JP2006079956A - 燃料電池システム及び発電用燃料容器 - Google Patents

燃料電池システム及び発電用燃料容器 Download PDF

Info

Publication number
JP2006079956A
JP2006079956A JP2004263323A JP2004263323A JP2006079956A JP 2006079956 A JP2006079956 A JP 2006079956A JP 2004263323 A JP2004263323 A JP 2004263323A JP 2004263323 A JP2004263323 A JP 2004263323A JP 2006079956 A JP2006079956 A JP 2006079956A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
power generation
fuel cell
air
filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004263323A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4830278B2 (ja
Inventor
Yasunari Kabasawa
康成 椛澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP2004263323A priority Critical patent/JP4830278B2/ja
Publication of JP2006079956A publication Critical patent/JP2006079956A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4830278B2 publication Critical patent/JP4830278B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 大気に含まれる酸素を発電動作に係る電気化学反応に用いる燃料電池システムにおいて、消費電力の増加や装置構成の複雑化、メンテナンス性の低下等を抑制しつつ、発電動作を阻害する不純物の燃料電池本体への流入を防止することができる燃料電池システム及びその発電用燃料容器を提供する。
【解決手段】 燃料電池システムは、概略、発電用燃料と水が個別に封入されるとともに、大気を取り込むための導入路23、及び、該大気中の不純物を捕集するためのフィルタ24を備えた燃料カートリッジ20と、発電用燃料を改質して生成された水素ガス、及び、大気中の酸素とを用いた電気化学反応により電気エネルギーを生成する発電セル部11と、発電用燃料及び水の供給状態を制御する燃料供給制御部14及び水供給制御部15と、大気(酸素)の取込、供給状態を制御する空気供給制御部16と、を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システム及び発電用燃料容器に関し、特に、発電用燃料から生成された水素ガスを用いて発電動作を行う燃料改質供給型の燃料電池システム、及び、該燃料電池システムに適用して良好であって、燃料電池本体を含む発電モジュールに対して着脱可能な構造を有する発電用燃料容器に関する。
近年、環境問題やエネルギー問題への関心の高まりに伴い、次世代の主流となる電源システム(又は、発電システム)として、温暖化ガスや汚染物質をほとんど排出しないため環境への影響(環境負荷)が極めて小さく、かつ、旧来の発電システムに比較して極めて高い発電効率(エネルギー変換効率)を実現することができる燃料電池(又は、燃料電池を用いた電源システム)の本格的な普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
このような燃料電池を用いた電源システムは、例えば、自動車分野において、排気ガス等の排出による環境負荷が大きいガソリンエンジンやディーゼルエンジンに代わる駆動装置である電気モータの駆動電源として、また、事業所や家庭等の電力分野において、電力会社の発電所からの電力に代わる低損失の発電設備として、実用化や製品化され、今後、一層普及することが期待されている。
そして、このような燃料電池システムにおいては、近年、システムを大幅に小型化して、ノート型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)やデジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等の携帯型の電子機器(携帯機器)の電源ユニットとして適用する試みが盛んに行われている。
ここで、周知の燃料電池(固体高分子型燃料電池)の例について、簡単に説明する。
一般に、固体高分子膜を電解質膜(イオン交換膜)とする燃料電池(固体高分子型燃料電池)における発電動作は、アノード極(燃料極)において発電用燃料から水素イオンと電子が生成され、該水素イオンが電解質膜を介して透過し、カソード極(酸素極)側で酸素分子と結合する際に、アノード極側からカソード極側へ移動する電子を取り出すことにより電気エネルギー(電力)を得ることができるものである。
また、燃料電池本体(アノード極側)に供給される発電用燃料としては、水素ガスが直接供給されることが望ましいが、このような水素ガスを直接燃料電池本体に供給するシステムは、水素ガスの生成、貯蔵、供給等における技術面や安全面における取り扱いの難しさや、経済的な観点等から、事業所における発電設備や自動車等の駆動電源等の比較的大型のシステムにおいてのみ実用化が図られている。
これに対して、小型の電子機器(携帯機器)等への適用が検討されている燃料電池システムにおいては、比較的入手や取り扱いが容易で、製造コストも安価な、エタノールやメタノール等の炭化水素系の液体燃料(アルコール類)を適用したものが実用化されている。そして、このような燃料電池システムにおける液体燃料からなる発電用燃料の供給方式としては、当該発電用燃料(メタノール等)を直接燃料電池本体のアノード極に供給する燃料直接供給方式と、該発電用燃料を改質して得られる水素ガスをアノード極に供給する燃料改質供給方式と、が知られている。
図12は、燃料直接供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池を示す概略構成図であり、図13は、燃料改質供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池を示す概略構成図である。ここで、同等又は同一の構成については同一の符号を付して説明する。
図12に示すように、まず、燃料電池本体110Aは、概略、所定の触媒微粒子(例えば、白金や白金・ルテニウム等)が付着した炭素電極からなるアノード極111と、所定の触媒微粒子(白金等)が付着した炭素電極からなるカソード極112と、アノード極111とカソード極112の間に介挿されたフィルム状の電解質膜(イオン交換膜)113と、を有して構成されている。
そして、このような構成を有する燃料電池本体110Aに対して、燃料直接供給方式においては、図12に示すように、アノード極111側に、発電用燃料(例えば、メタノールCHOH)及び水HOが直接供給され、一方、カソード極112には大気(空気)中の酸素Oが供給される。
この燃料直接供給方式の燃料電池における発電動作に係る電気化学反応は、アノード極111にメタノールCHOHが直接供給されると、次の化学反応式(21)に示すように、触媒反応により電子eが分離して水素イオン(プロトン)Hが発生し、電解質膜113を介してカソード極112側に通過するとともに、アノード極111を構成する炭素電極により電子eが取り出されて負荷LDに供給される。
2CHOH+2HO → 12H+12e+2CO ・・・(21)
なお、この化学反応においては、メタノールCHOHのほかに、反応を促進するために水HOを必要とするため、数%のメタノール水溶液が適用される。
一方、カソード極112に空気(酸素O)が供給されることにより、次の化学反応式(22)に示すように、触媒により負荷LDを経由した電子eと電解質膜113を通過した水素イオンHと空気中の酸素Oが反応して、副生成物として水(HO)が生成される。
12H+3O+12e → 6HO ・・・(22)
このような一連の触媒反応(電気化学反応)は、概ね室温から80℃程度の比較的低温の温度条件で進行し、電気エネルギー(電力)以外の副生成物は基本的に水HOのみとなる。なお、このような電気化学反応により取り出される電気エネルギーは、燃料電池本体110Aのアノード極111に供給される発電用燃料(メタノール及び水)の量に依存する。
また、燃料改質供給方式においては、図13に示すように、図12と同等の構成を有する燃料電池本体110Bにおいて、図示を省略した改質器(詳しくは後述する)により発電用燃料(例えば、メタノールCHOH)を改質して得られた水素ガスHがアノード極111側に供給され、一方、カソード極112には大気(空気)中の酸素Oが供給される。
これにより、燃料改質供給方式の燃料電池における発電動作に係る電気化学反応は、アノード極111に水素ガスHが供給されると、次の化学反応式(23)に示すように、触媒反応により電子(e)が分離して水素イオンHが発生し、電解質膜113を介してカソード極112側に通過するとともに、アノード極111を構成する炭素電極により電子eが取り出されて負荷LDに供給される。
2H → 4H+4e ・・・(23)
