JP2006075879A - 缶蓋の製造方法および缶蓋の製造装置 - Google Patents

缶蓋の製造方法および缶蓋の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 缶蓋の少なくとも内面側に配設されたフィルムの残留応力を確実に除去する。
【解決手段】 複数のスクリュー11により缶蓋の外周を支持した状態で、スクリュー11を軸線回りに回転することによって、前記缶蓋を、互いに間隔をあけて複数積層した状態で前記軸線方向の下方に搬送する構成とされた搬送部12と、スクリュー11を取り囲むように設けられ、前記複数積層された缶蓋に、前記軸線方向と交差する方向に温風を吹きかけ、これらの缶蓋を加熱する構成とされた加熱部13と、断熱材により筒状に形成されるとともに、加熱部13の、前記缶蓋の搬送方向Fにおける前端に連設され、内部に前記缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で配置し、これらの缶蓋を保温する構成とされた保温部14とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設され、缶体の開口部に巻締められる缶蓋の製造方法および缶蓋の製造装置に関するものである。
この種の缶蓋は、従来から、アルミニウム合金等により形成されるとともに、内外面側に、例えばエポキシ系や塩化ビニル系の樹脂からなる塗膜が配設されているが、近年では、環境負荷の低減を図る等のために、前記塗膜に代えて、該塗膜が含有する有機溶剤を含まない例えばポリエステル等からなるフィルムが、内外面側に配設されたラミネート缶蓋が採用されている。
このような缶蓋は一般に、アルミニウム合金等からなる板材の両面側に前記フィルムを配設した後に、この板材に打ち抜き加工を施して打ち抜き材を形成し、その後、この打ち抜き材に各種成形加工を施して形成されている。
ところで、缶蓋の内面側は、缶に充填された内容物に直接接触することになるため、この内容物への好ましくない成分の溶出を少なくできる性質や、飲料の味や香りの成分(フレーバー)を吸着し難くできる性質(以下、フレーバー性と称する)が求められているが、前記フィルムは、一般に前記塗料と比べて、内容物への前記溶出が少なく、フレーバー性も良好であるという特徴を有している。特に、前記フィルムが配向結晶構造を有する場合には、缶蓋に求められる最も重要な仕様の1つであるフレーバー性が良好になることが知られている。
しかしながら、このような配向結晶構造のフィルムは、前記打ち抜き材に各種成形加工が施された際、このフィルムに応力が残留し易く、この残留応力により、フィルムの缶蓋表面(金属面)への密着力が低下し、この金属面と前記フィルムとの間に前記内容物が侵入することによって、前述したフレーバー性や缶蓋の耐腐食性が低下する虞があった。
このため、缶蓋を成形加工により形成した後に、この缶蓋に加熱処理を施すことにより、前記フィルムの残留応力を除去することがなされている。
このような加熱処理を実施するための装置として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、缶蓋のカール部を支持し該缶蓋を搬送するスクリューを備える搬送部と、前記スクリューを取り巻くコイルからなる加熱部と、前記コイルに高周波電流を送り込む高周波電流発振部と、缶蓋を冷却する冷却部とを備える構成が知られている。
特開2002−367762号公報
ところが前記従来では、缶蓋を高周波電流により加熱していたので、スクリューによって搬送される缶蓋の数量が変動すると、缶蓋の加熱温度が変動する、例えば、前記加熱部に位置する缶蓋が少量である場合には、缶蓋の加熱温度が高くなり過ぎる等、缶蓋の温度制御が困難であるという問題があった。
具体的には、缶蓋が製造され始めた当初の缶蓋は、前記加熱部に到達した際、該缶蓋より搬送方向前側には他に缶蓋がなく、また、製造ロットの最後の缶蓋は、該缶蓋より搬送方向後側に他の缶蓋がないため、前記高周波電流の出力を一定に維持した場合には、これらの缶蓋は高温になっていた。従って、前記当初の缶蓋および前記最後の缶蓋は、フィルムが白化、あるいは溶融する場合があり、この場合、該缶蓋を製品として用いることができず、前記ラミネート缶蓋を大量生産する上で大きな障害となっていた。
