JP2006079526A - 位置決め制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 サーボ制御に理想的なモデルトルク、モデル速度、モデル位置を出力するモデル演算部1と、モデル位置と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段3aと、この速度指令およびモデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段5,6,7と、このフィードバックトルク指令にモデルトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段9と、を備え、位置比例補償手段3aは、動作中にモデル速度の多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させる。
【選択図】 図1
Description
機械系の慣性モーメントの変化によらず常に応答周波数を一定に保つことができる電動機の位置制御装置として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された電動機の位置制御装置は、回転角指令信号発生回路から入力された回転角指令信号と回転検出器から入力された電動機の実際の回転角信号との偏差に基づいて、速度指令信号を出力する位置制御回路を備え、機械系の慣性モーメントの変化によらず速度指令信号の変化に対する電動機の実速度信号の応答を一定に保つことにより、機械系の慣性モーメントの変化によらず常に応答周波数を一定に保つようにしたものである。
また、位置決め制御において、トルク指令がトルク制限にかかった場合や、モータの電圧飽和でトルク飽和した場合にも、上記と同様に位置追従遅れが大きくなるという問題点があった。特に、大きな負荷に対してモータの特性ぎりぎりで動作させるような条件下では、リミッタにかかることが多くなり、位置追従遅れが大きくなる現象が顕著となる。
(1)位置ゲインを極めて低く設定する、または、
(2)普段は速度制御モードで動かし、位置決め整定間際でクリープして位置決めを行う、
などの処置をとっているが、いずれも位置整定時間が延びてしまうという問題点があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係る位置決め制御装置を使用したブロック図である。図1において、モデル演算部1は位置指令xrを入力して、サーボ制御に理想的なモデルトルクTa、モデル速度va、モデル位置xaを出力する。減算器2aでモデル位置xaと実位置xmとの位置偏差を演算する。
位置比例補償手段としての位置比例補償器3aは、減算器2aから出力されるモデル位置xaと実位置xmとの位置偏差に位置比例ゲインwpcを掛け、速度指令を演算する。ここで、位置比例補償器3aは、モデル速度vaに応じて位置比例ゲインwpcを変更する。
積分補償器5は、演算器4aで演算された速度偏差を積分補償する。加算器6で、演算器4aで演算された速度偏差に積分補償器5の出力を加算する。速度比例補償器7は、加算器6の出力に速度比例ゲインKspを掛けてフィードバックトルク指令を出力する。なお、積分補償器5、加算器6および速度比例補償器7で速度比例積分補償手段を構成する。
プラント10は、トルク指令Tmを入力して実位置xmを出力する。速度演算器11は、プラントの実位置xmを入力してプラントの実速度vmを出力する。
図2において、所定の軌道に設置されたレール20に沿って台車21を走行して荷物(図示せず)の搬出・搬入を行う。車輪22、23の一方または両方をモータ(図示せず)で駆動することにより台車21を走行させるが、荷物を搬出・搬入するためには台車21を所定の位置で停止させる必要があり、台車21に取り付けられたレーザ変位計24と反射板25を用いて台車21の実際の位置情報(実位置)を検出し、その位置情報を用いて位置決め制御を行う。
位置比例ゲインwpcの変更方法は、モデル速度vaが小さい時に位置比例ゲインwpcを大きく、モデル速度vaが大きい場合に位置比例ゲインwpcを小さくし、且つその変化が滑らかに変更されるように、下式(1)に示す速度の絶対値の多項式に基づいて変更を行う。
wpc=a0+a1×|va|+a2×|va|2+a3×|va|3+・・・
・・・・・(1)
位置決め制御装置は、位置指令xrに従って位置比例ゲインwpcで決まる制御応答で実位置xmが追従するように制御する。
(1)まず位置指令xrが入力された瞬間(モデル速度va=0)は、位置比例ゲインwpcは高いゲインに設定されており、その高いゲインに応じて実位置が追従する。
(2)やがて速度が増加するに連れて位置比例ゲインwpcは低い値となるので、トルク制限にかかるなどの追従遅れが発生しても、位置追従遅れを許容することができる。
(3)さらにTOP速度付近になると位置比例ゲインはほぼ0となり、モデル速度による速度制御モードと等価になるので、位置偏差が発生しても出力トルクは変化しなくなるため、位置偏差追従遅れを補償しようとした結果生じるところの速度超過やオーバーシュートが発生することがなくなる。
(4)最後に位置決め付近になると、速度が減速して再び位置比例ゲインwpcが大きくなるため、位置の収束応答は速くなり、短い整定時間で位置決めが完了できる。
