JP2006069826A - カレットを原料としたガラス短繊維及びその製造方法 - Google Patents

カレットを原料としたガラス短繊維及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
耐熱性ガラスをカレット原料として用いた場合に安定な操業を可能とするガラス短繊維及びその製造方法の提供。
【解決手段】
重量%で、SiO を55%以上70%以下、Al を1%以上4%未満、B を1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まず、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1300℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるガラス短繊維。
【選択図】 図1

Description

本発明はガラス短繊維及びその製造方法に関するものであり、特にPDP基板等に用いられる耐熱性ガラスからなるガラスカレットをリサイクル使用するガラス短繊維及びその製造方法に関するものである。
従来、ガラス繊維の原料としてリサイクルカレットが多量に使用されている。リサイクルカレットとは廃棄板ガラス、使用後のガラスビンなどを回収、粉砕したもので、それを原料として80〜90%使うことにより廃棄物を減らすことができ、資源を有効に利用できる。またリサイクルカレットを原料を使用することはコストの面からも有利である。
しかし将来その使用量が増加すると予想される耐熱性ガラス、例えばパイレックス(登録商標)等の耐熱性ホウ珪酸ガラスやプラズマディスプレイパネル(以下PDP)用基板ガラス、液晶ディスプレイ(以下LCD)用基板ガラスなどは、その組成に起因する問題が生じやすく、ガラス繊維の原料カレットとして使用することが困難であった。すなわち、軟化点、歪点が高くなるよう成分、組成が定められていることから、ガラス繊維を製造する過程において、より高温、長時間での溶融が必要になるという溶解性の問題、添加成分によっては成型加工の過程において失透を生じやすくなるという失透性の問題及び粘性が高く成形性が悪くなるという問題が生じることがあった。溶解性については、上記の耐熱性ガラスのように軟化点が750℃以上であるガラスのカレットをガラス繊維の原料としてガラス繊維を製造しようとすると、通常のガラス繊維製造に用いられる条件では耐熱性ガラスのカレットが完全に溶解せずに未溶解異物が生じて繊維形成を阻害することがある。失透性についても、繊維用ガラスの組成によりデビトライトもしくはウォラストナイト等の結晶異物が生じやすくなることがある。そしてガラスの軟化点、歪点が高いということはすなわち高い粘性を示すということであるから、ガラス繊維形成工程において通常求められる粘性の範囲を超えれば当然に成形性が阻害される。
このようなガラスをリサイクルカレットとして再利用することが可能になれば、資源の有効利用にも貢献でき、コスト面でも有利になることが予想される。特に、純度の高いB原料は高価であり、耐熱性ホウ珪酸ガラスガラスなどのBを含むガラスは安価なB源として有用である。
また本発明の硝子組成物は遠心法によって短繊維に成型することができる。遠心法による短繊維成型工程においては、硝子調合原料を溶融し、得られた溶融ガラスを回転する遠心スピナーの内部に供給する。スピナーには多数の小孔が備えてあり、ガラスは遠心力により射出され、ガス流により延伸される。ここで溶融ガラス中に結晶異物が存在すると、スピナーの小孔が塞がれて詰まるという問題が生じやすい。スピナーの小孔を塞ぎ詰まらせてしまう結晶の生成を防ぐには、ガラスの失透温度は作業温度より下でなければならない。
例えば公開特許公報昭61−21993号の記載によれば、揮発成分であるB及びフッ素を導入することにより、優れた粘度特性及び耐失透性を達成するガラス繊維が開示されている。具体的には粘度1000ポイズになる温度は1100℃以下、失透温度は980℃以下、粘度1000ポイズになる温度と失透温度との差は100℃以上である。しかし揮発成分であるフッ素の使用は環境を汚染するため好ましくなく、またPやZnOも揮発成分であり溶融炉の寿命を縮める原因となり得るため好ましくない。一方、フッ素を含有しない繊維用ガラスとしては特許公報2588360号に開示されているものがあるが、示された実施例は揮発成分であるBを5重量%以上含み、コストが高くなるため好ましくない。また特許公報3002787号に開示されているガラスはフッ素を含まずBの含有量も少量であるが、実施例に示されたガラスのCaO含有量は16.5重量%と多く、Alを含まない。実際にこの実施例組成の試料を作製して評価したところ、1099℃と非常に高い失透温度を示した。このように高い失透温度を示すガラスを用いてガラス短繊維を製造することは、一般に困難である。