また、缶蓋を加熱部を経た直後に冷却部により冷却していたので、残留応力を除去するのに十分な加熱時間および加熱温度をフィルムに付与することができず、フィルムの残留応力を十分に除去することが困難であるという問題があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、缶蓋の搬送数量にかかわらず、この缶蓋を所望の温度で加熱し、少なくとも内面側に配設されたフィルムの残留応力を確実に除去することができる缶蓋の製造方法および缶蓋の製造装置を提供することを目的とする。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の缶蓋の製造方法は、少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設された缶蓋の製造方法であって、前記缶蓋を互いに間隔をあけて複数積層した状態で、これらの缶蓋に積層方向と交差する方向に温風を吹きかけ、該缶蓋を加熱する加熱工程と、該加熱工程を経た前記缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で保温する保温工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の缶蓋の製造装置は、少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設された缶蓋の製造装置であって、軸線回りに回転可能に支持されたスクリューが、互いの軸線が平行となるように、径方向に所定の間隔をあけて複数配設されるとともに、これらのスクリューの外周面に形成された螺旋状の溝に、缶蓋の外周に形成されたカール部を支持させた状態で、前記スクリューを軸線回りに回転することにより、前記缶蓋を、互いに間隔をあけて複数積層した状態で前記軸線方向に搬送する構成とされた搬送部と、該搬送部を取り囲むように設けられ、前記複数積層された缶蓋に、前記軸線方向と交差する方向に温風を吹きかけ、これらの缶蓋を加熱する構成とされた加熱部と、断熱材により筒状に形成されるとともに、前記加熱部の前記缶蓋の搬送方向における前端に連設され、内部に前記缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で配置し、これらの缶蓋を保温する構成とされた保温部とを備えることを特徴とする。
これらの発明では、前記缶蓋を互いに間隔をあけて複数積層した状態で、これらの缶蓋に積層方向と交差する方向に温風を吹きかけるので、これらの缶蓋をその数量にかかわらず、均一かつ高効率に加熱することができる。
また、このように加熱された缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で保温するので、互いに当接し合う缶蓋同士の間で、前記加熱時の熱を保持させることが可能になり、缶蓋の熱が放散されることを抑制することができる。これにより、フィルムの残留応力を除去するのに十分な加熱温度および加熱時間を該フィルムに付与することが可能になり、この残留応力を確実に除去することができる。なお、例えば、前記断熱材の外周面に電熱線を巻き付けたり、前記断熱材に電熱線を埋め込んだり、あるいは前記缶蓋が配置される保温部の内部に温風を供給すると、前記残留応力をより確実に除去することができる。
以上により、フレーバー性や耐腐食性の良好な缶蓋を確実に形成することができる。
ここで、前記保温工程の後に、缶蓋に冷風を吹きかけ、該缶蓋を冷却するのが望ましい。この場合、前記保温工程により前記残留応力が除去されたフィルムが、冷却により硬化されるので、その後の缶蓋の搬送途中で、フィルムに傷が付く等といった損傷の発生を抑制することができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1から図4は、少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設された缶蓋の製造装置10を示す概略構成であって、軸線回りに回転可能に支持されたスクリュー11が、互いの軸線が平行となるように、径方向に所定の間隔をあけて複数配設されるとともに、これらのスクリュー11の外周面に形成された螺旋状の溝11a(図3参照)に、缶蓋50の外周に形成されたカール部51を支持させた状態で、スクリュー11を軸線回りに回転することにより、缶蓋50を、互いに等間隔をあけて複数積層した状態で前記軸線方向に搬送する構成とされた搬送部12と、スクリュー11を取り囲むように設けられ、前記複数積層された缶蓋50に、前記軸線方向と交差する方向に温風を吹きかけ、これらの缶蓋50を加熱する構成とされた加熱部13と、断熱材により筒状に形成されるとともに、加熱部13の、缶蓋50の搬送方向Fにおける前端に連設され、内部に前記缶蓋50を互いに当接させて複数積層した状態で配置し、これらの缶蓋50を保温する構成とされた保温部14(図4参照)と、保温部14の前記搬送方向Fにおける前端に、保温部14を通過した前記缶蓋50を取り囲むように連設され、これらの缶蓋50に冷風を吹きかける冷却部15とを備えている。
