JP2006086756A - 両耳インパルス応答推定装置、両耳インパルス応答推定方法、移動音生成装置、移動音生成方法 - Google Patents

両耳インパルス応答推定装置、両耳インパルス応答推定方法、移動音生成装置、移動音生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】両耳インパルス応答の実測点数を少なく抑えつつ実測点間でのインパルス応答を精度良く推定して、音源が移動する場合の音をよりリアルに生成できるようにする。
【解決手段】音源の移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定する両耳応答測定部30、測定した両耳インパルス応答を記憶する両耳応答記憶部44、記憶された各両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の対応する耳までの音の到達時間を検出する到達時間検出部31、検出した到達時間に基づいて到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定する到達時間関数近似部32、補正された両耳インパルス応答について互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定する瞬時値関数近似部36、到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて少なくとも上記複数の所定位置の間の位置での両耳インパルス応答を推定する両耳応答推定部38とを備える
【選択図】 図1

Description

本発明は、音源が移動する場合の移動経路上の各音源位置から聴取者の両耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答を推定する両耳インパルス応答推定装置及び方法に関する。また、本発明は、このように推定した両耳インパルス応答を用いて移動音を生成するための移動音生成装置及び方法にも関する。
例えば、仮想現実感生成システムにおいては、音源が移動する場合に聴取される音(移動音)を生成することが必要である。このような移動音の生成は、従来、音源の移動経路上の各位置と聴取者の両耳位置との間のインパルス応答(本出願において両耳インパルス応答という)を予め求めておき、各位置の両耳インパルス応答と音源の音信号とを畳み込むことにより行うことが一般的である。その場合、音源の移動経路上の全ての点の両耳インパルス応答を計測することは多大な手間が掛かるうえ、両耳インパルス応答のデータ量も膨大となってしまうため現実的でない。
そこで、例えば特許文献1に開示される技術では、音源の移動経路上の幾つかの地点の両耳インパルス応答を求めておき、それら地点の間での両耳インパルス応答を補間により推定するようにしている。より具体的には、2地点間から測定点へのインパルス応答の到達時間の差を測定し、その到来時間差を用いて補間処理を行うことにより、前記2地点とは異なる地点の両耳インパルス応答を推定している。また、両耳インパルス応答の各時点の値(瞬時値)についても同様に、測定点間の値を補間処理により求めている。
特開2003−333697号公報
しかしながら、特許文献1のように、2地点の両耳インパルス応答を補間により別の地点の両耳インパルス応答を推定する場合、前記2地点の間隔が大きくなるにつれて推定精度が悪くなる。このため、両耳インパルス応答の推定精度を高めるには、前記2地点の間隔を小さくしなければならず、その結果、両耳インパルス応答の実測点数が大きくなってしまう。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、両耳インパルス応答の実測点数を少なく抑えながら、それら実測点間でのインパルス応答を精度良く推定して、音源が移動する場合の音をよりリアルに生成できるようにすることを目的とする。
本発明は、音源が移動する場合の移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答を推定する両耳インパルス応答推定装置であって、
前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定する両耳応答測定部と、
前記測定した両耳インパルス応答を記憶する両耳応答記憶部と、
前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出する到達時間検出部と、
前記到達時間検出部により検出された到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定する到達時間関数近似部と、
前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定する瞬時値関数近似部と、
