JP2006088640A - 複合型光学素子の製造方法および複合型光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】光エネルギー硬化型樹脂による複合型光学樹脂の成形方法において、離型時の格子欠け、樹脂剥離、変形等の不良を防止する。
【解決手段】離型時、樹脂の型からの剥離速度を制御する。樹脂の厚み方向に垂直な方向の樹脂の型からの離反速度を100mm/秒以下にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は非球面を有するレンズや表面に微細な形状(凹凸)を有する素子、例えば回折格子やフレネルレンズ、光ディスク基板などの作製方法に係る複合型光学素子の製造方法および複合型光学素子に関するものである。
光学素子の製造方法にはガラスの研削、研摩や型を用いた精密成形、熱可塑性樹脂の射出成形やプレス成形等があり、機能やコスト、要求精度等により使い分けられている。例えば、カメラ等に使用される結像系のレンズには球面レンズとしては温度、湿度の環境変動に関して性能劣化が少なく、経済的にも有利なガラスの研削、研摩により製造され、非球面レンズに関しては、型を用いたガラスの精密成形により製造される。カメラでもファインダーに使用されるレンズは優れた結像性能を要求されない為、コスト面から樹脂の射出成形により製造される。
また、径が30mm以上の非球面レンズや表面に微細な凹凸形状を有する光学素子では、ガラス基材の上に光エネルギー硬化型樹脂の薄層を成形し、硬化させることにより所要の表面形状を形成する方法が用いられる。大きな非球面レンズはガラスの精密成形では形状精度が悪くなり、精度を確保しようとすると成形時間が長くなりコスト高になる。微細な凹凸形状を有する光学素子もガラスでは離型時に凹凸部が破壊し製造できず、樹脂による製造が必須となるが素子全体が樹脂では、環境変動に対する性能劣化が大きく樹脂部を薄層にする上記の方法によりその影響を小さくする。
この光エネルギー硬化型樹脂の成形における離型方法としては例えば、特許文献1の突き出しによる離型、特許文献2の加熱、冷却による熱応力を利用した離型、特許文献3の振動による離型等がある。
特開昭63−131352号公報 特開平01−152015号公報 特開昭62−117154号公報
光エネルギー硬化型樹脂の成形において、離型に支障をきたすと樹脂が基材から剥離してしまったり、樹脂の表面形状が変化したり、表面に微細な凹凸を有する素子などではその凹凸部が破壊したりする。また、形状精度への悪影響だけでなく離型性は生産タクト(成形時間)や型の耐久の点からコストにも大きく影響する。こうした離型方法の改善が上記の提案であるが、樹脂と型の密着性が大きい場合はこれらの方法では樹脂の基材からの剥離や微細な凹凸を有する素子の凹凸部の破壊を防ぐことは出来ない。
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、離型時の格子欠け、樹脂剥離、変形等の不良を防止する複合型光学素子の製造方法および複合型光学素子を提供することを目的とする。
本発明の第一及び第二は、図8(断面図)に示すように離型時に樹脂の厚み方向に垂直な方向(方向A)の型と樹脂の離反速度を100mm/秒以下に制御し、離型時樹脂の破壊(微細凹凸形状のワレ、基材からの樹脂剥離)を防ぐ。図8で26は成形された樹脂、27は型、28はガラス基板である。樹脂に限らず物質は変形速度が大きくなるとより脆性的になり破壊しやすくなる。したがって、離型時の樹脂の変形速度が小さくなるように制御することにより、樹脂の変形能を大きくし、樹脂の強度を向上させる。
本発明の第三、第四は本発明の第一、第二の状態を実現する為のひとつの方法で、基材と型を樹脂厚み方向に荷重を加え相対的に離反させることにより、離型する場合にはその離反速度を制御し、0.01mm/秒以下にすることにより、型と樹脂の厚み方向に垂直な方向の離反速度を制御、100mm/秒以下にすることである。
