JP2006083220A - ポリエチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含むフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明性、及び衝撃強度とともに優れたガスバリアー性、特に優れた酸素ガスバリアー性を備えたフィルムの製造を可能にするポリエチレン系樹脂組成物、及び該ポリエチレン系樹脂組成物を含むフィルムを提供する。
【解決手段】 密度が0.90〜0.96g/cmである、エチレンと炭素原子数3〜10個のα−オレフィンとのエチレン・α−オレフィン共重合体(A);エチレンと少なくとも1種のラジカル重合性酸無水物とを共重合し、該共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜20重量%であるエチレン系共重合体(B);及びエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、該共重合体中のエチレン共重合に由来する単位が10〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を含む、ポリエチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含むポリエチレン樹脂系フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含むフィルムに関する。さらに詳細に述べると、透明性(ヘイズ)、及び衝撃強度とともに優れたガスバリアー性を備えたフィルムを製造を可能にするポリエチレン系樹脂組成物、及び該ポリエチレン系樹脂組成物を含むフィルムに関する。
一般にポリエチレン系フィルムは、その対薬品性、及び接着性などの化学的性質、寸法安定性、剛性、引裂強度、及び耐衝撃性などの物理的性質に優れているため、透明包装材料として広く用いられているが(特許文献1、及び2)、ガスバリアー性が低いという欠点があった。
この欠点を克服し、ガスバリアー性の高いポリエチレン系フィルムを提供するため、ポリアミドやポリビニルアルコールなどと、ポリエチレンとを成形機を用いて押し出して製造する、ポリエチレン系の多層フィルム、及びその製造方法が開発されてきたが(特許文献3、及び4)、該多層フィルムの製造は作業工程が複雑で作業性が悪い、また多層フィルム成形機の価格が高いので、ガスバリアー性ポリエチレン系フィルムの価格が高いという問題があった。
特開2003−276081号公報 特開2002−273843号公報 特開2003−064205号公報 特開2004−224050号公報
本発明は、かかる問題点を解決し、透明性、及び衝撃強度とともに優れたガスバリアー性、特に優れた酸素ガスバリアー性を備えたフィルムの製造を可能にするポリエチレン系樹脂組成物、及び該ポリエチレン系樹脂組成物を含む、ガスバリアー性に優れたポリエチレン系フィルムを提供することを目的とする。
これらの課題を解決するため、本発明者が研究を行った結果、所定のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、エチレン系共重合体(B)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を組み合わせたポリエチレン系樹脂組成物により、透明性、及び衝撃強度とともに優れたガスバリアー性を有するフィルムが得られるという知見を得た。
したがって、本発明は、密度が0.90〜0.96g/cmである、エチレンと炭素原子数3〜10個のα−オレフィンとが共重合したエチレン・α−オレフィン共重合体(A)10〜98重量%;エチレンと少なくとも1種のラジカル重合性酸無水物とを共重合してなる多元共重合体であって、該多元共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜20重量%であるエチレン系共重合体(B)1〜50重量%;及びエチレンとビニルアルコールとを共重合してなるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、該共重合体中のエチレンに由来する単位が10〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)1〜50重量%を含む、ポリエチレン系樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明は前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる層を含む、ポリエチレン系樹脂フィルムを提供する。
さらに本発明は、前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる層が、温度20℃、相対湿度65%RHにおける酸素透過速度が11,000cc・20μm/m・day・atm以下であり、フィルムヘイズが20%以下、かつフィルム衝撃強度が100kg・cm/mm以上の層である、樹脂フィルムを提供する。
なお、本明細書中において、必要に応じて、本発明のポリエチレン系樹脂フィルムを、製品フィルムと、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体をEVOHと略して表記する。
次に、実施の形態により本発明を詳細に説明する。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、遷移金属触媒を用い、高圧法、又は低圧法で合成した、エチレンと、炭素原子数3〜10個のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が約0.90〜0.96g/cm、好ましくは0.915〜0.955g/cmである。
一般的に、α−オレフィンの含有量によりポリエチレンの密度は変わり、ブテン-1をコモノマーとしたときは、炭素原子数1000個当たり側鎖数が20〜25であれば約0.91、側鎖数が3〜5であれば0.94であり、側鎖数0−3で0.96g/cmに近づく。この場合、透明性は低下するが、強度は上昇する。また、本発明のフィルムを低密度ポリエチレン等の外層を有する多層フィルムとすることで、透明性が改善される。
