JP2006069188A - 繊維強化樹脂製線材の成形方法・繊維強化樹脂製線材・繊維強化樹脂製線材の成形装置・繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束 - Google Patents
繊維強化樹脂製線材の成形方法・繊維強化樹脂製線材・繊維強化樹脂製線材の成形装置・繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】金型のような高価な成形加熱治具を要することなく成形でき、成形速度を高速にできるとともに、多品種少量生産もコストアップを来たすことなく容易にでき、繊維強化樹脂製線材の製造コストの大幅な低減を図れるようにする。
【解決手段】撚って断面が円形状になるように予備成形した繊維束2をテンションローラ9で張力を付与しながら送り、樹脂槽3内にどぶ浸けして熱硬化性樹脂11を含浸し、余分な樹脂をダイス4に通して削ぎ落とした後、電気炉5内で折り返し案内して樹脂を非接触状態で加熱しながら硬化させつつ引き抜き手段6により引き抜く。
【選択図】 図1
【解決手段】撚って断面が円形状になるように予備成形した繊維束2をテンションローラ9で張力を付与しながら送り、樹脂槽3内にどぶ浸けして熱硬化性樹脂11を含浸し、余分な樹脂をダイス4に通して削ぎ落とした後、電気炉5内で折り返し案内して樹脂を非接触状態で加熱しながら硬化させつつ引き抜き手段6により引き抜く。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電線や光ファイバーケーブル等のテンションメンバーや、アナログメーターの指針等に用いられる繊維強化樹脂製線材(棒材の概念を含む。以下、同じ。)、該繊維強化樹脂製線材の成形方法、繊維強化樹脂製線材の成形装置、及び繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束に関する。
この種の繊維強化樹脂製線材は、高引張り強度、絶縁性を有し、電線等のテンションメンバーとして好適に用いられている。
電線や光ファイバーケーブル等を単体で用いた場合、曲げ強度や引っ張り強度が十分に得られないため、例えばアラミド繊維やガラス繊維等による繊維強化樹脂製線材をテンションメンバーとして添え、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等により一体に被覆し、補強することが行われている。
また、低比重で慣性モーメントが低く、高い追従性特性を有しているため、アナログメーターの指針等にも用いられている。
電線や光ファイバーケーブル等を単体で用いた場合、曲げ強度や引っ張り強度が十分に得られないため、例えばアラミド繊維やガラス繊維等による繊維強化樹脂製線材をテンションメンバーとして添え、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等により一体に被覆し、補強することが行われている。
また、低比重で慣性モーメントが低く、高い追従性特性を有しているため、アナログメーターの指針等にも用いられている。
図21に基づいて、従来における繊維強化樹脂製線材の成形方法(製造方法)を説明する。
多数の微細な繊維(ガラス繊維、アラミド繊維等)からなる小さな繊維束100を複数本合わせて1つの繊維束101とし、この繊維束101を、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂102が貯留された樹脂層103にどぶ浸けして熱硬化性樹脂102を含浸し、樹脂を含浸した繊維束101を所定寸法の円形穴を有する金型104に通して加熱硬化させながら、引き抜くようになっている。
樹脂を含浸した繊維束101の金型104に進入する前の断面形状は、符号Bで示すように、樹脂がランダムに付着した不定形となっており、金型104に進入することにより余分な樹脂が削がれるとともに断面円形状に拘束される。
多数の微細な繊維(ガラス繊維、アラミド繊維等)からなる小さな繊維束100を複数本合わせて1つの繊維束101とし、この繊維束101を、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂102が貯留された樹脂層103にどぶ浸けして熱硬化性樹脂102を含浸し、樹脂を含浸した繊維束101を所定寸法の円形穴を有する金型104に通して加熱硬化させながら、引き抜くようになっている。
樹脂を含浸した繊維束101の金型104に進入する前の断面形状は、符号Bで示すように、樹脂がランダムに付着した不定形となっており、金型104に進入することにより余分な樹脂が削がれるとともに断面円形状に拘束される。
金型104内には電熱線105が配されており、通電加熱することにより樹脂が硬化し、金型104から引き抜かれた繊維束は、断面形状が符号Cで示す円形状の繊維強化樹脂製線材106となる。
従来における成形能力は、例えば、金型104の幅Wは約0.5m、硬化温度(加熱温度)は約150°C、硬化時間は約60秒で、成形速度は約0.5m/分となっている。
従来における成形能力は、例えば、金型104の幅Wは約0.5m、硬化温度(加熱温度)は約150°C、硬化時間は約60秒で、成形速度は約0.5m/分となっている。
上述した従来の成形方法では、所定寸法の通し穴を有する金型のような専用の成形加熱治具が必要不可欠であり、治具コストが非常に高く、繊維強化樹脂製線材の製造コストが高いという問題がある。
また、繊維強化樹脂製線材の外径寸法を変える場合には、その都度金型の設計変更をせざるを得ない。すなわち、繊維強化樹脂製線材の1つの寸法に対して金型が一対一で対応するため、多品種少量生産には不向きである。
引き抜き速度(成形速度)を上げれば単位時間当たりの生産性が向上し、製造コストの低減を図れるが、金型内への進入時の樹脂の削ぎ落とし抵抗、金型内を通過する際の通し穴と樹脂との接触抵抗等が存在し、繊維束自体の引っ張り強度もあまり高くないため、引き抜き速度を上げることは困難である。
また、コスト的な面から金型104の幅Wの寸法を大きくできないため、加熱硬化工程距離が制限され、引き抜き速度を上げることは困難である。
