以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の図中、同一の部分には同一の符号を付加する。ただし、本発明が実施形態に制限されることは無く、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明に該当する。また、特に限定しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
第一の実施形態は、第一及び第二のストレージ装置と、第一のストレージ装置にアクセスするホストとが、ネットワークに接続されるシステムに関する。本実施形態では、第一のストレージ装置から第二のストレージ装置への移行を実施する。以下、第一及び第二のストレージ装置を、それぞれ移行元ストレージ装置及び移行先ストレージ装置という。
図1は、本実施形態のシステムの構成例を示した図である。本実施形態のシステムは、上述したように、移行元ストレージ装置1、移行先ストレージ装置3、移行元ストレージ装置1及び移行先ストレージ装置3の設定を行うためにシステム管理者等が使用する管理端末2、移行元及び移行先ストレージ装置とネットワークを介して接続されるホスト4、ホスト4と接続される端末6及びネーム管理装置5を有する。以下、説明を簡単にするために、移行元ストレージ装置1と移行先ストレージ装置3とをあわせてストレージ装置という。
ストレージ装置は、iSCSIプロトコルを用いてホスト4と通信する。又、ストレージ装置は、1以上の記憶装置(例えばハードディスクドライブ等)を有する記憶装置システムである。ストレージ装置は、複数のLUを有する。
端末6は、ホスト4が提供するサービスを利用するためにエンドユーザ等が使用する計算機である。ネーム管理装置5は、ホスト4及びストレージ装置のiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の組み合わせを一元管理するために使用される計算機である。ネーム管理装置5、ホスト4及びストレージ装置は、IPネットワークであるIP−SAN13を介して相互に接続されている。また、端末6は、ホスト4とIPネットワークであるLAN14を介して相互に接続されている。更に、管理端末2は、ストレージ装置及びネーム管理装置5と管理ネットワーク15を介して相互に接続されている。
ストレージ装置、ホスト4及びネーム管理装置5とIP−SAN13とはUTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルや光ファイバケーブル等の通信線10で接続されている。また、ホスト4及び端末6とLAN14とは、通信線11で接続されている。さらに、ストレージ装置、管理端末2及びネーム管理装置5と管理ネットワーク15とは、通信線12で接続されている。
なお、ストレージ装置等の装置と、IP−SAN13やLAN14等のIPネットワークとを無線通信技術を使用して接続する場合、通信線10、11及び12は不要である。また、本実施形態ではIP−SAN13とLAN14とが別である例を示すが、IP−SAN13がLAN14を兼ねる構成としても良い。この場合、システム構築のコストは抑えられるが、ストレージ装置とホスト4との間の通信に使用されるパケットと、ホスト4と端末6との間の通信に使用されるパケットとが一つのネットワークに混在してネットワークが混雑するという問題がある。これを解消するためには本実施形態の構成が好ましい。
さらに、本実施形態ではIP−SAN13と管理ネットワーク15とが別である例を示すが、IP−SAN13が管理ネットワーク15を兼ねる構成としても良い。この場合も、システム構築のコストは抑えられるが、IP−SAN13を構成するネットワーク機器が故障した場合、管理端末2からストレージ装置の管理作業ができなくなるため、障害時の影響範囲が大きい。これを解消するためには本実施形態の構成が好ましい。
以下、簡単に実施形態の動作概要を説明する。本実施形態においては、第一の物理ポートと第一の論理ボリュームとが割り当てられたターゲット(第一のターゲット。割り当てられた識別子(iSCSI名)を「第一ターゲット」とする)とを管理する第一のストレージ装置(移行元ストレージ装置1)と、第二の物理ポートを備え、第二の論理ボリュームを管理する第二のストレージ装置(移行先ストレージ装置3)をまず準備する。その後、第一のターゲットを使用する計算機(ホスト4)は、第一の物理ポートとの間に第一の通信路を確立し、この通信路を使用して第一のターゲットに対するアクセスを行う。
この状態で、システム管理者等は、ストレージ装置の移行、すなわち移行元ストレージ装置1のデータを移行先ストレージ装置3へ複製し、移行先ストレージ装置3の運用を開始する。この際、移行元ストレージ装置1は、データ複製の終了後、移行先ストレージ装置3に、第一のターゲットに割り振られた識別子「第一ターゲット」と同じ識別子を付与されたターゲット(このターゲットには、データの複製が格納された第二の論理ボリュームと第二の物理ポートが割り当てられる)の作成を指示する。
作成の完了後、ホスト4は、作成されたターゲット(第一のターゲットとiSCSI名が同一なため、ホスト4には第一のターゲットと同じターゲットとして認識される)に割り当てられた第二の物理ポートとの間に第二の通信路を確立する。その後、移行元ストレージ装置1は、ホスト4に対して、第一の物理ポートの削除を指示する。
指示を受けたホスト4は、第一の物理ポートを使用する第一の通信路の使用を停止し、その後は第二の物理ポートを使用する第二の通信路を用いてターゲット(移行先ストレージ装置3に設定されたターゲット)にアクセスする。
これにより、ホスト4では同一のターゲット(ターゲットの識別子が変更されないため)にアクセスするようにしながら(このことにより、ホスト4を再起動する必要は無くなる)、システムで使用されるストレージ装置を移行することができる。
尚、他の実施形態では、移行先となるターゲットが他のサイトや同じストレージ装置内の場合について説明する。
図2は、移行元ストレージ装置1の構成例を示した図である。移行元ストレージ装置1は、1以上の記憶装置を有する記憶装置システムである。なお、記憶装置には、ハードディスクドライブやDVDと言った、不揮発性の記憶媒体を用いた装置が含まれる。また、記憶装置システムでは、RAID(Redundant Array of Independent Disks)構成が採用されていてもよい。移行元ストレージ装置1は、記憶装置(以下「ディスク装置」という)103、ディスク装置103に対するデータの書き込みや読み出しを制御する制御装置107及び制御装置107とディスク装置103とを接続する通信線106を有する。
制御装置107は、揮発性のメモリ(以下「主メモリ」という)101、バス等の通信線102、中央演算装置(以下「CPU」という)104、制御装置107と通信線106とを接続するインタフェースであるIOインタフェース(以下「IO IF」という)105、制御装置107と通信線10とを接続するネットワークインタフェース(以下「NIF」)108、制御装置107と通信線12とを接続する管理用NIF109及びiSCSIパケットの解析や組み立てを行うiSCSI処理装置110を有する。NIF108及び管理用NIF109は、1以上の物理ポートを有する。
主メモリ101には、ディスク装置103から読み出されたデータ又はホスト4等から受信したデータを記憶するキャッシュ領域111、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3への移行を実行する際にCPU104で実行される移行元ストレージ装置制御プログラム112、ターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号をネーム管理装置5へ登録したり登録解除したりする際にCPU104で実行されるネーム更新プログラム113及び同期複製を実行する際にCPU104で実行される同期複製プログラム114が格納される。
また主メモリ101には、IP−SAN13に接続されているネーム管理装置5に関する情報を記憶するネーム管理装置テーブル121、移行元ストレージ装置1が有する物理ポートに関する情報を記憶するポートテーブル122、移行元ストレージ装置1が管理するターゲットに関する情報を記憶するターゲットテーブル123及び移行元ストレージ装置1が管理するLUに関する情報を記憶するLUテーブル124が格納される。なお、上述したように、LUとはディスク装置103が有する物理的な記憶領域から構成される論理的な記憶領域である。LUは一つのディスク装置103が有する記憶領域から構成されてもよく、複数のディスク装置103の個々の記憶領域の集合体として定義されても良い。
図3は、移行先ストレージ装置3の構成例を示した図である。移行先ストレージ装置3も、1以上の記憶装置を有する記憶装置システムである。移行先ストレージ装置3は、移行元ストレージ装置1と同様に、ディスク装置303、制御装置307及び通信線306を有する。さらに、制御装置307は、移行元ストレージ装置1の制御装置107と同様に、主メモリ301、通信線302、CPU304、IO IF305、NIF308、管理用NIF309及びiSCSI処理装置310を有する。NIF308及び管理用NIF309は、1以上の物理ポートを有する。
主メモリ301には、ディスク装置303から読み出されたデータ又はホスト4等から受信したデータを記憶するキャッシュ領域311、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3への移行を実行する際にCPU304で実行される移行先ストレージ装置制御プログラム312及びターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号をネーム管理装置5へ登録したり登録解除したりする際にCPU304で実行されるネーム更新プログラム313が格納される。
また、主メモリ301には、移行元ストレージ装置1の主メモリ101と同様に、ネーム管理装置テーブル321、ポートテーブル322、ターゲットテーブル323及びLUテーブル324が格納される。
なお、本実施形態では、各テーブルがストレージ装置の主メモリに格納されることとしたが、ストレージ装置が故障した場合でも各テーブルが記憶する情報が喪失されないように、定期的或いは各テーブルの内容が更新されるごとに、各テーブルが記憶する情報がディスク装置103や303にコピーされても良い。
また本実施形態では、iSCSI処理装置というハードウェアで、iSCSIパケットの解析や組み立てを行うこととしたが、ストレージ装置の製造コストを削減するために、CPU104や304がiSCSI処理プログラムの内容に従ってiSCSIパケットの解析や組み立てを行っても良い。しかし、ストレージ装置は大量のiSCSIパケットを処理する必要があるため、処理性能がより高い本実施形態の構成が好ましい。
図4は、管理端末2の構成例を示した図である。管理端末2は、主メモリ201、通信線202、ディスク装置203、CPU204、表示装置などの出力装置(以下「ディスプレイ」という)205、マウス等のポインティング装置206、キーボード等の文字入力装置207及び管理用NIF209を有する計算機である。主メモリ201には、システム管理者等にグラフィカルなユーザインタフェースを提供する際にCPU204で実行されるGUI制御プログラム211が格納される。また、主メモリ201には、IP−SAN13に接続されたストレージ装置の情報を記憶するストレージ装置テーブル221及びネーム管理装置5に関する情報を記憶するネーム管理装置テーブル222が格納される。
図5(a)は、ホスト4の構成例を示した図である。ホスト4は、主メモリ401、通信線402、ディスク装置403、CPU404、ディスプレイ405、ポインティング装置406、文字入力装置407、NIF408及びNIF409を有する計算機である。主メモリ401には、iSCSIパケットの解析や組み立てを行う際にCPU404で実行されるiSCSI処理プログラム411及びイニシエータのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号のネーム管理装置5への登録や登録解除、ネーム管理装置5への問い合わせの送信及びネーム管理装置5からの問い合わせ応答や更新通知の受信を行う際にCPU404で実行されるネーム操作プログラム412が格納される。
なお本実施形態では、CPU404がiSCSI処理プログラム411の内容に従って、iSCSIパケットの解析や組み立てを実行することとしているが、処理速度を向上させるために、移行元ストレージ装置1等と同様に、iSCSIパケットの解析や組み立てをハードウェアが処理しても良い。
図5(b)は、ネーム管理装置5の構成例を示した図である。ネーム管理装置5は、主メモリ501、通信線502、ディスク装置503、CPU504、ディスプレイ505、ポインティング装置506、文字入力装置507、NIF508及びNIF509を有する計算機である。主メモリ501には、ストレージ装置等の他装置からの要求を受けて、ドメインテーブル522の更新を行う際にCPU504で実行されるドメイン管理プログラム511、ストレージ装置等の他装置からの要求を受けて、iSCSIノードテーブル521の更新や参照を行う際にCPU504で実行されるiSCSIノード管理プログラム512及びiSCSIノードテーブル521が更新されたことをホスト4等の他装置に通知する更新通知プログラム513が格納される。また、主メモリ501には、iSCSIノードとIPアドレス及びTCPポート番号との対応関係を記憶するiSCSIノードテーブル521及びiSCSIノードとディスカバリドメインとの対応関係をドメインテーブル522が格納される。
なお、上述のプログラムは、あらかじめ、または可搬型記録媒体からの読み込み、または他の計算機からのネットワーク経由のダウンロードにより、各装置のディスク装置や主メモリに格納される。これらのプログラムは、必要に応じて主メモリに転送され、CPUで実行される。
以下、ネーム管理装置5の役割を説明する。
イニシエータは、IP−SANを介してターゲットとSCSIコマンドやデータのやり取りを開始する前に、ターゲットにログインする必要がある。イニシエータがiSCSIを用いてターゲットにログインする時には、そのターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の情報が必要である。イニシエータがこれらのターゲットの情報を取得することをディスカバリという。しかし、システム管理者等がイニシエータとして動作する各ホスト4に全てのターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の情報を設定する作業は非常に負荷が高い。このため、iSCSIプロトコルでは、各イニシエータにターゲットの情報をあらかじめ設定することなく、イニシエータがディスカバリを行えるようにする方法が規定されている。その方法の一つとして、IP−SAN13にネーム管理装置5を接続する方法がある。
ネーム管理装置5は、iSCSIにおける各ノード(以下「iSCSIノード」)のiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の組み合わせを管理する装置である。すなわち、各ノードにおいて、論理的なiSCSI名は、物理ポートのIPアドレス及びTCPポート番号と対応付けられる。ネーム管理装置5とiSCSIノードとの間の通信プロトコルとして、iSNSP(internet Storage Name Service Protocol)やSLP(Service Location Protocol)等が用いられる。なお、本実施形態では、ネーム管理装置5は、他装置との通信にiSNSPを使用するものとするが、ネーム管理装置5がSLP等の他のプロトコルを用いるシステムでも良い。
また、ネーム管理装置5は、イニシエータがディスカバリできるターゲットを制限するために、ディスカバリドメインという情報を管理する。ディスカバリドメインとは、イニシエータと、当該イニシエータがログイン可能なターゲットとの集合を示す情報である。
さらに、ネーム管理装置5は、iSCSIノードに関する情報が登録或いは登録解除された時に、同じディスカバリドメインに属するiSCSIノードに、更新があったことを通知する。この通知には、SCN(State Change Notification)が使用される。
以下、ネーム管理装置5を用いたディスカバリに関する動作手順を説明する。まず、ストレージ装置やホスト4は、自身が起動された後、自分が管理するノードのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の情報をネーム管理装置5にIP−SAN13を介して送信し、ネーム管理装置5に登録する。その後、ホスト4は、自身がログインできるターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の情報をネーム管理装置5にIP−SAN13を介して問い合わせ、これらの情報を取得する。このように、ネーム管理装置5が、iSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の組み合わせを一元管理することにより、システム管理者等によるホスト4への設定作業を大幅に削減できる。
尚、端末6は一般的な計算機であり、CPU、主メモリ、入出力装置及び他の装置と通信線11を介して接続するインタフェースであるネットワークインタフェース(以下「NIF」という)等を有する。
次に、移行元ストレージ装置1の主メモリ101に格納される各種テーブルのデータ構造について説明する。ネーム管理装置テーブル121、ポートテーブル122、ターゲットテーブル123及びLUテーブル124は配列構造を成し、1つ以上のレコードを格納可能である。ただし、データ構造が配列構造に限定されることはない。
図6(a)は、ネーム管理装置テーブル121のデータ構造例を示す図である。ネーム管理装置テーブル121は、IP−SAN13に接続されているネーム管理装置5の数分のレコードを有する。ネーム管理装置テーブル121の各レコードは、当該レコードに対応するネーム管理装置5を識別する為の識別子である装置IDが登録されるエントリ1211及び前記ネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスが登録されるエントリ1212を有する。本実施形態では、一つのネーム管理装置5がIP−SAN13に接続されているものとする。そのため、ネーム管理装置テーブル121には一つのレコードが格納される。ただし、ネーム管理装置5の冗長化等の理由で、複数のネーム管理装置5がIP−SAN13に接続されているシステムの場合、ネーム管理装置テーブル121には複数のレコードが格納される。
図6(b)は、ポートテーブル122のデータ構造例を示す図である。ポートテーブル122は、移行元ストレージ装置1が有する物理ポート数分のレコードを有する。ポートテーブル122の各レコードは、当該レコードに対応する物理ポートを識別する為の識別子であるポートIDが登録されるエントリ1221、レコードに対応する物理ポートに割り当てられたIPアドレスが登録されるエントリ1222、IPアドレスが属するサブネットのサブネットマスクが登録されるエントリ1223及びサブネットのデフォルトゲートウェイのIPアドレスが登録されるエントリ1224を有する。本実施形態では、ポートテーブル122のレコードのエントリ1222、エントリ1223及びエントリ1224に「0.0.0.0」が登録されている場合、当該レコードに対応する物理ポートに、IPアドレス、サブネットマスク及びデフォルトゲートウェイのIPアドレスが登録されていないことを表すものとする。
