JP2006088219A - 溶融金属注湯ノズル及びその設置構造並びに溶融金属の注湯方法 - Google Patents

溶融金属注湯ノズル及びその設置構造並びに溶融金属の注湯方法 Download PDF

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恵 寺本
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学 木村
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Hiromu Fujii
博務 藤井
Shigeki Kashio
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Abstract

【課題】 溶融金属容器からの鋳造・排出のための注湯に際して、注湯ノズル中を流下する溶融金属流の乱れに起因する溶融金属の飛散、つらら状の固化物等の付着成長と、スラグ等の介在物の混入を抑制して、作業性・安全性の向上、金属の品質の低下防止と、生産性の向上等を図る。
【解決手段】 溝状の凹凸3を形成した注湯ノズル1の上端面を注湯ノズル1の外周に設けた羽口耐火物4等の上端面よりも突出して配置した溶融金属注湯ノズルの設置構造20である。注湯ノズル1の上端は、羽口耐火物4または溶融金属容器の底部内張耐火物の上端から突出した位置に配置されている。そして注湯ノズル1の上端面に形成した溝3の深さがその突出高さよりも深く形成されている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、容器からの溶融金属の排出、いわゆる、注湯のために使用される容器に設置されるノズル及びこのノズルの設置構造、並びにこのノズルとこの設置構造を使用する溶融金属の注湯方法に関する。
鋳型に注入する場合や単に他の容器に排出する場合等の、容器からその下部に設置したノズルを通して溶融金属を排出(本発明では以下に「注湯」と称する)する場合、溶融金属の流出状態が乱れて、その操業や溶融金属の品質等に悪影響を及ぼすことが多い。
特に、下方の鋳型が小さいこと等の理由で溶融金属容器直下の注湯ノズルから鋳型までの間にノズル等の保護管に相当する部分がなく、注湯ノズルの下方が開放された、いわゆるオープンノズル方式では、図8に示すように、注湯ノズル1の下端部付近で溶融金属が飛散し(図中の符号7)、鋳型内へ的確に注湯できなくなる、鋳型内壁やノズル下端に溶融金属等が固化しながら付着ないし成長して(図中の符号8)ノズル交換等の諸作業の支障となる上に安全性をも低下させる、鋳込み用型枠装置等の稼働不良やブレークアウト等の操業上のトラブルを生じる、溶融金属の酸化等に起因する製品としての金属の品質低下を生じる、注湯ノズルの特に内孔2の損傷等の促進により注湯速度が上昇して連続鋳造時間を短縮せざるを得なくなる等の諸問題がある。
これらの対策として、ノズルの内孔の構造を改善して整流化を行うこと、ノズル構成材に適用する材質の耐食性を強化してノズル内孔の拡大を防止する方法等が提案されている。
前者の例として、特許文献1にはオープン注入を行うための注入ノズルの上部に長さ50mm以上でかつ貫通孔を有する整流筒を設け、その整流筒と注入ノズルとの内径の差を10mm以下とし、整流筒の上端をタンディシュ底部の耐火物表面より5mm以上高くすることが提案されている。これによって、注入ノズル上部の湯溜まり部の解消による渦流等の生成を防止し、異物がノズル内へ落下してノズル詰まりを起こすことを防止するものである。
