JP2006075821A - 土壌中重金属の除去及び回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 土壌中の重金属、例えばCdなどを超集積(ハイパーアキュムレーション)又は高吸収する植物であって、土壌中の重金属の除去回収率が向上すると共に、低コストで容易なファイトレメディエーションによる土壌中重金属の除去及び回収方法を提供する。
【解決手段】 アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いて、土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いて、土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ファイトレメディエーション法に関するものであり、特に、スズシロソウを用いて土壌中の重金属を除去及び回収する方法に関するものである。
近年、植物を用いて土壌中の重金属を除去・回収する処理方法(ファイトレメディエーション)が注目されている。このファイトレメディエーション(Phytoremediation)とは、環境汚染物質を、植物が蓄積・分解する能力を利用したレメディエーション法(汚染浄化・修復法)である。ここで、ファイト(Phyto)とは、植物のことをいう。植物による土壌中の金属除去量は、(植物の生育量)×(植物の金属含有率)で決定されることから、効率的なファイトレメディエーションのためには、植物の生育量の大きいもの、すなわちバイオマス(単位面積当たりの植物の乾物生産量)が大きく、植物の金属含有率が高いもの、すなわち金属吸収量(集積能)の高い植物を用いる必要がある。そのなかでも、ある特定の金属に対して特異的にその金属を吸収・濃縮する植物があり、通常の陸上植物が示す含有量に対して、100倍以上の該金属の含有量を有する植物を、その金属の「超集積植物(ハイパーアキュムレータープラント:Hyperaccumulator plant)」と呼んでいる。
しかし、一般的に、バイオマスの大きな植物は、金属集積能が劣る場合が多い。このため、バイオマスの大きな植物をキレート剤施用土壌に生育させ、植物による錯体吸収を利用する方法が試みられているが、元素によってはキレート剤の施用効果がほとんど認められないものや、金属錯体の流亡やキレート剤自体の毒性といったことが問題とされている。
一方、金属超集積植物(ハイパーアキュムレータープラント)は、成長が遅く小型の場合が多い。しかし、地上部の金属濃度が著しく高いため、バイオマスの大きな通常の植物を用いる方法よりも現実的との意見もある。鉱山跡地周辺には、金属元素を高濃度に集積あるいは排除する植物が存在することが知られている。これらの植物の金属耐性・集積メカニズムの解明は、栄養生理学的に興味深いばかりでなく、効率的なファイトレメディエーションに向けての遺伝子工学的応用のためにも重要である。
ヨーロッパや北アメリカでは、ファイトレメディエーションに適した植物を探索するために、様々な汚染地域で金属集積植物の調査が古くから行われており、グンバイナズナの1種でもあるThlaspi caerulescensがCd、Zn集積植物としてよく知られている。そして、この植物や金属の無毒化に関与する遺伝子を導入したトランスジェニック植物を用い、「植物地上部での金属処理能力」を向上させるための研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、上記植物を金属精錬方法で処理することが記載されている。
また、ケナフなどのアオイ科フヨウ属の植物を対象土壌で栽培することによって、この植物に重金属を吸収させた後、この植物を収穫する方法がある(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2には、収穫した植物から重金属を精製、単離することができることが記載されている。重金属を精製する方法としては、植物を焼却等により分解処理して重金属を濃縮した後、溶解等の方法により重金属を抽出する方法が挙げられている。
特表2002−530533号公報
特開2002−331281号公報
しかしながら、日本における金属超集積植物の検索報告は限られていた。また、特許文献1及び2に係る上記従来技術では、収穫した植物から重金属を精製するのに手間がかかり、コスト面で不利となる問題があった。特に、カドミウムを対象とする場合には、精製の際に回収率が低くなりやすい問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、土壌中の重金属を超集積(ハイパーアキュムレーション)又は高吸収する植物であって、土壌中の重金属の除去回収率が向上すると共に、低コストで容易なファイトレメディエーションによる土壌中重金属の除去及び回収方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いて、土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収することを特徴とする土壌中重金属の除去及び回収方法である。