図6(c)は、ターゲットテーブル123のデータ構造例を示す図である。ターゲットテーブル123は、移行元ストレージ装置1が管理するターゲットと、そのターゲットに割り当てられた物理ポートとの組み合わせ数分のレコードを有する。ターゲットテーブル123の各レコードは、ターゲットのiSCSI名が登録されるエントリ1231、ターゲットに割り当てられた物理ポートのポートIDが登録されるエントリ1232及びターゲットが使用するTCPポート番号が登録されるエントリ1233を有する。
図6(d)は、LUテーブル124のデータ構造例を示す図である。LUテーブル124は、移行元ストレージ装置1が管理するLU数分のレコードを有する。LUテーブル124の各レコードは、ターゲットのiSCSI名が登録されるエントリ1241及びターゲットに割り当てられたLUを識別する為の識別子であるLUNが登録されるエントリ1242を有する。本実施形態では、LUテーブル124のレコードのエントリ1241に「null」が登録されている場合、当該レコードに相当するLUが、ターゲットへ割り当てられていないことを表すものとする。
尚、移行先ストレージ装置3の主メモリ301に格納されるネーム管理装置テーブル321、ポートテーブル322、ターゲットテーブル323及びLUテーブル324のデータ構造は、それぞれネーム管理装置テーブル121、ポートテーブル122、ターゲットテーブル123及びLUテーブル124のデータ構造と同様である。
次に、管理端末2のディスク装置203に格納される各種テーブルのデータ構造について説明する。ストレージ装置テーブル221及びネーム管理装置テーブル222は配列構造を成し、1つ以上のレコードを格納可能である。ただし、データ構造が配列構造に限定されることはない。
図7(a)は、ストレージ装置テーブル221のデータ構造例を示す図である。ストレージ装置テーブル221は、IP−SAN13に接続されているストレージ装置数分のレコードを有する。ストレージ装置テーブル221の各レコードは、当該レコードに対応するストレージ装置を識別する為の識別子である装置IDが登録されるエントリ2211及び当該レコードに対応するストレージ装置の管理用NIFに割り当てられたIPアドレスが登録されるエントリ2212を有する。以下、管理用NIFに割り当てられたIPアドレスのことを、管理用IPアドレスという。
図7(b)は、ネーム管理装置テーブル222のデータ構造例を示す図である。ネーム管理装置テーブル222は、IP−SAN13に接続されているネーム管理装置5の数分のレコードを有する。ネーム管理装置テーブル222の各レコードは、当該レコードに対応するネーム管理装置5の装置IDが登録されるエントリ2221、レコードに対応するネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスが登録されるエントリ2222及びレコードに対応するネーム管理装置5の管理用NIF509に割り当てられた管理用IPアドレスが登録されるエントリ2223を有する。前述の通り、本実施形態では、一つのネーム管理装置5がIP−SAN13に接続されているものとする。そのため、ネーム管理装置テーブル222には一つのレコードが格納される。
次に、ネーム管理装置5のディスク装置503に格納される各種テーブルのデータ構造について説明する。iSCSIノードテーブル521及びドメインテーブル522は配列構造を成し、1つ以上のレコードを格納可能である。ただし、データ構造が配列構造に限定されることはない。
図7(c)は、iSCSIノードテーブル521のデータ構造例を示す図である。iSCSIノードテーブル521は、移行元ストレージ装置1、移行先ストレージ装置3及びホスト4が管理するiSCSIノードと、そのiSCSIノードに割り当てられたIPアドレス及びTCPポート番号との組み合わせ数分のレコードを有する。iSCSIノードテーブル521の各レコードは、当該レコードに対応するiSCSIノードのiSCSI名が登録されるエントリ5211、当該レコードに対応するiSCSIノードがイニシエータかターゲットかを区別する文字列であるノード種別が登録されるエントリ5212、当該レコードに対応するiSCSIノードに割り当てられたIPアドレスとTCPポート番号とが登録されるそれぞれエントリ5213とエントリ5214及び当該レコードに対応するiSCSIノードが更新通知を要求するか否かを表す更新通知フラグが登録されるエントリ5215を有する。
本実施形態では、iSCSIノードテーブル521のレコードのエントリ5212に「initiator」が登録される場合、このレコードに対応するiSCSIノードがイニシエータであることを、エントリ5212に「target」が登録される場合、このレコードに対応するiSCSIノードがターゲットであることをそれぞれ表すものとする。また、本実施形態では、iSCSIノードテーブル521のレコードのエントリ5214に「null」が登録される場合、このレコードに対応するiSCSIノードが使用するTCPポート番号が未決定であることを表すものとする。さらに、本実施形態では、iSCSIノードテーブル521のレコードのエントリ5215に「0」が登録される場合、このレコードに対応するiSCSIノードが更新通知を要求していないことを、エントリ5215に「1」が登録される場合、このレコードに対応するiSCSIノードが更新通知を要求していることをそれぞれ表すものとする。
図7(d)は、ドメインテーブル522のデータ構造例を示す図である。ドメインテーブル522は、ネーム管理装置5に登録されたディスカバリドメインとそのディスカバリドメインに属するiSCSIノードとの組み合わせ数分のレコードを有する。ドメインテーブル522の各レコードは、ディスカバリドメインを識別する為の識別子であるドメインIDが登録されるエントリ5221及びディスカバリドメインに属するiSCSIノードのiSCSI名が登録されるエントリ5222を有する。
以下、本実施形態におけるグラフィカルユーザインタフェース(以下「GUI(Graphical User Interface)」という)について説明する。GUIは、管理端末2のCPU204がGUI制御プログラム211を実行することによってディスプレイ205に表示される。システム管理者等は、文字入力装置207及びポインティング装置206を用いて、表示されたGUI上で各パラメータを設定する。なお、管理端末2は、本実施形態で説明するGUIのかわりに、そのGUIと同等の機能を有するコマンドラインインタフェースを備えてもよい。
図8(a)は、システム管理者等が、IP−SAN13に接続されているストレージ装置の情報を、管理端末2に登録及び削除するために使用するストレージ管理画面800の表示例を示す図である。ストレージ管理画面800は、ストレージ装置の装置IDが入力される領域801、前記ストレージ装置の管理用IPアドレスが入力される領域802、領域801及び領域802に入力された情報を管理端末2に登録する際に使用されるボタン810、領域812を用いて指定されたストレージ装置の情報を管理端末2から削除する際に使用されるボタン811、管理端末2へ既に登録されている全てのストレージ装置の情報が表示される領域812、領域812の表示範囲をそれぞれ一行ずつ上及び下に移動させる際に使用されるボタン813及びボタン815、領域812の表示範囲を任意の位置に移動させる際に使用されるボタン814及びストレージ管理画面800を閉じる際に使用されるボタン819を有する。
図8(b)は、システム管理者等が、IP−SAN13に接続されているネーム管理装置5の情報を、管理端末2に登録するために使用するネーム管理装置管理画面820の表示例を示す図である。ネーム管理装置管理画面820は、ネーム管理装置5の装置IDが入力される領域821、前記ネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスが入力される領域822、前記ネーム管理装置5の管理用IPアドレスが入力される領域823、領域821から領域823までに入力された情報を管理端末2に登録する際に使用されるボタン828及びネーム管理装置5に関する情報の登録を取り消す際に使用されるボタン829を有する。
図9(a)は、システム管理者等が、ディスカバリドメインの情報を、ネーム管理装置5に登録及び削除するために使用するドメイン管理画面900の表示例を示す図である。ドメイン管理画面900は、ディスカバリドメインのドメインIDが入力される領域901、前記ディスカバリドメインに所属させるiSCSIノードのiSCSI名が入力される領域902、領域901及び領域902に入力された情報をネーム管理装置5に登録する際に使用されるボタン910、領域912を用いて指定されたディスカバリドメインの情報をネーム管理装置5から削除する際に使用されるボタン911、ネーム管理装置5へ既に登録されている全てのディスカバリドメインの情報が表示される領域912、領域912の表示範囲をそれぞれ一行ずつ上及び下に移動させる際に使用されるボタン913及びボタン915、領域912の表示範囲を任意の位置に移動させる際に使用されるボタン914及びドメイン管理画面900を閉じる際に使用されるボタン919を有する。
図9(b)は、システム管理者等が、ストレージ装置が有する物理ポートの情報を、ストレージ装置に登録及び削除するために使用するポート管理画面920の表示例を示す図である。ポート管理画面920は、登録される物理ポートを有するストレージ装置の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン922、ボタン922を用いて選択された装置IDが表示される領域921、前記物理ポートのポートIDが入力される領域923、前記物理ポートに割り当てるIPアドレスが入力される領域924、前記物理ポートが接続されるサブネットのサブネットマスクが入力される領域925、前記サブネットのデフォルトゲートウェイのIPアドレスが入力される領域926、領域923から領域926までに入力された情報を、ボタン922で選択された装置IDを持つストレージ装置に登録する際に使用されるボタン930、領域932を用いて指定された物理ポートの情報をストレージ装置から削除する際に使用されるボタン931、IP−SAN13に接続されている全てのストレージ装置が有する全ての物理ポートの情報が表示される領域932、領域932の表示範囲をそれぞれ一行ずつ上及び下に移動させる際に使用されるボタン933及びボタン935、領域932の表示範囲を任意の位置に移動させる際に使用されるボタン934及びポート管理画面920を閉じる際に使用されるボタン939を有する。
図10は、システム管理者等が、ストレージ装置で動作するターゲットの情報を、ストレージ装置に登録及び削除するために使用するターゲット管理画面1000の表示例を示す図である。ターゲット管理画面1000は、登録するターゲットを管理するストレージ装置の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン1002、ボタン1002を用いて選択された装置IDが表示される領域1001、前記ターゲットのiSCSI名が入力される領域1003、前記ターゲットに割り当てる物理ポートのポートIDが入力される領域1004、前記ターゲットが使用するTCPポート番号が入力される領域1005、前記ターゲットに割り当てるLUのLUNが入力される領域1006、領域1003から領域1006までに入力された情報を、ボタン1002で選択された装置IDを持つストレージ装置に登録する際に使用されるボタン1010、領域1012を用いて指定されたターゲットの情報をストレージ装置から削除する際に使用されるボタン1011、IP−SAN13に接続されている全てのストレージ装置へ既に登録されている全てのターゲットの情報が表示される領域1012、領域1012の表示範囲をそれぞれ一行ずつ上及び下に移動させる際に使用されるボタン1013及びボタン1015、領域1012の表示範囲を任意の位置に移動させる際に使用されるボタン1014及びターゲット管理画面1000を閉じる際に使用されるボタン1019を有する。
図11は、システム管理者等が、ストレージ装置の移行をターゲットごとに行う際に使用する移行管理画面1100の表示例を示す図である。移行管理画面1100は、移行元ストレージ装置1に関する情報が入力される領域1101、移行先ストレージ装置3に関する情報が入力される領域1102、領域1101及び領域1102に入力された情報に従って移行処理を開始するよう移行元ストレージ装置1へ指示する際に使用されるボタン1128及び移行処理を取り消す際に使用されるボタン1129を有する。さらに、領域1101は、移行元ストレージ装置1の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン1104、ボタン1004を用いて選択された装置IDが表示される領域1103、移行対象とするターゲットのiSCSI名が入力される領域1105、移行元ストレージ装置1が、同期複製を用いて、移行先ストレージ装置3へデータの移行を行う際に、移行元ストレージ装置1が使用するイニシエータのiSCSI名が入力される領域1106、同期複製を用いたデータ移行の際に、移行元ストレージ装置1が使用する物理ポートのポートIDが入力される領域1107から構成される。また、領域1102は、移行先ストレージ装置3の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン1111、ボタン1111を用いて選択された装置IDが表示される領域1110、同期複製を用いたデータ移行の際に、移行先ストレージ装置3が使用するターゲットのiSCSI名が入力される領域1112、前記ターゲットに割り当てる物理ポートのポートIDが入力される領域1113、前記ターゲットが使用するTCPポート番号が入力される領域1114、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行されるターゲットに割り当てる物理ポートのポートIDが入力される領域1115、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行されるターゲットが使用するTCPポート番号が入力される領域1116、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行されるターゲットに割り当てるLUのLUNが入力される領域1117から構成される。
以下、本実施形態における、通信シーケンス及び動作手順について説明する。
本実施形態では、システム管理者等が以下の順序で操作を行うものとする。最初に、システム管理者等は、管理端末2に対して、テーブル初期化処理を指示する。その後、システム管理者等は、ネーム管理装置管理画面820及びストレージ装置管理画面800を用いて、それぞれネーム管理装置5及び移行元ストレージ装置1に関する情報を管理端末2へ登録する(以上の通信シーケンスを、図12を用いて説明する)。
次にシステム管理者等は、ドメイン管理画面900を用いて、ホスト4が管理するイニシエータと移行元ストレージ装置1が管理するターゲットとが属するディスカバリドメインの情報をネーム管理装置5へ登録する。その後システム管理者等は、ポート管理画面920及びターゲット管理画面1000を用いて、移行元ストレージ装置1のそれぞれ物理ポート及びターゲットに関する情報を移行元ストレージ装置1へ登録する(以上の通信シーケンスを、図13を用いて説明する)。次に、システム管理者等が、ホスト4に、移行元ストレージ装置1が管理するターゲットへアクセスするための設定を行った後、イニシエータを起動する(以上の通信シーケンスを、図14を用いて説明する)。
その後システム管理者等は、移行元ストレージ装置1が管理するターゲットを移行先ストレージ装置3へ移行するのに必要な操作を行う。まず、システム管理者等は、ストレージ装置管理画面800を用いて、移行先ストレージ装置3に関する情報を管理端末2へ登録した後、ポート管理画面920を用いて、移行先ストレージ装置3が有する物理ポートに関する情報を移行先ストレージ装置3へ登録する(以上の通信シーケンスを、図15を用いて説明する)。そして、システム管理者等は、移行管理画面1100を用いて、移行処理の開始を移行元ストレージ装置1へ指示する(以上の通信シーケンスを、図16から図18までを用いて説明する)。
尚、以降の通信シーケンス及び動作手順の説明では、下記のパラメータ例を用いる。
まず本実施形態では、IP−SAN13は一つのサブネットから構成されており、そのサブネットのネットワークアドレス、サブネットマスク及びデフォルトゲートウェイのIPアドレスは、それぞれ「172.16.0.0」、「255.255.0.0」及び「172.16.0.254」とする。一方、管理ネットワークは一つのサブネットから構成されており、そのサブネットのネットワークアドレス及びサブネットマスクは、それぞれ「192.168.0.0」及び「255.255.255.0」とする。
また、本実施形態では、移行元ストレージ装置1の装置ID及び管理用IPアドレスは、それぞれ「STR01」及び「192.168.0.1」とする。移行元ストレージ装置1は、二つの物理ポートを有するものとする。以降、それぞれの物理ポートを、第一の物理ポート及び第二の物理ポートという。第一及び第二の物理ポートには、それぞれ「172.16.0.1」及び「172.16.0.2」というIPアドレスが割り当てられるものとする。また、移行元ストレージ装置1は、二つのLUを管理するものとする。以降、それぞれのLUを、第一のLU及び第二のLUという。さらに、移行元ストレージ装置1は、二つのターゲットを管理するものとする。第一のターゲットは、「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」というiSCSI名を持ち、第一の物理ポート及び第一のLUが割り当てられるものとする。第二のターゲットは、「iqn.2004−06.com.hitachi:tar02」というiSCSI名を持ち、第二の物理ポート及び第二のLUが割り当てられるものとする。いずれのターゲットも、TCPポート番号として、ウェルノウンポートである「3260」を使用するものとする。
一方、移行先ストレージ装置3の装置ID及び管理用IPアドレスは、それぞれ「STR02」及び「192.168.0.2」とする。移行先ストレージ装置3は、二つの物理ポートを有するものとする。以降、それぞれの物理ポートを、第三の物理ポート及び第四の物理ポートという。第三及び第四の物理ポートには、「172.16.0.3」及び「172.16.0.4」というIPアドレスが割り当てられるものとする。また、移行先ストレージ装置3は、二つのLUを管理するものとする。以降、それぞれのLUを、第三のLU及び第四のLUという。第三のLU及び第四のLUの容量は、それぞれ第一のLU及び第二のLUと同じとする。
また、本実施形態では、ネーム管理装置5の装置ID、NIF508のIPアドレス及び管理用IPアドレスは、それぞれ「NM01」、「172.16.0.253」及び「192.168.0.253」とする。
さらに、本実施形態では、ホスト4のNIF408のIPアドレスは、「172.16.0.128」とする。ホスト4が管理するイニシエータを第一のイニシエータといい、「iqn.1999−08.com.abc:host01」というiSCSI名を持ち、移行元ストレージ装置1が管理する第一のターゲットとiSCSI通信をするものとする。第一のイニシエータが第一のターゲットをディスカバリできるように、ネーム管理装置5には、「DD01」というドメインIDを持ち、第一のイニシエータと第一のターゲットとが属するディスカバリドメインが登録されるものとする。
図12は、システム管理者等が、管理端末2に対して、テーブル初期化処理を指示し、ネーム管理装置5及び移行元ストレージ装置1に関する情報を管理端末2へ登録する際の通信シーケンス例を示す図である。
