JP2006069149A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高感度で充分な発色濃度および消去性を有する可逆性感熱記録媒体を提供すること。
【解決手段】 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層および該可逆性感熱記録層上に少なくとも1層以上の保護層を設けてなる可逆性感熱記録媒体において、可逆性感熱記録層中に下記一般式(1)にて示されるホスフィン化合物を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】
Figure 2006069149

(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体及びその画像形成・消去方法に関する。
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。
しかし、環境問題、リサイクルの視点から、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体が提案(特許文献1参照)され、その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものの使用が提案(特許文献2参照)されている。
そのような中、近年になってICチップを利用した物流管理のデジタル化に対する需要が高まり、可逆性感熱記録媒体はチップ内のデジタル情報を可視化できるという点から注目されているが、既存の物流システムで使用されているワンタイムの書き込みしかできない感熱紙と比べて発色の感度が低く、従来の可逆性感熱記録媒体では作業効率を著しく低下させる。また、設置スペースの問題やプリンタの可搬性の付与のために消去バーを使用せず、サーマルヘッドで印字のみならず消去まで、あるいは1回の搬送でオーバーライトできることが求められているが、消去感度が充分でないために消え残りが生じていた。従って、可逆性感熱記録媒体としては印字速度及び装置の小型化の観点から発色及び消色双方の高感度化を目指した検討が進められてきた。
発色及び消色能力の向上については、特許文献3に示されるような、発色剤と顕色剤以外の第3成分によって発消色を制御するという概念に端を発し、様々な検討が行なわれてきた。
例えば、水酸基を有する高級脂肪酸(特許文献4参照)、1つ以上の連結基を持つ脂肪酸(特許文献5及び6参照)、フェノール顕色剤構造に類似し発色能を持たない化合物(特許文献7参照)を感熱記録層内に添加することが行なわれているが、高速印字時に充分な発色濃度を実現していない。
また、発色や消色開始温度を下げる目的で、オニウム塩(特許文献8参照)、グアニジン化合物のような非類似化合物(特許文献9参照)の適用も検証されてきた。また、ヒドラジン骨格を有するリン系化合物(特許文献10参照)についても検討された。しかし、消色開始温度は低くなるものの熱応答性に劣るため、低速印字時には効果がある化合物であっても高速消去時に充分に能力を出すことができず、好適なスピードでの消去は不可能であった。
特許第2981558号公報 特許第3380277号公報 特許第3291535号公報 特開平6−48027号公報 特開平11−70731号公報 特開平11−349551号公報 特開平11−349553号公報 特開平9−300820号公報 特開平9−300817号公報 特開2003−211840号公報
本発明の課題は、高感度で充分な発色濃度および消去性を有する可逆性感熱記録媒体を提供することである。
本発明者らは、これらの課題を解決するための検討を行なった結果、感熱記録層中に下記一般式(1)で示されるようなホスフィン化合物を含有させることで高感度化を達成することを見出した。
Figure 2006069149

(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
以下、明確な理解に資するため、この一般式(1)のホスフィン化合物を感熱記録層中に含有させた可逆性感熱記録媒体を「可逆性感熱記録媒体(I)」と略記する。
[可逆性感熱記録媒体(I)における一般式(1)のホスフィン化合物]
以下に、本発明の可逆性感熱記録媒体(I)における一般式(1)のホスフィン化合物について詳しく説明する。
一般式(1)で示されるホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−2,4−キシリルホスフィン、トリ−2,5−キシリルホスフィン、トリ−3,4−キシリルホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン等の芳香族3置換ホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリオクタデシルホスフィン等の脂肪族3置換ホスフィン、ジフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、オクチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノスチレン等の3つの置換基が等しくないものが挙げられ、それらの中でも置換基が1つ以上異なるものが好ましい。
中でも、R〜Rの少なくとも1つが下記一般式(2)で示されるような側鎖部分があるホスフィン化合物が好ましい。
Figure 2006069149

(式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、R5は水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
Xの例としては、尿素、アミド、ウレタン、エステル、ケトン、ジアシルヒドラジド、スルホニルアミド、スルホニルエステル、スルホニル尿素、チオ尿素、チオアミド、チオウレタン残基などが挙げられる。Xはリン原子と直結していても良いが、メチレン、あるいは芳香族基といった2価の基によって離れていると好ましい。
一般式(2)で示される側鎖部分があるホスフィン化合物としては、例えば(N−オクチルウレイドエチル)ジフェニルホスフィン、(2−オクチルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィン、(4−オクチルカルバモイルフェニル)ジフェニルホスフィン、(4−ブトキシカルボニルフェニル)ジフェニルホスフィン、(2−N−オクタノイルアミノエチル)ジフェニルホスフィン、トリス(N−ブチルウレイドエチル)ホスフィン、トリス(N−オクチルウレイドエチル)ホスフィン、トリス(N−オクタデシルウレイドエチル)ホスフィン、オクチルチオカルバモイルジフェニルホスフィン、オクタデシルチオカルバモイルジフェニルホスフィン等が挙げられる。
また、一般式(1)のR〜Rのいずれかが一般式(3)で示されるような置換基であるジホスフィン化合物も同様に高い能力を有する。
Figure 2006069149

(式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
一般式(3)で示される側鎖部分があるホスフィン化合物としては、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)シクロヘキサン、1,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)ドデカン、1,18−ビス(ジフェニルホスフィノ)オクタデカン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、(s)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が挙げられる。
また、本発明者らは、感熱記録層中に下記一般式(4)で示されるようなホスフィンオキサイド化合物を含有させることで高感度化を達成することを見出した。
Figure 2006069149

(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
以下、明確な理解に資するため、この一般式(4)のホスフィンオキサイド化合物を感熱記録層中に含有させた可逆性感熱記録媒体を「可逆性感熱記録媒体(II)」と略記する。
[可逆性感熱記録媒体(II)における一般式(4)のホスフィンオキサイド化合物]
以下に、本発明の可逆性感熱記録媒体(II)における一般式(4)のホスフィン化合物について詳しく説明する。
一般式(4)で示されるホスフィンオキサイド化合物としては、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリ−o−トリルホスフィンオキサイド、トリ−m−トリルホスフィンオキサイド、トリ−p−トリルホスフィンオキサイド、トリ−2,4−キシリルホスフィンオキサイド、トリ−2,5−キシリルホスフィンオキサイド、トリ−3,4−キシリルホスフィンオキサイド、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィンオキサイド等の芳香族3置換ホスフィンオキサイド、トリベンジルホスフィンオキサイド、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド、トリオクタデシルホスフィンオキサイド等の脂肪族3置換ホスフィンオキサイド、ジフェニルホスフィンオキサイド、ジオクチルフェニルホスフィンオキサイド、オクチルジフェニルホスフィンオキサイド、ジフェニルシクロヘキシルホスフィンオキサイド、アリルジフェニルホスフィンオキサイド等の3つの置換基が等しくないもの、3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキサイド等のような置換基同士が環状で繋がったものが挙げられ、それらの中でも置換基が1つ以上異なるものが好ましい。