しかしながら、この整流筒の設置はノズル上部の湯溜まり部をなくすことで壁からの流れに起因する上下方向の旋回流の防止に効果はあるが、上記の諸問題の原因はこの流れに限られず、またそのメカニズムに変化を与えるものではなく、飛散等の問題は完全には解消できない。
さらに、前記オープンノズルを含む、溶鋼の鋳造に用いるタンディシュや取鍋等、その下部に設置したノズルを通して溶融金属を排出する多くの溶融金属容器では、スラグ、耐火物屑、析出物等の異物を巻き込むことが多い。これら異物の巻き込みは、ノズル等の耐火物の摩耗や侵蝕等による損傷を促進し、それが注湯操業を律速する等の悪影響を及ぼすと共に、金属の最終製品に対してその欠陥の原因である介在物となる。
この対策として、タンディッシュの場合にはさまざまな配置・構造の堰を設置してスラグや異物の浮上や整流化を図ることが一般に行われており、例えば特許文献2にはタンディッシュ内のノズル上部に円盤状の耐火物製の堰を設置して渦流の発生を防ぐことでスラグのノズル内への流出を防止することが、また特許文献3にはノズルの周囲から不活性ガスを上方に向けて吹き出してカーテン状の気泡を形成して介在物やスラグがノズル内に混入することを防止することが提案されている。
しかし、これらはいずれもノズル以外の部分に工夫を施すものでノズル自体による解決ではなく、下方のノズル近くに発生する渦流を完全に防止することはできない。さらにはこれらには特別な装置等を必要とし、また各々に固有の操業上の問題等も発生し、操業コストも上昇する等の問題がある。
特に溶鋼取鍋等のタンディッシュ以外の容器の場合には、堰による対策等も採りにくく、特にその注湯末期に於けるスラグ等の混入・巻き込みは大きな問題となっている。
特開平11−156501号公報 特開昭63−2539号公報 特開平04−100662号公報
本発明が解決しようとする課題は、溶融金属容器からの注湯に於いて、注湯ノズル下方の溶融金属の飛散を防止すること、つらら状の固化物等の付着ないし成長を防止すること、及びノズル内孔の損傷を抑制すること等であり、ひいては注湯操業の作業性及び安全性を改善すること、注湯ノズル耐火物の寿命延長ないし耐火物コストの低減、金属の品質の低下防止ないし向上及び生産性の向上を目的とする。
溶融金属容器からの注湯に於いては、その注湯操業の作業性及び安全性、金属の品質、耐火物等のコスト、生産性等は、溶融金属の流出状態、注湯ノズル下方の溶融金属の飛散、つらら状の固化物等の付着ないし成長、及びノズル内孔の損傷等に影響を受けていることが多い。
これらに共通且つ根本的な主たる原因は、溶融金属容器内の注湯ノズル上部付近及び注湯ノズル内の溶融金属流、すなわち渦流等にあることを、本発明者は見いだした。
従来の注湯ノズル及びその設置構造では、図8に示すように、溶融金属容器内の注湯ノズル1上端付近及び注湯ノズル1内の渦流(図中の符号5)は、注湯ノズル1の溶融金属排出方向すなわち縦方向の中心を軸として旋回するような流れとなり、溶融金属はその旋回流を維持した状態で注湯ノズル内を通過して排出される(図中の符号6)。
この溶融金属が旋回流の状態で注湯ノズル1の下端から外に放出されると、溶融金属の飛散(図中の符号7)やつらら状の固化物の付着ないし成長(図中の符号8)を惹き起こし、または促進する。
また、溶融金属容器内の注湯ノズル上部付近の渦流は、容器内溶融金属上面の浮遊スラグや容器の底等に散在する耐火物屑等の異物を多くノズル内に巻き込む。それら異物は、注湯ノズル内孔の摩耗やこのノズルを構成する耐火物成分と反応して軟化ないし溶融等を起こす。それらは、このノズル内孔面との接触速度の大きい旋回流の影響も加わって、より顕著になる。その結果、注湯ノズルの内孔の損耗速度が大きくなり、損耗により内孔径が拡大する。