一方、カソード極112に空気(酸素O)が供給されることにより、次の化学反応式(24)に示すように、触媒により負荷LDを経由した電子eと電解質膜113を通過した水素イオンHと空気中の酸素Oが反応して、副生成物として水(HO)が生成される。
4H+O+4e → 2HO ・・・(24)
このような一連の電気化学反応((23)式及び(24)式)は、概ね60〜80℃の比較的低温の温度条件で進行し、電気エネルギー(電力)以外の副生成物は基本的に水HOのみとなる。なお、このような電気化学反応により取り出される電気エネルギーは、燃料電池本体110Bのアノード極111に供給される水素ガスHの量に依存する。
ここで、燃料直接供給方式の燃料電池においては、上述したように、メタノール等の発電用燃料(厳密には、メタノール水溶液)を直接燃料電池本体に供給することができるので、燃料供給経路に改質器等の構成を必要とせず、燃料電池システムの構成を簡素化することができるという利点はあるものの、この方式の燃料電池においては、一般に、燃料改質供給方式の燃料電池に比較して、発電効率(エネルギー変換効率)が低いという欠点を有している。
一方、燃料改質供給方式の燃料電池においては、上述したように、発電用燃料(メタノール等)を改質して生成された高純度の水素ガスを燃料電池本体に供給することができるので、燃料直接供給方式の燃料電池に比較して、発電効率(エネルギー変換効率)が高いという利点を有するものの、この方式の燃料電池においては、発電用燃料から水素ガスを生成するための改質器等を設ける必要があり、燃料電池システムの構成が複雑化するという欠点を有している。
したがって、上述した各方式の燃料電池システムを、携帯型の電子機器の電源ユニットとしての搭載する場合、例えば、ノートパソコンやPDA等のように、表示パネル(画面)の大きさや入力機構(キーボード等)の使い勝手等の問題により、携帯電話器やポータブル音響機器等のように極端な小型軽量化をする必要がない、あるいは、小型化がさほど重要ではない機器においては、小型化が可能であるものの発電効率が劣る燃料直接供給方式の燃料電池システムよりも、極端な小型化ができないものの、発電効率に優れ、比較的長い駆動時間を実現することができる(電力供給能力に優れる)燃料改質供給方式の燃料電池システムを適用する方が好ましい。
ところで、燃料電池システムにおいては、上述した発電動作に係る電気化学反応を促進するために、燃料電池本体のカソード極に酸素を供給する必要があるが、携帯型の電子機器に適用する場合にあっては、装置構成の複雑化や大型化を回避するために、当該機器の使用環境周辺の大気を取り込んでカソード極に供給する構成が簡易かつ最適であると考えられている。
ここで、一般に、ノートパソコンやPDA等が使用される環境周辺の大気には、主成分である窒素や二酸化炭素、上記化学反応に適用される酸素のほか、燃料電池本体における発電動作を阻害する可能性のある各種阻害物質(粒子状物質や化学物質等;以下、「不純物」と記す)が含まれている場合がある。具体的には、電子機器の使用環境に応じて、以下に示すような不純物の存在が考えられる。
(1)車の排気ガスに含まれる硫黄酸化物SO
(2)砂埃や黄砂等に含まれる粉塵
(3)衣類や布団等の繊維くずや綿埃
(4)建材用塗料等で使用される有機溶剤に含まれる揮発性有機物質
(5)草木の花粉や種子
(6)潮風に含まれる塩素系物質、ナトリウム系物質
(7)糞尿等から発生する窒素酸化物NHや硫化水素H
(8)温泉地等出発生する硫黄等の火山性ガスS
このような不純物は、燃料電池本体のカソード極の電極触媒を被毒化して触媒反応を阻害したり、粉塵等の粒子状物質が電極触媒の表面に付着して反応面積を減少させたりして、電気エネルギーの生成能力(発電能力や発電効率)を著しく低下させるという問題を有している。そのため、燃料電池本体に大気を取り込み、酸素を供給する構成を有する燃料電池システムにおいては、上述したような不純物の燃料電池本体(カソード電極)への流入を防止するため、フィルタリングが不可欠となる。
そこで、従来の燃料電池システムにおいては、例えば、カソード極への酸素(又は、酸化剤)の供給経路に、上述したような不純物の流入を抑制するためのフィルタを備えた構成が知られている。このような燃料電池の構成は、例えば、特許文献1等に詳しく記載されている。
特開2003−151589号公報 (第3頁〜第4頁、図1)
上述したように、大気に含まれる酸素をカソード極に供給する構成を有する燃料電池システムにおいては、当該大気(酸素)の供給経路にフィルタを備えることにより、不純物の燃料電池本体への流入を防止、又は、抑制することができるが、以下に説明するような問題を有している。
すなわち、上述したような不純物の燃料電池本体への流入を防止するためのフィルタとしては、例えば、不織布等の通気性シートや活性炭担持シート、静電フィルタ等を単独、あるいは、これらを組み合わせた構成を大気の供給経路(例えば、大気の吸入口等)に配置することが考えられる。なお、ここに示した各種フィルタは、自動車用や家庭用、事業用の燃料電池システム(固体高分子燃料電池)に一般的に適用されている周知の材質のものである。
しかしながら、上述したようなフィルタ(又は、当該フィルタを備えた不純物の流入抑制機構)においては、燃料電池システムの新設時等のように、フィルタに不純物が捕集されていない状態では、大気中の不純物を良好に捕集して、燃料電池本体(カソード極)への不純物の流入を防止又は抑制することができるが、当該燃料電池システムの駆動により、経時的にフィルタに不純物が捕集されて目詰まりを生じ、当該捕集効率の低下を招くため、不純物の捕集能力がより高いフィルタ装置を備えたり、捕集脳力の低いフィルタを頻繁に交換したりする必要がある。
ここで、捕集能力が高いフィルタ装置を適用する場合にあっては、例えば、メッシュの細かいフィルタを使用したり、活性炭の担持量を多くする等の措置を講じる必要があるため、必然的にフィルタを大気が通過する際の圧力損失が増大してしまう。そこで、燃料電池本体に十分な酸素を供給するために、大気を供給するためのエアポンプ等の機構の能力(すなわち、エアポンプの吐出圧力等)を高くすると、当該機構(エアポンプ等)における消費電力が増大する問題を有していた。
一方、不純物の捕集能力の低いフィルタ(例えば、メッシュの粗いフィルタ等)を適用した場合には、大気が通過する際の圧力損失が比較的小さくなるため、上記のようなエアポンプにおける消費電力を低く抑制することができるが、微小な不純物が燃料電池本体に流入する可能性があるうえ、頻繁にフィルタを交換する必要があるため、特に携帯型の電子機器においては、ユーザの保守管理(メンテナンス)の手間が増大するとともに、例えば、フィルタの交換時期を検出、報知するための手段(センサ等)を備える必要があり、装置構成が複雑化するという問題を有していた。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、大気中に含まれる酸素を発電動作に係る電気化学反応に用いる燃料電池システムにおいて、消費電力の増加や装置構成の複雑化、メンテナンス性の低下等を抑制しつつ、発電動作を阻害する各種物質(不純物)の燃料電池本体への流入を良好に防止することができる燃料電池システム及びその発電用燃料容器を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、発電動作を行う燃料電池本体を備えた燃料電池システムにおいて、
発電用燃料が封入された燃料封入部、及び、前記燃料電池システム周辺の空気が通過する導入路を備えた燃料容器と、
前記導入路を介して、前記燃料電池システム周辺の空気を取り込んで、少なくとも前記燃料電池本体の空気極に酸素を供給する空気供給制御手段と、
を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料容器は、前記導入路内に前記空気中に含まれる不純物を捕集するためのフィルタを備えていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池システムにおいて、前記フィルタは、少なくとも、前記燃料電池本体における発電動作を阻害する粒子状物質及び化学物質を、前記空気中から除去する捕集能力を有していることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の燃料電池システムにおいて、前記フィルタは、少なくとも、前記燃料容器に封入された前記発電用燃料を用いた、前記燃料電池本体における発電動作の継続可能時間に対応する捕集能力寿命を有していることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、前記空気供給制御手段は、前記導入路を介して取り込んだ前記燃料電池システム周辺の空気を、前記燃料封入部に設けられた前記開口部を介して注入することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の燃料電池システムにおいて、前記導入路は、前記空気を前記空気供給制御部に取り出すための空気取出口が設けられ、前記燃料容器は、前記燃料封入部に設けられた前記燃料取出口と前記空気取出口が、前記筐体の同一方向の面に配置されていることを特徴とする。
前記導入路は、前記空気を前記空気供給制御部に取り出すための空気取出口が設けられ、前記燃料容器は、前記燃料封入部に設けられた前記燃料取出口と前記空気取出口が、前記筐体の異なる方向の面に配置されていてもよい。
前記燃料電池システムは、前記燃料容器が少なくとも前記燃料電池本体及び前記空気供給制御部に対して、前記燃料取出口及び前記空気取出口を介して、着脱可能に構成されていてもよい。
前記発電用燃料は、炭化水素系の液体燃料が好ましい。
