JP2006091336A - 光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents

光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの製造方法 Download PDF

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佐藤  文昭
Yoshiaki Terasawa
良明 寺沢
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Abstract

【課題】 曲げたときの光ファイバの歪みが小さい光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】 光ファイバケーブル1は、複数本の光ファイバ心線2と、一対の抗張力体3と、各光ファイバ心線2及び各抗張力体3を保持部4により一体化してなる集合体5と、外被7とを備えている。一対の抗張力体3は、複数本の光ファイバ心線2を挟むように配置されている。保持部4は、紫外線硬化樹脂からなっている。外被7は集合体5を覆うものであり、ポリエチレン等の樹脂により形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光情報通信分野などで使用される光ファイバケーブル及びその製造方法に関するものである。
従来、FTTH(Fiber To The Home)等の用途に適した光ファイバケーブルの一種として、例えば特許文献1に記載されているように、光ファイバテープ心線の外面と一対の抗張力体の外面とを外被で覆ったものが知られている。
特開2003−295011号公報
上述した光ファイバケーブルは、例えば、光ファイバテープ心線及び抗張力体を並列に配置した状態で、光ファイバテープ心線及び抗張力体をそれぞれ押出機に送り込み、押出機内においてこれらを外被で一括被覆することにより製造される。しかしながら、抗張力体と並列に配置したはずの光ファイバテープ心線が、押出機内において外被からの圧力等により位置ずれすることがある。光ファイバテープ心線が抗張力体に対して位置ずれした状態で製造された光ファイバケーブルでは、曲げたときに、光ファイバテープ心線が光ファイバケーブルの曲げ中心(一対の抗張力体の中心を結んだ線)からずれてしまう。そのため、光ファイバテープ心線に大きな歪みが生じ、光ファイバテープ心線の断線やロス増が発生してしまう可能性がある。
そこで、本発明の目的は、曲げたときの光ファイバ心線の歪みが小さい光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの製造方法を提供することとする。
本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバ心線と、光ファイバ心線を挟むように配置された一対の抗張力体と、光ファイバ心線及び抗張力体を保持部により一体化してなる集合体と、集合体を覆う外被とを備えることことを特徴とする。
このような光ファイバケーブルを製造する場合、まず光ファイバ心線を挟むように一対の抗張力体を配置した状態で、両者を保持部により一体化してなる集合体を形成する。そして、その集合体を外被形成用の押出機内に送り込み、集合体を覆う外被を形成して光ファイバケーブルを完成させる。このとき、光ファイバ心線及び抗張力体は保持部により一体化されているので、押出機内で光ファイバ心線が抗張力体に対して位置ずれすることはない。したがって、集合体を形成するときに、光ファイバ心線が抗張力体に対して適切な位置(例えば光ファイバケーブルの曲げ中心となるべき位置)にある状態で、保持部により抗張力体と一体化されれば、光ファイバケーブルが完成した後においても、その状態が維持される。よって、光ファイバケーブルを曲げたときの光ファイバ心線の歪みを小さくすることができる。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、保持部は、外被とは異なる樹脂で形成されていることが好ましい。このような光ファイバケーブルを製造する場合には、例えば、光ファイバ心線及び抗張力体が挿通可能な程度の幅の狭い挿通孔を有する保持部形成用ダイスを用意する。そして、光ファイバ心線及び抗張力体を所定の状態に並べて保持部形成用ダイスの挿通孔に送り込むとともに、保持部形成用ダイス内に樹脂を供給することにより、光ファイバ心線が抗張力体に対して適切な位置で樹脂製の保持部により一体化された集合体を容易に形成することができる。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバ心線の長手方向に延びるように配置された状態で、外被に覆われた支持線を更に備えることも好ましい。このような構成とすれば、この光ファイバケーブルを、例えば架空ケーブルから引き落とされる光ファイバドロップケーブルとして用いることができる。
