JP2006067897A - 樹水鉢 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物を木製植木鉢で生育させる際、排出口を不要にし、衛生的で、煩雑な水の世話をすることなく給水の要らない作業にする。
【解決手段】未乾燥自然木の木塊外周を樹脂加工し、外気と遮断させる。かかる木塊内部にくりぬき部を形成し、この底部において樹皮に向かって拡大加工する。飽和状態に含水されている生木材内の水分を樹軸方向へと移動させ、木口面より蒸散せしめ、拡大加工部を介してくりぬき部に充填された栽培用土に吸収させて、植物を生育できるようにする。また植木鉢の上面に穴のあいたガラス板をのせ、栽培用土から発散される水蒸気を水滴にして落下させ、ふたたび栽培用土に戻し、潤わせるようにする。このガラス板の現象を観察することにより木材内の水分が把握出来るようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】未乾燥自然木の木塊外周を樹脂加工し、外気と遮断させる。かかる木塊内部にくりぬき部を形成し、この底部において樹皮に向かって拡大加工する。飽和状態に含水されている生木材内の水分を樹軸方向へと移動させ、木口面より蒸散せしめ、拡大加工部を介してくりぬき部に充填された栽培用土に吸収させて、植物を生育できるようにする。また植木鉢の上面に穴のあいたガラス板をのせ、栽培用土から発散される水蒸気を水滴にして落下させ、ふたたび栽培用土に戻し、潤わせるようにする。このガラス板の現象を観察することにより木材内の水分が把握出来るようにする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自然木を植木鉢に利用し、植物を生育させるための植木鉢に関する技術分野である。
従来の植物鑑賞をする植木鉢には、自然木を素材にして中をくりぬき、そこへ栽培用土を充填し、植物を生育させているものがある。
特開H11―103688 また本出願人が本出願に先立ち出願している先行技術もある。
特開2004−187659
特願2003―413925
自然木をそのまま加工し、植木鉢として使用した場合、さまざまな問題が生じる。給水することにより排気口はもとより木材全体にカビが発生し、不衛生なものとなる。また排気口をとらない植木鉢については、給水の時期、量の判断において困難を極めることになる。そもそも木材は吸水性があるといわれているが、量的、吸水原理において不確定な要素が多すぎて、栽培用土が水分を取りすぎたり、底に水溜りができたりして栽培に適さない素材ともいえる。
しかしながら自然木の美しさは、他のいかなる素材にも優れ、かつ昨今の幾多の環境問題を考えると、必要不可欠な素材である。
しかしながら自然木の美しさは、他のいかなる素材にも優れ、かつ昨今の幾多の環境問題を考えると、必要不可欠な素材である。
自然木を植木鉢として使用できるようにするには、植物の成長に不可欠な水分の影響による弊害を解消しなければならない。そこで自然木の持つ特性を利用し、排気口が不要で、衛生的で、煩雑な給水の世話をすることなく、木材の水分のみで植物栽培を可能とするような自然木植木鉢を提供する
本発明者がこれに先立ち出願した技術は、特開2004−187659において木材の導管ないし仮道管から供給される水分が、わずかであり、特願2003−413925における樹種は限定されている。本発明は、より多くの水分を供給し、より多くの樹種が、植木鉢の素材として採用されるようにする。
本発明は、自然木の生木材を材料として木塊をつくり、この木塊の外側全体を樹脂加工して密封し、木材内に含まれる水分が、周囲より外気へ発散しないようにする、
本発明は、この木塊内部に底部をのこして、くりぬき部をつくり、さらにこの底部において、植木鉢の強度を保つことが出来る最小限の厚みを周囲に残して辺材部を外壁近くまで拡大加工し、底部における拡大加工部は、くりぬき部と同室になるようにする。
本発明は、植物の茎等が充分に入る程度の穴をあけた透明なガラスまたはプラスチック等を、植木鉢の上面にのせ、接着剤等でガラス等が動かないよう植木鉢に固定する。
本発明の効果を説明する前に、木材の本件に関係する呼称を説明する.以後の説明には、この用語を使用する。
自然木はさまざまな形状の木塊に加工することができるが、輪切りの木塊にした場合で説明すると、年輪が丸く見える断面を木口という。年輪の中心を樹心といい、樹心に近い濃色の部分が心材であり、周辺の薄色の部分を辺材という。心材は、水分をあまり含まず、水分の吸収、保水されないとされるが、辺材においては含水率が高く,水分の吸収、保水性ももっている。この辺材の外まわりには樹皮がある。立体的構造の中での方向の呼び方については、幹の中心線を樹軸といい、樹軸に並行な方向を軸方向という。