ここで、本実施形態の缶蓋50は、缶体に内容物が充填された状態で、該缶体の開口部に巻き締められて缶が形成されたときに、前記内容物と接触する内面側に図示しない第1フィルムが配設される一方、これとは反対側の外面側に図示しない第2フィルムが配設されている。
前記第1フィルムは、基材層と接着層とからなる2層構造をなしていて、接着層側がアルミニウム合金等の金属面に密着するように貼り合わされている。前記接着層は、例えば、その厚みが0.5〜3μmに設定されるとともに、粘度0.05〜0.08Pa・sの非晶質変性ポリエステルフィルムとされており、イソフタル酸を15〜22mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体が使用されている。前記基材層は、その厚みが3〜50μmに設定されるとともに、基材層全体の結晶化度が40〜60%、かつ面配向係数(ΔP)が0.14以上に設定された配向結晶性樹脂の2軸延伸ポリエステルフィルム、あるいは2軸延伸変性ポリエステルフィルムとされており、ポリエチレンテレフタレート、あるいはイソフタル酸を数mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体が使用されている。
前記第2フィルムは、その厚みが3〜50μに設定されるとともに、フィルム全体の結晶化度が10〜60%、かつ面配向係数(ΔP)が0.05以下に設定された無配向結晶性樹脂で球晶の発達した2軸延伸ポリエステルフィルム、あるいは2軸延伸変性ポリエステルフィルムとされており、前記基材層と同じく、ポリエチレンテレフタレート、あるいはイソフタル酸を数mol%含有するポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体が使用されている。
次に、前記製造装置10の各部の詳細について説明する。
搬送部12のスクリュー11は、図2に示すように、本実施形態では2本配設されており、缶蓋50は、カール部51がこれらのスクリュー11の溝11aにより周方向に約180°間隔をあけた2箇所で支持されるようになっている。換言すれば、缶蓋50は、スクリュー11をその軸線方向から平面視したときに、これらの各中心軸を結んだ直線L上に、缶蓋50の径方向における中央部が位置した状態で、スクリュー11の溝11aに支持されるようになっている。さらに、前記2本のスクリュー11同士の間には、前記軸線方向に延在する4本の支柱12aが配設されており、缶蓋50がスクリュー11により搬送される過程で、これらの支柱12aの外周面が、カール部51の外周面を支持するようになっている。また、それぞれのスクリュー11の軸線方向下端には、図示しない第1プーリが配設されており、この第1プーリと、図示しないモータに配設された第2プーリとに同一のタイミングベルトが巻回されて、前記モータが回転駆動されることにより、それぞれのスクリュー11が同時に各軸線回りに回転されるようになっている。
また、スクリュー11は、ポリアミドイミド系樹脂、ガラス繊維強化ポリフェニレンサルファイド系樹脂などの耐熱性樹脂、セラミックス等により形成されており、その外周には、軸線方向、つまり缶蓋50の搬送方向Fにおける後方から前方に向けて、螺旋状の溝11aが等間隔で形成されている。なお、スクリュー11は、成形性の点から、ポリアミドイミド系樹脂により形成するのが好ましく、この場合、線膨張係数は、2.5×10-5/℃〜3.0×10-5/℃であり、好ましくは2.75×10-5/℃〜2.85×10-5/℃である。線膨張係数が2.5×10-5/℃未満では、缶蓋50の熱変形量と比べてスクリュー11の熱変形量が小さくなりすぎ、缶蓋50の熱変形が前記溝11aにより拘束されることによって、該缶蓋50が搬送時に変形する恐れがあり、3.0×10-5/℃を超えると、加熱によりスクリュー11が膨張し、缶蓋50の径方向外方に撓んで、この缶蓋50が脱落する恐れがある。また、ポリアミドイミド系樹脂の引張強度は、250℃において44MPa以上であることが好ましい。44MPa未満では、缶蓋50の搬送時にスクリュー11が撓んで、缶蓋50が脱落する恐れがある。さらに、ポリアミドイミド系樹脂の荷重たわみ温度は、缶蓋50が加熱される温度以上であることが好ましく、具体的には、250℃以上が好ましい。250℃未満では、缶蓋50の加熱時にスクリュー11が撓んで、缶蓋50が脱落する恐れがある。
