JP2006083383A - 防汚塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料用ポリマーの種類によらず、しかも親水性材料の低濃度の配合で均一な防汚表面を形成し得る防汚塗料組成物を提供する。
【解決手段】親水性材料(A)と塗料用疎水性ポリマー(B)と該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)とからなり、該他の有機溶剤(D)が該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)の沸点よりも5℃以上高い高沸点有機溶剤であり、さらに該親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合が1/99〜50/50(質量%比)である防汚塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、防汚性に優れ、かつ汎用の塗料樹脂を使用できる防汚塗膜を提供することができる防汚塗料組成物に関する。
防汚技術における現在の状況は、表面を高度に疎水性(撥水撥油性)とする方法、表面を高度に親水化する方法、光触媒を配合する方法のほか、塗膜表面をミクロ相分離構造とし親水性汚れも疎水性汚れも付着しないようにする方法が知られている。
たとえば特許文献1、2には市販のアクリル系クリア塗料(アクリル樹脂とアルコキシシランとコロイダルシリカとからなる塗料組成物)を塗布してミクロ相分離構造を発現させようとしているが、使用するコロイダルシリカの量を多量にしなければコロイダルシリカを均一に表面に分散できず、表面構造の機械的強度、緻密性といった面においてまだまだ改善が必要である。
また特許文献3にはそれぞれ0.04〜1.0cm2の親水性塗膜領域と疎水性塗膜領域が交互に配置されている塗膜により雨筋汚れを防止することが記載されているが、こうした大きな面積での親水−疎水構造では多種多様な空気中の汚染付着性物質に曝される屋外物品などの汎用物品における付着防止の分野では付着防止能が充分に達成できない。
さらに特許文献4〜5には、各種樹脂にオルガノシリケートのオリゴマーやポリマーを配合して表面を全面または部分的に親水化することが記載されているが、オルガノシリケートを表面に均一に分布させる手段については記載されておらず、主たる防汚性は塗料樹脂の選定(たとえば防汚性に優れたフッ素樹脂やシリコーン樹脂の使用)に依存している。
このように、単に親水性材料を配合しただけでは、性質や形状、大きさの異なる汚れや物質の付着に万遍なく対応することには限界がある。
特開2003−160681号公報 特開2003−161460号公報 特開2003−211569号公報 国際公開第WO94/06870号パンフレット 国際公開第WO96/26254号パンフレット
本発明は、塗料用ポリマーの種類によらず、しかも親水性材料の低濃度の配合で均一な防汚表面を形成し得る防汚塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意実験と考察を繰返し、使用する溶剤を特定の組合せにすることにより、防汚性を発揮するためには多量の親水性材料が必要であるとの従来の常識を覆し、意外なことに、親水性材料の含有量が低い範囲において防汚性が向上するとの知見を得、さらにかかる知見に基づき適用範囲を広く検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、親水性材料(A)と塗料用疎水性ポリマー(B)と該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)とからなり、該他の有機溶剤(D)が該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)の沸点よりも5℃以上高い高沸点有機溶剤であり、さらに該親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合が1/99〜50/50(質量%比)である防汚塗料組成物に関する。
本発明はまた、本発明の防汚塗料組成物を硬化して得られる防汚塗膜および該防汚塗膜を有する物品にも関する。
なお、本発明において「沸点」とは、1気圧下における沸点であり、沸点が温度範囲で表わされる場合はその中間値をいう。
本発明によれば、従来に比べて少量の親水性材料でしかも安価な汎用の塗料用疎水性ポリマーを使用しても、優れた防汚効果を奏し得る防汚塗料組成物を提供することができる。
本発明の防汚塗料組成物は、親水性材料(A)と塗料用疎水性ポリマー(B)と塗料用疎水性ポリマー(B)用の有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)とからなり、(I)他の有機溶剤(D)が塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)の沸点よりも5℃以上高い高沸点有機溶剤であり、さらに(II)該親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合が1/99〜50/50(質量%比)である組成物である。
本発明において、他の有機溶剤(D)が親水性材料(A)の分散媒として機能する形態が望ましく、しかも塗料用疎水性ポリマー(B)よりも親水性材料(A)との親和性が高いことがあげられる。この条件を満たす組合せであれば、有機溶剤(C)および有機溶剤(D)がいずれも極性有機溶剤であってもよいし、いずれか一方が極性有機溶剤で他方が非極性有機溶剤であってもよいが、特に好ましい組合せとしては、塗料用疎水性ポリマー(B)用の有機溶剤(C)が非極性有機溶剤(C1)であり、かつ前記他の有機溶剤(D)が親水性材料(A)の分散用の極性有機溶剤(D1)である組合せである。
この実施形態の特徴の1つは、高沸点極性有機溶剤(D1)(たとえば沸点が115℃以上と比較的高い沸点の溶剤)とその高沸点極性有機溶剤(D1)よりも沸点が5℃以上低い非極性有機溶剤(C1)とを併用することにある。
その併用(組合せ)のとき、特に親水性材料(A)の低濃度範囲で防汚作用が有効である理由は必ずしも明らかではないが、つぎの機構であると推察される。
これらの特定の有機溶剤が存在している塗料組成物では、塗料用疎水性ポリマーが非極性有機溶剤に溶解している塗料用疎水性ポリマー溶液中に、親水性材料が分散媒として高沸点極性有機溶剤を伴って低濃度で均一に分散しているものと考えられる。親水性材料がある濃度を超えると親水性材料同士の凝集が始まり、均一分散状態が壊れるので、親水性材料はそうした凝集現象が生じない範囲とする必要がある。
問題は、かかる均一分散状態を保ったまま塗膜を形成することであるが、本発明では親水性材料を均一分散させている極性有機溶剤の沸点が非極性有機溶剤よりも高いため、塗膜を形成して乾燥する間に、まず、非極性有機溶剤が主として揮散していき、塗膜中の塗料用疎水性ポリマー濃度が上昇し、塗膜のマトリックスを形成し始める。このとき、極性有機溶剤は沸点が高いだけではなく親水性材料と親和性をもっているため、揮散速度が遅い。その結果、親水性材料の均一分散状態を保ったまま、塗膜を形成していくものと考えられる。
親水性材料が多量に配合されている場合、たとえば最密充填の状況であれば、本発明の溶剤の組合せは不要であるが、その分、塗膜の機械的強度や付着性などが低下するほか、コスト的にも不利になる。
本発明において、塗料用の有機溶剤(C)は、塗料用疎水性ポリマー(B)を均一に溶解分散させてマトリックス層を形成するために使用され、沸点が他の有機溶剤(D)よりも5℃以上低いものである。しかし、使用する他の有機溶剤(D)の沸点によって、具体的に使用する有機溶剤(C)は異なり、高い沸点の他の有機溶剤(D)を使用する場合は有機溶剤(C)の沸点が115℃以下である必要はない。