最初にシステム管理者等は、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、テーブル初期化を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、テーブル初期化処理を行う(1201)。このテーブル初期化処理では、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221及びネーム管理装置テーブル222を、レコードが存在しない状態にする。テーブル初期化処理が完了した後、管理端末2のCPU204は、テーブル初期化の完了を表す画面をディスプレイ205に表示する。
次にシステム管理者等が、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、ネーム管理装置管理画面820の表示を管理端末2へ指示すると、管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ネーム管理装置管理画面表示処理を行う(1202)。このネーム管理装置管理画面表示処理では、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にネーム管理装置管理画面820を表示する。
この後システム管理者等は、ネーム管理装置管理画面820の領域821から領域823までに、ネーム管理装置5に関する情報を入力する。本実施形態では、領域821、領域822及び領域823に、それぞれネーム管理装置5の装置IDである「NM01」、ネーム管理装置5のNIF508のIPアドレスである「172.16.0.253」及びネーム管理装置5の管理用IPアドレスである「192.168.0.253」が入力される。
その後システム管理者等がボタン828を指定すると、管理端末2のCPU204は、GUI制御プログラム211を実行し、ネーム管理装置追加処理を行う(1203)。このネーム管理装置追加処理では、まず管理端末2のCPU204が、ネーム管理装置テーブル222へレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ2221(装置ID)、エントリ2222(IPアドレス)及びエントリ2223(管理用IPアドレス)には、それぞれ領域821、領域822及び領域823に入力された内容が登録される。
次に管理端末2のCPU204は、管理用NIF209経由で、ネーム管理装置5へ初期化要求を送信する(1204)。この初期化要求のあて先IPアドレスは、領域823に入力された内容とする。
初期化要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がドメイン管理プログラム511及びiSCSIノード管理プログラム512を実行し、テーブル初期化処理を行う(1205)。このテーブル初期化処理では、まず、ネーム管理装置5のCPU504がドメイン管理プログラム511を実行し、ドメインテーブル522をレコードが存在しない状態とする。次に、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、iSCSIノードテーブル521をレコードが存在しない状態とする。
以上のテーブル初期化処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、初期化が成功したことを表す初期化応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF509経由で送信する(1206)。初期化応答を受信すると、管理端末2のCPU204は、ネーム管理装置の登録が完了したことを表す画面をディスプレイ205に表示する。
次に、システム管理者等がポインティング装置206や文字入力装置207を用いてストレージ装置管理画面800の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ストレージ装置管理画面表示処理を行う(1207)。このストレージ装置管理画面表示処理では、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にストレージ装置管理画面800を表示し、ストレージ装置テーブル221から全てのレコードを読み出し、各レコードの内容を領域812に表示する。
この後、システム管理者等が、ストレージ装置管理画面800の領域801及び領域802に移行元ストレージ装置1に関する情報を入力する。本実施形態では、領域801及び領域802に、それぞれ移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」及び移行元ストレージ装置1の管理用IPアドレスである「192.168.0.1」が入力される。
その後、システム管理者等がボタン810を指定すると、管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ストレージ装置追加処理を行う(1208)。このストレージ装置追加処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ストレージ装置テーブル221へレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ2211(装置ID)及びエントリ2212(管理用IPアドレス)には、それぞれ領域801及び領域802に入力された内容が登録される。
次に管理端末2のCPU204は、ネーム管理装置テーブル222の先頭レコードのエントリ2221(装置ID)及びエントリ2222(IPアドレス)の内容を含む初期化要求を組み立て、移行元ストレージ装置1へ管理用NIF209経由で送信する(1209)。この初期化要求のあて先IPアドレスは、領域802に入力された内容とする。
初期化要求を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104が移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、テーブル初期化処理を行う(1210)。このテーブル初期化処理では、まず、移行元ストレージ装置1のCPU104が、ネーム管理装置テーブル121、ポートテーブル122、ターゲットテーブル123及びLUテーブル124をレコードが存在しない状態とする。次に、移行元ストレージ装置1のCPU104が、初期化要求からエントリ2221(装置ID)及びエントリ2222(IPアドレス)の内容を取り出し、ネーム管理装置テーブル121にレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ1211(装置ID)及びエントリ1212(IPアドレス)には、初期化要求から取り出したエントリ2221(装置ID)及びエントリ2222(IPアドレス)の内容がそれぞれ登録される。
その後移行元ストレージ装置1のCPU104は、移行元ストレージ装置1が有する全ての物理ポートにポートIDを割り当て、エントリ1221(ポートID)が割り当てた個々のポートID、エントリ1222(IPアドレス)、エントリ1223(サブネットマスク)及びエントリ1224(ゲートウェイ)が「0.0.0.0」であるレコードをポートテーブル122に追加する。本実施形態では、移行元ストレージ装置1のCPU104が、各物理ポートに、ポートIDとして、「1」から始める整数値をシーケンシャルに割り当てるものとする。本実施形態では、移行元ストレージ装置1の第一及び第二の物理ポートには、それぞれ「1」及び「2」というポートIDが割り当てられる。
さらに、移行元ストレージ装置1のCPU104は、移行元ストレージ装置1が管理する全てのLUにLUNを割り当て、エントリ1241(ターゲット)が「null」、エントリ1242(LUN)が割り当てられた個々のLUNであるレコードをLUテーブル124に追加する。本実施形態では、移行元ストレージ装置1のCPU104が、各LUに、LUNとして、「0」から始める整数値をシーケンシャルに割り当てるものとする。本実施形態では、移行元ストレージ装置1の第一及び第二のLUには、それぞれ「0」及び「1」というLUNが割り当てられる。
以上のテーブル初期化処理を完了した後、移行元ストレージ装置1のCPU104は、初期化が成功したことを表す初期化応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF109経由で送信する(1211)。移行元ストレージ装置1から初期化応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、領域812に、領域801及び領域802に入力された内容からなる一行を追加する。
図13は、システム管理者等が、第一のイニシエータと第一のターゲットとが属するディスカバリドメインの情報をネーム管理装置5へ登録し、物理ポート及びターゲットに関する情報を移行元ストレージ装置1へ登録する際の通信シーケンス例を示す図である。なお、本実施形態では、システム管理者等が、第一のターゲット、第一のイニシエータの順番で、ディスカバリドメインの登録を行うものとするが、逆の順番で登録しても良い。また、本実施形態では、システム管理者等が、第一の物理ポート、第二の物理ポートの順番で、物理ポートに関する情報を登録し、第一のターゲット、第二のターゲットの順番で、ターゲットに関する情報を登録するものとするが、逆の順番で登録しても良い。
最初にシステム管理者等が、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、ドメイン管理画面900の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ドメイン管理画面表示処理を行う(1301)。このドメイン管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にドメイン管理画面900を表示する。そして、管理端末2のCPU204は、ネーム管理装置テーブル222の先頭レコードに対応するネーム管理装置5からドメインテーブル522の全てのレコードを読み出し、その内容を領域912に表示する。
この後、システム管理者等が、ドメイン管理画面900の領域901及び領域902にディスカバリドメインに関する情報を入力する。本実施形態では、領域901及び領域902に、それぞれ「DD01」及び第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」が入力される。
その後システム管理者等がボタン910を指定すると、管理端末2のCPU204は、領域901及び領域902の内容を含むドメイン更新要求を組み立て、ネーム管理装置テーブル222の先頭レコードに対応するネーム管理装置5へ管理用NIF209経由で送信する(1302)。このドメイン更新要求のあて先IPアドレスは、ネーム管理装置テーブル222の先頭レコードのエントリ2223(管理用IPアドレス)の内容とする。
ドメイン更新要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がドメイン管理プログラム511を実行し、ドメイン更新処理を行う(1303)。このドメイン更新処理では、ネーム管理装置5のCPU504が、受信したドメイン更新要求から領域901及び領域902の内容を取り出し、ドメインテーブル522へレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ5221(ドメインID)には領域901の内容が、エントリ5222(iSCSIノード)には領域902の内容がそれぞれ登録される。
以上のドメイン更新処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、ドメインへのiSCSIノードの追加が成功したことを表すドメイン更新応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF509経由で送信する(1304)。ドメイン更新応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、領域912に、領域901及び領域902に入力された内容からなる一行を追加する。
そしてシステム管理者等は、1301から1304までの操作を、再び実行する。ただし、1301では、領域901及び領域902に、それぞれ「DD01」及び第一のイニシエータのiSCSI名である「iqn.1999−08.com.abc:host01」が入力されるものとする。これにより、第一のイニシエータと第一のターゲットとが属するディスカバリドメイン「DD01」が、ネーム管理装置5へ登録されたことになる。
次にシステム管理者等は、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、ポート管理画面920の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ポート管理画面表示処理を行う(1305)。このポート管理画面表示処理では、管理端末2のCPU204がディスプレイ205にポート管理画面920を表示する。また管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従って、ストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン922が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには、装置IDの重複がないようにする。さらに、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードに対応するストレージ装置からポートテーブル122を読み出し、その内容をマージして領域932に表示する。
この後システム管理者等は、ポート管理画面920のボタン922で移行元ストレージ装置1の装置IDを選択し、領域923から領域926までに移行元ストレージ装置1の物理ポートに関する情報を入力する。本実施形態では、ボタン922で移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」が選択され、領域923、領域924、領域925及び領域926には、それぞれ第一の物理ポートのポートIDである「1」、「172.16.0.1」、「255.255.0.0」及び「172.16.0.254」が入力される。
その後システム管理者等がボタン930を指定すると、管理端末2のCPU204は、領域923から領域926までの内容を含むポート追加要求を組み立て、ボタン922で選択された装置IDを持つストレージ装置へ管理用NIF209経由で送信する(1306)。このポート追加要求のあて先IPアドレスは、ボタン922で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
ポート追加要求を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104が移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、ポート追加処理を行う(1307)。このポート追加処理では、移行元ストレージ装置1のCPU104が、ポート追加要求から領域923から領域926までの内容を取り出し、ポートテーブル122のレコードを更新する。ここで更新されるレコードのエントリ1221(ポートID)には領域923の内容が、エントリ1222(IPアドレス)には領域924の内容が、エントリ1223(サブネットマスク)には領域925の内容が、エントリ1224(ゲートウェイ)には領域926の内容がそれぞれ登録される。
以上のポート追加処理が完了すると、移行元ストレージ装置1のCPU104は、物理ポートに関する情報の登録が成功したことを表すポート追加応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF109経由で送信する(1308)。ポート追加応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、領域932に、ボタン922で選択された装置ID及び領域923から領域926までに入力された内容からなる一行を追加する。
そしてシステム管理者等は、1305から1308までの操作を、再び実行する。ただし、1305では、ボタン922で移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」が選択され、領域923、領域924、領域925及び領域926には、それぞれ第二の物理ポートのポートIDである「2」、「172.16.0.2」、「255.255.0.0」及び「172.16.0.254」が入力されるものとする。つまり、システム管理者等は、全てのポート情報を登録するまで、上述した処理を繰り返す。
次にシステム管理者等は、ターゲット管理画面1000の表示を管理端末2へ指示する。指示に基づいて管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ターゲット管理画面表示処理を行う(1309)。このターゲット管理画面表示処理では、管理端末2のCPU204がディスプレイ205にターゲット管理画面1000を表示する。また、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従って、ストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン1002が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには、装置IDの重複がないようにする。
さらに管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードに対応するストレージ装置からターゲットテーブル123及びLUテーブル124を読み出し、その内容をマージして領域1012に表示する。この後、システム管理者等が、ターゲット管理画面100のボタン1002で移行元ストレージ装置1の装置IDを選択し、領域1003から領域1006までに移行元ストレージ装置1で動作するターゲットに関する情報を入力する。本実施形態では、ボタン1002で移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」が選択され、領域1003、領域1004、領域1005及び領域1006には、それぞれ第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」、第一の物理ポートのポートIDである「1」、ウェルノウンポートである「3260」及び第一のLUのLUNである「0」が入力される。
その後システム管理者等がボタン1010を指定すると、管理端末2のCPU204は、領域1003から領域1006までの内容を含むターゲット追加要求を組み立て、ボタン1002で選択された装置IDを持つストレージ装置へ管理用NIF209経由で送信する(1310)。このターゲット追加要求のあて先IPアドレスは、ボタン1002で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
ターゲット追加要求を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104が移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、ターゲット追加処理を行う(1311)。このターゲット追加処理では、移行元ストレージ装置1のCPU104が、ターゲット追加要求から領域1003から領域1006までの内容を取り出し、ターゲットテーブル123へレコードを追加する。ここでターゲットテーブル123に追加されるレコードのエントリ1231(ターゲット)には領域1003の内容が、エントリ1232(ポートID)には領域1004の内容が、エントリ1233(ポート番号)には領域1005の内容がそれぞれ登録される。次に、移行元ストレージ装置1のCPU104は、エントリ1242(LUN)の内容が、領域1006の内容と一致するという条件で、LUテーブル124を検索し、条件に合致するレコードのエントリ1241(ターゲット)に領域1003の内容を登録する。
