JP2006096997A - インクジェット用淡インク、インクジェット用濃インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用淡インク、インクジェット用濃インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れたインクジェット用淡インク、インクジェット用濃インクを提供すること。
【解決手段】 色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用淡インクにおいて、前記インクジェット用濃インクが、特定のインクジェット用濃インクの条件を満たし、且つ、前記インクジェット用淡インクが、特定のインクジェット用淡インクの条件を満たすことを特徴とするインクジェット用淡インク。
【選択図】 なし

Description

本発明は、同一の色調を有し、色材の含有量の異なる複数のインクにおける相互関係についての技術に関し、特には、一方のインクの特性に対して、他方のインクに求められる特性等の適正化技術に関する。具体的には、インクジェット用淡インク、インクジェット用濃インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、カラー画像を容易に形成できる手段として、とりわけオフィスや個人使用において広く用いられるようになっている。近年では、インクジェット記録方式により得られる画像の高画質化が進み、銀塩写真に匹敵するほどの記録画像が得られるようになっている。
インクジェット記録方式により得られる画像に求められる性能には、色調再現性が優れていること、光学濃度が高いこと、色調が鮮明であることといった画像品位や、画像の長期保存性が挙げられる。長期保存性とは即ち、太陽光や各種照明光等による変退色を起こさないこと(耐光性)や、大気中に微量に含まれる酸化性ガス(オゾン、NO、SO等)に対して変退色を起こさないこと(耐ガス性)といった画像堅牢性のことである。
銀塩写真に匹敵、或いは銀塩写真を凌ぐ画質を得るために、近年、インクジェット用の記録媒体として、アルミナやシリカのような多孔体を含むインク受容層を形成した記録媒体が使用されている。特に、アルミナ水和物を用いた記録媒体は、アルミナ水和物が正電荷を持つために、インク中で負電荷を有する色材の定着が良い。この結果、発色の良い画像が得られ、特にフルカラー画像における画質及び光沢の点で従来の記録媒体と比較して好ましい等の長所を有している。又、高い画質を得るためには、インク滴を小液滴とすることによって画像のドットサイズを小さくし、高精細な画質の達成を図るという手段がある。更には、同一の色調を有し、色材の含有量が異なる2種以上のインクを用いて、画像の濃淡に対応してこれらのインクを使い分けることや、インクの付与方法を制御することにより、より一層階調性がなめらかな画像を得ることがなされている。
しかしながら、一般に、光に対する変退色は画像濃度の低い部分、即ちハイライト部においてより速やかに進行する。色材の含有量が異なる2種類のインクを用いて形成した画像においては、前記2種類のインクの色材に、耐光性の能力が同等である色材を用いた場合でも、以下に述べるような現象が生じる。即ち、色材の含有量が相対的に低いインク(所謂、淡インク)を用いて形成した画像部分は、色材の含有量が相対的に高いインク(所謂、濃インク)を用いて形成した画像部分と比較して、変退色がより顕著となる。その結果、画像全体のカラーバランスが崩れ、視覚的に画像劣化がより進んでいる印象を与えがちである。
上記課題を解決するために、濃インクと淡インクで異なる染料を用いることに関する提案や、濃インクの耐光性の劣化と比較して、淡インクの耐光性の劣化をより抑制することができる濃インク及び淡インクを組み合わせて用いる提案がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開平2−127482号公報 特開2003−55585号公報
本発明者らは、上記した課題に鑑みて、各種の色材及び水溶性有機溶剤の組み合わせに関する検討を重ねた。その結果、特定の色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクを用いることで、光学濃度及び耐光性が共に優れ、且つ階調性に優れた記録物が得られることを見出し、本発明を為すに至った。
従って、本発明の目的は、光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れたインクジェット用淡インク、インクジェット用濃インクを提供することにある。
又、本発明の別の目的は、光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れた画像を与えることが可能な、色材の含有量(質量%)の異なる複数のインクジェット用インクを含むインクセットを提供することにある。
又、本発明の別の目的は、前記インクジェット用淡インク、前記インクジェット用濃インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用淡インクは、色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用淡インクにおいて、前記インクジェット用濃インクが、下記のインクジェット用濃インクの条件(1)及び(2)を満たし、且つ、前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(インクジェット用濃インクの条件)
(1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
(インクジェット用淡インクの条件)
(1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
(3)色材の含有量(質量%)が、インクジェット用濃インクよりも低い。
一般式(I)
Figure 2006096997
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
一般式(II)
Figure 2006096997
(一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット用濃インクは、色材の含有量が相対的に少ないインクジェット用淡インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用濃インクにおいて、前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)及び(2)を満たし、且つ、前記インクジェット用濃インクが、下記のインクジェット用濃インクの条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(インクジェット用淡インクの条件)
(1)少なくとも、色材として下記一般式(I)表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
(インクジェット用濃インクの条件)
(1)少なくとも、色材として下記一般式(I)表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
(3)色材の含有量(質量%)が、インクジェット用淡インクよりも高い。
一般式(I)
Figure 2006096997
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
一般式(II)
Figure 2006096997
(一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
又、本発明の別の実施態様にかかるインクセットは、少なくとも、色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃インク、及び、色材の含有量が相対的に低いインクジェット用淡インクとを有するインクセットにおいて、前記インクジェット用濃インクが下記のインクジェット用濃インクの条件(1)及び(2)を満たし、且つ、前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(インクジェット用濃インクの条件)
(1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
(インクジェット用淡インクの条件)
(3)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
(2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
一般式(I)
Figure 2006096997
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
一般式(II)
Figure 2006096997
(一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
又、本発明の別の実施態様にかかるインクセットは、複数のインクからなるインクセットにおいて、少なくとも、上記構成のインクジェット用淡インク及び上記構成のインクジェット用濃インクとを含むことを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、前記インクが、上記構成のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、上記構成のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、上記構成のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とする。