位置指令xrに対する実位置xmの追従遅れが大きくなった場合、従来の技術においてゲインが大きい場合における応答では図(a)に示すように、TOP速度到達後に速度指令を実速度がオーバーシュートして速度超過を発生する(a1部)とか、位置決め整定時にアンダーシュートを発生する(a2部)ことがあった。
それに対し、この発明の実施の形態1に係る位置決め制御装置における応答では図(b)に示すように、TOP速度到達後における速度超過や位置決め整定時におけるアンダーシュートを発生せず、良好な応答が得られる。
また、速度の2乗に応じて可変とすることにより、直線的に変更する場合や2つの値を切り替えて変更する場合に比較して、位置制御ゲイン=0近傍において、急減速時に位置制御ゲインが急増することによってショックが発生することを防ぐことができる。
また、モデル速度vaまたは実速度vmに応じて位置制御ゲインwpcの変更を行うようにしたので、速度指令を実際の速度に見合ったゲインの変更を行うことができる。
さらに、モデル速度vaに応じて位置制御ゲインwpcの変更を行うことにより、高周波ノイズを拾うとか閉ループゲインが変動するという不安定要素がなくなるので安定性が増す。
図5はこの発明の実施の形態2に係る位置決め制御装置を使用したブロック図である。図5において、減算器2bで位置指令xrと実位置xmとの位置偏差を演算する。
速度フィードフォワード演算器12は位置指令xrに微分を行ってフィードフォワード速度vfを演算する。通常微分は不安定となるため、ハイパスフィルタ(図示せず)が用いられる。なお、速度指令が存在する場合には、その速度指令からフィードフォワード速度を演算してもよい。
位置比例補償器3bは、減算器2bから出力される位置偏差と実位置xmとの位置偏差に位置比例ゲインwpcを掛ける。ここで、位置比例補償器3bは、フィードフォワード速度vfに応じて位置比例ゲインwpcを変更する。位置比例ゲインwpcの変更方法は、実施の形態1に記載の上式(1)における多項式の速度データにおいて、モデル速度vaの替わりにフィードフォワード速度vfを使用する。
積分補償器5は、演算器4bで演算された速度偏差を積分補償する。加算器6で、演算器4bで演算された速度偏差に積分補償器5の出力を加算する。速度比例補償器7は、加算器6の出力に速度比例ゲインKspを掛けてフィードバックトルク指令を出力する。また、積分補償器5、加算器6および速度比例補償器7で速度比例積分補償手段を構成する。
加算器8bで、速度比例補償器7から出力されるフィードバックトルク指令とフィードフォワードトルクTfとを加算する。
トルク制限器9は、加算器8bの出力に対して予め設定されているトルク制限値で、トルク制限してトルク指令Tmとする。
プラント10は、トルク指令Tmを入力して位置xmを出力する。
速度演算器11は、プラントの位置xmを入力してプラントの実速度vmを出力する。
図6はこの発明の実施の形態3に係る位置決め制御装置を使用したブロック図である。図6において、1、2a、4、5、6、7、8a、9、10、11は図1と同様であり、その説明を省略する。
減算器14で位置指令xrと実位置xmとの位置偏差を演算し、減算器14で演算した位置指令xrと実位置xmとの位置偏差である位置ドループに基づき、位置比例補償器3cの位置比例ゲインwpcを変更する。
位置比例ゲインwpcの変更方法は、実施の形態1に記載の上式(1)における多項式において、モデル速度vaの替わりに減算器14で演算した位置指令xrと実位置xmとの位置偏差である位置ドループを使用する。
図7はこの発明の実施の形態4に係る位置決め制御装置を使用したブロック図である。図7において、1、2a、4、5、6、7、8a、9、10、11は図1と同様であり、その説明を省略する。
位置比例補償器3dの位置比例ゲインwpcをモデルトルクTaに応じて変更する。位置比例ゲインwpcの変更方法は、実施の形態1に記載の上式(1)における多項式において、モデル速度vaの替わりにモデルトルクTaを使用する。
また、フィードバックトルクをチェックすることにより、モータの電圧飽和によるトルクの飽和に対応することが可能となる。
図8はこの発明の実施の形態5に係る位置決め制御装置を使用したブロック図である。図8において、1、2a、4、5、6、7、8a、9、10、11は図1と同様であり、その説明を省略する。
図8は位置比例補償器3eの位置比例ゲインwpcは固定とし、位置比例補償器3eと演算器4との間にモデル速度vaに応じて位置制御出力トルク制限器15のトルク制限値を変更する位置制御出力トルク制限器15を挿入し、位置制御出力トルクを制限する。
また、実施の形態2に記載のフィードフォワード部を有する構成において、位置比例ゲインwpcを変更する位置比例補償器3bの替わりに、位置比例ゲインwpcが固定の位置比例補償器3eと位置制御出力トルク制限器15とで構成するようにしてもよい。
Claims (10)
- 速度フィードフォワードを有する位置決め制御装置において、速度の多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。
- 前記速度の多項式に使用する速度がモデル速度またはフィードフォワード速度であることを特徴とする請求項1記載の位置決め制御装置。
- 速度フィードフォワードを有する位置決め制御装置において、位置ドループの多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。