以上のターゲット追加処理が完了すると、移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1004の内容がエントリ1221(ポートID)の内容と一致するという条件で、ポートテーブル122を検索し、条件に合致したレコードのエントリ1222(IPアドレス)の内容を読み出す。そして、移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1003の内容、ノード種別がターゲットであることを表す情報、読み出したエントリ1222(IPアドレス)の内容及び領域1005の内容を含むネーム登録要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF108経由で送信する(1312)。このネーム登録要求のあて先IPアドレスは、ネーム管理装置テーブル121の先頭レコードのエントリ1212(IPアドレス)の内容とする。
ネーム登録要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、ネーム登録処理を行う(1313)。このネーム登録処理では、ネーム管理装置5のCPU504が、受信したネーム登録要求から領域1003の内容、ノード種別がターゲットであることを表す情報、エントリ1222(IPアドレス)の内容及び領域1005の内容を取り出し、iSCSIノードテーブル521にレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ5211(iSCSIノード)には領域1003の内容が、エントリ5212(ノード種別)には「target」が、エントリ5213(IPアドレス)にはエントリ1222(IPアドレス)の内容が、エントリ5214(ポート番号)には領域1005の内容が、エントリ5215(更新通知フラグ)には「0」がそれぞれ登録される。
以上のネーム登録処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、ネームの登録が成功したことを表すネーム登録応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へNIF508経由で送信する(1314)。
ネーム登録応答を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104は、ターゲットに関する情報の登録が成功したことを表すターゲット追加応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF109経由で送信する(1315)。ターゲット追加応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、領域1012に、ボタン1002で選択された装置ID及び領域1003から領域1006までに入力された内容からなる一行を追加する。
そしてシステム管理者等は、1309から1315までの操作を、再び実行する。ただし、1309では、ボタン1002で移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」が選択され、領域1003、領域1004、領域1005及び領域1006には、それぞれ第二のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar02」、第二の物理ポートのポートIDである「2」、「3260」及び第二のLUのLUNである「1」が入力されるものとする。つまり、システム管理者等は、全てのターゲットを設定するまで、上述の処理を繰り返す。
図14は、システム管理者等が、ホスト4上でイニシエータが起動する際の通信シーケンス例を示す図である。本実施形態では、あらかじめシステム管理者等が、第一のイニシエータのiSCSI名、NIF408のIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイのIPアドレス及びネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスとして、それぞれ「iqn.1999−08.com.abc:host01」、「172.16.0.128」、「255.255.0.0」、「172.16.0.254」及び「172.16.0.253」を、ホスト4に設定したものとする。
ホスト4に上記の設定を行った後、システム管理者等は、ポインティング装置406や文字入力装置407を用いて、第一のイニシエータの起動を指示する。起動を指示されたホスト4のCPU404は、ネーム操作プログラム412を実行し、第一のイニシエータのiSCSI名、ノード種別がイニシエータであることを表す情報、NIF408のIPアドレス及びTCPポート番号が未決定であることを表す情報を含むネーム登録要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF408経由で送信する(1401)。このネーム登録要求のあて先IPアドレスは、NIF508に割り当てられたIPアドレスとする。
ホスト4からのネーム登録要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504が、iSCSIノード管理プログラム512を実行しネーム登録処理を行う(1402)。このネーム登録処理では、ネーム管理装置5のCPU504は、ネーム登録要求から第一のイニシエータのiSCSI名、ノード種別がイニシエータであることを表す情報、NIF408のIPアドレス及びTCPポート番号が未決定であることを表す情報を取り出し、iSCSIノードテーブル521にレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ5211(iSCSIノード)には第一のイニシエータのiSCSI名が、エントリ5212(ノード種別)には「initiator」が、エントリ5213(IPアドレス)には前記NIF408のIPアドレスが、エントリ5214(ポート番号)には「null」が、エントリ5215(更新通知フラグ)には「0」がそれぞれ登録される。
以上のネーム登録処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、ネームの登録が成功したことを表すネーム登録応答を組み立て、ホスト4へNIF508経由で送信する(1403)。
ネーム登録応答を受信すると、ホスト4のCPU404は、ネーム操作プログラム412を実行し、第一のイニシエータのiSCSI名を含む更新通知登録要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF408経由で送信する(1404)。この更新通知登録要求のあて先IPアドレスは、1401のネーム登録要求のあて先IPアドレスと同様である。
更新通知登録要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504が更新通知プログラム513を実行し、更新通知登録処理を行う(1405)。この更新通知登録処理では、ネーム管理装置5のCPU504は、更新通知登録要求から第一のイニシエータのiSCSI名を取り出し、このiSCSI名がエントリ5211(iSCSIノード)の内容と一致するという条件でiSCSIノードテーブル521を検索し、条件に合致したレコードのエントリ5215(更新通知フラグ)に「1」を登録する。
以上の更新通知登録処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、更新通知登録が成功したことを表す更新通知登録応答を組み立て、ホスト4へNIF508経由で送信する(1406)。
更新通知登録応答を受信すると、ホスト4のCPU404はネーム操作プログラム412を実行し、第一のイニシエータのiSCSI名を含むディスカバリ要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF408経由で送信する(1407)。このディスカバリ要求のあて先IPアドレスは、1401のネーム登録要求のあて先IPアドレスと同様である。
ディスカバリ要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、ターゲット検索処理を行う(1408)。このターゲット検索処理では、ネーム管理装置5のCPU504が、ディスカバリ要求を送信したイニシエータと同じディスカバリドメインに属する全てのターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の情報を、イニシエータへ送信する。
最初にネーム管理装置5のCPU504は、受信したディスカバリ要求から第一のイニシエータのiSCSI名を取り出す。次にネーム管理装置5のCPU504は、このiSCSI名がエントリ5222(iSCSIノード)の内容と一致するという条件でドメインテーブル522を検索し、条件に合致したレコードのエントリ5221(ドメインID)の内容を取り出す。そして、ネーム管理装置5のCPU504は、取り出したエントリ5221(ドメインID)の内容がエントリ5221(ドメインID)の内容と一致するという条件でドメインテーブル522を再び検索し、条件に合致した全てのレコードのエントリ5222(iSCSIノード)の内容を取り出す。
次にネーム管理装置5のCPU504は、取り出した全てのエントリ5222(iSCSIノード)の内容について、エントリ5222(iSCSIノード)の内容がエントリ5211(iSCSIノード)の内容と一致し、かつエントリ5212(ノード種別)の内容が「target」であるという条件でiSCSIノードテーブル521を検索し、条件に合致したレコードのエントリ5211(iSCSIノード)の内容、エントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を取り出す。
最後にネーム管理装置5のCPU504は、取り出したエントリ5211(iSCSIノード)の内容、エントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容の全ての組み合わせを含むディスカバリ応答を組み立て、ホスト4へNIF508経由で送信する(1409)。本実施形態では、第一のイニシエータは、第一のターゲットと同じディスカバリドメインに属しているため、ディスカバリ応答には、第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」、第一のターゲットが使用するIPアドレスである「172.16.0.1」及び第一のターゲットが使用するTCPポート番号である「3260」が含まれる。
ディスカバリ応答を受信すると、ホスト4のCPU404は、受信したディスカバリ応答からエントリ5211(iSCSIノード)の内容、エントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容の組み合わせを取り出す。そして、ホスト4のCPU404は、iSCSI処理プログラム411を実行し、受信したディスカバリ応答から取り出したエントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を、それぞれIPアドレス及びTCPポート番号とするエンドポイントとTCPコネクションを確立する。
次にホスト4のCPU404は、ログインを行うイニシエータのiSCSI名として第一のイニシエータのiSCSI名を、ログイン対象となるターゲットのiSCSI名としてエントリ5211(iSCSIノード)の内容をそれぞれ含むiSCSIログイン要求を組み立て、先に確立したTCPコネクションを用いて送信する(1410)。
iSCSIログイン要求を受信すると、移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110がログイン処理を行う(1411)。このログイン処理では、iSCSI処理装置110が、受信したiSCSIログイン要求から第一のイニシエータのiSCSI名及びエントリ5211(iSCSIノード)の内容を取り出し、イニシエータのiSCSI名とターゲットのiSCSI名との組み合わせが正しいことの確認、イニシエータの認証、及び各種パラメータのネゴシエーションを行う。
ログイン処理が正しく完了すると、iSCSI処理装置110は、ログインが成功したことを表すiSCSIログイン応答を組み立て、ホスト4へNIF108経由で送信する(1412)。
iSCSIログイン応答をホスト4が受信すると、ホスト4が管理する第一のイニシエータと移行元ストレージ装置1が管理する第一のターゲットとの間に、新しいiSCSIセッションが確立したことになる。以降、ホスト4は、このiSCSIセッションを用いて、移行元ストレージ装置1の第一のLUに対するデータの読み書きを行う(1413)。
図15は、システム管理者等が、移行の前処理として、管理端末2へ移行先ストレージ装置3に関する情報を登録した後、移行先ストレージ装置3が有する物理ポートに関する情報を移行先ストレージ装置3へ登録する際の通信シーケンス例を示す図である。なお、本実施形態では、システム管理者等が、第三の物理ポート、第四の物理ポートの順番で物理ポートに関する情報を登録するものとするが、逆の順番で登録しても良い。
最初にシステム管理者等は、ストレージ装置管理画面800の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204は、GUI制御プログラム211を実行し、1207と同様に、ストレージ装置管理画面表示処理を行う(1501)。このストレージ装置管理画面表示処理が完了した後、システム管理者等が、ストレージ装置管理画面800の領域801及び領域802に移行先ストレージ装置3に関する情報を入力する。本実施形態では、領域801及び領域802に、それぞれ移行先ストレージ装置3の装置IDである「STR02」及び移行先ストレージ装置3の管理用IPアドレスである「192.168.0.2」が入力される。
その後システム管理者等がボタン810を指定すると、管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、1208と同様に、ストレージ装置追加処理を行う(1502)。
次に管理端末2のCPU204は、1209と同様に初期化要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へ管理用NIF209経由で送信する(1503)。この初期化要求のあて先IPアドレスは、領域802に入力された内容とする。
初期化要求を受信すると、移行先ストレージ装置3のCPU304が移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、テーブル初期化処理を行う(1504)。このテーブル初期化処理では、まず、移行先ストレージ装置3のCPU304が、ネーム管理装置テーブル321、ポートテーブル322、ターゲットテーブル323及びLUテーブル324をレコードが存在しない状態とする。次に、移行先ストレージ装置3のCPU304が、初期化要求からエントリ2221(装置ID)及びエントリ2222(IPアドレス)の内容を取り出し、ネーム管理装置テーブル321にレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ3211(装置ID)及びエントリ3212(IPアドレス)には、受信した初期化要求から取り出したエントリ2221(装置ID)及びエントリ2222(IPアドレス)の内容がそれぞれ登録される。
その後移行先ストレージ装置3のCPU304は、移行先ストレージ装置3が有する全ての物理ポートにポートIDを割り当て、エントリ3221(ポートID)が割り当てたポートID、エントリ3222(IPアドレス)、エントリ3223(サブネットマスク)及びエントリ3224(ゲートウェイ)が「0.0.0.0」であるレコードをポートテーブル322に追加する。さらに、移行先ストレージ装置3のCPU304は、移行先ストレージ装置3が管理する全てのLUにLUNを割り当て、エントリ3241(ターゲット)が「null」、エントリ3242(LUN)が割り当てられたLUNであるレコードをLUテーブル324に追加する。
本実施形態では、移行先ストレージ装置3によるポートID割り当て方法及びLUN割り当て方法は、移行元ストレージ装置1と同様とする。本実施形態では、第三及び第四の物理ポートには、それぞれ「1」及び「2」というポートIDが割り当てられる。また、第三及び第四のLUには、それぞれ「0」及び「1」というLUNが割り当てられる。
以上のテーブル初期化処理を完了した後、移行先ストレージ装置3のCPU304は、1211と同様に、初期化が成功したことを表す初期化応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF309経由で送信する(1505)。初期化応答を受信すると、1211と同様に、管理端末2のCPU204が、領域812に、領域801及び領域802に入力された内容からなる一行を追加する。
次にシステム管理者等は、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いてポート管理画面920の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、1305と同様に、ポート管理画面表示処理を行う(1506)。ポート管理画面表示処理の完了後、システム管理者等が、ポート管理画面920のボタン922で移行先ストレージ装置3の装置IDを選択し、領域923から領域926までに移行先ストレージ装置3の物理ポートに関する情報を入力する。
本実施形態では、ボタン922で移行先ストレージ装置3の装置IDである「STR02」が選択され、領域923、領域924、領域925及び領域926には、それぞれ第三の物理ポートのポートIDである「1」、「172.16.0.3」、「255.255.0.0」及び「172.16.0.254」が入力される。
その後システム管理者等がボタン930を指定すると、管理端末2のCPU204は、1306と同様に、ポート追加要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へ管理用NIF209経由で送信する(1507)。
ポート追加要求を受信すると、移行先ストレージ装置3のCPU304が移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、1307と同様に、ポート追加処理を行う(1508)。
ポート追加処理が完了すると、移行先ストレージ装置3のCPU304は、1308と同様に、物理ポートに関する情報の登録が成功したことを表すポート追加応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF109経由で送信する(1509)。ポート追加応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、1308と同様に、領域932に、ボタン922で選択された装置ID及び領域923から領域926までに入力された内容からなる一行を追加する。
そして、システム管理者等は、1506から1509までの操作を、再び実行する。ただし、1506では、ボタン922で移行先ストレージ装置3の装置IDである「STR02」が選択され、領域923、領域924、領域925及び領域926には、それぞれ第四の物理ポートのポートIDである「2」、「172.16.0.4」、「255.255.0.0」及び「172.16.0.254」が入力されるものとする。したがって、システム管理者等は、移行先ストレージ装置が有する物理ポートの数だけ、上述の処理を繰り返す。
