JP2006084179A - 非破壊検査方法及び非破壊検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラマン活性な物質例えばセラミックス内部の中実状態、例えば、残留応力、組成比または結晶性の度合などを、セラミックスを破壊することなく精密に検査することのできるセラミックスの非破壊検査方法および非破壊検査装置を提供すること。
【解決手段】ラマン活性な物質の内部における焦点位置を可変するように励起光を照射し、前記励起光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅および前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも一種に、または前記振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度および前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも二種に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の中実状態を検査することを特徴とする非破壊検査方法及び非破壊検査装置。
【選択図】 図1

Description

この発明は、非破壊検査方法及び非破壊検査装置に関し、さらに詳しくは、ラマン活性な物質の内部の中実状態、例えば、ラマン活性な物質の内部の残留応力、結晶構造比又は結晶性の度合などを、ラマン活性な物質を破壊することなく精密に検査することのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置に関する。
ラマン活性な物質としてセラミックスがある。セラミックスは耐磨耗性材料、耐衝撃性材料などとして有用である。その有用性によりセラミックスは、その特性により、工具材料、電磁材料又は光学材料などに広く使用されている。中でも、切削工具、研磨工具又は研削工具などの工具を作製するための材料として、セラミックスはきわめて有用である。
このようなセラミックスによって作製された、例えば切削工具は、強大な衝撃力がかかるため、優れた耐磨耗性と耐欠損性とを有することが要求される。したがって、前記耐磨耗性及び耐欠損性に重大な影響を及ぼす切削工具の材料であるセラミックスの内部の中実状態を知ることは、優れた耐磨耗性と耐欠損性とを有する切削工具を作製する上にきわめて重要な手段となる。
また、前記セラミックスによって作製された切削工具の内部の中実状態を知ることも、その切削工具の耐磨耗性及び耐欠損性を評価し、それらの適否を判断する上に重要な手段となる。前記内部の中実状態としては、例えば、残留応力、結晶構造比又は結晶性の度合などを挙げることができる。
これまでに、基材表面にセラミックス材料を被覆したセラミックス被覆材の非破壊検査法が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2003−247943号公報
特開2004−093300号公報
前記特許文献1に記載の非破壊検査法は、「基材表面にセラミックス材料を成膜してなるセラミックス被覆材の非破壊検査法であって、前記被覆材の表面からレーザ光を照射し、該レーザ光の焦点位置における前記被覆材のラマン散乱光強度を測定するラマン散乱光強度測定を、前記レーザ光の焦点位置を前記被覆材の厚さ方向に移動させて行い、前記測定により得られる前記被覆材の厚さ方向におけるラマン散乱光強度分布から、前記セラミックス被覆材における亀裂発生の有無及び亀裂発生位置を検知することを特徴とするセラミックス被覆材の非破壊検査法」である(特許文献1の請求項1)。すなわち、この非破壊検査法の検査の対象は、セラミックス被覆材の内部に発生した亀裂である。また、検査のために測定されるものは、ラマン散乱光の強度とその分布である。
また、前記特許文献2に記載の非破壊検査法は、「基材表面に成膜されたセラミックス材料からなるセラミックス被覆材の非破壊検査方法であって、前記セラミックス被覆材に励起光を照射し、該セラミックス被覆材の被照射部において前記励起光により励起される蛍光を検知することにより前記セラミックス被覆材を検査することを特徴とするセラミックス被覆材の非破壊検査法」である(特許文献2の請求項1)。この非破壊検査法の検査の対象も、セラミックス被覆材の内部に発生した亀裂(明細書、段落「0015」参照)である。
この発明は、前記特許文献1及び特許文献2に記載の非破壊検査方法とは異なり、ラマン活性な物質例えばセラミックス内部の中実状態、例えば、残留応力、結晶構造比又は結晶性の度合などを、ラマン活性な物質例えばセラミックスを破壊することなく精密に検査することのできる非破壊検査方法及び非破壊検査装置を提供することをその課題とする。