特許公開公報昭61−21993号 特許公報2588360号 特許公報3002787号
本発明は、繊維用ガラスと比較してより高い粘性を示しまた200℃近く高い失透温度を示すPDP基板用高歪点ガラスや、同じく高い粘性を示す耐熱性ホウ珪酸ガラスガラス、LCD用基板ガラスなど、今後その使用量が増加すると予想される耐熱性ガラスをカレット原料として用いた場合に安定な操業を可能とするガラス組成、そのガラス組成を有するガラス短繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の各種耐熱性ガラスのカレットを原料とした場合、通常のガラス繊維製造に用いられる条件では耐熱性ガラスのカレットが完全に溶解せずに未溶解異物が生じて繊維形成を阻害するという問題がある。本発明者らは一般にガラスを微粒化することによりその溶解性が改善されることに着目し、耐熱性ガラスのカレットを粉砕することにより繊維用ガラス原料として利用する可能性を検討した。その結果、耐熱ガラスをのカレットをある程度粉砕することにより、以下の組成からなるガラス短繊維を実用的な製造条件下で製造できることを見出した。
すなわち、重量%で、SiO を55%以上70%以下、Al
を1%以上4%未満、B を1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まず、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1300℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるガラス短繊維である。また、この組成範囲のガラスは、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1300℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上である。
また、前記組成範囲のうちSrOを10%以下、BaOを1%以下含むようにすると、ガラス短繊維の製造を行う上でより好ましいことを見出した。
さらに、前記ガラス組成範囲のうち、失透温度が950℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1200℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上となる範囲を用いればその繊維成型工程においてより好ましいことも判明した。
前記のように、耐熱ガラスカレットを粉砕することにより繊維用ガラスの原料として使用できるようになるが、特に、粉砕して目開き31.5mmのふるいを通過した微粒のみをガラス繊維の原料として使用すれば溶解性が向上し、より好ましいガラス繊維の製造方法となる。
ここで、粉砕されたカレットの粒度は小さい程好ましいが、より小さい粒度のカレットのみを得るためには粉砕及び分粒の工程を経る必要があり、分コストが高くなるという欠点があり、必要以上に細かくしてもコストが高くなるだけである。そこで、ガラス繊維の製造方法としては、溶解性とコストの双方を考慮して目開き22.4mmのふるいを通過したガラスを使用することが最も好ましい。
前記のようにカレットを粉砕することによって、軟化点750℃以上のガラスが重量%でSiO
50%以上85%以下、Al を20%以下、B を20%以下、NaOを10%以下、KOを15%以下、CaOを15%以下、MgOを10%以下、SrOを15%以下、BaOを15%以下及びZrO を10%以下を含むガラス組成物であれば、原料中の1%以上のカレットを使用してがr巣繊維を製造することが可能になる。
同様に、重量%で、軟化点750℃以上のガラスが重量%でSiOを50%以上68%以下、Alを15%以下、NaOを10%以下、KOを15%以下、CaOを15%以下、MgOを10%以下、SrOを15%以下、BaOを15%以下及びZrOを10%以下を含むガラス組成物であれば、そのカレット使用量を増加してガラス繊維を製造することも可能になる。
さらに、生成物が重量%でSiOを55%以上70%以下、Alを1%以上4%未満、Bを1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まず、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1350℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるガラス短繊維の製造方法も好ましい製造方法として挙げられる。