ここで前記炭素原子数3〜10個のα−オレフィンの例を挙げると、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、及びオクテン-1などがある。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、特に限定されるものではないが、JIS−K−7210の表1の4の方法によって測定したメルトフローレート(以下、MFRという。)が、通常約0.3〜5.0g/10分、特に0.05〜3.0g/10分位であるのが好ましい。
また、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布(M/Mで一般に表される。)は、バランスフィルム用として市販されている高密度ポリエチレンのように2段重合、多段重合により製造されたものも使用可能であり、市販のエチレン・α−オレフィン共重合体と同じく約2.0〜約55.0であるのが好ましい。
なお、本発明では、該エチレン・α−オレフィン共重合体に、1000〜3500kg/cm2の高圧下、パーオキサイドなどの遊離基発生剤の存在下で重合させた、密度約0.91〜約0.93g/cm3、MFRが約0.3〜約5.0g/10分の高圧法低密度ポリエチレン(以下、LDPEという。)を配合して用いてもよい。この場合、該エチレン・α−オレフィン共重合体とLDPEとの合計重量に対して、該LDPEの配合割合を5重量%〜50重量%とする。該LDPEの配合割合が50重量%を越えると製品フィルムの衝撃強度が顕著に低下するので避けるべきであり、一方該LDPEを5重量%以上配合すると、前記エチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合に押出機先端の圧力を低下させる効果が得られるので好ましい。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、従来からフィルム原料のポリエチレンに配合されている添加剤、例えば、抗酸化剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、着色剤、帯電防止剤などを配合することができる。
本発明で用いるエチレン系共重合体(B)は、エチレンと少なくとも1種のラジカル重合性酸無水物とを共重合してなる多元共重合体であって、該多元共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜20重量%であるエチレン系共重合体である。
また、該エチレン系共重合体は、エチレンとラジカル重合性酸無水物に加え、必要に応じて他のラジカル重合性コモノマー(以下、第3モノマーと称する)成分を含む多元共重合体であってもよい。
本発明のラジカル重合性酸無水物の例を挙げると、無水マイレン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1-ブテン-3,4-ジカルボン酸無水物、炭素原子数が18個以下であり、かつ末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク酸、炭素原子数18個以下であり、かつ末端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸などがあり、特に無水マレイン酸、及び無水イタコン酸が好ましい。これらのラジカル重合性無水物は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記エチレン系共重合体(B)中の、ラジカル重合性酸無水物に由来する単位は0.1〜20重量%、特に1〜10重量%とするのが好ましい。該酸無水物に由来する単位が0.1重量%よりも少ないと、製品フィルムのガスバリアー性低下し、かつ20重量%を越えると、製品フィルムの柔軟性、強度などが損なわれ、かつ価格が上がるので好ましくない。
次に、前記ラジカル重合性酸無水物と組み合わせることができる第3コモノマーを挙げると、エチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和アミド化合物、エチレン系不飽和カルボン酸化合物、エチレン系不飽和エーテル化合物、及びエチレン系不飽和炭化水素化合物などがある。
該エチレン系不飽和エステル化合物の例を挙げると、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブロピル、及びマレイン酸ジブチルなどがある。
また、該エチレン系不飽和アミド化合物の例を挙げると、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等がある。
該エチレン系不飽和カルボン酸化合物の例を挙げると、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びフマル酸などがある。
さらに、該エチレン系不飽和エーテル化合物の例を挙げると、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、及びフェニルビニルエーテルなどがある。
さらにエチレン系不飽和炭化水素化合物及びその他の化合物の例を挙げると、スチレン、α−メチルスチレン、ノルボルネン、ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、塩化ビニル、及び塩化ビニリデンなどがある。これら第3モノマーは、必要に応じて単独で、又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記第3モノマーを併用する場合、本エチレン系共重合体中の該第3コモノマー成分の含量は40重量%以下であることが好ましい。40重量%を越えると製品フィルムの成形性が大幅に低下するからである。
該エチレン系共重合体(B)のMFRは、JIS−K−7210の表1の条件4により測定した場合、0.1〜100g/10分の範囲であるのが好ましい。この範囲外ではガスバリアー性を有する製品フィルムが得にくいからである。
