JP2006086495A - 有機半導体トランジスタ素子およびその製造方法 - Google Patents

有機半導体トランジスタ素子およびその製造方法 Download PDF

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弘朗 森山
Mieko Seki
三枝子 関
Hiroto Yoneyama
博人 米山
Daisuke Okuda
大輔 奥田
Hidekazu Hirose
英一 廣瀬
Tadayoshi Ozaki
忠義 尾崎
Toru Ishii
徹 石井
Kiyokazu Mashita
清和 真下
Katsuhiro Sato
克洋 佐藤
Yohei Nishino
洋平 西野
Takeshi Agata
岳 阿形
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Abstract

【課題】動作速度が速く且つ製造が容易な有機半導体トランジスタ素子を提供すること。
【解決手段】ソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と導通可能に設けられた有機半導体と、該有機半導体に対して絶縁され且つ電場を印加することが可能なゲート電極とを少なくとも含む有機半導体トランジスタ素子において、前記有機半導体が、少なくとも1種以上の下記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機半導体トランジスタ素子。
Figure 2006086495

【選択図】 なし

Description

本発明は、有機半導体を利用した有機半導体トランジスタ素子およびその製造方法に関するものであり、より詳細には、電子ペーパーあるいはデジタルペーパー、有機EL素子、電気泳動型表示素子、液晶素子等の表示素子の駆動回路、電子タグ、スマートカード等に用いる理論回路およびメモリー素子、ガスセンサー等の分野に好適に使用できる有機半導体トランジスタ素子およびその製造方法に関する。
薄膜トランジスタは、液晶表示素子等の表示用スイッチング素子として幅広く用いられている。従来、薄膜トランジスタは、アモルファスや多結晶のシリコンを用いて作製されている。しかし、このようなシリコンを用いた薄膜トランジスタの作製には、スパッタリング、CVD装置、その他の真空系を用いた製造プロセスが用いられるが、大変高額である。さらには薄膜トランジスタを作製するために真空系の製造プロセスを繰り返し行い、半導体層等の各層を形成するため、薄膜トランジスタを用いた表示装置等の大型化は製造コストの大幅な増加を伴う問題点があった。
また、アモルファスや多結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に高い温度で行なわれ、基材として用いられる材料が限定されてしまう。従って、軽量でフレキシビリィがある樹脂基板等は使用できないという問題点があった。
一方、近年有機EL素子等に代表される有機半導体の研究が盛んに行なわれている。それとともにシリコン材料には無い軽量性、柔軟性という特徴を有する有機材料を回路に組み込もうとする研究が報告されるようになってきた。
このような薄膜トランジスタに用いる有機物としては、低分子化合物および高分子化合物が用いられる。低分子化合物としては、ペンタセン、テトラセン等のポリアセン化合物(例えば、特許文献1〜3参照)、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物(例えば、特許文献4,5参照)が提案されている。
しかし、低分子化合物の場合、シリコンと同じ真空系を用いた製造プロセスを繰り返す必要があり、製造プロセス上の問題は依然解消されていない。
また、高分子化合物としては、セクシチオフェン等の芳香族オリゴマー(例えば、特許文献6参照)、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の高分子化合物(例えば、特許文献7〜10、非特許文献1参照)が提案されている。
このような、高分子化合物は、可溶性が大きく、スピンコーティングやディプコーティングなど低コストの技術で成膜が可能であるので製造プロセスで有利であるが、キャリア移動度が低いという問題点があった。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)においては、可溶前駆体をスピンコート後、熱処理するため、主鎖共役系高分子中に欠陥が入りやすく電気特性を著しく低下させる問題点があった。
特開平5−55568号公報 特開平10−270712号公報 特開2001−94107号公報 特開平5−190877号公報 特開2000−174277号公報 特開平8−264805号公報 特開平8−228034号公報 特開平8−228035号公報 特開平10−125924号公報 特開平10−190001号公報 Appl.Phys.Lett., Vol.73,108(1998)
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、溶剤や樹脂に対する溶解性及び相溶性に優れ、高いキャリア移動度を有する電荷輸送性ポリエーテルを用い、動作速度が速く、且つ、製造が容易な有機半導体トランジスタ素子を提供することを課題とする。
上記目的を達成するためキャリア輸送性を有する高分子化合物に関し鋭意検討した結果、下記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造より選択された少なくとも1種を部分構造として含む電荷輸送性ポリエーテルが、有機半導体トランジスタ素子として好適なキャリア移動度、薄膜形成能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機半導体トランジスタ素子は、
<1>
ソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と導通可能に設けられた有機半導体と、該有機半導体に対して絶縁され且つ電場を印加することが可能なゲート電極とを少なくとも含む有機半導体トランジスタ素子において、