前記決定された到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定する両耳応答推定部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、音源の移動経路上の複数の所定位置について、両耳インパルス応答を測定し、その到達時間及び瞬時値の音源位置に対する関係を関数で近似して、この近似関数を用いて、移動経路上の各位置についての両インパルス応答を推定する。このため、前記複数の所定位置での両耳インパルス応答を実測するだけで、音源位置に応じた両耳インパルス応答の瞬時値の変化を考慮しながら、各位置の両耳インパルス応答を推定できる。したがって、本発明によれば、両耳インパルス応答の実測点数を少なく抑えつつ、それら実測点間でのインパルス応答を精度良く推定して、音源が移動する場合の音をよりリアルに生成できるようにすることが可能となる。
また、本発明において、前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、前記到達時間が互いに等しくなるように時間軸を補正する到達時間補正部を備え、前記瞬時値関数近似部は、前記補正された両耳インパルス応答について互いに同時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似することとしてもよい。
また、前記到達時間関数近似部及び前記瞬時値関数近似部は、夫々、前記到達時間近似関数及び前記瞬時値近似関数を2次以上の多項式関数として決定することとしてもよい。
また、本発明は、音源が移動する場合に移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答に基づいて前記聴取者の位置で聴取される音を再生する移動音再生装置であって、
前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定する両耳応答測定部と、
前記測定した両耳インパルス応答を記憶する両耳応答記憶部と、
前記両耳応答記憶部に記憶された前記複数の所定位置の夫々の両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出する到達時間検出部と、
前記到達時間検出部により検出された前記複数の所定位置の夫々の両耳インパルス応答についての前記到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定する到達時間関数近似部と、
前記補正された両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定する瞬時値関数近似部と、
前記決定された到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定する両耳応答推定部と、
前記音源の音信号を発生する音源信号発生部と、
前記推定した両耳インパルス応答と前記音源信号発生部が発生した音源の音信号とを畳み込むことにより、前記音源が移動する場合に前記聴取者の位置で聴取される音を生成する移動音生成部と、を備えることを特徴とする
本発明によれば、両耳インパルス応答の実測点数を少なく抑えつつ、それら実測点間でのインパルス応答を精度良く推定して音源位置の変化による両耳インパルス応答の変化を包括的に把握し、音源が移動する場合の音をよりリアルに生成することができる。
以下、本発明の一実施形態である移動音生成装置について説明する。先ず、本実施形態の移動音生成装置において移動音を生成する原理について説明する。
図1は、音源が聴取者に対して移動していく様子を示す図である。なお、本実施形態では、音源10は聴取者12の頭を中心とする所定半径の円弧上を、聴取者12の正面を0°として時計回り方向に移動するものとし、音源位置を音源10の方向(聴取者正面からの角度)で表す。このような音源10の移動に伴って、音源10から聴取者12の両耳までのインパルス応答(すなわち両耳インパルス応答)の到達時間(音が図1の経路1、経路2等を伝播するのに要する時間)が変化する。
図2は、音源10が聴取者正面(0°)から右手方向(90°)を通って真後ろ(180°)まで移動した場合の両耳インパルス応答を測定した結果を示すものであり、同図(a)は左耳(移動音源と反対側の耳)についての測定結果を、同図(b)は右耳(移動音源と同じ側の耳)についての測定結果を示している。なお、このような両耳インパルス応答は、聴取者12の位置にダミーヘッドマイクロフォン(人の左右両耳の位置の音圧を測定可能なマイクロフォン)を設置し、音源10を所定角度(図2の例では5°)ずつ移動させながら前記ダミーヘッドマイクロフォンで左右両耳位置の音圧を測定することにより得られる。なお、図2の例では、音圧信号を例えば44.1kHzでサンプリングした後、8倍オーバーサンプリング処理をしている。そして、以下の説明では、両耳インパルス応答の時間軸をサンプリング時刻tで表すものとする。
図2(a),(b)に示すように、両耳インパルス応答の到達時間は音源方向に応じて変化し、その変化特性は耳の左右によって異なっている。また、両耳インパルス応答の波形も音源方向に応じて変化していることが分かる。