また、該エチレン系共重合体(B)は、塊状、溶液、懸濁、又はエマルジョンなどの重合方法により製造することができ、基本的には既存の低密度ポリエチレン製造設備、及び従来技術を利用することができる。
最も一般的な製造方法は塊状重合であり、700〜3000気圧の圧力下で100〜300℃の温度範囲でラジカル重合することで製造することができる。好ましい重合圧力、重合温度の範囲としては1000〜2500気圧、反応器内の平均温度が150〜270℃である。700気圧以下では重合体の分子量が低くなり、製品フィルムの成形性が低下するので好ましくない。また3000気圧以上とするのは、本発明のポリエチレン系樹脂組成物の物性の向上がないので実質的に無意味であり、製造コストを高めるだけなので好ましくない。
該エチレン系共重合体(B)の製造装置としてベッセル型の反応器が好ましい。特に前記ラジカル重合性酸無水物は重合安定性が低い、反応器内が高度に均一化されている必要があるからである。また、必要に応じて複数個の反応器を直列、又は並列に接続して多段重合を行なうこともできる。さらに反応器の内部を複数のゾーンに仕切ることで、より緻密な温度コントロールを行なうことも可能である。
次に、本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略す。)(C)について説明する。本発明で用いるEVOHは、エチレンとビニルアルコールとを共重合してなるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、該共重合体中のエチレンに由来する単位が10〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体である。ここで該エチレンに由来する単位は、好ましくは20〜50モル%であり、さらに好ましくは25〜45モル%である。
該EVOHは、エチレン−ビニルエステル共重合体を合成し、次いで該共重合体をケン化することにより製造することができる。
該EVOHの合成に用いるビニルエステルには、炭素原子数5個以下の低級脂肪酸ビニルエステル、例えば、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、及び酢酸ビニルなどがある。
また、エチレン、及びビニルエステル以外に、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を、本発明の目的を逸脱しない範囲で使用してもよい。該エチレン性不飽和単量体の例を挙げると、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンなどの炭素原子数3〜18個のオレフィン;バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのカルボン酸ビニル;ラウリルビニルエーテル、メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;(メタ)アクリレート類;アクリルアミド、メタクリルアミド、及びN,N-ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、該不飽和カルボン酸のエステル、又は無水物;ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸などのスルホン酸モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、及びビニルサクシイミドなどのカチオン性モノマー;及びアルキルチオール類、ビニルピロリドン類、ビニレンカーボネート、アリルアルコール、及びアリルアセテートなどその他のものがある。
前記エチレン−ビニルエステル共重合体の合成は、所定量のエチレン、及びビニルエステルをラジカル開始剤の存在下で、メタノール、t-ブタノールなどのアルコール、又はジアルキルスルホキシドなどの重合溶媒中で反応させて行うことができる。該共重合体のエチレン含量、極限粘度は重合系のエチレン圧力、重合温度、重合速度、重合率、ビニルエステルと溶媒の組成等により変化するので、所望のエチレン含量、及び極限粘度の共重合体を得るため、各種の条件を調整しながら反応を行う必要がある。
次いで、得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステル成分をケン化することにより、EVOH(C)を製造する。該ケン化度は、高度なガスバリアー性を得るために、通常、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらにより好ましく98モル%以上とする。
該ケン化は、公知の方法によって行うことができる。例えば、前記エチレン−ビニルエステル共重合体のアルコリシス反応によりケン化を行いEVOHを製造することができる。
該アルコリシス反応の溶媒には、低級アルコール、特に炭素原子数1〜5個の一価低級アルコールが好ましい。該低級アルコールの例を挙げると、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、n-アミルアルコール、及びi-アミルアルコールなどがあり、特にメタノール、及びエタノールが好ましい。
該低級アルコールの使用量は、エチレン−ビニルエステル共重合体のアルコリシス反応によりEVOHを製造するのに充分な量であれば特に限定されないが、エチレン−ビニルエステル共重合体の平均分子量に基づくモル数に対して1.0〜50倍モル、好ましくは1.5〜30倍モル、特に好ましくは2.0〜20である。
また、該アルコリシス反応では、アルカリ性触媒の共存下で行う。該アルカリ性触媒としては、エチレン−ビニルエステル共重合体のアルコリシス反応に使用されている公知の触媒をそのまま使用できる。該触媒の例を挙げると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、t-ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコラート、1,8-ジアザビシクロ[5,4,10]ウンデセン-7(DBU)などの強塩基性アミン、炭酸アルカリ金属塩、及び炭酸水素アルカリ金属塩などがある。該触媒の使用量は、必要ケン化度、反応温度等により異なるが、通常、エチレン−ビニルエステル共重合体の平均分子量に基づくモル当り、0.001〜1.0モルである。