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、上記構成のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とする。
本発明によれば、光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れたインクジェット用淡インク、インクジェット用濃インクを提供することができる。
又、本発明の別の実施態様によれば、光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れた画像を与えることが可能な、色材の含有量(質量%)の異なる複数のインクジェット用インクを含むインクセットを提供することができる。
又、本発明の別の実施態様によれば、前記インクジェット用淡インク、前記インクジェット用濃インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置を提供することができる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
尚、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
<インク>
本発明者らは、下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有し、更に特定の水溶性有機溶剤を特定の組成で含有するインクジェット用インク(以下、単に「インク」と言うこともある)を用いることで、本発明の効果が得られる理由を、以下のように推測している。
一般式(I)
Figure 2006096997
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
一般式(II)
Figure 2006096997
(一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
インクジェット記録装置を用いて画像形成を行う場合、記録ヘッドから吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾した後、インク中に含有される色材は記録媒体に吸着する。特に、インク受容層に、カチオン性電荷を有する顔料を含有する記録媒体に画像を形成する際に、インク中に含有される色材が負の電荷を有している場合、記録ヘッドから吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾した後、色材分子はカチオン性電荷を有する顔料に対して強く吸着を起こす。その結果、色材とインクの水性媒体は、一種の固液分離を起こす。その過程で、色材は記録媒体のインク受容層の表面近傍に固定され、電荷をほとんど帯びていない水性媒体は、記録媒体のインク受容層の深さ方向へ移動していく。
ところで、高い光学濃度を有する画像を得るためには、下記の3点が重要である。
(1)色材のモル吸光係数が高いこと
(2)光の透過性を向上させるため、記録媒体の受容層を形成する材料が、可視光に対して限りなく透明であること
(3)記録媒体の受容層中における色材密度を上げること
つまり、インクが記録媒体に着弾した後、色材をできる限り記録媒体の表層部近傍に固定することができれば、インク受容層を形成する材料の曇りによる影響を避けつつ、色材密度を上げることができ、従って、高い光学濃度を発現できるようになる。
又、高い光学濃度、及び、高い耐光性を両立する画像を得るためには、色材をインク受容層の深さ方向に、一定の深さで存在させることが重要である。これは、太陽光や各種照明光などの光が記録媒体のインク受容層に入射すると、インク受容層を構成する顔料の粒子により、光が散乱を起こして徐々に減衰していく。つまり、色材がインク受容層の深さ方向に、一定の深さで存在することで、光による色材の分解等の影響を受けにくくなると考えられる。
そこで、本発明者らは、インクジェット用インクに通常用いられる各種の水溶性有機溶剤について、インクに含有されるそれぞれの水溶性有機溶剤と、インクに含有される色材が記録媒体の深さ方向への浸透する程度(浸透深さ)、の関係について検討を行った。その結果、比誘電率の高い水溶性有機溶剤を含有するインクは、比誘電率の低い水溶性有機溶剤を含有するインクと比較して、インクに含有される色材が記録媒体の深さ方向へ浸透する程度(浸透深さ)が浅くなり、光学濃度が向上することがわかった。
上記現象が起きる理由を、本発明者らは以下のように推測している。比誘電率の低い水溶性有機溶剤は分極率が低いため、水溶性有機溶剤が記録媒体のインク受容層へ浸透する際に、多孔体表面のカチオン性電荷に接触すると、電荷を遮蔽しやすくなり、カチオン性を弱める。その結果、記録媒体に着弾したインクに含有される色材及び水性媒体は固液分離を起こしにくくなり、色材の浸透深さが深くなる。つまり、比誘電率の高い水溶性有機溶剤を用いることで、色材を効果的に記録媒体の表面近傍に定着することができる。
更に本発明者らが、インクに含有される色材が記録媒体の深さ方向へ浸透する程度(浸透深さ)及びインクに含有される水溶性有機溶剤の比誘電率について詳細な検討を行った結果、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を含有することで、色材を効果的に記録媒体の表面近傍に定着できることがわかった。
従って、高い光学濃度及び高い耐光性を有し、且つ、階調性に優れた画像を得るためには、同一の色調を有し、色材の含有量の異なる複数のインクを用い、インク受容層に、カチオン性電荷を有するアルミナ、シリカ等の多孔体を含有する記録媒体に対して画像形成を行うことが好ましい。特に、本発明においては、色材の含有量が相対的に高いインク(所謂、濃インク)及び色材の含有量が相対的に低いインク(所謂、淡インク)を用い、濃インク及び淡インクにそれぞれ特定の水溶性有機溶剤を含有させることで、上記した本発明の効果を得ることができる。
具体的には、画像濃度の高い部分、即ち、シャドー部等の画像を形成する際には、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を含有する濃インクを用いることで、高い光学濃度を得ることができる。
又、画像濃度の低い部分、即ち、ハイライト部等の画像は、記録媒体中に存在する色材が少ないため、前記シャドー部等と比較して、耐光性の劣化が著しいという傾向がある。従って、ハイライト部等の画像を形成する際には、画像の光学濃度よりも耐光性を重視した組成を有するインクを用いることが必要である。即ち、画像濃度の低い部分、即ち、ハイライト部等の画像を形成する際には、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有する淡インクを用いることで、高い耐光性を得ることができる。これは、上記でも述べたように、記録媒体に着弾した淡インクは固液分離を起こしにくく、色材が記録媒体の深さ方向に、一定の深さで存在することで、色材が光による分解等の影響を受けにくくなるためである。
更に、濃インクが、色材として一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する場合、上記したメカニズムにより、色材を効果的に記録媒体の表面近傍に定着することができる。この理由は、前記色材は、従来のインクジェット用インクにおいて使用されている色材と比較して高いモル吸光係数を持つだけではなく、その分子量が大きいため、多孔体間を移動する速度が小さくなるためであると推測される。つまり、比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を使用することで、多孔体のカチオン性を維持する効果、及び、色材の分子量が大きいために多孔体間を移動する速度が小さいという効果、の2つの効果が相乗的に働くことで、色材を記録媒体の表面近傍に定着することが可能となり、高い光学濃度が実現できる。
又、淡インクが、色材として一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する場合、前記色材の耐光性が非常に優れているため、淡インクとしての耐光性がより効果的に得られる。
上記で述べた構成を有する、濃インク及び淡インクを用いて画像を形成する場合、シャドー部からハイライト部にかけて使用するインクの組み合わせは、〔濃インクのみ〕→〔濃インク+淡インク〕→〔淡インクのみ〕となる。つまり、画像濃度が中間の部分には、濃インク及び淡インクが同一の画像上に付与されることになる。本発明の構成の濃インク及び淡インクを用いる場合、淡インクに含有される水溶性有機溶剤が、濃インクによって記録媒体に付与された色材を記録媒体の深さ方向へより浸透させることにより、濃インクによって形成されたドットの光学濃度が下がる。この結果、画像形成に使用されるインク種が、〔濃インク+淡インク〕→〔淡インクのみ〕に切り替わる部分における画像の粒状性を低減することができ、滑らかな階調性が得られる。
例えば、濃インク及び淡インクが共に、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有する場合、上記したメカニズムが起こらず、優れた階調性は得られない。又、濃インク及び淡インクが含有する水溶性有機溶剤の組み合わせを本発明の構成と逆にした場合、又は、濃インク及び淡インクが共に20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有するインクを用いた場合、粒状感が低減された画像は得られる。しかし、シャドー部における光学濃度、又は耐光性の点で、本発明の構成の濃インク及び淡インクを用いた場合には及ばない。