また、前記のように塗料用有機溶剤(C)は塗料用疎水性ポリマー(B)を溶解して塗膜を形成させ得る溶剤であれば極性有機溶剤(C2)でもかまわないが、非極性有機溶剤(C1)であることが好ましい。
非極性有機溶剤(C1)の好ましい具体例としては、たとえば沸点80〜150℃の芳香族炭化水素系溶剤、沸点50〜130℃の脂肪族炭化水素系溶剤などが例示できる。
沸点80〜150℃の芳香族炭化水素系溶剤としては、たとえばベンゼン(沸点80.1℃)、トルエン(沸点110℃)、キシレン(沸点140℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、スチレン(沸点145℃)などが例示できる。
沸点50〜130℃の脂肪族炭化水素系溶剤としては、たとえばn−ヘキサン(沸点65〜69℃)、ヘプタン(沸点93〜99℃)、オクタン(沸点110〜116℃)、イソオクタン(沸点102〜113℃)、イソへキサン(沸点57〜61℃)、イソブタン(沸点80〜91℃)、シクロへキサン(沸点81℃)、n−へプタン(沸点98℃)、トリメチルペンタン(沸点99℃)、メチルシクロへキサン(沸点101℃)などが例示できる。これらは同種または異種の溶剤を混合して使用してもよい。
また、極性の塗料用有機溶剤(C2)としては、後述する高沸点極性有機溶剤(D1)や低沸点極性有機溶剤(D2)から選択される。
本発明において、他の有機溶剤(D)は、塗料組成物中に親水性材料を均一に安定して分散させるために、またさらに塗膜の形成時にその均一分散を維持するために使用され、この観点から、極性溶剤が好ましく、特に沸点が115℃以上である高沸点極性有機溶剤(D1)が好ましい。しかし、同等の機能を奏するものであれば非極性有機溶剤であってもかまわない。そうした他の有機溶剤(D)として使用し得る非極性有機溶剤としては、前記の非極性有機溶剤(C1)などのうちから塗料用疎水性ポリマー(B)用の非極性有機溶剤(C1)よりも沸点が5℃以上高いものが例示できる。
本発明において、好ましい高沸点極性有機溶剤(D1)としては、沸点が115℃以上、さらには150℃以上、また250℃以下、さらには210℃以下である高沸点極性有機溶剤から、組み合わせる非極性有機溶剤(C1)を考慮して選択すればよい。沸点が115℃よりも低いと均質分散性を保ったまま塗膜を形成し難くなることがある。一方、高くなりすぎると塗膜の形成に時間が掛かりすぎたり、硬化阻害を起こしたりする傾向にある。
具体例としては、たとえば沸点120〜250℃のエーテル系溶剤、沸点115〜250℃の高沸点アルコール系溶剤、沸点115〜250℃のエステル系溶剤、沸点115〜220℃のケトン系溶剤、沸点135〜225℃のエステルエーテル系溶剤などが例示できる。
沸点120〜250℃のエーテル系溶剤としては、たとえばエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME。沸点120℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点200℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点225℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチルエーテル(沸点121.4℃)、モノブチルエーテル(沸点171.2℃)、モノn−へキシルエーテル(沸点208.3℃)、モノフェニルエーテル(沸点244.7℃)、モノ−2−エチルブチルエーテル(沸点196.8℃)、ジブチルエーテル(沸点203℃)、プロピレングリコールメチルエーテル(沸点189℃)、テルペンメチルエーテル(沸点195〜225℃)などが例示できる。
沸点115〜250℃の高沸点アルコール系溶剤としては、たとえばn−ブタノール(沸点117℃)、メトキシブタノール(沸点160℃)、ジアセトアルコール(沸点168℃。通称名であって、一般名はジアセトンアルコール)、シクロヘキサノール(沸点161℃)、エチレングリコール(沸点197℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,4−ブタンジオール(沸点235℃)、n−アミルアルコール(沸点138℃)、イソアミルアルコール(沸点130.5℃)、3−メトキシブチルアルコール(沸点157〜162℃)、n−ヘキシルアルコール(沸点157.2℃)、2−メチルペンタノール(沸点147.5℃)、sec−へキシルアルコール(沸点131.8℃)、2−エチルブチルアルコール(沸点148.9℃)、sec−へプチルアルコール(沸点160.4℃)、ヘプタノール−3(沸点156.2℃)、メチルシクロヘキサノール(沸点174℃)、sec−オクチルアルコール(沸点178.6℃)、n−オクチルアルコール(沸点195〜235℃)、2−エチルへキシルアルコール(沸点183.5℃)、フェノール(沸点182℃)、2,3−ブチレングリコール(沸点182℃)、1,2−プロピレングリコール(沸点188.2℃)、o−クレゾール(沸点190.6℃)、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール(沸点198℃)、エチレングリコール(沸点197.2℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点197〜198.5℃)、ペンタジオール(沸点199℃)、m−クレゾール(沸点202.2℃)、p−クレゾール(沸点202.3℃)、フェニルメチルカルビノール(203.9℃)、1,3−ブチレングリコール(204〜207.5℃)、べンジルアルコール(205℃)、ノニルアルコール(沸点213.5℃)、へキサンジオール(沸点220.8℃)、へプタンジオール(沸点224.9℃)、n−デカノール(沸点229〜233℃)、sec−ウンデシルアルコール(沸点225.4℃)、トリメチルノニルアルコール(沸点225.2℃)、ジプロピレングリコール(沸点231.8℃)、2−エチル−1,3へキサンジオール(沸点244℃)、ジエチレングリコール(沸点245℃)などが例示できる。
沸点115〜250℃のエステル系溶剤としては、たとえば蟻酸イソアミル(沸点124.2℃)、酢酸n−ブチル(沸点126℃)、ジエチルカーボネート(沸点126.8℃)、酢酸sec−アミル(沸点123〜145℃)、プロピオン酸ブチル(沸点130〜145℃)、酢酸アミル混合物(沸点115℃〜156℃)、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点144.5℃)、乳酸メチル(沸点144.8℃)、アクリル酸n−ブチル(沸点145℃)、酢酸メチルアミル(沸点146.3℃)、酢酸n−アミル(沸点147.6℃)、乳酸エチル(沸点154℃)、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点156.4℃)、プロピオン酸イソアミル(沸点150〜160℃)、酢酸2−エチルブチル(沸点162.4℃)、酢酸ブチル(沸点160〜165℃)、酢酸イソアミル(沸点160〜180℃)、酢酸3−メトキシブチル(沸点164〜174℃)、アセト酢酸メチル(沸点171.7℃)、酢酸シクロへキシル(沸点170〜180℃)、ジ蟻酸グリコール(沸点177.1℃)、アセト酢酸エチル(沸点180.7℃)、シュウ酸ジメチル(沸点180〜190℃)、酢酸メチルシクロへキシル(オルト:沸点182℃)、乳酸ブチル(沸点188℃)、酢酸メチルシクロへキシル(メタ:沸点188℃)、ジ酢酸グリコール(沸点190.5℃)、フマル酸ジメチル(沸点192℃)、酢酸ノニル(沸点192.4℃)、酢酸2−エチルへキシル(沸点198.6℃)、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点209.1℃)、酢酸ベンジル(沸点216℃)、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点217.7℃)、マレイン酸ジエチル(沸点222〜225℃)、ホウ酸トリブチル(沸点231℃)、シュウ酸ジブチル(沸点240〜255℃)、酢酸メトキシグリコール(沸点244℃)、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点246.4℃)などが例示できる。