図3は、音源方向に応じた両耳インパルス応答の到達時間(以下、単に到達時間という)の変化を示す。なお、同図では、左右各耳について到達時間が最小になる音源方向との到達時間の差を示している。同図に示すように、到達時間は、左耳については90°方向(右手方向)で最大となり、右耳については90°方向で最小となるように変化する。なお、図3に示すように音源方向に応じた到達時間の変化を表す特性を、以下、到達時間変化特性という。
ここで、音源方向に応じた両耳インパルス応答の瞬時値の変化を求めるため、図2に示す両耳インパルス応答を、各音源方向について到達時間が同じになるように補正する。すなわち、到達時間が最小となる音源方向(右耳は0°、左耳は90°)を基準として、この音源方向の到達時間と同じになるように、他の音源方向の各両耳インパルス応答波形の時間軸をずらすのである。以下、このように到達時間を補正した両耳インパルス応答を、補正両耳インパルス応答という。
図4に、補正両耳インパルス応答を示す。同図に示すように、補正両耳インパルス応答について、同じサンプル時刻での応答の値(本出願において瞬時値という)を結ぶことにより、音源方向に応じた両耳応答の値の変化を求めることができる。以下、音源方向に応じた両耳インパルス応答の瞬時値の変化を表す特性を瞬時値変化特性という。
図5は、補正両耳インパルス応答の瞬時値が最大となるサンプル時刻についての瞬時値変化特性を示す。なお、図5では、両耳インパルス応答の実測値を「+」印で示し、45°毎の実測値を4次関数で近似したときの近似曲線を実線で示し、従来例との比較のため前記した45°毎の実測値の補間直線を破線で示している。同図に示すように、4次関数近似を行うことにより、45°毎の実測値を用いるだけで、補間直線で近似する場合に比べて、5°毎の実測値を非常に良く近似できることが分かる。
また、図6は、図2(b)に示す右耳の到達時間変化特性について、45°毎の実測値を4次関数で近似した曲線を実線で示す図であり、従来例との比較のため、前記した45°毎の実測値の補間直線を破線で示す。同図に示すように、到達時間変化特性についても、4次関数近似を行うことにより、45°毎の実測値を用いるだけで5°毎の実測値を非常に良く近似できることが分かる。なお、左耳についても同様に、例えば4次関数により到達時間変化特性を良く近似することが可能である。
以上のように、聴取者に対して音源が移動するときの両耳インパルス応答の到達時間は音源方向に応じて変化し、また、補正両耳インパルス応答の各サンプル時刻の瞬時値も音源方向に応じて変化する。そして、それらの変化は何れも、音源方向が例えば45°毎という粗い間隔の実測値から求めた近似関数によって良く近似することができる。したがって、各サンプル時刻での瞬時値変化特性の近似関数から、図7に示すように、各音源方向での到達時間が等しい両耳インパルス応答(図4の補正両耳インパルス応答に相当)を推定し、さらに、この両耳インパルス応答に、近似関数で近似した到達時間変化特性に応じた到達時間を与えることにより、図8に示すような元の両耳インパルス応答を再現することができる。
このように、音源方向が45°毎の両耳インパルス応答を用いるだけで、音源方向が連続的に変化する両耳インパルス応答を精度よく推定できるのである。そして、この推定した両耳インパルス応答を用いて、各音源方向の両耳インパルス応答と、音源信号とを畳み込むことにより、音源10が実際に移動する場合に聴取される音に非常に良く近似したリアルな移動音を生成することができる。
図9は、本実施形態において実行される上記処理手順の概要を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、ステップ100において、例えば45°毎の音源方向について両耳インパルス応答を測定する。次に、ステップ102において、測定した各両耳インパルス応答の到達時間を求め、ステップ104において、到達時間変化特性の近似関数f(θ),f(θ)を決定する。ただし、θは音源方向を表す変数である。
次に、ステップ106において、測定した各両耳インパルス応答について到達時間が一致するように時間軸を補正し、ステップ108において、補正した両耳インパルス応答から瞬時値変化特性の近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)を決定する。
なお、これら近似関数f,gのサフィックスL,Rは、夫々、左耳,右耳についての近似関数であることを表し、また、近似関数gのサフィックスtはサンプル時刻を表す。すなわち、瞬時値変化特性の近似関数g,gはサンプル時刻t=0〜N−1(Nは総サンプル数)の夫々について決定される。
次にステップ110において、近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)を用いて図4に示すような到達時間が揃った補正両耳インパルス応答を生成し、ステップ112において、生成した補正両耳インパルス応答に到達時間変化特性の近似関数f(θ),f(θ)に応じた到達時間を付加することにより、図8に示すような両耳インパルス応答を生成する。
