JP2006072016A - オートフォーカス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジャストピント位置での周辺画像の鮮鋭度を向上させるオートフォーカス装置を提供する。
【解決手段】被写体像からの入射光をフォーカスレンズ1を介して撮像素子7に入射させ光電変換された映像信号電圧S2を得る。この映像信号電圧S2から所定高域周波数の焦点電圧Eを検出し、制御回路3によりパルスモータ2を介してフォーカスレンズ1を駆動し、最大焦点電圧の得られる位置にフォーカスレンズ1を移動させる(ジャストピント位置)。次いで制御回路3は、予め補正データ13に記憶されているズーム位置に対応したメリジオナル方向の光線による像点の最大コントラスト値が得られるディフォーカス量を参照し、このディフォーカス量から位置補正値を演算で得てパルスモータ2を再度駆動してフォーカスレンズ1の位置を微小補正することで画像の鮮鋭度を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明はオートフォーカス装置に係り、特にCCD等の撮像素子より得られる映像信号から高域周波数成分を焦点電圧として抽出し、その焦点電圧が最大レベルになるように自動的にピント合わせを行うオートフォーカス装置に関する。
従来から、撮像素子より得られる映像信号に含まれる高域周波数成分を焦点電圧として抽出し、この焦点電圧が最大レベルになるようにフォーカスレンズを移動させ、ジャストピント(合焦)位置に調節するオートフォーカス装置が良く知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
これらのオートフォーカス装置では、2点での焦点電圧を逐次レベル比較して焦点電圧の大小関係でピントずれの有無とレンズ移動方向を検出することによりレンズを移動させるいわゆる山登りサーボ方式として知られた方式が多く使われている。
一般に上記のようなオートフォーカス方式により得られるジャストピント位置は近軸光線(光軸に極めて接近しほぼ光軸に平行な光線)の結像位置から若干ずれた位置にあり、このようなオートフォーカス方式により得られたジャストピント位置と近軸光線の結像位置との差はディフォーカス量と呼ばれている。
特開昭62−299923号公報 NHK技術研究報告、第17巻第1号(通巻第86号1965年)、21頁
前記のごとく、一般にオートフォーカス方式でのジャストピント位置は近軸光線の結像位置から若干ずれた位置になるが、実際には焦点電圧を抽出する高域周波数の選択や画面の中央部分の焦点電圧を用いること等によりディフォーカス量はほぼ0に近くなっている場合が多い。
しかし、本発明者の観察によると、撮影画面周辺部の細かな絵柄の鮮鋭度を主眼としたときは、ディフォーカス量は0ではなく若干ずらした方がむしろ全体に鮮鋭度の良い画像が得られることが分かった。この理由は、ディフォーカス量が0の場合には光軸から離れてレンズを通った光線のメリジオナル方向(子午線方向。主光線と光軸とを含む平面の方向)のコントラストが著しく低下するためである。
したがって、従来のオートフォーカス方式でのジャストピント位置は、中央のピントは合っていても周辺ではメリジオナル方向のコントラストが低下しているために、全体のコントラストバランスが悪く、そのため細かな絵柄では鮮鋭度の良くない状態で撮影が行われているのである。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、オートフォーカス方式でのジャストピント位置での周辺部画像の鮮鋭度を向上させるために、メリジオナル方向の光線による像のコントラストを改善して全体のコントラストバランスをとり、これにより細かな絵柄の鮮鋭度の良好な画像を得ることにある。
本発明は、上記課題を解決する手段として以下に記載の構成からなる。すなわち、
被写体像からの入射光が入射する方向にズーム系レンズ、フォーカスレンズが順番に配列された光学系を介して撮像素子に入射させ、前記撮像素子で光電変換された映像信号電圧に基づいて、前記フォーカスレンズを光軸上で移動させるオートフォーカス装置において、
前記映像信号電圧から所定の高域周波数の焦点電圧を検出する焦点電圧検出手段と、
前記焦点電圧検出手段で検出された焦点電圧に基づいて、最大焦点電圧が得られる位置に前記フォーカスレンズを移動させるオートフォーカス手段と、
前記光学系のコントラスト再現度特性を記憶する補正データ記憶手段と、
前記ズーム系レンズのズーム位置に対応した前記コントラスト再現度特性を参照して、ピント位置の補正値を得る演算手段と、
前記補正値を用いて、前記フォーカスレンズの位置を制御して、前記被写体像のコントラストを向上させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするオートフォーカス装置。
オートフォーカス装置のジャストピント位置を補正することで、画面周辺部のメリジオナル方向の光線による像のコントラストが改善でき、これにより画面全体のコントラストバランスが向上して細かな絵柄の鮮鋭度の良い画像が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面と共に説明する。