沸点115〜220℃のケトン系溶剤としては、たとえばメチルイソブチルケトン(沸点116℃)、ブチルn−ブチルケトン(沸点127.2℃)、2.4−ペンタンジオン(沸点140.5℃)、エチルブチルケトン(沸点147.8℃)、メチルn−アミルケトン(沸点150.6℃)、シクロヘキサノン(沸点156℃)、メチルシクロヘキサノン(沸点169.0〜170.5℃)、ジイソブチルケトン(沸点168℃)、メチルへキシルケトン(沸点174℃)、フェンチオン(沸点191℃)、アセトニルアセトン(沸点192.2℃)、アセトフェノン(沸点201.7℃)、イソホロン(沸点215.2℃)などが例示できる。
沸点135〜225℃のエステルエーテル系溶剤としては、たとえば酢酸セロソルブ(沸点135〜160℃)、酢酸メチルセロソルブ(沸点144℃)、酢酸エチルセロソルブ(沸点156℃)、酢酸メトキシブチル(沸点166〜176℃)、酢酸ブチルセロソルブ(沸点188〜195℃)、酢酸カービトール(沸点204〜225℃)などが例示できる。
高沸点のアミド系溶剤としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドン(沸点204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)などが例示できる。
高沸点極性有機溶剤としては、これらの同種または異種の溶剤を混合して使用してもよい。
有機溶剤(D)は有機溶剤(C)の沸点よりも5℃以上高いことが必要である。ただし、この沸点差は、いずれかの溶剤を2種以上(系としては3種類以上)使用する場合は、つぎの基準とする。
すなわち、有機溶剤(D)の場合は、使用量(質量)の最も多い溶剤を基準溶剤とし、使用量が同じである場合は最も沸点の高い溶剤を基準溶剤とする。有機溶剤(C)の場合も同様に、使用量(質量)の最も多い溶剤を基準溶剤とし、使用量が同じである場合は最も沸点の高い溶剤を基準溶剤とする。したがって、場合によっては、一部の有機溶剤(C)として有機溶剤(D)の基準溶剤との沸点差が5℃未満またはそれよりも高い沸点の有機溶剤が存在している場合や、一部の有機溶剤(D)として有機溶剤(C)の基準溶剤との沸点差が5℃未満またはそれよりも低い沸点の有機溶剤が存在している場合もある。
沸点差は5℃以上であれば溶剤の種類や組合せによって実験的に選定すればよいが、好ましくは10℃以上、さらには30℃以上である。沸点差が大きくなればなるほど親水性材料がより低濃度で、均一分散性を保ったまま塗膜を形成できるようになる。上限は、塗料組成物の調製の容易さや組成物の安定性を考慮して決定すればよい。
本発明の好ましい実施形態において、さらに極性有機溶剤として、沸点が115℃未満の低沸点極性有機溶剤(D2)を存在させてもよい。この低沸点極性有機溶剤(D2)は、通常、塗料組成物を調製する際に親水性材料を均一に分散させるために配合されており、塗布後は速やかに揮散しても高沸点極性有機溶剤(D1)が存在するので、親水性材料の分散の均一性は維持できる。
そうした低沸点極性有機溶剤(D2)としては、たとえばメタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、イソプロパノール(沸点82.4℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、アリルアルコール(沸点97.1℃)、プロピルアルコール(沸点97.2℃)、イソブタノール(沸点107℃)、sec−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.4℃)などの低沸点アルコール類;アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(沸点79.6℃)、ジエチルケトン(沸点102℃)、メチルn−プロピルケトン(沸点103℃)などのケトン類;蟻酸メチル(沸点32℃)、蟻酸エチル(沸点54.3℃)、酢酸エチル(沸点77℃)、蟻酸プロピル(沸点81℃)、蟻酸ブチル(沸点106.6℃)、酢酸イソブチル(沸点110〜119℃)などのエステル類などが例示できる。さらには水(沸点100℃)なども不可避的に、あるいは少量含まれていてもよい。
また、ポリマー用有機溶剤(C)としても、量的に少量(主たるポリマー用有機溶剤(C)よりも少ない量)であれば、他の有機溶剤(D)との沸点差が5℃未満または他の有機溶剤(D)よりも高い沸点の有機溶剤(C)を配合してもよいことは前述のとおりである。
具体的なポリマー用有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)の組合せは、親水性材料および塗料用疎水性ポリマーの種類や顔料などの各種添加剤によって決定される。
本発明の防汚塗料組成物におけるポリマー用有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)の好ましい具体的な組合せとしては、非極性有機溶剤(C1)と高沸点極性有機溶剤(D1)があげられる。それらの組合せの具体例を例示するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、カッコ内は沸点(℃)である。
(組合せ例1)
(1−1)非極性有機溶剤(C1)
沸点80〜150℃の芳香族炭化水素系溶剤
(1−2)高沸点極性有機溶剤(D1)
沸点120〜250℃のエーテル系溶剤および/または沸点115〜250℃の高沸点アルコール系溶剤
(1−3)他の溶剤(任意)
沸点が115℃未満の低沸点極性有機溶剤(D2)
より具体的には、
(組合せ例1a)
(1−1a)非極性有機溶剤
トルエン(110)
(1−2a)高沸点極性有機溶剤
ジアセトアルコール(168)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)など
(1−3a)他の溶剤
イソプロパノール(82.4)など
(組合せ例1b)
(1−1b)非極性有機溶剤
キシレン(140)
(1−2b)高沸点極性有機溶剤
ジアセトアルコール(168)など
(1−3b)他の溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)、イソプロパノール(82.4)など
(組合せ例1c)
(1−1c)非極性有機溶剤
トルエン(110)
(1−2c)高沸点極性有機溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)など
(1−3c)他の溶剤
イソプロパノール(82.4)、メタノール(65)、エタノール(78)など
(組合せ例1d)
(1−1d)非極性有機溶剤
トルエン(110)
(1−2d)高沸点極性有機溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)など
(1−3d)他の溶剤
イソプロパノール(82.4)、メタノール(65)、エタノール(78)、n−へキサン(65〜69)など
(組合せ例1e)
(1−1e)非極性有機溶剤
ベンゼン(80.1)
(1−2e)高沸点極性有機溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)など
(1−3e)他の溶剤
イソプロパノール(82.4)、メタノール(65)、エタノール(78)など
があげられる。