この発明の前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、ラマン活性な物質の内部における焦点位置を可変するように励起光を照射し、前記励起光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも一種に、又は前記振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも二種に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の中実状態を検査することを特徴とする非破壊検査方法であり、
請求項2は、前記励起光が、前記ラマン活性な物質の深さ方向及び/又は水平方向に可変可能に照射されることを特徴とする前記請求項1に記載の非破壊検査方法であり、
請求項3は、前記ピークのシフト量に基づいて、又は前記ピークの位置及び前記ピークのシフト量に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の残留応力を検査する請求項1又は1に記載の非破壊検査方法であり、
請求項4は、前記ピークの位置及び強度に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の結晶構造比を検査する請求項1又は2に記載の非破壊検査方法であり、
請求項5は、前記ピークの幅に基づいて、又は前記ピークの位置及び前記ピークの幅に基づいて、前記ラマン活性な物質の結晶性の度合を検査する請求項1又は2に記載の非破壊検査方法であり、
請求項6は、前記励起光が、レーザー光である請求項1〜5のいずれか一項に記載の非破壊検査方法であり、
請求項7は、ラマン活性な物質に励起光を照射する励起光照射手段、前記励起光照射手段から照射される励起光の焦点を前記ラマン活性な物質の深さ方向及び/又は水平方向において可変可能にする励起光照射走査手段、前記励起光照射手段によって発生するラマン光を検出するラマン光検出手段、及び前記ラマン活性な物質の内部の中実状態を解析して表示する解析表示手段を有して成ることを特徴とする非破壊検査装置であり、
請求項8は、前記励起光照射手段が、レーザー光照射手段である請求項7に記載の非破壊検査装置であり、
請求項9は、前記レーザー光照射手段が、レーザー光を、5〜100μmのクロススリットから、大きくとも2μmのプローブ径として照射する手段である請求項8に記載の非破壊検査装置である。
この発明の非破壊検査方法及び非破壊検査装置によれば、照射する励起光の焦点をラマン活性な物質例えばセラミックスの内部、特にラマン活性な物質例えばセラミックスの深さ方向及び/又は水平方向に可変し、かつ走査することにより、前記励起光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも一種に、又は前記振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも二種に基づいて、前記ラマン活性な物質例えばセラミックス内部の中実状態、例えば、残留応力、結晶構造比又は結晶性の度合などを、ラマン活性な物質例えばセラミックスを破壊することなく検査することができ、前記励起光の焦点を可変してセラミックスの深さ方向と水平方向とに走査すると、セラミックス内部の中実状態を三次元的に把握して検査することができる。
したがって、この発明の非破壊検査方法及び非破壊検査装置は、工具、電磁機器又は光学機器などの、ラマン活性な物質例えば各種セラミックス製品の材料として有用なセラミックスの性能評価及びこのセラミックスによって作製され各種セラミックス製品の性能評価に好適な方法及び装置となる。よって、ラマン活性な物質例えばセラミックス材料及びセラミックス製品の設計、製造分野に寄与するところはきわめて大きい。
1.非破壊検査方法
この発明の非破壊検査方法は、ラマン活性な物質例えばセラミックスの内部に焦点が位置するように励起光をラマン活性な物質例えばセラミックスに照射し、しかもその焦点の位置が変化するように励起光を走査し、前記励起光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも一種に、又は前記振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも二種に基づいて、前記ラマン活性な物質例えばセラミックス内部の中実状態を検査する方法である。