請求項7記載の発明は、発電動作を行う燃料電池本体を備えた燃料電池システムの発電用燃料容器において、発電用燃料が封入された燃料封入部と、
前記燃料電池本体における発電動作に用いられる空気が通過する導入路と、
前記導入路内に前記空気中に含まれる不純物を捕集するためのフィルタと、
を備えたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発電用燃料容器において、前記フィルタは、少なくとも、前記燃料電池本体における発電動作を阻害する粒子状物質及び化学物質を、前記空気中から除去する捕集能力を有していることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発電用燃料容器において、前記フィルタは、少なくとも、前記燃料容器に封入された前記発電用燃料を用いた、前記燃料電池本体における発電動作の継続可能時間に対応する捕集能力寿命を有していることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9のいずれかに記載の発電用燃料容器において、前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、前記燃料取出口と前記導入路に設けられた、前記空気を取り出すための空気取出口が、前記筐体の同一方向の面に配置されていることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項7乃至9のいずれかに記載の発電用燃料容器において、前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、前記燃料取出口と前記導入路に設けられた、前記空気を取り出すための空気取出口が、前記筐体の異なる方向の面に配置されていることを特徴とする。
前記発電用燃料容器は、少なくとも前記燃料電池本体に対して、前記燃料取出口及び前記空気取出口を介して、着脱可能に構成されていてもよい。
前記発電用燃料容器は、前記燃料封入部に設けられた前記開口部を介して注入される空気の圧力により、前記発電用燃料が前記燃料取出口から取り出されてもよい。
前記発電用燃料は、炭化水素系の液体燃料が好ましい。
本発明は、燃料電池システム及びその発電用燃料容器において、電気エネルギーを生成する発電動作を行う燃料電池本体を含む発電モジュールに対して、発電用燃料容器(燃料カートリッジ)が着脱可能に構成され、かつ、該発電用燃料容器が上記発電用燃料を封入するための燃料封入部と、上記燃料電池本体(発電セル部)における発電動作に用いられる空気(大気中の酸素)を取り込むための導入路と、を備えた構成を有している。
ここで、発電用燃料容器の導入路内には、該導入路を介して取り込んだ空気(大気)中から、例えば、粒子状物質及び化学物質等の不純物を捕集して除去する捕集能力を備えたフィルタ(リサーキュレーションフィルタ、ケミカルフィルタ)が配置され、燃料電池本体における発電動作を阻害する物質の、燃料電池本体(カソード極)への流入を抑制することができる。これにより、燃料電池本体(カソード極)の電極触媒の被毒化や、電極触媒表面への粒子状物質の付着等を抑制して、電気エネルギーの生成能力(発電能力)を良好に保持することができる。
また、本発明に係る燃料電池システム及びその発電用燃料容器においては、発電用燃料容器に燃料封入部に加え、空気を取り込むための導入路及び不純物を捕集するフィルタと、が一体的に設けられた構成を有し、さらに、該フィルタの捕集能力寿命を、燃料封入部に封入された発電用燃料を用いた発電動作の継続可能時間程度、又は、それ以上となるように設定することにより、発電用燃料の残量が少なくなった際等に、燃料電池本体(発電モジュール)に対して発電用燃料容器を着脱する交換作業のみで、発電動作に必須の発電用燃料が供給されるとともに、不純物の捕集能力画像良好な新たなフィルタに交換することができ、燃料電池本体における電気エネルギーの生成能力を長期にわたり良好に保持することができる。
また、このような構成によれば、フィルタが燃料封入部に封入された発電用燃料により発電動作が行われる時間(継続可能時間)分だけの不純物捕集能力を有していればよいので、フィルタ有効面積を非常に小さく設定することができ、相対的に発電用燃料の封入量を多くすることができるとともに、フィルタにおける圧力損失を低減して、空気供給制御手段(エアポンプ等)における負荷を削減し、消費電力を低減することができる。
さらに、本発明に係る燃料電池システムにおいては、空気供給制御手段(空気供給制御部)により、発電用燃料容器に設けられた導入路及びフィルタを介して取り込んだ、周囲の大気(空気)が燃料電池本体(カソード極)に供給されるとともに、さらに、燃料封入部に封入された発電用燃料を、燃料封入部の一端側の燃料取出口(燃料取出部)から取り出して、燃料電池本体(発電モジュール)へ供給するために、燃料封入部の他端側の開口部から上記空気が注入される。これにより、燃料封入部に封入された発電用燃料を所定の圧力で発電用燃料本体(発電モジュール)側へ押し出すことができるので、燃料電池システムの使用環境(大気圧や使用角度、振動等)にかかわらず、発電用燃料が燃料電池本体に安定的に供給されて安定した発電動作を実現することができる。
なお、発電用燃料容器に設けられる導入路の構成は、取り込んだ大気を空気供給制御手段側に取り出すための空気取出口と燃料封入部に設けられた燃料取出口とが、発電用燃料容器の同一方向の面に配置されているものであっても良いし、異なる方向の面(例えば、直交する2面)に配置されているものであっても良い。前者の構成によれば、燃料電池本体を含む発電モジュールと発電用燃料容器との接続構造を簡素化することができるとともに、各供給制御部を近接する空間にまとめて配置することができ、機器の設計を容易に行うことができる。また、後者の構成によれば、導入路を発電用燃料容器の角部等に設けることができるので、発電用燃料容器(燃料封入部)に対する導入路部分の容積を小さくすることができ、発電用燃料の封入量を相対的に多くすることができる。
以下、本発明に係る燃料電池システム及び発電用燃料容器について、実施の形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
<燃料電池システム>
まず、本発明に係る燃料電池システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの第1の実施形態の全体構成を示す概略ブロック図である。ここでは、発電セル部として、上述した従来技術に示した燃料改質供給方式の燃料電池(図13参照)と同等の構成を備えているものとし、その具体的な説明を省略する。
図1に示すように、本発明に係る燃料電池システムは、概略、メタノールCHOH等の炭化水素系の発電用燃料と水HOが個別に封入されるとともに、後述する空気供給制御部16により大気を取り込むための導入路23、及び、該大気に含まれる不純物を捕集するためのフィルタ24を備えた燃料カートリッジ(燃料容器、発電用燃料容器)20と、該燃料カートリッジ20から取り出された発電用燃料(メタノールCHOH)を改質して水素ガスHを取り出す改質部(改質手段)12と、水素ガスHと酸素Oとを用いた電気化学反応により電気エネルギーを生成する発電セル部(燃料電池本体)11と、発電セル部11における電気化学反応により生成された副生成物である水HOを回収を行う水回収制御部13と、燃料カートリッジ20に封入された発電用燃料の改質部12への供給状態を制御する燃料供給制御部14と、少なくとも燃料カートリッジ20に封入された水の改質部12及び発電セル部11への供給状態を制御する水供給制御部15と、酸素を含む空気(大気)を取り込んで、少なくとも発電セル部11に酸素Oを供給する空気供給制御部(空気供給制御手段)16と、を備えた構成を有している。
ここで、発電セル部11、改質部12、水回収制御部13、燃料供給制御部14、水供給制御部15及び空気供給制御部16は、発電モジュール10を構成し、該発電モジュール10に対して、燃料カートリッジ20が着脱可能に構成されている。したがって、発電モジュール10は、例えば、本発明に係る燃料電池システムが搭載される電子機器に内蔵され、あたかも乾電池やバッテリ等を交換する場合と同様の使い勝手で、該電子機器(発電モジュール10)に対して、燃料カートリッジ20のみを着脱(交換)することにより発電用燃料及び水が補給される。
以下、各構成について詳しく説明する。
(発電セル部11)
本実施形態に係る燃料電池システムに適用される発電セル部(燃料電池本体)11は、図13に示した固体高分子型の燃料電池と同等の構成を有し、概略、白金や白金・ルテニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなるアノード極(燃料極)と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなるカソード極(空気極)と、アノード極とカソード極の間に介挿されたフィルム状の電解質膜(イオン交換膜)と、を有し、アノード極側には、後述する燃料供給制御部14及び改質部12により発電用燃料(メタノールCHOH)を改質して得られた水素ガスHが供給され、一方、カソード極側には後述する空気供給制御部16により大気(空気)中の酸素Oが供給されるように構成されている。
ここで、本実施形態に係る発電セル部11においては、後述する燃料カートリッジ20(燃料封入部21)から取り出されたメタノールCHOHが改質部12により改質されて、水素ガスHのみがアノード極に供給されるとともに、燃料電池システムの周辺の大気が、燃料カートリッジ20に設けられたフィルタ24及び導入路23を介して取り込まれて、酸素Oがカソード電極に供給される。