(組合せ例2)
(2−1)非極性有機溶剤(C1)
沸点50〜130℃の脂肪族炭化水素系溶剤
(2−2)高沸点極性有機溶剤(D1)
沸点120〜250℃のエーテル系溶剤および/または沸点115〜250℃の高沸点アルコール系溶剤など
(2−3)他の溶剤(任意)
沸点が115℃未満の低沸点極性有機溶剤(D2)
より具体的には、
(組合せ例2a)
(2−1a)非極性有機溶剤
メチルシクロへキサン(101)
(2−2a)高沸点極性有機溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテル(120)など
(2−3a)他の溶剤
イソプロパノール(82.4)、メタノール(65)、エタノール(78)など
があげられる。
つぎに本発明において配合する親水性材料(A)は、親水性微粒子であっても、オルガノシリケートのオリゴマーまたはコオリゴマーであってもよい。
親水性微粒子の場合、数平均粒子径が5nm以上であるのが幅広く汚れの付着を防止できる点で好ましく、上限は200nm、さらには50nmであることが細菌や生物類の付着の防止に効果的である点および塗膜の透明性を確保する点で好ましい。具体的には使用環境や対象となる付着物質によって選択される。
そうした親水性微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アパタイト微粒子、光触媒機能性アパタイト微粒子、金属(銅など)微粒子などが好適であり、2種以上を併用してもよい。
シリカ微粒子としては、たとえばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどが好適である。市販のコロイダルシリカとしては、たとえば日産化学(株)製のMA−ST(数平均粒子径10〜15nm)、MA−ST−MS(数平均粒子径17〜23nm)などのメタノール分散液;IPA−ST(数平均粒子径10〜15nm)、IPA−ST−MS(17〜23nm)、IPA−ST−L(40〜50nm)などのイソプロパノール分散液;MEK−ST(数平均粒子径10〜15nm)、MEK−ST−MS(数平均粒子径17〜23nm)などのメチルエチルケトン分散液;MIBK−ST(数平均粒子径10〜15nm)などのメチルイソブチルケトン分散液、PMA−ST(数平均粒子径10〜15nm)などのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散液、DMAC−ST(数平均粒子径10〜15nm)などのジメチルアセトアミド分散液があげられる。
酸化チタン微粒子は不活性な酸化チタンであってもよいし、光触媒機能を有する酸化チタンであってもよい。前者の具体例としては、顔料やフィラーとして通常使用されているもののうち、微粒子状のものが使用できる。
光触媒機能性の酸化チタン微粒子としては、たとえば、石原産業(株)製のST−01、ST−21、その加工品ST−K01、ST−K03、水分散タイプSTS−01、STS−02、STS−21、堺化学工業(株)製のSSP−25、SSP−20、SSP−M、CSB、CSB−M、塗料タイプのLACTl−01、LACTI−03−A、テイカ(株)製の光触媒用酸化チタンコーティング液TKS−201、TKS−202、TKC−301、TKC−302、TKC−303、TKC−304、TKC−305、TKC−351、TKC−352、光触媒用酸化チタンゾルTKS−201、TKS−202、TKS−203、TKS−251、アリテックス(株)製のPTA、TO、TPXなどをあげることができる。ただし、これらの酸化チタン以外であっても使用可能である。
その他、酸化チタンは、アパタイトで表面処理したものを使用してもよい。アパタイトで処理することにより、細菌やウィルスを吸着する効果が高まり、得られた塗膜の殺菌能力が向上する。
なお、光触媒能を有する酸化チタン粒子の場合は、その光触媒能や殺菌能のみを目的として、本発明における親水性材料と併用することもでき、その場合は比較的大きな粒径(たとえば200nmを超える)のものでもよく、また疎水性の粒子であってもよい。
アパタイト微粒子は、たとえば式:
x(BOy)zs
(式中、AはCa、Co、Ni、Cu、Al、La、Cr、Fe、Mgなどの金属原子、BはPまたはS、Xは水酸基またはハロゲン原子)で表される複合金属酸化物の微粒子である。このアパタイトは、粒径も10nm程度のものも製造でき、上記シリカ微粒子と同様に均一分散性が良好である。
光触媒機能を有するアパタイトは、たとえば上記式で示される複合金属酸化物(たとえばカルシウムヒドロキシアパタイトなど)中の金属原子A(たとえばCaなど)の少なくとも一部がTi原子などの光触媒能を付与し得る原子で置換されたものであり、特開2000−327315号公報、特開2003−175338号公報、特開2003−334883号公報などに詳しく開示されている。
この光触媒機能性アパタイトは他の光触媒材料とは異なり、基材ポリマーを劣化させることが少なく、塗膜としての耐久性にも優れている。さらに、粒径も10nm程度のものも製造でき、上記シリカ微粒子と同様に均一分散性が良好である。
なお、光触媒機能性アパタイト粒子の場合は、その光触媒能や殺菌能のみを目的として、本発明における親水性材料と併用することもでき、その場合は比較的大きな粒径(たとえば200nmを超える)のものでもよく、また疎水性の粒子であってもよい。
オルガノシロキサンのオリゴマーまたはコオリゴマーとしては、たとえば国際公開第WO94/06870号パンフレットや国際公開第WO96/26254号パンフレット、国際公開WO97/45502号パンフレットに記載されている式(I):RpSiX(4-p)/2(式中、Rは水素原子または1種もしくは2種以上の有機基、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1〜18の非置換アルキル基、最も好ましくは炭素数3〜18のアルキル基、またはアリール基、好ましくはフェニル基;Xはアルコキシ基またはハロゲン原子であり、pは0<p<2を満足する数である)で表されるオルガノシリケートの1種または2種以上の加水分解重縮合物(シリコーンオリゴマーまたはコオリゴマー)が例示できる。
オルガノシリケートの具体例としては、たとえばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシランなどの4官能シリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタトリメトキシシラン、n−オクタトリエトキシシラン、n−オクタトリクロルシラン、n−オクタトリブロムシラン、n−オクタトリイソプロポキシシラン、n−オクタトリt−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルt−ブトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどの2〜3官能性シリケートなどが例示できる。
市販品としては、たとえばコルコート社製のメチルシリケートシリーズなどが例示できる。
親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合は1/99〜50/50(質量%比)、好ましくは1/99〜45/55(質量%比)の範囲にする必要がある。上記のとおり、親水性材料がこの特定の含有量の範囲で特異的に防汚効果が向上する。好ましい含有量範囲は、親水性材料(A)の種類、有機溶剤(D)の種類や量、塗料用ポリマー(B)の種類や使用する添加剤などによって適宜選定すればよいが、親水性微粒子の場合は、通常5/95(質量%比)以上、さらには10/90(質量%比)以上、特に15/85以上が好ましく、また30/70(質量%比)以下、さらには25/75(質量%比)以下が好ましい。一方、シリケート(コ)オリゴマーの場合は5/95(質量%比)以下でも効果を奏する場合があり、1/99(質量%比)以上で30/70(質量%比)以下の範囲で選定することが望ましい。