そして、以上のべた製造方法に関して、失透温度が950℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1150℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であれば最も好ましい。
以上詳述した通り、本発明によれば、耐熱性ガラスカレットを原料としてリサイクル使用することで、環境への負荷を低減し、安価で、安定操業が可能なガラス短繊維が得られる。
本発明は、重量%で、SiO を55%以上70%以下、Al
を1%以上4%未満、B を1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まない組成からなるガラス短繊維である。上記組成範囲で任意に決定した組成のガラスを作製し失透温度を測定すると、失透温度は1100℃付近であり、従来の繊維用ガラスよりも200℃近く高い。しかし上記ガラスを原料の一つとして、従来の繊維用ガラスに使用したところ、上記ガラスカレット濃度の増加に伴い失透温度が低下することを見出した。これは失透の原因である結晶相に起因する。上記ガラスの失透原因の結晶はディオプサイドであり、繊維用ガラスの失透原因の結晶はデビトライトもしくはウォラストナイトである。上記ガラスをカレット原料として繊維用ガラスに使用してもディオプサイドは析出せず、失透原因はデビトライトもしくはウォラストナイトである。これにより、失透温度の高い上記ガラスをカレット原料として使用しても、失透温度が上がることはなく、また、アルカリ土類の影響により失透温度は下がる。
耐熱性ガラスのカレットを粉砕することにより、耐熱性ガラスのカレットを原料として好適にガラス繊維を製造形成することが可能になるが、目開き31.5mmのふるいを通過したもののみをガラス繊維の原料として使用すれば溶解しやすくなってガラス繊維の製造により好ましい。粉砕されたカレットの粒度は小さい程好ましいが、より小さい粒度のカレットのみを得るためには粉砕及び分粒の工程を経る必要があり、分コストが高くなるという欠点があるため、溶解性、コストの両面から目開き22.4mmのふるいを通過したガラスを使用することが最も好ましい。
本発明において、ガラス短繊維の好ましい組成範囲を決定した理由は次の通りである。
SiOはガラスの骨格を形成する成分であり、その量は他の成分の量との関係で決定されるが、70%を超えると粘性が増大し、また失透温度も上昇する。
Alは適量をガラスに含有成分とすることでシリカ系失透の生成を抑制することができ必須成分であるが4%を超えると失透温度が上昇し、粘性も増大するので、1〜4%が望ましい。
は溶融性を向上させるために必要であるが、揮発成分のため量が増大すると溶融炉の寿命を縮め、また原料コスト増を招くため1%以上4%以下が望ましい。
NaOはガラスの溶融を助ける成分であるが、量が増大すると粘性が低下し作業温度と失透温度の差が小さくなるため、10%以上20%以下が望ましい。
Oはガラスの溶融を助ける成分であるが、量が増大すると原料コスト増を招き、また粘性が低下し作業温度と失透温度の差が小さくなるため、0.9%以上10%以下が望ましい。
MgOはガラスの溶融を助け、失透温度を下げる役目も果たす。しかしMgOの量が増大すると、失透温度が上昇するため0.1%以上10%以下が望ましい。
CaOはガラスの溶融を助ける成分であるが、12%を超えると失透温度が上昇するため、1%以上12%以下が望ましい。
SrO、BaOは溶解性向上に有効であるが、量が増大すると比重が大きくなり、また原料コスト増を招くため、SrOとBaOの含有量の合計について(SrO+BaO)=0.1〜12%が望ましい。
ZrOは量が増大すると原料コスト増を招き、またガラスの粘度を高め溶解性が低下するため10%以下が望ましい。
は揮発成分であり、環境を汚染するため好ましくない。Fを実質的に含まずとは、0.5%以下である。
、ZnOは揮発成分であり、溶融炉の寿命を縮めるため好ましくない。P、ZnOを実質的に含まずとは、0.1%以下である。
失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1300℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であれば、作業温度にて失透が生成することなく、ガラス短繊維の製造が可能である。しかし炉の寿命やコスト、安全などを考慮に入れると、作業温度は低いほうが望ましく、失透温度が950℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1200℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるほうが、より好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