以下、移行元ストレージ装置1が管理する第一のターゲットを、移行先ストレージ装置3へ移行する際の通信シーケンス及び動作手順について説明する。
本実施形態では、システム管理者等が、管理端末2が表示する移行管理画面1100を用いて、移行元ストレージ装置1へ第一のターゲットの移行処理を開始するように指示する。指示を受けた移行元ストレージ装置1は、移行先ストレージ装置3に第三のターゲットを作成し、第三のターゲットに、移行先ストレージ装置3が有する第三の物理ポートと第三のLUとを割り当てる。
次に、移行元ストレージ装置1は、第一のLUに格納されたデータを、移行先ストレージ装置3の第三のLUへコピーする初期コピーを実行する。データの初期コピーが完了した後、移行元ストレージ装置1は、同期複製(一方のLUに格納されたデータに更新が発生した場合には、他方のLUに格納されている同じデータも更新する)を実行し、第一のLUに格納されたデータと、第三のLUに格納されたデータとの整合性を維持する(以上の通信シーケンスを、図16を用いて説明する)。
その後、移行元ストレージ装置1は、移行先ストレージ装置3に、第一のターゲットと同じiSCSI名を持つターゲット(以下「仮想第一のターゲット」)を作成し、作成されたターゲットに、移行先ストレージ装置3が有する第三の物理ポートと第三のLUとを割り当てる。移行先ストレージ装置3は、第一のターゲットに第三の物理ポート(すなわち仮想第一のターゲット)が割り当てられたことを、ネーム管理装置5経由でホスト4へ通知する。第一のターゲットに第三の物理ポートが割り当てられた通知を受信すると、ホスト4は、移行先ストレージ装置3の第三の物理ポートとの間にTCPコネクションを確立する。そして、ホスト4が管理するイニシエータが、移行先ストレージ装置3が管理する第一のターゲットと同じiSCSI名を有するターゲットへログインすることにより、第一のイニシエータと第一のターゲットとの間のiSCSIセッションに、TCPコネクションを追加する。
ただし、この時点では、ホスト4は、移行先ストレージ装置3との間のTCPコネクションを使用したディスクアクセスを行わない(以上の通信シーケンスを、図17を用いて説明する)。
次に移行元ストレージ装置1は、第一のターゲットへの第一の物理ポートの割り当てを解除することを、ネーム管理装置5経由でホスト4へ通知する。その通知を受信すると、ホスト4が管理するイニシエータは、移行元ストレージ装置1が管理する第一のターゲットからログアウトし、ホスト4は、移行元ストレージ装置1の第一の物理ポートとの間のTCPコネクションを切断する。なお、ホスト4は、解除の通知を受信してからTCPコネクションを切断するまでの間に発生したディスクアクセスを、バッファ領域421に一時的に退避しておく。
TCPコネクション切断後、ホスト4は、移行先ストレージ装置3との間のTCPコネクションを使用して、仮想第一のターゲットとのディスクアクセスを開始する。一方、移行元ストレージ装置1は、ホスト4とのTCPコネクションが切断された後、移行先ストレージ装置3との間の同期複製を停止し、第一のターゲットを削除する(以上の通信シーケンスを、図18を用いて説明する)。
以降の通信シーケンス及び動作手順の説明では、下記のパラメータ例を用いる。
まず本実施形態では、iSCSIプロトコルを用いて、初期コピー及び同期複製を行うものとする。この初期コピー及び同期複製のために、移行元ストレージ装置1は、「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−ini02」というiSCSI名を持つ第二のイニシエータを使用するものとする。第二のイニシエータには、第二の物理ポートが割り当てられるものとする。一方、初期コピー及び同期複製のために、移行先ストレージ装置3は、「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−tar03」というiSCSI名を持つ第三のターゲットを使用するものとする。第三のターゲットには、第三の物理ポートが割り当てられるものとする。また、このターゲットは、TCPポート番号として、ウェルノウンポートである「3260」を使用するものとする。
図16は、移行元ストレージ装置1が、移行先ストレージ装置3へターゲットの移行を行う際の第一の通信シーケンス例を示す図である。
最初に、システム管理者等が、文字入力装置207及びポインティング装置206を用いて移行管理画面1100の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、移行管理画面表示処理を行う(1601)。この移行管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205に移行管理画面1100を表示する。また管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従ってストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン1104或いはボタン1111が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには装置IDの重複がないようにする。
この後、システム管理者等が、移行管理画面1100のボタン1104で移行元ストレージ装置1の装置IDを選択し、領域1105から領域1107までに移行元ストレージ装置1に関する情報を入力する。これと共に、システム管理者等は、ボタン1111で移行先ストレージ装置3の装置IDを選択し、領域1112から領域1117までに移行先ストレージ装置3に関する情報を入力する。本実施形態では、ボタン1104で移行元ストレージ装置1の装置IDである「STR01」が選択され、領域1105、領域1106及び領域1107には、それぞれ第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」、第二のイニシエータのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−ini02」及び第二の物理ポートのポートIDである「2」が入力される。
また、ボタン1111で移行先ストレージ装置3の装置IDである「STR02」が選択され、領域1112、領域1113、領域1114、領域1115、領域1116及び領域1117には、それぞれ第三のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−tar03」、第三の物理ポートのポートIDである「1」、ウェルノウンポートである「3260」、第三の物理ポートのポートIDである「1」、ウェルノウンポートである「3260」及び第三のLUのLUNである「0」が入力される。
その後システム管理者等がボタン1128を指定すると、管理端末2のCPU204は、ボタン1111で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容を取り出す。そして、管理端末2のCPU204は、取り出したエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容と、領域1105から領域1107までの内容と、領域1112から領域1117までの内容とを含む移行開始要求を組み立て、ボタン1104で選択された装置IDを持つ移行元ストレージ装置1へ管理用NIF209経由で送信する(1602)。この移行開始要求のあて先IPアドレスは、ボタン1104で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
移行開始要求を受信すると、最初に、移行元ストレージ装置1のCPU104は移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、受信した移行開始要求から、エントリ2212(管理用IPアドレス)の内容、領域1112から領域1114までの内容及び領域1117の内容を取り出す。そして移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1112から領域1114までの内容及び領域1117の内容を含むターゲット追加要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へ管理用NIF109経由で送信する(1603)。このターゲット追加要求のあて先IPアドレスは、エントリ2212(管理用IPアドレス)の内容である。
ターゲット追加要求を受信すると、移行先ストレージ装置3のCPU304が移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、第三のターゲットを作成し、第三の物理ポートと第三のLUとを第三のターゲットへ割り当てるターゲット追加処理を行う(1604)。このターゲット追加処理では、移行先ストレージ装置3のCPU304は、受信したターゲット追加要求から領域1112から領域1114までの内容及び領域1117の内容を取り出し、ターゲットテーブル323へレコードを追加する。ここでターゲットテーブル323に追加されるレコードのエントリ3231(ターゲット)には領域1112の内容が、エントリ3232(ポートID)には領域1113の内容が、エントリ3233(ポート番号)には領域1114の内容がそれぞれ登録される。
次に移行先ストレージ装置3のCPU304は、エントリ3242(LUN)の内容が領域1117の内容と一致するという条件で、LUテーブル324を検索し、条件に合致したレコードのエントリ3241(ターゲット)に領域1112の内容を登録する。
次に移行先ストレージ装置3のCPU304は、領域1113の内容がエントリ3221(ポートID)の内容と一致するという条件でポートテーブル322を検索し、条件に合致するレコードのエントリ3222(IPアドレス)を取り出す。そして移行先ストレージ装置3のCPU304は、取り出されたエントリ3222(IPアドレス)の内容を含むターゲット追加応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へ管理用NIF309経由で送信する(1605)。
ターゲット追加応答を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104が同期複製プログラム114を実行し、同期複製初期化処理を行う(1606)。この同期複製初期化処理では、移行元ストレージ装置1のCPU104が、受信した移行開始要求から領域1105から領域1107までの内容を取り出す。そして移行元ストレージ装置1のCPU104は、キャッシュ領域111に格納された書き込み待ちデータのうち、第一のLUへの書き込み待ちデータを、第一のLUへ書き込むデステージ処理を行う。
以降、移行元ストレージ装置1は、ホスト4から第一のLUへの書き込みデータを、キャッシュ領域111に一時退避しないこととする。次に移行元ストレージ装置1のCPU104は、受信したターゲット追加応答からエントリ3222(IPアドレス)の内容を取り出す。そして移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1107の内容がエントリ1221(ポートID)の内容と一致するという条件でポートテーブル122を検索し、条件に合致するレコードのエントリ1222(IPアドレス)の内容を取り出す。
次に移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110は、エントリ1222(IPアドレス)の内容が送信元IPアドレスであり、かつエントリ3222(IPアドレス)の内容及び領域1114の内容が、それぞれあて先IPアドレス及びTCPポート番号であるTCPコネクションを確立する。そして、移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110は、領域1106及び領域1112の内容を含むiSCSIログイン要求を組み立て、確立したTCPコネクションを用いて送信する(1607)。
iSCSIログイン要求を受信すると、移行先ストレージ装置3のiSCSI処理装置310がログイン処理を行う(1608)。このログイン処理では、iSCSI処理装置310が、受信したiSCSIログイン要求から領域1106及び領域1112の内容を取り出し、イニシエータのiSCSI名とターゲットのiSCSI名との組み合わせが正しいことの確認、イニシエータの認証及び各種パラメータのネゴシエーションを行う。
ログイン処理が正しく完了すると、iSCSI処理装置310は、ログインが成功したことを表すiSCSIログイン応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へNIF108経由で送信する(1609)。
移行元ストレージ装置1がiSCSIログイン応答を受信すると、第二のイニシエータと第三のターゲットとの間にiSCSIセッションが確立したことになる。以降、移行元ストレージ装置1は、このiSCSIセッションを用いて、第一のLUに格納されているデータを、第三のLUへコピーする初期コピーを実行する(1610、1611)。
データの初期コピーが完了した後、移行元ストレージ装置1は、ホスト4から第一のLUへのデータ書き込みを受信した時には(1612)、第三のLUへの同期複製を実行し、第一のLUに格納されたデータと第三のLUに格納されたデータとの整合性を維持する(1613)。
図17は、移行元ストレージ装置1が、移行先ストレージ装置3へターゲットの移行を行う際の第二の通信シーケンス例を示す図である。
1610及び1611の初期コピーが完了した後、移行元ストレージ装置1のCPU104は、移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、領域1105の内容、領域1115から領域1117までの内容及び追加されるターゲットにログインしているイニシエータ(本実施形態では第一のイニシエータ)のiSCSI名を含むターゲット追加要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へ管理用NIF109経由で送信する(1701)。このターゲット追加要求のあて先IPアドレスは、1603で移行開始要求から取り出されたエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容である。
ターゲット追加要求を受信すると、移行先ストレージ装置3のCPU304が移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、第一のターゲットと同じiSCSI名を持つターゲット(仮想第一のターゲット)を作成する。そして、移行先ストレージ装置3のCPU304は、作成したターゲットに第三の物理ポートと第三のLUとを割り当てるターゲット追加処理を行う(1702)。
このターゲット追加処理では、移行先ストレージ装置3のCPU304が、まず、受信したターゲット追加要求から領域1105の内容、領域1115から領域1117までの内容及び追加されるターゲットにログインしているイニシエータのiSCSI名を取り出し、ターゲットテーブル323にレコードを追加する。ここでターゲットテーブル323に追加されるレコードのエントリ3231(ターゲット)には領域1105の内容が、エントリ3232(ポートID)には領域1115の内容が、エントリ3233(ポート番号)には領域1116の内容がそれぞれ登録される。
次に移行先ストレージ装置3のCPU304は、エントリ3242(LUN)の内容が領域1117の内容と一致するという条件で、LUテーブル324を検索し、条件に合致するレコードのエントリ3241(ターゲット)に領域1105の内容を登録する。
次に移行先ストレージ装置3のCPU304は、ネーム更新プログラム313を実行し、まず、領域1115の内容がエントリ3221(ポートID)の内容と一致するという条件でポートテーブル322を検索し、条件に合致するレコードのエントリ3222(IPアドレス)を取り出す。そして、移行先ストレージ装置3のCPU304は、領域1105の内容、ノード種別がターゲットであることを表す情報、取り出されたエントリ3222(IPアドレス)の内容及び領域1116の内容を含むネーム登録要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF308経由で送信する(1703)。このネーム登録要求のあて先IPアドレスは、ネーム管理装置テーブル321の先頭レコードのエントリ3212(IPアドレス)の内容とする。
ネーム登録要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、1313と同様に、ネーム登録処理を行う(1704)。
ネーム登録処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、1314と同様に、ネームの登録が成功したことを表すネーム登録応答を組み立て、移行先ストレージ装置3へNIF508経由で送信する(1705)。
ネーム登録応答を受信すると、移行先ストレージ装置3のCPU304がターゲットに関する情報の追加が成功したことを表すターゲット追加応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へ管理用NIF309経由で送信する(1706)。
一方、1704でiSCSIノードテーブル521にレコードが追加されたため、ネーム管理装置5のCPU504は更新通知プログラム513を実行し、更新通知先検索処理を行う(1707)。この更新通知先検索処理では、ネーム管理装置5のCPU504が、まず、追加されたレコードに対応するiSCSIノード(すなわち、第一のターゲット)のiSCSI名が、エントリ5222(iSCSIノード)の内容と一致するという条件でドメインテーブル522を検索し、条件に合致したレコードのエントリ5221(ドメインID)の内容を取り出す。
次にネーム管理装置5のCPU504は、取り出したエントリ5221(ドメインID)の内容がエントリ5221(ドメインID)の内容と一致するという条件でドメインテーブル522を再検索し、条件に合致する全てのレコードのエントリ5222(iSCSIノード)の内容を取り出す。そしてネーム管理装置5のCPU504は、取り出したそれぞれのエントリ5222(iSCSIノード)の内容について、このエントリ5222(iSCSIノード)の内容がエントリ5211(iSCSIノード)の内容と一致し、かつエントリ5215(更新通知フラグ)の内容が「1」であるという条件でiSCSIノードテーブル521を検索し、条件に合致したレコードのエントリ5213(IPアドレス)の内容を取り出す。本実施形態では、この条件にホスト4が管理する第一のイニシエータに対応するレコードが合致し、その結果、エントリ5213(IPアドレス)の内容として「172.16.0.128」が取り出される。
以上の更新通知先検索処理が完了した後、ネーム管理装置5のCPU504は、第一のターゲットのiSCSI名及びそのターゲットへ新しい物理ポート(すなわち、第三の物理ポート)が割り当てられたことを表す情報を含む更新通知を組み立て、ホスト4へ送信する(1708)。この更新通知のあて先IPアドレスは、1707で取り出したエントリ5213(IPアドレス)の内容とする。なお、本実施形態では、この更新通知に、iSNSPのSCNを用いることを想定しているが、SCN以外の方法を用いても良い。
更新通知を受信すると、ホスト4のCPU404がネーム操作プログラム412を実行し、前記更新通知から第一のターゲットのiSCSI名及びそのターゲットへ新しい物理ポートが割り当てられたことを表す情報を取り出し、第一のターゲットのiSCSI名を含むターゲット参照要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF408経由で送信する(1709)。