中でも、一般式(4)のR〜Rの少なくとも1つが下記一般式(5)で示されるような側鎖部分であるホスフィンオキサイド化合物が好ましい。
Figure 2006069149

(式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、Rは水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
Xの例としては、尿素、アミド、ウレタン、エステル、ケトン、ジアシルヒドラジド、スルホニルアミド、スルホニルエステル、スルホニル尿素、チオ尿素、チオアミド、チオウレタン残基などが挙げられる。Xはリン原子と直結していても良いが、メチレン、あるいは芳香族基といった2価の基によって離れていると好ましい。
一般式(5)で示されるホスフィンオキサイド化合物としては、例えば(N−オクチルウレイドエチル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(2−オクチルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(4−オクチルカルバモイルフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(4−ブトキシカルボニルフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(2−N−オクタノイルアミノエチル)ジフェニルホスフィンオキサイド、トリス(N−ブチルウレイドエチル)ホスフィンオキサイド、トリス(N−オクチルウレイドエチル)ホスフィンオキサイド、トリス(N−オクタデシルウレイドエチル)ホスフィンオキサイド、オクチルチオカルバモイルジフェニルホスフィンオキサイド、オクタデシルチオカルバモイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
また、一般式(4)のR〜Rのいずれかが一般式(6)で示されるような置換基であるジホスフィンオキサイド化合物も同様に高い能力を有する。
Figure 2006069149

(式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
一般式(6)で示されるジホスフィンオキサイド化合物としては、1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィニル)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィニル)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィニル)シクロヘキサン、1,12−ビス(ジフェニルホスフィニル)ドデカン、1,18−ビス(ジフェニルホスフィニル)オクタデカン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィニル)エチレン、(s)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィニル)−1,1’−ビナフチル等が挙げられる。
さらに、本発明者らは、感熱記録層中に下記一般式(7)で示されるようなホスフィンスルフィド化合物を含有させることで高感度化を達成することを見出した。
Figure 2006069149
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
以下、明確な理解に資するため、この一般式(7)のホスフィンスルフィド化合物を感熱記録層中に含有させた可逆性感熱記録媒体を「可逆性感熱記録媒体(III)」と略記する。ここで、感熱記録層中に「一般式(7)のホスフィンスルフィド化合物を含有」とは、他の例えば、前記一般式(1)のホスフィン化合物や前記一般式(4)のホスフィンオキサイド化合物との共存状態を排除するものでは無論ない。
[可逆性感熱記録媒体(III)一般式(7)のホスフィンスルフィド化合物]
以下に、本発明の可逆性感熱記録媒体(III)における一般式(7)のホスフィンスルフィド化合物について詳しく説明する。
一般式(7)で示されるホスフィンスルフィド化合物としては、トリフェニルホスフィンスルフィド、トリ−o−トリルホスフィンスルフィド、トリ−m−トリルホスフィンスルフィド、トリ−p−トリルホスフィンスルフィド、トリ−2,4−キシリルホスフィンスルフィド、トリ−2,5−キシリルホスフィンスルフィド、トリ−3,4−キシリルホスフィンスルフィド、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンスルフィド、トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィンスルフィド等の芳香族3置換ホスフィンスルフィド、トリベンジルホスフィンスルフィド、トリシクロヘキシルホスフィンスルフィド、トリブチルホスフィンスルフィド、トリ−n−オクチルホスフィンスルフィド、トリオクタデシルホスフィンスルフィド等の脂肪族3置換ホスフィンスルフィド、ジフェニルホスフィンスルフィド、ジオクチルフェニルホスフィンスルフィド、オクチルジフェニルホスフィンスルフィド、ジフェニルシクロヘキシルホスフィンスルフィド、アリルジフェニルホスフィンスルフィド等の3つの置換基が等しくないもの、3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−スルフィド等のような置換基同士が環状で繋がったものが挙げられ、それらの中でも置換基が1つ以上異なるものが好ましい。
中でも、一般式(7)のR〜Rの少なくとも1つが下記一般式(8)で示されるような側鎖であるホスフィンスルフィド化合物が好ましい。
Figure 2006069149

(式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、Rは水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
Xの例としては、尿素、アミド、ウレタン、エステル、ケトン、ジアシルヒドラジド、スルホニルアミド、スルホニルエステル、スルホニル尿素、チオ尿素、チオアミド、チオウレタン残基などが挙げられる。Xはリン原子と直結していても良いが、メチレン、あるいは芳香族基といった2価の基によって離れていると好ましい。
一般式(8)で示されるホスフィンスルフィド化合物としては、例えば(N−オクチルウレイドエチル)ジフェニルホスフィンスルフィド、(2−オクチルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィンスルフィド、(4−オクチルカルバモイルフェニル)ジフェニルホスフィンスルフィド、(4−ブトキシカルボニルフェニル)ジフェニルホスフィンスルフィド、(2−N−オクタノイルアミノエチル)ジフェニルホスフィンスルフィド、トリス(N−ブチルウレイドエチル)ホスフィンスルフィド、トリス(N−オクチルウレイドエチル)ホスフィンスルフィド、トリス(N−オクタデシルウレイドエチル)ホスフィンスルフィド、オクチルチオカルバモイルジフェニルホスフィンスルフィド、オクタデシルチオカルバモイルジフェニルホスフィンスルフィド等が挙げられる。
また、一般式(7)のR〜Rのいずれかが一般式(9)で示されるような置換基であるジホスフィンスルフィド化合物も同様に高い能力を有する。
Figure 2006069149
(式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
一般式(9)で示されるジホスフィンスルフィド化合物としては、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)シクロヘキサン、1,12−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)ドデカン、1,18−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)オクタデカン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)エチレン、(s)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)−1,1’−ビナフチル等が挙げられる。
前記可逆性感熱記録媒体(I)、(II)、(III)を含む本発明によって、高感度で、充分な発色濃度および消去性を有する可逆性感熱記録媒体を提供できる。
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)、(II)、(III)等の支持体としては紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらを貼り合わせたフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG、イーストマンケミカル社の商標)などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等の高耐熱フィルム、あるいは合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、中でもPET、PETGが好ましい。塗布層の接着性向上のために、少なくとも片面をコロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理等による表面改質をすることができる。画像鮮明性の高いシートを得るために、二酸化チタン等の高隠蔽材料を混練した白色度の高いPET、貼り合わせ型の媒体にする場合には支持体単独の曇り度(JIS K7105で規定される曇り度、ヘーズ)が10%以下であるPET、PETGフィルムが特に好ましい。また、必要に応じた厚みのものを単独あるいは貼り合わせる等して用いることもできる。すなわち、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。また、これらの支持体は可逆性感熱記録層と同一面および/または反対面に磁気記録層を有していてもよい。