また、繊維強化樹脂製線材の外径寸法を変える場合には、その都度金型の設計変更をせざるを得ない。すなわち、繊維強化樹脂製線材の1つの寸法に対して金型が一対一で対応するため、多品種少量生産には不向きである。
引き抜き速度(成形速度)を上げれば単位時間当たりの生産性が向上し、製造コストの低減を図れるが、金型内への進入時の樹脂の削ぎ落とし抵抗、金型内を通過する際の通し穴と樹脂との接触抵抗等が存在し、繊維束自体の引っ張り強度もあまり高くないため、引き抜き速度を上げることは困難である。
また、コスト的な面から金型104の幅Wの寸法を大きくできないため、加熱硬化工程距離が制限され、引き抜き速度を上げることは困難である。
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、金型のような高価な成形加熱治具を要することなく成形でき、成形速度を高速にできるとともに、多品種少量生産もコストアップを来たすことなく容易にでき、繊維強化樹脂製線材の製造コストの大幅な低減を図れる繊維強化樹脂製線材、繊維強化樹脂製線材の成形方法、繊維強化樹脂製線材の成形装置及び繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束の提供を目的とする。
本発明者らの考察によれば、加熱硬化させる前の段階で繊維束自体が断面円形状の保形性を有していれば、従来方式のように金型内で拘束する必要はなく、樹脂の削ぎ落とし(トリミング)をした後は単に加熱するだけでよい。
したがって、金型のような接触加熱ではなく間接加熱(非接触加熱)が可能となり、加熱領域(加熱硬化経路)における繊維束の拘束も不要となるので配置・案内(加熱硬化のための送り)の自由度が大きくなり、引き抜き速度の高速化も期待できる。
本発明はこのような着眼の下になされたものである。
したがって、金型のような接触加熱ではなく間接加熱(非接触加熱)が可能となり、加熱領域(加熱硬化経路)における繊維束の拘束も不要となるので配置・案内(加熱硬化のための送り)の自由度が大きくなり、引き抜き速度の高速化も期待できる。
本発明はこのような着眼の下になされたものである。
具体的には、請求項1記載の発明は、繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面が円形状になるように処理するとともに加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形方法において、繊維束を撚って該繊維束の断面が円形状になるように予備成形し、予備成形した繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面形状を円形状に処理し、非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜くことを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、繊維束に張力を付与することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、円形状に処理された繊維束を加熱領域内で折り返して案内することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法である。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、複数本の繊維束を同時に成形処理することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法により成形された繊維強化樹脂製線材である。
請求項6記載の発明は、撚った繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸手段と、所定寸法の穴を有し樹脂を含浸した繊維束を通すことにより該繊維束の断面形状を円形状に処理する外形処理手段と、該外形処理手段を通った繊維束を非接触状態に加熱する加熱手段と、該加熱手段により加熱硬化された繊維束を引き抜く引き抜き手段を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置である。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、繊維束に張力を付与する張力付与手段を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置である。
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記加熱手段が繊維束を折り返して案内する構成を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置である。
請求項9記載の発明は、請求項6乃至8のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記外形処理手段が複数設けられているとともにこれに対応して前記加熱手段が複数の案内路を有し、複数の繊維束を同時に成形処理可能であることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置である。
請求項10記載の発明は、請求項6乃至9のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記加熱手段と前記外形処理手段が一体に構成されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置である。
請求項11記載の発明は、樹脂を含浸した繊維束を加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、複数の繊維束を撚って全体の断面が円形状になるように予備成形されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束である。
請求項12記載の発明は、樹脂を含浸した繊維束を加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、複数の繊維束を撚って全体の断面が円形状になるように予備成形されているとともに、さらにその外面に補強材が設けられて複層に形成されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束である。