この発明の非破壊検査方法が適用されるラマン活性な物質は、照射した振動数とは異なる振動数の散乱光を生じる物質であり、その具体例としてセラミックス、シリコン、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン、ダイアモンドライクカーボン等を挙げることができる。これらのの中でもセラミックスが好適であり、セラミックスの具体例としては、炭化珪素系、窒化珪素系、ジルコニア系、チタニア系、アルミナ系、窒化硼素系、窒化アルミニウム系など、公知の、又は汎用のセラミックスを挙げることができる。
この発明は、ラマン活性な物質の内部例えばセラミックス内部の中実状態を、前記物質例えばセラミックスを破壊することなく検査する方法である。その検査の対象であるラマン活性な物質例えばセラミックスは、材料としての形態であってもよく、製品としての形態であってもよい。以下においてはラマン活性な物質の代表例としてセラミックスを選んで説明をする。
この発明の非破壊検査方法においては、まず、前記セラミックスの内部に焦点が位置するように、励起光を照射し、しかもその焦点の位置を可変する。前記焦点の位置は、励起光照射手段が有する焦点設定機能に基づく走査によって自動的に設定することができる。前記照射光の焦点は、前記セラミックスの深さ方向に可変可能に設定されてもよく、前記セラミックスの水平方向に可変可能に設定されてもよく、前記セラミックスの深さ方向と水平方向との双方に可変可能に設定されてもよい。
前記励起光としては、可視光線及び紫外線などを挙げることができるが、検査対象に照射してラマン光を効率的に発生させるための励起光としては、レーザー光が好ましい。
前記セラミックスの内部に焦点が位置するように前記励起光を照射すると、大部分は同じ波長の光として散乱されるが、ごく僅かに入射波長とは異なる波長の光が散乱する。この現象をラマン散乱という。このラマン散乱によって発生するラマン光は、前記セラミックスを構成する物質の分子の振動に反映する。
次いで、前記セラミックスの内部における焦点に励起光を照射することによって発生するラマン光の振動スペクトルを取得する。この発明のセラミックスの非破壊検査方法は、前記ラマン光の振動スペクトルにおけるピークの態様によって、前記セラミックス内部の中実状態を検査する方法である。
この発明の非破壊検査方法においては、前記ラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量のうち、例えばその検査対象に励起光を照射するとその検査対象である物質に特有のピーク位置を有するラマン光について前記ピークのシフト量に基づいて、前記セラミックス内部の残留応力を検査することができる。
ラマン光のピークのシフトと内部残留応力との相関を見出すに当たり、先ず基準試料を選定し、その基準試料に一定の応力を加えつつ励起光を照射することにより得られるラマン光のピーク位置と応力との関係、又は前記ラマン光のピーク位置及びピークシフト量と応力との関係を求める。
基準試料は、この発明の非破壊検査方法により内部残留応力を測定しようとする検査試料と同種の材料で形成される。例えば測定対象たる検査試料がZrOであるときには基準試料もまたZrOである。そして、この基準試料に印加される応力の測定は、たとえばJIS R 1601に規定される4点曲げ試験方法等により行うことができる。この4点曲げ試験方法においては、4点曲げ治具とも称されるキャリブレーション治具が使用される。例えば図7に示されるように、寸法が例えば3×3×30mmである基準試料に荷重Pを加えると、4点曲げの場合には、基準試料表面の中心線上は1軸応力場になる。図7において点Pでは最大圧縮応力がかかり、点Qでは最大引っ張り応力がかかり、点Oは応力ゼロであり、最大応力値は以下の式(1)で表される。
σ=〔3P(L−L)〕/2・W・h ・・・(1)
ここで、式(1)において、σは応力、Pは荷重、L1は下部スパン、L2は上部スパン、hは高さ、Wは厚みを示す。
上記4点曲げ試験方法により基準試料に荷重をかけながら、基準試料におけるPQ線における種々の部位に焦点が位置するように励起光を照射すると、各焦点におけるラマン光のピーク位置を検知することができる。応力0のときのラマン光ピーク位置から応力のかかっている焦点に励起光を照射したときに得られるラマン光ピーク位置を差し引いた値がピークシフト量である。このラマン光のピークシフトを縦軸にとり、応力の値を横軸にとると、基準試料についてのピークシフトと応力とは一定の傾斜を有する検量線として表示される。この直線の傾斜がピエゾ係数又は応力感度と称される。このピエゾ係数が大きいほどその試料は応力感度が高いと評価される。一例として、このような手法、つまりキャリブレーション法により得られるZrOの応力とラマン光ピークシフトとの関係を、図7に示す。この図7においてピエゾ係数はグラフ中の直線の傾きである。