そして、ステップ114において、音源信号と各音源方向の両耳インパルス応答とを畳み込むことにより移動音を生成する。
図10は、本実施形の移動音生成装置1の機能ブロック図である。同図に示すように、移動音生成装置1は、両耳応答測定部30、到達時間検出部31、到達時間関数近似部32、到達時間補正部34、瞬時値関数近似部36、両耳応答推定部38、音源信号発生部40、及び、移動音生成部42の各機能部と、両耳応答記憶部44及び近似関数記憶部46の各記憶部とを備えている。移動音生成装置1は、例えばコンピュータシステムにより構成されており、機能部30〜42はCPUがプログラムを実行することにより実現され、また、記憶部44,46はメモリやハードディスク等の記憶装置上に設けられる。ただし、機能部30〜42の一部又は全部を専用のハードウェア回路により構成することも可能である。
両耳応答測定部30には、聴取者12の位置に設けられたダミーヘッドマイクロフォン50の左右各チャンネルの出力信号ラインが接続され、インパルス音源52を聴取者12の正面から背面まで所定の角度d(例えば45°)ずつ移動させてM個の方向(d=45°の場合5方向)の両耳インパルス応答を測定する。すなわち、インパルス音源52を角度θ=i・dの方向(i=0〜M−1)に配置したときの左右各耳のインパルス応答hL,i(t),hR,i(t)を両耳インパルス応答として測定する。測定された両耳インパルス応答は両耳応答記憶部44に格納される。なお、上記したように、両耳インパルス応答hL,i(t),hR,i(t)における時間tはサンプル時刻を表すものとしているので、t=0〜N−1(Nは総サンプル数)である。
到達時間検出部31は、両耳応答記憶部44に格納された両耳インパルス応答hL,i(t),hR,i(t)について到達時間TL,i,TR,iを求める。具体的には、例えば、両耳インパルス応答hL,i(t),hR,i(t)が最初にピーク値に達した時間を到達時間TL,i,TR,iとする。
到達時間関数近似部32は、上記のように求めた到達時間TL,i,TR,iに基づいて、到達時間変化特性の近似関数f(θ),f(θ)を例えば4次多項式関数として求める。すなわち、左耳について、M個の到達時間TL,0〜TL,M−1を近似するような近似関数f(θ)を、また、右耳について、M個の到達時間TR,0〜TR,M−1を近似するような近似関数f(θ)を、例えば最小二乗法により求める。
到達時間補正部34は、両耳応答記憶部44に格納された左右各耳のインパルス応答hL,0(t)〜hL,M−1(t),hR,0(t)〜hR,M−1(t)が夫々互いに等しくなるように各応答の時間軸を補正する。具体的には、hL,0(t)〜hL,M−1(t),hR,0(t)〜hR,M−1(t)の到達時間をTL,0〜TL,M−1,TR,0〜TR,M−1として、左右夫々の最小値をTL,min,TR,minとしたとき、次のように補正する。
左耳について:h’L,i(t)=hL,i(t+(TL,i−TL,min))
右耳について:h’R,i(t)=hR,i(t+(TR,i−TR,min))
(i=0〜M−1)
瞬時値関数近似部36は、上記のように補正した両耳インパルス応答h’L,i(t),h’R,i(t)から瞬時値変化特性の近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)を求める。具体的には、各サンプル時刻tについて、左右各耳について、M個の応答関数値h’L,0(t)〜h’L,M−1(t),h’R,0(t)〜h’R,M−1(t)を近似するような近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)を、例えば最小二乗法により求める。
以上のように求められた近似関数f(θ),f(θ)及びgL,t(θ),gR,t(θ)は、近似関数記憶部46に格納される。なお、本実施形態では、近似関数f(θ),f(θ)を例えば4次関数としているので、左右夫々5つの係数が求められることとなり、それらの係数値が近似関数記憶部46に格納される。このように多項式近似を行うことにより、近似関数を記憶するのに必要な記憶容量は極く小さくて済む。
両耳応答推定部38は、近似関数記憶部46に格納された近似関数f(θ),f(θ)及びgL,t(θ),gR,t(θ)を用いて、音源方向θの連続的な関数としての両耳インパルス応答h(e) (θ,t), h(e) (θ,t)を推定する。具体的には、先ず、瞬時値変化特性の近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)(t=0〜N−1)を夫々サンプル時刻tを変数とする関数とみなして、到達時間が揃った補正両耳インパルス応答h’L,θ(t),h’R,θ(t)を推定する。この補正両耳インパルス応答h’L,θ(t),h’R,θ(t)を到達時間遅延特性の近似関数gL,t(θ),gR,t(θ)から定まる到達時間だけ時間を遅延させることにより、両耳インパルス応答を推定する。すなわち、