さらには、このように注湯ノズルの内孔が拡大すると、このノズル内孔面と溶融金属流との間には空間が生じ、その空間にこのノズル下端の外部から空気が引き込まれる。その引き込まれた空気中の酸素により溶融金属が酸化され、FeO等の耐火物を低融化する成分を生成し、その成分が耐火物の溶損を加速する。また空気の引き込みにより溶融金属の温度も、少なくとも空気に接する部分は低下し、粘性が高くなった、或いは部分的に固体状になった金属を含む溶融金属流が、引き込まれた空気と共に激しい乱流を形成してこのノズル内孔面と接触しつつ流出し、耐火物のさらなる摩耗損耗等を促進する。同時にこの温度低下及び凝固した金属は、溶融金属の飛散及びつらら状の付着物の生成と成長をも促進する。
本発明は、これらに共通且つ根本的な要因である容器内の溶融金属流の内、注湯ノズルの上部付近の、注湯ノズル内に流入する流れを整流化すること、特に渦流を生じさせないか又は生じた渦流を打ち消して整流化することが有効であるという知見に基づき完成した。
本発明の第1の解決手段は、注湯ノズルの上端部に凹凸を形成することにある。注湯ノズル上部で生じた渦流は、このノズルの上端部付近でも旋回流としてこのノズルに接触するが、このときにこのノズル上端部等に前記のような凹凸が存在すると、この旋回流はこの凹凸に衝突し、上方、下方、外周側等あらゆる方向に複雑な流れを生じ、それにより渦流としての流れは大きく減衰して崩壊し、結果、整流化されて注湯ノズル内に流れる。この影響はさらに上方の溶融金属の流動にも及び、その上方での渦流の発生を抑制し又はその旋回流の流速を小さくする等、渦流の規模を小さくする。それにより、上方のスラグを巻き込む下方向への流れと溶融金属容器底部等に散在する異物を巻き込む注湯ノズル円周方向の流れの双方が小さくなり、スラグや異物等の注湯ノズル内への流れ込みを減少させる。
このように整流化された状態で注湯ノズル内に流入した溶融金属流は層流に近い状態でこのノズル内を通過し、さらにその通過中の変化を生じ難くしているものと考えられる。
注湯ノズルの上端部等の凹凸は、このノズルの縦方向の中心軸からこのノズルの外周に向かう半径方向に放射状に形成された溝状で、全周に複数個設置した構造とすることが好ましい。
この溝状等の凹凸の巾(凸の幅や凹の幅)や深さ(凸の頂点と凹の底点との間の高さの差)は、溶融金属の種類、溶融金属容器や注湯ノズルの形状及び構造、注湯速度等の個別の条件によって相対的に決定される。一般的なオープン注湯方式の溶鋼の場合は、概ね凹凸の巾は5mm以上、深さは5mm以上で効果が現れ始める。したがって凹凸を溝状に形成する場合には、個々の溝の巾は5mm以上、深さは5mm以上であることが望ましく、溝の巾は5〜10mm程度、深さは10mm以上であることがより望ましい。
また、この凹凸は、注湯ノズルの上端面から内孔まで連続して形成することができるが、溶融金属の注湯をストッパーで制御する場合には、溶融金属の制御に影響を及ぼさないように、このノズルとストッパーとの嵌合部の接触部に隙間が生じないようにする必要があり、その円周上の線状の接触面付近は凹凸のない平面状である必要がある。
この溝によって凹凸を形成する方法は、凹凸状の成形枠を使用して注湯ノズル本体と一体的に成形した後焼成するか、焼成後若しくは製品段階で凹凸状に加工する方法等、任意の方法が採用できる。製造コストの点では、注湯ノズル本体の成形と同時に形成することが好ましいが、形状が複雑になることで、はい土の充填が不均一な部分が発生すること等もあり、このはい土の充填方法、加圧方法、脱枠方法及びその後の取り扱い等に注意する必要がある。
本発明の第2の解決手段は、前記第1の解決手段による注湯ノズルの上端部を、このノズルの外周側に隣接する羽口耐火物または内張耐火物の溶融金属容器のライニング厚み方向の上端面の位置よりも、突出させて設置する構造にある。