また、本発明は、光ファイバ心線と、光ファイバ心線を挟むように配置された一対の抗張力体と、光ファイバ心線及び抗張力体を覆う外被とを備える光ファイバケーブルの製造方法であって、光ファイバ心線及び抗張力体を保持部により一体化してなる集合体を作る工程と、集合体を外被で覆う工程とを含むことを特徴とする。
このような製造方法によれば、例えば外被形成用の押出機には、光ファイバ心線及び抗張力体それぞれの単体ではなく、光ファイバ心線と抗張力体を保持部により一体化してなる集合体が送り込まれることになる。このため、押出機内において、光ファイバ心線が例えば外被に押されることで抗張力体に対して位置ずれすることがなくなる。したがって、集合体を形成するときに、光ファイバ心線が抗張力体に対して適切な位置(例えば光ファイバケーブルの曲げ中心となるべき位置)にある状態で、保持部により抗張力体と一体化されれば、光ファイバケーブルが完成した後においても、その状態が維持される。よって、光ファイバケーブルを曲げたときの光ファイバ心線の歪みを小さくすることができる。
本発明によれば、光ファイバ心線と抗張力体とを保持部により一体化してなる集合体を外被で覆うので、光ファイバケーブルを曲げたときの光ファイバ心線の歪みを小さくすることができる。これにより、光ファイバ心線の破断寿命を十分に長くすることが可能となる。
以下、本発明に係る光ファイバケーブルの好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、光ファイバケーブル1は、複数本の光ファイバ心線2と、一対の抗張力体3と、これらの光ファイバ心線2及び抗張力体3の全てを保持部4により一体化してなる集合体5と、外被7とを備えている。図1に示すような光ファイバケーブル1は、例えば光成端箱から屋内に引き込まれる光ファイバインドアケーブルとして用いられる。
光ファイバ心線2は、コア及びクラッドからなる裸ファイバを一次被覆で覆ったものである。本実施形態の光ファイバケーブル1では、4本の光ファイバ心線2が並列に配置されている。
一対の抗張力体3は、光ファイバ心線2を挟むように、光ファイバ心線2の両側に配置されている。抗張力体3は、例えば繊維強化プラスチック(FRP)で形成されている。
保持部4は、例えば紫外線硬化樹脂からなっている。保持部4は、4本の光ファイバ心線2と一対の抗張力体3とを一列に配置した状態で、各光ファイバ心線2及び各抗張力体3を一括して覆っている。
このように光ファイバ心線2及び抗張力体3を保持部4により一体化してなる集合体5は、外被7により被覆されている。外被7は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂で形成されている。外被7の外面には、外被7を引き裂く際の始点となるノッチ9が設けられている。
このような光ファイバケーブル1は、図2及び図3に示すような光ファイバケーブル製造装置20を用いて、以下のようにして製造される。
まず、第1工程において、4本の光ファイバ心線2及び一対の抗張力体3を保持部4により一体化してなる集合体5を作る。より具体的には、4本の光ファイバ心線2をボビン21からそれぞれ繰り出すとともに、一対の抗張力体3をボビン22からそれぞれ繰り出す。そして、4本の光ファイバ心線2を一対の抗張力体3で挟むように配置した状態で、両者を紫外線塗布装置23に供給する。
紫外線塗布装置23は、保持部4を形成するための紫外線硬化樹脂を、各光ファイバ心線2及び抗張力体3の全体を覆うように塗布するものである。紫外線塗布装置23は、図4に示すように、挿通孔24cをもったダイス24を有している。挿通孔24cは、図4に示すように、各光ファイバ心線2を通すためのファイバ収容部24aと、このファイバ収容部24aの両側に設けられ、抗張力体3を通すための抗張力体収容部24bとを有している。ファイバ収容部24aの厚さtは、光ファイバ心線2を一列に配列できる程度に薄くなっている。このようなダイス24内に光ファイバ心線2及び抗張力体3が供給されると、保持部4となる紫外線硬化樹脂が光ファイバ心線2及び一対の抗張力体3に対して塗布される。