前記有機半導体が、少なくとも1種以上の下記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機半導体トランジスタ素子である。
Figure 2006086495
〔一般式(I−1)および(I−2)において、Arは置換もしくは未置換の1価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは置換もしくは未置換の2価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の2価の分枝鎖状炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表し、kは0または1の整数を表す。〕
<2>
前記有機半導体が、下記一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする<1>に記載の有機半導体トランジスタ素子である。
Figure 2006086495
〔一般式(II)中、Aは前記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5から5000の整数を表す。〕
<3>
<1>または<2>に記載の有機半導体トランジスタ素子を、溶媒中に溶解させた前記電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種以上含む溶液を用いて製造する有機半導体トランジスタ素子の製造方法であって、
前記有機半導体が、前記溶液に外部刺激を付与して、前記溶液をノズルから液滴状に吐出させる方法を利用して形成されることを特徴とする有機半導体トランジスタ素子の製造方法である。
<4>
前記外部刺激が圧力であることを特徴とする<3>に記載の有機半導体トランジスタ素子の製造方法である。
<5>
溶媒中に溶解させた前記電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種以上含む溶液を用い、
前記溶媒を含んだ状態の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を乾燥させる乾燥工程とを少なくとも経ることにより<1>または<2>に記載の有機半導体トランジスタ素子を製造する有機半導体トランジスタ素子の製造方法であって、
前記乾燥工程が、酸素濃度が100ppm以下、且つ、水分濃度が100ppm以下の環境下で実施されることを特徴とする有機半導体トランジスタ素子の製造方法である。
以上に説明したように本発明によれば、溶剤や樹脂に対する溶解性及び相溶性に優れ、高いキャリア移動度を有する電荷輸送性ポリエーテルを用い、動作速度が速く、且つ、製造が容易な有機半導体トランジスタ素子を提供することができる。
本発明の有機半導体トランジスタ素子は、ソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と導通可能に設けられた有機半導体と、該有機半導体に対して絶縁され且つ電場を印加することが可能なゲート電極とを少なくとも含む有機半導体トランジスタ素子において、前記有機半導体が、少なくとも1種以上の下記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする。
この電荷輸送性ポリエーテルは、動作時の熱安定性、溶剤や樹脂に対する溶解性及び相溶解性に優れ、キャリア移動度が高く、さらに、本発明の有機半導体トランジスタ素子は、前記電荷輸送性ポリエーテルを含有してなる有機半導体を有しているため、動作速度が速く且つ製造が容易である。
Figure 2006086495
一般式(I−1)および(I−2)において、Arは置換もしくは未置換の1価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは置換もしくは未置換の2価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の2価の分枝鎖状炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表し、kは0または1の整数を表す。
一般式(I−1)または(I−2)中において、Arを表す構造として選択される多核芳香族炭化水素及び縮合多環芳香族炭化水素は特に限定されない。なお、当該多核芳香族炭化水素及び縮合芳香族炭化水素とは、本発明においては、具体的には以下に定義される芳香族炭化水素であることを意味する。
すなわち、「多核芳香族炭化水素」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、芳香環同士が炭素―炭素結合によって結合している炭化水素を表す。具体的には、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられる。また、「縮合芳香族炭化水素」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、芳香環同士が1対の炭素原子を共有している炭化水素を表す。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン等が挙げられる。
また、複素環は、その環骨格を構成する原子数(Nr)が、Nr=5及び/又は6が好ましく用いられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は特に限定されないが、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が好ましく用いられ、前記環骨格中には2種類以上及び/又は2個以上の異種原子が含まれてもよい。特に5員環構造をもつ複素環として、チオフェン、ピロール及びフラン、または、前記化合物の3位および4位の炭素を窒素で置き換えた複素環が好ましく用いられ、6員環構造を持つ複素環として、ピリジンが好ましく用いられる。
ベンゼン環、多核芳香族炭化水素または縮合芳香族炭化水素の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルコキシル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる、アラルキル基としては、炭素数7〜20のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