請求項1にかかる発明は、アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いて、土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収することを特徴とする土壌中重金属の除去及び回収方法である。
請求項2にかかる発明は、前記重金属が、亜鉛、カドミウム、鉛、銅、及びヒ素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法である。
請求項3にかかる発明は、前記土壌が、鉱山跡地土壌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法である。
請求項4にかかる発明は、前記スズシロソウを収穫した後、このスズシロソウを金属製錬に用いる製錬炉内に供給し、この金属製錬の過程でカドミウムを回収することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の土壌中重金属の除去及び回収方法である。
請求項5にかかる発明は、前記金属製錬が、亜鉛製錬であることを特徴とする請求項4に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法である。
本発明によれば、アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いることにより、土壌中の重金属が超集積(ハイパーアキュムレーション)又は高吸収されるため、土壌中の重金属の除去回収率が向上し、かつ低コストで容易に重金属を除去及び回収することができる。
本発明の土壌中重金属の除去及び回収方法は、アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を土壌で栽培し、該土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収するものである。
本発明で使用する植物は、アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)であり、近畿以西の本州から琉球に分布する多年草である。この植物の生育環境は、人里、田畑、山地、森林、草原、礫地等の多方面に適しており、特に、岩上、急傾斜地等に生育する。花は2月の終わり頃から咲き始め、5月頃まで咲き、花と同時に根元から匍匐枝を出し、広がって群落を形成する。このスズシロソウの匍匐枝の先端もしくは葉腋部を葉と共に切断し、バーミキュライト等の培養土にさし芽をすることにより栽培することができる。多年草であるため、また、根元から匍匐枝を出すため、地上部又は花部を刈り取れば年に多数回の収穫ができ、重金属の除去回収率を向上させることができる。
本発明の対象となる土壌は、農業用地、工業用地、市街地、住宅地等のすべての土地の土壌である。重金属により人工的に高濃度に汚染された工場跡地のような土壌であっても構わないし、自然汚染の農地のような土壌であってもよい。そのなかでも、スズシロソウは岩上、急傾斜地等に生育しやすい点から、土壌中の重金属濃度の高い、鉱山跡地が好ましい。
また、本発明における重金属とは、亜鉛、カドミウム、鉛、銅、ヒ素、水銀等の重金属汚染として問題になっている金属種及びこれらの金属を含有する化合物が挙げられる。そのなかでも、亜鉛、カドミウム、鉛、銅、及びヒ素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが好ましく、超集積の点から、亜鉛、カドミウム、及びこれらの金属を含有する化合物がより好ましい。
なお、対象となる土壌には、上記重金属以外のいかなる金属が含まれていても、また含まれていなくても構わない。
なお、対象となる土壌には、上記重金属以外のいかなる金属が含まれていても、また含まれていなくても構わない。
上記土壌にスズシロソウを栽培させるには、そのままの土壌を用いてもよいし、必要に応じ土壌改良資材又は肥料等を用いて土壌環境を改変してもよい。