本発明で塗膜のマトリックスを形成する塗料用疎水性ポリマー(B)は、親水性材料(A)の分散性、対水接触角の差などを考慮して親水性材料に応じて適宜選択すればよく、なかでも対水接触角が60度以上のものが好適に採用できる。また、樹脂性でもエラストマー性でもよいが、いずれも塗膜の機械的物性を向上できる点から架橋性ポリマーであることが好ましい。
塗料用疎水性ポリマー(B)としては、非フッ素系の疎水性ポリマーであることが価格、施工性(焼付け条件)や、塗料調製時の取扱い性などの点で好ましいが、フッ素系のポリマーであってもよい。
塗料用疎水性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリオレフィンなどがあげられる。具体的には、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン;テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、トリクロロトリフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有モノマー;ビニルシランモノマー;ブタジエン;塩化ビニルなどの疎水性モノマーを単独でラジカル重合反応して得られるホモポリマー、該疎水性モノマー同士またはそれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーなどが好適なものとしてあげられる。
好適な疎水性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂などが、価格の点や入手容易性、汎用性の点で有利である。
アクリル樹脂としては官能基を有する架橋性のアクリル樹脂が好ましく、樹脂の疎水性はエステル部分の置換基の疎水性を制御することでコントロールすることができる。
またアクリルシリコン樹脂としては、なかでも室温硬化性のアクリルシリコン樹脂が好ましく例示できる。市販品としては、たとえば大日本インキ化学工業(株)製の低ガラス転移点型のアクリルシリコン樹脂であるアクリデックA−9540、高ガラス転移点型のアクリルシリコン樹脂であるアクリデックBZ−1161などが例示できる。
フッ素樹脂としては、従来公知のフッ素樹脂の中から選択できるが、耐候性、塗料化、溶剤溶解性などに有利なことから、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を主体とする共重合体が好ましい。これらのフッ素樹脂は官能基を有する架橋性のものが好ましい。市販品としては、たとえばダイキン工業(株)製のゼッフルシリーズなどが例示できる。
親水性材料との関係では、たとえばシリカ微粒子や酸化チタン微粒子、光触媒機能性アパタイト微粒子、金属微粒子に対しては、官能基含有アクリルシリコン系樹脂などが特に好ましい。
架橋性の疎水性ポリマーを使用する場合は、それぞれのポリマーに使用される従来公知の硬化剤を配合することが好ましい。
硬化剤としては、たとえば架橋性ポリマーの硬化性官能基が水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メチロール基、アミド基などの場合は、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランやこれらの縮合物などのシラン化合物などが好ましくあげられる。市販品としては、たとえば大日本インキ化学工業(株)製のアクリデックA−9585やアクリデックFZ−523などが例示できる。
また、親水性粒子など固形分の分散性を高めるために各種の分散剤を使用してもよい。ただし、分散剤は塗膜を形成した後には親水性粒子表面に存在しなくなるものを使用する。たとえば、塗膜の乾燥時に揮散する低分子量の分散剤が好ましいが、塗膜を焼成する場合は高分子量の分散剤であっても焼成時に揮散または分解する分散剤も使用可能である。
さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、たとえば顔料、染料、フィラー、酸化防止剤、レベリング剤、強化用繊維、紫外線吸収剤、光触媒、光安定剤などがあげられる。
他の有機溶剤(D)の配合量は、親水性材料を上記特定濃度で均一に分散でき、かつ塗膜の乾燥、硬化の間にその分散状態を維持できる量であり、親水性材料(A)、塗料用疎水性ポリマー(B)、有機溶剤(C)の種類や量によって適宜選定される。ただし、少なすぎると乾燥時に親水性材料の分散安定性が低下することがあり、また多すぎると乾燥に時間が掛かりすぎることがある。通常、親水性材料100質量部に対し、50質量部以上、さらには100質量部以上が好ましく、また10,000質量部以下、さらには2,000質量部以下が好ましい。
有機溶剤(C)の配合量は、塗料用疎水性ポリマーを均一に溶解または分散させることができる量であればよいが、少なすぎると疎水性ポリマーの膜化が早すぎて有機溶剤(D)が揮散しにくくなることがあり、また多すぎると親水性材料が均一分散性を保ったまま、塗膜を形成できなくなることがある。通常、塗料用疎水性ポリマー100質量部に対し、100質量部以上、さらには200質量部以上が好ましく、また10,000質量部以下、さらには2,000質量部以下が好ましい。
塗料用疎水性ポリマー(B)の組成物中の濃度は、親水性材料(A)の種類や量、塗料用疎水性ポリマー(B)の種類、有機溶剤(C)の種類や量によって適宜選定される。通常、2質量%以上、さらには5質量%以上が好ましく、また50質量%以下、さらには20質量%以下が好ましい。
本発明の組成物の調製は、塗料用疎水性ポリマーの有機溶剤(C)溶液(または分散液)に親水性材料の有機溶剤(D)分散液(または溶液)を混合することにより行うことができる。
塗装方法は特に限定されず、たとえば刷毛塗り法、スプレー法、ディッピング法、ロールコート法などの均一塗膜が形成できる方法であればよい。
塗装後の処理としては、自然乾燥を含む乾燥処理、塗料用疎水性ポリマーの種類によっては硬化(架橋)処理、焼成処理などを、適宜必要に応じて行うことができる。
塗膜の膜厚は特に制限はないが、200nm以上、さらには500nm以上、特に5μm以上とすることが塗膜強度および適切な防汚性を有する塗膜が形成できる点で好ましい。上限は塗膜にヒビや割れが生じなければ特に限定されない。
本発明においては、乾燥時に親水性材料の均一分散状態が維持されながら、有機溶剤(C)および有機溶剤(D)が揮散していき、塗料組成物中の均一分散状態が乾燥後の塗膜に実質的に維持される。
塗膜表面またはその近傍では疎水性領域と親水性領域が均一に分散している状態、いわゆるミクロ相分離構造を呈しており、その結果、比較的少量の親水性材料でも優れた防汚性が発揮される。
なお、以上の説明においては塗料用ポリマーとして疎水性ポリマー(B)を用いているが、塗料用ポリマーとして親水性ポリマーを使用することも可能であり、その場合は親水性材料に代えて疎水性材料を使用すればよい。しかし、この組合せは価格の面で本発明の組合せに劣るため、その点がこれからの検討課題である。
本発明の防汚塗料組成物の基本組成について、これまでに詳細かつ具体的に説明したが、本発明の塗料組成物にさらに各種の機能、性質を付与してもよい。ただし、添加剤が本発明における親水性材料および疎水性ポリマーに相当する場合は、それらの添加剤も本発明の要件を満たす必要がある。
(帯電防止機能)
導電性の材料、たとえば導電性ポリマー、導電性金属フィラー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどを配合し、塗膜表面に分散させることにより、塗膜の帯電防止作用を向上させ、静電気的な付着性物質の付着をさらに防止できる。