また、発電セル部11における発電動作に係る上記一連の電気化学反応(化学反応式(23)、(24))を促進するためには、発電セル部(燃料電池本体)11を構成する電解質膜が所定の湿潤状態(水蒸気飽和状態)に設定されている必要があることから、例えば、燃料カートリッジ20(水封入部22)から取り出された水HOが直接、又は、発電セル部11における発電動作に伴って副生成物として生成される水HOが回収されて、電解質膜に供給される。
なお、発電セル部11への水素ガスHの供給状態(供給タイミング及び供給量)は、後述する燃料供給制御部14により適宜制御され、酸素Oの供給状態は、後述する空気供給制御部16により適宜制御される。また、水HOの供給状態は、例えば、システム起動時(発電動作開始時及び開始直後)においては、水供給制御部15により燃料カートリッジ20の水封入部22に封入された水HOが直接供給されて、当該電解質膜が所定の湿潤状態(水蒸気飽和状態)に保持されるように制御され、発電セル部11における発電動作が定常状態に移行した後においては、水回収制御部13により発電セル部11における発電動作に伴って生成され、回収された水HOが供給されて、当該電解質膜が所定の湿潤状態(水蒸気飽和状態)に保持されるように制御される。
(改質部12)
図2は、本実施形態に係る燃料電池システムに適用される改質部の一構成例を示す概略図である。図3は、本実施形態に係る燃料電池システムに適用される改質部における各化学反応の一例を示す概念図である。
本実施形態に係る燃料電池システムに適用される改質部12は、図2に示すように、燃料カートリッジ20から供給されたメタノールCHOH、及び、燃料カートリッジ20又は発電セル部11からの少量の水HOを加熱して気化させる燃料気化器(蒸発器)12aと、気化されたメタノール(メタノールガス)及び水(水蒸気)から所定の触媒反応により、水素ガスHを生成する燃料改質器12bと、燃料改質器12bにおいて、水素ガスHの生成の際に副生成物として生成される一酸化炭素CO及び水HOから所定の触媒反応により、水素ガスHと二酸化炭素COを生成するCO除去器12cと、少なくとも燃料気化器12a及び燃料改質器12bにおける化学反応を促進するための温度条件を制御する薄膜ヒータHa、Hb及び燃焼器12dと、を備えて構成されている。
ここで、薄膜ヒータHa、Hbは、改質初期には、図示を省略した電源(例えば、蓄電池等の補助電源)からの電力により発熱し、改質された水素が供給されることによって発電セル部11が発電してからは、発電セル部11において生成された電気エネルギー(電力)を電源として切り換えて発熱することで発熱温度が制御され、一方、燃焼器12dは、燃料気化器12eにより気化したメタノールガスの燃焼(酸化作用)により発熱温度が制御される。
このような温度制御機構に加えて、改質された水素が供給されることによって発電セル部11が発電してからは、発電セル部11で発電に利用されなかった残存した水素及び外部から取り込んだ空気中の酸素を燃焼器12dに供給することにより燃焼器12d内で水素の燃焼反応を引き起こして高い熱量の発熱をもたらす。
したがって、発電以降は、燃焼器12dが改質部12の主たる熱源となって、薄膜ヒータHa、Hbにより補助的に加熱して温度条件の細かな調整(微調整)が行われることになり、比較的少ない電気エネルギー(電力)で所望の温度条件(後述する数百℃程度の温度条件)を実現することができ、生成された電気エネルギーの消費を抑制することができる。
このような温度制御機構により、燃焼器12dにより高い熱量が得られ、改質部12における温度条件の大まかな調整(粗調整)が行われ、薄膜ヒータHa、Hbにより低い熱量が得られ、温度条件の細かな調整(微調整)が行われることになり、比較的少ない電気エネルギー(電力)で所望の温度条件(後述する数百℃程度の温度条件)を実現することができ、生成された電気エネルギーの消費を抑制することができる。
このような構成を有する改質部12において、燃料改質器12bにおける触媒反応は、吸熱水蒸気改質反応により実現され、また、CO除去器12cにおける触媒反応は、発熱水性シフト反応及び発熱選択酸化反応により実現される。
具体的には、改質部12において、例えば、メタノールCHOH及び水HOから、水素ガスHを生成する場合にあっては、図3(a)に示すように、まず、燃料気化器12aにおける蒸発過程において、薄膜ヒータHa及び燃焼器12dを制御して、メタノールCHOH及び水HOの沸点程度の温度条件(例えば、概ね120℃程度)に設定することにより、燃料カートリッジ20から供給されたメタノールCHOH及び水HOを個別に加熱して、もしくは、混合液体を一括して加熱して気化する。
次いで、図3(a)に示すように、燃料改質器12bにおける水蒸気改質反応過程において、薄膜ヒータHb及び燃焼器12dを制御して、概ね280℃程度の温度条件に設定することにより、49.4kJ/molの熱エネルギーを吸熱して、次の化学反応式(1)に示すように、水素Hと微量の二酸化炭素COを生成する。なお、この水蒸気改質反応においては、水素Hと二酸化炭素CO以外に副生成物として微量の一酸化炭素COが生成される。
CHOH+HO → 3H+CO ・・・(1)
そこで、このような有害な副生成物を除去するため、図3(b)に示すように、CO除去器12cにおける水性シフト反応過程により、一酸化炭素に対して水HO(水蒸気)を反応させることにより、40.2kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(2)に示すように、二酸化炭素COと水素Hが生成される。
CO+HO →CO+H ・・・(2)
さらに、CO除去器12cにおける選択酸化反応過程により、水性シフト反応において二酸化炭素COと水素Hに変換されなかった一酸化炭素COに対して、酸素Oを反応させることにより283.5kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(3)に示すように、二酸化炭素COが生成される。
CO+(1/2)O →CO (3)
ここで、CO除去器12cにおける水性シフト反応過程及び選択酸化反応過程においても、図示を省略したが、CO除去器12cに付設された温度調節機構(具体的には、吸熱器や冷却器等)により、上記熱エネルギーの発熱に対応した(上記熱エネルギーを吸収する)温度条件が設定されるものであってもよい。
(燃料供給制御部14)
燃料供給制御部14は、燃料カートリッジ20(燃料封入部21)と発電モジュール10との着脱可能な接続を行なうためのインターフェースとしての機能を有するとともに、少なくとも燃料カートリッジ20に封入された発電用燃料(メタノールCHOH)を、上述した改質器12に対して供給するタイミング及び供給量を制御する機能を有している。
(水供給制御部15)
水供給制御部15は、燃料カートリッジ20(水封入部22)と発電モジュール10との着脱可能な接続を行なうためのインターフェースとしての機能を有するとともに、少なくとも燃料カートリッジ20に封入された水HOを、上述した改質部12及び発電セル部11に対して供給するタイミング及び供給量を制御する機能を有している。
なお、燃料供給制御部14及び水供給制御部15は、具体的には、例えば、燃料カートリッジ20と改質部12間、及び、燃料カートリッジ20と発電セル部11間の燃料供給経路や水供給経路に、液体ポンプや流量制御バルブ等(もしくは、これらと同等の機能を有する供給機構)を備えた構成を適用することができる。
(水回収制御部13)
水回収制御部13は、発電セル部11における発電動作に係る電気化学反応において、副生成物として生成される水HOを回収して、例えば、発電セル部11に再度供給し、電解質膜(イオン交換膜)を所定の湿潤状態に保持したり、改質部12(燃料気化器12a、CO除去器12c)に供給して燃料改質反応の各化学反応に用いられるようにする。なお、水回収制御部13は、具体的には、液体ポンプや流量制御バルブ、流路切換バルブ等(もしくは、これらと同等の機能を有する供給機構)を備えた構成を適用することができる。
(空気供給制御部16)
空気供給制御部16は、燃料カートリッジ20に設けられた大気の導入路23と発電モジュール10との着脱可能な接続を行なうためのインターフェースとしての機能を有するとともに、少なくとも該導入路23を介して取り込んだ大気(酸素O)を、発電セル部11のカソード極側(空気極)に接続されたセル側供給経路RTaを介して供給する。さらに、該大気の一部を、改質部12の燃焼器12dにおけるメタノールガスCHOH又は水素ガスHの燃焼に用いるために改質側供給経路RTbを介して燃焼器12dに供給する。ここで、空気供給制御部16は、具体的には、エアポンプや流量制御バルブ、流路切換バルブ等(もしくは、これらと同等の機能を有する供給機構)を備えた構成を適用することができる。
(燃料カートリッジ20)
図4は、本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジの一例を示す概略構成図である。なお、図4においては、燃料カートリッジの構成を明確に図示するために、内部に封入された発電用燃料(メタノール)及び水について、便宜的にハッチングを施した。
図4(a)、(b)に示すように、燃料カートリッジ20は、発電用燃料であるメタノールCHOHが封入された燃料封入部21と、所定量の水HOが封入された水封入部22とからなり、例えば、直方体形状を有する燃料封入部21の一側面の長手方向に形成された半円状の断面を有する凹部に、円筒状の水封入部22が嵌合して一体化された構成を有している。