Xは置換もしくは未置換の2価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、具体的には下記の式(1)〜(13)から選択された基が挙げられる。
Figure 2006086495
式中、R3からR18は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のアラルキル基、または、ハロゲン原子を表し、aは0または1を意味し、bは0〜10の整数を意味する。Vは下記の式(14)〜(34)から選択された基を表す。
Figure 2006086495
20およびR21は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のアラルキル基、または、ハロゲン原子を表し、R19は水素原子、アルキル基、シアノ基を表し、bは1〜10の整数を意味し、cは0〜10の整数を意味する。
一般式(I−1)および(I−2)中、Tは、炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の2価の分枝鎖状炭化水素基を示し、好ましくは炭素数が2〜6の2価の直鎖状炭化水素基および炭素数3〜7の2価の分枝鎖状炭化水素基より選択される。具体的な構造を以下に示す。
Figure 2006086495
表1〜43に一般式(I−1)で示される電荷輸送性ポリエーテルの具体例を、表44〜86に一般式(I−2)で示される電荷輸送性ポリエーテルの具体例を示すが、本発明に用いられる電荷輸送性ポリエーテルはこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006086495
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一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも一種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルとしては、特に限定するものではないが、下記一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることが好適である。
Figure 2006086495
一般式(II)中、Aは一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、一つのポリマー中に2種類以上の構造Aが含まれてもよい。また、pは5から5000の整数を表す。
以下に、一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルの具体例を表87、88示すが、本発明に用いられる電荷輸送性ポリエーテルはこれらの具体例に限定されるものではない。
ここで、表87、88における「繰り返し単位」の「A」の欄の番号は、表1〜86の「構造」欄に記載された番号の化合物(前記一般式(I−1)および(I−2)の具体例)に対応しており、2種類以上の番号が示されている場合には、各々の番号に対応する「A1」の欄に示される化合物の分子中での比率が、「比率」の欄に示されている。また、mは一般式(I−1)および(I−2)におけるmを意味し、pは一般式(II)におけるpを意味する。なお、以下の説明において、表87、88中に示す「化合物」の欄の番号Xに対応したの化合物を指す場合には、「例示化合物(X)」と称す。
Figure 2006086495
Figure 2006086495
本発明に用いられる電荷輸送性ポリエーテルは、下記一般式(III−1)および(III−2)で示されるヒドロキシル基を有する化合物(モノマー)を分子間で縮合させることによって、容易に製造することができる。
なお、下記一般式(III−1)および(III−2)中、Ar、X、T、m、kは前述の一般式(I−1)および(I−2)に示したものと同様である。
Figure 2006086495
一般式(II)に示すような電荷輸送性ポリエーテルは、例えば、以下のように合成することができる。
1)上記電荷輸送性ポリエーテルは、上記一般式(III−1)や(III−2)に示されるような末端に2個のヒドロキシ基を有するモノマーを加熱脱水縮合する方法によって合成することができる。
この場合、無溶媒でモノマーを加熱溶融し、水の脱離による重合反応を促進させモノマーを加熱溶融し、水の脱離による重合反応を促進させるため減圧下で反応させることが望ましい。また、溶媒を使用する場合は、水の除去のため、水と共沸する溶媒、例えば、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。重合が進まない場合には、反応系から溶媒を除去し、粘ちょう状態で加熱撹拌してもよい。
2)上記電荷輸送性ポリエーテルは、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸、あるいは塩化亜鉛等のルイス酸を用い脱水縮合する方法によって合成することもできる。
この場合、モノマー1当量に対して、酸触媒を1〜1/10000〜1/10当量、好ましくは1/1000〜1/50当量の範囲で用いる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いるのが好ましい。溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
3)上記電荷輸送性ポリエーテルは、イソシアン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアンン化シクロヘキシル等のイソシアン化アルキル、シアン酸p−トリルや2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン等のシアン酸エステル、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、トリクロロアセトニトリル等の縮合剤を用いる方法によっても合成することができる。
