JP2006088409A - ラミネーター - Google Patents
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Abstract
【課題】 被処理物やフィルムをローラーから離反させて巻き込みを確実に防止すると共に、その巻き込み防止機能を適切に維持する。
【解決手段】 ラミネーター10は、加熱されたフィルムを被処理物に圧着させる相対向して配置された1対のローラー14A、14Bを有している。また、これらの各ローラー14A、14Bには、溝14bを介してワイヤ20が架け渡されている。このワイヤ20は、ローラー14により搬送された被処理物に圧着されたフィルムを、ローラー14の周面から強制的に離反させて、巻き込みを防止する。また、このワイヤ20は、一端を固定して、他端を軸22に巻き付けて支持されて、ローラー14の回転軸線方向への変位が許容されている。更に、ワイヤ20は、複数本設置され、各々相互に干渉しないように、独立して設置されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 ラミネーター10は、加熱されたフィルムを被処理物に圧着させる相対向して配置された1対のローラー14A、14Bを有している。また、これらの各ローラー14A、14Bには、溝14bを介してワイヤ20が架け渡されている。このワイヤ20は、ローラー14により搬送された被処理物に圧着されたフィルムを、ローラー14の周面から強制的に離反させて、巻き込みを防止する。また、このワイヤ20は、一端を固定して、他端を軸22に巻き付けて支持されて、ローラー14の回転軸線方向への変位が許容されている。更に、ワイヤ20は、複数本設置され、各々相互に干渉しないように、独立して設置されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、カード状の物体その他の被処理物にフィルムを加熱加圧して被覆するラミネーターの改良に関し、特に、フィルム圧着後のカードをローラーから適切に送り出すことに関するものである。
IDカード等のカード状の物体に透明のプラスチックフィルムを被覆するラミネーターにおいては、接着用樹脂が塗布されたプラスチックフィルムに挟んだカードその他の被処理物をラミネーター内に挿入し、フィルムを加熱して接着用樹脂を溶融させた後又は加熱しながら、ローラーにて加圧する工程が行われる。
この場合、加熱されて多少軟化した状態にあるフィルムがローラーに付着したり、あるいは、フィルムから接着用溶融樹脂がはみ出て、フィルム圧着後のカードが、ローラーから適切に離反せずに、ローラーに巻き付いたまま送り出されて、処理後のカードの取り出しや内部機構へ悪影響を与え、また、その修復にも手間と時間を要することがあった。
この問題点を解決するものとして、ローラーの回転面又はこの回転面に形成されたスリットに、翼板状のガイドを接触させることにより、フィルム圧着後のカードを圧着ローラーから強制的に離反させて巻き込みを防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この従来技術では、フィルムよりも硬度が高いガイド板によりフィルム圧着後のカードを搬送するため、フィルムをローラーから離反させる際に、フィルムに損傷を与え、また、ローラーを摩耗させるおそれがあった。特に、ローラーが摩耗すると、適切な押圧力を確保することができず、その結果、フィルムの圧着状態に悪影響を与えるおそれがあった。
また、この従来技術では、ガイド板は、ローラーの出口側、即ち、ローラーを挟んでフィルムを予備加熱する加熱手段とは反対側の位置に配置されているため、加熱手段の余熱を受ける圧着ローラーとの間に温度差があり、その結果、加熱加圧直後のフィルムがガイド板に接触しながら搬送されると、このガイド板に当接した部分のみが他の部分に比べて冷却時間が早まって接着状態に差が生じ、これによりフィルムに筋又は帯状の跡がついて製品としての美感に悪影響を与える問題がった。
また、ローラー外周の接線方向に線状の巻き込み防止部材を設置して、被処理物のローラーへの巻き込みを防止することも提案されているが(例えば、特許文献2参照)、ローラーは、ローラーの表面の加工や回転軸の精度自体の完全な確保の困難性や他方のローラーの回転力との関係によって、その回転時の動きに左右(回転軸線方向)等へのぶれ(遊び)が生ずるため、単に線状の巻き込み防止材を設置しただけでは、巻き込み防止部材がローラーの動きに追随できずに線状の巻き込み防止部材が断線したり、あるいは、線状の巻き込み防止部材の強度が高い場合にはローラーの回転に支障を与えるおそれがあった。特に、この線状の巻き込み部材を、組み立ての容易性を考慮して、略コの字状等に形成してローラーに掛け渡すと、異なる箇所に架けられた線状の巻き込み防止部材が連結されているため、ローラーの異なる箇所での異なる動きに適切に追随して連動することができないおそれがあった。