ここで、補強材による「層」は全面を覆う構成だけでなく、部分的に覆う構成の概念も含む意味である。
ここで、補強材による「層」は全面を覆う構成だけでなく、部分的に覆う構成の概念も含む意味である。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、前記補強材と前記繊維束が、物理的特性において互いに補完する関係にあることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束である。
請求項14記載の発明は、請求項11乃至13のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束を非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜きぬいて得られることを特徴とする繊維強化樹脂製線材である。
請求項15記載の発明は、請求項12又は13記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面形状を円形状に処理し、非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜きぬいて得られることを特徴とする繊維強化樹脂製線材。
請求項16記載の発明は、樹脂を含浸した繊維束の断面が円形状になるように処理するとともに加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材において、外面に補強材を設けて樹脂で一体に被覆したことを特徴とする繊維強化樹脂製線材である。
請求項1、5又は6記載の発明によれば、金型のような高価な加熱成形治具を用いることなく成形ができるので、製造コストを大幅に低減できる。撚糸を用いるので、イニシャルコストの削減も可能となる。成形速度を上げることができるので、リードタイムの短縮によるコストパフォーマンスの向上も実現できる。また、多品種少量生産にも容易に対応できる。
請求項2、5又は7記載の発明によれば、張力の付与によって成形を一層高速化でき、品質の安定化、生産性の一層の向上を図ることができる。
請求項3、5又は8記載の発明によれば、加熱硬化経路の十分な確保によって成形の高速化を実現できるとともに、加熱硬化系(加熱手段)のコンパクト化を実現できる。
請求項4、5又は9記載の発明によれば、生産性を大幅に向上させることができる。
請求項10記載の発明によれば、装置のコンパクト化及び製造の容易化を実現できる。
請求項3、5又は8記載の発明によれば、加熱硬化経路の十分な確保によって成形の高速化を実現できるとともに、加熱硬化系(加熱手段)のコンパクト化を実現できる。
請求項4、5又は9記載の発明によれば、生産性を大幅に向上させることができる。
請求項10記載の発明によれば、装置のコンパクト化及び製造の容易化を実現できる。
請求項11記載の発明によれば、金型のような高価な加熱成形治具を用いることなく成形が可能となるので、製造コストを大幅に低減できる。
請求項12記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の強度を向上させることができ、長期使用における耐久性を向上させることができる。
請求項13記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の強度を一層向上させることができ、長期使用における耐久性を一層向上させることができる。
請求項12記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の強度を向上させることができ、長期使用における耐久性を向上させることができる。
請求項13記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の強度を一層向上させることができ、長期使用における耐久性を一層向上させることができる。
請求項14記載の発明によれば、円形状処理を施さないので成形コストを低減できる。
請求項15記載の発明によれば、金型のような高価な加熱成形治具を用いることなく成形ができるので、製造コストを大幅に低減できる。
請求項16記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の実際使用における機能を向上させることができる。
請求項15記載の発明によれば、金型のような高価な加熱成形治具を用いることなく成形ができるので、製造コストを大幅に低減できる。
請求項16記載の発明によれば、繊維強化樹脂製線材の実際使用における機能を向上させることができる。
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態における繊維強化樹脂製線材の成形装置1は、撚った繊維束2に樹脂を含浸する樹脂含浸手段としての樹脂槽3と、樹脂を含浸した繊維束2を通すことにより繊維束2の断面形状を円形状に処理する外形処理手段としてのダイス4と、ダイス4を通った繊維束2を非接触状態に加熱する加熱手段としての電気炉5と、電気炉5により加熱硬化した繊維束2を引き抜く引き抜き手段6を有している。図示しないが、引き抜き手段6は、モータとこれにより回転駆動される巻き取りローラ等を有する周知の構成を採用できる。
図1に示すように、本実施形態における繊維強化樹脂製線材の成形装置1は、撚った繊維束2に樹脂を含浸する樹脂含浸手段としての樹脂槽3と、樹脂を含浸した繊維束2を通すことにより繊維束2の断面形状を円形状に処理する外形処理手段としてのダイス4と、ダイス4を通った繊維束2を非接触状態に加熱する加熱手段としての電気炉5と、電気炉5により加熱硬化した繊維束2を引き抜く引き抜き手段6を有している。図示しないが、引き抜き手段6は、モータとこれにより回転駆動される巻き取りローラ等を有する周知の構成を採用できる。