こうした優れた帯電防止効果を得るには、表面抵抗値を1012Ω以下にすることが望ましい。
(抗菌防黴機能)
Ag、Zn、Cuなどの抗菌防黴作用を有する金属を親水性粒子として採用するかまたは併用することにより、塗膜表面に付着防止に加えて抗菌防黴機能を付与することができる。
(耐衝撃性)
ゴム成分を配合するか、熱可塑性エラストマーを配合することにより、塗膜表面の耐衝撃性を向上させることができる。
(光分解性)
本発明における親水性材料とは別に、光触媒能を有する粒子、たとえばアナターゼ型酸化チタンなどを併用することにより、光分解性を付与できる。この場合、光触媒能を有する粒子は、比較的大きな粒径のものであってもよいし、疎水性のものであってもよい。
本発明の防汚塗料組成物は、たとえばつぎに示す物品に適用することができる。
(1)人体や生物に接する環境で使用される物品:
(1−1)人体に接する環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
各種の血液成分(血漿、赤血球、血小板、白血球など)、各種体液(リンパ液、唾液、涙、汗、糞尿など)、脂肪、皮膚断片など。
以下に示す抗血栓材料、抗蛋白質付着材料、脂肪・脂質付着防止材料,尿石付着防止材料など、日用品などとしても有用である。
(具体的物品例)
医用関連物品:
人工血管、血液パック、人工臓器、人工心臓、人工肺、肺ドレナージ、人工皮膚、経皮デバイス、採尿パック、導尿カテーテル、眼内レンズ、コンタクトレンズ、人工骨、人工関節、人工歯、歯の虫歯防止剤(歯に塗布する)、便器(尿石が付かない)およびその接続チューブなど。
日用品:
寝具類(布団、ベッド、シーツ)、タオル、手袋(垢がつきにくい)、整髪用器具(くし、はさみ、バリカン、髭剃り、ドライア)、洗面用具(歯ブラシ、風呂桶、浴室マット、浴室用椅子)など。
(1−2)生物が付着しやすい環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
藻、黴、各種細菌など。
(具体的物品例)
船底材料、船底塗料、艦艇用ドッグ、外壁材料、水周り(浴室、シンク、浴槽など)の材料、タイル、水槽、用水路、循環水利用設備(水道など水配管全般)、水中建造物(ダム、港、堤防など)、運河、熱交換器、エアコンのドレインパン、ドレインホース、ドレインポンプ、フィルター類、排水ロ、排水経路、食料品工場(乳製品製造ライン、タンク、配管など)、食品貯蔵庫(冷凍室、冷蔵庫)、食品加工器具(ミキサー、ジューサー、製麺機、炊飯器など)、食器収納器、食器洗浄器、食器乾燥器、飲料のサーバー(ビールやジュースのサーバー、冷水器)、ショーケース、キッチンカウンター、水筒類、貯水槽、プール,コップ、ストロー、食器類(コップ、ポットや急須類では茶渋も付かないので好適)、調理用具(まな板、スポンジ、包丁)、体重計、靴、靴下(水虫防止)、洗濯機、乾燥機、缶切など。
(2)結晶が成長しやすい環境で使用される物品:
(2−1)ワックスやスラッジが付着しやすい環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
冷凍機油中のスラッジ(各種の油や鉱物油の劣化物)、各種油中のワックス(たとえばn−パラフィンなど)成分など。
(具体的物品例)
フィルター、冷凍機の減圧部(キャピラリー、各種減圧弁など)など。
(2−2)スケールが付着しやすい環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
水中の無機物質が析出(たとえば結晶化)したもの。多くのスケールは炭酸やリン酸、硫酸、ケイ酸のカルシウム塩またはシリケートの形で結晶化し析出する。
(具体的物品例)
熱交換器、ボイラー、クーリングタワーなど。
(2−3)着氷が生じやすい環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
水滴、水、氷、雪など。
(具体的物品例)
熱交換器のフィン(デフロスト対策)、屋根材(瓦などにコーティング)、アンテナ、送電線(雪などによる切断や破壊防止)、船舶外装(着氷防止)、製氷皿、製氷機、冷蔵庫、冷凍庫(室、車)、ガラス(各種車両、建造物)、屋外電気通信機関係(パラボラアンテナなどの各種アンテナ、通信用鉄塔、通信ケーブル、電線、送電用鉄塔など)、輸送車両関係(船舶や列車などのデッキ、各種車両の乗降ステップ、パンタグラフ、トロリー線などの車両の外部突出物、航空機の翼、各種車両の外装)、建築物関係(屋根瓦、タイルなどのエクステリア類)、道路、歩道(凍結しにくく、除雪や除氷も容易)、靴底、タイヤ(凍結しにくい)、塩害防止塗料、碍子(フラッシュオーバーの防止)など。
(3)空気に曝される環境で使用される物品:
(3−1)主として屋内で使用される物品:
(付着性物質の種類)
油煙、煙草の煙やヤニなど。
(具体的物品例)
屋内用建材(天井材、壁材、壁紙など)、ブラインド、カーテン、床材、カーペット、透明部材(照明カバー、ガラス、ショーウインドー、計器類のカバー、眼鏡、ゴーグルなど)、鏡(車両用ミラー、家庭用、洗面鏡など)、熱交換器、空調機(ファン、外装など)、空調機のダクト、空気清浄機、加湿ホース(室内への黴、細菌などのアレルゲン発生防止)、吹き出し口、排気口、それらの周囲部分、かつら、人工毛髪、キッチン、レンジフード、服(臭いが移らない)、化粧品(臭いが移らない)など。
(3−2)主として屋外で使用される物品:
(付着性物質の種類)
ダスト(約0.1〜50μm)、海岸沿いの食塩結晶(約0.1〜10μm)、液滴(約10〜50μm)、自動車の排気ガスなど。
(具体的物品例)
屋外用建材(建築物の外壁、車両や船舶、航空機などの外装)、道路関連部材(ガードレール、標識、信号、トンネル内壁、照明器具、看板のカバー類、防音壁、高架、橋など)、透明部材(屋外照明カバー、ガラス、看板のカバー、ショーウインドー、温室、太陽電池カバー、太陽熱温水器カバー、計器類のカバー、眼鏡、ゴーグルなど)、鏡(車両用ミラー、道路鏡など)、熱交換器、空調機(ファン、外装など)、空調機のダクト、加湿ホース(室内への黴、細菌などのアレルゲン発生防止)、吹き出し口、排気口、それらの周囲部分、煙突内部、その周囲部分、かつら、人工毛髪、外出用服(臭いが移らない)、化粧品(臭いが移らない)、遊具(遊園地や公園の器具類)など。
(4)電気絶縁性が要求される環境で使用される物品:
(付着性物質の種類)
各種導電性の物質、たとえばカーボンや炭化物などのほか、付着した物質に水分が含浸され、導電性になったもの。
(具体的物品例)
各種電気電子部品の端子台、マグネットプラグなどのプラグ類、電気集塵機やイオン発生器などの放電部など。
(5)張り紙などの貼付けがなされる環境で使用される物品:
(具体的物品例)
屋内と屋外の各種壁、各種遊具、トンネル、電柱、電話ボックスなど。
以上に例示した各種の物品のうちでも、空気の流れる場所や部分に汚れは他所よりも付着しやすく、黒ずんでいる状態はよく見かけるところである。そうした場所に設置される機器の代表例は空調機、特に屋内用空調機や空気清浄機であり、その表面汚染(特に油煙、煙草の煙やヤニ、室内の微粉や埃など)防止は長年の課題であった。たとえば、屋内用空調機は一般に月に2〜3回は表面をクリーニングする必要があるほど汚れがたまりやすい。
本発明の防汚塗料組成物はこうした空調機の外装やダクトの内側などに塗装する塗料として最適であり、本発明の塗膜を表面に有する空調機や空気清浄機では変色が抑えられると共にクリーニングの回数を大きく減らすことができる。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
つぎの成分を表1に示す配合で攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物1−1)を調製した。
(配合)
