1は、図示するように対向する分岐間を走行させることになる。なお、分岐の本数は、図示する例では4本であるが、特に制限されるべきものではなく、効率面、処理量および過熱水蒸気発生手段のパワーに応じて最適本数を定めればよい。
図2および図3において、幅bもディップコード1の本数に応じて適宜定めればよい。また、幅aは、過熱水蒸気に暴露される時間が5〜20秒間となるように適宜定めることが好ましい。さらに、幅cは、走行するディップコード1との接触を生じない程度に狭くすることが好ましい。
一対の噴射管10の対向面に設ける噴射口11の形状は特に制限されるべきものではなく、図4の(イ)、(ロ)および(ハ)に示す形状の噴射口を適宜選定することができる。
本発明の有機繊維コードは、上記改質方法で改質されたコードであり、この繊維材料としてはナイロン、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、レーヨン、ポリケトン、ビニロン等、タイヤ、ベルトコンベヤ等に使用できるものは全て適用可能である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
実施例1〜3
過熱水蒸気発生手段として、第一高周波工業(株)製のDHF super−Hi−10を使用し、噴射管としては図2および図3に示すフォーク状のものを使用した。過熱水蒸気発生手段(図示せず)から噴射管10までの距離は可能な限り短く設定し、かつその間において保温材を充分に巻きつけ、温度低下のないようにした。噴射管10の噴射口11としては図4の(イ)のタイプのものを採用した。
実施例1〜3
過熱水蒸気発生手段として、第一高周波工業(株)製のDHF super−Hi−10を使用し、噴射管としては図2および図3に示すフォーク状のものを使用した。過熱水蒸気発生手段(図示せず)から噴射管10までの距離は可能な限り短く設定し、かつその間において保温材を充分に巻きつけ、温度低下のないようにした。噴射管10の噴射口11としては図4の(イ)のタイプのものを採用した。
改質する有機繊維コードは、PET繊維のディップコード(接着剤液は通常タイヤコードに使用されているRFL接着液を使用)とし、繊度:1670dtex、撚り構造:1670dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)とした。また、エポキシ化合物で表面を改質する前処理を施した。
導入する過熱水蒸気の温度は噴射口のコード近傍で計測し、この温度で過熱水蒸気の出力を制御した。各設定温度は、乾燥ゾーンで温度160℃、熱処理ゾーンで温度240℃とした。また、両ゾーンともコード張力は2.2cN/texとした。過熱水蒸気への暴露時間は実施例1〜3において下記の表1に示すように変化させた。
実施例4
噴射管10の噴射口11として図4の(ロ)のタイプのものを採用した以外はすべて実施例1と同じ条件とした。
噴射管10の噴射口11として図4の(ロ)のタイプのものを採用した以外はすべて実施例1と同じ条件とした。
実施例5
噴射管10の噴射口11として図4の(ハ)のタイプのものを採用し、かつ乾燥ゾーンの過熱水蒸気の暴露時間を20秒間とした以外はすべて実施例1と同じ条件とした。
噴射管10の噴射口11として図4の(ハ)のタイプのものを採用し、かつ乾燥ゾーンの過熱水蒸気の暴露時間を20秒間とした以外はすべて実施例1と同じ条件とした。
比較例1〜3
比較例1では、実施例1と同様のPET繊維のディップコードに対し、乾燥ゾーンを160℃×40秒×2.2cN/texとし、かつ熱処理ゾーンを240℃×40秒×2.2cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例2および3では暴露時間を下記の表1に示すように変化させた以外は比較例1と同様の従来法で改質処理した。
比較例1では、実施例1と同様のPET繊維のディップコードに対し、乾燥ゾーンを160℃×40秒×2.2cN/texとし、かつ熱処理ゾーンを240℃×40秒×2.2cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例2および3では暴露時間を下記の表1に示すように変化させた以外は比較例1と同様の従来法で改質処理した。
得られたコードに対し以下の物性評価を行った。
1)一定荷重時の伸度、破断強力
撚りコード、ディップコードとも、全てJIS L1017に従い、島津製作所(株)製オートグラフにて引っ張りテストを行い、一定荷重20cN/texでの伸び(%)、及び破断強力を求めた。このときの用いるコードのデニールは、原糸についてはJIS L1017の正量繊度を用いた。