この場合、縮合剤は、モノマー1当量に対して、1/2〜10当量、好ましくは1〜3当量の範囲で用いられる。溶剤として、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、室温から溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
なお、上記1)、2)および3)の合成法のうち、異性化や副反応が起こりにくいことから、合成法1)または3)が好ましい。特に、合成法3)が、反応条件がより穏和なことからより好ましい。
反応終了後、溶剤を用いなかった場合は溶解可能な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、そのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエーテルを析出させ、分離した後、水や有機溶剤で十分に洗浄し、乾燥させる。さらに必要であれば、適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエーテルを析出させる再沈澱処理を繰り返してもよい。再沈澱処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。
再沈澱処理の際に電荷輸送性ポリエーテルを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリエーテル1当量に対して、1〜100当量、好ましくは2〜50当量の範囲で用いられる。また、電荷輸送性ポリエーテル1当量に対して、1〜1000当量、好ましくは10〜500当量の範囲で用いられる。さらに、上記反応において、電荷輸送性ポリエーテルを2種以上、好ましくは2〜5種、さらに好ましくは2〜3種用いることにより、共重合ポリマーの合成も可能である。異種の電荷輸送性ポリエーテルを共重合することによって、電気特性、成膜性、溶解性を制御することができる。
電荷輸送性ポリエーテルの重合度は、低すぎると成膜性に劣り、強固な膜が得られにくく、また、高すぎると溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなるため、5〜5000の範囲であることが好ましく、10〜3000であることがより好ましく、15〜1000が更に好ましい。
電荷輸送性ポリエーテルの末端基は、ヒドロキシル基、すなわち、一般式(II)においてはRが水素原子であってよいが、溶解性、成膜性、モビリティー等のポリマー物性に影響を及ぼす場合には、末端基Rを修飾し物性を制御することができる。例えば、末端のヒドロキシル基を、硫酸アルキル、ヨウ化アルキル等でアルキルエーテル化することができる。
具体的な試薬としては、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウム金属等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。反応温度は、0℃から使用する溶剤の沸点で行うことができる。
また、その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の不活性溶剤から選んだ単独溶剤、あるいは2〜3種の混合溶剤が使用できる。また、反応によっては、相間移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド等の第4級アンモニウム塩を使用することもできる。
また、末端のヒドロキシル基を、酸ハロゲン化物を用いアシル化して、基Rをアシル基にすることもできる。酸ハロゲン化物は特に限定するものではないが、例えばアクリロイルクロリド、クロトノイルクロリド、メタクリロイルクロリド、n−ブチルクロリド、2−フロイルクロリド、ベンゾイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、エナンチルクロリド、フェニルアセチルクロリド、o−トルオイルクロリド、m−トルオイルクロリド、p−トルオイルクロリド等があげられ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際、塩基触媒を用いることができるが、塩基触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等から任意に選ぶことができ、酸クロリドに対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、塩化メチルン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等があげられる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、0℃から30℃の範囲で行う。さらに、無水酢酸等の酸無水物を用いてもアシル化することができる。溶剤を用いる場合は、具体的には、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶剤を使用することができる。反応は、0℃から溶剤の沸点で行うことができる。好ましくは、50℃から溶剤の沸点で行えばよい。
そのほか、モノイソシアネートを用い、末端にウレタン残基(−CONH−R′)を導入することができる。
具体的なモノイソシアネートとしては、イソシアン酸ベンジルエステル、イソシアン酸n−ブチルエステル、イソシアン酸t−ブチルエステル、イソシアン酸シクロヘキシルエステル、イソシアン酸2,6−ジメチルエステル、イソシアン酸エチルエステル、イソシアン酸イソプロピルエステル、イソシアン酸2−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸4−メトキシフェニルエステル、イソシアン酸n−オクタデシルエステル、イソシアン酸フェニルエステル、イソシアン酸i−プロピルエステル、イソシアン酸m−トリルエステル、イソシアン酸p−トリルエステル、イソシアン酸1−ナフチルエステル等から任意に選ぶことができ、末端のヒドロキシル基に対し1〜3当量、好ましくは1〜2当量の範囲で用いる。