一方で、各線状の巻き込み部材を各々個別に設置すると、製造や組み付けの容易性が失われるおそれがあり、特に、ラミネーターにおいては、一般的に、1対のローラーのうち、まず、下方のローラーを内部に落とし込んで設置し、次いで、上方のローラーを組み付ける作業により製造されるが、これらのローラー組み付け後に、これらのローラー間に線状の巻き込み防止部材を設置するのは容易ではない。そのため、下方のローラーの設置後、線状の巻き込み防止部材を取付け、更に、その後、上方の線状体、上方のローラーと組み付けることも考えられるが、いずれにしろ、各部材を個別に組み付けると、部材間の組み付けにばらつきが生じ、精度よくラミネーターを製造することができないおそれがあった。また、この場合、線状体の一端のみを支持し、他端を自由状態とすると、ラミネーターの運搬中等に線状体同士が絡み合って本来の巻き込み防止機能を発揮できないおそれもある。
更に、この線状の巻き込み防止部材を使用する場合、当該線状体がローラーの長手方向において被処理物と接触する面積は非常に微細であるため、種々のサイズの被処理物に対応して巻き込みを確実に防止するためには、できるだけ多数の箇所において、線状体を設置することが望ましいといえるが、一つのローラーにつき、あまりに多数に設置すると却って製造が困難となると共に、1対のローラー間で、各ローラーの各々に、対応する位置に線状体を設置すると、相互干渉により耐久性に影響を与えると共に、各ローラー毎の個別の動きに適切に追随できなくなるおそれがある。
加えて、線状の巻き込み防止部材を設置する場合、例えば、被処理物の進行方向において前後に2対のローラーを配置する場合等、その架け渡しの長さが長くなるほど、中間位置で、線状体が垂下が発生し被処理物の搬送やローラーの回転に影響を与える傾向が生じる。一方で、この垂下を防止するため、線状体自体の硬度を上げたり、線状体の架け渡しの緊張度を高めると、被処理物やローラーに損傷を与えるそれが高まると同時に、ローラーの動きに適切に追随することができなくなるおそれがある。
実公平6−15026号公報
実公昭61−42827号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、組み付け作業の容易性を確保しつつ、巻き込み防止のための線状体をローラーの動きに追随させて巻き込み防止機能を適切に維持することにより、被処理物をローラーから確実に離反させて巻き込みを防止すると共に、ローラーや処理後のフィルムの表面に損傷や影響を与えることなく被処理物を適切に搬送して取り出すことができるラミネーターを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、カードその他の被処理物にフィルムを圧着する少なくとも1対のローラーを有し、フィルムや被処理物がローラーに巻き込まれるのを防止する巻き込み防止手段を備えたラミネーターにおいて、この巻き込み防止手段は、各ローラーに跨って架けられる線状体から成り、この線状体はローラーの回転軸線方向への変位が許容されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第2の手段として、カードその他の被処理物にフィルムを圧着する少なくとも1対のローラーを有し、フィルムや被処理物がローラーに巻き込まれるのを防止する巻き込み防止手段を備えたラミネーターにおいて、この巻き込み防止手段は、各ローラーに跨って架けられる線状体から成り、この線状体は、一端を固定し他端を軸に巻き付けて支持されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、線状体は、ローラーの周面に形成された溝に架けられることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、線状体は1対のローラー間で異なる位置に架けられていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、2対以上のローラーを有し、線状体は2対以上の全てのローラーに跨って架けられ、各対間においては各対間に