ここで、燃料封入部21及び水封入部22は、各々個別にメタノールCHOH及び水HOが封入され、いずれも筐体の一端側に、上述した発電モジュール10(燃料供給制御部14、水供給制御部15)へメタノールCHOH及び水HOを取り出す(供給する)ための燃料取出部(燃料取出口)21a及び水取出部22aが設けられ、また、筐体の他端側に各封入部21、22の内部に大気(外気)が連通するための開口部21c、22cが設けられている。
燃料取出部21a及び水取出部22aは、発電モジュール10に燃料カートリッジ20が装着された状態でのみ、開状態となって、内部に封入されたメタノールCHOH及び水HOが発電モジュール10側に吐出され、一方、発電モジュール10から燃料カートリッジ20を取り外した状態では、閉状態となって、メタノールCHOH及び水HOが外部に吐出しないように構成された逆止弁として機構を備えている。
また、燃料封入部21及び水封入部22内に封入されたメタノールCHOH及び水HOが、燃料カートリッジ20の傾きに関わらず、上記燃料取出部21a及び水取出部22a方向に所定の圧力で常時押圧されて、最終的に各取出部21a、22aを介して全て吐出されるように、各取出部21a、22aに対してメタノールCHOH又は水HOを介した反対側(メタノールCHOH及び水HOの各取出部21a、22a側とは反対の他端側)に追従体21b、22bが挿入され、各封入部21、22の上記開口部21c、22cを介して流入した大気の圧力(大気圧)により、追従体21b、22bを介してメタノールCHOH及び水HOが各取出部21a、22a方向に押し出されるように構成されている。ここで、追従体21b、22bは、例えば、揮発しにくい(難揮発性)高粘性の液体を良好に適用することができる。
これにより、本実施形態に係る燃料電池システムが搭載される電子機器の傾きに関わらず、燃料カートリッジ20に封入されたメタノールCHOH及び水HOを取出部21a、22a方向に押圧して、発電モジュール10に供給されるように制御することができるので、多様な姿勢で使用され、かつ、振動等が加わる携帯型の電子機器においても良好に適用することができる。
さらに、本実施形態に係る燃料電池システムにおいては、例えば、燃料封入部21の他端側の一面(直方体を有する燃料封入部の燃料取出口とは反対側の面;以下、便宜的に「取込面」と記す)から、該一面に直交して隣接する一側面(以下、便宜的に「取出面」と記す)に貫通する略L字状(又は、円弧状)の空間を有する導入路23と、該導入路23内の任意の位置に配置され、所定の不純物を捕集するフィルタ24と、が該燃料封入部21(すなわち、燃料カートリッジ20)に一体的に設けられている。
ここで、導入路23の取込面側には、周囲の大気を取り込むための大気取込部23aが設けられ、導入路23の取出面側には、大気取込部23a及び導入路23を介して取り込んだ大気を、上述した発電モジュール10(空気供給制御部16)へ送出するための大気取出部(空気取出口)23bが設けられている。このような構成において、発電モジュール10に燃料カートリッジ20が装着された状態で、導入路23に取り込まれた外気が大気取出部23bを介して、上述した空気供給制御部16に連通する。
これにより、本実施形態に係る燃料電池システムにおいては、発電セル部11における発電動作に必須の発電用燃料及び水を封入した燃料カートリッジ20を、発電モジュール10に装着することにより、発電用燃料及び水が供給されるとともに、上記導入路23及びフィルタ24を介して、燃料電池システム(燃料カートリッジ)周辺の大気を取り込むことにより、不純物が除去された空気が取り込まれ、少なくとも発電セル部11のカソード極に酸素が供給される。
したがって、携帯型の電子機器等に適用可能な小型の燃料電池システムにおいて、発電用燃料を封入した燃料カートリッジに、発電セル部に供給するための酸素(大気)を取り込むための導入路及びフィルタを一体的に設けた構成を有しているので、当該燃料電池システムにおける電力の生成を継続するために、燃料カートリッジを交換するという必須の作業により、発電用燃料の供給とともに、フィルタの交換を行うことができる。
このように、燃料カートリッジの交換のたびに、新しいフィルタが空気供給制御部16の導入部に設置されることになるので、発電セル部11における発電動作を阻害するような不純物(粒子状物質や化学物質等)を、常に所定の捕集能力を有するフィルタにより捕集、除去することができ、発電セル部11における発電能力(燃料電池システムの電力供給能力)を長期にわたり良好に保持することができる。なお、本発明に係る燃料電池システムに適用可能なフィルタの構成及びその捕集能力については、詳しく後述する。
また、燃料封入部21に封入されるメタノールCHOHの量は、発電セル部11における発電動作による電気エネルギーの生成を長期にわたり安定して持続させるために極力多く封入されていることが望ましい。ここで、本実施形態に係る燃料カートリッジ20に適用される導入路23によれば、該導入路23を燃料カートリッジ20(燃料封入部21)の角部に略L字状に形成し、該導入路23の大気取込部23aが設けられる取込面と、大気取出部23bが設けられる取出面とを、相互に直交して隣接する面に設定した構成を有しているので、燃料封入部21に対する導入路23部分の容積を小さくすることができ、燃料封入量を相対的に多くすることができる。
なお、本実施形態に係る燃料電池システムにおいて、発電用燃料がなくなり、発電モジュールから取り外された燃料カートリッジは、所定のリサイクルルートを介して回収されて、適正に処分されることが望ましいが、回収されることなく廃棄された場合であっても、有害物質(例えば、有機塩素化合物や重金属等)の発生等、環境に影響を与えることのない、又は、その影響の少ない材質より形成されていることが望ましい。
また、本実施形態に係る燃料電池システムに用いられる発電用燃料としては、少なくとも、上述した燃料電池からなる発電セル部において、高いエネルギー変換効率で電気エネルギーを生成することができ、かつ、発電用燃料が封入された上記燃料カートリッジが使用後、自然界に投棄又は埋め立て処分されて、残存する発電用燃料が大気中や土壌中、水中に漏れ出し、あるいは、焼却処分されて大気中に排出された場合等であっても、自然環境に対して汚染物質とならない燃料であることが望ましく、具体的には、上記メタノールのほか、エタノール、ブタノール(アルコール類)等の炭化水素系の液体燃料を良好に適用することができる。
ここで、本実施形態に係る燃料電池システムに適用可能な発電用燃料は、いずれも揮発性及び可燃性が高い物質が多いので、当該燃料が燃料カートリッジをガス透過する現象を極力抑制するために、例えば、アルミ蒸着されたポリエチレン・テレフタレート(PET)袋内に密封するような、比較的簡易な周知の封入方法によりガスバリヤを施すようにしてもよい。
図5は、本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジの他の例を示す概略構成図である。なお、図4と同様、図5においても、燃料カートリッジの構成を明確に図示するために、内部に封入された発電用燃料(メタノール)及び水について、便宜的にハッチングを施した。
本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジの他の構成例は、例えば、図5(a)に示すように、直方体形状を有する燃料カートリッジ20(燃料封入部21)の短手方向であって、相互に対向する各側面(取込面及び取出面)間に貫通する直管状の空間を有する導入路23Aを備え、該導入路23A内の任意の位置にフィルタ24Aが配置された構成を有している。なお、上述した実施形態(図4参照)と同様に、導入路23Aの取込面側には大気取込部23aが設けられ、取出面側には大気取出部(大気取出口)23bが設けられている。
このような構成を有する燃料カートリッジ20においても、燃料封入部21に対する導入部23A部分の容積を小さくすることができるので、燃料封入量を相対的に多くすることができ、本構成例に係る燃料電池システムが搭載された電子機器の駆動時間を長寿命化することができる。
本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジのさらに他の構成例は、例えば、図5(b)に示すように、直方体形状を有する燃料カートリッジ20(燃料封入部21)の長手方向であって、相互に対向する各側面(取込面及び取出面)間に貫通する直管状の空間を有する導入路23Bを備え、該導入路23B内の任意の位置にフィルタ24Bが配置された構成を有している。なお、上述した実施形態(図4参照)と同様に、導入路23Bの取込面側には大気取込部23aが設けられ、取出面側には大気取出部(大気取出口)23bが設けられている。
このような構成を有する燃料カートリッジ20によれば、燃料封入部21に設けられる燃料取出部21a及び水封入部22に設けられる水取出部22aと同じ一面側(方向の面)に大気取出部23bを設けることができるので、上述したような燃料封入量を相対的に多くすることはできないものの、発電モジュール10(又は、発電モジュール10を搭載した電子機器)との接続構造を簡素化することができるとともに、各供給制御部を近接する空間にまとめて配置することができ、機器の設計を容易に行うことができる。
(フィルタの捕集能力についての検討)
次に、上述したような構成を有する燃料電池システム(燃料カートリッジ)に適用されるフィルタの捕集能力について詳しく説明する。