本発明において、記録層に用いる硬化性樹脂としては、例えば架橋剤およびこの架橋剤と反応する活性基を有する樹脂の組み合わせであり、熱、紫外線、電子線等により架橋硬化できる樹脂である。記録層に硬化性樹脂を含有させることにより、記録層の耐熱性および塗膜強度が向上し、可逆性感熱記録媒体の繰り返し耐久性が向上する。
熱硬化で用いられる樹脂は、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール等、水酸基やカルボキシル基など架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または水酸基やカルボキシル基などを持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂がある。中でもアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が好ましく、また、水酸基価としては70(KOHmg/g)以上で耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することを見い出した。特に好ましくは90(KOHmg/g)以上である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため、塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。
アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4−ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられるが、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性が良いことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
熱架橋の架橋剤としては、例えばイソシアネート類、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン類、エポキシ化合物等が挙げられる。中でもイソシアネート類が好ましく、特に好ましくはイソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物であり、具体的には化合物種としてはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が単独、あるいはこれらをトリメチロールプロパンなどと結合させたアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプに変換した構造のもの、およびブロック化イソシアネート類等が挙げられる。中でも化合物種としては芳香環にヘテロ原子が置換していない無黄変タイプ、特にHDIやIPDI、XDIが、中でもHDIタイプが好ましい。構造のタイプとしてはアダクトタイプやイソシアヌレートタイプが特に好ましい。
架橋剤の樹脂に対する添加量としては、架橋剤全体としては樹脂中の含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比が0.01〜2が好ましく、これ以下では熱強度が不足してしまい、また、これ以上添加すると発色・消色特性に悪影響を及ぼす。
また更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタンなどの3級アミン類、ジブチルチンラウレート等の有機スズ化合物などの金属化合物などが挙げられる。
また、記録層樹脂としては熱によってアミン系硬化剤と架橋するエポキシ樹脂も用いることができる。この組み合わせとしては種々公知の材料を使用することができ、例えばエポキシ樹脂主剤としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のジオール成分を骨格としてエピクロロヒドリンを反応させて得られる通常のエポキシ樹脂に加え、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、キレート変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂も用いることができる。アミン系硬化剤としては脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミドなどが挙げられる。
紫外線および電子線硬化の際に用いられる樹脂としては、保護層の項で述べる種々公知の重合性モノマーを使用できる。
また、硬化系以外では種々公知の共重合樹脂を用いることもでき、例えば塩化ビニル系、アクリル系、スチレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。
本発明で用いられる電子供与性呈色性化合物はロイコ染料であり、単独または2種以上混合して適用されるが、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体であり、特に限定されず従来公知のもの、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好ましく用いられる。
これらの中で、発消色特性、色彩、保存性等から特に好ましくはフルオラン系およびフタリド系のロイコ染料であり、さらに好ましくは3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−n−メチル−N−プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等の黒発色系のロイコ染料、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−7,8−ベンゾフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等の赤発色系のロイコ染料、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−1−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−インドール−3−イル)フタリド等の青発色系のロイコ染料、10−ジエチルアミノ−2−エチルベンゾ[1,4]チアジノ[3,2−b]フルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)ビニル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−[1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)エチレン−2−イル]−6−ジメチルアミノフタリド等の赤外域に吸収を持つロイコ染料である。
中でも2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオランなどの2−アニリノ−3−メチル−6−二置換アミノフルオランや、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−1−イル)−4−アザフタリドが色調、発色消色特性の点から好ましい。これらは単独で用いても混合しても良いし、特に飽和濃度時に発色を純黒にするように調整することもできるし、異なる色調に発色する層を積層することによってマルチカラー、フルカラーにすることもできる。
また、本発明で用いられる電子受容性化合物としては熱を因子として発消色を可逆的に行なうことができるものであれば良く、分子内に発色剤を発色させる顕色能を有する構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を1つ以上持つ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていてもよい。
特に、下記一般式(10)で表わされるフェノール化合物を用いることが好ましい。
Figure 2006069149

(式中、nは1〜3の整数を示し、Yは窒素原子または酸素原子を含む2価の基を表わす。また、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、R10は炭素数1以上14以下の脂肪族炭化水素基を表わす。)
一般式(10)の化合物使用の利点としては高消去率であることが挙げられるが、感度が低いことの改善が求められていた。一般式(1)のホスフィン化合物により、また、一般式(4)のホスフィンオキサイド化合物により、さらに、一般式(7)のホスフィンスルフィド化合物によっても、高消去性は落とさずに感度のみを早くすることができる。このフェノール化合物において、脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等がある。R、R10の炭素の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、Y基はN原子またはO原子を含む2価の基であるが、特に好ましくはアミド基および尿素基であり、更に好ましくは尿素基である。Rは炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表わすが、特に好ましくは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数10以上の脂肪族炭化水素基である。R10の炭素数は1以上22以下であるが、特に好ましくはR10の炭素数が8以上14以下である。1種または2種以上を混合して用いてもよい。