ターゲット参照要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、ターゲット読み出し処理を実行する(1710)。このターゲット読み出し処理では、ネーム管理装置5のCPU504は、まず、受信したターゲット参照要求から第一のターゲットのiSCSI名を取り出す。次に、ネーム管理装置5のCPU504は、第一のターゲットのiSCSI名がエントリ5211(iSCSIノード)の内容と一致するという条件でiSCSIノードテーブル521を検索し、条件に合致した全てのレコードのエントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を取り出す。
そしてネーム管理装置5のCPU504は、1710で取り出した全てのエントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を含むターゲット参照応答を組み立て、ホスト4へNIF508経由で送信する(1711)。
ターゲット参照応答を受信するとホスト4のCPU404は、受信したターゲット参照応答から全てのエントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を取り出す。次に、ホスト4のCPU404は、取り出されたエントリ5213(IPアドレス)及びエントリ5214(ポート番号)の内容を、それぞれIPアドレス及びTCPポート番号とするエンドポイントと、既にTCPコネクションを確立しているか否かを調べる。
まだTCPコネクションを確立していない場合、ホスト4のCPU404は、iSCSI処理プログラム411を実行し、そのエンドポイントとTCPコネクションを確立し、第一のイニシエータのiSCSI名及び第一のターゲットのiSCSI名を含むiSCSIログイン要求を組み立て、確立されたTCPコネクションを用いて送信する(1712)。このようにして、ホスト4は、移行先ストレージ装置3との間に、第三の物理ポートを経由してTCPコネクションを確立する。
(第三の物理ポートに付与されているiSCSI名が第一のターゲットと同一なため、第三の物理ポートは、第一のターゲットと同じディスカバリドメインに所属することとなり、イニシエータは第三の物理ポートへアクセスすることができる。)
iSCSIログイン要求を移行先ストレージ装置3が受信すると、移行先ストレージ装置3のiSCSI処理装置310がログイン処理を行う(1713)。このログイン処理では、iSCSI処理装置310が、受信したiSCSIログイン要求から第一のイニシエータのiSCSI名及び第一のターゲットのiSCSI名を取り出し、イニシエータのiSCSI名とターゲットのiSCSI名との組み合わせが正しいことの確認、イニシエータの認証、及び各種パラメータのネゴシエーションを行う。
ログイン処理が正しく完了すると、移行先ストレージ装置3のiSCSI処理装置310は、ログインが成功したことを表す情報と、TCPコネクション使用保留情報とを含むiSCSIログイン応答を組み立て、ホスト4へNIF308経由で送信する(1714)。このTCPコネクション使用保留情報は、既存のTCPコネクションが切断されるまで、ホスト4が、新たに確立されたTCPコネクションの使用を保留することを示す情報である。移行先ストレージ装置3は、1712で受信したログイン要求の送信元であるイニシエータのiSCSI名が、1702でターゲット追加要求から取り出したイニシエータのiSCSI名と一致した時にのみ、TCPコネクション使用保留情報をiSCSIログイン応答に含める。本実施形態では、TCPコネクション使用保留情報として、iSCSIログイン応答に含まれるベンダ固有のログインパラメータを用いることを想定している。iSCSIログイン応答をホスト4が受信すると、第一のイニシエータと、第一のターゲットとの間のiSCSIセッションに、ホスト4と移行先ストレージ装置3との間に第三の物理ポート経由で確立されたTCPコネクションが追加されたことになる。ただし、前記iSCSIログイン応答にTCPコネクション使用保留情報が含まれているため、この時点では、ホスト4のCPU404は、移行先ストレージ装置3との間のTCPコネクションを使用したディスクアクセスを行わない。このTCPコネクションの使用を保留するという制御は、ホスト4のCPU404が、iSCSI処理プログラム411を実行することで行う。
iSCSI処理装置310がiSCSIログイン応答を送信した後、移行先ストレージ装置3のCPU304は移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、ホスト4からのログインが完了したことを表すログイン完了通知を組み立て、移行元ストレージ装置1へ管理用NIF309経由で送信する(1715)。
図18は、移行元ストレージ装置1が、移行先ストレージ装置3へターゲットの移行を行う際の第三の通信シーケンス例を示す図である。
ログイン完了通知を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104はネーム更新プログラム113を実行し、第一のターゲットへの第一の物理ポートの割り当てを解除することをネーム管理装置5へ通知する。
まず、移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1105の内容がエントリ1231(ターゲット)の内容に一致するという条件でターゲットテーブル123を検索し、条件に合致するレコードのエントリ1232(ポートID)及びエントリ1233(ポート番号)の内容を取り出す。次に、移行元ストレージ装置1のCPU104は、取り出したエントリ1232(ポートID)の内容がエントリ1221(ポートID)の内容と一致するという条件でポートテーブル122を検索し、条件に合致するレコードのエントリ1222(IPアドレス)の内容を取り出す。
そして移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1105の内容、取り出されたエントリ1222(IPアドレス)及び取り出されたエントリ1233(ポート番号)の内容を含むネーム登録解除要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF108経由で送信する(1801)。このネーム登録解除要求のあて先IPアドレスは、ネーム管理装置テーブル121の先頭レコードのエントリ1212(IPアドレス)の内容とする。
ネーム登録解除要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、ネーム登録解除処理を行う(1802)。このネーム登録解除処理では、ネーム管理装置5のCPU504は、まず、受信したネーム登録解除要求から領域1105の内容、エントリ1222(IPアドレス)及びエントリ1233(ポート番号)の内容を取り出す。次に、ネーム管理装置5のCPU504は、領域1105の内容、エントリ1222(IPアドレス)の内容及びエントリ1233(ポート番号)の内容が、それぞれエントリ5211(iSCSIノード)、エントリ5213(IPアドレス)及びエントリ5214(ポート番号)の内容と一致するという条件でiSCSIノードテーブル521を検索し、条件に合致するレコードを削除する。
以上のネーム登録解除処理が完了すると、ネーム管理装置5のCPU504は、ネームの登録解除が成功したことを表すネーム登録解除応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へNIF508経由で送信する(1803)。
一方、1802でiSCSIノードテーブル521からレコードが削除されたため、ネーム管理装置5のCPU504は更新通知プログラム513を実行し、1707と同様に、更新通知先検索処理を行う(1804)。
更新通知先検索処理が完了した後、ネーム管理装置5のCPU504は、1708と同様に更新通知を組み立て、ホスト4へ送信する(1805)。ただし、この更新通知は、削除されたレコードに相当するiSCSIノード(すなわち、第一のターゲット)のiSCSI名及びそのiSCSIノードに対する物理ポート(すなわち、第一の物理ポート)の割り当てが解除されたことを表す情報を含むものとする。
第一の物理ポートの割当ての解除の情報を含む更新通知を受信すると、ホスト4のCPU404がネーム操作プログラム412を実行し、受信した更新通知から第一のターゲットのiSCSI名及びそのターゲットに対する物理ポートの割り当てが解除されたことを表す情報を取り出し、第一のターゲットのiSCSI名を含むターゲット参照要求を組み立て、ネーム管理装置5へNIF408経由で送信する(1806)。
ターゲット参照要求を受信すると、ネーム管理装置5のCPU504がiSCSIノード管理プログラム512を実行し、1710と同様に、ターゲット読み出し処理を実行する(1807)。そしてネーム管理装置5のCPU504は、1711と同様に、ターゲット参照応答を組み立て、ホスト4へNIF508経由で送信する(1808)。
ターゲット参照応答を受信すると、ホスト4は、移行元ストレージ装置1の第一のLUに対して実行済みのディスクアクセスがあれば、それが完了するのを待つ。ディスクアクセスの完了を待つ間、ホスト4で新たにディスクアクセスの要求が発生した場合には、ホスト4は、その要求内容をバッファ421に退避する。実行済みのディスクアクセスが完了した後、ホスト4のCPU404は、受信したターゲット参照応答から全てのエントリ5213(IPアドレス)の内容及びエントリ5214(ポート番号)の内容を取り出す。
次に、ホスト4のCPU404は、エントリ5213(IPアドレス)及びエントリ5214(ポート番号)の内容をそれぞれIPアドレス及びTCPポート番号とするエンドポイント以外に、TCPコネクションが確立されているか否かを調べる。そのようなTCPコネクションが存在する場合、ホスト4のCPU404は、iSCSI処理プログラム411を実行し、第一のイニシエータのiSCSI名及び第一のターゲットのiSCSI名を含むiSCSIログアウト要求を組み立て、上述で発見されたTCPコネクションを用いて送信する(1809)。
iSCSIログアウト要求を受信すると、移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110はログアウト処理を行う(1810)。このログアウト処理では、iSCSI処理装置110が、受信したiSCSIログアウト要求から第一のイニシエータのiSCSI名及び第一のターゲットのiSCSI名を取り出し、ホスト4が管理するイニシエータと第一のターゲットとの間のiSCSIセッションに関する各種資源を解放する。
ログアウト処理が正しく完了すると、iSCSI処理装置110は、ログアウトが成功したことを表すiSCSIログアウト応答を組み立て、ホスト4へNIF108経由で送信する(1811)。
ホスト4がiSCSIログアウト応答を受信すると、第一のイニシエータと第一のターゲットとの間に確立されたiSCSIセッションから、ホスト4と移行元ストレージ装置1との間に第一の物理ポート経由で確立されたTCPコネクションが削除されたことになる。以降、第一のイニシエータは、第一のターゲットと移行先ストレージ装置3とのTCPコネクションを用いてiSCSI通信を行う。このTCPコネクションの切り替えの制御は、ホスト4のCPU404が、iSCSI処理プログラム411を実行することで行う(1812)。もし、バッファ領域421にディスクアクセス要求が退避されている場合、ホスト4は、そのディスクアクセスを、移行先ストレージ装置3とのTCPコネクションを用いて実行する。
一方移行元ストレージ装置1のCPU104は、iSCSIログアウト応答を送信した後、同期複製に用いた第三のターゲットとのiSCSIセッションを切断し、移行先ストレージ装置3から第三のターゲットを削除する。まず、移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110は、領域1106の内容及び領域1112の内容を含むiSCSIログアウト要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へNIF108経由で送信する(1813)。
上述したiSCSIログアウト要求を受信した移行先ストレージ装置3のiSCSI処理装置310は、ログアウト処理を行う(1814)。このログアウト処理では、iSCSI処理装置310が、受信したiSCSIログアウト要求から領域1106の内容及び領域1112の内容を取り出し、領域1106の内容に相当するイニシエータと領域1112の内容に相当するターゲット(すなわち、第三のターゲット)との間のiSCSIセッションに関する各種資源を解放する。
ログアウト処理が正しく完了すると、iSCSI処理装置310は、ログアウトが成功したことを表すiSCSIログアウト応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へNIF308経由で送信する(1815)。
iSCSIログアウト応答を受信した移行元ストレージ装置1のiSCSI処理装置110は、移行先ストレージ装置3とのTCPコネクションを切断する。その後、移行元ストレージ装置1のCPU104が移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、第三のターゲットを移行先ストレージ装置3から削除する。そのために、移行元ストレージ装置1のCPU104は、領域1112の内容を含むターゲット削除要求を組み立て、移行先ストレージ装置3へNIF108経由で送信する(1816)。
ターゲット削除要求を受信した移行先ストレージ装置3のCPU304は、移行先ストレージ装置制御プログラム312を実行し、ターゲット削除処理を行う(1817)。このターゲット削除処理では、移行先ストレージ装置3のCPU304が、まず、受信したターゲット削除要求から、領域1112の内容を取り出す。次に、移行先ストレージ装置3のCPU304は、エントリ3231(ターゲット)の内容が、領域1112の内容に合致するという条件で、ターゲットテーブル323を検索し、条件に合致したレコードを削除する。
そして移行先ストレージ装置3のCPU304は、エントリ3241(ターゲット)の内容が領域1112の内容に合致するという条件でLUテーブル324を検索し、条件に合致したレコードのエントリ3241(ターゲット)に「null」を登録する。
以上のターゲット削除処理が完了した後、移行先ストレージ装置3のCPU304は、ターゲットの削除が成功したことを表すターゲット削除応答を組み立て、移行元ストレージ装置1へNIF308経由で送信する(1818)。
ターゲット削除応答を受信すると、移行元ストレージ装置1のCPU104は、移行元ストレージ装置制御プログラム112を実行し、第一のターゲットを削除するターゲット削除処理を行う(1819)。このターゲット削除処理では、移行元ストレージ装置1のCPU104は、まず、エントリ1231(ターゲット)の内容が、領域1105の内容に合致するという条件で、ターゲットテーブル123を検索し、条件に合致したレコードを削除する。
そして移行元ストレージ装置1のCPU104は、エントリ1241(ターゲット)の内容が、領域1105の内容に合致するという条件で、LUテーブル124を検索し、条件に合致したレコードのエントリ1241(ターゲット)に「null」を登録する。
以上のターゲット削除処理が完了した後、移行元ストレージ装置1のCPU104は、ターゲットの移行が完了したことを表す移行開始応答を組み立て、管理端末2へ管理用NIF109経由で送信する(1820)。移行開始応答を受信すると、管理端末2のCPU204が、移行の完了を表す画面をディスプレイ205に表示する。
以降、システム管理者等は、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行する必要のある残りのターゲットについて、1601から1820までの操作を繰り返す。
以上で第一の実施形態を説明した。第一の実施形態によると、ホスト4が管理するイニシエータが、iSCSIセッションを切断することなく、そのイニシエータがiSCSI通信を行うターゲットを、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行できる。結果として、ホスト4上で動作するアプリケーションを停止させることなく、ストレージ装置の移行が可能となる。
次に、第二の実施形態について、第一の実施形態と相違する部分に限って説明する。第二の実施形態は、第一の実施形態の移行元ストレージ装置及び移行先ストレージ装置と、自身に格納されたデータを移行元ストレージ装置へ複製する第三のストレージ装置とがネットワークに接続されるシステムに関する。以下、第三のストレージ装置をマスタストレージ装置という。なお、本実施形態では、移行元ストレージ装置、移行先ストレージ装置及びマスタストレージ装置は、同一サイト内に設置されるものとする。
図19は、本実施形態のシステムの構成例を示した図である。本実施形態のシステムは、第一の実施形態に加え、マスタストレージ装置7がIP−SAN13及び管理ネットワーク15と、それぞれ通信線10及び通信線12で接続されている。なお、本実施形態では、マスタストレージ装置7、移行元ストレージ装置1及び移行先ストレージ装置3をあわせてストレージ装置という。マスタストレージ装置7は、ホスト4や移行元ストレージ装置1や移行先ストレージ装置3との間で、iSCSIプロトコルを用いてデータの送受信を行う。又、ネーム管理装置5は、マスタストレージ装置7のiSCSIネームの管理も行う。
図20は、マスタストレージ装置7の構成例を示した図である。マスタストレージ装置7は、1以上の記憶装置を有する記憶装置システムである。マスタストレージ装置7は、移行元ストレージ装置1と同様に、ディスク装置703、制御装置707及び通信線706を有する。さらに、制御装置707は、移行元ストレージ装置1の制御装置107と同様に、主メモリ701、通信線702、CPU704、IO IF705、NIF708、管理用NIF709及びiSCSI処理装置710を有する。NIF708及び管理用NIF709は、1以上の物理ポートを有する。
主メモリ701には、ディスク装置703から読み出されたデータ又はホスト4等から受信したデータを記憶するキャッシュ領域711、イニシエータのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号のネーム管理装置5への登録や登録解除、ネーム管理装置5への問い合わせの送信及びネーム管理装置5からの問い合わせ応答や更新通知の受信を行う際にCPU704で実行されるネーム操作プログラム715及びディスク装置703に格納されるデータを他のストレージ装置へ複製する際にCPU704で実行される複製プログラム716が格納される。
また、主メモリ701には、移行元ストレージ装置1の主メモリ101と同様に、ネーム管理装置テーブル721、ポートテーブル722、ターゲットテーブル723及びLUテーブル724が格納される。
移行元ストレージ装置1、移行先ストレージ装置3、管理端末2、ホスト4、端末6及びネーム管理装置5の構成は、第一の実施形態と同様である。
又、本実施形態における各種テーブルのデータ構造は、第一の実施形態と同様である。
次に、本実施形態におけるGUIについて説明する。本実施形態では、第一の実施形態におけるGUIに加え、ターゲット複製管理画面2100が管理端末2によって提供される。