加熱部13は、複数のスクリュー11を取り囲む第1箱体13aと、該第1箱体13aに温風を供給する加熱ブロア13bと、該加熱ブロア13bからの温風を第1箱体13aの内部に供給する第1供給部13cとを備えている。第1供給部13cは、2本のスクリュー11同士の間の略中央部に配設されるとともに、スクリュー11と対向する表面には、加熱ブロア13bと連通された図示しない供給口が形成されており、該供給口は、スクリュー11により前記複数積層された缶蓋50に向けて、スクリュー11を回避して直接開口した構成となっている。また、この第1供給部13cは、缶蓋50の搬送方向F、つまりスクリュー11の軸線方向に延在しており、前記供給口は第1供給部13cが延在する方向に延びるスリット形状とされている。すなわち、第1供給部13cは、缶蓋50が第1箱体13aを通過する過程において、該缶蓋50の表裏面全域に亙って加熱ブロア13bからの温風を吹きかけ続けることができるようになっている。
なお、加熱部13は、加熱ブロア13bと第1供給部13cとを連通させる供給管13dと、第1箱体13aを画成する壁面のうち、第1供給部13cが配設された壁面と対向する壁面に配設されるとともに、缶蓋50を通過した温風を第1箱体13aの外部へ排出する排出管13eとを備えている。
以上の構成において、加熱部13は、その内部に複数の温度センサを備えている。すなわち、供給管13dの加熱ブロア13b側の内部に、この部分における温風の温度を測定する第1センサ13fが配設され、また、第1箱体13aの内部には、スクリュー11の軸線方向中央部における前記供給口付近に配設されるとともに、この部分における温風の温度を測定する第2センサ13gと、排出管13eとの連結部付近に配設されるとともに、第1箱体13aの内部温度を測定する第3センサ13hと、スクリュー11の軸線方向上端部付近に配設されるとともに、第1箱体13aの内部に位置する缶蓋50のうち、搬送方向Fの後端部に位置する缶蓋50の温度を測定する第4センサ13iと、スクリュー11の軸線方向下端部付近に配設されるとともに、第1箱体13aの内部に位置する缶蓋50のうち、搬送方向Fの前端部に位置する缶蓋50の温度を測定する第5センサ13jとを備えている。これらのセンサ13f〜13jは、図示しない制御部に接続されており、これらにより得られた温度データに基づいて、温風の温度や流量、スクリュー11の回転速度等を制御できるようになっている。
保温部14は、内径が缶蓋50の最外周部における外径より若干大きくされており、缶蓋50は、その中心軸線が保温部14の中心軸線と略一致した状態で、最外周面が全周に亙って保持部14の内径面に支持され、搬送方向Fに向けて搬送されるようになっている。つまり、保温部14を通過する缶蓋50は、外部から遮断された状態で搬送されるようになっている。ここで、本実施形態では、保温部14の外周面には、その全長に亙って電熱線14aが均等な巻き密度で巻き付けられており、この電熱線14aは、缶蓋50を保温する温度と略同一若しくはそれ以下の温度で発熱し、保温部14内で缶蓋50が搬送される過程において、缶蓋50の温度が低下するのを抑制できるようになっている。
また、保温部14には複数の温度センサが配設されており、保温部14の搬送方向Fにおける後端部には、この部分に位置する缶蓋50の温度を測定する第6センサ14bが配設され、また、前記搬送方向Fにおける前端部には、この部分に位置する缶蓋50の温度を測定する第7センサ14cが配設されている。これらのセンサ14b、14cは前記制御部に接続されており、これら14b、14cにより得られた温度データに基づいて、前記温風の温度や流量、スクリュー11の回転速度、および電熱線14aの発熱温度等を制御できるようになっている。
冷却部15は、保温部14を通過した缶蓋50を取り囲む第2箱体15aと、該第2箱体15aに冷風を供給する冷却ブロア15bと、第2箱体15aの内部に配設されるとともに、冷却ブロア15bと連通された第2供給部15cとを備えている。