設置された軸により支持されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、線状体は、線状体の被処理物の入り口側の一端と同一水平面上又は水平面よりも上に設置されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、各ローラーには複数の線状体が跨って設置され、複数の線状体は相互に干渉しないように独立して設置されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第8の手段として、上記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、線状体は、金属製のワイヤであることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するためのの第9の手段として、上記第1乃至第8のいずれかの解決手段において、被処理物の通過位置を境に分割された複数のユニットを有し、各ユニットは、少なくとも、線状体の一端を支持するための部材と、ローラーと、線状体の他端を支持するための部材と、支持部材間に架けられた線状体とを、予め一体的に組み付けて形成され、線状体は複数のユニットを組み合わせることにより被処理物の通過位置に面するように設置されていることを特徴とするラミネーターを提供するものである。
本発明によれば、上記のように、線状体はローラーの回転軸線方向への変位が許容されているため、ローラの左右(軸線方向)への動き(回転ぶれ)に追随して、被処理物をローラーから確実に離反して搬送することができると同時に、線状体がローラーの回転の障害となったり、断線等することがなく、その巻き込み防止機能を適切に維持することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、線状体を、一端を固定し他端を軸に巻き付けて支持しているため、この軸に巻き付けられた他端が当該軸上で変位することにより、又は、線状体の長手方向への弾性変形(伸び)若しくは横手方向への弾性変形(撓み)、またこれらの弾性変形による軸への巻き付けの締め具合の変動等により、ローラーの動きに追随して変位して巻き込み防止機能を維持することができると共に、線状体の両端が支持されているため、運搬中等に線状体同士が絡み合ったりして機能を発揮できなくなることを防止することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、線状体が、ローラーの周面に形成された溝に架けられているため、ローラーの回転中に必要以上に位置ズレすることがないと同時に、ローラーの表面から必要以上に突出することがないので、2つの相対向するローラーが接し合う圧着部においても、充分な押圧力の確保の障害となることがないと共に、フィルムが圧着されたカードを円滑に送り出すことができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、線状体は1対のローラー間で異なる位置に架けられているため、少ない設置点数で被処理物を確実にローラーから離反させることができると同時に、線状体が相互干渉することがなく、その結果、耐久性に影響を与えることを防止することができると共に各線状体が各ローラー毎の個別の動きに適切に追随することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、2対以上のローラーを有する場合には、線状体は2対以上の全てのローラーに跨って架けられ、各対間においては各対間に設置された軸により支持されているため、線状体自体の硬度や線状体の架け渡しの緊張度を必要以上に高めてローラーの回転や製品の仕上がりに悪影響を与えることなく、線状体が2対のローラーの間付近で垂下して被処理物の搬送やローラーの回転に影響を与えることを防止することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、線状体を、線状体の被処理物の入り口側の一端と同一水平面上又は水平面よりも上に設置して、線状体が必要以上に垂下しないように設定しているため、被処理物をローラーから確実に離反させることができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、複数の線状体を、相互に干渉しないように独立して設置しているため、複数の箇所での巻き込みを防止して種々のサイズの被処理物への対応を確保しつつ、ローラーの各箇所での個別の異なる左右の回転ぶれにも適切に追随して対応することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、線状体として、金属製のワイヤを使用しているため、被処理物や回転ローラの表面や外観に必要以上に影響を与えることがない実益がある。