繊維束2は予め所定回数撚られた撚糸に形成されて断面が円形状になるように予備成形されており、ロール体7から繰り出されるようになっている。繊維束2は、図2に示すように、多数の微細なガラス繊維やアラミド繊維等が束ねられた小さな繊維束2aを複数本(ここでは7本)撚って形成されている。
なお、繊維束2は上記のように複数本の小さな繊維束2aを撚った構成に限定されず、1本の繊維束を撚る(ねじる)ことによって形成してもよい。
撚られることにより各小さな繊維束2aは互いに拘束され、図3に示すように、全体としてまとまって断面が円形に近い形状となっている。図21において符号Aで示す従来の非拘束の束ね方式に比べて、極めて円形に近い断面形状となる。また、撚られることにより引っ張り強度も向上することになる。
なお、繊維束2は上記のように複数本の小さな繊維束2aを撚った構成に限定されず、1本の繊維束を撚る(ねじる)ことによって形成してもよい。
撚られることにより各小さな繊維束2aは互いに拘束され、図3に示すように、全体としてまとまって断面が円形に近い形状となっている。図21において符号Aで示す従来の非拘束の束ね方式に比べて、極めて円形に近い断面形状となる。また、撚られることにより引っ張り強度も向上することになる。
図1に示すように、ロール体7から繰り出された繊維束2は、ローラ8で案内され、張力付与手段としての複数のテンションローラ9で張力を付与されながら、樹脂槽3内に支持されたローラ10に案内されて樹脂槽3内に貯留された熱硬化性樹脂11を潜り、すなわちどぶ浸けされ、熱硬化性樹脂11を含浸し、樹脂槽3の上方に配置されたローラ12により上方に案内されてダイス4を通される。
熱硬化性樹脂11を含浸した繊維束2は、図4に示すように、熱硬化性樹脂11がランダムに付着した不定形の断面形状を有している。
熱硬化性樹脂11を含浸した繊維束2は、図4に示すように、熱硬化性樹脂11がランダムに付着した不定形の断面形状を有している。
ダイス4は超硬工具であり、樹脂槽3の上部に図示しないブラケットにより支持されている。図5に示すように、ダイス4の中央部には、熱硬化性樹脂11を含浸した繊維束2の余分な樹脂を削ぎ落とす(扱く)ための断面円形の貫通穴(円形化処理用穴)4aが形成されている。
ダイス4の貫通穴4aを通った繊維束2は、余分な樹脂を所定寸法に沿って削ぎ落とされ、図6に示すように、断面円形状に処理される。円形状処理された繊維束2は、図1に示すように、電気炉5内に進入する。削ぎ落とされた余分な樹脂11aは、樹脂槽3に落下して混入し再使用される。
繊維束2はダイス4により既に円形状処理されているので、電気炉5の側板には単に繊維束2を通過させるための穴(開口部)が設けられている。
ダイス4を出た繊維束2はその外周面を拘束されないが、熱硬化性樹脂11は粘性が高く、且つ、繊維束2の撚りによる保形性が維持されているため、ダイス4による円形状処理が維持されたまま電気炉5に進入する。
ダイス4の貫通穴4aを通った繊維束2は、余分な樹脂を所定寸法に沿って削ぎ落とされ、図6に示すように、断面円形状に処理される。円形状処理された繊維束2は、図1に示すように、電気炉5内に進入する。削ぎ落とされた余分な樹脂11aは、樹脂槽3に落下して混入し再使用される。
繊維束2はダイス4により既に円形状処理されているので、電気炉5の側板には単に繊維束2を通過させるための穴(開口部)が設けられている。
ダイス4を出た繊維束2はその外周面を拘束されないが、熱硬化性樹脂11は粘性が高く、且つ、繊維束2の撚りによる保形性が維持されているため、ダイス4による円形状処理が維持されたまま電気炉5に進入する。
電気炉5内では図示しないハロゲンヒータ等の熱源により所定温度で加熱されて樹脂が硬化する。本実施形態では、電気炉5の内部に繊維束2を案内する2本のローラ13、14を繊維束2の進行方向に間隔をおいて、且つ、上下方向に間隔をおいて配置し、Z字状に折り返して案内するようになっている。
電気炉5の幅W1は10mに設定されており、折り返し構成(1.5ターン)によって電気炉5の内部では実質的に約30mの加熱硬化経路が確保されている。換言すれば、30mの加熱硬化経路の機能を1/3の10mのコンパクトな構成で実現している。
したがって、高速に引き抜いても加熱硬化のための時間を十分に確保することができる。
引き抜き手段6により引き抜かれて電気炉5を出た繊維束2は、図7に示すように、樹脂が硬化した断面円形状の繊維強化樹脂製線材15となる。
本実施形態では、撚られた繊維束2にテンションを付与する構成としたが、繊維束2の撚りが維持されて断面円形状の保形性がある程度得られる場合には、張力付与手段は必ずしも必要ではない。
電気炉5の幅W1は10mに設定されており、折り返し構成(1.5ターン)によって電気炉5の内部では実質的に約30mの加熱硬化経路が確保されている。換言すれば、30mの加熱硬化経路の機能を1/3の10mのコンパクトな構成で実現している。
したがって、高速に引き抜いても加熱硬化のための時間を十分に確保することができる。
引き抜き手段6により引き抜かれて電気炉5を出た繊維束2は、図7に示すように、樹脂が硬化した断面円形状の繊維強化樹脂製線材15となる。
本実施形態では、撚られた繊維束2にテンションを付与する構成としたが、繊維束2の撚りが維持されて断面円形状の保形性がある程度得られる場合には、張力付与手段は必ずしも必要ではない。
図1で示した繊維強化樹脂製線材の成形装置1を使用し、下記の条件で実施した。
繊維束の撚り回数:90回/m
繊維束の成形後の外径(製品寸法):0.5mm
成形速度:30m/分
硬化時間:60秒
加熱温度:200°C
加熱硬化経路の長さ:30m
繊維束の撚り回数:90回/m
繊維束の成形後の外径(製品寸法):0.5mm
成形速度:30m/分
硬化時間:60秒
加熱温度:200°C
加熱硬化経路の長さ:30m
実施の結果、繊維束の破断を生じることなく、品質的にも従来と変わらない繊維強化樹脂製線材15を連続して成形することができた。したがって、従来方式に比べて約60倍の生産速度を実現できたことになる。
成形速度の高速化を実現できたことにより、繊維束2の引っ張り強度が大きくなったことが実証された訳であるが、撚糸により引っ張り強度が向上するメカニズムとしては、一本一本の繊維は若干ヤング率のバラツキがあるが、撚ることによりヤング率のバラツキのない一本の糸としての荷重を受ける機能が発現するためと考えられる。