L,θ (e)(t)=hL,θ(t−gL,t(θ))
R,θ (e)(t)=hR,θ(t−gR,t(θ))
とする。
音源信号発生部40は再生すべき移動音源の音源信号を発生し、移動音生成部42は、両耳応答推定部38により推定された両耳インパルス応答と、音源信号発生部40による発生された音源信号とを畳み込むことにより、左右各チャンネルの音信号を生成する。こうして生成された音信号は、聴取者12が装着するヘッドフォンの左右各チャンネルに入力され、聴取者12は音源が移動するかのような音を聴取できることとなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、音源が移動する場合にその移動経路上の例えば45°毎といった粗い間隔の位置について測定した両耳インパルス応答に基づいて、前記移動経路上の各位置での両耳インパルス応答を推定できる。このため、音源の移動経路上の多数の点について両耳インパルス応答を測定する場合に比べて測定の手間を格段に抑えることができると共に、測定した両耳インパルス応答を記憶するための記憶容量も大幅に削減できる。
なお、上記実施形態では、近似関数f、gを例えば4次の多項式関数としたが、これに限らず、2次、3次、あるいは5次以上など、他の高次多項式関数で近似しても良いし、多項式関数に限らず、適宜な関数で近似してもよい。
また、上記実施形態では、例えば45°毎の音源方向について両耳インパルス応答を測定し、その測定結果に基づいて近似関数f,gを求めたが、これに限らず、両耳インパルス応答を実測する音源方向の間隔は適宜設定できる。
また、上記実施形態では、音源が聴取者を中心とする円弧上を移動し、音源と聴取者との距離は変わらないものとしたが、音源方向だけではなく距離も変化する場合には、移動音生成部42による移動音生成処理の際に、音源との距離に応じて、両耳インパルスの到達時間及び瞬時値を修正すればよい。すなわち、到達時間は距離に比例し、また、瞬時値(音圧)は距離に反比例するので、これらを考慮して到達時間及び瞬時値を修正することができる。
音源が聴取者に対して移動していく様子を示す図である。 音源が聴取者正面(0°)から右手方向(90°)を通って真後ろ(180°)まで移動した場合の両耳インパルス応答を測定した結果を示すものであり、同図(a)は左耳(移動音源と反対側の耳)についての測定結果を、同図(b)は右耳(移動音源と同じ側の耳)についての測定結果を示している。 音源方向に応じた両耳インパルス応答の到達時間の変化を示す図である。 各音源方向で到達時間が同じとなるように時間軸方向を補正した補正両耳インパルス応答を示す図である。 補正両耳インパルス応答の瞬時値が最大となるサンプル時刻についての瞬時値変化特性を示す図である。 図2(b)に示す右耳の到達時間変化特性について、45°毎の実測値を4次関数で近似した曲線を実線で示す図であり、従来例との比較のため、前記した45°毎の実測値の補間直線を破線で示している。 瞬時値変化特性の近似関数から推定した各音源方向での到達時間が等しい両耳インパルス応答を示す図である。 図7の両耳インパルス応答に、近似関数で近似した到達時間変化特性に応じた到達時間を与えることにより再現した両耳インパルス応答を示す図である。 本実施形態において実行される上記処理手順の概要を示すフローチャートである。 本実施形の移動音生成装置の機能ブロック図である。
符号の説明
1 移動音生成装置
30 両耳応答測定部
31 到達時間検出部
32 到達時間関数近似部
34 到達時間補正部
36 瞬時値関数近似部
38 両耳応答推定部
40 音源信号発生部
42 移動音生成部
44 両耳応答記憶部
46 近似関数記憶部

Claims (6)

  1. 音源が移動する場合の移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答を推定する両耳インパルス応答推定装置であって、
    前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定する両耳応答測定部と、
    前記測定した両耳インパルス応答を記憶する両耳応答記憶部と、
    前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出する到達時間検出部と、
    前記到達時間検出部により検出された到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定する到達時間関数近似部と、
    前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定する瞬時値関数近似部と、
    前記決定された到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定する両耳応答推定部と、を備えることを特徴とする両耳インパルス応答推定装置。