図1は本発明に係るオートフォーカス装置の一実施例を示すブロック図、図2は焦点電圧の変化を示す図、図3はオートフォーカスの動作を説明する図、図4はディフォーカスが−0.02mmの時のレンズ性能を示すMTF(Modulation Transfer Function:コントラスト再現度)曲線図、図5はディフォーカスが0の時のMTF曲線図、図6はディフォーカスが0.02mmの時のMTF曲線図である。
第1図において、このオートフォーカス装置はズーム系レンズ5とアイリス(絞り)4及びフォーカスレンズ1とから構成された光学系6を備えている。そして、上記フォーカスレンズ1をパルスモータ2によって光軸方向(矢印A方向)の所定方向に移動させることによりフォーカシングを行なうようになっていると共に、このフォーカスレンズ1はオートフォーカシング開始と同時に移動されるようになっており、このフォーカスレンズ1の移動距離は、上記光学系6内に設けられた位置センサ(図示せず)にて検出され位置情報S1(A)として制御回路3に供給されるようになっている。同じく、上記ズーム系レンズ5についてもズーミングの位置を位置センサ(図示せず)が検出し位置情報S1(B)として制御回路3に供給されるようになっている。
また、上記光学系6を介して入射される被写体からの撮像光は、本実施例における撮像手段であるCCD(電荷結合素子)等を用いた撮像素子7にて電気的な映像信号S2に光電変換される。そして、この映像信号S2は増幅器8にて増幅されて図示しない記録回路等に供給されると共に、AGC(自動利得制御回路)9を介してBPF(バンドパスフィルタ)10に供給される。このBPF10は、上記映像信号S2から所定の高域成分を抽出してDET(検波器)11に供給する。そして、このDET11にて上記映像信号S2の所定の高域成分に対応する第2図に示す如き焦点電圧Eが得られる。
ここで、この焦点電圧Eは上記映像信号S2の画像の精細度に対応するものであり、上記フォーカスレンズ1がジャストピント位置Pにあるときに最大となる。上記焦点電圧Eは、A/D(アナログ−デジタル変換器)12にてデジタル化されて上記制御回路3に供給される。そして、この制御回路3は、上記フォーカスレンズ1の光軸方向への移動に伴なう焦点電圧Eをフォーカシング開始から1フィールド毎に順次サンプリングする。
次に、この制御回路3は、順次サンプリングされる各焦点電圧を逐次レベル比較して差分電圧ΔEを算出し、この差分電圧ΔEのレベルの大小及び符号変化を検出することによりジャストピント位置Pを検出する。
そして、この制御回路3は、この検出結果に基づいて所定パルス数のパルス信号を制御信号S3として前記パルスモータ2に供給しこれを回転駆動させる。これにより前記フォーカスレンズ1はジャストピント位置Pに近づいて行く。
次に、上記構成のオートフォーカス装置において、ジャストピント位置に到達する過程を、図3を用いて説明する。図3に示す数字はオートフォーカス動作の順序である。
まず、(1)からスタートする。まず任意の方向にフォーカスレンズを動かす。
次いで、(2)は方向検出を行い、一定以上電圧が下がったら逆転する。
次いで、(3)は山登り期間で、2点の電圧を比較し頂上に向かって山登りを続ける。
次いで、(4)頂上検出を行う。一定以上電圧が下がったら高い電圧位置を頂上と判断し、
次いで、(5)フォーカスレンズを頂上に戻し合焦位置として、オートフォーカスの動作を固定する。なお、この後被写体が移動したり、カメラを動かすことで焦点電圧が一定以上下がった場合には再度オートフォーカス動作を開始する。
次に、ジャストピント位置が求められた後に行うフォーカスレンズの位置補正について説明する。
本実施例で用いる光学系6は、一例として、1/6インチCCD用10倍ズーム、F1.8のレンズであり、図4ないし図6はこのレンズのズーム位置がワイドミドル(広角側の中央)におけるMTF曲線図である。
これらのMTF曲線図において、横軸は空間周波数(本/mm)、縦軸はコントラスト(%)を表し、実線aは像高0(画面中心)の、破線b及びcは7割像高(イメージサークルの半径を10としたときのレンズ中心から7の高さ)のMTF曲線であり、破線bはサジタル方向(主光線を含みメリジオナル平面に垂直な平面の方向)、破線cはメリジオナル方向のMTF曲線である。
なお、像高0のときはサジタル方向とメリジオナル方向のMTF曲線が一致しているので図示していない。
なお、メリジオナル方向とサジタル方向の用語について、図7を用いて簡単に説明する。図示したようにメリジオナル方向は主光線と光軸とを含んだ平面の方向で、この図では垂直の面として描かれている。サジタル方向は主光線を含んでメリジオナル面と直交する面の方向で、この図では水平の面として描かれている。レンズを通った両方向の光線は夫々結像する。この図では夫々の結像点の位置がずれている状態を表している。
ここで、図4はディフォーカス量−0.02mmの場合、図5はディフォーカス量0の場合、図6はディフォーカス量0.02mmの場合のMTF曲線図である。なお、ディフォーカス量は近軸光線の結像位置からの距離を表し像側へのずれを正にとっている。
各図を比較すると、ディフォーカス量0の図5では、像高0(実線a)のコントラストは高いのであるが、7割像高のメリジオナル方向(破線c)のコントラストがかなり低くなり性能的に問題であるといえる。