成形速度の高速化を実現できたことにより、繊維束2の引っ張り強度が大きくなったことが実証された訳であるが、撚糸により引っ張り強度が向上するメカニズムとしては、一本一本の繊維は若干ヤング率のバラツキがあるが、撚ることによりヤング率のバラツキのない一本の糸としての荷重を受ける機能が発現するためと考えられる。
撚り回数としては、10〜200回/mでも可能であり、60〜120回/mが望ましい。使用する繊維の材質、仕上げ寸法等の条件により異なるが、引っ張り強度が最大となる最適な撚り回数が存在することが実験により確認された。したがって、実験等(コンピュータシミュレーションを含む)により、撚り回数と引っ張り強度の関係のデータを取得して、最適な撚り回数を決定することにより、最も成形効率のよい繊維束2(撚糸)を容易に得ることができる。
繊維強化樹脂製線材15の外径は0.1〜10mmが可能であり、0.1〜0.3mmが望ましい。成形速度は硬化炉(電気炉5)の長さと硬化時間に依存し、炉を長くすることにより100m/分も可能である。
繊維強化樹脂製線材15の外径は0.1〜10mmが可能であり、0.1〜0.3mmが望ましい。成形速度は硬化炉(電気炉5)の長さと硬化時間に依存し、炉を長くすることにより100m/分も可能である。
本実施形態では、非接触方式で加熱するため電気炉5内では繊維束2は接触抵抗を従来方式に比べてほとんど受けず、ダイス4において削ぎ落としの抵抗を受けるのみである。このことも高速化実現の大きな要因となっている。
電気炉5は、ケーシングの内部に熱源を有する簡単な構成であるので、従来の金型方式に比べて設備コストを大幅に低減することができる。
すなわち、繊維強化樹脂製線材15の外径寸法の変化に対しても金型の場合のように設計変更する必要はなく、加熱硬化経路を長くする場合でも単にケーシング寸法が大きくなるのみである。
電気炉5は、ケーシングの内部に熱源を有する簡単な構成であるので、従来の金型方式に比べて設備コストを大幅に低減することができる。
すなわち、繊維強化樹脂製線材15の外径寸法の変化に対しても金型の場合のように設計変更する必要はなく、加熱硬化経路を長くする場合でも単にケーシング寸法が大きくなるのみである。
図8に基づいて、第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では複数の繊維束を同時に成形処理することを特徴とする。図8は一部上面をカットした平面図であり、ダイス16には、ローラ12の軸方向に間隔をおいて複数個(ここでは6個)の貫通穴(円形化処理用穴)16aが形成されている。すなわち、6ライン同時成形可能な構造を有している。
電気炉17には、上記実施形態と同様に、繊維束2A、2B、2C、2D、2E、2Fを折り返して案内するローラ18、19が配置されている。ローラ18、19には、各繊維束2を位置ずれすることなく且つ繊維束2の外径に変化を与えないように案内するために、繊維束2の外形形状に沿ったV字状の溝18a、19aが形成されている。第1の実施形態におけるローラ13、14にも同様の溝を形成することができる。
電気炉17のダイス16に対向する側板には、繊維束2が進入する入り口開口部17aが各貫通穴16aに対応して形成されており、反対側の側板には出口開口部17bが各入り口開口部17aに対応する数形成されている。各入り口開口部17a及び各出口開口部17bは連通した1つの開口部としてもよい。
本実施形態では複数の繊維束を同時に成形処理することを特徴とする。図8は一部上面をカットした平面図であり、ダイス16には、ローラ12の軸方向に間隔をおいて複数個(ここでは6個)の貫通穴(円形化処理用穴)16aが形成されている。すなわち、6ライン同時成形可能な構造を有している。
電気炉17には、上記実施形態と同様に、繊維束2A、2B、2C、2D、2E、2Fを折り返して案内するローラ18、19が配置されている。ローラ18、19には、各繊維束2を位置ずれすることなく且つ繊維束2の外径に変化を与えないように案内するために、繊維束2の外形形状に沿ったV字状の溝18a、19aが形成されている。第1の実施形態におけるローラ13、14にも同様の溝を形成することができる。
電気炉17のダイス16に対向する側板には、繊維束2が進入する入り口開口部17aが各貫通穴16aに対応して形成されており、反対側の側板には出口開口部17bが各入り口開口部17aに対応する数形成されている。各入り口開口部17a及び各出口開口部17bは連通した1つの開口部としてもよい。
各繊維束2A、2B、2C、2D、2E、2Fは仕上げ寸法が同じであり、それぞれ上述した成形速度で引き抜かれる。したがって、上述した1ライン方式に比べて6倍(ライン数倍)の生産性を実現でき、従来方式に比べて大幅な製造コストの低減を図ることができる。
複数ライン並行成形方式の場合、ライン数が増えても、電気炉17における熱源は共用となり、増やす必要がないので、同等の設備で生産性を大幅に向上させることができる。
ダイス16の各貫通穴16aの径寸法を異ならせると、多品種少量生産が可能となる。すなわち、電気炉17の構造を変えることなくダイス16を変えるだけで、多品種少量生産を容易に行うことができる。
本実施形態では、ダイス16を貫通穴16aを有するダイスが連なったアレイ方式としたが、穴径の同じものあるいは異なったものを個別に複数設ける構成としてもよい。
また、ダイスと電気炉を分離した構成としたが、電気炉の熱がダイスの円形化処理機能を損なわない範囲で両者を一体に構成してもよい。
複数ライン並行成形方式の場合、ライン数が増えても、電気炉17における熱源は共用となり、増やす必要がないので、同等の設備で生産性を大幅に向上させることができる。
ダイス16の各貫通穴16aの径寸法を異ならせると、多品種少量生産が可能となる。すなわち、電気炉17の構造を変えることなくダイス16を変えるだけで、多品種少量生産を容易に行うことができる。
本実施形態では、ダイス16を貫通穴16aを有するダイスが連なったアレイ方式としたが、穴径の同じものあるいは異なったものを個別に複数設ける構成としてもよい。
また、ダイスと電気炉を分離した構成としたが、電気炉の熱がダイスの円形化処理機能を損なわない範囲で両者を一体に構成してもよい。