針葉樹における、樹液が移動するための組織的な構成要素を説明すると、軸方向には、仮道管があり、仮道管とは針葉樹の主要な構成要素であり、広葉樹における道管と同様に水分の通道を受け持つ。
一般に針葉樹、広葉樹の未乾燥状態における木材内の水分は、仮道管、および道管を介して、軸方向に移動し、木口から大気へ水蒸気となり排出される。
自然木はさまざまな形状の木塊に加工することができるが、輪切りの木塊にした場合で説明すると、年輪が丸く見える断面を木口という。年輪の中心を樹心といい、樹心に近い濃色の部分が心材であり、周辺の薄色の部分を辺材という。心材は、水分をあまり含まず、水分の吸収、保水されないとされるが、辺材においては含水率が高く,水分の吸収、保水性ももっている。この辺材の外まわりには樹皮がある。立体的構造の中での方向の呼び方については、幹の中心線を樹軸といい、樹軸に並行な方向を軸方向という。
針葉樹における、樹液が移動するための組織的な構成要素を説明すると、軸方向には、仮道管があり、仮道管とは針葉樹の主要な構成要素であり、広葉樹における道管と同様に水分の通道を受け持つ。
一般に針葉樹、広葉樹の未乾燥状態における木材内の水分は、仮道管、および道管を介して、軸方向に移動し、木口から大気へ水蒸気となり排出される。
本発明は、自然木の生木材の木塊が周囲を樹脂加工されて外気と遮断されているため、飽和状態の辺材中の水分は、樹軸方向に樹脂加工されていない底部の木口面へと導管ないしは仮道管を通じて移動し、その木口面から蒸散されて拡大加工部を介し、同室内のくりぬき部へと移動し、そこに充填されている栽培用土に吸収され、栽培用土を潤すことになり、その水分により、そこに植えられた植物を生育させる事が出来るようになる特徴をもっている。
本発明の植木鉢は、自然木の周囲が樹脂加工され密封していて、外部と遮断されているため、水分を鉢外へ排出することなく、排気口も設計しないため、カビの発生を防ぐことが出来、衛生的なものとなる。
本発明における植木鉢のくりぬき部の上面には、ガラス等が載せてあり、栽培用土から蒸散される水蒸気はガラス等で遮られ、くもりはじめ、その後水玉状の水滴となり、さらに水滴が大きく成長すると栽培用土に落下し、栽培用土を潤すことが出来る。このようにして蒸発した水分もふたたび植物生育に利用することが出来て、保水効果を高めることになる。
添付図面は、本発明の植木鉢について図示するものである。図面に基づき本発明の実施例について詳細に説明する。
本発明の素材の選定については、切り出して間もない自然木を利用し、樹皮をつけておく。切り出して間もない生木材は、水分を多く含み、ヒビ割れが全くない。樹皮をつけておくことで水分を含む木材加工品でもカビの発生を防止することが出来るうえ、外側における密封効果を高めることが出来、さらに美術的にも効果がある。この植木鉢1についてのヒビ割れについては、長期間にわたり何も栽培せず、直射日光にさらして置いかれた状態ではヒビ割れを生じる可能性は否定できないが、栽培に用いている限り直射日光にさらしても、ヒビ割れを生じることはない。
本発明の自然木を加工する形状は、縦、横、斜め、いろいろあるが輪切りの形状にて木材の成長形態での形状が一番ふさわしい。加工する前によく心材の大きさ、位置を確かめておき、くりぬき部2を加工し、さらに底部において樹皮7側に向けて拡大加工部を形成する。その際、外側の辺材部で植木鉢として強度を保てる周囲の厚みを残し、その拡大する容量にはとくに制限は設けないものの、樹皮7に近づけるほど辺材部における水分が利用出来るので望ましいものの、植木鉢としての強度が保てる辺材部の厚みは残す。
本発明の水分を含む木材の樹脂加工に使用する樹脂材料には、ウレタン系の塗料が適していて、樹皮部においての塗装作業は樹皮部をよく乾燥して、2ないし3回塗装する。細部にも塗装できるよう塗装液に木塊を浸すようにする。木口における塗装作業は、木塊が水分を含んでいるため、硬化時間30分程度で粘度の低い塗料を木口の繊維にしみこませる。この作業を3回ほど繰り返し塗り、半日ほど経過すると木口に水蒸気が発散した小さい穴が生じることがあるのでその穴をサンダー等で平坦にして、その後2回ほど塗る。
本発明の加工の完成した植木鉢1は、生木材を使用しているため、水分が飽和状態になっているが、この状態を維持させるには、くりぬき部2に水を入れておく。こうしておくと、生木材の水分飽水状態を保つことができ、切り出されてからの期間に関係なく本発明の効果が得られる。また切り出されてからある程度の日数を経過し、含水率の下がった自然木は、くりぬき部に水を溜め浸透しなくなるまで数日間放置する。含水率の確認は、水の中に入れて浮き具合で判断するのが簡単である。すなわち自然木の比重が1前後であれば飽和状態とみなしてよいので、水に浮かぶか、沈むかの状態で判別できる。乾燥した自然木においては、表皮の剥離とヒビの発生により本発明の効果が得られにくい。また乾燥するにつれ、木塊材内の水分が飽和状態になりにくいので、本発明効果が減少する。