粉砕した原料カレット(板ガラスカレット、瓶ガラスカレット、PDP用基板ガラスカレット、耐熱性ホウ珪酸ガラスガラスカレット、LCD用基板ガラスカレット、任意組成の実験用カレット)及びバッチ原料(長石、ボラックス、ソーダ灰、珪砂)を秤量後、ポリ袋に入れ混合したものを各サンプルの原料とした。各サンプルの原料を白金るつぼに入れ、カンタル炉中で温度1350℃で4時間保持して溶融した。途中1.5時間経過した時点で融液を攪拌した。得られたガラス融液をステンレス板上にキャストし、550℃の電気炉中で45分間保持した後にヒーターへの通電を止め、そのまま炉内で室温まで冷却してガラスサンプルを得た。使用したPDP用基板ガラスカレット、LCD用基板ガラスカレットはそれぞれ特開平10−194771、特許2686788号の実施例の組成のものを調合して作製した。また請求項5の組成範囲で任意に決定した組成のガラスを調合してガラスを作製し、粉砕してカレットとして使用した。
失透温度は次のようにして測定した。ガラスを粉砕して#2830〜1000μmのフルイ間に留まったガラス粒をアルコールに浸し超音波洗浄し、100℃で乾燥した。ガラス粒25gを白金ボートに入れ、ボートの長さ方向に温度勾配を持つ炉内で2時間保持した。炉から取り出したガラスを偏光顕微鏡で観察し失透の発生している最高温度を失透温度として測定した。
表1に使用した原料カレットの組成及び特性を示す。Aは板カレット、Bは瓶カレット、CはPDP用基板ガラスカレット(特開平10−194771記載)、DはLCD用基板ガラスカレット(特許2686788号)、Eは耐熱性ホウ珪酸ガラスガラスカレット、Fは請求項5の組成範囲で任意に決定した組成で作製したガラスである。A、Bのカレットは、従来ガラス繊維の原料として使用されているものであり、A、BのカレットをC、D、E、Fのカレットで置換した時の失透温度と粘性を調査した。
表1 原料カレットの組成と特性
Figure 2006069826
Fのガラスをカレット原料としてA、Bのカレットと置換して使用した時の失透温度と高温粘性の変化を測定した。まずFのガラスを使用せず、A,Bのカレットと原料を使用して、ベースとなるガラスを作製した。ベースのガラスは「ガラス工学ハンドブック」(山根正之他編、1999、朝倉書店)P520,表8.8の現行組成例1のガラス短繊維組成を参考にして、A,Bのカレットと原料を使用して作製した。
Fのガラスをカレット原料として使用することによる組成変動を小さくするために原料(長石、ボラックス、ソーダ灰、珪砂)を調整している。作製したサンプルの組成及び特性を表2に示す。また図1に原料におけるFのガラスの割合による失透温度の変化、図2に粘度10000ポイズを示す温度(T4)と失透温度(TL)との差の変化を示す。Fカレットの失透温度は1110℃であるが、図1のように原料中のFカレットの量を30%まで増加しても、失透温度の上昇は見られない。さらに50%まで増加しても失透温度は約950℃である。また図2のようにT4−TLの値は原料中のFカレット量の増加に伴い大きくなっており、50%の場合で約150℃である。粘度1000ポイズを示す温度(T3)と失透温度(TL)との差T3−TLの値は280℃まで増加している。粘度に合わせて操業温度を調整することにより、安定な操業が可能となる。
表2 作製したサンプルの組成と特性(1)
Figure 2006069826
ベースのガラス組成を変更して同様の測定を行った。その結果を表3、図3、図4に示す。
図3のように、原料中のFカレット量の増加に伴い失透温度は低下し、60%〜80%の場合に失透温度は約810℃となり、ベースのガラスと比べ約110℃低下している。また図4のように原料中のFカレット量が60%〜80%の場合にT4−TLの値は140℃以上、T3−TLの値は280℃以上となる。この結果は、Fカレットを原料中の80%まで加えても、操業温度を上げることなく、より安定なガラス短繊維の製造が可能となることを示し、表2の結果と比べてより好ましい。
表3 作製したサンプルの組成と特性(2)
Figure 2006069826