- 速度フィードフォワードを有する位置決め制御装置において、トルクの多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。
- 動作中に前記位置制御ゲインを零または零近傍値として、フィードフォワード速度による速度制御モードで運転するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の位置決め制御装置。
- 位置指令を入力して、サーボ制御に理想的なモデルトルク、モデル速度、モデル位置を出力するモデル演算部と、
前記モデル位置と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段と、
この速度指令および前記モデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段と、
このフィードバックトルク指令に前記モデルトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段と、
を備えた位置決め制御装置において、
前記位置比例補償手段は、動作中に前記モデル速度の多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。 - 位置指令または速度指令に基づきフィードフォワード速度を演算する速度フィードフォワード演算器と、
このフィードフォワード速度からフィードフォワードトルクを演算するトルクフィードフォワード演算器と、
位置指令と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段と、
この速度指令および前記モデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段と、
このフィードバックトルク指令に前記フィードフォワードトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段と、
を備えた位置決め制御装置において、
前記位置比例補償手段は、動作中に前記フィードフォワード速度の多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。 - 位置指令を入力して、サーボ制御に理想的なモデルトルク、モデル速度、モデル位置を出力するモデル演算部と、
前記モデル位置と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段と、
この速度指令および前記モデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段と、
このフィードバックトルク指令に前記モデルトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段と、
を備えた位置決め制御装置において、
前記位置比例補償手段は、動作中に前記位置指令と前記実位置との位置偏差である位置ドループによる多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。 - 位置指令を入力して、サーボ制御に理想的なモデルトルク、モデル速度、モデル位置を出力するモデル演算部と、
前記モデル位置と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段と、
この速度指令および前記モデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段と、
このフィードバックトルク指令に前記モデルトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段と、
を備えた位置決め制御装置において、
前記位置比例補償手段は、動作中に前記モデルトルクの多項式に基づいて位置制御ゲインを連続的に変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。 - 位置指令を入力して、サーボ制御に理想的なモデルトルク、モデル速度、モデル位置を出力するモデル演算部と、
前記モデル位置と実位置との位置偏差に対して位置制御ゲインを掛けて速度指令を演算する位置比例補償手段と、
この速度指令を動作中に、前記モデル速度、前記位置指令と前記実位置との位置偏差である位置ドループ、またはトルクに基づいて変化させるトルク制限値で制限する位置制御出力トルク制限器と、
この位置制御出力トルク制限器の出力および前記モデル速度と実速度の偏差に対してフィードバックトルク指令を出力する速度比例積分補償手段と、
このフィードバックトルク指令に前記モデルトルクを加算した加算値を予め設定されたトルク制限値で制限してモータを駆動するトルク指令として出力するトルク制限手段と、
を備えた位置決め制御装置において、
前記位置制御出力トルク制限器は、動作中に前記トルク制限値を変化させるようにしたことを特徴とする位置決め制御装置。
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2004
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