前記の構造を有する注湯ノズルに加えて、注湯ノズルの長手方向の上端部の位置が、このノズルの外周側に隣接する羽口耐火物又は内張耐火物の溶融金属容器のライニング厚み方向の上端面の位置よりも高い位置にあって、このノズルの上端部が、その外周側に隣接する羽口耐火物または内張耐火物の上端面よりも高く、突出している構造の場合に、渦流の防止等の整流効果がさらに増大する。
この突出部分の高さは、凹凸の場合と同じく、溶融金属の種類、溶融金属容器や注湯ノズルの形状及び構造、注湯速度等の個別の条件によって相対的に決定される。一般的なオープン注湯方式の溶鋼の場合は、この高さは概ね5mm以上で効果が現れ始める。したがってこの突出部分の高さは、5mm以上であることが望ましく、10mm以上であることがより望ましい。
この注湯ノズルの突出した設置構造の場合も、注湯ノズルの上端部等の凹凸がもたらす整流化の場合と同様の、渦流等の流れの減衰ないし崩壊による整流化を促進することによって、その効果の増大が得られるものと考えられる。
この注湯ノズルの上端部が突出している構造では、注湯ノズルの上端部に凹凸がない場合には、その突出部分の高さに相当する深さの溶融金属が、その容器の中に残留し、溶融金属の歩留まりを低下させる。しかし、本発明の上端面等に凹凸のある注湯ノズルを用いることで、その容器の中に溶融金属を残留させないで注湯ノズル内に流出させることができ、溶融金属の歩留まりの低下を防止することができる。
そのためには、この凹凸の最底点をこのノズルの外周側に隣接する羽口耐火物又は内張耐火物の上端面の高さ位置と合わせるかそれよりも低く、且つこの注湯ノズル内孔に向かって流出する経路を連結するように設定することが必要である。
上記の第1の本発明の注湯ノズルを使用し、また第2の本発明の構造を利用する、第3の本発明としての溶融金属の注湯方法は、注湯操業の作業性と安全性の改善、注湯ノズル耐火物の寿命延長による耐火物コスト等の製造コストの低減、溶融金属の歩留まり向上による製造コストの低減、鋳造後の製品としての金属の品質の低下の防止ないしは向上、注湯速度の上昇抑制と連々鋳数の増加等の、継続する1操業単位時間の延長及び生産性の向上等の目的を同時に果たすための、共通する解決手段となる。
一般的に溶融金属の鋳型への注湯による金属鋳片の製造に於いては、溶融、精錬等の諸工程を経た溶融金属を、溶鋼取鍋等の搬送容器からタンディッシュ等の介在物の浮上等特殊な目的を兼ねる容器に移し、その容器から注湯ノズル等を使用して鋳型に注湯する。この容器から排出される溶融金属中のスラグや介在物等の不純物の存在や溶融金属流の鋳型への流入の状態等は、鋳造後の製品としての金属の品質に影響を及ぼす。また、この容器に残留する溶融金属は、廃棄または原料として再処理されることになり、溶融金属の歩留まりを低下させ、製造コストの上昇を来す。
オープン方式の注湯方法では特に、この注湯ノズルから溶融金属を放出することによるその飛散等があり、またその放出場所でそれら飛散物や付着物除去等を行う必要があり、さらには飛散物等が機械設備への異常の原因等にもなり、その周辺作業には危険性が伴う。
これらの危険作業を減少させ、また機械設備の安定稼働等の安全性を高めるためには、ノズルからの溶融金属の飛散や付着を減少させることが有効であり、容器に関して製造コストを低減するためには、容器内に残留する溶融金属を減少させることが有効である。
また、この注湯ノズルの孔径の制御は、放出される溶融金属流の鋳型内への正確な供給及びその安定性と鋳片の引き抜き速度等にも大きな影響を及ぼすと共に、注湯ノズルのみならず、タンディッシュ全体の一連続鋳造寿命に大きな影響を及ぼし、関連する耐火物等の消耗品の寿命を決定し、さらには鋳造機の稼働サイクルその他の関連する操業の連続操業単位時間・量等をも決定する大きな要素となっており、さらには溶融金属の鋳造後の製品としての金属の品質にも影響を及ぼす。