1)一定荷重時の伸度、破断強力
撚りコード、ディップコードとも、全てJIS L1017に従い、島津製作所(株)製オートグラフにて引っ張りテストを行い、一定荷重20cN/texでの伸び(%)、及び破断強力を求めた。このときの用いるコードのデニールは、原糸についてはJIS L1017の正量繊度を用いた。
2)熱収縮率
177℃のオーブン中に50gの初期荷重をディップコードに加えて、30分間放置し、縮んだ長さを元の長さで割り、百分率で表した。
177℃のオーブン中に50gの初期荷重をディップコードに加えて、30分間放置し、縮んだ長さを元の長さで割り、百分率で表した。
3)接着力
得られたディップコードを通常のタイヤ用ゴム中に埋没させ、所定の温度圧力下で加硫し、その後ゴムから引き抜く時の力を接着力とした。値は従来法(比較例1)を100として指数で表した。数値が大なる程接着力が大きいことを示す。
得られたディップコードを通常のタイヤ用ゴム中に埋没させ、所定の温度圧力下で加硫し、その後ゴムから引き抜く時の力を接着力とした。値は従来法(比較例1)を100として指数で表した。数値が大なる程接着力が大きいことを示す。
ディップコードの各評価結果を下記の表1に示す。なお、接着剤処理前の撚りコードは、強力240N、66N荷重時の中間伸度11.8%、熱収縮率7.0%であった。
従来法では乾燥時間30分以下では接着剤液が乾燥しなかった。ここで、乾燥しないとする水分率量は、2.0重量%以上と定義する。以下において同様である。未乾燥状態で熱処理をした場合、接着剤液のむら付きが起こり、均一な接着が得られないため、好ましくない。
実施例6〜8
実施例1と同様の過熱水蒸気発生装置を使用し、改質する有機繊維コードは、6,6−ナイロン繊維のディップコード(接着剤液は通常タイヤコードに使用されているRFL接着液を使用)とし、繊度:1400dtex、撚り構造:1400dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)とした。過熱水蒸気発生装置の噴射管10の噴射口として図4の(イ)のタイプのものを採用した。さらに、導入する過熱水蒸気の設定温度は、乾燥ゾーンで温度140℃、熱処理ゾーンで温度235℃とした。また、両ゾーンともコード張力は7cN/texとした。過熱水蒸気への暴露時間は実施例6〜8において下記の表1に示すように変化させた。
実施例1と同様の過熱水蒸気発生装置を使用し、改質する有機繊維コードは、6,6−ナイロン繊維のディップコード(接着剤液は通常タイヤコードに使用されているRFL接着液を使用)とし、繊度:1400dtex、撚り構造:1400dtex/2で撚数39回/10cm(上下共)とした。過熱水蒸気発生装置の噴射管10の噴射口として図4の(イ)のタイプのものを採用した。さらに、導入する過熱水蒸気の設定温度は、乾燥ゾーンで温度140℃、熱処理ゾーンで温度235℃とした。また、両ゾーンともコード張力は7cN/texとした。過熱水蒸気への暴露時間は実施例6〜8において下記の表1に示すように変化させた。
比較例4、5
比較例4では、実施例6と同様の6,6−ナイロン繊維コードに対し、乾燥ゾーンを140℃×60秒×7cN/texとし、熱処理ゾーンを235℃×30秒×7cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例5では暴露時間を下記の表2に示すように変化させた以外は比較例4と同様の従来法で改質処理した。
比較例4では、実施例6と同様の6,6−ナイロン繊維コードに対し、乾燥ゾーンを140℃×60秒×7cN/texとし、熱処理ゾーンを235℃×30秒×7cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例5では暴露時間を下記の表2に示すように変化させた以外は比較例4と同様の従来法で改質処理した。
得られたコードに対し実施例1と同様の物性評価を行った。ディップコードの各評価結果を下記の表2に示す。なお、接着剤処理前の撚りコードは、強力238N、66N荷重時の中間伸度11.8%、熱収縮率7.0%であった。
従来法では乾燥時間30分以下では接着剤液が乾燥しなかった。
実施例9〜11
実施例1と同様の過熱水蒸気発生装置を使用し、改質する有機繊維コードは、レーヨン繊維のディップコード(接着剤液は通常タイヤコードに使用されているRFL接着液を使用)とし、繊度:1840dtex、撚り構造:1840dtex/2で撚数47回/10cm(上下共)とした。過熱水蒸気発生装置の噴射管10の噴射口11として図4の(イ)のタイプのものを採用した。さらに、導入する過熱水蒸気の設定温度は、乾燥ゾーンで温度140℃、熱処理ゾーンで温度1800℃とした。また、両ゾーンともコード張力は2.5cN/texとした。過熱水蒸気への暴露時間は実施例9〜11において下記の表3に示すように変化させた。