上記のことから、本発明の構成の濃インク及び淡インクを組み合わせて用いて画像を形成することで、光学濃度及び耐光性が高く、且つ、階調性に優れた画像を得ることができる。
(色材)
本発明のインクに用いられる色材は、一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩である。前記色材は、耐光性に優れると共に、耐ガス性にも優れているため、画像の堅牢性を優れたものとすることができる。
一般式(I)
Figure 2006096997
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
一般式(II)
Figure 2006096997
(一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
尚、一般式(I)及び一般式(II)において、n=0とは、下記例示化合物2及び4のように、SOHの位置がHであることを示す。
以下に、一般式(I)で表される化合物又はその塩の具体例として例示化合物1〜3、一般式(II)で表される化合物又はその塩の具体例として例示化合物4〜6を示す。勿論、本発明で使用する色材は、これらに限られるものではない。又、色材は同時に2種類以上を用いてもよい。
Figure 2006096997
Figure 2006096997
本発明の濃インクにおける、一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%)は、濃インク全質量に対して2.0質量%〜15.0質量%であることが好ましく、更には、3.0質量%〜10.0質量%であることが特に好ましい。又、本発明の淡インクにおける、一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%)は、淡インク全質量に対して0.1質量%〜2.5質量%であることが好ましい。勿論、本発明のインクにおいては、上記含有量の範囲を満たし、且つ、濃インクにおける色材の含有量が、淡インクにおける色材の含有量よりも多くなるようにすることが必要である。
一般式(I)で表される化合物又はその塩、及び、一般式(II)で表される化合物又はその塩を組み合わせて用いる場合は、以下の比率で用いることが好ましい。即ち、淡インクにおいては、(一般式(I)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%))/(一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%))が、10.0以下である場合、本発明の効果の1つである耐光性が効率的に得られるために好ましい。又、濃インクにおいては、(一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%))/(一般式(I)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%))が、10.0以下である場合、本発明の効果の1つである光学濃度が特に向上するために好ましい。
又、本発明の淡インクは、色材として、一般式(I)で表される化合物又はその塩を含有しないことが特に好ましい。一般に、淡インクは画像濃度の低い部分の形成に使用される。つまり、淡インクを用いて記録媒体に画像を形成する場合、光学濃度をある程度低くする必要がある。しかし、一般式(I)で表される化合物又はその塩は、光学濃度を向上させる能力が強い。このため、淡インクにおいては、一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量を下げる必要がある。しかし、一般式(II)で表される化合物又はその塩の含有量を下げる場合よりは、一般式(I)で表される化合物又はその塩を含有しない場合のほうが、より効果的に耐光性を得ることができる。
〔色材の検証方法〕
本発明において用いられる色材の検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークにおける最大吸収波長
(3)(1)のピークにおけるマススペクトルのM/Z(posi、nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下に示す通りである。純水で約1000倍に希釈したインク溶液に対して、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、ピークの最大吸収波長を測定する。
・カラム:Symmetry C18 2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2ml/min
・PDA:210nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
Figure 2006096997
又、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークに対して、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi、negaそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI キャピラリ電圧 3.5kV
脱溶媒ガス 300℃
イオン源温度 120℃
・検出器 posi 40V 200−1500amu/0.9sec
nega 40V 200−1500amu/0.9sec
例示化合物1及び例示化合物4における、保持時間、最大吸収波長、M/Z(posi)、M/Z(nega)の値を表2に示す。表2に示された値に該当する場合、本発明において用いる化合物に該当すると判断できる。
Figure 2006096997
〔その他の色材〕
本発明においては、上記色材の他に、調色用の色材として上記以外の色材を用いても構わない。
又、フルカラー画像等を形成するために、本発明のインクとは別の色調を有するインクを併用しても構わない。例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク等である。又、これらのインクと同一色調を有する淡インクを組み合わせて用いることもできる。これらの別の色調を有するインク、又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
[マゼンタ色材]
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230等
C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289等
C.I.フードレッド:87、92、94等
C.I.ダイレクトバイオレット:107等
[シアン色材]
C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、307、等
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、112、117、127、138、158、161、203、204、221、244等
[イエロー色材]
C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、173等
C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99等
[ブラック色材]
C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195等
C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、110、115、156等
C.I.フードブラック:1、2等
(水性媒体)
〔20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤〕
本発明の濃インクに用いられる、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤は、上記範囲の比誘電率を示すものであれば特に限定されない。20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤の具体例は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
本発明の濃インクにおける、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、本発明の効果が得られる含有量であれば、即ち、支配的に含有すれば限定されるものではない。具体的には、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、濃インク全質量に対して10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。特に本発明においては、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、濃インクに含有される水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して、50.0%以上であることが好ましい。これは、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤の含有量の比率が50.0%以上である場合は、画像濃度の高い部分において、より高い光学濃度が得られるためである。尚、本発明においては、濃インクに含有される水溶性有機溶剤が全て20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤であってもよい。
〔20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤〕
本発明の淡インクに用いられる、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤は、上記範囲の比誘電率を示すものであれば特に限定されない。20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の具体例は、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明の淡インクにおける、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、本発明の効果が得られる含有量であれば、即ち、支配的に含有すれば限定されるものではない。具体的には、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、淡インク全質量に対して10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。特に本発明においては、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、淡インクに含有される水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して、30%以上であることが好ましい。これは、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量の比率が30%以上である場合は、画像濃度の低い部分において、より高い耐光性が得られるためである。尚、本発明においては、淡インクに含有される水溶性有機溶剤が全て20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤であってもよい。
尚、本発明の淡インクにおいては、20℃における比誘電率が30.0以上の水溶性有機溶剤を支配的に含有すると、耐光性を向上する効果が得られにくい場合があり、又、20℃における比誘電率が10.0未満の水溶性有機溶剤を含有すると、水に対する溶解度が低いために、記録ヘッドの固着性に問題が生じる場合がある。
〔その他の水溶性有機溶剤及び水〕
本発明のインクにおいては、上記した20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤、又は、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の他に、これらを添加することによる効果が得られ、且つ本発明の目的効果を損なわない範囲で、水、或いは水と各種の水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用することができる。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限は無く、上記した20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤、又は、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含めて、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;トリメチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。上記水溶性有機溶剤は、単独で用いても、或いは混合物として用いても良い。
これらの水溶性有機溶剤、及び、上記した上記した20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤、又は、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量の合計は、インク全質量に対して好ましくは10質量%〜95質量%、より好ましくは10質量%〜80質量%である。含有量がこの範囲より少ない場合は、記録ヘッドにおける固着回復性に問題が生じることがあり、含有量がこの範囲より多い場合は、インクの粘度が高くなり、インクの連続吐出性に問題が生じることがある。
又、水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水の含有量は、インク全質量に対して10質量%〜90質量%であることが好ましい。
(添加剤)
又、本発明においては、これらを添加することによる効果が得られ、且つ本発明の目的効果を損なわない範囲で、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
例えば、界面活性剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用できる。中でも特に、アセチレンアルコール類や、アセチレングリコール類が普通紙への浸透性に優れた効果を発揮するために好ましい。界面活性剤のインク中における含有量は、インク全質量に対して0.01質量%〜5質量%が好ましい。
<記録媒体>
本発明のインクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、インクを付与して記録を行う記録媒体であれば何れのものでも使用することができる。中でも、インク受容層が、カチオン性の電荷を有する多孔質の微粒子で形成された記録媒体が好ましい。更には、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体として、インク受容層を形成した記録媒体が好ましい。
前記微粒子の具体例は、シリカ微粒子や酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカ自体は市場より入手可能であるが、特には、例えば特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたものが好ましい。酸化アルミ微粒子として好ましいものは、アルミナ水和物微粒子等である。このようなアルミナ系顔料の一つとして下記式により表されるアルミナ水和物を挙げることができる。
Al3−n(OH)2n
(上記式中、nは1、2又は3の整数の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mHOは、多くの場合mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数又は整数でない値を取ることもできる。又この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。)
アルミナ水和物は、米国特許第4,242,271号、米国特許第4,202,870号に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリウムの加水分解、又、特公昭57−44605号公報に記載のアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法など、公知の方法で製造することができる。
上述のアルミナ水和物を用いた記録媒体は、前述したような写真画質を実現するために必要とされる光沢、透明性、及びインク中の色材の定着性等が優れているために好ましい。
バインダーの具体例は、水溶性高分子やラテックス等が挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール又はその変性体、澱粉又はその変性体、ゼラチン又はその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体、アクリル酸エステル共重合体等が使用される。これらから選択した1種、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、インク受容層の形成材料中に、ゲル化剤(架橋剤)として、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有させることが特に好ましい。ホウ酸の具体例は、オルトホウ酸(HBO)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩は、前記ホウ酸の水溶性の塩であるものが好ましく、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na・10HO、NaBO・4HO等)や、カリウム塩(K・5HO、KBO等)等のアルカリ金属塩、ホウ酸のアンモニウム塩(NH・3HO、NHBO等)、ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
微粒子とバインダーの混合比は、質量比で、1:1〜100:1であることが好ましい。酸化アルミニウム微粒子又はシリカ微粒子のインク受容層中の好ましい含有量は、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは、80質量%以上であり、99質量%以下であることが最も好適である。インク受容層の塗工量は、乾燥固形分換算で10g/m以上であることが好ましく、10〜60g/mが最も好適である。
記録媒体は上記したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、且つインクジェットプリンタ等の搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、何れのものでも使用できる。例えば、支持体とインク受容層の間に硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料等をバインダーと共に塗工して形成した多孔質層を有するものや、支持体にレジンコート紙を用いても良い。