更に、前記の特徴を有する顕色剤と一般式(1)、(4)、(7)等で示される感度増進添加剤以外に、消色促進剤として分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する化合物を併用することにより、消色状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、発消色特性が向上する。中でも、一般式(11)〜(17)で表わされる化合物が好ましい。
Figure 2006069149

(式中、R11、R12、R14は炭素数7以上22以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表わし、R13は炭素数1〜10の2価の官能基、R15は炭素数4〜10の3価の官能基を表わす。)
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)には、必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1〜20の範囲であり、好ましくは0.2〜10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。また、消色促進剤を添加する場合は、その割合は顕色剤に対し0.1〜300重量%が好ましく、より好ましくは3〜100重量%が好ましい。また、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1〜10が好ましく、これより少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
記録層の形成には、前記の顕色剤、発色剤、種々の添加剤、硬化剤及び架橋状態にある樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を用いる。
塗液調製に用いられる溶媒としては、水、アルコール、ケトン、アミド、エーテル、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステルアセテート類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、スルホキシド類、ピロリドン類等が挙げられる。これらの中でも水、メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド等が良く用いられ、さらに好ましくは非プロトン性溶媒であるメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンである。
塗液調製はペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。また、これらの塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。更に加熱溶解して急冷または除冷によって析出させてもよい。
感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
次に、本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)における保護層について説明する。
本発明における保護層は紫外線や電子線で硬化される樹脂を主成分とする。硬化前のモノマーの例としては、ラジカル重合系としてはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタメチルピペリジルメタクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。カチオン重合系としては脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、スチレンオキサイド、オキセタン類、ビニルエーテル類がある。この中ではラジカル重合系が好ましく、特にウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートを主成分とするのが好ましい。
本発明においては、保護層樹脂の機能向上のために、複数のモノマー、オリゴマーと混合することができる。特に好ましいのは4官能以上の重合性多官能モノマーおよびオリゴマーである。
重合性多官能モノマーおよびオリゴマーの例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロピントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート付加ウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、DPHA構造物のε−カプロラクトン付加物等が挙げられる。
これらの中でも耐熱性や機械的強度の点から重合性多官能モノマーを用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートやペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびこれらとウレタンアクリレートの混合物が好ましい。
さらに、ポリシロキサン等のシリコーン部位を持つ重合性モノマーを併用することにより表面の滑性が向上し、耐久性が向上する。このときの添加量としては、保護層の樹脂成分全重量に対して0.05〜50重量%が好ましい。0.05%未満だと効果がほとんど発現せず、逆に50%を越えると膜が柔軟になりすぎて耐久性がなくなる。特に好ましくは0.1〜30%である。
保護層には粗面化、印刷適性などの機能を持たせるために他のフィラーを添加していてもよい。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩;アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウムなどの酸化物;水酸化アルミニウムなどの水酸化物等が挙げられる。有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
中でも有機シランによって表面処理された金属酸化物微粒子を使用するのが好ましい。有機シラン処理は塗布液を調整する前にあらかじめ単独で行なうこともできるし、塗布液に分散後にシランカップリング剤を混合して行なうこともできる。
シランカップリング剤としては、従来公知の種々のものを使用できる。トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の各種シリコーンオイルやアルキルシランカップリング剤、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニルシラン化合物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン等の反応性シラン化合物が挙げられる。
この中では特にビニルシラン化合物、エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、反応性シラン化合物を用いると層の緻密さと強靱さが向上するために好ましく、特に反応性シラン化合物が最も好ましい。
本発明の保護層は熱、紫外線あるいは電子線、またはこれらの併用により架橋硬化される。しかしながら、ある程度の高温と時間が必要な熱架橋では、記録層が発色してしまうためにあまり高温にはできず、その結果保護層としての塗膜強度が不充分となる場合がある。また、電子線による架橋硬化では短時間で充分な塗膜強度が得られるが、電子線照射装置および電子線硬化用樹脂は高価であり、また不活性ガス置換が必要でランニングコスト高になるという点から紫外線による架橋硬化が好ましい。紫外線を用いて硬化させる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。本発明において使用される光重合開始剤はラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、更にラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型とに分けられる。
光重合開始剤の例としては、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテルベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシシカルボニル)オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン等が挙げられ、単独で又は2種以上混合して使用されるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明で使用される光重合促進剤は、ベンゾフェノン系やチオキサントン系などの水素引抜きタイプの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があるものであり、例えば芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系のものがある。具体的には、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。これら光重合促進剤は単独で又は2種以上混合して使用される。これらの光重合開始剤および光重合促進剤の添加量としては保護層の樹脂成分全重量に対して0.1〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%である。
可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)表面の動摩擦係数は印字・消去を繰り返しても機械的損傷による画像劣化を解消するために0.3以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.3より大きくなると媒体表面の滑性が低下して搬送不良が発生する。