図9乃至図14に基づいて第3の実施形態を説明する。本実施形態では、さらに繊維強化樹脂製線材15の強度(物理的特性)を向上させることを目的としている。
繊維束2の材質だけでは曲げ等の強度が十分に得られない場合があり、これを補って最終的製品の物理的特性を向上させるのが狙いである。
図9は、繊維束(上記実施形態における繊維束2)の外面に螺旋状に巻かれる補強材20を示している。熱硬化性樹脂11を含浸可能な補強材20は、繊維束2に対して物理的特性が互いに補完する関係にある材料で形成されている。例えば繊維束が曲げに弱いガラス繊維で形成されている場合には、補強材20は曲げに強いアラミド繊維やカーボン繊維で形成される。
補強材20は分かり易くするために誇張表示して帯状としているが、ヤーン形状でもよい。符号21は補強材20を繊維束に固定するためのナイロン糸を示し、補強材20に螺旋状に巻かれている。
繊維束2の材質だけでは曲げ等の強度が十分に得られない場合があり、これを補って最終的製品の物理的特性を向上させるのが狙いである。
図9は、繊維束(上記実施形態における繊維束2)の外面に螺旋状に巻かれる補強材20を示している。熱硬化性樹脂11を含浸可能な補強材20は、繊維束2に対して物理的特性が互いに補完する関係にある材料で形成されている。例えば繊維束が曲げに弱いガラス繊維で形成されている場合には、補強材20は曲げに強いアラミド繊維やカーボン繊維で形成される。
補強材20は分かり易くするために誇張表示して帯状としているが、ヤーン形状でもよい。符号21は補強材20を繊維束に固定するためのナイロン糸を示し、補強材20に螺旋状に巻かれている。
補強材20を巻いた状態で加熱(予備加熱)すると、ナイロン糸21の熱溶着により補強材20が繊維束に固定される。繊維束に対する補強材20の固定方法は、繊維束に接着剤を塗布して補強材20を貼り付ける方法等他の方法でもよい。
本実施形態では、図10及び図11に示すように、3枚(または3本)の補強材20を螺旋状に巻き付けて繊維束の外面に1つの層を形成している。これにより、2層構造の繊維束2が形成される。
補強材20は1枚又は2枚でもよく、あるいは4枚以上でもよい。3枚とした場合、1本の繊維束に対して巻き付けるときに芯(繊維束)の位置ずれを起こさずにバランスよくできる利点がある。
本実施形態では繊維束と1層の補強材20からなる2層構造としたが、例えば補強材20の外面にさらに紙質系の補強材を設けるなど、3層以上の構成としてもよい。
本実施形態では、図10及び図11に示すように、3枚(または3本)の補強材20を螺旋状に巻き付けて繊維束の外面に1つの層を形成している。これにより、2層構造の繊維束2が形成される。
補強材20は1枚又は2枚でもよく、あるいは4枚以上でもよい。3枚とした場合、1本の繊維束に対して巻き付けるときに芯(繊維束)の位置ずれを起こさずにバランスよくできる利点がある。
本実施形態では繊維束と1層の補強材20からなる2層構造としたが、例えば補強材20の外面にさらに紙質系の補強材を設けるなど、3層以上の構成としてもよい。
本実施形態では、上記した複層構造の繊維束2をロール体7として形成し、第1又は第2の実施形態と同様に成形する。図12は複層構造の繊維束2を樹脂槽3内の熱硬化性樹脂11にどぶ浸けした状態、すなわち、ダイス4による円形状処理前の状態を示している。熱硬化性樹脂11は補強材20を通過し、繊維束へと浸透する。
図13はダイス4による円形状処理後の状態を示しており、図14は電気炉5を通って樹脂が硬化した後の繊維強化樹脂製線材15を示している。
本実施形態では、補強材20を螺旋状に巻く構成としたが、図15に示すように、繊維束の軸方向に沿って補強材20を配置し、貼り付けて複層構造の繊維束2を形成してもよい。図16は予備加熱によってナイロン糸21が熱溶着した状態を示している。
この場合にも同様に、複層構造の繊維束2をロール体7として形成し、第1又は第2の実施形態と同様に成形する。
図13はダイス4による円形状処理後の状態を示しており、図14は電気炉5を通って樹脂が硬化した後の繊維強化樹脂製線材15を示している。
本実施形態では、補強材20を螺旋状に巻く構成としたが、図15に示すように、繊維束の軸方向に沿って補強材20を配置し、貼り付けて複層構造の繊維束2を形成してもよい。図16は予備加熱によってナイロン糸21が熱溶着した状態を示している。
この場合にも同様に、複層構造の繊維束2をロール体7として形成し、第1又は第2の実施形態と同様に成形する。
図17及び図18に基づいて、第4の実施形態を説明する。
本実施形態では、第1又は第2の実施形態で得られた繊維強化樹脂製線材15の特性を向上させることを目的としている。
繊維強化樹脂製線材22は、基材としての繊維強化樹脂製線材15の外面に軸方向に沿って線状ないし棒状の補強材23を3本配置し、その外面をポリエチレン樹脂24で一体に被覆することにより構成されている。
成形方法を説明すると、図18に示すように、先端が円形でテーパ状の押し出し口25aを有する押し出し成形機25に、補強材23を貼り付けた繊維強化樹脂製線材15を挿入し、ポリエチレン樹脂24を充填しながら押し出す。
本実施形態における補強材23は必ずしも樹脂含浸性を有していなくてもよく、また、必ずしも第3の実施形態で説明したような「物理的特性における相互補完性」を有していなくてもよい。すなわち、単に機械的強度の向上がなされるだけでもよい。
本実施形態では、第1又は第2の実施形態で得られた繊維強化樹脂製線材15の特性を向上させることを目的としている。
繊維強化樹脂製線材22は、基材としての繊維強化樹脂製線材15の外面に軸方向に沿って線状ないし棒状の補強材23を3本配置し、その外面をポリエチレン樹脂24で一体に被覆することにより構成されている。
成形方法を説明すると、図18に示すように、先端が円形でテーパ状の押し出し口25aを有する押し出し成形機25に、補強材23を貼り付けた繊維強化樹脂製線材15を挿入し、ポリエチレン樹脂24を充填しながら押し出す。
本実施形態における補強材23は必ずしも樹脂含浸性を有していなくてもよく、また、必ずしも第3の実施形態で説明したような「物理的特性における相互補完性」を有していなくてもよい。すなわち、単に機械的強度の向上がなされるだけでもよい。