本発明の第五は特に50μm以下の微細な凹凸形状を有する素子では、本発明の第一から第四は必須であり有効である。
本発明の第六は樹脂の剥離や変形、微細な凹凸形状の破壊がない高精度な光学素子である。
なお、さらに説明すれば、本発明は下記の構成によって前記課題を解決できた。
(1)光エネルギー硬化型樹脂を、型を用いて形状転写、光照射により硬化後、離型することにより基材上に所要の形状を有する光エネルギー硬化型樹脂を形成する光学素子の成形方法において、離型時に樹脂の厚み方向に垂直な方向の型と樹脂の離反速度を制御することを特徴とする複合型光学素子の製造方法。
本願第一から第六の発明によれば光エネルギー硬化型樹脂のガラス基材への接合成形において、樹脂の剥離や微細な凹凸部を有する素子の凹凸部の欠けや変形を防ぐことができる。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
図1は本発明に関わる微細形状を表面に有する光学素子の製造方法の一つの実施態様を示す概略図である。
図1において1は型に滴下された光エネルギー硬化型樹脂、2は成形に用いる型で表面には図2に拡大図で示すような深さ5μm、ピッチ50〜400μmで山頂点部を結ぶ面が平面である微細な凹凸が形成されている。3は樹脂の滴下に用いるディスペンサーで、4はガラス基材、5は型にプレス転写された樹脂、6は紫外線照射により硬化された樹脂で、7は成形された樹脂を型から剥離するためのエジェクターピンで、8はガラス基材の上に表面に微細形状を有する樹脂が接合された成形品である。型2の上にディスペンサーにより所定量の光エネルギー硬化型樹脂(以後、単に樹脂と呼ぶ)を滴下する。
[図1(a)]その上にガラス基材4をのせ不図示の装置で加圧し、型2の形状を樹脂に転写させ[図1(b)]、紫外線をガラス越しに樹脂に照射し、硬化させる[図1(c)]。その後、ガラス基材の周辺に不図示の装置によりエジェクターピン8を介して力を加えて樹脂を型から剥離させる[図1(d)]。この時エジェクターピンの移動速度を0.005mm/秒に速度制御した。その為、図1(e)[図1(d)の上視図]に示す樹脂の型からの剥離(6aは剥離部、6bは未剥離部)は、50mm/秒の速度で発生し、全体が剥離するまで2秒要した。この時剥離に要する力は剥離開始時には2000Nほど要したが、剥離途中は200〜1000Nの力で剥離し、凹凸部のワレや変形も無く、形状精度も良好であった。
比較例としてエジェクターピンの移動速度を0.02mm/秒に制御した以外は実施例1と同様に成形した。樹脂は型から0.2秒で剥離した(平均速度500mm/秒)が凹凸部の一部に欠けが発生していた。
以上のように、離型時に樹脂の厚み方向に垂直な方向の型と樹脂の離反速度を50mm/秒にすることにより凹凸部の欠けや変形が無く、形状精度も良好なガラス基材への樹脂の成形が可能となる。
図3は本発明に関わる第2の実施態様を示すものである。図3において9は樹脂、10は成形に用いた型で表面には図4に拡大図を示すような深さ10μm、ピッチ50〜400μmで山頂点部を結ぶ面が平面である微細な凹凸が形成されている。11はガラス基材で12はガラス基材の上に表面に微細形状を有する樹脂が接合された成形品である。実施例1と同様な工程で型10とガラス基材11を用いて成形した。この時エジェクターピンの移動速度を0.002mm/秒に速度制御したところ、剥離は20mm/秒の速度で発生し、全体が剥離するまでに2.5秒要した。成形品は高さ10μmの凹凸部のワレや変形もなく、形状精度も良好であった。
比較例としてエジェクターピンの移動速度を0.015mm/秒に制御した以外は実施例2と同様に成形したところ、樹脂は型から0.3秒で剥離した(平均速度約170mm/秒)が凹凸部のほとんどに欠けが発生していた。