本発明のくりぬき部2に栽培用土3を充填するには、吸湿性、保水性のよいものが適している。たとえば鹿沼土、赤玉が適している。
本発明植木鉢の上面のガラス4については、ガラスのように水蒸気を水滴化させやすい透明性のある材質がよい。プラスチックのようなものでもよいが、透明性、発水性がなければならない。このガラスの中央部に植物の茎、葉等9が通るため、それらの大きさ以上の穴をあける。すでに大きくなっている植物を栽培する場合には、植物を植えた後、2枚のガラスをあわせることになる。このガラス4は植木鉢1の上面にのせ、接着剤等で動かないよう固定する。
本発明の植木鉢1に栽培用土3を充填し、植物を植え屋外、屋内で栽培すると、辺材部の水分は、乾燥しようとして、樹心軸方向へと移動してその木口面より拡大加工部6を介して同室内のくりぬき部2へと移動してそこに充填された栽培用土3へと排出される。潤った栽培用土内の水分は、水蒸気となり大気へと蒸散するが、ガラス4に遮られ、水滴8となりガラス4に付着する。水滴8が成長し大きくなると、栽培用土3へと落下し、栽培用土が潤うことになる。
本発明に使用した樹種は、杉松、桧等の針葉樹と,桜、くぬぎ、楢、ケヤキ、等の広葉樹であるが、針葉樹は、含水率が高いため長期間の栽培期間が可能であるが、広葉樹においては、含水率が低いため。短期間の栽培期間となり、球根を1ないし2ヶ月遅らせてから植え込んで栽培することになる。
1 植木鉢
2 くりぬき部
3 栽培用土
4 ガラス
5 穴
6 拡大加工部
7 樹皮
8 水滴
9 茎等
2 くりぬき部
3 栽培用土
4 ガラス
5 穴
6 拡大加工部
7 樹皮
8 水滴
9 茎等
Claims (2)
- 生木材の全周囲を樹脂加工して外気と遮断された木塊において、底部を残してくりぬき加工され、さらに、このくりぬき底部において、鉢としての強度を保てる辺材の厚みを残して外壁部に達するよう拡大加工されており、この拡大加工部がくりぬき部に充填された栽培用土と同室となっている植木鉢を形成し、辺材部の木塊材内に含水されている水分が、仮道管もしくは導管より樹軸方向に移動し、かかる底部の辺材木口面より拡大加工部に蒸散されると、同室内にあるくりぬき部の栽培用土に吸収されて栽培用土を潤し、その水分により植物が生育できるという特徴をもった植木鉢。
- 請求項1記載の植木鉢の上面に穴のあいた透明なガラスまたはプラスチックをのせて、栽培用土から発散される水蒸気を水玉状に付着させ、水玉が大きく成長すると栽培用土に落下し、ふたたび栽培用土を潤すようにして保水効果を高め、かつ水玉状態を観察することにより、栽培用土および鉢内に含まれる水分を把握できるという特徴をもった植木鉢。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004255030A JP2006067897A (ja) | 2004-09-02 | 2004-09-02 | 樹水鉢 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006067897A true JP2006067897A (ja) | 2006-03-16 |
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ID=36149162
Family Applications (1)
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JP2004255030A Pending JP2006067897A (ja) | 2004-09-02 | 2004-09-02 | 樹水鉢 |
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JP (1) | JP2006067897A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106797873A (zh) * | 2017-02-13 | 2017-06-06 | 新疆林业科学院 | 干旱灌溉区树木移栽装置及移栽方法 |
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2004
- 2004-09-02 JP JP2004255030A patent/JP2006067897A/ja active Pending
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