繊維用ガラスの失透温度は約920℃でFのガラスの失透温度は約1100℃であるが、表1、表2のような結果が得られた。この結果は繊維用ガラスの失透原因である結晶はデビトライトまたはウォラストナイトであり、Fのガラスの結晶はディオプサイドであるが、結晶相が変化しなければ失透温度は上昇しないことを示す。また、アルカリ土類の影響により失透温度は低下する。Fのカレットの使用量がある量を超えると失透温度の急激に上昇するのは失透原因がディオプサイドに変わったことを示す。
またA、BのカレットをC、D、Eのカレットで置換した結果をまとめて表4に示す。このように失透温度は950℃以下であり、900℃以下の場合もある。またT3−TLの値は150℃以上であり、200℃を越える場合もあり、ガラス短繊維製造の安定操業を可能とするガラスカレット組成であることがわかる。
表4 作製したサンプルの組成と特性(3)
Figure 2006069826
表2のガラスに関する、原料中のFガラスカレット割合による失透温度の変化 表2のガラスに関する、原料中のFガラスカレット割合による粘度10000ポイズを示す温度(T4)と失透温度(TL)との差の変化 表3のガラスに関する、原料中のFガラスカレット割合による失透温度の変化 表3のガラスに関する、原料中のFガラスカレット割合による粘度10000ポイズを示す温度(T4)と失透温度(TL)との差の変化

Claims (9)

  1. 重量%で、SiO を55%以上70%以下、Al を1%以上4%未満、B を1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まず、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1300℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるガラス短繊維。
  2. SrOを10%以下、BaOを1%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス短繊維。
  3. 失透温度が950℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1200℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上である請求項1又は請求項2に記載のガラス短繊維。
  4. 軟化点が750℃以上であるガラスを原料として、そのガラスを粉砕して目開き31.5mmのふるいを通過したカレットを原料の1%以上使用するガラス短繊維の製造方法。
  5. 目開き22.4mmのふるいを通過したカレットを使用する請求項4に記載のガラス短繊維の製造方法。
  6. 重量%で、SiOを50%以上85%以下、Alを20%以下、Bを20%以下、NaOを10%以下、KOを15%以下、CaOを15%以下、MgOを10%以下、SrOを15%以下、BaOを15%以下及びZrOを10%以下含むガラス組成物をカレット原料として使用することを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のガラス短繊維の製造方法。
  7. 重量%で、SiOを50%以上68%以下、Alを15%以下、NaOを10%以下、KOを15%以下、CaOを15%以下、MgOを10%以下、SrOを15%以下、BaOを15%以下及びZrOを10%以下を含むガラス組成物をカレット原料として使用することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のガラス短繊維の製造方法。
  8. 生成物が重量%でSiOを55%以上70%以下、Alを1%以上4%未満、Bを1%以上4%未満、NaOを10%以上20%以下、KOを0.9%以上10%以下、CaOを1%以上12%以下、MgOを0.1%以上10%以下、SrOを0%以上10%以下、BaOを0.1%以上10%以下、ZrOを0%以上10%以下含みかつ(SrO+BaO)が0.1%以上12%以下であり、実質的にF、P、ZnOを含まず、失透温度が1000℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1350℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上であるガラス短繊維の製造方法。
  9. 失透温度が950℃以下で、粘度10000ポイズを示す温度が1150℃以下であり、失透温度と粘度1000ポイズを示す温度との差が100℃以上である請求項3〜7のいずれかに記載のガラス短繊維の製造方法。
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