上述したように、燃料カートリッジ20の導入路23に配置されるフィルタ24は、上述したように、発電セル部11における発電動作を阻害する粒子状物質や化学物質等の不純物の流入を捕集、除去して、カソード極への純度の高い酸素Oを供給することを目的としている。したがって、以下のフィルタの捕集能力の検討においても、粒子状物質の捕集能力及び化学物質の捕集能力を個別に検討するものとする。
まず、不純物の捕集能力を検討する際に用いたフィルタの具体的な構成について説明する。
図6は、本実施形態に適用されるフィルタの構成を示す概略断面図である。
本実施形態に適用されるフィルタ24は、図6に示すように、概略、通気性シート24a、静電シート24b、活性炭付通気性シート24c、静電シート24d及び通気性シート24eを順次積層した構造を有している。
次いで、上述した積層構造を有するフィルタ(リサーキュレーションフィルタ;recirculation filter)における粒子状物質の捕集能力について検討する。
図7は、本実施形態に適用されるリサーキュレーションフィルタの性能ライフを検出するための試験装置の原理を示す概略図であり、図8は、本実施形態に適用されるリサーキュレーションフィルタの性能ライフの検出結果(実験結果)を示す特性図である。
燃料カートリッジ20の導入路23に適用されるリサーキュレーションフィルタの捕集能力の寿命(性能ライフ)を検出するための試験装置の原理は、例えば、図7に示すように、所定の流路径を有する試験流路FGA内に、テストサンプルとなるフィルタFTaを配置し、該試験流路FGA内に所定の濃度の不純物(粒子状物質)を含む気体(サンプルガス)Gsmpを流下させる。このような試験装置において、上記フィルタFTaの前後(上流及び下流)となる試験流路FGA内の不純物の数(量)の時間変化を、パーティクルカウンタCNTa、CNTbを用いて計数することにより、当該フィルタFTaの性能ライフが検出される。
図7に示した試験装置において、表1に示すように、フィルタ有効面積110.7cmを有するフィルタFTaに対して、図中の試験流路FGAの左方(上流側)から0.3μmの粒子径を有する粒子状物質を流速5cm/secで供給し、上流側の不純物濃度(単位体積当たりの粒子状物質の粒子数)が52602ptcl/cmとなるように設定し、下流側の不純物濃度の経時変化を観測した。これにより、図8に示すような性能特性の実験結果を得た。
ここで、フィルタの不純物捕集効率EFFは、図7に示すように、EFF(%)=100×(C1−C2)/C1で定義される。ここで、C1は、フィルタFTaの上流側の気体に含まれる不純物(粒子状物質)の粒子数であり、C2は、フィルタFTaの下流側の気体に含まれる不純物の粒子数である。
この実験結果において、フィルタFTaの不純物の捕集効率の急激な低下が認められる時点の時間データ(経時時間)を性能ライフ(フィルタ寿命)と定義すると、図8に示すように、概ね35分程度であることが判明した(図中、矢印位置の経時時間参照)。ここで、この性能ライフにおける不純物の総捕集量(フィルタの総負荷量)は、上述した実験条件における単位時間当たり(1秒当たり)の不純物濃度が次の(4)式で表されるので、35分の経時時間により(5)式のように表すことができる。
110.7cm×5cm/sec×52602ptcl/cm=2.9×10ptcl/sec ・・・(4)
2.9×10ptcl/sec ×35min×60sec=6.1×1010ptcl ・・・(5)
このような実験結果に対して、以下のような条件を加味することにより、実際の電子機器に適用した場合に対応したフィルタの性能ライフを検討する。
(イ)フィルタの有効面積を110.7cmに固定する。
(ロ)現在主流となっている携帯型の電子機器であるノートPC等に多用されている、15W出力の駆動バッテリに相当する燃料電池システムを想定した場合に、フィルタに流れる空気量を1.5L/min(=25cm/sec)に設定する。
(ハ)一般の大気中に含まれる不純物の粒子数は、クラス10,000〜100,000であることから、より厳しい条件として、クラス100,000を不純物の粒子数に設定する。
ここで、クラス100,000中に含まれる不純物の粒子数は、次の(6)式のように換算されるので、フィルタを通過しようとする単位時間当たりの粒子数は、次の(7)式のように表される。
100,000ptcl/feet=3.53ptcl/cm ・・・(6)
25cm/sec×3.53ptcl/cm=88.3ptcl/sec ・・・(7)
したがって、不純物の粒子数がクラス100,000の大気を取り込み、15W出力の燃料電池システム(駆動バッテリ)を駆動させるために、該大気に基づく酸素Oを発電セル部11へ供給した場合において、上記(5)式に示したフィルタの性能ライフにおける不純物の総捕集量から導出される駆動可能時間は、次の(8)式のように膨大な時間で表される。
6.1×1010ptcl÷88.3ptcl/sec=6.9×10sec=21.8year ・・・(8)
これは、換言すると、燃料カートリッジ20(燃料封入部21)に封入された発電用燃料(メタノールCHOH)の量が、例えば、電子機器を10〜数十時間駆動させるだけの量に設定されている場合には、導入路23内に配置されるフィルタ(リサーキュレーションフィルタ)24の有効面積を非常に小さいものに設定した場合であっても、良好に大気を取り込み、発電セル部11に(不純物の流入を抑制して)純度の高い酸素を供給して良好な発電動作を実現することができる、ということを表している。
次いで、上述した積層構造を有するフィルタ(ケミカルフィルタ;chemical filter)における化学物質の捕集能力について検討する。
図9は、本実施形態に適用されるケミカルフィルタの性能ライフを検出するための試験装置の原理を示す概略図であり、図10は、本実施形態に適用されるケミカルフィルタの性能ライフの検出結果(実験結果)を示す特性図である。
燃料カートリッジ20の導入路23に適用されるケミカルフィルタの捕集能力の寿命(性能ライフ)を検出するための試験装置の原理は、例えば、図9に示すように、試験流路FGB内にテストサンプルとなるフィルタFTbを配置し、該試験流路FGB内に所定の濃度の二酸化硫黄(SO)と空気との混合気体(サンプルガス)Gmixを流下させ、ブレークスルー実装実験を行う。このような試験装置において、上記フィルタFTbの下流側に通過した気体Gthの不純物濃度の時間変化をガス濃度分析器CNTcにより測定することにより、当該フィルタFTbの性能ライフが検出される。
図9に示した試験装置において、表2に示すように、フィルタ有効面積2.57cmを有するフィルタFTbに対して、図中の試験流路FGBの左方(上流側)から混合気体Gmixを流速25.9cc/minで供給し、上流側の不純物(二酸化硫黄)濃度が41.15ppm(107.8ng/cc)となるように設定し、下流側の不純物濃度(単位体積当たりの不純物の重量)の経時変化を観測した。これにより、図10に示すような性能特性の実験結果を得た。
この実験結果において、フィルタFTbの不純物の捕集効率に対応する、下流側の不純物濃度の急激な上昇が認められる時点の時間データ(経時時間)を性能ライフ(フィルタ寿命)と定義すると、図10に示すように、概ね42分程度であることが判明した(図中、矢印位置の経時時間参照)。ここで、この性能ライフにおける不純物の総捕集量(二酸化硫黄の総吸着量)は、上述した実験条件における単位時間当たり(1分当たり)の二酸化硫黄の濃度が次の(9)式で表されるので、42分の経時時間により(10)式のように表すことができる。
107.8ng/cc×25.9cc/min=2792ng/min ・・・(9)
2792ng/min×42min=117264ng ・・・(10)
このような実験結果に対して、以下のような条件を加味することにより、実際の電子機器に適用した場合に対応したフィルタの性能ライフを検討する。
(イ)フィルタの有効面積を2.57cmに固定する。
(ロ)現在主流となっている携帯型の電子機器であるノートPC等に多用されている、15W出力の駆動バッテリに相当する燃料電池システムを想定した場合に、フィルタに流れる空気量を1.5L/min(=25cm/sec)に設定する。
(ハ)一般の大気中に含まれる二酸化硫黄SOの濃度を、国立環境研究所の環境数値データに基づいて、0.0078ng/ccに設定する。
ここで、フィルタを通過しようとする単位時間当たりの重量は、次の(11)式のように表される。
1500cc/min×0.0078ng/cc=11.7ng/min ・・・(11)
したがって、二酸化硫黄濃度が0.0078ng/ccの大気を取り込み、15W出力の燃料電池システム(駆動バッテリ)を駆動させるために、該大気に基づく酸素Oを発電セル部11へ供給した場合において、上記(10)式に示したフィルタの性能ライフにおける不純物の総捕集量(二酸化硫黄の総吸着量)から導出される駆動可能時間は、次の(12)式のように膨大な時間で表される。
117264ng÷11.7ng/min=10022min=167hr ・・・(12)
これは、換言すると、上述したリサーキュレーションフィルタの場合と同様に、燃料カートリッジ20(燃料封入部21)に封入された発電用燃料(メタノールCHOH)の量が、例えば、電子機器を10〜数十時間駆動させるだけの量に設定されている場合には、導入路23内に配置されるフィルタ(ケミカルフィルタ)24の有効面積を非常に小さいものに設定した場合であっても、良好に大気を取り込み、発電セル部11に(不純物の流入を抑制して)純度の高い酸素を供給して良好な発電動作を実現することができる、ということを表している。