この動摩擦係数0.3以下を達成するために、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、シリコーンオイル等の滑剤を添加することができる。これらの添加量としては、保護層の樹脂成分全重量に対して0.01〜50重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜40重量%である。添加量はわずかでも効果を発現するが、50重量%を越えると下層との接着性に問題が生じる場合がある。
また、保護層中に有機紫外線吸収剤を含有しても良く、その含有量は保護層の樹脂成分全重量に対して0.5〜10重量%の範囲が好ましい。さらに、添加剤として従来公知の界面活性剤、酸化防止剤、レベリング剤、光安定化剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
また、媒体表面の表面粗さRaは0.2μm以下であることが好ましく、0.2μmを越えると充分な光沢感が得られず、また繰り返し使用により光沢変化が発生したり、消去跡が認識されるようになり、消去残りが増加したような錯覚に陥る場合がある。
動摩擦係数の測定は、HEIDON式試験器でセラミックボールを用いて行ない、そのときの設定は荷重が200gであり、移動速度は0.75mm/sである。また、表面粗さRzはJISB0601法に基づき測定されるもので、Raとは被測定面の中心線平均粗さを表わす。表面粗さRaの測定は、例えば表面粗さ形状測定装置サーフコム570Aを用い、そのときの条件はカットオフ値0.8mm、測定長さ2.5mm、走査速度0.3mm/s、触針曲率半径5μmである。
保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1.5〜6μmである。
本発明において、記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層が設けられる。中間層に用いられる樹脂として、前記記録層で用いられた熱硬化性樹脂を混合することができる。
中間層には、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。用いられる紫外線吸収剤としては有機化合物系ではベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ケイ皮酸系の紫外線吸収剤があり、好ましくはベンゾトリアゾール系である。中でも水酸基を隣接する嵩高い官能基で保護したものが特に好ましく、さらには2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が好ましい。さらにはアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、カプロラクトン系等の重合した高分子にこのような紫外線吸収能を有する骨格のものをペンダントしても良い。これら紫外線吸収剤の含有量は中間層の樹脂成分全重量の0.5〜80重量%の範囲が好ましい。
無機化合物としては平均粒径100nm以下の金属酸化物微粒子が挙げられ、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデンのような金属酸化物およびこれらの複合酸化物が挙げられる。好ましくはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムである。表面をシリコーン、ワックス、有機シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、あるいはシリカ等で前処理することもできるし、塗布液調整後に前記カップリング剤を混合して表面修飾させることもできる。これら無機系紫外線遮蔽剤の含有量は体積分率で1〜95%の範囲が好ましい。また、これらの有機系および無機系紫外線遮蔽剤は記録層に含有させてもよい。
100nm以下の平均粒径を有するフィラーを生成する方法としては、気相反応法、あるいは液相反応法等従来の技術を用いて調製することができる。粒子径はレーザー回折法やコールターカウンターでは凝集体の粒径を測ってしまうため、透過型電子顕微鏡、あるいは走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で像を捉え、コンピュータによる画像解析、あるいは手計算によるヒストグラム作成によって1次粒子径を算出する方法で行なう。
中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置は、前記保護層で用いられた公知の方法を用いることができる。
また、本発明において、中間層の接着力を向上させるために、中間層と隣接する層に接着層を設けることができる。接着層は一般に樹脂を主成分とする。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが好ましく用いられる。中でもアルコール可溶性のナイロンが好ましい。また、接着層の代わりに、これらの成分を記録層や保護層中に含有させ、中間層と直接積層するという方法もある。
接着層の膜厚は0.01〜3μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。接着層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置は、前記保護層で用いられた公知の方法を用いることができる。
また、本発明において、印加した熱を有効に利用するため、支持体と感熱記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設けることができる。アンダーコート層は、有機または無機の微小中空体粒子、あるいは多孔質粒子を含有したバインダー樹脂を用いて塗布することにより形成できる。支持体と感熱記録層の接着性の改善や支持体への感熱記録層材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を設けることもできる。
アンダーコート層には、前記の感熱記録層用、あるいは保護層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。また、感熱記録層およびアンダーコート層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラーおよび/または各種有機フィラーを含有させることができる。その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
記録層、中間層、保護層、接着層、アンダーコート層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ロール状で連続して、あるいはシート状に裁断した基材を搬送し、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。塗布したシートは引き続き送風乾燥機の中に搬送され、30〜150℃で10秒から10分間乾燥される。
特に、無欠陥塗工のために、塗布液は事前や送液中に通常の濾紙のほか、ステンレスメッシュ、ナイロンメッシュ等の網、あるいはコットンフィルター、ファイバーカーボンフィルター等の天然あるいは合成繊維系フィルター、メンブランフィルター等の膜濾過を通したり、超音波を1分〜200時間、好ましくは10分〜80時間掛けることによって異物を除いたり泡の混入、分散物の凝集を避けることができる。また、全層を一貫してクラス10,000以下のクリーンルーム内で塗布するのが好ましい。乾燥にはフィルター及び除湿装置を通した空気あるいは窒素等の不活性ガスを熱し、これを表面から、裏面から、あるいは双方から吹き付けるのが好ましい。これらのうち、特に好ましいのはコットンフィルターやメンブランフィルターによる濾過や超音波照射である。上記のような装置を適宜選択して使用することにより塗布層の均一性が向上し、1mあたりのピンホール状の印字欠陥の数を100個以下にすることができる。
記録層や保護層は、熱硬化の場合は塗布乾燥後、必要に応じてキュアを行なう。キュアによって、熱架橋の場合は架橋を促進することができるし、それ以外の場合も残留溶剤を低減させて品質安定化を図れる。恒温槽等を用いて比較的高温で短時間でもよく、また、比較的低温で長時間かけて熱処理してもよい。キュア条件は10〜130℃程度の温度条件で1分〜200時間程度加温することが好ましい。より好ましくは15〜100℃の温度条件で2分〜180時間程度加温することが好ましい。製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって40〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。温風を塗布面に直接当てても、ロール状、あるいはシート状に裁断してまとめた状態で恒温槽に静置しても良い。温度をかけたくない場合は減圧乾燥法でも良い。温度を段階的に上昇、あるいは下降させる、あるいは上層塗布後あるいは単純に時間を分割するなど複数回に分けることによって、物性を制御したり生産工程を効率化することもできる。
紫外線による膜の形成は、塗布乾燥後に紫外線照射装置で光重合反応を施して行なう。紫外線硬化には従来公知の照射装置を用いることができ、光源としては水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどがあるが、前記した光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使用すればよい。また、照射条件としては、樹脂を架橋させるために必要な照射エネルギーに応じて、ランプ出力、搬送速度を決めればよい。また、電子線による架橋硬化を行なう場合、電子線照射装置としては、照射面積、照射線量などの目的に応じて、走査形、非走査形いずれかを選べば良く、照射条件としては、樹脂を架橋するのに必要な線量に応じて、電流、照射幅、搬送速度を決めれば良い。電子線硬化の場合には照射工程において不活性ガスや真空化によって硬化を阻害する酸素濃度を下げることが必要であるが、紫外線硬化においても同様の置換操作を行なうと好ましい。酸素濃度を下げるには、塗布液の乾燥時点から照射工程に至るまでに窒素などの不活性ガスを流し続ける方法や、裁断したものをボックスに入れてから減圧により真空化、あるいはガス置換する等の方法がある。連続生産ができることから、照射工程部位に限って不活性ガスを流す方法が良い。酸素濃度は低い方が良く、5%以下、更に好ましくは3%以下にする。