このような施用資材としては、アンモニウム、カリウム、リン酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム等の水溶性塩を施用することができる。具体的には、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸加里苦土、ケイ酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸カリウム、過リン酸石灰、熔成リン肥、重過リン酸石灰、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、生石灰、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム、塩化ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムや窒素、カリウム、リン等を含む配合肥料及び高度化成肥料や窒素、カリウムを含む配合肥料等が挙げられる。
この肥料は、元肥として植物に与えてもよいし、追肥として与えてもよい。
この肥料は、元肥として植物に与えてもよいし、追肥として与えてもよい。
上記土壌から重金属を除去するのに本発明で用いるスズシロソウは、天然に生育しているものを用いてもよいし、人工的に栽培させてもよい。栽培は、上記土壌に適当な時期に直接播種、移植等の方法で行うことができ、またスズシロソウの匍匐枝の先端もしくは葉腋部を葉と共に切断し、バーミキュライト等の培養土にさし芽をすることでも可能である。また、栽培は、重金属を吸収するのに適した期間で行う。
土壌中の重金属をスズシロソウに吸収、蓄積させた後、この茎及び葉を含む植物体地上部又は/及び根を含む植物体地下部を適当な方法で収穫する。さらに、収穫は、青刈りの状態で行ってもよいし、植物を枯死させ、乾燥させてから行ってもよい。
スズソロソウが吸収した重金属の量は、スズソロソウを収穫後、乾燥させ、硝酸分解し、残渣を濾過後、試料溶液として調製し、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)又はファーネス原子吸光法(AAS)等の分析法を用いて、重金属の濃度を測定することができる。
収穫したスズシロソウは、蓄積した重金属を濃縮させ、抽出・回収する。重金属を濃縮させる処理としては、例えば、乾燥処理や焼却、粉砕、融解、微生物による分解、堆肥化等の方法による分解処理等が挙げられる。そのなかでも、このスズシロソウを亜鉛製錬に用いる製錬炉内に供給し、この亜鉛製錬の過程で亜鉛及び/又はカドミウムを回収する方法が、コストと重金属の回収率の観点から、好ましい。
図1は、本発明に係る亜鉛及び/又はカドミウム回収方法に用いる亜鉛製錬方法の一例の工程図である。
ここに示す製錬方法では、まず、亜鉛原料である亜鉛精鉱(金属原料)を、製錬炉である焙焼炉で焙焼し、焼鉱を生産する。このような焙焼炉としては、ウェッジ焙焼炉、フラッシュ焙焼炉、流体焙焼炉が使用可能である。この時、亜鉛精鉱中の硫化亜鉛の一部は、焙焼により酸化され、酸化亜鉛となる。また、焙焼炉内の温度は、880〜930℃とするのが好ましい。
焼鉱中の硫黄濃度は1〜2質量%であるのが好ましい。また、焼鉱のうち、粒径の大きいものは、破砕して再び焙焼炉に供給するのが好ましい。
ここに示す製錬方法では、まず、亜鉛原料である亜鉛精鉱(金属原料)を、製錬炉である焙焼炉で焙焼し、焼鉱を生産する。このような焙焼炉としては、ウェッジ焙焼炉、フラッシュ焙焼炉、流体焙焼炉が使用可能である。この時、亜鉛精鉱中の硫化亜鉛の一部は、焙焼により酸化され、酸化亜鉛となる。また、焙焼炉内の温度は、880〜930℃とするのが好ましい。
焼鉱中の硫黄濃度は1〜2質量%であるのが好ましい。また、焼鉱のうち、粒径の大きいものは、破砕して再び焙焼炉に供給するのが好ましい。
収穫した植物(スズシロソウ)は、この工程において、亜鉛精鉱と共に焙焼炉内に供給する。上記植物は、あらかじめ乾燥させておくのが好ましい。この工程では、焙焼炉内に供給されたスズシロソウに含まれる有機物等が熱分解され、土壌から吸収・蓄積した重金属を含有する焼鉱が得られる。
また、スズシロソウを焙焼炉内に供給する際には、これを焙焼炉内の亜鉛精鉱表面(上面)の少なくとも一部(好ましくはほぼ全面)を覆うように供給するのが好ましい。この操作を行うことで、亜鉛精鉱を保温し、焙焼炉の加熱効率を高めることができ、加熱コストを削減することができる。
次いで、上記焼鉱を中性浸出槽において、後述する電解尾液(硫酸等)を用いて浸出処理し、亜鉛を含む浸出液である中性液に処理する。この処理方法としては、単式浸出法、複式浸出法、逆浸出法が挙げられる。
この工程では、MnO2を用いてFeを酸化し、Fe(OH)3として沈殿させると共に、As、Sbも共沈させ、これらを溶解残渣と共に濾過により除去する。