その際用いる溶剤として、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。反応温度は、0℃から使用溶剤の沸点で行うことができる。反応が進みにくい場合は、ジラウリン酸ジブチルスズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ナフテン酸鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の3級アミンを触媒として添加することもできる。
次に、本発明の有機半導体トランジスタ素子の構成について具体例を挙げて詳細に説明する。
本発明の有機半導体トランジスタ素子は、ソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と導通可能に設けられた有機半導体と、該有機半導体に対して絶縁され且つ電場を印加することが可能なゲート電極と、を少なくとも含む構成を有するものである。
ここで、前記有機半導体には上記説明した少なくとも1種以上の電荷輸送性ポリエーテルが含まれる。なお、本発明の有機半導体トランジスタ素子の形状は、必要に応じて、所望の形状とすることができるが、薄膜状であることが好ましい。
以下、図を参照しつつ、本発明の有機半導体トランジスタ素子の構成についてより詳細に説明するが、これに限定されるわけではない。
図1〜図3は、本発明の有機半導体トランジスタ素子の構成の一例を示す模式断面図である。ここで、図1および2は、本発明の有機半導体トランジスタ素子が、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)構造を有している場合について示したものである。また、図3は、本発明の有機半導体トランジスタ素子が、静電誘導トランジスタ(Static Induction Transitor)構造を有している場合について示したものである。
図1〜3中、機能が共通する部材には同一の符号が付してあり、1が基板、2がソース電極、3がドレイン電極、4が有機半導体層、5がゲート電極、6が絶縁層を表す。以下、図1〜3に示す本発明の有機半導体トランジスタ素子の構成について順に説明する。
図1に示す本発明の有機半導体トランジスタ素子は、基板1上にゲート電極5、絶縁層6がこの順に設けられ、この絶縁層6上に、ソース電極2およびドレイン電極3とが離間した位置に設けられると共に、ソース電極2およびドレイン電極3を被覆するように有機半導体層4が設けられている。
また、図2に示す本発明の有機半導体トランジスタ素子は、基板1上にゲート電極5、絶縁層6がこの順に設けられ、この絶縁層6上に、ソース電極2、および、このソース電極2の絶縁層6と接する側と反対側の面も覆うように有機半導体層4が設けられている。さらに、ドレイン電極3が、有機半導体層4の絶縁層6が設けられた側と反対側の面上で、ソース電極2に対して基板1の平面方向に離間した位置に設けられている。
さらに、図3に示す本発明の有機半導体トランジスタ素子は、基板1上にソース電極2、有機半導体層4、ドレイン電極3がこの順に積層され、複数のゲート電極5が、有機半導体層4中に設けられる(図3に示す例では、4つのゲート電極5が、基板1の平面方向と平行且つ等間隔に配置されている)。
なお、ゲート電極5は、紙面に対して垂直方向に、ソース電極2及びドレイン電極3の双方と平行になるように配置され、各々のゲート電極5同士も相互に平行となるように設けられている。また、図3中、ゲート電極5と、有機半導体層4とは、両者の界面に設けられた不図示の絶縁層により絶縁されている。
図1〜図3に示すような有機半導体トランジスタ素子においては、ゲート電極5に印加される電圧によってソース電極2とドレイン電極3との間に流れる電流を制御することができる。
なお、本発明の有機半導体トランジスタ素子を用いて、何らかの電子デバイスを作製する場合には、基板上に、1個以上の本発明の有機半導体トランジスタ素子を搭載した構成(半導体装置)として利用することができ、この半導体装置に、さらに他の素子や回路等を組み合わせることにより所望の電子デバイスを作製することができる。
次に、有機半導体部分を除く、本発明の有機半導体素子や半導体装置を構成する各部材について詳細に説明する。
ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極に用いられる電極材料としては、効率よく電荷注入することができる材料が用いられ、具体的には、金属、金属酸化物、導電性高分子等が使用される。
金属としてはマグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、タンタル、インジウム、パラジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)等の金属酸化膜があげられる。
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリピリジン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等があげられる。
また、電極に用いられる材料と有機半導体(層)に用いられる上述した高分子化合物とのイオン化ポテンシャルの差が大きいと電荷注入特性が悪くなるため、ドレイン電極および/またはソース電極に用いられる材料のイオン化ポテンシャルと、有機半導体(層)に用いられる高分子化合物とのイオン化ポテンシャルの差が1.0eV以内であることが好ましく、特に0.5ev以内であることがさらに好ましい。また、このような電極−高分子化合物間のイオン化ポテンシャルの差という観点からは、電極材料としては、特にAuを用いることが好ましい。
電極の形成方法としては、上記の電極材料を蒸着法や、スパッタ等の公知の薄膜形成方法を用いて作製した薄膜を、公知のフォトリソグラフィー法やリフトオフ法を利用して形成したり、インクジェット等によりレジストを用いて所望のパターン(電極形状)にエッチングする方法や、アルミニウムなどの電極材料を直接熱転写する方法が利用できる。また、電極材料として導電性高分子を用いる場合には、これを溶媒に溶解させ、インクジェット等によりパターニングしても良い。