紫外線塗布装置23から出た光ファイバ心線2及び抗張力体3は、紫外線照射装置25に送られる。紫外線照射装置25内では、充填された紫外線硬化樹脂に対して紫外線が照射される。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化して、光ファイバ心線2及び抗張力体3を保持部4で一体化してなる中間体である集合体5が作られる。集合体5は、巻取機26によりいったん巻き取られる。
続く第2工程では、集合体5を外被7で覆う。より具体的には、巻取機26からローラ27を介して送り出された集合体5を押出機28に供給するとともに、押出機28内にポリエチレン等の樹脂を入れる。すると、集合体5の周囲を外被7で被覆した光ファイバケーブル1が得られる。
図5は、光ファイバ心線及び抗張力体を直接外被で覆ってなる従来一般の光ファイバケーブルを示す図である。図5に示すように、この光ファイバケーブル50は、複数本の光ファイバ心線51を紫外線硬化樹脂で一括被覆してなる1枚の光ファイバテープ心線52を有している。
このような光ファイバケーブル50は、光ファイバテープ心線52及び各抗張力体53を個別に押出機28に供給して作られるため、光ファイバテープ心線52の厚み方向の中心が一対の抗張力体53の中心を結んだ直線に対して偏心する(ずれる)ことがある。一対の抗張力体53の中心を結んだ直線は、光ファイバケーブル50に曲げを与えた時の曲げ中心となる。このため、光ファイバケーブル50を曲げると、光ファイバテープ心線52の厚み方向の中心位置が曲げ中心Aからずれる。例えば、光ファイバケーブル50の最小の曲げ半径r1が15mmであって、曲げ中心Aに対する光ファイバテープ心線52の偏差r2が0.5mm以上である場合には、光ファイバテープ心線52の歪みは3.3%以上となる。光ファイバテープ心線52の歪みが3.3%を超えると、光ファイバテープ心線52の破断寿命が短くなったり、光ファイバ心線51のロス増が生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態の光ファイバケーブル1は、複数本の光ファイバ心線2と一対の抗張力体3とを保持部4によって一体化してなる集合体5を形成し、その集合体5を外被7で覆ったものである。保持部4の形成で用いられる紫外線塗布装置23のダイス24は、上述したように、4本の光ファイバ心線2及び一対の抗張力体3が入り、かつ、これらの周りに紫外線硬化樹脂が充填されるのに十分な大きさの挿通孔24cを有している。したがって、ダイス24内において、一対の抗張力体3を結ぶ直線に対する光ファイバ心線2の中心の位置ずれ量を、例えば0.5mm以下というように低く抑えることが可能となる。よって、紫外線照射装置25による紫外線の照射後には、各抗張力体3の中心を結ぶ線に対する光ファイバ心線2の軸の偏心が小さい、高精度な集合体5を得ることができる。
このように、結果として、光ファイバ心線2が抗張力体3に対してほぼ適正な位置にある光ファイバケーブル1が製造されることとなる。よって、光ファイバケーブル1を曲げたときの光ファイバ心線2の歪みを小さくすることができる。これにより、光ファイバ心線2の断線やロス増の発生を防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、複数本の光ファイバ心線2を一列に配置する構成としたが、2列(2段)以上に配置してもよい。この場合には、複数の光ファイバ心線2からなる光ファイバ心線群の中心が各抗張力体3の中心を結ぶ線に対してほとんどずれないように、集合体5を形成する。
図6は、本発明にかかる光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル60は、並列に配置された複数本(例えば4本)の光ファイバ心線2を紫外線硬化樹脂で一括被覆してなる1枚の光ファイバテープ心線61と、一対の抗張力体3と、光ファイバテープ心線61及び各抗張力体3を保持部4により一体化してなる集合体62と、外被7とを備えている。一対の抗張力体3は、光ファイバテープ心線61を挟むように、光ファイバテープ心線61の両側に配置されている。なお、一対の抗張力体3間に複数枚の光ファイバテープ心線を積層状態に配置してもよい。
このような光ファイバケーブル60の製造工程は、先の実施形態における光ファイバケーブル1の製造工程とほぼ同様である。ただし、光ファイバケーブル60の製造時には、先の実施形態における4本の光ファイバ心線2の代わりに、ボビン(図示せず)から繰り出された1枚の光ファイバテープ心線61を一対の抗張力体3で挟むように配置した状態で、光ファイバテープ心線61及び各抗張力体3を紫外線塗布装置23のダイス24に入れる。これにより、光ファイバテープ心線61と各抗張力体3とを保持部4で一体化してなる中間体としての集合体62が作られる。その後の工程は先の実施形態と同様であり、集合体62の周囲を外被7で被覆した光ファイバケーブル60を得ることができる。