ところで、保温部14を通過した缶蓋50は、その最外周面が、搬送方向Fに延びる複数の棒体により、周方向に所定角度ずつ間隔をあけて複数箇所で支持された状態で搬送されるようになっている。すなわち、第2箱体15aは前記棒体および缶蓋50全体を取り囲むように配設されており、この缶蓋50は第2箱体15aにより外部から遮断された構成となっている。なお、本実施形態では、第2供給部15cは、第2箱体15aの内部に2つ、互いが缶蓋50(前記棒体)を挟んで対向するように配設され、これらの第2供給部15cはそれぞれ、搬送方向Fに延在しており、缶蓋50と対向する表面に、冷却ブロア15bに連通された供給口が形成されている。この供給口は、第2供給部15cの延在方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。すなわち、第2供給部15cは、缶蓋50が第2箱体15aを通過する過程において、該缶蓋50にその径方向外方から冷却ブロア15bからの冷風を吹きかけ続けることができるようになっている。
次に、以上のように構成された缶蓋の製造装置10を用いた缶蓋の製造方法について説明する。
まず、第1箱体13aの上面に立設された供給路16から第1箱体13aの内部に缶蓋50を挿入し、スクリュー11の軸線方向上端に位置する溝11aにカール部51を支持させる。この際、スクリュー11を前記モータで回転させておくことによって、缶蓋50は、カール部51が溝11aに支持されるのと同時に、スクリュー11の軸線方向下方(搬送方向F)に向けて搬送され始める。その後、供給路16内に位置する他の缶蓋50についても順次、前記挿入、支持、および搬送が行われることにより、第1箱体13aの内部に位置する缶蓋50は、図3に示すように、互いに等間隔をあけて複数積層された状態で搬送される。なお、本実施形態では、缶蓋50同士の間隔を約4mmに設定している。
このように缶蓋50同士の間に前記間隔が設けられたことにより、第1供給部13cから第1箱体13aの内部に向けて、缶蓋50の積層方向と交差する方向に温風を供給しておくことによって、缶蓋50は、第1箱体13a内で搬送される過程で、缶蓋50の内面側および外面側の双方に同時に温風が吹きつけられる(加熱工程)。なお、本実施形態では、缶蓋50が第1箱体13a内を通過して、保温部14に搬送されるまでに、その温度が、前記第1フィルムの前記基材層のガラス転移点より高く、かつ融点より低くなるように、例えば130℃±10℃になるように、温風の温度は約180℃に設定されるとともに、缶蓋50が第1箱体13aを通過する時間は約7秒に設定されている。
次に、保温部14に搬送された缶蓋50は、図4に示すように、搬送方向Fで隣合う缶蓋50のカール部51同士が互いに当接して、複数積層された状態で、その最外周面が保温部14の内径面に支持されつつ、90秒以上の時間をかけて保温部14を通過する。すなわち、缶蓋50は、缶蓋温度が130℃±10℃とされた状態で90秒以上保温される(保温工程)。
その後、この缶蓋50は、保温部14を通過した後に、搬送方向Fで隣合う缶蓋50のカール部51同士が互いに当接して複数積層された状態で、前記棒体により前記最外周面が支持されるとともに、第2箱体15aの内部に挿入される。この際、第2供給部15cから缶蓋50に向けて、缶蓋50の積層方向(搬送方向F)と交差する方向に冷風を供給しておき、缶蓋50が第2箱体15a内を通過する過程において、径方向外方から缶蓋50に冷風を吹きかける。これにより、缶蓋50が第2箱体15aの搬送方向Fにおける前端に位置したときに、この缶蓋温度が、前記第1フィルムの前記基材層のガラス転移点より低い温度になるまで、例えば60℃以下になるまで冷却する(冷却工程)。
以上説明したように、本実施形態の缶蓋の製造方法および缶蓋の製造装置10によれば、缶蓋50を互いに等間隔をあけて複数積層した状態で、これらの缶蓋50に積層方向と交差する方向に温風を吹きかけるので、これらの缶蓋50をその数量にかかわらず、均一かつ高効率に加熱することができる。また、このように加熱された缶蓋50を互いに当接させて複数積層した状態で保温するので、互いに当接し合う缶蓋50同士の間で、前記加熱時の熱を保持させることが可能になり、缶蓋50の熱が放散されることを抑制することができる。これにより、前記フィルムの残留応力を除去するのに十分な加熱温度および加熱時間を該フィルムに付与することが可能になり、この残留応力を確実に除去することができる。