また、近年ICカードや光カード等の厚手カード、非接触ICタグ等の薄手シート、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等への情報表示の要求から、前記可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)を構成する支持体の感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けて感熱記録ラベルとし、カード等の基体シートや他の媒体へ貼り付けても良い。このとき、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
接着剤層又は粘着剤層の材料は一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる上記基体シートとしては、以下に示すような材料からなるシートやこれらの積層体が用いられる。
塩素含有重合体:ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など、ポリエステル樹脂:ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、あるいはテレフタル酸またはイソフタル酸などの酸成分と、エチレングリコールまたはシクロヘキサンジメタノールなどのアルコール成分との縮合エステル樹脂(たとえばPETG:イーストマンケミカル社の商標)など、生分解性プラスチック樹脂:ポリ乳酸系樹脂、デンプンと変性ポリビニールアルコール等とからなる天然高分子系樹脂、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とからなる微生物産生の樹脂等。さらにポリアセテート、ポリスチレン(PS)、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリカーボネート(PC)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂シートまたは合成紙等が挙げられ、これら上記材料を適宜組み合わせてもよく、これら上記の材料を積層したものでもよい。
このような積層の例としては、例えば厚さ250μmの白色ポリ塩化ビニル樹脂シートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚さ100μmの透明ポリ塩化ビニル樹脂シートをオーバーシートとして積層したもの、また例えば厚さ250μmの白色PETGシートを2枚積層したコアシートと、このコアシートの表裏面に厚さ100μmの透明PETGをオーバーシートとして積層したものなどが挙げられる。
これらの基体シートと前記感熱記録ラベルを貼り付ける方法として、図1および図2に例示されるように両者を鏡面板と対向するように載置して2枚の鏡面板で挟み込み、熱圧着を行なう方法がある。熱圧着は、公知手段、たとえば熱プレス機を用いて、通常、5〜70kg/cm、好ましくは10〜50kg/cmの加圧下に、80〜170℃、好ましくは90〜150℃の範囲で行なわれる。なお熱圧着時の加熱温度は基体シートによって最適な温度範囲が決定され選択される。また感熱記録ラベルと基体シートとを、予め熱接着した後に熱貼り合わせすることもできる。前記熱接着は、ゴムロール等を押し当てて行なう方法がある。その後、熱貼り合わせして熱圧着が終了する。前記熱接着は、通常、90〜130℃の温度範囲で行なわれる。このような熱圧着は、上記した条件下に、たとえば1時間未満、好ましくは1〜50分間程度保持した状態で行なうことができる。なお前記保持時間は、単なる例示であり、本発明では特に限定されるものではない。
ここで、例えばフィラーにより媒体表面を荒らした保護層を設けた感熱記録ラベルをカード等の基体シート上に熱圧着した場合、熱圧着により保護層表面のフィラーが保護層中あるいは下層に押し込まれて表面光沢が上昇し、その結果フィラーの効果がなくなり繰り返し耐久性が低下してしまったり、さらに表面光沢が上昇した状態で印字・消去を繰り返すと、印字・消去を行なった部分の光沢が低下して、非印字・消去部との光沢差が光沢ムラとして認識されるようになるという新たな問題が生じることがあるが、本発明の保護層を用いると上記のような問題も解決できる。この時の可逆性感熱記録媒体の表面粗さRaが0.15μm以下であるとさらなる光沢感が得られて好ましい。
前記基体シートとして、例えば透明ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/白色ポリ塩化ビニルシート/透明ポリ塩化ビニルシートのような積層体を用いた場合には、前記熱圧着時の加熱温度は、130〜150℃程度が好ましく、また透明PETG/白色PETG/白色PETG/透明PETGのような積層体を用いた場合の加熱温度は、100〜130℃程度であってもよい。
このような熱圧着は、他の手段により行なってもよいが、そのときの圧力および温度条件は、前記同様にして行なわれる。
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)において、前記感熱記録ラベルは前記基体シートの全面に設けられていてもよく、一部に設けられていてもよく、前記基体シートの片面もしくは両面に設けられていてもよく、適宜選択される。また、熱圧着で感熱記録ラベルを貼りつける場合、前記可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の感熱記録層を形成する面と反対の面に接着剤層又は粘着剤層は必ずしも必要ではない。
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)は、熱可逆性記録部と情報記憶部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を熱可逆性記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際に用いられる記憶部は磁気記録層やIC記録部などが好ましく用いられる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)はその用途に応じた形に加工することができ、カード状、シート状、ロール状などに加工される。カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカードさらにはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、A4サイズなど一般文書サイズに加工されたシート状のものは、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。さらに、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板・掲示板または電子黒板に用いることができる。このような表示装置は塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)は、非可逆の感熱記録層を併用してもよく、このときそれぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体の感熱記録層と同一面および/または反対面の一部分もしくは全面に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、またはインクジェットプリンター、熱転写プリンタ、昇華型プリンタなどによって任意の絵柄などを施した着色層を設けても良く、さらに着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。ラミネートする場合には、支持体、貼り合わせる基体シート上にあらかじめ、上記の印刷を施すことができる。任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、あるいは赤外線で検知する情報などである。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
さらには、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。エンボス加工によって文字情報、点字情報、あるいは意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
本発明の可逆性感熱記録媒体(I)(II)(III)を用いて発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、例えばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると感熱記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。
一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。
また、感熱記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体表面とは感熱記録層側表面のことであり、保護層に限ったものでなく、印刷層表面、OP層表面、ラミネート層表面など印字消去の際サーマルヘッドに接触する全て又は一部の面を意味している。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