各電極間や、ゲート電極と有機半導体(層)とを絶縁する絶縁部材としては、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機物、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂等の有機絶縁高分子等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
基板としては、リン等を高濃度にドープしたシリコン単結晶やガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂等のプラスチック基板等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特に、電子ペーパーまたはデジタルペーパーや携帯電子機器等の可撓性を求められる電子デバイス(以下、「可撓性電子デバイス」と称す)に用いられる電子回路に本発明の有機半導体トランジスタ素子を用いる場合、基板として可撓性がある基板を用いることが望ましい。特に基板として曲げ弾性率が1000MPa以上、より好ましくは5000MPa以上である基板を用いることにより可撓性がある表示素子の駆動回路や電子回路に適応させることができる。
これは、本発明の有機半導体トランジスタ素子は、有機半導体部分が、上述したような高分子化合物を主成分として含むために十分な弾性を有しており、可撓性のある基板上に素子を形成しても、大きな変形や、変形の繰り返しに耐え、安定した性能を維持し続けることができるためである。一方、無機半導体トランジスタ素子では、半導体部分が無機材料からなるため、弾性に欠けているため、このような変形を前提とした使用は極めて困難である。さらに無機半導体トランジスタ素子を作製するプロセスは、高温を必要とするため基板にプラスチックを用いることが出来ないという不具合がある。また、有機半導体部分が低分子材料を主成分とするような有機半導体トランジスタ素子においても、高分子材料のような弾性には欠けているため、このような変形を前提とした使用は困難であるか、あるいは、信頼性に劣る。
なお、本発明において、「可撓性電子デバイス」とは、〔1〕その使用態様が、上述した電子ペーパーやデジタルペーパー等のように、電源のオン/オフ状態に係わらず、平坦な状態から曲げたり、撓ませたり、屈曲させたりした状態としたり、あるいは、その逆の態様で使用することが可能であり、〔2〕その構成が、基板と、該基板上に1個以上設けられた有機半導体トランジスタ素子とを少なくとも含み、〔3〕上記〔1〕項に説明したような可撓性が、有機半導体トランジスタ素子が設けられた基板部分において少なくとも求められる電子デバイスを意味する。
有機半導体部分を層状に形成する方法としては、特に液相成膜法を用いることが好ましく、例えば、スピンコート法、キャステング法、ディップ法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、インクジェット法、および各印刷手法等が用いられるが、これに限定されるものではない。
しかしながら、塗布後のエッチングによるパターン形成が不要であるため、製造工程が簡略化でき、また、有機半導体トランジスタ素子を大面積の基板上に多数形成する上でも高い生産性を得ることができるインクジェット法を利用することが好ましい。
すなわち、インクジェットプリンターに利用されているインクジェット記録による画像形成技術を、有機半導体トランジスタ素子の有機半導体部分の形成に利用することができる。
この場合、インクの代わりに、溶媒中に溶解させた電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種以上含む溶液(以下、インクジェット印刷にのみ利用する場合を「インクジェット用有機半導体溶液」と称し、インクジェット印刷に限定しない場合は単に「有機半導体溶液」と称す場合がある)を用いて、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴状の有機半導体溶液を吐出させることによって、基板上の所望の位置に所望の膜厚・形状の有機半導体を形成することができる。
また、液滴吐出ヘッドとしても、基本的な構成や原理は、インクジェットプリンターに用いられている記録ヘッドと同様のものが利用できる。すなわち、有機半導体溶液に圧力や熱等の外部刺激を付与することによって、インクジェット用有機半導体溶液をノズルから液滴状に吐出する方法(いわゆる圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式、熱沸騰現象を利用した熱インクジェット方式等)が利用できる。
しかしながら、本発明の有機半導体トランジスタ素子の製造に際しては、外部刺激は熱よりも圧力であることがより好ましい。外部刺激が熱である場合には、インクジェット用有機半導体溶液のノズルからの吐出から、基板上へ着弾した有機半導体溶液の溶媒の揮発による塗膜の形成(固化)というインクジェット印刷プロセスにおいて、インクジェット用有機半導体溶液の粘度が熱によって大きく変化してしまうため、レベリング性やパターニング精度の制御が困難になる場合がある。これに加えて、耐熱性に劣る電荷輸送性ポリエーテルが利用できなくなり、材料選択肢が狭くなってしまう場合がある。
また、インクジェット法を利用した本発明の有機半導体トランジスタ素子の製造に用いられる装置としては、上述した液滴吐出ヘッドの他に、必要に応じて、例えば、有機半導体トランジスタ素子を形成する対象である基板等の固定あるいは搬送手段や、液滴吐出ヘッドを基板平面方向に対して走査する液滴吐出ヘッド走査手段等を有していてもよい。
なお、インクジェット用有機半導体溶液は、上述したように電荷輸送性ポリエーテルと溶媒とを少なくとも含むものであればその組成や物性は特に限定されるものではないが、インクジェット用有機半導体溶液の粘度は、形成される膜厚によって異なるが、おおよそ25℃において0.01〜1000cpsの範囲内であることが好ましく、1〜100cpsの範囲内であることが好ましい。
粘度が0.01cps未満である場合には、基板上に着弾した有機半導体溶液が、基板平面方向に広がり易く、膜厚の制御が困難となったり、パターニング精度が劣化してしまう場合がある。また、粘度が1000cpsを超える場合には、インクジェット用有機半導体溶液の粘性が高すぎるために吐出不良を起こしやすくなる場合がある。