図5は本発明に関わる第3の実施態様を示すものである。図5において13は樹脂、14は成形に用いた型で表面は非球面形状をしている。15はガラス基材である。16はガラス基材の上に表面に非球面形状を有する樹脂が接合された成形品である。実施例1と同様な工程で型14とガラス13を用いて成形した。この時エジェクターピンの移動速度を0.01mm/秒に速度制御したところ、剥離は100mm/秒の速度で発生し、全体が剥離するまでに0.5秒要した。成形品は樹脂の剥離もなく、形状精度も良好であった。
比較例としてエジェクターピンの移動速度を0.02mm/秒に制御した以外は実施例3と同様に成形したところ、樹脂は型から0.2秒で剥離した(平均速度250mm/秒)が樹脂の一部が型の方に付着したまま残ってしまった。
図6は本発明に関わる第4の実施態様を示すものである。図6において16は樹脂、17は成形に用いた型で表面には図7に拡大図を示すような深さ20μm、ピッチ50〜400μmで山頂点部を結ぶ面が平面である微細な凹凸が形成されている。18は滴下に用いるディスペンサーで、19はガラス基材、20は型にプレス転写された樹脂、21は紫外線照射により硬化された樹脂で、22は低温窒素ガス23を不図示の装置を用いて噴出すノズル(穴径5mm)で、24はガラス基材の上に表面に微細形状を有する樹脂が接合された成形品である。硬化までは実施例1と同様な工程で作製した。その後、ノズルから噴出する低温窒素をガラス基板に吹き付けることにより樹脂を型から剥離させた。低温窒素は図6(e)に示す吹き付け経路25のように外周部から順次渦巻状に中心に向かってガラス基板に吹き付けた。この時、ノズルの移動速度(樹脂の厚みに垂直な方向)を30mm/秒としたところ、剥離も低温窒素があたると同時に剥離するためほぼ同様な速度で型から剥離した。成形品は高さ20μmの凹凸部のワレや変形もなく、形状精度も良好であった。
比較例としてガラス基板全面に一度に低温窒素を吹き付けたところ、凹凸部の一部に欠けが発生していた。
以上のように、離型時に樹脂の厚み方向に垂直な方向の型と樹脂の離反速度を熱応力による剥離の場合にも30mm/秒にすることにより凹凸部の欠けや変形が無く、形状精度も良好なガラス基材への樹脂の成形が可能となる。
第1の実施例での成形工程を示す概略図 第1の実施例で用いる型表面の微細形状を示す図 第2の実施例で用いる型とガラス基材及び成形品を示す概略図 第2の実施例で用いる型表面の微細形状を示す図 第3の実施例で用いる型とガラス基材及び成形品を示す概略図 第4の実施例で用いる型とガラス基材及び成形品を示す概略図 第4の実施例で用いる型表面の形状を示す図 樹脂と型の離反速度を制御する方向を示す断面図
符号の説明
1、5、6、9、13、16、20、21、26 光エネルギー硬化型樹脂樹脂
2、10、14、17、27 型
3、18 ディスペンサー
4、11、15、19、28 ガラス基材
7 エジェクターピン
8、12、16、24 成形品
22 ノズル
23 低温窒素
25 低温窒素噴き付け経路

Claims (6)

  1. 光エネルギー硬化型樹脂を、型を用いて形状転写、光照射により硬化後、離型することにより基材上に所要の形状を有する光エネルギー硬化型樹脂を形成する光学素子の成形方法において、離型時に樹脂の厚み方向に垂直な方向の型と樹脂の離反速度を制御することを特徴とする複合型光学素子の製造方法。
  2. 離反速度が100mm/秒以下であることを特徴とする請求項1記載の複合型光学素子の製造方法。
  3. 樹脂厚み方向の基材と型の離反速度を制御することを特徴とする、請求項1または2記載の複合型光学素子の製造方法。
  4. 離反速度が0.01mm/秒以下であることを特徴とする請求項3記載の複合型光学素子の製造方法。
  5. 50μm以下の微細な凹凸形状を有する複合型光学素子の請求項1ないし4いずれか記載の複合型光学素子の製造方法。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の製造方法による複合型光学素子。
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