つまり、注湯ノズルの孔径拡大により、鋳型へ供給される溶融金属の速度は大きくなり、鋳片の引き抜き速度を上げること等で対応せざるを得ず、それが一定の限界値に達すると継続する一連続鋳造単位は終了させることになり、注湯ノズルのみならずタンディシュ等の関連する耐火物等の一連続鋳造単位を寿命とする消耗品の寿命はその時点までとなり、関連機械設備の稼働及び管理上のサイクルもその時点までとなる。さらに注湯ノズルの孔径拡大は、溶融金属の鋳型内への流入状態の乱れやその乱れによる空気の混入等をも増加させ、引き抜き速度の上昇による介在物混入の増加とも相俟って、鋳造後の製品としての金属の品質をも低下させる。
したがって、注湯ノズルの溶融金属流制御に関する特性及び寿命を改善することは、連続鋳造の作業性、安全性、生産性、鋳造後の製品としての金属の品質等を同時に改善し、製造コストをも低減する。
このような連続鋳造により鋳片を製造する方法に於いて、本発明の注湯ノズル又は本発明の注湯ノズルと共に本発明の注湯ノズルの設置構造を使用すること、すなわち整流化と注湯ノズルの孔径拡大の低減ないし寿命の延長を行うことは、作業性、安全性を向上させ、注湯ノズルとその他の耐火物等の消耗品の寿命を延長し、製造コストを低減し、生産性を向上させ、鋳造後の製品としての金属の品質を改善する。さらに併せて容器内の溶融金属の残留量の低減をも行うことは、よりいっそう製造コストを低減し生産性を向上させる。
本発明による溶融金属の整流化等により、以下の効果を得ることができる。
第1に、注湯ノズルから放出される溶融金属の流れが直線的になり、安定化する。
第2に、注湯ノズル表面に接触する溶融金属流の速度が小さくなり、溶融金属による摩耗損耗等が減少する。
第3に、溶融金属中のスラグ、介在物、耐火物屑等の異物の混入量が少なくなり、その異物に含まれる金属酸化物等の耐火物を摩耗及び反応して軟化ないし溶融させる成分も少なくなって、注湯ノズル耐火物の損耗量が減少する。
第4に、注湯ノズルの内孔の損耗が少なくなることで、空気の引き込み量が減少し、注湯ノズル下方付近の内孔の拡大も、ノズル内での溶融金属流の乱れも大幅に抑制される。
その結果、
第5に、溶融金属の飛散及びつらら状の固化物等の付着ないし成長等を防止することができ、危険なそれらの除去作業等が激減する、鋳込み用型枠装置の稼働不良を予防すること等での操業上の事故防止等、注湯操業の作業性と安全性の改善に寄与することができる。
第6に、注湯ノズルの寿命延長により、耐火物コスト等の製造コストを低減することができる。
第7に、製品としての金属の品質の低下を防止し、さらには向上することができる。
第8に、注湯ノズル耐火物の寿命延長によって注湯速度の上昇を抑制することができると共に連々鋳数の増加等の、継続する1操業単位時間を延長することが可能になり、生産性を向上することができる。
さらに、
第9に、溶融金属の歩留まり向上により製造コストを低減することができる。
本発明の実施の形態を、本発明の注湯ノズルをオープンノズルに適用した実施例により説明する。
図1と図2に示す本発明の第1の実施例10は、本発明の注湯ノズル1の上端を羽口耐火物4の上端面と同一の高さに設置した場合の例である。図1は本発明の注湯ノズル1を上方から見た図であり、図2は本発明の注湯ノズル1を羽口耐火物4中に配置した構造を断面によって示す。