なお、インクジェット用有機半導体溶液の粘度は、電荷輸送性ポリエーテルや、必要に応じて添加されるその他の添加剤成分の含有量や、電荷輸送性ポリエーテルの分子量等を制御することによって、所望の値に調整することができる。
インクジェット用有機半導体溶液に用いられる溶媒としては、電荷輸送性ポリエーテルを溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、有機溶媒、例えば、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒等や、水、またこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
ここで、前記炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、オクタン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ラクトン、テトラリン、クメンなどが挙げられ、前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどが挙げられ、前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジベンジルエーテルなどが挙げられ、前記ハロゲン系溶媒としては、例えば、1,1−ジクロロエタン,1−フルオロエタン,2,2,2−トリフルオロエタン、,2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどが挙げられ、前記アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコールなどが挙げられる。
なお、上述したようなインクジェット法やその他の液相成膜法を利用して有機半導体トランジスタ素子を製造する場合、有機半導体部分は、有機半導体溶液を用い、溶媒を含んだ状態の塗膜を形成する塗膜形成工程と、この塗膜を乾燥させて有機半導体からなる膜を形成する乾燥工程とを少なくとも経ることによって形成される。
ここで、乾燥工程は、酸素濃度が100ppm以下、且つ、水分濃度が100ppm以下の環境下で実施されることが好ましい。酸素濃度や水分濃度が100ppmを超えると雰囲気中に酸素分子や水分子として存在する酸素原子が、電荷輸送性ポリエーテルを劣化させてしまう場合があり、乾燥時の加熱処理温度が高いとこのような劣化がより起こりやすくなるためである。
なお、酸素濃度は50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましい。また、水分濃度は50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましい。
さらに水分や酸素による有機半導体トランジスタ素子の劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al等の金属、MgO、SiO2、TiO2等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
以上に説明したように本発明の有機半導体トランジスタ素子は、有機半導体部分に使用する高分子化合物の種類や、素子の構成等を適宜選択することにより、オン/オフ比を102〜105程度の範囲内で有機半導体トランジスタ素子の用途に応じて調整することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。だだし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
ガラス基板上に真空蒸着により金を100nmの膜厚で成膜し、ゲート電極とした。次いで、ゲート電極上にスパッタリングによりSiO2を300nmの膜厚で絶縁層を形成し、更に、ソース電極およびドレイン電極として金属マスクを通して金を150nmの膜厚で成膜した。なお、ソース電極およびドレイン電極の間隔は50μmである。
その後、ソース電極およびドレイン電極と導通可能なように、例示化合物(39)を5重量%含むジクロロエタン溶液を目開き0.1μmのPTFEフィルターで濾過した有機半導体溶液を、ディップ法により厚さ0.150μmの薄膜を形成し、有機半導体トランジスタ素子を作製した。
なお、有機半導体薄膜は、予めソース電極とドレイン電極とが対向する領域と、この領域に接したソース電極およびドレイン電極の一部を除いてレジストによりマスキングした状態でディップ法により塗膜を形成し、続いて、この塗膜を酸素濃度が5ppm、水分濃度が5ppmの不活性ガス雰囲気下で130℃に乾燥処理するプロセスを経て形成した。
(実施例2)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(44)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(実施例3)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(51)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(実施例4)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(56)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(実施例5)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(61)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(実施例6)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(67)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(実施例7)