前記キャリブレーション法により求めた応力は1軸応力場であり、実際の試料における応力は3軸応力場である。したがって、前記検量線に基づいて試料中の応力を求める場合には、補正が必要である。3軸応力場では、試料中に存在する応力とラマン光のピークシフト量とは一般に以下の式(2)を満たす。
Δν=Πuni(σ+σ+σ) ・・・(2)
ここでΔνはピークシフト量であり、Πuniは前記したキャリブレーションにより求めたピエゾ係数であり、σは応力であり、σにおける添え字x、y、zは応力の方向を示す。3軸応力場において試料における応力状態が例えばσx=σ、σy=σ、σz=0であるならば、前記式(2)は以下の式(3)になる。
σ=Δν/(2Πuni) ・・・(3)
また、応力が各方向において同じであるならば、つまりσx=σ、σy=σ、σz=σであるならば、応力とピークシフト量との関係式は以下の式(4)になる。
σ=Δν/(3Πuni) ・・・(4)
このように応力の状態に応じて前記式(2)を適宜に変形してラマン光のピークシフト量から試料中の残留応力を測定することができる。
また、この発明の非破壊検査方法においては、前記ラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量のうち、例えば前記ピークの強度に基づいて、前記セラミックス内部の結晶構造比を検査することができる。
例えばZrOを例にとると以下のようにして結晶構造比が測定される。ZrOは単斜晶(m相)と正方晶(t相)と立方晶(c相)との三つの結晶構造をとり得る。単斜晶と正方晶とが存在するジルコニアにおける単斜晶の相比は、以下の式(5)で示される。
Vm/Vz=〔I 181+I 192〕/〔0.97×(I 148+I 264)+I 181+I 192〕 ・・・(5)
ここでVmは単斜晶の容積であり、Vzはジルコニア中に存在する結晶晶全体の容積であり、I 181は181cm−1における単斜晶のピーク強度であり、I 192は192cm−1における単斜晶のピーク強度であり、I 148は148cm−1における正方晶のピーク強度であり、I 264は264cm−1における正方晶のピーク強度である。この関係式(5)から、ジルコニアの結晶構造比をこの発明の方法により測定することができる。
セラミックの種類に応じてラマン光のピークの位置が相違する。したがって、ラマン光のピーク位置とその強度とにより、特性のセラミックにおける結晶状態を決定することができる。結局、どうように他のセラミックスにおいても、励起光を照射することにより得られるラマン光のピークの位置及びその保強度により結晶構造比を測定することができる。
さらに、この発明のセラミックスの非破壊検査方法においては、前記ラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量のうち、前記ピークの幅又は前記ピークの幅及び前記ピークのシフト量に基づいて、前記セラミックス内部の結晶性の度合を検査することができる。
より具体的には、この励起光を照射することにより得られるラマン光の特定位置のピークの幅により、その結晶性の高低を判定することができる。
この発明の方法においては、セラミックに照射される励起光の焦点は、照射方向におけるセラミックの深さ方向において可変される。そうすると、セラミックの深さ方向におけるセラミックの残留応力、結晶構造比、結晶性の程度等がこの発明の方法により測定可能になる。また、この発明の方法においては、セラミックに照射される励起光の焦点を、照射方向において、つまり深さ方向において可変することができ、また、所定深さの焦点位置を照射方向に直交する平面内でその焦点位置を可変することもできる。所定深さの焦点位置を前記平面内で可変すると、得られるラマン光のピークの位置、その強度、ピークの幅、ピークシフト量等から、所定深さにおける平面において残留応力、結晶構造比、結晶性の程度等を測定することができる。
2.非破壊検査装置
この発明に係る非破壊検査装置は、ラマン活性な物質例えばセラミックスに励起光を照射する励起光照射手段、前記励起光照射手段を前記セラミックスの深さ方向及び/又は水平方向に走査する励起光照射走査手段、前記励起光照射手段によって発生するラマン光を検出するラマン光検出手段、前記セラミックス内部の中実状態を検知する中実状態検知手段及び前記中実状態検知手段によって得られた前記中実状態を解析し表示する解析表示手段を有する。