図21は、システム管理者等が、ストレージ装置のターゲットに割り当てられたLUに格納されているデータを、他のストレージ装置へ複製する際に使用するターゲット複製管理画面2100の表示例を示す図である。ターゲット複製管理画面2100は、複製の対象とするターゲットを管理するストレージ装置の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン2102、ボタン2102を用いて選択された装置IDが表示される領域2101、複製の対象とするターゲットのiSCSI名が入力される領域2103、ストレージ装置が、複製を行う際に使用するイニシエータのiSCSI名が入力される領域2104、ストレージ装置が、複製を行う際に使用する物理ポートのポートIDが入力される領域2105、ボタン2102で選択された装置IDを持つストレージ装置に対して、領域2103から領域2105までに入力された情報に従って複製処理を開始するよう指示する際に使用されるボタン2128及び複製処理を取り消す際に使用されるボタン2129を有する。
以下、本実施形態における通信シーケンス及び動作手順について説明する。本実施形態では、マスタストレージ装置7が、自身に格納されたデータを移行元ストレージ装置1の第一のターゲットへ複製する。そして、移行元ストレージ装置1の第一のターゲットが、移行先ストレージ装置3へ移行され、その後、マスタストレージ装置7が、移行先ストレージ装置3に作成されたターゲット(第一のターゲットと同じiSCSI名を有する)へデータの複製を継続するものとする。
最初に、システム管理者等は、図12を用いて説明した通り、管理端末2に対して、テーブル初期化処理を指示し、その後、ネーム管理装置5の装置ID、IPアドレス及び管理用IPアドレスと、移行元ストレージ装置1の装置ID及び管理用IPアドレスとを管理端末2へ登録する。
次にシステム管理者等は、マスタストレージ装置7の装置ID及び管理用IPアドレスを管理端末2へ登録する。この登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、図12の1208から1211までと同様である。本実施形態では、マスタストレージ装置7の装置ID及び管理用IPアドレスを、それぞれ「STR03」及び「192.168.0.3」とする。また、マスタストレージ装置7は、二つの物理ポートを有しているものとする。それぞれの物理ポートを、第五及び第六の物理ポートと称する。この登録作業で、第五及び第六の物理ポートに対してそれぞれ「1」及び「2」というポートIDが割り当てられる。さらにマスタストレージ装置7は、二つのLUを有しているものとする。それぞれのLUを、第五及び第六のLUという。この登録作業で、第五及び第六のLUに対して、それぞれ「0」及び「1」というLUNが割り当てられる。
次にシステム管理者等は、図13を用いて説明した通り、ディスカバリドメインの情報をネーム管理装置5へ登録し、移行元ストレージ装置1の物理ポート及びターゲットに関する情報を移行元ストレージ装置1へ登録する。ただし、本実施形態では、システム管理者等は、ディスカバリドメイン「DD01」に、第一のターゲット「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」と、マスタストレージ装置7が移行元ストレージ装置1へのデータの複製に使用する第三のイニシエータとが属するように、ディスカバリドメインの登録作業を行う。本実施形態では、第三のイニシエータのiSCSI名は、「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−ini03」とする。
次にシステム管理者等は、ホスト4が管理する第一のイニシエータと、第一のイニシエータがiSCSI通信を行うターゲットであり、マスタストレージ装置7が管理する第四のターゲットとが属するディスカバリドメインの情報をネーム管理装置5へ登録する。この登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、図13の1301から1304までと同様である。本実施形態では、ここで登録されるディスカバリドメインのドメインIDは「DD02」、第四のターゲットのiSCSI名は「iqn.2004−06.com.hitachi:tar04」とする。
次に、システム管理者等は、マスタストレージ装置7のそれぞれ物理ポート及びターゲットに関する情報をマスタストレージ装置7へ登録する。この登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、図13の1305から1315までと同様である。本実施形態では、この登録作業で、第五及び第六の物理ポートに対して、それぞれ「172.16.0.5」及び「172.168.0.6」というIPアドレスが割り当てられるものとする。また、この登録作業で、マスタストレージ装置7に第四のターゲットが登録され、第五の物理ポートと、第五のLUとがそれぞれ割り当てられるものとする。
次に、システム管理者等が、文字入力装置207及びポインティング装置206を用いて、ターゲット複製管理画面2100の表示を管理端末2へ指示する。指示された管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ターゲット複製管理画面表示処理を行う。このターゲット複製管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にターゲット複製管理画面2100を表示する。
また、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従って、ストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン2102が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには装置IDの重複がないようにする。この後、システム管理者等がターゲット複製管理画面2100のボタン2102でマスタストレージ装置7の装置IDを選択し、領域2103、領域2104及び領域2105に、それぞれ複製の対象とするターゲットのiSCSI名、マスタストレージ装置7が使用するイニシエータのiSCSI名及び前記イニシエータが使用する物理ポートのポートIDを入力する。
本実施形態では、ボタン2102でマスタストレージ装置7の装置IDである「STR03」が選択され、領域2103、領域2104及び領域2105には、それぞれ第四のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar04」、第三のイニシエータのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:replication−ini03」及び第六の物理ポートのポートIDである「2」が入力される。
その後システム管理者等がボタン2128を指定すると、管理端末2のCPU204は、ボタン2102で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容を取り出す。そして、管理端末2のCPU204は、領域2103から領域2105までの内容を含むターゲット複製開始要求を組み立て、ボタン2102で選択された装置IDを持つマスタストレージ装置7へ管理用NIF209経由で送信する。このターゲット複製開始要求のあて先IPアドレスは、前記エントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
ターゲット複製開始要求を受信すると、マスタストレージ装置7のCPU704は、複製プログラム716を実行し、ターゲットの複製を開始する。まず、マスタストレージ装置7のCPU704は、受信したターゲット複製開始要求から、領域2103から領域2105までの内容を取り出す。次に、マスタストレージ装置7のCPU704は、エントリ7221(ポートID)の内容が領域2105の内容と一致するという条件で、ポートテーブル722を検索し、条件に合致したレコードのエントリ7222(IPアドレス)の内容を取り出す。
次にマスタストレージ装置7のCPU704は、領域2104の内容及びエントリ7222(IPアドレス)の内容に従って、第三のイニシエータのiSCSI名と第三のイニシエータが使用する物理ポートのIPアドレスとをネーム管理装置5へ登録する。このネーム登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換えられる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点を除き、図14の1401から1403までと同様である。
次にマスタストレージ装置7のCPU704は、ネーム管理装置5へ更新通知登録を要求する。この更新通知登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換わる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点を除き、図14の1404から1406までと同様である。
次にマスタストレージ装置7のCPU704は、ネーム管理装置5へディスカバリ要求を送信する。このディスカバリ作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換わる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点を除き、図14の1407から1409までと同様である。本実施形態では、マスタストレージ装置7が受信するディスカバリ応答に含まれるターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号は、第三のイニシエータと同じディスカバリドメインに属する第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」、第一の物理ポートに割り当てられたIPアドレスである「172.16.0.1」及びウェルノウンポートである「3260」である。
そしてマスタストレージ装置7のCPU704は、第三のイニシエータを用いて第一のターゲットへログインし、第三のイニシエータと第一のターゲットとの間にiSCSIセッションを確立する。このログイン作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換えられる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点を除き、図14の1410から1412までと同様である。
以降、マスタストレージ装置7のCPU704は、領域2103の内容をiSCSI名として持つターゲット(すなわち、第四のターゲット)に割り当てられたLU(すなわち、第五のLU)のデータがホスト4に更新されるたびに、確立されたiSCSIセッションを用いて、同様のデータ更新を、第一のターゲットに割り当てられたLU(すなわち、第一のLU)に対して行う。これにより、第五のLUのデータと第一のLUのデータとの間の整合性を維持する。
次に、システム管理者等は、ホスト4に、アクセス先のターゲットとして、第四のターゲットに関する設定を行った後、第一のイニシエータを起動する。このイニシエータ起動時の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がマスタストレージ装置7に置き換えられる点、第一のターゲットが第四のターゲットに置き換えられる点、第一のLUが第五のLUに置き換えられる点及び1404から1406までの処理が行われない点以外、図14と同様である。
次にシステム管理者等は、図15を用いて説明した通り、移行先ストレージ装置3の装置ID及び管理用IPアドレスを管理端末2へ登録した後、移行先ストレージ装置3が有する物理ポートに関する情報を移行先ストレージ装置3へ登録する。
そしてシステム管理者等は、図16を用いて説明した通り、移行元ストレージ装置1へ、第一のターゲットの移行処理を開始するように指示する。以降の移行処理に関わる通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換えられる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点以外、図16から図18までと同様である。
以上で第二の実施形態を説明した。第二の実施形態によると、マスタストレージ装置7が複製に使用するイニシエータが、iSCSIセッションを切断することなくそのイニシエータがiSCSI通信を行うターゲットを、移行元ストレージ装置1から移行先ストレージ装置3へ移行できる。結果として、原本データが格納されるマスタストレージ装置7の設定を変更せずに、複製データが格納されるストレージ装置の移行が可能となる。
次に、第三の実施形態について、第二の実施形態と相違する部分に限って説明する。第三の実施形態は、第二の実施形態と同様の構成を有する。ただし、第二の実施形態では全てのストレージ装置が同一サイト内に設置されるものとしたが、本実施形態では移行元ストレージ装置及び移行先ストレージ装置と、マスタストレージ装置とが、別のサイトに設置されるものとする。
図22は、本実施形態のシステムの構成例を示した図である。本実施形態のシステムは、マスタストレージ装置7が設置されるマスタサイト20、移行元ストレージ装置1及び移行先ストレージ装置3が設置されるリモートサイト21、マスタサイト20とリモートサイト21との間を接続するネットワークであるWAN(Wide Area Network)16を有する。本実施形態では、マスタサイト20とリモートサイト21とは、ある程度距離が離れているものとする(例えば、東京と大阪)。
さらに、マスタサイト20には、マスタストレージ装置7、管理端末2、ホスト4、端末6、ネーム管理装置5、IP−SAN13、LAN14及び管理ネットワーク15が設置される。
一方、リモートサイト21には、移行元ストレージ装置1、移行先ストレージ装置3、ホスト4、端末6、移行元ストレージ装置1及び移行先ストレージ装置3のiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号の組み合わせを一元管理し、それらの組み合わせの一部をネーム管理装置5へWAN16を介して複製するリモートネーム管理装置8、IP−SAN13、LAN14及び管理ネットワーク15が設置される。
リモートネーム管理装置8とIP−SAN13及び管理ネットワーク15とは、それぞれ通信線10及び通信線12で接続されている。
図23は、リモートネーム管理装置8の構成例を示した図である。リモートネーム管理装置8は、主メモリ801、通信線802、ディスク装置803、CPU804、ディスプレイ805、ポインティング装置806、文字入力装置807、NIF808及びNIF809を有する計算機である。主メモリ801には、ドメイン管理プログラム811、iSCSIノード管理プログラム812、更新通知プログラム813及びiSCSIノードテーブル821の内容の一部をネーム管理装置5へ複製する際にCPU804で実行されるドメイン複製プログラム814が格納される。また、主メモリ801には、iSCSIノードテーブル821、ドメインテーブル822及び複製対象となるディスカバリドメインのドメインIDと複製先のネーム管理装置のIPアドレスとの対応関係を記憶するドメイン複製テーブル823が格納される。
マスタストレージ装置7、移行元ストレージ装置1、移行先ストレージ装置3、管理端末2、ホスト4、端末6及びネーム管理装置5の構成は、第二の実施形態と同様である。
次に、リモートネーム管理装置8のディスク装置803に格納される複製テーブル823のデータ構造について説明する。ドメイン複製テーブル823は配列構造を成し、1つ以上のレコードを格納可能である。ただし、データ構造が配列構造に限定されることはない。なお、iSCSIノードテーブル821及びドメインテーブル822のデータ構造は、第二の実施形態のiSCSIノードテーブル521及びドメインテーブル522と同様である。
図24は、ドメイン複製テーブル823のデータ構造例を示す図である。ドメイン複製テーブル823は、複製対象となるディスカバリドメイン数分のレコードを有する。ドメイン複製テーブル823の各レコードは、複製対象となるディスカバリドメインのドメインIDが登録されるエントリ8231及び複製先のネーム管理装置5のIPアドレスが登録されるエントリ8232を有する。
マスタストレージ装置7、移行元ストレージ装置1及び移行先ストレージ装置3の主メモリに格納される各種テーブルのデータ構造と、管理端末2のディスク装置203に格納される各種テーブルのデータ構造とは、第二の実施形態と同様である。
次に、本実施形態におけるGUIについて説明する。本実施形態では、第一及び第二の実施形態で説明したGUIに加え、ドメイン複製管理画面2400を管理端末2が提供する。
図25は、システム管理者等が、複製対象のディスカバリドメインをリモートネーム管理装置8へ登録及び削除するために使用するドメイン複製管理画面2400の表示例を示す図である。ドメイン複製管理画面2500は、複製対象のディスカバリドメインのドメインIDが入力される領域2501、複製先のネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスが入力される領域2502、領域2501及び領域2502に入力された情報をリモートネーム管理装置8に登録する際に使用されるボタン2510、領域2512を用いて指定された複製の情報をリモートネーム管理装置8から削除する際に使用されるボタン2511、リモートネーム管理装置8へ既に登録されている全ての複製の情報が表示される領域2512、領域2512の表示範囲をそれぞれ一行ずつ上及び下に移動させる際に使用されるボタン2513及びボタン2515、領域2512の表示範囲を任意の位置に移動させる際に使用されるボタン2514及びドメイン複製管理画面2500を閉じる際に使用されるボタン2519を有する。
以下、本実施形態における通信シーケンス及び動作手順について説明する。本実施形態では、マスタストレージ装置7が、自身に格納されたデータを、WAN16を介して、移行元ストレージ装置1の第一のターゲットへ複製する。そして、移行元ストレージ装置1の第一のターゲットが、移行先ストレージ装置3へ移行され、マスタストレージ装置7は、移行先ストレージ装置3へデータの複製を続けるるものとする。
最初にシステム管理者等は、第二の実施形態と同様に、管理端末2に対して、テーブル初期化処理を指示し、その後、リモートネーム管理装置8の装置ID、IPアドレス及び管理用IPアドレスと、移行元ストレージ装置1の装置ID及び管理用IPアドレスとを管理端末2へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、ネーム管理装置5がリモートネーム管理装置8に置き換えられる点及び初期化要求に含まれるネーム管理装置5の管理用IPアドレスが、リモートネーム管理装置8の管理用IPアドレスに置き換えられる点以外、図12の1201から1211までと同様である。
次にシステム管理者等は、ネーム管理装置5の装置ID、IPアドレス及び管理用IPアドレスと、マスタストレージ装置7の装置ID及び管理用IPアドレスとを管理端末2へ登録する。この登録作業が行われる際の通信シーケンス及び動作手順は、図12の1202から1211までと同様である。
次にシステム管理者等が、文字入力装置207及びポインティング装置206を用いて、ドメイン複製管理画面2500の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204はGUI制御プログラム211を実行し、ドメイン複製管理画面表示処理を行う。このターゲット複製管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にターゲット複製管理画面2100を表示する。この後、システム管理者等が、ドメイン複製管理画面2500の領域2501及び領域2502に、それぞれ複製の対象とするディスカバリドメインのドメインID及び複製先とするネーム管理装置5のIPアドレスを入力する。