  2. 前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、前記到達時間が互いに等しくなるように時間軸を補正する到達時間補正部を備え、
    前記瞬時値関数近似部は、前記補正された両耳インパルス応答について互いに同時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似することを特徴とする請求項1記載の両耳インパルス応答推定装置。
  3. 前記到達時間関数近似部及び前記瞬時値関数近似部は、夫々、前記到達時間近似関数及び前記瞬時値近似関数を2次以上の多項式関数として決定することを特徴とする請求項1又は2記載の両耳インパルス応答推定装置。
  4. 音源が移動する場合の移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答を推定する両耳インパルス応答推定方法であって、
    前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定するステップと、
    前記測定した両耳インパルス応答を記憶するステップと、
    前記記憶した両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出するステップと、
    前記検出した到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定するステップと、
    前記記憶した両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定するステップと、
    前記決定した到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定するステップと、を備えることを特徴とする両耳インパルス応答推定方法。
  5. 音源が移動する場合に移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答に基づいて前記聴取者の位置で聴取される音を再生する移動音再生装置であって、
    前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定する両耳応答測定部と、
    前記測定した両耳インパルス応答を記憶する両耳応答記憶部と、
    前記両耳応答記憶部に記憶された両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出する到達時間検出部と、
    前記到達時間検出部により検出された到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定する到達時間関数近似部と、
    前記記憶した両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定する瞬時値関数近似部と、
    前記決定された到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定する両耳応答推定部と、
    前記音源の音信号を発生する音源信号発生部と、
    前記推定した両耳インパルス応答と前記音源信号発生部が発生した音源の音信号とを畳み込むことにより、前記音源が移動する場合に前記聴取者の位置で聴取される音を生成する移動音生成部と、を備えることを特徴とする移動音再生装置。
  6. 音源が移動する場合の移動経路上の各音源位置から聴取者の左右各耳までのインパルス応答である両耳インパルス応答に基づいて前記聴取者の位置で聴取される音を再生する移動音再生方法であって、
    前記移動経路上の複数の所定位置での前記両耳インパルス応答を測定するステップと、
    前記測定した両耳インパルス応答を記憶するステップと、
    前記記憶した両耳インパルス応答について、音源位置から聴取者の耳位置までの音の到達時間を検出するステップと、
    前記検出した到達時間に基づいて、前記到達時間を音源位置の関数として近似する到達時間近似関数を決定するステップと、
    前記記憶した両耳インパルス応答について、互いに対応する各時刻での瞬時値を音源位置の関数として近似する瞬時値近似関数を決定するステップと、
    前記決定された到達時間近似関数及び瞬時値近似関数に基づいて、前記移動経路上の各位置での前記両耳インパルス応答を推定するステップと、
    前記音源の音信号を発生するステップと、
    前記推定した両耳インパルス応答と前記発生した音源の音信号とを畳み込むことにより、前記音源が移動する場合に前記聴取者の位置で聴取される音を生成するステップと、を備えることを特徴とする移動音再生方法。

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