この発明のセラミックスの非破壊検査装置を、図面に基づいて説明する。図1は、この発明のセラミックスの非破壊検査装置の一例を示す模式図である。
セラミックスの非破壊検査装置1は、励起光照射手段2と、励起光照射走査手段3とを備えている。励起光照射手段2は、試料である例えばセラミックに、そのセラミックの内部の所定位置に焦点を結ぶように励起光を照射する。この励起光照射手段2は、通常、レーザー例えばArイオンレーザーを発振するレーザー発振装置と、レーザー発振装置から発振されたレーザーをコヒーレントなレーザービームにし、励起光の照射される対象物例えばセラミックの所定深さに焦点を結ぶように前記レーザービームを出射する光学系とを有する。
前記励起光照射走査手段3は、前記励起光照射手段2により照射される励起光の焦点位置を可変する。この励起光照射走査手段3は、通常は、セラミックスの深さ方向つまり励起光の照射方向に走査する励起光照射走査機能3−1を有しているのであるが、所定深さの位置にある焦点を励起光照射方向に直交する方向に移動させるようにする励起光照射走査機能3−2を有していても良い。このような励起光照射走査手段3として、セラミック等の試料を載置する載置台と、この載置台をX方向及びY方向に移動させ、必要に応じてZ方向に移動させる載置台移動装置とを有する。載置台移動装置は、励起光照射走査手段3による焦点の変位と連動している。
前記非破壊検査装置1は、ラマン光検出手段4を有する。このラマン光検出手段4は、前記励起光照射手段2からセラミックに向けて照射された励起光がセラミック内の所定位置にある焦点において発生するラマン光を検出する手段である。ラマン光検出手段4は、通常、前記励起光照射手段2における光学系を通過してきたラマン光を分光する分光器と、分光器で分光された各波長のラマン光を検出する例えばCCDアレイとを有する。前記CCDアレイでは、各CCDに入射するラマン光の波長が異なるので、各CCDからの出力を得ることにより各波長毎の光の強度が測定可能であり、すなわちスペクトル強度分布の出力が得られる。
前記非破壊検査装置1は、解析表示手段6を備える。この解析表示手段6は、ラマン光検出手段4により検出されたラマン光スペクトルからピーク位置が解析される。通常この解析表示手段6はコンピュータと表示装置とを備える。ラマン光スペクトルにおけるラマン光のピーク位置は、市販のソフトウエア例えばGrams386(Galactic Co.製)を使用して、ローレンシアンとガルシアンとの関数の混合によりフィッティングを行って決定されることができる。
このような構成から成るセラミックスの非破壊検査装置を用いて、セラミックス内部の中実状態を検知するには、まず、励起光照射手段2によって、セラミックスに励起光を照射する。
前記励起光照射手段2によるセラミックスに対する励起光の照射は、セラミックスの内部における所定位置に励起光の焦点が結ばれるように、行われる。この焦点は、前記励起光照射走査手段3が有している励起光照射走査機能3−1、3−2又はその双方によって可変される。すなわち、前記励起光照射走査機能3−1によれば、セラミックスの深さ方向に複数の焦点を可変することができ、前記励起光照射走査機能3−2によれば、セラミックスの水平方向に複数の焦点を可変することができる。励起光照射走査機能3−1と3−2とを機能させれば、セラミックスの深さ方向と水平方向とに複数の焦点が可変される。
前記励起光照射手段2によってセラミックスに励起光が照射されて発生するラマン光は、ラマン光検出手段4によって検出される。このラマン光検出手段4としては、図2に示すラマン分光器7を用いることができる。
前記励起光照射手段2としてレーザー光照射手段を採用し、このレーザー光照射手段から発せられたレーザー光を集光して、セラミックス内の所定位置に焦点を結ぶように照射する。このレーザー光の照射によって生じた散乱光(ラマン光)は、集光レンズ8で可能な限り集光され、入口スリット9に導かれる。入口スリット9から導入されたラマン光は、モノクロメーター10によって反射を繰り返した後、分光されて、出口スリット11から取り出される。
前記レーザー光を集光して、セラミックスの前記複数の焦点に照射する際、レーザー光を、5〜100μmのクロススリット(図示していない。)から、大きくとも2μmのプローブ径を通して集光し、照射することが好ましい。レーザー光照射手段(例えば、レーザー光照射器)のレーザー光分解能を円滑に制御することができるからである。
次いで、前記ラマン光検出手段4によって検出されたラマン光は、解析表示手段6によって解析し表示される。