[可逆性感熱記録媒体(I)]
実施例1
《記録層の作製》
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 3部
下記の構造の顕色剤 9部
Figure 2006069149
トリオクチルホスフィン 5部
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5153) 30部
メチルエチルケトン 48部
上記組成物をペイントシェーカーにて粒径1.0μmまで粉砕分散した。得られた顕色剤分散液にアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製:コロネートHL)10部を加え、よく撹拌し感熱記録層塗布液を調製した。この感熱記録層塗布液を、厚さ250μmの白色PETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約15μmの感熱記録層を設けた。
《中間層の作製》
引き続き、下記組成物を良く攪拌して調製した中間層塗布液をワイヤーバーで塗布し、90℃1分で乾燥した後、70℃2時間加熱して、膜厚約2.0μmの中間層を設けた。
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5113) 15部
コロネートHL 5部
酸化亜鉛超微粒子(住友大阪セメント社製:ZnO−305) 2部
メチルエチルケトン 6部
《保護層の作製》
シリカ(富士シリシア社製:サイリシア310P:粒径1.4μm) 2部
ウレタンアクリレート(根上工業社製:アートレジンUN−3320HA) 4部
ポリエステルアクリレート(ダイセル化学工業社製:エベクリル1810) 4部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製:イルガキュア184) 0.4部
トルエン 18部
上記組成物をペイントシェーカーにて30分間振盪して保護層塗布液を調整した。この保護層塗布液を前記感熱記録層塗布済みフィルム上にワイヤーバーにて塗布、70℃で加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させた後、60℃で24時間加熱して膜厚約4μmの保護層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例2
トリオクチルホスフィンを(2−オクチルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィンに換えた以外は実施例1と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例3
トリオクチルホスフィンを1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)シクロヘキサンに換えた以外は実施例1と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例4
顕色剤を下記構造の顕色剤に換えた以外は実施例1と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
Figure 2006069149
[熱記録媒体(II)]
実施例5
《記録層の作製》
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 3部
下記の構造の顕色剤 9部
Figure 2006069149
トリオクチルホスフィンオキサイド 5部
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5153) 30部
メチルエチルケトン 48部
上記組成物をペイントシェーカーにて粒径1.0μmまで粉砕分散した。得られた顕色剤分散液にアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製:コロネートHL)10部を加え、よく撹拌し感熱記録層塗布液を調製した。この感熱記録層塗布液を、厚さ250μmの白色PETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約15μmの感熱記録層を設けた。
《中間層の作製》
引き続き、下記組成物を良く攪拌して調製した中間層塗布液をワイヤーバーで塗布し、90℃1分で乾燥した後、70℃2時間加熱して、膜厚約2.0μmの中間層を設けた。
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5113) 15部
コロネートHL 5部
酸化亜鉛超微粒子(住友大阪セメント社製:ZnO−305) 2部
メチルエチルケトン 6部
《保護層の作製》
シリカ(富士シリシア社製:サイリシア310P:粒径1.4μm) 2部
ウレタンアクリレート(根上工業社製:アートレジンUN−3320HA) 4部
ポリエステルアクリレート(ダイセル化学工業社製:エベクリル1810) 4部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製:イルガキュア184) 0.4部
トルエン 18部
上記組成物をペイントシェーカーにて30分間振盪して保護層塗布液を調整した。この保護層塗布液を前記感熱記録層塗布済みフィルム上にワイヤーバーにて塗布、70℃で加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させた後、60℃で24時間加熱して膜厚約4μmの保護層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例6
トリオクチルホスフィンオキサイドを(2−オクチルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィンオキサイドに換えた以外は実施例5と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例7
トリオクチルホスフィンオキサイドを1,3−ビス(ジフェニルホスフィニル)プロパンに換えた以外は実施例5と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例8
顕色剤を下記構造の顕色剤に換えた以外は実施例5と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
Figure 2006069149
[熱記録媒体(III)]
実施例9
《記録層の作製》
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 3部
下記の構造の顕色剤 9部
Figure 2006069149
トリドデシルホスフィンスルフィド 5部
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5153) 30部
メチルエチルケトン 48部
上記組成物をペイントシェーカーにて粒径1.0μmまで粉砕分散した。得られた顕色剤分散液にアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製:コロネートHL)10部を加え、よく撹拌し感熱記録層塗布液を調製した。この感熱記録層塗布液を、厚さ250μmの白色PETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約15μmの感熱記録層を設けた。
《中間層の作製》
引き続き、下記組成物を良く攪拌して調製した中間層塗布液をワイヤーバーで塗布し、90℃1分で乾燥した後、70℃2時間加熱して、膜厚約2.0μmの中間層を設けた。
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5113) 15部
コロネートHL 5部
酸化亜鉛超微粒子(住友大阪セメント社製:ZnO−305) 2部
メチルエチルケトン 6部
《保護層の作製》
シリカ(富士シリシア社製:サイリシア310P:粒径1.4μm) 2部
ウレタンアクリレート(根上工業社製:アートレジンUN−3320HA) 4部
ポリエステルアクリレート(ダイセル化学工業社製:エベクリル1810) 4部
光重合開始剤(日本チバガイギー社製:イルガキュア184) 0.4部
トルエン 18部
上記組成物をペイントシェーカーにて30分間振盪して保護層塗布液を調整した。この保護層塗布液を前記感熱記録層塗布済みフィルム上にワイヤーバーにて塗布、70℃で加熱乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させた後、60℃で24時間加熱して膜厚約4μmの保護層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例10
トリドデシルホスフィンスルフィドを(2−ドデシルカルバモイルエチル)ジフェニルホスフィンスルフィドに換えた以外は実施例9と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例11
トリドデシルホスフィンスルフィドを1,4−ビス(ジフェニルホスフィノチオイル)ブタンに換えた以外は実施例9と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例12
顕色剤を下記構造の顕色剤に換えた以外は実施例9と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
Figure 2006069149
[比較例]
比較例1
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 3部
下記の構造の顕色剤 9部
Figure 2006069149
アクリルポリオール樹脂40%溶液(三菱レーヨン社製:FR5153) 40部
メチルエチルケトン 36部