本発明によれば、上記のように、ワイヤ等の線状体を含めたユニットを予め形成して、組み付けているため、線状体の設置を含めた製造が容易となると共に、ユニット形成時に各部材間の微妙な位置関係等を適切に調整してばらつきを極力抑制することができるので、精度よくラミネーターを製造することができる実益がある。
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1乃至図3は本発明のラミネーター10の内部構造の一部を示し、このラミネーター10は、特に図2に示すように、図示しない被処理物を被覆したフィルムを加熱する加熱手段12と、この加熱手段12により予備加熱されたカードその他の被処理物にフィルムを圧着するローラー14と、これらの加熱手段12及びローラー14を収納するハウジング16とを備えている。
なお、フィルムにより被覆される被処理物としては、ラミネーター10の内部に取り入れてローラー14により圧着することができる物体、具体的には、運転免許証、会員証等のIDカードその他のカード状の物体を挙げることができる。また、これらの被処理物を被覆するフィルムとしては、被覆する被処理物の内容が透過できるように透明で、かつ、加熱加圧可能な材質、具体的には、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレート等のフィルムを挙げることができる。これらのフィルムは、被処理物の形状や大きさに合わせて、略四角形状に形成され、被処理物を挟持できるよう、予め、一辺のみ接着された状態のものを使用することができる。
加熱手段12は、図2に示すように、ローラー14よりも上流側(被処理物の取り入れ口方向)に設置され、フィルムにより被覆された被処理物を、ローラー14に送り込む前に、フィルムを予備加熱して、フィルムに貼着されている接着用樹脂を溶融させる。なお、この加熱手段12としては、図2に示すように、熱源としてヒーター12A及びヒーター12Aによる熱を被処理物の通路に放熱する伝熱部材14Bその他の適宜の手段を用いることができる。
ローラー14は、図1及び図2に示す実施の形態では、相対向して配置された上下1対のローラー14A及び14Bから成り、相互に反対方向で、かつ、被処理物の取り入れ口方向(図2の右方向)、即ち、上側のローラー14Aは図2における時計方向、下側のローラー14Bは図2における反時計方向に回転して、両者の間を通過するフィルムが被覆された被処理物を取り出し口方向(図2の左方向)に搬送しながら加圧して溶融した接着用樹脂により、被処理物を上下から覆うフィルムを接着して、ラミネートする。このようにして、送り出されたフィルム圧着後の被処理物は、ハウジング16に形成された図示しない取り出し通路を経て取り出し口より、外部へ排出される。
なお、このローラー14は、例えば、シリコン樹脂から形成することができる。これは、シリコン樹脂であれば、充分な押圧力を確保しつつ、被処理物やフィルムを摩耗させることがないと共にフィルムとの離反性を確保することができ、被処理物を適切に搬送することができると同時に、ローラー14に充分な耐熱性を付与することができるからである。具体的には、図示の実施の形態では、回転軸14aに約4mm程度の厚みで横断面リング状のローラー14を被覆することにより、全体として直径20mmのローラー14として形成している。なお、シリコン樹脂の被覆方法には特に限定はなく、シリコン樹脂材料を回転軸14aに4mm程度の厚みとなるようにインサート成型等することにより、形成種流こともできる。
本発明のラミネーター10は、更に、フィルムや、被処理物、また、フィルム圧着後の被処理物がローラー14に巻き込まれるのを防止する巻き込み防止手段18を備えている。この巻き込み防止手段18は、図1乃至図3に示すように、各ローラー14A、14Bに跨って架けられる線状体20から成っている。この線状体20としては、具体的には、0.4mm以下の、望ましくは次に述べる溝14bとの関係から0.3mmの直径を有する金属製のワイヤを使用することができる。