このように、本実施形態に係る燃料カートリッジ20に、周囲の大気を取り込むための導入路23を設け、該導入路23内にフィルタ(リサーキュレーションフィルタ、ケミカルフィルタ)を配置した場合、当該フィルタ部材として、燃料封入部に封入された発電用燃料により発電動作が行われる時間(発電動作の継続可能時間)分だけの不純物捕集能力を有していればよいので、上述した実験結果に示したように、フィルタ有効面積を非常に小さく設定して、相対的に発電用燃料の封入量(燃料封入部の容積)を多くすることができるとともに、フィルタにおける圧力損失を低減して、空気供給制御部16に設けられたエアポンプの負荷を削減し、消費電力を低減することができる。
<燃料電池システムの動作説明>
次いで、上述したような構成を有する燃料電池システムにおける発電動作について簡単に説明する。
本実施形態に係る燃料電池システムにおける発電動作は、まず、発電モジュール10に燃料カートリッジ20を装着することにより、燃料封入部21の燃料取出部21a、水封入部22の水取出部22a、導入路23の大気取出部23bが、各々、燃料供給制御部14の燃料取込経路、水供給制御部15の水取込経路、空気供給制御部16の大気取込経路に接続されて、発電用燃料、水及び大気(酸素)が発電モジュールへ供給可能な状態に設定される。
ここで、水供給制御部15は、例えば、燃料カートリッジ20の発電モジュール10への装着時に(もしくは、発電セル部における発電動作に先立つ所定のタイミングで)、水封入部22から適量の水HOを取り出し、発電セル部11の電解質膜に供給する。これにより、発電セル部11における発電動作に先立って、電解質膜(イオン交換膜)が所定の湿潤状態に保持される。
次いで、燃料電池システムが内蔵された電子機器が起動すると、燃料供給制御部14により燃料封入部21から所定量の発電用燃料(メタノールCHOH)が取り出されて、改質部12の燃料気化器12a及び燃焼器12dに供給されるとともに、水供給制御部15により水封入部22から適量の水が取り出されて、改質部12の燃料気化器12a及びCO除去器12cに供給され、また、空気供給制御部16により導入路23及びフィルタ24を介して大気が取り込まれて、改質部12の燃焼器12dに供給される。
これにより、改質部12におけるメタノールCHOH及び水HOを用いた所定の水蒸気改質反応及び水性シフト反応、選択酸化反応が促進され、発電セル部11のアノード極に水素ガスHが供給されるとともに、最終的な副生成物である微量の二酸化炭素COがシステムの外部(大気中)に放出される。
また、発電セル部11のカソード極には、空気供給制御部16により導入路23及びフィルタ24を介して取り込まれた大気が供給されることにより、上述した電気化学反応式(23)、(24)に基づいて、アノード極とカソード極から電気エネルギーが取り出されるとともに、カソード極において副生成物として水HOが生成される。この水HOは、水回収制御部13により回収されて、発電セル部11の電解質膜、及び、改質部12に再び供給される。
そして、発電セル部11における発電動作が定常状態(安定的に電気エネルギーを出力する状態)に移行して、水回収制御部13を介して発電セル部11に供給される水HOにより、電解質膜が所定の湿潤状態に保持されるようになると(すなわち、回収された水HOが発電セル部11に供給される循環サイクルが確立した段階で)、水供給制御部15による燃料カートリッジ20(水封入部22)から発電セル部11及び改質部12への水HOの供給が遮断される。
次いで、燃料カートリッジ20に封入された発電用燃料の残量がなくなった場合、又は、少なくなった場合には、燃料カートリッジ20を発電モジュール10から取り外すことにより、発電用燃料の残量の少なくなった燃料封入部21、水の残量が少なくなった水封入部22、及び、大気中の不純物が捕集されたフィルタ24が一括して取り外され、所定のリサイクルルートを介して回収、廃棄される。
そして、発電用燃料及び水が十分封入された燃料封入部21及び水封入部22、かつ、十分に不純物の捕集能力を有するフィルタ24を備えた新たな燃料カートリッジ20を、再度発電モジュール10に取り付けることにより、発電用燃料、水及び不純物が除去された空気が発電モジュール10に供給されて、発電セル部11における発電動作を良好に再起動することができる。
したがって、本実施形態に係る燃料電池システムにおいては、発電用燃料及び水を封入した燃料カートリッジに、少なくとも発電セル部における発電動作に用いる酸素(大気)を取り込むための導入路及びフィルタを一体的に設けた構成を有し、該燃料カートリッジが、発電モジュール(もしくは、発電モジュールが内蔵された電子機器)に対して着脱可能なように構成されているので、当該フィルタにより大気中の不純物(粒子状物質や化学物質等)を捕集、除去して、高純度の酸素を発電セル部に供給することができるとともに、発電用燃料の残量がなくなったときや少なくなったとき等には、あたかも電子機器の使用に際して乾電池やバッテリを交換する場合と同様に、燃料カートリッジを取り替える(交換する)という必須かつ簡易な作業により、発電用燃料と水の補給に加え、捕集能力の低下したフィルタの交換を行うことができ、使い勝手のよい電源システムを実現することができる。
<第2の実施形態>
次いで、本発明に係る燃料電池システムの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図11は、本発明に係る燃料電池システムの第2の実施形態の全体構成を示す概略ブロック図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化又は省略する。
上述した第1の実施形態においては、空気供給制御部16により燃料電池システム周辺の大気を取り込んで、少なくとも発電セル部11のカソード極に酸素を供給する構成を示したが、本実施形態においては、上記発電セル部に加え、燃料カートリッジの燃料封入部及び水封入部にも、空気を供給して、発電用燃料及び水を発電モジュール(燃料供給制御部及び水供給制御部)に押し出すようにした構成を有している。
具体的には、本実施形態に係る燃料電池システムは、図11に示すように、上述した第1の実施形態に示した構成(図1参照)に加えて、空気供給制御部16により燃料カートリッジ20の導入路23及びフィルタ24を介して取り込んだ大気に基づく所定の気圧の空気を、燃料カートリッジ20の燃料封入部21及び水封入部22の各々の他端側に設けられた開口部21c、22cに供給するためのカートリッジ側供給経路RTcを備えた構成を有している。
すなわち、空気供給制御部16により取り込まれた大気は、セル側供給経路RTaを介して発電セル部11のカソード極に供給されて、発電動作に寄与するとともに、改質側供給経路RTbを介して改質部12の燃焼器12dに供給されて、燃料改質反応における温度制御に用いられ、さらに、カートリッジ側供給経路RTcを介して燃料カートリッジ20の各封入部21、22の他端側に設けられた開口部21c、22cを介して注入されて、発電モジュールへの発電用燃料及び水の取出(吐出)制御に用いられる。ここで、空気供給制御部16からの大気(酸素)の供給制御は、各供給経路RTa、RTb、RTcごとに供給タイミングや供給量、圧力等が制御される。
このような構成を有する燃料電池システムによれば、発電セル部11のカソード電極において、発電動作に係る電気化学反応を促進するために十分な酸素が供給されるとともに、燃料カートリッジ20の各封入部21、22に内挿された追従体21b、22bが所定の圧力で押圧されて、発電用燃料及び水を発電モジュール10側へ所定の吐出量で押し出すことができるので、燃料電池システムの使用環境(大気圧や使用角度、振動等)にかかわらず、発電セル部11及び改質部12における一連の化学反応が促進されて、安定した発電動作を実現することができ、該燃料電池システムが搭載された電子機器を良好に駆動させることができる。
本発明に係る燃料電池システムの第1の実施形態の全体構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る燃料電池システムに適用される改質部の一構成例を示す概念図である。 本実施形態に係る燃料電池システムに適用される改質部おける化学反応の一例を示す概念図である。 本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジの一例を示す概略構成図である。 本発明に係る燃料電池システムに適用可能な燃料カートリッジの他の例を示す概略構成図である。 本実施形態に適用されるフィルタの構成を示す概略断面図である。 本実施形態に適用されるリサーキュレーションフィルタの性能ライフを検出するための試験装置の原理を示す概略図である。 本実施形態に適用されるリサーキュレーションフィルタの性能ライフの検出結果(実験結果)を示す特性図である。 本実施形態に適用されるケミカルフィルタの性能ライフを検出するための試験装置の原理を示す概略図である。 本実施形態に適用されるケミカルフィルタの性能ライフの検出結果(実験結果)を示す特性図である。 本発明に係る燃料電池システムの第2の実施形態の全体構成を示す概略ブロック図である。 燃料直接供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池を示す概略構成図である。 燃料改質供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池を示す概略構成図である。
符号の説明
10 発電モジュール
11 発電セル部
12 改質部
13 水回収制御部
14 燃料供給制御部
15 水供給制御部
16 空気供給制御部
20 燃料カートリッジ
21 燃料封入部
22 水封入部
23 導入路