インク受容層には、その他の添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを挙げることができる。
本発明の記録媒体は、少なくともインクの色材を保持するためのカチオン性電荷を有する顔料と、前記顔料のバインダーと、を含んでいるインク受容層をインク記録面側に有する記録媒体であって、前記インク受容層は、前記バインダーが第1架橋剤により架橋し前記顔料と相対的に均一化されている第1層領域と、前記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域とを有し、前記第1層領域が第2層領域よりも前記インク記録面側に位置していることを特徴とする。このような記録媒体を用いることで、高湿等の環境における、印字物の長期にわたる保存安定性も得られると考えられる。これは、インク受容層の第1層領域において、記録媒体に付与されたインクを効率的に吸収することと共に、架橋度の高い第2層領域において、インクが周辺に拡散せずに固定化されるために、鮮明な画像を形成することができるためである。つまり、本発明で用いられる色材が、インク受容層の第2層領域において、強固に固定されることで、高い湿度の環境に長期間放置された場合でも、未印字部への色材の移動(マイグレーション)を防止することができると考えられる。
<インクセット>
本発明のインクは、他のインクと組み合わせてインクセットとした場合においても好ましく使用することができる。本発明におけるインクセットは、本発明のインクを、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク等の他のインクと共に用いる状態ことである。尚、インクセットとして組み合わせることのできる他のインクについての限定は特にない。又、本発明におけるインクセットとは、インクタンクが複数一体になっているインクタンク自体は無論のこと、単独のインクタンクを複数組み合わせて使用する場合も含み、更に、前記インクタンク及び記録ヘッドを一体としたものも含まれる。
例えば、本発明の淡インクと、該淡インクと共に用いられる濃インクを、それぞれ単独のインクタンクとして組み合わせて用いる状態、本発明の淡インクと及び他のインクが一体となったインクカートリッジ、本発明の淡インクと共に用いられる濃インク及び他のインクが一体となったインクカートリッジを組み合わせて用いる状態等が挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本発明にかかるインクは、インクをインクジェット方法で吐出する工程を有するインクジェット記録方法に用いることが特に好適である。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法、及びインクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法等がある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
<インクカートリッジ>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられる。
<記録ユニット>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットは、これらのインクを収容するインク収容部と、記録ヘッドとを備えた記録ユニットが挙げられる。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる記録ユニットが挙げられる。
<インクジェット記録装置>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置は、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。記録装置本体は、各機構の役割から、給紙部、用紙搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部及びこれらを保護し、意匠性を持たす外装部から構成されている。以下、これらの概略を説明していく。
図1は、記録装置の斜視図である。又、図2及び図3は、記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、図2は右上部からの斜視図、図3は記録装置本体の側断面図をそれぞれ示したものである。
記録装置において給紙を行う際には、まず給紙トレイM2060を含む給紙部において記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
キャリッジ部では記録媒体に画像を形成する場合、記録ヘッドH1001(図4)を目的の画像形成位置に配置させ、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成は後述するが、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
最後に画像を形成された記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。
尚、クリーニング部において、画像記録前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする目的のために、キャップM5010を記録ヘッドH1001のインク吐出口に密着させた状態で、ポンプM5000を作用させると、記録ヘッドH1001から不要なインク等が吸引されるようになっている。又、キャップM5010を開けた状態で、キャップM5010に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着及びその後の弊害が起こらないように配慮されている。
(記録ヘッド構成)
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、及びインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
図4は、ヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンインクによって画像を形成し、従ってインクタンクH1900も7色分が独立に用意されている。上記において、少なくとも一種のインクに、本発明にかかるインクを用いる。そして、図に示すように、それぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。尚、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図を示したものである。図において、ヘッドカートリッジH1000は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、第2のプレートH1400、電気配線基板H1300、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などから構成されている。
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路も又、フォトリソグラフィ技術により形成されている。更に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明するための正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)であり、第1の記録素子基板H1100には、イエローインクの供給されるノズル列H2000、マゼンタインクの供給されるノズル列H2100、及びシアンインクの供給されるノズル列H2200の3色分のノズル列が構成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクの供給されるノズル列H2300、ブラックインクの供給されるノズル列H2400、オレンジインクの供給されるノズル列H2500、及び淡マゼンタインクの供給されるノズル列H2600の4色分のノズル列が構成されている。
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約2ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μm2に設定されている。又、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。
更に、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持している。
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有している。外部信号入力端子H1301は、タンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
一方、インクタンクH1900を保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成している。
インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。又、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
更に、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録ヘッド部H1001とを、接着等で結合することにより、ヘッドカートリッジH1000が構成されている。
尚、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドについて一例を挙げて述べた。
この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長・収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
又、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。
又、インクジェット記録装置は、上述のようにヘッドとインクタンクとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。又、インクタンクはヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して記録ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。更に、記録ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などを採用することができる。又、記録装置は、上述のようにシリアル記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、特に指定の無い限り、実施例、比較例のインク成分は「質量部」を意味する。
<色材の調製>
(例示化合物1のナトリウム塩の調製)
下記式(A)の化合物を、炭酸ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、更に塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液に、6−フェニルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸水溶液を添加し、炭酸ナトリウムの存在下で溶解し、溶液(A)を得た。次に、2−アミノスルホン酸を、水酸化ナトリウムの存在下で溶解し、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加して、ジアゾ化を行った。次に、6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸を、水酸化ナトリウムの存在下で溶解し、無水酢酸を添加し、アセチル化を行った。ここに上記ジアゾ混濁液を炭酸ナトリウムの存在下で滴下して、カップリング反応を行い、反応液(A)を得た。この反応液(A)に、水酸化ナトリウム、次いで塩化ナトリウムを添加して塩析を行い、させ、化合物を得た。この化合物を水酸化ナトリウムの存在下で、水に溶解させ、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液に、炭酸ナトリウムの存在下で、溶液(A)を滴下し、カップリング反応を完結させ、反応液を得た。この反応液を塩化ナトリウムで塩析した後、濾過を行うことにより中間化合物(A)を得た。N,N−ジメチルホルムアミドに、2−ニトロ−4−クレゾール、トルエン、水酸化カリウムを添加し、トルエンとの共沸により水を留去し、プロパンスルトンを滴下した後、水酸化ナトリウムを添加し、これを濃縮後、オートクレーブにて、パラジウムカーボンを添加し、水素ガスを封入し溶液を得た。これを、塩酸、亜硝酸ナトリウム添加することでジアゾ化を行い、上記反応液(A)を滴下し、水酸化ナトリウムの存在下でカップリング反応を完結させ、反応液を得た。この反応液を塩酸、亜硝酸ナトリウム添加によりジアゾ化を行い、このジアゾ混濁液を上記中間化合物(A)を溶解した水溶液に添加し、カップリング反応を完結させた。これを塩化ナトリウムにより塩析した後、濾過、洗浄を行うことにより、例示化合物1のナトリウム塩を得た。
式(A)
Figure 2006096997
例示化合物1のナトリウム塩
Figure 2006096997
(例示化合物4のナトリウム塩の調製)
下記式(B)の化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、更に亜硝酸ナトリウム水溶液を添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を、6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3、5−ジスルホン酸のアルカリ水溶液に滴下してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行った。次いで、前記化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加してジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液に、8−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸を添加し、炭酸ナトリウムを添加して、終夜攪拌し反応液Aを得た。次に、1−アミノ−2−ベンゼンスルホン酸を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、更に亜硝酸ナトリウム水溶液を添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を、6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸のアルカリ水溶液に滴下してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行った。次いで、前記化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加してジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を上記反応液(B)に添加してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行うことにより、例示化合物4のナトリウム塩を得た。
式(B)
Figure 2006096997
例示化合物4のナトリウム塩
Figure 2006096997
<実施例、比較例のインクの調製>
下記表3及び表4に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行い、濃インク1〜7、淡インク1〜7を調製した。
Figure 2006096997
Figure 2006096997
<記録媒体の作製>
濾水度が、450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80質量部、濾水度が、480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20質量部を含有するパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60質量部、重質炭酸カルシウム10質量部、軽質炭酸カルシウム15質量部、アルキルケテンダイマー0.10質量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03質量部を添加して、紙料を調製した。その後、前記紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を、固形分で1.0g/mとなるように含浸し、乾燥した後、マシンカレンダー仕上げを行い、坪量155g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基材を得た。
次に、上記で得られた基材上に、以下のようにして下塗り層を形成した。まず、下塗り層の形成に使用する塗工液を調製した。カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard製)/酸化亜鉛/水酸化アルミニウムの、質量比65/10/25である填量100質量部、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1質量部を含有する固形分濃度70%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7質量部を添加して、固形分濃度が60%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/mになるように、ブレードコータで基材の両面に塗工し、乾燥した。その後、線圧150kgf/cmでマシンカレンダー仕上げを行い、坪量185g/m、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き基材を得た。下塗り層付き基材の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して、それぞれ測定し、その平均値として求めた。その結果、白色度は、L:95、a:0、b:−2であった(JIS Z8729の色相として求めた)。
次に、上記で得られた、下塗り層を形成した基材に対して、下記の第1の表面処理工程及び第2の表面処理工程、の2工程からなる表面処理を行った。まず、第1の表面処理工程において、30℃に加温した、5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、前記塗工液をグラビアコータで、乾燥塗工量が0.4g/mになるよう毎分60m/mで下塗り層上に塗工した。そして、60℃で塗工液を乾燥、固化させた。次に、第2の表面処理工程においては、前記第1の表面処理工程で使用したものと同様の、30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、前記塗工液をエアーナイフコータで、ウェットの塗工量が10g/m(乾燥させた場合の塗工量は0.5g/mである)になるよう毎分30mで塗工した。この塗工量は、目視で観察を行ったところ、下塗り層上に第2の表面処理工程で付与した塗工液が溢れずに、ちょうど含浸される状態であった。
次に、インク受容層を形成した。インク受容層の形成は、上記の第2の表面処理工程における塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸された直後に、下塗り層上にインク受容層を形成した。
インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分濃度が5質量%になるように分散させた。この分散液に塩酸を加え、分散液のpHを4に調整した後、しばらく撹拌した。その後、この分散液を撹拌しながら95℃まで昇温させ、この温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま、苛性ソーダ用いて分散液のpHを10に調整した後、10時間攪拌を行った。その後、分散液の温度を室温に戻し、pHを7〜8に調整し、分散液を得た。この分散液に対して脱塩処理を行い、その後、酢酸を用いて解膠処理を行い、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折で分析したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、アルミナ水和物BのBET比表面積は143g/m、細孔容積は0.8cm/gであり、電子顕微鏡で観察を行ったところ、平板状の構造を有していた。
ポリビニルアルコール(商品名:PVA117;クラレ製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策として純水)に溶解して、固形分濃度9質量%の水溶液を得た。上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して固形分濃度22.5質量%の分散液を調製し、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50質量%になるように、3質量%ホウ酸水溶液を添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサを用いて、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:8になるように混合した。その直後に、得られた分散液をインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータで、乾燥塗工量が35g/mになるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で塗工液を乾燥させてインク受容層を形成した。
次に、基材においてインク受容層を設けた面とは反対側の面の下塗り層の上に、以下のようにして裏面層を形成した。アルミナ水和物としてDisperal HP13/2(サソール製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策として純水)に固形分濃度が18質量%になるように分散させた。その後、この分散液に遠心分離処理を施した。得られた分散液と、インク受容層の形成の際に用いたものと同様のポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサを用いて、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合した。その直後に、得られた分散液をダイコータで、乾燥塗工量が23g/mになるよう毎分35mで塗工した。そして、170℃で塗工液を乾燥させて裏面層を形成し、記録媒体を得た。
ここで、上記で得られた記録媒体の、第1層領域に含有されるホウ素「B」は、2.61×10−3mol/mであり、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、9.94×10−3mol/mであった。従って、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、第1層領域に含有されるホウ素「B」の3.8倍になっている。本実施例において用いられる架橋剤としてのホウ素「B」は、バインダーを部分的に架橋させる程度の含有量であるため、ホウ素「B」の含有量が多くなる程バインダーの架橋度は高くなる。つまり、上記で作製した記録媒体のインク受容層において、第2層領域のバインダーの架橋度は、第1層領域のバインダーの架橋度よりも高いといえる。
尚、第1層領域に含有されるホウ素「B」は、下記式を用いて求めた。
Figure 2006096997
Figure 2006096997
又、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、下記式を用いて求めた。
Figure 2006096997
ここで、ホウ砂1molの分子量は、ホウ砂が下塗り層に対して含浸状態、即ち乾燥した状態にないので、ホウ砂をNaとして計算した。
<水溶性有機溶剤の比誘電率>
各種の水溶性有機溶剤の比誘電率を、LCRメータ 4284A(日本ヒューレットパッカード製)を用いて、室温20℃、測定周波数1MHzの条件で測定を行った。結果を表5に示す。
Figure 2006096997
<評価>
(光学濃度)
上記で得られた濃インク1〜7及び淡インク1〜7をインクジェット記録装置(商品名:Pixus 950i;キヤノン製)にそれぞれ搭載し、上記で得られた記録媒体に対して、インク付与量100%のベタ画像を印字した。得られた記録物を24時間自然乾燥させて、その後の画像について光学濃度の測定を行った。尚、測定には分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いた。光学濃度の基準は以下の通りである。評価結果を表6及び7に示す。
AA:光学濃度が2.41以上
A:光学濃度が2.31以上2.40以下
B:光学濃度が2.21以上2.30以下
C:光学濃度が2.20以下
(耐光性)
上記で得られた濃インク1〜7及び淡インク1〜7をインクジェット記録装置(商品名:Pixus 950i;キヤノン製)にそれぞれ搭載し、上記で得られた記録媒体に対して、インク付与量100%のベタ画像を印字した。得られた記録物を24時間自然乾燥させた。得られた記録物を、キセノンフェードオーメーターCi35(アトラス製)の内部に置き、照射強度0.4W/m、槽内温度50℃、湿度70%の条件で35時間放置した。記録物を放置する前後における画像の光学濃度を、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて測定し、得られた光学濃度から、下記式を用いて光学濃度の残存率を求めた。耐光性の基準は以下の通りである。評価結果を表6及び7に示す。
Figure 2006096997
AA:光学濃度の残存率が90%以上
A:光学濃度の残存率が80%以上90%未満
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満
C:光学濃度の残存率が70%未満
(結果)
表6に、前提条件として、濃インク1〜5を用いて、淡インクを評価した結果を示す。
Figure 2006096997
表7に、前提条件として、淡インク1〜5(請求項1〜3に記載のインク)を用いて、濃インクを評価した結果を示す。
Figure 2006096997
(階調性)
上記で得られた濃インク1〜6及び淡インク1〜6をインクジェット記録装置(商品名:Pixus 950i;キヤノン製)に下記表8の組み合わせでそれぞれ搭載し、上記で得られた記録媒体に対して、下記(a)及び(b)の画像を印字した。得られた記録物を目視で確認して評価した。階調性の基準は以下の通りである。評価結果を表8に示す。
(a)濃インク及び淡インクそれぞれの付与量を0%〜100%で変化させて、インク付与量が100%となるように濃インク及び淡インクを重ね合わせて作成したグレースケール画像
(b)淡インクのインク付与量を100%として、濃インクのインク付与量を0%〜50%で変化させて作成したグレースケール画像
A:画像に粒状性がなく、滑らかな階調性が得られる
B:画像に粒状性が感じられる
(結果)
表8に、濃インク及び淡インクを用いて、階調性を評価した結果を示す。
Figure 2006096997
実施例1〜5から、一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩を色材として用いた場合、高い耐光性が得られることがわかる。更に、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有する場合、ハイライト部等においても高い耐光性が得られることがわかる。又、実施例6〜10から、20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を含有する濃インクが、色材として一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する場合、高い光学濃度が得られることがわかる。更に、実施例11〜15から、濃インクが一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩、及び20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を含有し、淡インクが一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、一般式(II)で表される化合物又はその塩、及び20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有する場合、ハイライト部等における粒状性を低減することができ、滑らかな階調性が得られることがわかる。
記録装置の斜視図である。 記録装置の機構部の斜視図である。 記録装置の断面図である。 ヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態を示した斜視図である。 ヘッドカートリッジの分解斜視図である。 ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
符号の説明
M2041 分離ローラ
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク
H2000 イエローノズル列
H2100 マゼンタノズル列
H2200 シアンノズル列
H2300 淡シアンノズル列
H2400 ブラックノズル列
H2500 グリーンノズル列
H2600 淡マゼンタノズル列

Claims (15)

  1. 色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用淡インクにおいて、
    前記インクジェット用濃インクが、下記のインクジェット用濃インクの条件(1)及び(2)を満たし、
    且つ、前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするインクジェット用淡インク。
    (インクジェット用濃インクの条件)
    (1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    (インクジェット用淡インクの条件)
    (1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    (3)色材の含有量(質量%)が、インクジェット用濃インクよりも低い。
    一般式(I)
    Figure 2006096997
    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
    一般式(II)
    Figure 2006096997
    (一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
  2. 前記インクジェット用淡インクが、色材として前記一般式(I)で表される化合物又はその塩を含有しない請求項1に記載のインクジェット用淡インク。
  3. 前記20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる何れかである請求項1又は2に記載のインクジェット用淡インク。
  4. 色材の含有量が相対的に少ないインクジェット用淡インクと共に用いられ、且つ、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用濃インクにおいて、
    前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)及び(2)を満たし、
    且つ、前記インクジェット用濃インクが、下記のインクジェット用濃インクの条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするインクジェット用濃インク。
    (インクジェット用淡インクの条件)
    (1)少なくとも、色材として下記一般式(I)表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    (インクジェット用濃インクの条件)
    (1)少なくとも、色材として下記一般式(I)表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    (3)色材の含有量(質量%)が、インクジェット用淡インクよりも高い。
    一般式(I)
    Figure 2006096997
    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
    一般式(II)
    Figure 2006096997
    (一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
  5. 前記インクジェット用濃インクが、色材として前記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有しない請求項4に記載のインクジェット用濃インク。
  6. 前記20における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インクジェット用濃インクに含有される水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して50.0%以上である請求項4又は5に記載のインクジェット用濃インク。
  7. 前記20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる何れかである請求項4〜6の何れか1項に記載のインクジェット用濃インク。
  8. 少なくとも、色材の含有量が相対的に多いインクジェット用濃インク、及び、色材の含有量が相対的に低いインクジェット用淡インクとを有するインクセットにおいて、
    前記インクジェット用濃インクが下記のインクジェット用濃インクの条件(1)及び(2)を満たし、
    且つ、前記インクジェット用淡インクが、下記のインクジェット用淡インクの条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とするインクセット。
    (インクジェット用濃インクの条件)
    (1)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が30.0以上70.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    (インクジェット用淡インクの条件)
    (3)少なくとも、色材として下記一般式(I)で表される化合物又はその塩、或いは、下記一般式(II)で表される化合物又はその塩を含有する。
    (2)20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を支配的に含有する。
    一般式(I)
    Figure 2006096997
    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
    一般式(II)
    Figure 2006096997
    (一般式(II)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
  9. 複数のインクからなるインクセットにおいて、少なくとも、請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット用淡インク及び請求項4〜6の何れか1項に記載のインクジェット用濃インクとを含むことを特徴とするインクセット。
  10. インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1〜7の何れか1項に記載のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 前記記録媒体が、支持体にインク受容層を備えてなり、前記インク受容層が、インクを受容するためのカチオン性電荷を有する多孔体を含有する請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記記録媒体が、少なくとも、インクの色材を保持するためのカチオン性電荷を有する顔料、及び、前記顔料のバインダー、を含有するインク受容層を記録面に有し、
    前記インク受容層は、前記バインダーが第1架橋剤により架橋し前記顔料と相対的に均一化されている第1層領域、及び、前記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域、とを有し、
    前記第1層領域が第2層領域よりも記録面の表層側に位置している請求項10又は11に記載のインクジェット記録方法。
  13. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1〜7の何れか1項に記載のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、請求項1〜7の何れか1項に記載のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とする記録ユニット。
  15. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、請求項1〜7の何れか1項に記載のインクジェット用濃インク又はインクジェット用淡インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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