実施例1と同様の過熱水蒸気発生装置を使用し、改質する有機繊維コードは、レーヨン繊維のディップコード(接着剤液は通常タイヤコードに使用されているRFL接着液を使用)とし、繊度:1840dtex、撚り構造:1840dtex/2で撚数47回/10cm(上下共)とした。過熱水蒸気発生装置の噴射管10の噴射口11として図4の(イ)のタイプのものを採用した。さらに、導入する過熱水蒸気の設定温度は、乾燥ゾーンで温度140℃、熱処理ゾーンで温度1800℃とした。また、両ゾーンともコード張力は2.5cN/texとした。過熱水蒸気への暴露時間は実施例9〜11において下記の表3に示すように変化させた。
比較例6、7
比較例6では、実施例9と同様のレーヨン繊維コードに対し、乾燥ゾーンを140℃×60秒×2.5cN/texとし、熱処理ゾーンを180℃×30秒×2.5cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例7では暴露時間を下記の表3に示すように変化させた以外は比較例6と同様の従来法で改質処理した。
比較例6では、実施例9と同様のレーヨン繊維コードに対し、乾燥ゾーンを140℃×60秒×2.5cN/texとし、熱処理ゾーンを180℃×30秒×2.5cN/texとする従来法で改質処理した。また、比較例7では暴露時間を下記の表3に示すように変化させた以外は比較例6と同様の従来法で改質処理した。
得られたコードに対し実施例1と同様の物性評価を行った。ディップコードの各評価結果を下記の表3に示す。なお、接着剤処理前の撚りコードは、強力153N、44N荷重時の中間伸度3.3%、熱収縮率1.5%であった。
従来法では乾燥時間30分以下では接着剤液が乾燥しなかった。
上記結果より、実施例の改質法は、比較例の従来法に対し約8分の1の加工時間で目的とする繊維改質加工と接着加工を施すことができることがわかる。
1 ディップコード
2 乾燥ゾーン
3 熱処理ゾーン
4,5,6 駆動ロール
10 噴射管
11 噴射口
2 乾燥ゾーン
3 熱処理ゾーン
4,5,6 駆動ロール
10 噴射管
11 噴射口
Claims (7)
- 有機繊維を撚糸してコードとなした有機繊維コードに対し過熱水蒸気を噴射して、過熱水蒸気処理を施すことにより該有機繊維コードを改質することを特徴とする有機繊維コードの改質方法。
- 前記有機繊維コードに接着剤液を含浸処理した後、該有機繊維コードを少なくとも乾燥ゾーン及び熱処理ゾーンに通して接着熱処理を行うにあたり、前記乾燥ゾーン及び熱処理ゾーンの双方において前記過熱水蒸気処理を施す請求項1記載の改質方法。
- 前記過熱水蒸気処理として、前記有機繊維コードに対し過熱水蒸気を5〜20秒間噴射する請求項2記載の改質方法。
- 前記有機繊維コードに対して過熱水蒸気を垂直方向から、かつ対向する2方向から噴射する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の改質方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の改質方法に使用する過熱水蒸気噴射装置であって、走行する有機繊維コードに対し、対向する2方向から垂直に過熱水蒸気を噴射する少なくとも一対の噴射口を有する噴射管と、該噴射管に連通する過熱水蒸気発生手段とを具備することを特徴とする過熱水蒸気噴射装置。
- 適宜間隔にて対向してフォーク状に分岐する一対の噴射管の各分岐に、対向する一対の噴射口が設けられている請求項5記載の過熱水蒸気噴射装置。
- 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の改質方法で改質されたことを特徴とする有機繊維コード。
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---|---|---|---|---|
CN110607591A (zh) * | 2019-09-06 | 2019-12-24 | 虞佳 | 一种加大纱线柔润性和强度的装置 |
CN110820053A (zh) * | 2019-11-25 | 2020-02-21 | 上海科技大学 | 一种连续功能化纤维、装置及其制备方法和用途 |
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