この工程では、MnO2を用いてFeを酸化し、Fe(OH)3として沈殿させると共に、As、Sbも共沈させ、これらを溶解残渣と共に濾過により除去する。
次いで、浸出工程で得られた中性液(亜鉛含有浸出液)は、第一浄液槽に供給される。
この第一浄液槽に、亜鉛末、亜ヒ酸等を添加し、中性液中のCu、Ni、Co等の不純物を第一浄液渣として除去する。
その後、第一浄液槽を経た中性液は、第二浄液槽に供給される。この第二浄液槽に、さらに亜鉛末を添加して、カドミウムを第二浄液渣として置換析出する。
なお、ここでは2段階の工程(第一及び第二浄液槽)を有する浄液工程を例示したが、浄液工程は3段階以上としてもよい。
この第一浄液槽に、亜鉛末、亜ヒ酸等を添加し、中性液中のCu、Ni、Co等の不純物を第一浄液渣として除去する。
その後、第一浄液槽を経た中性液は、第二浄液槽に供給される。この第二浄液槽に、さらに亜鉛末を添加して、カドミウムを第二浄液渣として置換析出する。
なお、ここでは2段階の工程(第一及び第二浄液槽)を有する浄液工程を例示したが、浄液工程は3段階以上としてもよい。
置換析出したカドミウムを含む第二浄液渣は、カドミウム製錬工程に送られ、第二浄液渣からカドミウムが回収される。カドミウムの製錬には、従来公知の方法を用いることができる。
一方、第二浄液槽を経た浄液は、電解槽に供給され、亜鉛を電解採取する。得られた電解亜鉛は低周波電気炉で溶融され、亜鉛が回収される。なお、この時、電解槽で用いられた電解尾液(硫酸等)は、前記浸出工程における中性浸出槽に供給され、再利用される。
上記亜鉛及び/又はカドミウム除去及び回収方法によれば、スズシロソウを焙焼炉に供給し、製錬の過程(焙焼、浸出、浄液、亜鉛製錬、カドミウム製錬)で亜鉛及び/又はカドミウムを除去及び回収するので、既存の製錬方法をそのまま利用することができ、低コストで、かつ容易に亜鉛及び/又はカドミウムを除去及び回収することができる。
また、原料(亜鉛精鉱)由来のカドミウムのうち多くの部分が焼鉱、中性液を経て浄液渣に移行するため、上記スズシロソウを亜鉛製錬工程に供給することにより、スズシロソウ中のカドミウムを、原料(亜鉛精鉱)由来のカドミウムと共に回収することができる。
また、このような簡単な操作で、スズソロソウ由来の亜鉛及び/又はカドミウムを回収することができるため、亜鉛及び/又はカドミウム回収コストを抑えると共に回収率を高めることができる。
また、原料(亜鉛精鉱)由来のカドミウムのうち多くの部分が焼鉱、中性液を経て浄液渣に移行するため、上記スズシロソウを亜鉛製錬工程に供給することにより、スズシロソウ中のカドミウムを、原料(亜鉛精鉱)由来のカドミウムと共に回収することができる。
また、このような簡単な操作で、スズソロソウ由来の亜鉛及び/又はカドミウムを回収することができるため、亜鉛及び/又はカドミウム回収コストを抑えると共に回収率を高めることができる。
なお、本実施形態では、亜鉛製錬の製錬炉を用いた方法を説明したが、これに限定されることはなく、例えば、銅製錬、鉛製錬または錫製錬の製錬炉を用いても良い。この場合には、Cd含有土壌で栽培した植物を上記製錬炉内に供給し、植物中のCdを、銅、鉛、または錫を含む製錬物に移行させ、電解工程で製錬物から銅、鉛、または錫を分離する際に、Cdを回収する方法をとることができる。
また、上記銅、鉛、または錫の製錬過程では、Cdを排ガス中に移行させ、排ガスをスクラバーで処理する際にCdを回収する方法をとることができる。
製錬炉で分離されたスラグ中に移行したCdは、塩素または塩化物とともにロータリーキルンに供給し、ここで塩化揮発法を利用して分離することもできる。
また、銅、鉛または錫の製錬過程で発生したCd含有物を亜鉛製錬の製錬炉に投入して上述したようにCdを回収してもよい。この場合には、植物に含有された銅、鉛または錫を製錬炉にて回収するとともにCdを回収できるので好ましい。
製錬炉で分離されたスラグ中に移行したCdは、塩素または塩化物とともにロータリーキルンに供給し、ここで塩化揮発法を利用して分離することもできる。
また、銅、鉛または錫の製錬過程で発生したCd含有物を亜鉛製錬の製錬炉に投入して上述したようにCdを回収してもよい。この場合には、植物に含有された銅、鉛または錫を製錬炉にて回収するとともにCdを回収できるので好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1〜3]
重金属を高濃度で含むW地点(実施例1)、X地点(実施例2)、Y地点(実施例3)の土壌に生育するスズシロソウを採取し、乾熱器で80〜90℃で1日乾燥し、50〜60℃で2〜3日乾燥させた後、ミキサーにかけ、粉末状とした。