前記ラマン分光器7によって分光され、出口スリット11から取り出されたラマン光は微弱であるから、必要により増幅器(図示していない。)で増幅し、ラマン光の振動スペクトルを取得する。このラマン光の振動スペクトルを解析することによって、セラミックス内部の残留応力、結晶構造比、結晶性の度合などの中実状態を検知することができ、その内容は、前記この発明のセラミックスの非破壊検査方法において説明したとおりである。
この発明のセラミックスの非破壊検査装置における前記解析表示手段6は、前記ラマン光の振動スペクトルに基づき、セラミックス内部の残留応力、結晶構造比、結晶性の度合などの中実状態の種別と実体とを解析することのできる機能及び解析された中実状態の種別と実体とを画像として表示(例えば、CRTディスプレイ)することのできる機能を有している。
以下、実施例を挙げてこの発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例によって、この発明はなんら限定されることはない。
(実施例)
〔セラミックス材料の作製〕
チップ形状(13.6×13.6×4mm)の窒化珪素(Si)の表面に、化学蒸着法によってアルミナ(Al)を5μmの厚さで塗工して、アルミナ被覆層が形成された窒化珪素(アルミナ被覆窒化珪素)を作製した。
〔ラマンスペクトルピークの測定〕
京都工芸繊維大学の工芸学部物質工学科セラミック物理学研究室が有するラマン分光分析装置を使用した。このラマン分光分析装置の波数分解能は0.01cm−1以下である。このラマン分光分析装置においては、試料の表面に、レーザーパワーが200mWである波長488nmのArイオンレーザーが照射された。このラマン分光分析装置では、ラマン散乱光が、CCDが結合されているシングルモノクロメータ(T-64000,Jobin-Yvon/HoribaGroup ISA)により分析された。スポット径は2μmで行われた。サンプリング時間は30〜60秒であった。ネオンランプからのリファレンスピークがモニターされることにより、随時補正された。415cm−1のアルミナラマンピーク及び206cm−1の窒化ケイ素ラマンピークが測定された。ラマンスペクトルのピーク位置は、市販のソフトウェア(Gram386、Galactic Co.)を用いて、ローレンシアンとガルシアンとの混合によりフィッティングを行って決定した。
〔キャリブレーション〕
まず、前記アルミナ単体及び前記窒化珪素単体それぞれに、既知の一軸応力を負荷した後、前記アルミナ単体及び前記窒化珪素単体それぞれのラマンスペクトルを測定して、そのピークシフト量と応力との関係を明らかにした。次いで、前記アルミナ被覆窒化珪素におけるアルミナのラマンスペクトル及び窒化珪素のラマンスペクトルを測定し、そのピーク位置のシフト量と、前記既知の一軸応力を負荷して得られたピーク位置のシフト量と応力との関係に照らして、残留応力を求めた。
このときの前記ピーク位置のシフト量とラマン光の強度との関係を図3に示す。図3(a)は、前記アルミナのラマンスペクトルにおけるピーク位置のシフト量とラマン光の強度との関係を示し、図3(b)は、前記窒化珪素のラマンスペクトルにおけるピーク位置のシフト量とラマン光の強度との関係を示す。
また、前記残留応力と前記ピーク位置のシフト量との関係を図4に示す。図4(a)は、前記アルミナの残留応力と前記ピーク位置のシフト量との関係を示し、図4(b)は、前記窒化珪素の残留応力と前記ピーク位置のシフト量との関係を示す。
ただし、前記アルミナ単体及び前記窒化珪素単体それぞれに負荷した応力は、一軸応力であるから、例えば、前記一軸応力が210MPaで、−0.6cm−1のピークシフト量であったときは、前記アルミナ被覆窒化珪素の−0.6cm−1のピークシフト量は、70MPa(210/3)の三軸応力に対応するよう換算した。
〔アルミナ被覆窒化珪素の内部応力の測定〕
前記ラマン分光分析装置を用い、アルミナ被覆窒化ケイ素の内部に向かってレーザー光を照射し、レーザー光の焦点位置がアルミナの被覆表面から被覆内部へ、更に窒化ケイ素の内部に位置するようにレーザー光の焦点を可変した。各焦点で得られたラマン光のピーク位置から残留応力を算出するために、下記式を用いた。
アルミナ内部の残留応力=−2/3×(3×0.77)×(ピークシフト量)
窒化珪素内部の残留応力=−2/3×(3×0.30)×(ピークシフト量)
このようにして測定されたセラミックス材料の残留応力とセラミックス材料の深さとの関係(応力マッピング)を、図5に示す。
また、レーザー光の焦点位置を所定深さに固定したままレーザー光の照射方向に直交する方向に走査することにより、その焦点の存在する平面における残留応力を測定し、画像化したデータを図6に示した。図6では、窒化ケイ素基材及びアルミナ被覆膜の二次元残留応力分布が示される。