この線状体20により、フィルムや被処理物、また、加熱加圧後のフィルムが、ローラー14の周面から強制的に離反させられるため、フィルム等のローラー14への巻き込みを適切に防止することができる。同時に、線状体20は多少の可撓性を有するため、線状体20がフィルムやローラー14に損傷を与えることもない。更に、線状体20は、図2に示すように、伝熱部材12Bによって、ローラー14と共にローラー14の表面とほぼ同程度の温度に温められるため、フィルムに温度差による筋や帯状の跡等が付着することもない。
また、この線状体20は、図1乃至図3に示すように、ローラー14の周面に形成された溝14bに架けて設置される。これにより、線状体20が、回転中に必要以上に大幅に位置ズレすることがないと同時に、ローラー14の表面から、必要以上に突出することがないので、2つの相対向するローラー14A、14Bが接し合う圧着部においても、充分な押圧力の確保の障害となることがないと共に、フィルムが圧着されたカード等の被処理物を円滑に送り出すことができる。なお、この溝14bは、ローラー14の形成後に切断手段等によりローラー14の表面に切り込みを形成することにより設定することができる。
この場合、この溝14bの深さは、線状体20の弾性変形等による上下方向への変位を許容できるように、線状体20の架け渡し位置から若干余裕を持った深さに設定する。具体的には、ローラー14(樹脂部分)の厚みが約4mmの図示の実施の形態においては、約2mmからローラー14の厚みと同様の4mm程度の範囲で設定することができる。この溝14bの深さは、ローラー14の厚みとの関係で相対的に適宜決定することができ、最大でローラー14の厚みと同程度となる。このように、溝14bの深さを、ローラー14の厚みと同程度に設定した場合、結果的に、ローラー14は回転軸14a条に置いて、分割された形になるため、一体のローラー14を切断して溝14bを形成することもできるし、予め、所定間隔毎に分割された複数のローラー14を回転軸14a上に固定的に取り付けることもできる。
また、溝14bの幅は、ワイヤ等の線状体20との接触により必要以上に摩耗しないように、また、後述する線状体20の左右への変位を許容する一方その変位量を規制を考慮して適宜決定し、具体的には、少なくとも、ワイヤ等の線状体20の直径よりも若干広めに、約0.4mm〜0.5mm程度とすることが好ましい。
また、この線状体20は、本発明においては、ローラー14の回転軸14aの軸線方向への変位が許容されるように設定されている。これは、ローラー14の回転時の動きに左右(線状体20の長手方向に向かって左右)へのぶれが発生するため、このローラー14の動きに線状体20を追随させるためである。この場合、特に、図1及び図2に示すように、線状体20を、一端を固定し、他端を軸22に巻き付けて支持することにより、左右等への変位を許容して、線状体20をローラー14の動きに追随させることができる。
具体的には、線状体20の被処理物の取り入れ口側(上流側)の一端を、図1及び図2に示すように、伝熱部材12Bにボルト等により固定して取り付け、他端をローラー14よりも下流側(取り出し口側)においてローラー14と回転軸14aと平行に設置された軸22に巻き付けて支持する。これにより、軸22側に巻き付けられた他端が、巻き付け位置の軸22上での変位によって、線状体20がローラー14の動きに追随することができる。また、このような端部における追医随のみならず、線状体20の長手方向における弾性変形(伸び)や横手方向における弾性変形(撓み)、また、これらの弾性変形による巻き付けの締め具合の変動によっても、線状体20の途中部分でローラー14の回転時の動きに線状体20を追随させることができる。この場合、線状体20が弾性変形等することができるように、線状体20を完全な緊張状態ではなく変位を許容できる範囲で弛緩状体で設置することが好ましい。従って、線状体20がローラー14の回転の障害となったり、断線等することがなく、その巻き込み防止機能を適切に維持することができる。また、線状体20の両端が支持されているため、運搬中等に線状体20同士が絡み合ったりして機能を発揮できなくなることを防止することができる。
この場合、線状体20は、線状体20の被処理物の入り口側の一端(取り入れ口側において伝熱部材12Bにボルト等により固定的に取り付けられた一端)と同一水平面上又は水平面よりも上に設置することが望ましい。具体的には、線状体20の被処理物の出口側において軸22に支持された他端を、線状体20の取り入れ口側の一端を基準に水平線を引いて観念できる水平面と同一面上又はその水平面よりも上に設置する。図示の実施の形態では、当該水平面と同一面上、即ち、線状体20の両端を水平に設置している。これにより、線状体20が必要以上に垂下しないため、被処理物をローラー14から確実に離反させることができる。