該アルコリシスの反応温度は、室温から約150℃の任意の温度とし得るが、常圧の反応系で高い反応速度を得るためには40〜120℃、好ましくは50〜100℃とする。また、該アルコリシス反応は撹拌槽型式、又は塔型式の装置により行うことができる。
なお、本発明ではEVOH(C)として2種類以上のEVOHを配合して用いることもできる。この場合、各々のEVOHのエチレン含有量、及びケン化度に配合重量比を加味して算出される平均値を、EVOHのエチレン含有量、及びケン化度とする。
また、該EVOHに必要に応じて、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィン等)を配合することができる。
本発明のエチレン系樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体の配合割合は、通常10〜98重量%、特に50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、特に好ましくは70〜90重量%である。該エチレン・α−オレフィン共重合体の配合量が、10重量%未満では、衝撃強度の改善が見られず、一方、配合割合が98重量%を超えると、ガスバリアー性が低下するからである。
本発明のエチレン系樹脂組成物中のエチレン系共重合体の配合割合は、1〜50重量%であり、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは7〜15重量%である。該エチレン系共重合体の配合量が、1重量%未満ではガスバリアー性の改善が見られず、一方、配合割合が、50重量%を超えると、弾性率の低下、べたつき性が発現し、自動製袋適性が低下するからである。
本発明のエチレン系樹脂組成物中のEVOHの配合割合は、1〜50重量%であり、好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは7〜15重量%である。該EVOHの配合量が、1重量%未満ではガスバリアー性の改善が見られず、一方、配合割合が50重量%を超えると衝撃強度が低下するからである。
次に、本発明のポリエチレン系樹脂フィルムについて説明する。該フィルムは、先に記載したポリエチレン系樹脂組成物からなる層を含む、ポリエチレン系樹脂フィルムである。
特に該フィルムは、温度20℃、相対湿度65%RHにおける酸素透過速度11,000cc・20μm/m・day・atm以下であり、フィルムヘイズが20%以下、フィルム衝撃強度が100kg・cm/mm以上であるポリエチレン系樹脂フィルムとすることができる。
該フィルムにおける酸素透過速度は、酸素透過速度11,000cc・20μm/m・day・atm、特に8,000cc・20 μm/m・day・atm以下とするのが好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂フィルムは種々の方法で製造することができる。例えば、空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、及びT−ダイ法などがあり、特に空冷インフレーション法が好ましい。
該空冷インフレーション法による本発明のフィルムの製造は、従来の空冷法インフレーションフィルム製造装置で行うことができる。例えば、該エチレン系樹脂組成物を150〜250℃の温度で押出機よりサーキュラーダイを通して押出し、空冷式エアーリングより吹き出す空気に接触させて急冷し、固化させてピンチロールで引取った後、枠に巻取ることにより行うことができる。
この方法により、従来、同時に解決することが困難であった空冷法インフレーションフィルムの透明性、強度、及びヒートシール性を同時に改善することができる。また、水冷法インフレーションフィルム法、及びT−ダイ法による本発明の製品フィルムを製造することもでき、透明性、及び低温衝撃性に加え、ガスバリアー性の良好なポリプロピレン系フィルムを得ることができる。
これらの方法により製造する、本発明のフィルムの厚さは、その使い易さの点から10〜200μm、特に30〜100μmとするのが好ましい。
また必要に応じて、前記ポリエチレン系樹脂層の一方、又は両面に少なくとも1層以上の付加層を加えてもよい。該付加層は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、又はそれ以外のナイロン、PET等の非ポリオレフィン系の樹脂で形成することができる。なお、該ポリエチレン系樹脂組成物のベースとなるポリエチレン樹脂組成物の密度が、高くなるにつれて、ヘイズ値が高くなるが、両サイドに比較的、低密度のポリエチレン樹脂でポリエチレン樹脂層を形成することにより、ヘイズ値を低減することが可能である。
なお、前記ポリエチレン系樹脂組成物層を少なくとも一層以上含む多相フィルムは、種々の方法で製造することができる。例えば、多層空冷インフレーション法、多層水冷インフレーション法、多層T−ダイ法、ドライラミネーション法、及びイクストルージョンコーティング法などがある。なお、本発明における該付加層の厚みは特に限定されるものではないが、通常5〜200μm、特に7〜120μmとするのが好ましい。
次に、本発明を下記実施例に基づいて説明する。
本実施例、及び比較例における製品フィルムの各物性は下記の方法により測定した。
酸素透過速度: ASTM D3895に準拠
フィルム全ヘイズ: ASTM D1003に準拠
製品フィルムの衝撃強度: ASTM D781に準拠
(実施例1)