このように、この発明のセラミックスの非破壊検査方法及びセラミックスの非破壊検査装置によれば、セラミックスの深さ方向に複数の焦点を設定してレーザー光を照射し、このレーザー光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピーク位置のシフト量に基づいて、前記セラミックス内部の残留応力及びその分布を測定することができる。
図1は、この発明のセラミックスの非破壊検査装置の一例を示す模式図である。 図2は、ラマン分光器の一例を示す図である。 図3は、セラミックス材料のスペクトルのピーク位置のシフト量とラマン光の強度との関係を示す図である。 図4は、セラミックス材料の残留応力とスペクトルのピーク位置のシフト量との関係を示す図である。 図5は、セラミックス材料の深さ方向における応力マッピングを示す図である。 図6は、セラミックス材料の応力分布を示す図である。 図7は、キャリブレーション法により検査試料に荷重をかける状態を示す模式図である。 図8は、ジルコニアにおける応力とラマンピークシフトとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 セラミックスの非破壊検査装置
2 励起光照射手段
3 励起光照射走査手段
4 ラマン光検出手段
5 中実状態検知手段
6 解析表示手段
7 ラマン分光器
8 集光レンズ
9 入口スリット
10 モノクロメーター
11 出口スリット

Claims (9)

  1. ラマン活性な物質の内部における焦点位置を可変するように励起光を照射し、前記励起光の照射によって発生するラマン光の振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも一種に、又は前記振動スペクトルにおけるピークの位置、ピークの幅、ピークの強度及び前記ピークのシフト量から選ばれた少なくとも二種に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の中実状態を検査することを特徴とする非破壊検査方法。
  2. 前記励起光が、前記ラマン活性な物質の深さ方向及び/又は水平方向に可変可能に照射されることを特徴とする前記請求項1に記載の非破壊検査方法。
  3. 前記ピークのシフト量に基づいて、又は前記ピークの位置及び前記ピークのシフト量に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の残留応力を検査する請求項1又は2に記載の非破壊検査方法。
  4. 前記ピークの位置及び強度に基づいて、前記ラマン活性な物質の内部の結晶構造比を検査する請求項項1又は2に記載の非破壊検査方法。
  5. 前記ピークの幅に基づいて、又は前記ピークの位置及び前記ピークの幅に基づいて、前記ラマン活性な物質の結晶性を検査する請求項1又は2に記載の非破壊検査方法。
  6. 前記励起光が、レーザー光である請求項1〜5のいずれか一項に記載の非破壊検査方法。
  7. ラマン活性な物質に励起光を照射する励起光照射手段、前記励起光照射手段から照射される励起光の焦点を前記ラマン活性な物質の深さ方向及び/又は水平方向において可変可能にする励起光照射走査手段、前記励起光照射手段によって発生するラマン光を検出するラマン光検出手段、及び前記ラマン活性な物質の内部の中実状態を解析して表示する解析表示手段を有して成ることを特徴とする非破壊検査装置。
  8. 前記励起光照射手段が、レーザー光照射手段である請求項7に記載の非破壊検査装置。
  9. 前記レーザー光照射手段が、レーザー光を、5〜100μmのクロススリットから、大きくとも2μmのプローブ径として照射する手段である請求項8に記載の非破壊検査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102749316A (zh) * 2011-04-21 2012-10-24 中国科学院金属研究所 测量SiCf/Ti基复合材料界面微观残余应力的方法
CN109342402A (zh) * 2018-12-12 2019-02-15 上海大学 一种基于拉曼光谱的陶瓷材料应力测量方法
JP2019060681A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 クアーズテック株式会社 化合物半導体基板の評価方法、およびこれを用いた化合物半導体基板の製造方法

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