本実施形態では、領域2501及び領域2502に、それぞれ第三のイニシエータと第一のターゲットとが属する「DD01」及びネーム管理装置5のNIF508に割り当てられたIPアドレスである「172.16.0.253」が入力されるものとする。
その後、システム管理者等がボタン2510を指定すると、管理端末2のCPU204は、領域2501の内容及び領域2502の内容を含むドメイン複製開始要求を組み立て、リモートネーム管理装置8へ管理用NIF209経由で送信する。複製開始要求を受信すると、リモートネーム管理装置8のCPU804がドメイン複製プログラム814を実行し、以下の処理を行う。
まず、リモートネーム管理装置8のCPU804は、受信したドメイン複製開始要求から、領域2501の内容及び領域2502の内容を取り出す。そして、リモートネーム管理装置8のCPU804は、ドメイン複製テーブル823にレコードを追加する。ここで追加されるレコードのエントリ8231(ドメインID)及びエントリ8232(IPアドレス)には、それぞれ領域2501の内容及び領域2502の内容が登録される。
以上のレコード追加作業が完了後、リモートネーム管理装置8のCPU804は、ドメイン複製の開始が成功したことを表すドメイン複製開始応答を組み立て、管理用NIF809経由で管理端末2へ送信する。以降、複製の対象となるディスカバリドメインへのiSCSIノードの追加や削除、当該ディスカバリドメインに属すiSCSIノードの情報の変更などのデータ更新が発生するたびに、リモートネーム管理装置8のCPU804は、ドメイン複製プログラム814を実行し、複製先のネーム管理装置5へ同様のデータ更新を行い、リモートネーム管理装置8が管理するデータと、ネーム管理装置5が管理するデータとの整合性を維持する。
管理端末2が前記ドメイン複製開始応答を受信すると、システム管理者等は、第二の実施形態と同様に、第三のイニシエータと第一のターゲットとが属するディスカバリドメイン「DD01」の情報をリモートネーム管理装置8へ登録し、移行元ストレージ装置1の物理ポート及びターゲットに関する情報を移行元ストレージ装置1へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、ネーム管理装置5がリモートネーム管理装置8に置き換えられる点及びリモートネーム管理装置8が、ドメイン更新処理やネーム登録処理を実行した後、同様のデータ更新をネーム管理装置5へ行う点以外、図13と同様である。
次にシステム管理者等は、第二の実施形態と同様に、第一のイニシエータと第四のターゲットとが属するディスカバリドメイン「DD02」の情報をネーム管理装置5へ登録し、マスタストレージ装置7の物理ポート及びターゲットに関する情報をマスタストレージ装置7へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がマスタストレージ装置7に置き換えられる点以外、図13と同様である。なお、第一のイニシエータ及び第四のターゲットは、リモートサイト21内のイニシエータやターゲットと、iSCSI通信を行わないため、ディスカバリドメイン「DD02」の情報は、リモートネーム管理装置8へ登録する必要はない。
次に、システム管理者等が、第二の実施形態と同様に、ターゲット複製管理画面2100を用いて、第四のターゲットから第一のターゲットへの複製の開始をマスタストレージ装置1へ指示する。この複製開始作業の通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換えられる点及び第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点を除き、図14の1401から1412までと同様である。
次に、システム管理者等は、第二の実施形態と同様に、マスタサイト20のホスト4で、第一のイニシエータを起動する。このイニシエータ起動時の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がマスタストレージ装置7に置き換えられる点、第一のターゲットが第四のターゲットに置き換えられる点、第一のLUが第五のLUに置き換えられる点及び1404から1406までの処理が行われない点以外、図14と同様である。
次にシステム管理者等は、移行先ストレージ装置3の装置ID及び管理用IPアドレスを管理端末2へ登録した後、移行先ストレージ装置3が有する物理ポートに関する情報を移行先ストレージ装置3へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、初期化要求に含まれるネーム管理装置5の管理用IPアドレスが、リモートネーム管理装置8の管理用IPアドレスに置き換えられる点以外、図15と同様である。
そしてシステム管理者等は、図16を用いて説明した通り、移行元ストレージ装置1へ、第一のターゲットの移行処理を開始するように指示する。以降の移行処理に関わる通信シーケンス及び動作手順は、ホスト4がマスタストレージ装置7に置き換えられる点、第一のイニシエータが第三のイニシエータに置き換えられる点、移行先ストレージ装置3がネーム登録要求とネーム登録応答とを送受信する相手がリモートネーム管理装置8である点、移行元ストレージ装置1がネーム登録解除要求とネーム登録解除応答とを送受信する相手がリモートネーム管理装置8である点及びリモートネーム管理装置8が、ネーム登録処理やネーム登録解除処理を実行した後、同様のデータ更新をネーム管理装置5へ行い、それを受けたネーム管理装置5が更新通知先検索処理と更新通知の送信とを行う点以外、図16から図18までと同様である。
以上で第三の実施形態を説明した。第三の実施形態によると、原本データが格納されるマスタストレージ装置7と、複製データが格納されるストレージ装置とが、別のサイトに設置されている場合でも、マスタストレージ装置7の設定を変更せずに、複製データが格納されるストレージ装置の移行が可能となる。
次に第四の実施形態について、第一の実施形態と相違する部分に限って説明する。第四の実施形態は、ホスト4がアクセス対象とするLUを、ストレージ装置が管理するLUのうちの第一のLUから第二のLUへ変更する。
図26は本実施形態のシステムの構成例を示した図である。本実施形態のシステムは、第一の実施形態の構成から移行先ストレージ装置3を省いた構成となっている。
図27は、ストレージ装置9の構成例を示した図である。ストレージ装置9は、移行元ストレージ装置1と同様の構成を有する記憶装置システムである。ストレージ装置9は、移行元ストレージ装置1と同様に、ディスク装置903、制御装置907及び通信線906を有する。さらに、制御装置907は、移行元ストレージ装置1の制御装置107と同様に、主メモリ901、通信線902、CPU904、IO IF905、NIF908、管理用NIF909及びiSCSI処理装置910を有する。NIF908及び管理用NIF909は、1以上の物理ポートを有する。
主メモリ901には、ディスク装置903から読み出されたデータ又はホスト4等から受信したデータを記憶するキャッシュ領域911、ホスト4がアクセスするLUの変更を行う際にCPU904で実行される移行制御プログラム912、ターゲットのiSCSI名、IPアドレス及びTCPポート番号をネーム管理装置5へ登録したり登録解除する際にCPU904で実行されるネーム更新プログラム913及びLUに格納されるデータを他のLUへ複製する際にCPU904で実行されるLU複製プログラム914が格納される。
また、主メモリ901には、移行元ストレージ装置1の主メモリ101と同様に、ネーム管理装置テーブル921、ポートテーブル922、ターゲットテーブル923及びLUテーブル924が格納される。
管理端末2、ホスト4、端末6及びネーム管理装置5の構成は、第一の実施形態と同様である。
ストレージ装置9の主メモリ901に格納されるネーム管理装置テーブル921、ポートテーブル922、ターゲットテーブル923及びLUテーブル924のデータ構造は、それぞれ第一の実施形態のネーム管理装置テーブル121、ポートテーブル122、ターゲットテーブル123及びLUテーブル124と同様である。一方、管理端末2のディスク装置203に格納される各種テーブルのデータ構造は、第一の実施形態と同様である。
以下、本実施形態におけるGUIについて説明する。
図28(a)は、システム管理者等が、LUの複製の開始をストレージ装置9に指示するために使用するLU複製管理画面2800の表示例を示す図である。LU複製管理画面2800は、ストレージ装置の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン2802、ボタン2802を用いて選択された装置IDが表示される領域2801、原本データが格納されるLUのLUNが入力される領域2803、原本データの複製が格納されるLUのLUNが入力される領域2804、ボタン2802で選択された装置IDを持つストレージ装置9に対して、領域2803及び領域2804に入力された情報に従って複製処理を開始するよう指示する際に使用されるボタン2818及び複製開始処理を取り消す際に使用されるボタン2819を有する。
図28(b)は、システム管理者等が、ホスト4がアクセスするLUの変更をストレージ装置9に指示するために使用するストレージ内移行管理画面2820の表示例を示す図である。ストレージ内移行管理画面2820は、ストレージ装置の装置IDを一覧から選択する際に使用されるボタン2822、ボタン2822を用いて選択された装置IDが表示される領域2821、変更前のLUが割り当てられたターゲットのiSCSI名が入力される領域2823、ホスト4がアクセスするLUが変更された後、前記ターゲットに割り当てる物理ポートのポートIDが入力される領域2824、前記ターゲットが使用するTCPポート番号が入力される領域2825、変更後のLUのLUNが入力される領域2826、ボタン2822で選択された装置IDを持つストレージ装置9に対して、領域2823から領域2826までに入力された情報に従って複製処理を開始するよう指示する際に使用されるボタン2838及び複製開始処理を取り消す際に使用されるボタン2839を有する。本実施形態におけるその他のGUIは、第一の実施形態と同様である。
以下、本実施形態における通信シーケンス及び動作手順について説明する。本実施形態では、ストレージ装置9が、第一のLUに格納されたデータを第二のLUに複製する。この際、ストレージ装置9の第一のターゲットに割り当てられたLUを、第一のLUから第二のLUへ変更するものとする。なお、本実施形態では、ストレージ装置9の装置ID及び管理用IPアドレスは、第一の実施形態の移行元ストレージ装置1と同様に、それぞれ「STR01」及び「192.168.0.1」であり、第一及び第二の物理ポートと、第一及び第二のLUとを有し、第一の物理ポート及びLUが割り当てられた第一のターゲットを管理するものとする。
最初にシステム管理者等は、管理端末2に対して、テーブル初期化処理を指示し、その後、ネーム管理装置5の装置ID、IPアドレス及び管理用IPアドレスと、ストレージ装置9の装置ID及び管理用IPアドレスとを管理端末2へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がストレージ装置9に置き換えられる点以外、図12と同様である。
次にシステム管理者等は、第一のイニシエータと第一のターゲットとが属するディスカバリドメイン「DD01」の情報をネーム管理装置5へ登録し、ストレージ装置9の物理ポート及びターゲットに関する情報をストレージ装置9へ登録する。この登録作業の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がストレージ装置9に置き換えられる点及びシステム管理者等は、第二のターゲットに関する情報は登録しない点以外、図13と同様である。
次にシステム管理者等は、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、LU複製管理画面2800の表示を管理端末2へ指示する。指示を受けた管理端末2のCPU204は、GUI制御プログラム211を実行し、LU複製管理画面表示処理を行う。このLU複製管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にLU複製管理画面2800を表示する。また、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従って、ストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン2802が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには、装置IDの重複がないようにする。
この後システム管理者等は、LU複製管理画面2800のボタン2802でストレージ装置9の装置IDを選択し、領域2803及び領域2804に、それぞれ原本データが格納されるLUのLUN及び原本データの複製が格納されるLUのLUNを入力する。本実施形態では、ボタン2802でストレージ装置9の装置IDである「STR01」が選択され、領域2803及び領域2804には、それぞれ第一のLUのLUNである「0」及び第二のLUのLUNである「1」が入力される。
その後、システム管理者等がボタン2828を指定すると、管理端末2のCPU204は、ボタン2802で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容を取り出す。
そして管理端末2のCPU204は、領域2803の内容及び領域2804の内容を含むLU複製開始要求を組み立て、ボタン2802で選択された装置IDを持つストレージ装置9へ管理用NIF209経由で送信する。このLU複製開始要求のあて先IPアドレスは、前記エントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
LU複製開始要求を受信すると、ストレージ装置9のCPU904はLU複製プログラム914を実行し、LUの複製を開始する。まずストレージ装置9のCPU904は、受信したLU複製開始要求から領域2803の内容及び領域2804の内容を取り出す。そしてストレージ装置9のCPU904は、領域2803の内容をLUNとして持つLUに格納されているデータを、領域2804の内容をLUNとして持つLUに初期コピーする。初期コピーが完了した後、ストレージ装置9のCPU904は、領域2803の内容をLUNとして持つLUのデータが更新されるたびに、それと同様の更新を、領域2804の内容をLUNとして持つLUに対して実行する。これにより、二つのLUのデータの整合性が維持される。本実施形態では、第一のLUに格納されたデータが第二のLUに初期コピーされた後、第一のLUのデータと第二のLUのデータとの間の整合性が維持されることになる。
次にシステム管理者等は、ホスト4に、アクセス先のターゲットとして、第一のターゲットに関する設定を行った後、第一のイニシエータを起動する。このイニシエータ起動時の通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1がストレージ装置9に置き換えられる点以外、図14と同様である。
そしてシステム管理者等は、特定の時期に、ストレージ装置9へ、ホスト4がアクセスするLUを変更する処理を開始するように指示する。本実施形態では、システム管理者等が、ホスト4のアクセス先を、第一のLUから第二のLUへ変更するものとする。まずシステム管理者等は、ポインティング装置206や文字入力装置207を用いて、ストレージ内移行管理画面2820の表示を管理端末2へ指示する。
指示を受けた管理端末2のCPU204は、GUI制御プログラム211を実行し、ストレージ内移行管理画面表示処理を行う。このストレージ内移行管理画面表示処理では、まず、管理端末2のCPU204が、ディスプレイ205にストレージ内移行管理画面2820を表示する。また、管理端末2のCPU204は、ストレージ装置テーブル221の全てのレコードのエントリ2211(装置ID)を読み出し、その結果に従って、ストレージ装置の装置IDのリストを作成し、システム管理者等によりボタン2822が指定された時に、ストレージ装置の装置IDの一覧を表示可能にする。このストレージ装置の装置IDのリストには装置IDの重複がないようにする。
この後システム管理者等が、ストレージ内移行管理画面2820のボタン2822でストレージ装置9の装置IDを選択し、領域2823から領域2826までに、変更前のLUが割り当てられているターゲットのiSCSI名、LUの変更後にターゲットに割り当てる物理ポートのポートID、LUの変更後にターゲットが使用するTCPポート番号及び変更後のLUのLUNを入力する。本実施形態では、ボタン2822でストレージ装置9の装置IDである「STR01」が選択され、領域2823、領域2824、領域2825及び領域2826には、それぞれ第一のターゲットのiSCSI名である「iqn.2004−06.com.hitachi:tar01」、第二の物理ポートのポートIDである「2」、ウェルノウンポートである「3260」及び第二のLUのLUNである「1」が入力される。
その後システム管理者等がボタン2838を指定すると、管理端末2のCPU204は、ボタン2822で選択された装置IDがエントリ2211(装置ID)の内容と一致するという条件でストレージ装置テーブル221を検索し、条件に合致したレコードのエントリ2212(管理用IPアドレス)の内容を取り出す。そして管理端末2のCPU204は、領域2823から領域2826までの内容を含む移行開始要求を組み立て、ボタン2822で選択された装置IDを持つストレージ装置9へ管理用NIF209経由で送信する。この移行開始要求のあて先IPアドレスは、エントリ2212(管理用IPアドレス)の内容とする。
以降の移行処理に関わる通信シーケンス及び動作手順は、移行元ストレージ装置1と移行先ストレージ装置3とがストレージ装置9に置き換えられる点、領域1105、領域1115、領域1116及び領域1117の内容が、それぞれ領域2823、領域2824、領域2825及び領域2826の内容に置き換えられる点、移行元ストレージ装置制御プログラム112と移行先ストレージ装置制御プログラム312とが移行制御プログラム912に置き換えられる点、移行元ストレージ装置1と移行先ストレージ装置3との間の通信処理が不要である点、図16の1606から1611までの処理が不要である点、第三の物理ポートが第二の物理ポートに置き換えられる点及び第三のLUが第二のLUに置き換えられる点以外、図16から図18までと同様である。
なお、本実施形態では、ホスト4がアクセスするLUの変更に伴い、第一のターゲットが使用する物理ポートが変更される場合を説明したが、第一のターゲットが使用する物理ポートを変更せずに、ホスト4がアクセスするLUを変更することも可能である。この場合、システム管理者等が、ストレージ内移行管理画面2820の領域2824及び領域2825に、それぞれ第一のターゲットが使用している物理ポートのポートID及び第一のターゲットが使用しているTCPポート番号以外のTCPポート番号を入力する。例えば、システム管理者等が、領域2824及び領域2825に、それぞれ第一の物理ポートのポートIDである「1」及びウェルノウンポート以外のTCPポート番号である「10000」を入力する。
以上で、第四の実施形態を説明した。第四の実施形態によると、ホスト4上で動作するアプリケーションを停止させることなく、ホスト4がアクセスするLUの変更が可能となる。
1…移行元ストレージ装置、2…管理端末、3…移行先ストレージ装置、4…ホスト、5…ネーム管理装置、6…端末、7…マスタストレージ装置、8…リモートネーム管理装置、9…ストレージ装置、10…通信線、11…通信線、12…通信線、13…IP−SAN、14…LAN、15…管理ネットワーク、16…WAN。