密度0.922g/cm、かつMFR0.80g/10分のエチレン−ブテン-1共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体)100kg(50重量%)と、無水マレイン酸3.0重量%を含有するエチレン−無水マレイン酸共重合体50kg(25重量%)と、エチレン単位32モル%を含有するエチレンビニルアルコールを50kg(25重量%)とを、ヘンシェルミキサーで5分間混合し混合ペレットを得た。該ペレットを押出機口径50mmφ、ダイス口径80mmφ、ダイスのソップギャップ3.0mmの成形機を用いて、樹脂温度200℃でフィルム厚み20μm、折幅250mm、引き取り速度20m/minで製膜した。
(実施例2〜17)
実施例2〜17では、表1に示すエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン系共重合体、及びエチレンビニルアルコールを用い、表1に示す組成比により、実施例1と同一成形条件で同サイズのフィルムを得た。実施例1〜17で得られた製品フィルムの物性を表2に示した。
表2に示された結果から明らかなように、本発明のフィルムは、酸素透過速度が遅く、優れたガスバリアー性を示し、かつ透明性(低いヘイズ)、及び衝撃強度を有するものであった。
(比較例1〜7)
比較例1〜7では、表3に示したエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン系共重合体、及びエチレンビニルアルコールを用い、表3に示した組成比により、実施例1と同一成形条件で同サイズのフィルムを得た。比較例1〜7で得られた製品フィルムの物性を表4に示した。表4に示された結果から明らかなように、実施例の製品フィルムと比べ、ガスバリアー性、透明性、及び衝撃強度などの物性は劣っていた。

Claims (16)

  1. 密度が0.90〜0.96g/cmである、エチレンと炭素原子数3〜10個のα−オレフィンとが共重合したエチレン・α−オレフィン共重合体(A)10〜98重量%;エチレンと少なくとも1種のラジカル重合性酸無水物とを共重合してなる多元共重合体であって、該多元共重合体中のラジカル重合性酸無水物に由来する単位が0.1〜20重量%であるエチレン系共重合体(B)1〜50重量%;及びエチレンとビニルアルコールとを共重合してなるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、該共重合体中のエチレンに由来する単位が10〜70モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)1〜50重量%を含む、ポリエチレン系樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、及びオクテン-1からなる群から選ばれたα−オレフィンとエチレンとの共重合体である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を70〜90重量%含む、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  4. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が、密度約0.91〜約0.93g/cm3、かつMFRが約0.3〜約5.0g/10分の高圧法低密度ポリエチレンを5重量%〜50重量%含む、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  5. 前記エチレン系共重合体(B)が、エチレンと、無水マレイン酸、無水イタコン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれたラジカル重合性酸無水物との多元共重合体である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  6. 前記エチレン系共重合体(B)が、エチレン、ラジカル重合性無水物及び他のラジカル重合性コモノマーとの多元共重合体である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  7. 前記エチレン系共重合体(B)が、ラジカル重合性酸無水物に由来する単位を1〜10重量%含む、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  8. 前記エチレン系共重合体(B)を7〜15重量%含む、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  9. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)中のエチレン共重合に由来する単位が25〜45モル%である、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  10. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を7〜15重量%含む、請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる層を含む、ポリエチレン系樹脂フィルム。
  12. 前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる層が、温度20℃、相対湿度65%RHにおける酸素透過速度が11,000cc・20μm/m・day・atm以下であり、フィルムヘイズが20%以下、かつフィルム衝撃強度が100kg・cm/mm以上の層である、請求項11記載のポリエチレン系樹脂フィルム。
  13. 該酸素透過速度が8,000・20μm/m・day・atm以下である、請求項12記載のポリエチレン系樹脂フィルム。
  14. さらに、少なくとも1層以上の付加層を含む、請求項11〜13のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂フィルム。
  15. 該付加層がポリエチレン層である、請求項14記載のポリエチレン系樹脂フィルム。
  16. 該ポリエチレン系樹脂組成物からなる層の厚さが10〜200μmである、請求項11〜15のいずれか1項記載のポリエチレン系樹脂フィルム。
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