また、図1及び図3から解るように、各ローラー14A、14B毎に複数の、具体的には、各ローラー14につき3つの線状体20が跨って設置されている。従って、複数の箇所での巻き込みを防止することができ、例えば、名刺サイズの被処理物から、A4版の書類等まで、大小様々なサイズの被処理物に対応することができる。なお、図示の実施の形態では、各ローラー14毎に3つずつの線状体20を設置しているが、勿論、個数に特に限定はなく、ローラー14の軸線方向の長さ等に応じて適宜設定することができる。
この場合、図1及び図3に示すように、これらの複数の線状体20を、相互に干渉しないように独立して設置することが望ましい。具体的には、各線状体20毎に独立して、それぞれの両端を、伝別部材12B及び軸22に取り付ける。これにより、各線状体20毎に、ローラー14の各箇所での個別の異なる左右の回転ぶれにも適切に追随して対応することができる。
また、これらの線状体20は、基本的には、1対のローラー14A、14B間で、ほぼ対応する位置に設置されているが、特に図3に示すように、1対のローラー14A、14B間で異なる位置に架けられている。このため、線状体20は、少ない設置点数で効率よく、様々なサイズの被処理物を確実にローラー14から離反させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図4乃至図6を用いて説明すると、図1乃至図3に示す実施の形態では1対のローラー14A,14Bのみを使用したが、本発明は、図4乃至図6に示すように、更にもう1対のローラー14C、14Dを使用したラミネーター10、即ち、2対のローラー14を有するラミネーター10にも適用することができる。この場合、具体的には、線状体20は、これらの2対の全てのローラー14に跨って架けられる。
この実施の形態においては、線状体20を支持する軸22は、2カ所に設置される。具体的には、図4及び図5に示すように、ローラー14よりも下流側に設置された端部22Aと、各対間に設置された中間軸22Bとを有し、線状体20は、各対間においては、この各対間に設置された軸22により支持されている。従って、線状体20自体の硬度や線状体20の架け渡しの緊張度を必要以上に高めてローラー14の回転や製品の仕上がりに悪影響を与えることなく、線状体が2対のローラー14の間付近で垂下して被処理物の搬送やローラー14の回転に影響を与えることを防止することができる。
なお、この実施の形態においても、線状体20は、線状体20の取り入れ口側の一端を基準に水平線を引いて観念できる水平面と同一面上又はその水平面よりも上に設置することが望ましく、図示の実施の形態では、図5に示すように、線状体20の両端を水平に、中間軸22Bの地点を、当該水平面よりも若干上方に設定して、特に架け渡し長さが長い本実施の形態においても、中間位置で必要以上に垂下するのを防止している。
また、2対のローラー14を有する図4乃至図5の実施の形態においては、両対間に1つの中間軸22Bを設置したが、設置されるローラー14の対数に特に限定はなく、中間軸22も、その設置される対数に応じて、例えば3対であれば各対間の2カ所等、適宜設定することができる。なお、被処理物を搬送するローラー14であれば、これらの各対のローラー14の役割には、特に限定はなく、加熱、冷却等適宜設定することができる。また、図示の実施の形態においては上流側の1対のローラー14A、14Bは全体の直径を20mm、シリコン樹脂の厚み及び溝14bの深さを約4mm、下流側の1対のローラー14C、14Dは全体の直径を27mm、シリコン樹脂の厚み及び溝14bの深さを約5mmに設定している。
最後に、本発明のラミネーターの組み付けについて言及すると、ラミネーター10は、被処理物の通過位置を境に分割された複数の、図示の実施の形態では、2つのユニット24A、24Bを有し、これらの2つのユニット24A、24Bを嵌合やねじ止め等の適宜な手段により相互に接合して組み合わせることにより、組み付けることができる。
これらの各ユニット24A、24Bの各々は、少なくとも、線状体20の一端を支持するための部材と、ローラー14と、線状体20の他端を支持するための部材と、支持部材間に架けられた線状体20とを、予め一体的に組み付けて形成されている。具体的には、線状体20の一端が伝熱部材12Bに支持され、他端が軸22により支持されている図示の実施の形態においては、少なくとも、伝熱部材12Bと、ローラー14と、軸22とを、予め上下別にそれぞれ組み付けてユニット24A、24Bとすることができる。