このような本実施形態の光ファイバケーブル60もまた、光ファイバテープ心線61と抗張力体3とを保持部4によって一体化してなる集合体62を形成し、その集合体62を外被7で覆ったものである。したがって、上述した実施形態と同様に、光ファイバテープ心線61が抗張力体3の位置に対して適性な位置に配置された光ファイバケーブル60を得ることができる。よって、光ファイバケーブル60を曲げたときの光ファイバテープ心線61の歪みを小さくすることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態の光ファイバケーブルは、インドアケーブルであるが、本発明は、例えば架空ケーブルから引き落とされる光ファイバドロップケーブルにも適用可能である。そのドロップケーブルの一例を図7に示す。図7に示すように、光ファイバケーブル70は、上記の光ファイバケーブル60と同じ構造のケーブル本体部71と、ケーブル支持線部72とを備えている。ケーブル支持線部72は、例えば単線構成の鋼線等からなる支持線73と、この支持線73を覆う外被75とを有し、外被75はケーブル本体部71の外被7と首部74を介して連結されている。
また、上記実施形態では、保持部4が光ファイバ心線2又は光ファイバテープ心線61と抗張力体3とを全体的に覆うように一体化させる構成となっているが、これらを一体化させるように保持する保持部の構成としては、特にこれには限定されず、例えば光ファイバ心線2又は光ファイバテープ心線61と抗張力体3とをつなぐように一体化させる構成であってもよい。
また、上記実施形態の光ファイバケーブルは、複数の光ファイバ心線を有する構成としたが、本発明は、光ファイバ心線の本数が1本であるものにも適用可能である。
本発明にかかる光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。 図1に示す光ファイバケーブルの製造装置を示す概略構成図である。 図1に示す光ファイバケーブルの製造装置の一部を示す概略平面図である。 図2及び図3に示す、紫外線塗布装置のダイスの断面図である。 光ファイバ心線及び抗張力体を直接外被で覆ってなる従来一般の光ファイバケーブルを示す図である。 本発明にかかる光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。 本発明にかかる光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1,50,60,70…光ファイバケーブル、2,51…光ファイバ心線、3,53…抗張力体、4…保持部、5,62…集合体、7,75…外被、9…ノッチ、20…光ファイバケーブル製造装置、23…紫外線塗布装置、25…紫外線照射装置、52,61…光ファイバテープ心線、71…ケーブル本体部、73…支持線。

Claims (4)

  1. 光ファイバ心線と、
    前記光ファイバ心線を挟むように配置された一対の抗張力体と、
    前記光ファイバ心線及び前記抗張力体を保持部により一体化してなる集合体と、
    前記集合体を覆う外被と
    を備えることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記保持部は、前記外被とは異なる樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記光ファイバ心線の長手方向に延びるように配置された状態で、前記外被に覆われた支持線を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバケーブル。
  4. 光ファイバ心線と、前記光ファイバ心線を挟むように配置された一対の抗張力体と、前記光ファイバ心線及び前記抗張力体を覆う外被とを備える光ファイバケーブルの製造方法であって、
    前記光ファイバ心線及び前記抗張力体を保持部により一体化してなる集合体を作る工程と、
    前記集合体を前記外被で覆う工程と
    を含むことを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
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