24 フィルタ

Claims (11)

  1. 発電動作を行う燃料電池本体を備えた燃料電池システムにおいて、
    発電用燃料が封入された燃料封入部、及び、前記燃料電池システム周辺の空気が通過する導入路を備えた燃料容器と、
    前記導入路を介して、前記燃料電池システム周辺の空気を取り込んで、少なくとも前記燃料電池本体の空気極に酸素を供給する空気供給制御手段と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料容器は、前記導入路内に前記空気中に含まれる不純物を捕集するためのフィルタを備えていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記フィルタは、少なくとも、前記燃料電池本体における発電動作を阻害する粒子状物質及び化学物質を、前記空気中から除去する捕集能力を有していることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記フィルタは、少なくとも、前記燃料容器に封入された前記発電用燃料を用いた、前記燃料電池本体における発電動作の継続可能時間に対応する捕集能力寿命を有していることを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、
    前記空気供給制御手段は、前記導入路を介して取り込んだ前記燃料電池システム周辺の空気を、前記燃料封入部に設けられた前記開口部を介して注入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. 前記導入路は、前記空気を前記空気供給制御部に取り出すための空気取出口が設けられ、
    前記燃料容器は、前記燃料封入部に設けられた前記燃料取出口と前記空気取出口が、前記筐体の同一方向の面に配置されていることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
  7. 発電動作を行う燃料電池本体を備えた燃料電池システムの発電用燃料容器において、
    発電用燃料が封入された燃料封入部と、
    前記燃料電池本体における発電動作に用いられる空気が通過する導入路と、
    前記導入路内に前記空気中に含まれる不純物を捕集するためのフィルタと、
    を備えたことを特徴とする発電用燃料容器。
  8. 前記フィルタは、少なくとも、前記燃料電池本体における発電動作を阻害する粒子状物質及び化学物質を、前記空気中から除去する捕集能力を有していることを特徴とする請求項7記載の発電用燃料容器。
  9. 前記フィルタは、少なくとも、前記燃料容器に封入された前記発電用燃料を用いた、前記燃料電池本体における発電動作の継続可能時間に対応する捕集能力寿命を有していることを特徴とする請求項8記載の発電用燃料容器。
  10. 前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、
    前記燃料取出口と前記導入路に設けられた、前記空気を取り出すための空気取出口が、前記筐体の同一方向の面に配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の発電用燃料容器。
  11. 前記燃料封入部は、前記発電用燃料を取り出すための燃料取出口と、前記燃料封入部内で前記発電用燃料を前記燃料取出口方向に押圧するための気体が流入する開口部と、が該燃料封入部の筐体の両端部に設けられ、
    前記燃料取出口と前記導入路に設けられた、前記空気を取り出すための空気取出口が、前記筐体の異なる方向の面に配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の発電用燃料容器。
JP2004263323A 2004-09-10 2004-09-10 燃料電池システム及び発電用燃料容器 Expired - Fee Related JP4830278B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004263323A JP4830278B2 (ja) 2004-09-10 2004-09-10 燃料電池システム及び発電用燃料容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004263323A JP4830278B2 (ja) 2004-09-10 2004-09-10 燃料電池システム及び発電用燃料容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006079956A true JP2006079956A (ja) 2006-03-23
JP4830278B2 JP4830278B2 (ja) 2011-12-07

Family

ID=36159229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004263323A Expired - Fee Related JP4830278B2 (ja) 2004-09-10 2004-09-10 燃料電池システム及び発電用燃料容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4830278B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007290318A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置
JP2007293201A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004281340A (ja) * 2003-03-19 2004-10-07 Casio Comput Co Ltd 燃料容器
JP2006059674A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Victor Co Of Japan Ltd 燃料電池駆動装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004281340A (ja) * 2003-03-19 2004-10-07 Casio Comput Co Ltd 燃料容器
JP2006059674A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Victor Co Of Japan Ltd 燃料電池駆動装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007290318A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置
JP2007293201A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4830278B2 (ja) 2011-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7935451B2 (en) Fuel cell system, fuel cell system drive method and fuel container for power generation
JP2003036879A (ja) 電源システム
JP2008066200A (ja) 燃料電池
JP5161431B2 (ja) 燃料電池装置
JP4473526B2 (ja) 燃料電池の運転方法とそのシステム
JP4453206B2 (ja) 電源システム
JP2006049032A (ja) 燃料カートリッジ及び燃料電池システム
JP4830278B2 (ja) 燃料電池システム及び発電用燃料容器
JP3867528B2 (ja) 発電用部材
WO2005074065A1 (ja) 携帯型燃料電池、携帯機器および燃料カートリッジ
EP3942639A1 (en) Fuel cell startup/shutdown degradation mitigation by removal of oxygen ad/absorption media
JP5360037B2 (ja) 燃料電池システム
JP2006059673A (ja) 燃料電池駆動装置
JP4655355B2 (ja) 発電装置およびこれに用いる水素カートリッジ
JP4929568B2 (ja) 燃料電池駆動装置
JP5320711B2 (ja) 発電装置
JP5034161B2 (ja) 燃料電池発電装置
KR100757557B1 (ko) 발전용 연료전지 시스템, 연료전지 시스템 구동방법 및연료 컨테이너
JP4752559B2 (ja) 燃料電池システム
JP2009087669A (ja) 燃料電池装置及び電子機器
JP2004193001A (ja) 燃料電池システム
JP5051049B2 (ja) 電源システム
JP2008130423A (ja) 気液分離器およびこれを用いた燃料電池
JP2009217968A (ja) 発電装置及び電子機器
JP2005183186A (ja) 燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110412

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140930

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees