JP2006067774A - 電機子、モータ及び電機子の製造方法 - Google Patents

電機子、モータ及び電機子の製造方法 Download PDF

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靖英 伊藤
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Abstract

【課題】小型化を図りながら、生産性を向上することができる電機子を提供する。
【解決手段】電機子3は、少なくとも1つのティース13を有する複数の分割コア部材が組み付けられて形成されるコア10と、ティース13に巻装された巻線15と、略円筒形状でありその外周面に陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bが摺接され、巻線15と接続される整流子11とを備える。コア10は、巻線15の端部が接続されると共に、組み付けられた整流子11に設けられたターミナルピン18が電気的に接続されるターミナル30を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電機子、モータ及び電機子の製造方法に関するものである。
従来、モータ(モータ等)における電機子は、巻線が巻装される複数のティースが放射状に設けられたコアを有している。このようなコアを有する電機子では、占積率を上げるべく種々の構成が提案されており、例えば、少なくとも1つのティースとティースの径方向内側に形成される環状部と有する複数の分割コア部材を組み合わせて構成したコアを備えたものがある(例えば、特許文献1〜5参照)。
上記のようなコアであれば、各分割コア部材のティースに巻線を巻装した後、それら分割コア部材を組み付けて一体化することができる。このため、隣り合うティースにより邪魔されることなく各ティースに巻線を巻装することができ、占積率の高い電機子を形成することができる。
モータの製造工程において、上記の構成の電機子(巻線が巻装されたコア)と整流子とを回転軸に圧入し、各ティースに巻装された巻線の端部を整流子の各セグメントに接続するまで該巻線が解けないように保持しておく必要がある。ところが、一般的に、コアのティースに巻回される巻線(例えば銅線)は柔らかく自ら形状を保持することはできないため、各ティースに巻線を巻装した後一旦その端部を離してしまうと、セグメントに接続する際に巻線の端部を掴むことは組み立てが自動化された工程において困難であり生産性が悪かった。または、巻線の先端を保持しておくための機構が必要とされ、モータの大型化を招くという問題があった。
モータの生産の自動化を可能として生産性を向上するという観点からすると、例えば、特許文献6には、軸方向にブラシが押付けられる平面状(円盤状)の整流子を備えたモータが開示されている。この構成であると、巻線の端部と各セグメントとは巻線の外周側で容易に接続することができるため、生産の自動化が可能であった。
特開平9−46941号公報 実開昭63−187545号公報 特開平9−322441号公報 特開2002−291183号公報 特開2002−369421号公報 特開2003−116248号公報
しかしながら、モータの短軸化を図る場合、円筒形状の整流子に外周側からブラシを押付ける構成とすることが好ましい。この場合、巻線の端部と整流子の各セグメントとを、巻線の外周側で接続するには、各セグメントの爪部を、接続が容易となる位置まで延出させる等の構成が必要となり、モータの大型化やコストの増大を招くという問題があった。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化を図りながら、生産性を向上することができる電機子、モータ及び電機子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数のティースを備えたコアと、前記ティースに巻装された巻線と、前記巻線と接続される整流子とを備えた電機子において、前記コアは、前記巻線の端部が接続されると共に前記コアと前記整流子とが組み付けられることで前記整流子に設けられた接触部に電気的に接続される被接触部を有することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、少なくとも1つのティースを有する複数の分割コア部材が組み付けられて形成されるコアと、前記ティースに巻装された巻線と、略円筒形状でありその外周面に陽極側給電ブラシ及び陰極側給電ブラシが摺接され、前記巻線と接続される整流子とを備えた電機子において、前記コアは、前記巻線の端部が接続されると共に前記コアと前記整流子とが組み付けられることで前記整流子に設けられた接触部に電気的に接続される被接触部を有することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電機子において、前記接触部は軸方向に前記コア側に突出して延びる突出部であり、前記被接触部は軸方向に前記整流子側に開口して前記突出部が挿入される挿入部を有することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電機子において、前記接触部は軸方向に前記コア側に突出して延びるターミナルピンであり、前記被接触部は軸方向に前記整流子側に開口して前記ターミナルピンが挿入される挿入部を有するターミナルであることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、周方向に異極となる永久磁石を備えた固定子に対し、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の電機子が回転可能に配置され、該電機子に対して陽極側給電ブラシ及び陰極側給電ブラシから給電を行うように構成されたことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のモータにおいて、前記永久磁石の極数Pが4以上の偶数とされ、前記ティース間のスロット数NがP±1、又はP±2とされ、前記整流子に設けられるセグメント数SがN×(P/2)とされ、且つ、短節巻係数KがK≧0.9となるように、前記極数P及び前記スロット数Nの組み合わせが設定されたこと要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のモータにおいて、極数が6、スロット数が8、セグメント数が24のとき、前記接触部は2つのセグメントに設けられ1つのセグメントに設けられないように前記セグメントに3つごとに周方向交互に配置されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のうち何れか1項に記載のモータにおいて、前記永久磁石の磁極数は6に設定され、前記ティース間のスロット数は8に設定され、前記整流子の外周面に周方向に配設されるセグメント数は24に設定されたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、複数のティースを備えたコアと、前記ティースに巻装された巻線と、前記巻線と接続される整流子とを備え、前記コアは、前記巻線の端部が接続されると共に前記コアと前記整流子とが組み付けられることで前記整流子に設けられた接触部に電気的に接続される被接触部を有する電機子の製造方法において、前記コアの各ティースに前記巻線を巻装する巻回工程と、前記ティースに巻装された前記巻線の端部を前記接触部に接合する接続工程と、前記コアと前記整流子とを組み付けて前記接触部を前記被接触部に圧入する圧入工程とを有することを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電機子の製造方法において、前記コアは、少なくとも1つのティースを有する複数の分割コア部材が組み付けられて形成されており、前記接続工程の後、前記圧入工程の前に、前記複数の分割コア部材が組み付けられることを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の電機子の製造方法において、前記被接触部は複数が連結された状態で前記コアに設けられ、前記接続工程の後に分割されることを要旨とする。
(作用)
請求項1,5に記載の発明によれば、電機子を構成するコア側において巻線が被接触部に接続されており、コアと整流子とが組み付けられた状態で被接触部と整流子に設けられた接触部とが電気的に接続されている。つまり、巻線の端部を保持する(接続される)機能、及び整流子との電気的接続を可能とする機能を有する被接触部を介して、巻線と整流子とが電気的に接続されるため、コアと整流子とが複雑な位置関係にあったとしても、位置精度を確保しながら容易に両者を組み付けることができる。従って、整流子の形状は制限を受けず、電機子の小型化を図ることができる。また、コアと整流子とを組み付けることで接触部と被接触部、即ち巻線と整流子とを接続することができるため、巻線の端部と整流子とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、電機子を構成するコア側において巻線が被接触部に接続されており、コアと整流子とが組み付けられた状態で被接触部と整流子に設けられた接触部とが電気的に接続されている。つまり、巻線の端部を保持する(接続される)機能、及び整流子との電気的接続を可能とする機能を有する被接触部を介して、巻線と整流子とが電気的に接続されるため、コアと整流子とが複雑な位置関係にあったとしても、位置精度を確保しながら容易に両者を組み付けることができる。従って、整流子の形状は制限を受けず、電機子の小型化を図ることができる。また、コアと整流子とを組み付けることで接触部と被接触部、即ち巻線と整流子とを接続することができるため、巻線の端部と整流子とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。更には、コアは複数の分割コア部材が組み付けられて形成されており、コア側において巻線の端部は被接触部に接続される。このため、各分割コア部材に巻線を巻装してから組み付けることが可能となり、隣り合うティースに邪魔されることなく各ティースに巻線が巻回されるため、巻線は高密度で巻回され高占積化が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、接触部は軸方向にコア側に突出して延びる突出部であり、被接触部は軸方向に整流子側に開口して突出部が挿入される挿入部を有するため、コアと整流子とを組み付けるのみで接触部と被接触部とが電気的に接続される。このため、巻線の端部と整流子とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。また、巻線と整流子とを接続するための空間が必要とされないため、電機子の小型化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ターミナルピンは軸方向にコア側に突出して延びており、ターミナルは軸方向に整流子側に開口してターミナルピンが挿入される挿入部を有するため、コアと整流子とを組み付けるのみでターミナルピンとターミナルとが電気的に接続される。このため、巻線の端部と整流子とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。また、巻線と整流子とを接続するための空間が必要とされないため、電機子の小型化を図ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、短節巻係数が0.9以上とされるため、モータの小型化、又は高出力化が可能となる。なお、短節巻係数とは磁極ピッチに対して巻線辺の間隔を考慮した係数であり、モータの出力に比例する。つまり、短節巻係数が大きければ大きいほどモータの出力は大きくなる。
請求項7に記載の発明によれば、整流子(接触部)とコア(被接触部)とが接続される部分が、モータ(電機子)の周方向において等間隔に配設されるため、周方向の強度が均一となり、モータ回転時の振動や騒音の発生が好適に抑制される。
請求項8に記載の発明によれば、永久磁石の磁極数が6に設定され、スロットの数が8に設定されて、6極8スロットのモータが構成される。この場合、電機子の各ティース(即ちスロット)の合成トルクベクトルがゼロとなり、電機子のラジアル方向への力がゼロとなり、電機子のラジアル方向への力がゼロとなるため、ラジアル方向への力の作用による電機子の振動が抑制される。従って、モータ回転時の振動や騒音の発生を好適に抑制することができる。
請求項9に記載の発明によれば、電機子を構成するコアの各ティースに巻線が巻装されて、ティースに巻装された巻線の端部を被接触部に接合した後、コアと整流子とが組み付けられて接触部が被接触部に圧入される。つまり、巻線の端部を保持する(接続される)機能、及び整流子との電気的接続を可能とする機能を有する被接触部を介して、巻線と整流子とが電気的に接続されるため、コアと整流子とが複雑な位置関係にあったとしても、位置精度を確保しながら容易に両者を組み付けることができる。従って、整流子の形状は制限を受けず、電機子の小型化を図ることができる。また、コアと整流子とを組み付けることで接触部と被接触部、即ち巻線と整流子とを接続することができるため、巻線の端部と整流子とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。
請求項10に記載の発明によれば、コアは複数の分割コア部材が組み付けられて形成されており、コア側において巻線の端部は被接触部に接続される。このため、各分割コア部材に巻線を巻装してから組み付けることが可能となり、隣り合うティースに邪魔されることなく各ティースに巻線が巻回されるため、巻線は高密度で巻回され高占積化が可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、被接触部は、複数の被接触部が連結された状態で巻線が接合され、巻線が接合される部分及び接触部が圧入される部分ごとに切断されるため、製造工程における部品点数が低減され、低コスト化が可能となる。
本発明によれば、小型化を図りながら生産性を向上することができる電機子、モータ及び電機子の製造方法を提供することができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜19に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のモータとしてのブラシ付き直流モータ(以下、単に「モータ」という)1は、固定子2と電機子(回転子)3とを備えている。
固定子2は、略有底筒形状のヨークハウジング4と、該ヨークハウジング4の内周面に等角度間隔で配置固着された複数(本実施形態では6つ)の永久磁石5とを備えている。また、ヨークハウジング4の開口部を塞ぐようにエンドフレーム6が固定されており、そのエンドフレーム6には陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bが保持されている。そして、陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bは給電用端子8に接続されている。
電機子3は、回転軸9と、該回転軸9に固定されたコア(電機子コア)10と、同じく回転軸9に固定された整流子11とを備えており、回転軸9の両端側がヨークハウジング4の底部中央に保持された軸受12a及びエンドフレーム6の中央に保持された軸受12bにて回転可能に保持されている。なお、この状態でコア10は前記永久磁石5と対向して周囲を囲まれるように配置されている。
コア10には回転軸9を中心として放射状に複数の(本実施形態では8本)のティース13が形成されており、各ティース13にはボビン14を介して巻線15が巻装されている。また、コア10の整流子11側の端面には、ティース13に巻装された巻線15の端部が接続される被接触部としてのターミナル30が設けられている。
整流子11は、略円筒形状の絶縁体16と、該絶縁体16の外周面に周方向に等角度間隔で配設された複数(本実施形態では24個)のセグメント17とを備えており、その外周面(セグメント17)に前記陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bが摺接するように配置されている。
また、整流子11のコア側の面には、複数の(本実施形態では3つ)のセグメント17同士を短絡して同電位とする短絡部材40が設けられている。本実施形態のモータ1は6極8スロットであるため、図3に示すように、24個のセグメント17において8個おきに配置されるセグメント17が同電位とされる。
また、短絡部材40は、軸方向にコア10側に突出して前記ターミナル30に挿入される突出部及び接触部としてのターミナルピン18を備えている。このターミナルピン18がターミナル30に軸方向に挿入されることで、該ターミナルピン18(短絡部材40)とターミナル30とが電気的に接続されている。つまり、陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bから供給される電力は、各セグメント17、短絡部材40(ターミナルピン18)及びターミナル30を介して各巻線15に供給される。即ち、陽極側給電ブラシ7a及び陰極側給電ブラシ7bから電力が供給されると、短絡部材40により3つのセグメント17が同電位とされて、ターミナル30を介して同時に3つの巻線15に電流が供給され、回転軸9(電機子3)は固定子2に対して回転動作を行う。
上記コア10は、図4に示すように、複数(本実施形態では4つ)の分割コア部材20が軸方向に組み付けられて形成されている。各(全ての)分割コア部材20は、2つの前記ティース13と、ティース13における軸方向一端側(図2中、左側)を避けて軸方向の一部から(即ち肉薄とされて)径方向内側に延びる連結部21と、その連結部21の先端に形成される環状部22とを有している。又、本実施形態では、各分割コア部材20において、2つのティース13は、180°離れた位置に設けられている。又、環状部22には回転軸9が挿入(嵌入)される貫通孔22aが形成されている。又、連結部21及び環状部22は、後述するように全ての分割コア部材20が組み合わされた(一体化された)状態で、分割コア部材20毎のティース13の軸方向の位置が一致するように、ティース13に対して軸方向の位置が分割コア部材20毎に異なるように設定されている(図2及び図14参照)。
また、各ティース13は、実際に前記巻線15が巻装されるべく径方向に延びる柱部13aと、柱部13aの径方向外側に形成される先端部13bと、柱部13aの径方向内側に形成される回動規制部13cとを備えている。先端部13bは、柱部13aの径方向外側端部から周方向に両側に延び、巻線15の径方向外側への抜け止めを行う。また、回動規制部13cは、柱部13aの径方向内側端部から周方向に両側に延びて(周方向両側端面が45°間隔とされて)異なる分割コア部材20(隣り合うティース13)のそれと互いに周方向に当接する。なお、ティース13、即ち、柱部13a、先端部13b及び回動規制部13cは、その軸方向厚さが一定(同じ)とされている。
そして、各分割コア部材20は、それらのティース13が放射状に配置されるように且つ環状部22が同軸中心で積層されるように組み合わされて一体化される(図1及び図14参照)。尚、このように構成されるコア10には、連結部21及び環状部22がティース13における軸方向一端側(図2中、左側)を避けて形成されるため、軸方向一端側の連結部21及び環状部22と対応した位置に凹部10aが形成される(図2及び図14参照)。
上記コア10は、4つの分割コア部材20が独立した状態(組み合わされる前であって、隣り合うティース13が分割された状態)で各ティース13に予め巻線15がボビン14を介して巻装(集中巻)される。つまり、図5(a),(b)に示すように、各分割コア部材20にボビン14を介して巻線15が巻装される。ボビン14は樹脂により形成されており、各ティース13と巻線15との間に介挿されることによりインシュレータとしての機能を果たしている。
各ボビン14は、巻線15が巻装される筒状部23と、該筒状部23の外周側の端部に設けられた外周側鍔部24と、同筒状部23の内周側の端部に設けられた内周側鍔部25とを備えている。そして、内周側鍔部25の内周側において、連結部21及び環状部22よりも前記整流子11側となる部位に設置部26が設けられている。
外周側鍔部24には、巻線15の端部が係止される2つの係止溝24aが形成されている。また、2つの係止溝24aの外側には、軸方向に突出する突出部24bが設けられ、2つの係止溝24aの内側には、外周側から切り欠かれた切欠部24cが形成されている。内周側鍔部25には、巻線15の端部が係止される2つの係止溝25aが形成されている。そして、設置部26には、前記整流子11側となる面に開口する2つの収容凹部26aが形成されている。この2つの収容凹部26aには、連結ターミナル34(ターミナル30(図12(b)参照))の一部が軸方向から嵌入され固定されている。なお、本実施形態では、連結ターミナル34は、2つのターミナル30が連結されたものであって、製造工程の途中(分割されて2つのターミナル30とされる前)の段階のものであるが、ここで連結ターミナル34の形状を説明することで、同時にターミナル30の形状を説明する。
上記連結ターミナル34は金属板により形成されており、前記設置部26(ボビン14)に設置された状態で外周側に向けて開口する略コの字形状に形成されている。詳しくは、図6に示すように、各連結ターミナル34は、略径方向に延びるように形成された2枚の側壁部31と、これら2枚の側壁部31を内周側で連結する連結部32とを備えている。尚、この連結部32が切断除去されると2つのターミナル30となる。そして、各側壁部31の径方向略中央部には、互いに外側を向くように図6中下側(反整流子11側)に向けて開口する結線爪31aが設けられている。各分割コア部材20において、この結線爪31aには、巻線15の端部が挟まれて接合されている(図5(a),(b)参照)。
また、2つの側壁部31の連結部32と反対側(外周側)の端部は、互いに内側に向けて屈曲形成されており、その屈曲された部位には軸方向に図6中上側(整流子11側)に向けて開口する(挿入孔を有した)挿入部33が設けられている。各分割コア部材20において、この挿入部33が、前記ボビン14の設置部26に形成された2つの収容凹部26aに嵌入されて(図5(a),(b)参照)、連結ターミナル34(ターミナル30)がボビン14に固定されている。なお、この挿入部33は、上側に向けて開口されるように屈曲形成されることで、前記短絡部材40のターミナルピン18を挿入させる(挿入可能である)と共に、径方向に弾性変形可能とされている。このため、収容凹部26aに挿入される際は径方向に縮められ、収容された状態で同方向に広がろうとすることで抜け止めされて、確実に収容凹部26aに固定される。又、本実施の形態では、設置部26及び連結ターミナル34(ターミナル30の挿入部33)の一部が、前記コア10の凹部10aに収容される。
ここで、上記各分割コア部材20への巻線方法について詳述する。
先ず、各分割コア部材20に巻線15を巻回するために用いられる巻線巻回装置50について説明する。
図7に示すように、巻線巻回装置50は、2つのプーリ51、2つの案内部材52及び2つの治具53を備えている。また、巻線巻回装置50は2つの巻線供給部56を備えており、各巻線供給部56から引き出された巻線15は、プーリ51及び案内部材52を介して、治具53によって保持される分割コア部材20側に送出されるようになっている。
各治具53は、巻線15の送出方向において各案内部材52の下流側に配置されている。各治具53は、ティース保持部54及び支持軸55を備えている。ティース保持部54に形成されている保持凹部54aは、各ティース13の外周側に対応する形状をなしている。各ティース保持部54は、分割コア部材20において互いに反対側に位置するティース13をそれぞれ支持するようになっている。それにより、分割コア部材20が2つの治具53によって保持される。つまり、各治具53は、保持凹部54aが互いに対向するように設けられ、両治具53間に分割コア部材20が保持される。
支持軸55は、ティース保持部54において保持凹部54aの裏面側に突設されており、巻線供給部56は支持軸55側に配設されている。巻線供給部56は、供給部57及び回転軸58を備えている。回転軸58は、巻線供給部56において前記ティース保持部54と対向する側の裏面側に突設されており、各回転軸58には連結部材59を介して前記プーリ51及び案内部材52が連結されている。そして、回転軸58は、図示しない駆動用モータの回転軸に連結されている。各巻線供給部56は、駆動用モータの駆動によってそれぞれ一方のティース13からみて異なる方向(図7中、矢印F1方向)に回転するようになっており、巻線供給部56の回転にともない巻線15を保持した前記プーリ51及び案内部材52が回転軸58を回転中心として回転するようになっている。各分割コア部材20が治具53に保持された状態で、これら巻線供給部56が回転することにより、ティース保持部54によって保持された2つのティース13のそれぞれに対して巻線15が同時に巻回(フライヤ巻き)される。
各案内部材52は、巻線15の送出方向において前記各プーリ51の下流側に配置されている。各案内部材52は、前記巻線供給部から引き出された巻線15を案内するためのものである。各案内部材52は、回転軸58の軸方向(図中矢印F2方向)に沿って移動するようになっている。
巻線巻回装置50は、本実施の形態では、分割コア部材20のそれぞれボビン14が装着された各ティース13に巻線15を巻回する巻回動作と、各ボビン14(ティース13)の外周側に設けられた突出部24bに巻線15を係止(仮止め)する係止動作(仮止め動作)とを行う。
巻回動作では、各巻線供給部56から引き出された巻線15は、プーリ51及び案内部材52を介して分割コア部材20に送出される。そして、巻線15が送出されながら各巻線供給部56の回転軸58が回転されることによって、各ティース保持部54に保持された2つのティース13(ボビン14)に同時に巻線15が巻回される。このとき、2つのティース13には、一方のティース13の外周側からみて異なる方向にそれぞれ巻線15が巻かれる。案内部材52は、各ティース13のボビン14の筒状部23において、基端(内周側)から先端(外周側)まで、または先端から基端まで巻線15を案内する。各案内部材52により案内されることにより、各ティース13(ボビン14)に対して巻線15が均一の厚さで巻回される。なお、分割コア部材20は隣接するティース13同士の間隔が広い(各ティース13は180°毎に配置されている)ため、巻線供給部56から引き出された巻線15にボビン14の先端部13bが接触することはない。
係止動作では、巻線15は、各案内部材52により案内されて各ボビン14の外周側に設けられた突出部24bに案内され、各巻線供給部56が巻回動作とは反対方向(図中矢印F3方向)に回転されることにより、巻線15が突出部24bに仮止め(図7では、巻き掛け)される。但し、後述する分割コア部材20への巻線方法においては、係止動作として巻線15が係止溝24a内に案内されて係止され、突出部24bには巻き掛けられない。即ち、係止動作としては、巻線15を突出部24bには巻き掛けて係止するか、係止溝24a内に配置して係止するかのいずれかを選択することができる。なお、この係止動作は、巻線15の巻回前及び巻回後において同様に行われる。
次に、上記の巻線巻回装置50を用いた各分割コア部材20への巻線方法について説明する。
先ず、前記治具53によって、分割コア部材20の2つのティース13がそれぞれ保持される。次に、図8に示すように、上記係止動作により、分割コア部材20の2つのティース13に装着された各ボビン14の外周側鍔部24において、一方のティース13の外周側からみて互いに異なる側に位置する一方の係止溝24aに巻線15の巻き始め端部が係止される。
そして、第1の巻回工程として、上記巻回動作により、案内部材52により案内されながら各ティース13の柱部13a(各ボビン14の筒状部23)に巻線15が巻回される。このとき、2つのティース13には、一方のティース13の外周側からみて互いに異なる方向にそれぞれ巻線15が巻かれる。各ティース13への最下層となる巻線15の1段目の巻回(第1の巻回工程)が終了すると、巻線15の端部(1段目の巻き終り端部)は、1段目の巻線15の巻き始め端部を係止した前記係止溝24aと周方向に反対側に位置する内周側鍔部25の係止溝25aから内周側に引き出される。これにより、分割コア部材20の2つのティース13の対向する側では、一方のティース13の外周側からみて互いに異なる側の係止溝25aから巻線15が引き出される。
そして、渡り線工程として、図9に示すように、一方のティース13から引き出された巻線15の端部は、前記治具53が反転されることで、他方のティース13の係止溝25aまで掛け渡される。このとき、各ティース13から引き出された巻線15は、2つのティース13間で略平行となるように掛け渡される。なお、本実施形態では、180°間隔で配置された2つのティース13間で2本の巻線15が平行となるように掛け渡されている。
その後、第2の巻回工程として、各ティース13において巻線15が引き込まれた係止溝25aの位置を開始位置として、各ティース13に残りの巻線15が巻回される。そして、図10に示すように、各ティース13の外周側鍔部24において、前記1段目の巻線が引き込まれた側と反対側の係止溝24aの位置で巻線15の巻回が終了され、巻線15の巻き終り端部が係止溝24aに係止されて、該係止溝24aから引き出される。
次に、接合工程として、各ティース13の外周側鍔部24において、一方の係止溝24aから引き出された前記1段目の巻線15の巻き始め端部と、他方の係止溝24aから引き出された巻線15の巻き終り端部とが、該外周側鍔部24の外周側にて接合される。このとき接合された2本の巻線15、即ち接合部Z(図5参照)は、外周側鍔部24の上端部に形成された切欠部24c内に収容される。なお、本実施の形態では、前記第1の巻回工程では巻線15は各ティース13の外周側から内周側に向けて巻回され、前記第2の巻回工程では最上層となる巻線15は各ティース13の内周側から外周側に向けて巻回される。このため、接合工程においては、各ティース13の外周側で2本の巻線15(第1の巻回工程の巻き始め端部と第2の巻回工程の巻き終り端部)が接合される。
その後、連結被接触部固定工程として、図11に示すように、前記設置部26の収容凹部26aに連結ターミナル34が嵌入される。このとき、連結ターミナル34は、周方向両側に設けられた結線爪31aが、2つのティース13間に渡された巻線15を挟み込むように設けられる。なお、本実施形態では、2つのティース13の間に掛け渡された2本の巻線15は、略平行とされているため、設置部26に連結ターミナル34を設置するだけで、巻線15が結線爪31aに好適に挟み込まれる。このため、連結ターミナル34(ターミナル30)と巻線15との接続工程が簡易となり、製造の自動化が可能となる。
その後、接続工程として、連結ターミナル34の結線爪31aと巻線15とは、ヒュージングにより電気的に接続される。詳述すると、図12(a)に示すように、連結ターミナル34の側壁部31の間にアース電極61が設置され、連結ターミナル34の周方向両側からヒュージングを行う装置(図示略)の電極62が両側から所定の圧力で押付けられる。そして、この状態で、アース電極61と各電極62との間に大きな電流が流される。すると、結線爪31aの部位が発熱し、この発熱により巻線15が溶融されると共に、側壁部31と巻線15と結線爪31aの3者が接合される。
その後、図12(b)に示すように、切断工程として、前記結線爪31aよりも内周側(図12(a)中点線で示す部分)の巻線15が切断除去され、被接触部分割工程として、連結部32が切断除去され(連結ターミナル34が分割されることでターミナル30が形成され)て、分割コア部材20への巻線15の巻回作業が終了する。この切断除去により、それぞれ1つの結線爪31aと1つの挿入部33とを備えたターミナル30が2つ形成される。
そして、組立工程として、図13及び図14に示すように、上述したようにボビン14、巻線15及びターミナル30が設けられた4つの分割コア部材20が軸方向に積層されて(環状部22が同軸中心で積層されるように組み合わされて一体化され)、回転軸9に圧入される。
上記整流子11は、図15に示すように、絶縁体16の外周面に周方向に配設されたセグメント17において、ターミナルピン18が設けられる2つのセグメント17と、設けられない1つのセグメント17とが周方向に交互となるように構成されている。なお、上述したように、本実施形態の整流子11には、セグメント17を短絡すると共に、前記コア10の連結ターミナル34に接続されるターミナルピン18を有する短絡部材40が設けられている。
図16に示すように、整流子11を構成する絶縁体16及びセグメント17のコア10側の面には、短絡部材40を収容するための収容凹部16a,17aがそれぞれ形成されている。また、絶縁体16には、整流子11に対して短絡部材40を位置決めするための位置決め用凹部16bが設けられている。
短絡部材40は、図17(a)(b)に示すように、第1短絡構成部材群41と第2短絡構成部材群42と絶縁材43とを備えており、前記絶縁体16側の面には第1短絡構成部材群41が配設され、前記コア10側の面には第2短絡構成部材群42が配設されている。
各第1及び第2短絡構成部材群41,42は、それぞれ連結部44,45を備えており、各連結部44,45は外周側に外周側端末44a,45aを備え、内周側に内周側端末44b,45bを備えている。各連結部44,45は、外周側端末44a,45aと内周側端末44b,45bとを60°ずらして連結するように径方向に湾曲して延びる形状とされている。本実施の形態では、第1及び第2短絡構成部材群41,42にそれぞれ24個の連結部44,45が設けられている。また、外周側端末44a,45a及び内周側端末44b,45bには、嵌合凹部と嵌合凸部とが周方向に交互に形成されており、これら嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌合されることで、第1短絡構成部材群41と第2短絡構成部材群42とが軸方向に一体的となるように構成されている。
そして、第1及び第2短絡構成部材群41,42は、連結部44,45が逆向き(同方向から見てずらす方向が逆向き)にされて積層され、外周側端末44a,45a同士と、内周側端末44b,45b同士とがそれぞれ積層方向に接触され、連結部44,45同士が積層方向に非接触とされている。なお、第1及び第2短絡構成部材群41,42は、嵌合凹部に嵌合凸部が嵌合されることで、外周側端末44a,45a同士及び内周側端末44b,45b同士がそれぞれ固定されている。
そして、前記絶縁材43は、絶縁性樹脂材よりなり、積層方向に並ぶ前記連結部44,45間に介在される。詳しくは、上記のように構成された外周側端末44a,45a、内周側端末44b,45b及び連結部44,45のそれぞれの隙間を埋めるように形成されている。また、絶縁材43には、前記位置決め用凹部16bと対応した位置に周方向の位置決め用の位置決め用凸部43aが形成されている。
また、本実施の形態では、第1短絡構成部材群41を構成する24個の外周側端末45aの外周側には、各外周側端末45aに連続して係止部44c及びターミナルピン18が形成されている。詳しくは、周方向に交互に1つの係止部44cと2つのターミナルピン18とが形成されている。
係止部44cは、径方向にセグメント17(整流子11)に形成された収容凹部17aに収容される大きさとされており、該セグメント17に径方向外側への移動を規制される。ターミナルピン18は、その基端部が、係止部44cと同じ大きさとされて前記収容凹部17aに収容されており、その基端部から軸方向に屈曲されて前記コア10側に突出するように形成されている(図2参照)。
そして、短絡部材40は、前記外周側端末44a(外周側端末45a)が前記セグメント17に接続されるように整流子11に固定されている。具体的には、短絡部材40は、位置決め用凸部43aが位置決め用凹部16bに嵌入されると共に前記収容凹部16a,17a内に収容される。その状態で、係止部44c及びターミナルピン18の基端部を除く部分が前記収容凹部16a内に収容され、係止部44c及びターミナルピン18の基端部が前記収容凹部17aに収容される。そして、短絡部材40は、係止部44cが収容凹部17aに収容された状態で軸方向にかしめられて固定される(図示略)。
ここで、上記のように構成された短絡部材40の製造方法について説明する。
先ず、図18に示すように、第1短絡構成部材群41(第2短絡構成部材群42)における各連結部44(45)が周方向に離間して形成されると共に、それら連結部44(45)を径方向内側及び外側で環状に連結する内側連結部46及び外側連結部47が形成されるように導電性板材48を打ち抜く。なお、本実施形態では、このとき、外周側端末44a(45a)及び内周側端末44b(45b)においても周方向に離間するように導電性板材48を打ち抜く。また、本実施形態では、このとき、同時に前記嵌合凹部及び前記嵌合凸部を形成する。そして、図19に示すように、打ち抜かれた2つの導電性板材48を、前記連結部44,45が逆向きとなる状態で積層する。なお、このとき、嵌合凹部に嵌合凸部を嵌合させる。
次に、前記絶縁材43を充填し硬化させて設ける。詳しくは、積層された2つの導電性板材48を図示しない型内に収容し、2つの導電性板材48に形成される各隙間が埋まるように、溶融した絶縁性樹脂材を充填して硬化させることで絶縁材43を形成する。なお、このとき、同時に位置決め用凸部43aを形成する。
次に、一方の導電性板材48を図19中二点鎖線で示すように、他方の導電性板材48を一方の導電性板材48(図19中二点鎖線)におけるターミナルピン18に相当する部位を除いた形状となるように、前記内側連結部46及び外側連結部47を除去する(打ち抜く)。その後、ターミナルピン18に相当する部位を、コア側に向けて屈曲形成することで、短絡部材40(図17(a)(b)参照)の製造が完了する。
上記のように構成された短絡部材40では、24個の各外周側端末44a,45a(各内周側端末44b,45b)が120°間隔に電気的に接続されることになる(図3参照)。よって、整流子11では、所定のセグメント17が短絡部材40にて短絡された状態とされる。このため、図3に示すように、陽極側及び陰極側給電ブラシ7b,7bが直接接触しているセグメント17だけでなく、短絡部材40にて短絡されたセグメント17にも電流が流れる。このため、陽極側及び陰極側給電ブラシ7b,7bの個数を少なくしながら、同時に多数の巻線15に電流を供給することができる。
そして、圧入工程(組付接続工程)として、整流子11をコア10に対して組み付けることでターミナルピン18をターミナル30に接続(圧入)する。詳しくは、上述したようにコア10が設けられた回転軸9(図13,14参照)に、コア10のターミナル30が設けられた側から、短絡部材40(ターミナルピン18)が設けられた整流子11が圧入されて、電機子3が完成する。このとき、整流子11に設けられたターミナルピン18がターミナル30の挿入部33に軸方向に沿って挿入(圧入)され電気的に接続される。
その後、この電機子3は、永久磁石5が設けられたヨークハウジング4内に開口側から挿入される。そして、ヨークハウジング4にエンドフレーム6が固定されて、図2に示すモータ1が完成する。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)電機子3を構成するコア10側において巻線15がターミナル30に接続されており、ターミナル30と整流子11に設けられたターミナルピン18とが電気的に接続されている。つまり、巻線15の端部を保持する(接続される)機能、及び整流子11との電気的接続を可能とする機能を有するターミナル30を介して、巻線15と整流子11とが電気的に接続されるため、コア10と整流子11とが複雑な位置関係にあったとしても、位置精度を確保しながら容易に両者を組み付けることができる。従って、整流子11の形状は制限を受けず、電機子3の小型化を図ることができる。また、コア10と整流子11とを組み付けることでターミナルピン18とターミナル30、即ち巻線15と整流子11とを接続することができるため、巻線15の端部と整流子11とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。
(2)コア10は複数の分割コア部材20が組み付けられて形成されており、コア10側において巻線15の端部はターミナル30に接続される。このため、各分割コア部材20に巻線15を巻装してから組み付けることが可能となり、隣り合うティース13に邪魔されることなく各ティース13に巻線15が巻回されるため、巻線15は高密度で巻回され高占積化が可能となる。
(3)ターミナルピン18は軸方向にコア10側に突出して延びており、ターミナル30は軸方向に整流子11側に開口してターミナルピン18が挿入される挿入部33を有するため、コア10と整流子11とを組み付けるのみでターミナルピン18とターミナル30とが電気的に接続される。このため、巻線15の端部と整流子11とを接続するための作業が容易となり生産性が向上する。また、巻線15と整流子11とを接続するための空間が必要とされないため、電機子3の小型化を図ることができる。
(4)短節巻係数が0.9以上とされるため、モータ1の小型化、又は高出力化が可能となる。なお、短節巻係数とは磁極ピッチに対して巻線辺の間隔を考慮した係数であり、モータの出力に比例する。つまり、短節巻係数が大きければ大きいほどモータの出力は大きくなる。
(5)整流子11のセグメント17には、周方向に交互に2つのセグメント17にターミナルピン18が設けられ、1つのセグメント17に設けられないように形成されている。即ち、整流子11には、3つのセグメント17ごとにターミナルピン18が設けられる。このため、整流子11(ターミナルピン18)とコア10(ターミナル30)とが接続される部分が、モータ1(電機子)の周方向において等間隔に配設され、周方向の強度が均一となり、モータ1回転時の振動や騒音の発生が好適に抑制される。
(6)モータ1の永久磁石5の磁極数Pを6とし、ティース13間のスロット数Nを8とし、整流子11に設けられたセグメント数Sを24とすることで、短節巻係数が0.9以上とされ、小型軽量化及び高出力化に有利なモータ1を得ることができる。なお、短節巻係数とは、磁極ピッチに対して巻線辺の間隔を考慮した係数であり、モータの出力に比例する。つまり、短節巻係数が大きければ大きいほどモータの出力は大きくなる。
また、電機子3の各ティース13(即ちスロット)の合成トルクベクトルがゼロとなり、電機子3のラジアル方向への力がゼロとなり、電機子3のラジアル方向への力がゼロとなるため、ラジアル方向への力の作用による電機子3の振動が抑制される。
(7)複数のターミナル30が連結された状態(連結ターミナル34)で分割コア部材20に設置され、巻線15が接合される。そして、連結ターミナル34は、巻線15が接合される部分(結線爪36a)及びターミナルピン18が圧入される部分(挿入部33)ごとに切断される。このため、製造工程における部品点数が低減され、低コスト化が可能となる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態を図20〜23に従って説明する。
なお、第2の実施の形態における電機子は、第1の実施の形態における電機子と比べて、一部が異なるのみであるため、同様の部分については同様の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施の形態においては、図20(a),(b)に示すように、分割コア部材20には、外周側に2つの突出部27aが設けられたボビン27を介して巻線15が巻装されている。また、各分割コア部材20のそれぞれのティース13に、2つずつターミナル35が設けられている。
各ターミナル35は金属板により形成されており、設置部27b(ボビン27)に設置された状態で内周側が互いに内側を向くように略L字形状に屈曲形成されている。詳しくは、各ターミナル35は、略径方向に延びるように形成された側壁部36と、該側壁部36から屈曲形成された屈曲部37とを備えている。そして、側壁部36には、互いに外側を向くように図20(a)中紙面手前側(整流子11側)に向けて開口する結線爪36aが設けられている。各分割コア部材20において、この結線爪36aには、巻線15の端部が挟まれて接合されている。
また、各屈曲部37には軸方向に図20(a)中紙面手前側(整流子11側)に向けて開口する(挿入孔を有した)挿入部38が設けられている。各分割コア部材20において、この挿入部38は第1の実施形態における挿入部33と同一の構成とされており、ボビン27の設置部27bに形成された2つの収容凹部に嵌入されている。
本実施の形態では、各ティース13に巻装された巻線15の巻き始め端部及び巻き終り端部は、各ティース13の外周側においてそれぞれ突出部27aに絡げられて、巻装された巻線15の上方に各ターミナル35の結線爪36aまで渡されている。そして、巻線15の端部は結線爪36aに接合されている。なお、結線爪36aに巻線15が結線される際は、図21(a),(b)に示すように、側壁部36と結線爪36aとの間に巻線15が挟み込まれた状態で、両側からプラス側電極63とマイナス側電極64により加圧されながら電流が流されて、側壁部36と巻線15と結線爪36aとが溶接される。