実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに例示化合物(76)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
(比較例1)
上記実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりに下記構造式(IV)で示される化合物を用い、ディップ法の代わりに蒸着法を利用して有機半導体薄膜を形成した他は実施例1と同様にして有機半導体トランジスタ素子を作製した。
Figure 2006086495
(比較例2)
上記実施例1で用いた例示化合物(39)の代わりにポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシル)−1,4−フェニレンビニレン]を用い、ディップ法の代わりに蒸着法を利用して有機半導体薄膜を形成した他は実施例1と同様に有機半導体トランジスタ素子を作製した。
−評価−
実施例および比較例で得られた有機半導体トランジスタ素子を半導体パラメーターアナライザー(アジレントテクノロジー社製、4155C)を用いて、ゲート電圧を印加した時の電流−電圧特性を測定し、キャリア移動度(線形領域)とオン/オフ比を算出した。
以上のように作製した有機半導体トランジスタ素子のオン/オフ比を、有機化合物層の形成に用いた電荷輸送性材料のキャリア移動度と共に表89に示す。表89からわかるように、いずれの実施例に示す有機半導体トランジスタ素子もゲート電極に印加する電圧(ゲート電圧)の変化に伴い、ソース電極・有機半導体層・ドレイン電極間を流れるドレイン‐ソース電流が変化するスイッチング特性を示し、良好なオンオフ比を示していた。
しかし、比較例では、有機半導体薄膜の形成に用いた電荷輸送性材料のキャリア移動度が低かったために、on/off比が、実施例1〜7の素子と比べて劣っていることがわかった。また、有機半導体薄膜の形成に際し、液相成膜法が利用できない/気相成膜法を利用しなければならない場合があった。
Figure 2006086495
本発明の有機半導体トランジスタ素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機半導体トランジスタ素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本発明の有機半導体トランジスタ素子の層構成の一例を示した概略構成図である。
符号の説明
1 基板
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 有機半導体層
5 ゲート電極
6 絶縁層

Claims (5)

  1. ソース電極と、ドレイン電極と、前記ソース電極および前記ドレイン電極と導通可能に設けられた有機半導体と、該有機半導体に対して絶縁され且つ電場を印加することが可能なゲート電極とを少なくとも含む有機半導体トランジスタ素子において、
    前記有機半導体が、少なくとも1種以上の下記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を部分構造として含む繰り返し単位よりなる電荷輸送性ポリエーテルを1種以上含有することを特徴とする有機半導体トランジスタ素子。
    Figure 2006086495
    〔一般式(I−1)および(I−2)において、Arは置換もしくは未置換の1価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の1価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環を表し、Xは置換もしくは未置換の2価のベンゼン環、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の多核芳香族炭化水素、置換もしくは未置換の芳香環数2〜10の2価の縮合芳香族炭化水素、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環を表し、Tは炭素数1〜6の2価の直鎖状炭化水素基または炭素数2〜10の2価の分枝鎖状炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表し、kは0または1の整数を表す。〕
  2. 前記有機半導体が、下記一般式(II)で示される電荷輸送性ポリエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体トランジスタ素子。
    Figure 2006086495
    〔一般式(II)中、Aは前記一般式(I−1)および(I−2)で示される構造から選択された少なくとも1種を表し、Rは水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換のアラルキル基を表し、pは5から5000の整数を表す。〕
  3. 請求項1または2に記載の有機半導体トランジスタ素子を、溶媒中に溶解させた前記電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種以上含む溶液を用いて製造する有機半導体トランジスタ素子の製造方法であって、
    前記有機半導体が、前記溶液に外部刺激を付与して、前記溶液をノズルから液滴状に吐出させる方法を利用して形成されることを特徴とする有機半導体トランジスタ素子の製造方法。
  4. 前記外部刺激が圧力であることを特徴とする請求項3に記載の有機半導体トランジスタ素子の製造方法。
  5. 溶媒中に溶解させた前記電荷輸送性ポリエーテルを少なくとも1種以上含む溶液を用い、
    前記溶媒を含んだ状態の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を乾燥させる乾燥工程とを少なくとも経ることにより請求項1または2に記載の有機半導体トランジスタ素子を製造する有機半導体トランジスタ素子の製造方法であって、
    前記乾燥工程が、酸素濃度が100ppm以下、且つ、水分濃度が100ppm以下の環境下で実施されることを特徴とする有機半導体トランジスタ素子の製造方法。
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