さらに、図6においては、7割像高のメリジオナル方向(破線c)のコントラストは一段と悪化している。
一方、ディフォーカス量−0.02mmの図4では、像高0(実線a)のコントラストは図5、図6に比べ低くなるが7割像高特にメリジオナル方向(破線c)のコントラストが高くなり全体のコントラストバランスが改善されているといえる。
前記したように、オートフォーカスのジャストピント位置の検出は、高域周波数のコントラスト成分(焦点電圧)による山登り曲線の頂上を検出しているが、本実施例ではこの高域周波数として46本/mmに相当する高域周波数のコントラスト成分を検出に使用している。この場合のジャストピント位置のディフォーカス量を光学系6の諸スペックと前記高域周波数等の値を使ってシミュレーションにより求めると−0.007mmであった。
この値は前記ディフォーカス量0の図5に近いMTF曲線であると考えられる。したがって、この状態では7割像高のメリジオナル方向のコントラストがかなり低い状態で使われていることになり改善の余地がある。
ここで、ジャストピント位置が確定した後でディフォーカスの量が−0.02mmとなるようにフォーカスレンズ1を移動させれば、7割像高のメリジオナル方向のコントラストを高くし全体のバランスをとることができることになる。このときジャストピント位置のディフォーカスの量をΔ0、最適ディフォーカスの量をΔSとすれば、補正量Δは、
Δ=ΔS−Δ0=−0.02+0.007=−0.013(mm)・・・(1)
となる。すなわち、0.013mm像側にフォーカスレンズ1を移動すれば良い。
図1に戻り上記フォーカスレンズ1の位置補正の具体的方法を説明する。
前記図3を用いて説明したようにしてジャストピント位置が確定するとオートフォーカスの制御は一旦停止する。
ここで制御回路3は、光学系6から入力されたズーム系レンズ5の位置情報S1(B)を用いて、補正データ13に記憶されているMTF曲線データから対応する最適ディフォーカスの値を参照する。
制御回路3はこの最適ディフォーカスの値と固有のジャストピント位置のディフォーカス量とから上記演算式による補正量を算出し、次いで、この補正量に応じてパルスモータ2に所定パルス数のパルス信号を制御信号S3として供給しフォーカスレンズ1を再度移動させる。
このようにしてフォーカスレンズ1の位置補正が行われる。
なお、補正データ13には予めシミュレーションにより求められたズーム系レンズ5の各ズーム位置に対するMTF曲線のデータが記憶されており、上記の場合には、位置情報S1(B)における7割像高のメリジオナル方向のMTF曲線からコントラストの最大値が得られるディフォーカスの量を参照することになる。
以上の本発明のオートフォーカス動作によって、被写体にピントが合うと共に、若干のピント位置補正により画面中央から離れた位置におけるメリジオナル方向の光線による像のコントラストが向上し、これにより鮮鋭度の高い画像を得ることができる。
なお、本実施例ではズーム系レンズ5の位置情報S1(B)に基づいて補正を行っているが、更に光学系6のアイリス4の絞りF値や位置情報S1(A)を用いて被写体までの距離を算出し、これらに応じて上記最適ディフォーカスの値を微小修正することでコントラストバランスをより向上させることが可能である。
本発明に係るオートフォーカス装置の一実施例を示すブロック図である。 焦点電圧の変化を示す図である。 オートフォーカスの動作を説明する図である。 ディフォーカスが−0.02mmの時のMTF曲線図である。 ディフォーカスが0の時のMTF曲線図である。 ディフォーカスが0.02mmの時のMTF曲線図である。 メリジオナル方向とサジタル方向を模式的に示した図である。
符号の説明
1・・・フォーカスレンズ
2・・・パルスモータ
3・・・制御回路
4・・・アイリス(絞り)
5・・・ズーム系レンズ
6・・・光学系
7・・・撮像素子
8・・・増幅器
9・・・AGC(自動利得制御回路)
10・・・BPF(バンドパスフィルタ)
11・・・DET(検波器)
12・・・A/D(アナログ−デジタル変換器)
13・・・補正データ

Claims (1)

  1. 被写体像からの入射光が入射する方向にズーム系レンズ、フォーカスレンズが順番に配列された光学系を介して撮像素子に入射させ、前記撮像素子で光電変換された映像信号電圧に基づいて、前記フォーカスレンズを光軸上で移動させるオートフォーカス装置において、
    前記映像信号電圧から所定の高域周波数の焦点電圧を検出する焦点電圧検出手段と、
    前記焦点電圧検出手段で検出された焦点電圧に基づいて、最大焦点電圧が得られる位置に前記フォーカスレンズを移動させるオートフォーカス手段と、
    前記光学系のコントラスト再現度特性を記憶する補正データ記憶手段と、
    前記ズーム系レンズのズーム位置に対応した前記コントラスト再現度特性を参照して、ピント位置の補正値を得る演算手段と、
    前記補正値を用いて、前記フォーカスレンズの位置を制御して、前記被写体像のコントラストを向上させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とするオートフォーカス装置。

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