さらに本実施形態では、保温部14の外周面に、電熱線14aが巻き付けられているので、缶蓋50の温度低下を抑制することが可能になり、前記残留応力を確実に除去することができる。
以上により、フレーバー性や耐腐食性の良好な缶蓋50を確実に形成することができる。
また、前記保温工程の後に前記冷却工程を経るので、前記保温工程により前記残留応力が除去された前記フィルムを硬化することが可能になり、その後の缶蓋50の搬送途中で、前記フィルムに傷が付く等といった損傷の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、缶蓋50の搬送方向Fと交差する方向に、缶蓋50の径方向外方から、この缶蓋50に冷風を吹きかけるので、冷風が缶蓋50の表裏面全体を通過することになり、缶蓋の冷却効率を向上させることができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態では、前記冷却工程において、缶蓋50を、搬送方向Fで隣合う缶蓋50のカール部51同士が互いに当接して、複数積層した状態で搬送したが、前記加熱工程と同様に、互いに等間隔をあけて複数積層した状態で搬送してもよい。この場合、さらなる冷却効率の向上を図ることができる。
また、保温部14の内部に温風を供給したり、あるいは保温部14を形成する前記断熱材に電熱線を埋め込み、缶蓋50の保温温度を維持するようにしてもよい。
缶蓋の搬送数量にかかわらず、この缶蓋を所望の温度で加熱し、少なくとも内面側に配設されたフィルムの残留応力を確実に除去することができる。
本発明に係る一実施形態において、缶蓋の製造装置の概略図を示すものである。 図1に示す缶蓋の製造装置において、加熱部および搬送部の平面図を示すものである。 図1に示す缶蓋の製造装置において、搬送部の一部拡大側面図を示すものである。 図1に示す缶蓋の製造装置において、保温部の一部拡大断面側面図を示すものである。
符号の説明
10 缶蓋の製造装置
11 スクリュー
11a 溝
12 搬送部
13 加熱部
14 保温部
15 冷却部
50 缶蓋
51 カール部

Claims (4)

  1. 少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設された缶蓋の製造方法であって、
    前記缶蓋を互いに間隔をあけて複数積層した状態で、これらの缶蓋に積層方向と交差する方向に温風を吹きかけ、該缶蓋を加熱する加熱工程と、
    該加熱工程を経た前記缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で保温する保温工程とを有することを特徴とする缶蓋の製造方法。
  2. 請求項1記載の缶蓋の製造方法において、
    前記保温工程の後に、前記缶蓋に冷風を吹きかけ該缶蓋を冷却する冷却工程を経ることを特徴とする缶蓋の製造方法。
  3. 少なくとも内面側に配向結晶構造とされたフィルムが配設された缶蓋の製造装置であって、
    軸線回りに回転可能に支持されたスクリューが、互いの軸線が平行となるように、径方向に所定の間隔をあけて複数配設されるとともに、これらのスクリューの外周面に形成された螺旋状の溝に、缶蓋の外周に形成されたカール部を支持させた状態で、前記スクリューを軸線回りに回転することにより、前記缶蓋を、互いに間隔をあけて複数積層した状態で前記軸線方向に搬送する構成とされた搬送部と、
    前記スクリューを取り囲むように設けられ、前記複数積層された缶蓋に、前記軸線方向と交差する方向に温風を吹きかけ、これらの缶蓋を加熱する構成とされた加熱部と、
    断熱材により筒状に形成されるとともに、前記加熱部の、前記缶蓋の搬送方向における前端に連設され、内部に前記缶蓋を互いに当接させて複数積層した状態で配置し、これらの缶蓋を保温する構成とされた保温部とを備えることを特徴とする缶蓋の製造装置。
  4. 請求項3記載の缶蓋の製造装置において、
    前記保温部の前記搬送方向における前端に、前記保温部を通過した前記缶蓋を取り囲むように連設され、これらの缶蓋に冷風を吹きかける冷却部を備えることを特徴とする缶蓋の製造装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109158503A (zh) * 2018-11-08 2019-01-08 苏州斯莱克精密设备股份有限公司 多通道罐盖冲压系统

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