上記組成物をペイントシェーカーにて粒径1.0μmまで粉砕分散した。得られた顕色剤分散液にアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液(日本ポリウレタン社製:コロネートHL)12部を加え、よく撹拌し感熱記録層塗布液を調製した。この感熱記録層塗布液を、厚さ250μmの白色PETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約15μmの感熱記録層を設けた。引き続き、実施例1、5、9と同じ手順で中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
比較例2
顕色剤を実施例4、8、12の化合物に変更した以外は比較例1と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
比較例3
トリオクチルホスフィンをN−n−オクタデシル−6−(N’−n−オクタデシルウレイド)ヘキサンアミドに変更した以外は実施例1、5、9と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
比較例4
トリオクチルホスフィンをn−ヘキサメチルホスホニウムブロマイドに変更した以外は実施例1、5、9と同様に記録層、中間層、保護層を順次設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。
以上の様に作製した実施例1〜4の可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録媒体(I))の評価結果を比較例と対比して表1に、実施例5〜8の可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録媒体(II))の評価結果を比較例と対比して表2に、実施例9〜12の可逆性感熱記録媒体(可逆性感熱記録媒体(III))の評価結果を比較例と対比して表3に、それぞれ示す。
上記実施例、比較例にて得られた可逆性感熱記録媒体を、感熱印字シミュレータ(印字速度60mm/sec)にて印字および消去を行なった。階調印字にて濃度が無印字部に対して0.1高くなった時点でのエネルギーを発色開始点(発色感度)とし、消去は、飽和濃度で打ったベタ画像に対して印字時と同じように階調印字を行ない、画像濃度が飽和濃度よりも10%低くなった時点でのエネルギーを消去開始点(消去感度)とした。印字部および消去部の濃度は、マクベス濃度計RD914の黒濃度にて測定した。発色濃度はバーコード読み取りを可能にするためには1.0が必要であり、消去濃度は0.25以下であれば実用上問題ない。
Figure 2006069149
Figure 2006069149
Figure 2006069149
本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の一例を示す図である。 本発明における可逆性感熱記録ラベルと基体シートの熱圧着工程の他の例を示す図である。
符号の説明
1 熱板
2 鏡面板
3 可逆性感熱記録ラベル
4 基体シート
5 可逆性感熱記録媒体
6 コアシート
7 オーバーシート

Claims (18)

  1. 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層および該可逆性感熱記録層上に少なくとも1層以上の保護層を設けてなる可逆性感熱記録媒体において、可逆性感熱記録層中に下記一般式(1)にて示されるホスフィン化合物を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149
    (式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
  2. 一般式(1)で示されるホスフィン化合物が、該一般式(1)のR、R、Rのうち少なくとも1つが、下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、Rは水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
  3. 一般式(1)で示されるホスフィン化合物が、該一般式(3)のR、R、Rのうちの1つが、下記一般式(3)で示されるジホスフィン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
  4. 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層および該可逆性感熱記録層上に少なくとも1層以上の保護層を設けてなる可逆性感熱記録媒体において、可逆性感熱記録層中に下記一般式(4)にて示されるホスフィンオキサイド化合物を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
  5. 一般式(4)で示されるホスフィンオキサイド化合物が、該一般式(4)のR、R、Rのうち少なくとも1つが、下記一般式(5)で示されるものであることを特徴とする請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、Rは水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
  6. 一般式(4)で示されるホスフィンオキサイド化合物が、該一般式(4)のR、R、Rのうちの1つが、下記一般式(6)で示されるジホスフィンオキサイド化合物であることを特徴とする請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
  7. 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層および該可逆性感熱記録層上に少なくとも1層以上の保護層を設けてなる可逆性感熱記録媒体において、可逆性感熱記録層中に下記一般式(7)にて示されるホスフィンスルフィド化合物を含むことを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149
    (式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれるいずれかの置換基を表わす。)
  8. 一般式(7)で示されるホスフィンスルフィド化合物が、該一般式(7)のR、R、Rのうち少なくとも1つが、下記一般式(8)で示されるものであることを特徴とする請求項7に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、Rは炭素数0以上の2価の基であり、Rは水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わし、Xは窒素または酸素のいずれかと炭素または硫黄を含む2価の基を表わす。)
  9. 一般式(7)で示されるホスフィンスルフィド化合物が、該一般式(7)のR、R、Rのうちの1つが、下記一般式(9)で示されるジホスフィンスルフィド化合物であることを特徴とする請求項7に記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149


    (式中、Rは炭素数1以上の2価の基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の中から選ばれる基を表わす。)
  10. 可逆性感熱記録層中の顕色剤として、下記一般式(10)で示されるフェノール化合物を用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
    Figure 2006069149

    (式中、nは1〜3の整数を示し、Yは窒素原子または酸素原子を含む2価の基を表わす。また、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、R10は炭素数1以上14以下の脂肪族炭化水素基を表わす。)
  11. 可逆性感熱記録部と情報記憶部を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  12. 前記情報記憶部が磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリー、光メモリーの何れか少なくとも1種であり、媒体の1部に設けたことを特徴とする請求項11に記載の可逆性感熱記録媒体。
  13. 2種類以上のシートを貼り合わせた支持体が用いられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体の支持体の感熱記録面側の反対面側に接着剤層または粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録媒体ラベル。
  15. 不可逆な可視情報が予め感熱記録面側表面及び/又は裏面の少なくとも1部に形成してあることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体又は請求項14に記載の可逆性感熱記録媒体ラベル。
  16. 請求項1乃至13のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体又は請求項14に記載の可逆性感熱記録媒体ラベルを、加熱により画像形成及び/又は画像消去することを特徴とする画像形成・消去方法。
  17. サーマルヘッドを用いて加熱して画像形成することを特徴とする請求項16に記載の可逆性感熱記録媒体又は可逆性感熱記録媒体ラベルの画像形成・消去方法。
  18. サーマルヘッド、セラミックヒーター、ヒートロール、ホットスタンプ、ヒートブロックの少なくとも1種を用いて加熱して画像消去することを特徴とする請求項16又は17に記載の可逆性感熱記録媒体又は可逆性感熱記録媒体ラベルの画像消去方法。
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