同図に於いて、注湯ノズル1の上端の外径は75.5mm、注湯ノズル下端の内径は18.5mmであり、注湯ノズル1の上端面には、ノズル内孔2の下方に向かって曲面が形成され、その上端面には、凹凸を形成するための溝3が、内孔2の上部から外周面に向かって放射状に複数個等間隔に形成されている。この溝3の数は、本実施例のノズルの形状の場合には経験的に12箇所以下が好ましく、図1には8個の例が示されている。個々の凹部としての溝の巾は6mm、深さは10mmである。さらに、溝状の凹凸の縦方向の面は、円周方向の溶融金属流の流速を効果的に阻害するためには、各々注湯ノズルの縦方向の断面に近い角度で面をなすように形成されていることが好ましい。
図3と図4に示す第2の実施例20は、実施例1による整流効果の更なる改善のために、溝状の凹凸を形成した注湯ノズル1の上部を、このノズル1の外周に設けた羽口耐火物4の上端面よりも突出させて配置した例を示す。
その縦断面を示す図4に於いて、注湯ノズル1の上端は、羽口耐火物4または溶融金属容器の底部内張耐火物の上端から10mm突出した位置に配置されている。そしてこの場合、注湯ノズル1の上端部に形成した溝3の深さがその突出寸法と同じかそれよりも深く形成されていることが必要であり、この実施例の場合は10mmとした。
注湯ノズル1の外周側からこのノズル1の内孔2との間を貫通するように形成された溝3が溶融金属の流出経路となることで、注湯ノズル1の外側の、羽口耐火物4または容器内の底部内張耐火物の上面に存在する溶融金属は、注湯ノズルの内孔2に流入することができ、容器内に残存することはない。
この実施例1の注湯ノズル及び実施例2の注湯ノズルをこのノズルに隣接する羽口耐火物の中に突出して設置した構造を、比較例と共に溶鋼のオープン注湯に使用した結果を、以下に図5ないし図7と共に示す。
比較例は、上記実施例に於いてノズル本体の上端部に凹凸を形成していない注湯ノズルを使用し、このノズル上端面はこのノズルの外周側に隣接する羽口耐火物の上端面と同じ高さに設置する構造とした。
図5は、それぞれの注湯ノズルの耐用性を示す。ノズルの耐用性は、注湯ノズルの内孔径拡大に伴い発生する注湯速度上昇により、ノズルの寿命が到来したと判定されたときの、注湯ノズル交換までの時間(min.)を表した値である。同図に示すように、本発明の注湯ノズルの耐用性は、実施例1は850(min.)、実施例2は1000(min.)であり、比較例の600(min.)に対して、何れも大幅に向上しており、特に実施例2の向上が顕著であることがわかる。
この耐用性の向上により、注湯ノズルに係るコスト等は約2/3に減少した。
図6は、それぞれの注湯ノズルの、注湯時間経過に伴う注湯速度の変化を示す。注湯速度の変化は、一定の注湯時間経過時点に於ける鋳片の引き抜き速度(鋳込み速度)を各時点での注湯速度とし、単位時間当たりの注湯速度の変化で表した値、すなわち、グラフ横軸に注湯時間(min.)、グラフ縦軸に鋳込み速度(m/min.)をプロットし、その近似直線の傾き(m/min.)で表した値である。この注湯ノズルの内孔径拡大等による注湯速度の変化は、注湯ノズルの耐用性を決定する要素でもある。
注湯速度の変化は、実施例1は4.54×10−4m/min.(相関係数=0.95)、実施例2は2.52×10−4m/min.(相関係数=1.00)であり、比較例の7.36×10−4m/min.(相関係数=0.99)に対して、何れの実施例も注湯速度の変化は大幅に小さく、特に実施例2では比較例の約3分の1となり、改善効果が大きいことがわかる。
図7は、それぞれの注湯ノズルの注湯に際しての溶鋼の飛散の程度を、発生率によって示す。この飛散の発生率は、処理チャージ全数に対して、鋳型へ鋳込めなくなったチャージ数を百分率で示した値である。溶鋼の飛散の発生率は、実施例1は約5%、実施例2は約3%であり、比較例の約15%に対し、いずれの実施例も大幅に小さくなり、特に実施例2の改善効果が大きい。
この飛散の発生とほぼ同様な発生頻度及び程度の傾向を示す、固化した鋼等のつらら状の付着物の付着ないし成長の程度も、実施例1、実施例2共に激減し、特に実施例2での減少は顕著であった。