塗料用疎水性ポリマー1:大日本インキ化学工業(株)製の高ガラス転移点型の室温硬化型3級アミノ基含有アクリルシリコン樹脂(Tg90℃)のトルエン/イソブタノール溶液:固形分44質量%。商品名アクリデックBZ−1161
硬化剤1:シリコン系硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製の商品名アクリデックFZ−523)
親水性材料1:コロイダルシルカ(日産化学(株)製のIPA−ST。シリカの数平均粒子径10〜15nm。30〜31質量%のイソプロパノール分散液)
この塗料組成物1−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル1−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、表1に示す量で配合して防汚塗料組成物(組成物1−2〜1−3)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル1−2〜1−3を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、つぎの簡易防汚試験1を行った。結果を表1に示す。
(簡易防汚試験1)
試験1:煙草の煙による簡易汚染試験
サンプルおよびブランク(未処理ポリスチレン板)を3日間屋内雰囲気に放置した後、密閉容器(容積30リットル)中に縦置きに入れ、容器内で紙巻タバコ(日本たばこ産業(株)製のマイルドセブン)1本を完全に燃焼させる。燃焼後3時間放置し、サンプルおよびブランクの試験開始前との色差(ΔE)を光度計(日本電色工業(株)製のカラーメータZ2000を用い、JIS Z8722に準拠して表面の反射率から調べる。同様にして屋内雰囲気に6日間、28日間および50日間放置したサンプルおよびブランクについて、上記タバコ燃焼試験を行ない、試験開始前との色差(ΔE)を調べる。
試験2:対水接触角
上記試験1において、対水接触角計を使用して3日後、6日後、28日後および50日後の対水接触角を調べる。
比較例1
実施例1の組成物1−1の調製において、PGMEを混合せず、同量のイソプロパノールを混合したほかは同様にして比較用の塗料組成物(1−C1)を調製し、この比較用サンプル1−C1を用い実施例1と同様にして比較用防汚塗膜サンプル1−C1を作製した。
この比較用防汚塗膜サンプル1−C1について、実施例1と同様にして簡易防汚試験1を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006083383
実施例2
つぎの成分を表2に示す配合で攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物2−1)を調製した。
(配合)
塗料用疎水性ポリマー2:大日本インキ化学工業(株)製の低ガラス転移点型の室温硬化型3級アミノ基含有アクリルシリコン樹脂(Tg60℃)のトルエン/イソブタノール溶液:固形分44質量%。商品名アクリデックA−9540
硬化剤2:シリコン系硬化剤(大日本インキ化学工業(株)製の商品名アクリデックA−9585)
親水性材料1
この塗料組成物2−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル2−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、表2に示す量で配合して防汚塗料組成物(組成物2−2〜2−3)を調製し、これらの組成物を用い上記と同様にして防汚塗膜サンプル2−2〜2−3を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例1と同様にし簡易防汚試験1を行った。結果を表2に示す。
比較例2
実施例2の組成物2−1の調製において、ジアセトアルコールを混合せず、同量のイソプロパノールを混合したほかは同様にして比較用の塗料組成物(2−C1)を調製し、この比較用組成物2−C1を用い実施例1と同様にして比較用防汚塗膜サンプル2−C1を作製した。
この比較用防汚塗膜サンプル2−C1について、実施例1と同様にして簡易防汚試験1を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006083383
実施例3
実施例2において、ジアセトアルコールの配合量を表3のとおりに変更したほかは実施例2と同様に防汚塗料組成物(組成物3−1〜3−3)を調製し、これらの組成物を用い上記と同様にして防汚塗膜サンプル3−1〜3−3を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例1と同様にし簡易防汚試験1を行った。結果を表3に示す。
Figure 2006083383
実施例4
親水性材料の量の影響を調べるため、表4に示す成分を同表に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物4−1)を調製した。
この塗料組成物4−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル4−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、表4に示す量で配合して防汚塗料組成物(組成物4−2〜4−5)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル4−2〜4−5を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、湿度の影響を除いたつぎの加速防汚試験2を行った。結果を表4に示す。
(加速防汚試験2)
試験方法:
試験はまず、後述する試験装置を作製して用いた。煙発生装置で発生させた市販煙草(日本たばこ株式会社製のマイルドセブン)10本分の煙を評価用水槽に入れ、水槽内に備えたファンで充分に攪拌する。ついで水槽内部の煙が均質になった時点でファンを止め、試験材料用治具に固定したサンプルを水槽に入れ、10時間経過後の汚れを測定する。
汚れの測定は、日本電色工業(株)製のNR−1型色差計を使用し、試験前後の色差(Δb値)により汚れを評価する。
試験装置:
図1に示す独自開発による試験装置を用いる。この試験装置は、煙発生装置1、評価用水槽2、サンプル用冶具3より構成されている。
煙発生装置1は、煙草燃焼用の空気を送るポンプ7、煙草燃焼用の容器6、煙草5の煙を除湿する除湿ユニット4からなり、乾燥した煙を発生する。
試験用水槽2は、幅600×長さ300×高さ380mmのガラス製であり、側面に煙攪拌用のファン8が設けられている。また、水槽2上部の蓋には煙発生装置からの煙10の注入口と、サンプル9を出し入れする開口部、水槽内の温湿度測定用の温湿度計が設けられている。
サンプル用冶具3は、水槽2にサンプル9を出し入れすると共に、水槽2中の定位置にサンプル9を固定できるよう構成されている。
比較例3
実施例4の組成物4−1の調製において、親水性材料1(コロイダルシリカ)を混合しなかったほかは同様にして比較用の塗料組成物(4−C1)を調製し、この比較用組成物4−C1を用い実施例4と同様にして比較用防汚塗膜サンプル4−C1を作製した。
この比較用防汚塗膜サンプル4−C1について、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表4に示す。
Figure 2006083383
実施例5
実施例4の組成物4−2の調製において、疎水性ポリマーとして塗料用疎水性ポリマー2(大日本インキ化学工業(株)製のアクリデックA−9540(Tg60℃))を用い、またコロイダルシリカの混合量を表5に示す量としたほかは実施例4と同様にして塗料組成物(5−C1〜5―4)を調製し、この組成物5−C1〜5−4を用い実施例4と同様にして防汚塗膜サンプル5−C1〜5−4を作製した。