補強材23の貼り付けは、予め繊維強化樹脂製線材15の外面にポリエチレン樹脂24を塗布し、その接着力によりなされる。このようにすれば、押し出し成形時のポリエチレン樹脂24と繊維強化樹脂製線材15の熱硬化性樹脂11との密着が良好となり、被覆精度が向上する利点がある。
繊維強化樹脂製線材15の熱硬化性樹脂11は、例えばテンションメンバーとして用いる場合に相手部材との密着が良くない場合がある。
ポリエチレン樹脂24を外皮とした場合、このような不具合を解消できる。したがって、補強材23を設けずに単にポリエチレン樹脂24を被覆する構成としてもよい。
補強材23の形状、本数、被覆樹脂の種類は上記に限定される趣旨ではない。
また、繊維強化樹脂製線材15の代わりに、繊維束2、即ち熱硬化性樹脂11を含浸させる前のものを用いて、この繊維束2をポリエチレン樹脂24によって直接被覆する構成としてもよい。
繊維強化樹脂製線材15の熱硬化性樹脂11は、例えばテンションメンバーとして用いる場合に相手部材との密着が良くない場合がある。
ポリエチレン樹脂24を外皮とした場合、このような不具合を解消できる。したがって、補強材23を設けずに単にポリエチレン樹脂24を被覆する構成としてもよい。
補強材23の形状、本数、被覆樹脂の種類は上記に限定される趣旨ではない。
また、繊維強化樹脂製線材15の代わりに、繊維束2、即ち熱硬化性樹脂11を含浸させる前のものを用いて、この繊維束2をポリエチレン樹脂24によって直接被覆する構成としてもよい。
図19及び図20に基づいて、第5の実施形態を説明する。本実施形態では、図19に示すように、熱硬化性樹脂11を含浸した繊維束(複層構造の繊維束を含む)2を円形状処理をせずに直接電気炉5に導いて硬化させることを特徴としている。すなわち、成形工程においてダイス4が設けられていない。成形工程は、ダイス4による円形状処理を除いて、第1又は第2の実施形態と同様である。
成形された繊維強化樹脂製線材26は、図20に示すように、熱硬化性樹脂11が不定形のまま硬化した形状となる。
円形状処理をせずに硬化させても熱硬化性樹脂11の粘性によってある程度の線状体形状は得られるため、形状・寸法精度を問わない利用分野においては採用することができる。上記理由により、熱硬化性樹脂11としては粘性の大きいものが望ましい。
成形された繊維強化樹脂製線材26は、図20に示すように、熱硬化性樹脂11が不定形のまま硬化した形状となる。
円形状処理をせずに硬化させても熱硬化性樹脂11の粘性によってある程度の線状体形状は得られるため、形状・寸法精度を問わない利用分野においては採用することができる。上記理由により、熱硬化性樹脂11としては粘性の大きいものが望ましい。
上記各実施形態では、繊維束2に熱硬化性樹脂を含浸し、非接触方式で加熱して硬化させる方式としたが、紫外線等の特定の電磁波に反応して硬化する樹脂を用いて成形し、繊維強化樹脂製線材を得ることも可能である。
成形した繊維強化樹脂製線材を短くカットし、コンクリートや樹脂などの引っ張り強度の低い材料の、引っ張り強度向上を目的とした充填材としての用途が期待できる。
この場合、形状・寸法精度はあまり問題にならないので、上記第5の実施形態で得られる繊維強化樹脂製線材26は成形コストが低いため好適である。
カットした線材(棒材)が引っ張り強度を向上させる充填材として有効なメカニズムとしては、繊維や糸の状態では容易に曲がるために繊維の引っ張り強度を十分に発揮できないが、線材(棒材)にすると容易に曲がらないので、繊維の引っ張り強度を十分に発揮できると考えられる。
この場合、形状・寸法精度はあまり問題にならないので、上記第5の実施形態で得られる繊維強化樹脂製線材26は成形コストが低いため好適である。
カットした線材(棒材)が引っ張り強度を向上させる充填材として有効なメカニズムとしては、繊維や糸の状態では容易に曲がるために繊維の引っ張り強度を十分に発揮できないが、線材(棒材)にすると容易に曲がらないので、繊維の引っ張り強度を十分に発揮できると考えられる。
上記各実施の形態において説明した繊維束2は、上記したガラス繊維、アラミド繊維の他、炭素繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維等によって構成してもよい。また、これら繊維は単体でまたはガラス繊維、アラミド繊維を含めて2つ以上のものを組み合わせて使用してもよい。
2 繊維束
3 樹脂含浸手段としての樹脂槽
4、16 外形処理手段としてのダイス
5、17 加熱手段としての電気炉
6 引き抜き手段
9 張力付与手段としてのテンションローラ
11 樹脂としての熱硬化性樹脂
15、22、26 繊維強化樹脂製線材
20、23 補強材
24 樹脂としてのポリエチレン樹脂
3 樹脂含浸手段としての樹脂槽
4、16 外形処理手段としてのダイス
5、17 加熱手段としての電気炉
6 引き抜き手段
9 張力付与手段としてのテンションローラ
11 樹脂としての熱硬化性樹脂
15、22、26 繊維強化樹脂製線材
20、23 補強材
24 樹脂としてのポリエチレン樹脂
Claims (16)
- 繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面が円形状になるように処理するとともに加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形方法において、繊維束を撚って該繊維束の断面が円形状になるように予備成形し、予備成形した繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面形状を円形状に処理し、非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜くことを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法。
- 請求項1記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、繊維束に張力を付与することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法。