製品としての鋼の品質に関しても、製品としての鋳片の歩留まり、すなわち良品の率が、実施例2では99.7%であり、比較例の99.4%に対し、大幅に上昇した。
本発明は、オープン方式に於けるタンディッシュからの注湯に限らず、密閉方式のタンディッシュからの注湯、溶鋼取鍋その他の溶融金属容器の底や壁等に設置した注湯用ノズルを使用した溶融金属の排出等全般に使用できる。さらに溶鋼以外の溶融金属容器及び注湯ノズルにも適用できる。
本発明の第1の実施例に係る注湯ノズルの平面図である。 従来の方法で羽口内に設置した図1の注湯ノズルを、縦断面から見た図である。 本発明の第2の実施例に係る注湯ノズルの平面図である。 本発明の方法で羽口内に設置した図3の注湯ノズルを、縦断面から見た図である。 本発明のノズルの耐用性を示す図である。 本発明のノズルを使用した場合の注湯速度の変化を示す図である。 本発明のノズルを使用した場合の飛散発生率を示す図である。 従来の注湯ノズルを用いた場合の問題を説明するための図である。
符号の説明
1 注湯ノズル
2 注湯ノズルの内孔
3 注湯ノズル上端面に形成した溝
4 注湯ノズル外周に隣接する羽口耐火物
5 注湯ノズルに流入する渦流のイメージ
6 注湯ノズルから排出された溶融金属流
7 注湯ノズル下端付近の溶融金属の飛散のイメージ
8 注湯ノズル下端の固化した溶融金属のつらら状付着物のイメージ
9 注湯ノズル下端内孔の損耗部位のイメージ
10、20 本発明の実施例に係る注湯ノズル

Claims (7)

  1. 溶融金属容器の排出口部の羽口耐火物または内張耐火物内に設けられた溶融金属注湯ノズルであって、このノズルの上端部に凹凸を形成した溶融金属注湯ノズル。
  2. 溶融金属注湯ノズルの上端部に形成された凹凸が、このノズルの縦方向の中心軸からこのノズルの外周に向かう半径方向に放射状に形成された複数本の溝によって形成されている、請求項1に記載の溶融金属注湯ノズル。
  3. 溶融金属注湯ノズルの上端部に形成された凹凸の中の凹部の底部が、このノズルの内孔に向かって連続した溶融金属流出経路を形成している、請求項1または請求項2に記載の溶融金属注湯ノズル。
  4. 請求項3に記載の溶融金属注湯ノズルの上端部が、このノズルの外周側に隣接する羽口耐火物または内張耐火物の上端面の位置よりも上方に突出した状態に設置された、溶融金属注湯ノズルの設置構造。
  5. 請求項3に記載の、溶融金属注湯ノズルの凹部の底部の最も高い位置が、このノズルの外周側に隣接する羽口耐火物または内張耐火物の上端面と同じかそれよりも低い位置に配置されており、この凹部の底面によって、このノズルの外周側に隣接する羽口耐火物または内張耐火物上に存在する溶融金属がこのノズルの内孔に流出する経路を形成した、請求項4に記載の溶融金属注湯ノズルの設置構造。
  6. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の溶融金属注湯ノズル、または請求項4若しくは請求項5に記載の溶融金属注湯ノズルの設置構造を使用して溶融金属流を整流化することにより、溶融金属の飛散物と固化物の除去作業の低減、安全性の向上、注湯ノズル耐火物寿命の延長、耐火物コストの低減、製品としての金属の品質の向上、生産性の向上のいずれか1つ以上を行う、溶融金属の注湯方法。
  7. 請求項5に記載の溶融金属注湯ノズル及びその設置構造を使用して、溶融金属容器内に残存する溶融金属を排出することにより、溶融金属歩留まりの向上を行う、溶融金属の注湯方法。
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