この防汚塗膜サンプル5−1〜5−4および5−C1について、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表5に示す。
Figure 2006083383
実施例6
有機溶剤CとDの量の影響を調べるため、表6に示す成分を同表に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物6−1)を調製した。
この塗料組成物6−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル6−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、有機溶剤Cと有機溶剤Dを表6に示す量で配合して防汚塗料組成物(組成物6−2〜6−4)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル6−2〜6−4を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表6に示す。
Figure 2006083383
実施例7
他の有機溶剤Dの種類の影響を調べるため、表7に示す成分を同表に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物7−1)を調製した。
この塗料組成物7−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル7−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、有機溶剤Dおよび低沸点極性有機溶剤を表7に示す量で配合して防汚塗料組成物(組成物7−2〜7−C2)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル7−2〜7−C2を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表7に示す。
Figure 2006083383
実施例8
他の有機溶剤Dの組合せと配合量の影響を調べるため、表8に示す成分を同表に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物8−1)を調製した。
この塗料組成物8−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル8−1)を作製した。
また、使用する各成分は同じものを用い、2種類の有機溶剤Dを表8に示す割合で配合して防汚塗料組成物(組成物8−2〜8−4)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル8−2〜8−4を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表8に示す。
Figure 2006083383
実施例9
ポリマー用有機溶剤(C)として、トルエンに代えてキシレン(bp140℃)を用い、表9に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物9−1)を調製した。
この塗料組成物9−1をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル9−1)を作製した。
また、キシレンとジアセトアルコールの量を表8に示す割合で配合して防汚塗料組成物(組成物9−2)を調製し、上記と同様にして防汚塗膜サンプル9−2を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表9に示す。
Figure 2006083383
実施例10
親水性材料であるコロイダルシリカの粒子径の影響を調べるため、表10に示す成分において平均粒子径の異なるコロイダルシリカ1〜3を同表に示す量で配合し攪拌混合して溶剤型の防汚塗料組成物(組成物10−1〜10−3)を調製した。
コロイダルシリカ1:日産化学(株)製のIPA−STS。シリカの数平均粒子径7〜10nm。30〜31質量%のイソプロパノール分散液
コロイダルシリカ2:日産化学(株)製のIPA−ST。シリカの数平均粒子径10〜15nm。30〜31質量%のイソプロパノール分散液
コロイダルシリカ3:日産化学(株)製のIPA−STL。シリカの数平均粒子径40〜50nm。30〜31質量%のイソプロパノール分散液
この塗料組成物10−1〜10−3をポリスチレン板(150mm×80mm×5mm)に乾燥後の厚さが5μmとなるようにスプレー塗装し、60℃にて30分間放置して、防汚塗膜サンプル(サンプル10−1〜10−3)を作製した。
これらの防汚塗膜サンプルについて、実施例4と同様にして加速防汚試験2を行った。結果を表10に示す。
Figure 2006083383
実施例4〜10で採用した加速防汚試験に用いる防汚試験装置の概略図である。
符号の説明
1 煙発生装置
2 評価用水槽
3 サンプル用冶具
4 除湿ユニット
5 煙草
6 煙草燃焼用の容器
7 ポンプ
8 ファン
9 サンプル
10 煙

Claims (13)

  1. 親水性材料(A)と塗料用疎水性ポリマー(B)と該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)と他の有機溶剤(D)とからなり、該他の有機溶剤(D)が該塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)の沸点よりも5℃以上高い高沸点有機溶剤であり、さらに該親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合が1/99〜50/50(質量%比)である防汚塗料組成物。
  2. 前記塗料用疎水性ポリマー用の有機溶剤(C)が非極性有機溶剤(C1)であり、かつ前記他の有機溶剤(D)が親水性材料用の極性有機溶剤(D1)であり、該極性有機溶剤(D1)が該非極性有機溶剤(C1)の沸点よりも5℃以上高い高沸点極性有機溶剤である請求項1記載の防汚塗料組成物。
  3. 前記親水性材料(A)/疎水性ポリマー(B)の割合が1/99〜30/70(質量%比)である請求項1または2記載の防汚塗料組成物。
  4. 前記極性有機溶剤(D1)が115℃以上の高沸点極性有機溶剤である請求項2または3記載の防汚塗料組成物。
  5. さらに沸点が115℃未満の低沸点極性有機溶剤(D2)を含む請求項4記載の防汚塗料組成物。
  6. 前記親水性材料(A)が、親水性微粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  7. 前記親水性材料(A)が、オルガノシリケートのオリゴマーまたはコオリゴマーである請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  8. 前記親水性微粒子がシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アパタイト微粒子、光触媒能を有するアパタイトおよび/または金属微粒子である請求項6記載の防汚塗料組成物。
  9. 前記塗料用疎水性ポリマー(B)が架橋性ポリマーである請求項1〜8のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  10. 前記塗料用疎水性ポリマー(B)が非フッ素系の疎水性ポリマーである請求項1〜9のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の防汚塗料組成物を硬化して得られる防汚塗膜。
  12. 塗膜表面で親水性材料(A)と塗料用疎水性ポリマー(B)がミクロ相分離構造を形成している請求項11記載の防汚塗膜。
  13. 請求項11または12記載の防汚塗膜を有する物品。
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