- 請求項1又は2記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、円形状に処理された繊維束を加熱領域内で折り返して案内することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法。
- 請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法において、複数本の繊維束を同時に成形処理することを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形方法。
- 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形方法により成形された繊維強化樹脂製線材。
- 撚った繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸手段と、所定寸法の穴を有し樹脂を含浸した繊維束を通すことにより該繊維束の断面形状を円形状に処理する外形処理手段と、該外形処理手段を通った繊維束を非接触状態に加熱する加熱手段と、該加熱手段により加熱硬化された繊維束を引き抜く引き抜き手段を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置。
- 請求項6記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、繊維束に張力を付与する張力付与手段を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置。
- 請求項6又は7記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記加熱手段が繊維束を折り返して案内する構成を有していることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置。
- 請求項6乃至8のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記外形処理手段が複数設けられているとともにこれに対応して前記加熱手段が複数の案内路を有し、複数の繊維束を同時に成形処理可能であることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置。
- 請求項6乃至9のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形装置において、前記加熱手段と前記外形処理手段が一体に構成されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形装置。
- 樹脂を含浸した繊維束を加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、複数の繊維束を撚って全体の断面が円形状になるように予備成形されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束。
- 樹脂を含浸した繊維束を加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、複数の繊維束を撚って全体の断面が円形状になるように予備成形されているとともに、さらにその外面に補強材が設けられて複層に形成されていることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束。
- 請求項12記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束において、前記補強材と前記繊維束が、物理的特性において互いに補完する関係にあることを特徴とする繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束。
- 請求項11乃至13のうちのいずれかに記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束を非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜きぬいて得られることを特徴とする繊維強化樹脂製線材。
- 請求項12又は13記載の繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束に樹脂を含浸し、樹脂を含浸した繊維束の断面形状を円形状に処理し、非接触状態で加熱して硬化させながら引き抜きぬいて得られることを特徴とする繊維強化樹脂製線材。
- 樹脂を含浸した繊維束の断面が円形状になるように処理するとともに加熱して硬化させながら引き抜いてなる繊維強化樹脂製線材において、外面に補強材を設けて樹脂で一体に被覆したことを特徴とする繊維強化樹脂製線材。
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JP2004292743A JP2006069188A (ja) | 2004-08-04 | 2004-10-05 | 繊維強化樹脂製線材の成形方法・繊維強化樹脂製線材・繊維強化樹脂製線材の成形装置・繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束 |
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JP2004227729 | 2004-08-04 | ||
JP2004292743A JP2006069188A (ja) | 2004-08-04 | 2004-10-05 | 繊維強化樹脂製線材の成形方法・繊維強化樹脂製線材・繊維強化樹脂製線材の成形装置・繊維強化樹脂製線材の成形に用いられる繊維束 |
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2004
- 2004-10-05 JP JP2004292743A patent/JP2006069188A/ja active Pending
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