これにより、各ユニット24A、24Bを組み付けるだけで、線状体20の敷設、即ち、線状体20を被処理物の通過位置に面するように設置する作業も完了させることができ、ローラー14と線状体20との設置を個別に行う場合、即ち、1つ又は2つ以上の対のローラー14を設置した後、これらのローラー14間に線状体20を通したり、又は、下方側のローラー14B、14Dを設置した後、線状体20を敷設して、更に上方側のローラー14A、14Cを組み付ける場合に比べて、線状体20の設置を含めた製造が容易となると共にユニット24A、24Bの形成時に各部材間の微妙な位置関係等を適切に調整してばらつきを極力抑制することができるので、精度よくラミネーター10を製造することができる。
本発明は、特に、カード状の物体その他の被処理物にフィルムを加熱加圧して被覆する装置、その他の取り出し通路を有するラミネーターにおける被処理物の巻き込みの防止に適用することができる。
10 ラミネーター
12 加熱手段
12A ヒーター
12B 伝熱部材
14 ローラー
14a 回転軸
14b 溝
16 ハウジング
18 巻き込み防止手段
20 線状体
22 軸
22A 端部軸
22B 中間軸
24A、24B ユニット
12 加熱手段
12A ヒーター
12B 伝熱部材
14 ローラー
14a 回転軸
14b 溝
16 ハウジング
18 巻き込み防止手段
20 線状体
22 軸
22A 端部軸
22B 中間軸
24A、24B ユニット
Claims (9)
- カードその他の被処理物にフィルムを圧着する少なくとも1対のローラーを有し、前記フィルムや前記被処理物が前記ローラーに巻き込まれるのを防止する巻き込み防止手段を備えたラミネーターにおいて、前記巻き込み防止手段は、前記各ローラーに跨って架けられる線状体から成り、前記線状体は前記ローラーの回転軸線方向への変位が許容されていることを特徴とするラミネーター。
- カードその他の被処理物にフィルムを圧着する少なくとも1対のローラーを有し、前記フィルムや前記被処理物が前記ローラーに巻き込まれるのを防止する巻き込み防止手段を備えたラミネーターにおいて、前記巻き込み防止手段は、前記各ローラーに跨って架けられる線状体から成り、前記線状体は、一端を固定し他端を軸に巻き付けて支持されていることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記線状体は、前記ローラーの周面に形成された溝に架けられることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記線状体は前記1対のローラー間で異なる位置に架けられていることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたラミネーターであって、2対以上の前記ローラーを有し、前記線状体は前記2対以上の全てのローラーに跨って架けられ、前記各対間においては前記各対間に設置された軸により支持されていることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記線状体は、前記線状体の前記被処理物の入り口側の一端と同一水平面上又は前記水平面よりも上に設置されていることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記各ローラーには複数の前記線状体が跨って設置され、前記複数の線状体は相互に干渉しないように独立して設置されていることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記線状体は、金属製のワイヤであることを特徴とするラミネーター。
- 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたラミネーターであって、前記被処理物の通過位置を境に分割された複数のユニットを有し、前記各ユニットは、少なくとも、前記線状体の一端を支持するための部材と、前記ローラーと、前記線状体の他端を支持するための部材と、前記支持部材間に架けられた前記線状体とを、予め一体的に組み付けて形成され、前記線状体は前記複数のユニットを組み合わせることにより前記被処理物の通過位置に面するように設置されていることを特徴とするラミネーター。
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