この粉末0.5gに硝酸10mlを加え、マイクロ波加熱分解後、50ml容メスフラスコにて定容した。5Cの濾紙を用いて濾過し、Zn、Cuの量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析し、また、Cd、Pb、Asの量をファーネス原子吸光法(AAS)にて測定した。また、スズシロソウの生育していた土壌も採取し、この土壌中の重金属量も同様に測定した。
実施例1の結果を表1に、実施例2の結果を表2に、実施例3の結果を表3に、各々示す。
重金属を高濃度で含むW地点(実施例1)、X地点(実施例2)、Y地点(実施例3)の土壌に生育するスズシロソウを採取し、乾熱器で80〜90℃で1日乾燥し、50〜60℃で2〜3日乾燥させた後、ミキサーにかけ、粉末状とした。
この粉末0.5gに硝酸10mlを加え、マイクロ波加熱分解後、50ml容メスフラスコにて定容した。5Cの濾紙を用いて濾過し、Zn、Cuの量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析し、また、Cd、Pb、Asの量をファーネス原子吸光法(AAS)にて測定した。また、スズシロソウの生育していた土壌も採取し、この土壌中の重金属量も同様に測定した。
実施例1の結果を表1に、実施例2の結果を表2に、実施例3の結果を表3に、各々示す。
[比較例1〜3]
重金属を高濃度で含むW地点(実施例1)の土壌に生育するイワヒメワラビ、X地点(実施例2)の土壌に生育するツユクサ、Y地点(実施例3)の土壌に生育するショウジョウスゲを各々採取し、実施例1と同様の方法で、植物体中及び土壌中の重金属量を測定した。
比較例1の結果を表1に、比較例2の結果を表2に、比較例3の結果を表3に、各々示す。
重金属を高濃度で含むW地点(実施例1)の土壌に生育するイワヒメワラビ、X地点(実施例2)の土壌に生育するツユクサ、Y地点(実施例3)の土壌に生育するショウジョウスゲを各々採取し、実施例1と同様の方法で、植物体中及び土壌中の重金属量を測定した。
比較例1の結果を表1に、比較例2の結果を表2に、比較例3の結果を表3に、各々示す。
表1〜3の結果から、スズシロソウの根近傍土壌中のZn、Cd含有量は、他の植物の場合と比較して著しく高く、また、植物体/土壌で表されるZn、Cd含有率の比も、調査した植物中で最も高い値を示し、スズシロソウはZn、Cdを良好に吸収・蓄積することがわかった。また、Pb、Cu、Asについても、スズシロソウは他の植物よりも効率よく吸収・蓄積することがわかった。
図2は、実施例及び比較例の植物の金属含有率(μgkg−1)を対数変換した値を示すグラフである。このグラフでは、横軸は植物種を示し、アルファベットは異なる採取地点(W地点、X地点、Y地点)を示す。また、縦軸は測定した元素濃度を対数で示したものである。通常、陸上植物が示す金属含有率に対して100倍以上の含有率を有する植物を、その金属の超集積植物と呼ぶ。そこで、図2では、Bowen,H.J.M.(Environmental Chemistry of the Elements,Academic Press Co., Ltd.,London,1979)の報告に基づいて、陸上植物の金属含有率の中央値を求め、その100倍に相当する値を、図2中の破線で示し、Bowenの報告する陸上植物に対する濃度範囲を、図2中の網掛け部分で示した。
図2によれば、スズシロソウは、Zn、Cdに対して、超集積植物であり、また、Pb、Cu、Asに対しても高吸収であることが確認された。
Claims (5)
- アブラナ科ハタザオ属スズシロソウ(Arabis flagellosa)を用いて、土壌中の重金属を吸収、蓄積させた後、これを収穫し、前記土壌中の重金属を回収することを特徴とする土壌中重金属の除去及び回収方法。
- 前記重金属が、亜鉛、カドミウム、鉛、銅、及びヒ素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法。
- 前記土壌が、鉱山跡地土壌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法。
- 前記スズシロソウを収穫した後、このスズシロソウを金属製錬に用いる製錬炉内に供給し、この金属製錬の過程でカドミウムを回収することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の土壌中重金属の除去及び回収方法。
- 前記金属製錬が、亜鉛製錬であることを特徴とする請求項4に記載の土壌中重金属の除去及び回収方法。
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