そして、図22及び図23に示すように、上述したようにボビン27、巻線15及びターミナル35が設けられた4つの分割コア部材20が軸方向に積層され(前記環状部22が同軸中心で積層されるように組み合わされ)一体化されて、電機子3のコア10の部分が形成される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)ティース13に巻装された巻線15の巻き始め端部及び巻き終り端部は、外周側から内周側に渡されてターミナル35に結線されている。このため、各ティース13の外周側に巻線15の結線部が形成されず、電機子3が径方向に大型化するのを抑制することができる。また、ティース13の外周側において巻線15を絡げることができればよいため、接合された巻線15を収容するスペース等が必要なく、ボビン27(インシュレータ)を簡易な形状とすることができる。また、2本の巻線15を接合するための作業が必要なく、作業性向上を図ることができる。
尚、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、整流子11に設けられる接触部をコア10側に突出するターミナルピン18とし、コア10に設けられる被接触部を整流子11側に開口する挿入部33,38を有するターミナル30,35としたが、被接触部及び接触部の態様はこれに限定されない。例えば、図24に示すように、コアのティース(図示略)に巻装された巻線の端部71を係止する係止爪72と、整流子73に設けられたセグメント74に溶接等により接合される接触部としての接合片75と備えたターミナル70としてもよい。
・上記各実施形態では、電機子3を構成するコア10は4つの分割コア部材20が組み付けられて構成されるものとしたが、コア10の態様はこれに何ら限定されるものではない。例えば、分割コア部材の数を3つ以下や5つ以上としてもよいし、分割されないコアとしてもよい。
・上記各実施形態では、6極8スロット(6つの永久磁石5と、8つのティース13)のモータに具体化したが、モータの態様はこれに限定されず、他のモータに具体化してもよい。永久磁石5の磁極数Pを4以上の偶数とし、ティース間のスロット数NをP±2(ただし、P=4のときN=6)とし、整流子11に設けられたセグメント数SをN×(P/2)とすればよい。
・コアを構成する分割コア部材に設けられるティースは2個に限定されず、3個以上としてもよい。なお、巻線15の高占積化のためには、隣り合うティースが分割されている方が好ましい。
・セグメント17同士を短絡する態様は、短絡部材40に限定されず、複数のセグメント間に巻線を渡らせることでセグメント同士を短絡してもよい。
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1〜4のうち何れか1項に記載の電機子において、前記被接触部は前記巻線の端部を挟み込む結線爪を有することを特徴とする電機子。この構成によれば、コアに設けられた被接触部において、巻線の端部を好適に接続することができる。
(ロ)請求項2に記載の電機子において、前記コアは、隣り合うティース同士が分割されるように、前記複数の分割コア部材が形成されていることを特徴とする電機子。この場合、各ティースに巻線が巻回される際に、隣り合うティースに邪魔されることなく巻回されるため、より高占積化を図ることができる。
第1の実施の形態におけるモータの概略構成図。 同実施の形態におけるモータの断面図。 同実施の形態における電機子を平面状に展開して説明するための説明図。 同実施の形態におけるコアの分解斜視図。 同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図。 同実施の形態における連結ターミナルの斜視図。 巻線巻回装置の概略構成図。 同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 (a),(b)は、同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 同実施の形態における電機子を説明するための平面図。 図13のB−B線断面図。 同実施の形態における整流子の斜視図。 同実施の形態における整流子の断面図。 同実施の形態における短絡部材の(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図。 同実施の形態における短絡部材の製造方法を説明するための説明図。 同実施の形態における短絡部材の製造方法を説明するための説明図。 第2の実施の形態における電機子の製造工程を説明するための(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図。 (a),(b)は同実施の形態における電機子の製造工程を説明するための説明図。 同実施の形態における電機子を説明するための平面図。 図22のE−E線断面図。 別例のターミナルを説明するための斜視図。
符号の説明
1…モータ、2…固定子、3…電機子、5…永久磁石、7a…陽極側給電ブラシ、7b…陰極側給電ブラシ、10…コア、11,73…整流子、13…ティース、15…巻線、17,74…セグメント、18…接触部及び突出部としてのターミナルピン、20…分割コア部材、31a,36a…結線爪、30,35,70…被接触部としてのターミナル、33,38…挿入部、75…接触部としての接合片。

Claims (11)

  1. 複数のティースを備えたコアと、前記ティースに巻装された巻線と、前記巻線と接続される整流子とを備えた電機子において、
    前記コアは、前記巻線の端部が接続されると共に組み付けられた前記整流子に設けられた接触部が電気的に接続される被接触部を有することを特徴とする電機子。
  2. 少なくとも1つのティースを有する複数の分割コア部材が組み付けられて形成されるコアと、前記ティースに巻装された巻線と、略円筒形状でありその外周面に陽極側給電ブラシ及び陰極側給電ブラシが摺接され、前記巻線と接続される整流子とを備えた電機子において、
    前記コアは、前記巻線の端部が接続されると共に組み付けられた前記整流子に設けられた接触部が電気的に接続される被接触部を有することを特徴とする電機子。
  3. 請求項1又は2に記載の電機子において、
    前記接触部は軸方向に前記コア側に突出して延びる突出部であり、前記被接触部は軸方向に前記整流子側に開口して前記突出部が挿入される挿入部を有することを特徴とする電機子。
  4. 請求項1又は2に記載の電機子において、
    前記接触部は軸方向に前記コア側に突出して延びるターミナルピンであり、前記被接触部は軸方向に前記整流子側に開口して前記ターミナルピンが挿入される挿入部を有するターミナルであることを特徴とする電機子。
  5. 周方向に異極となる永久磁石を備えた固定子に対し、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の電機子が回転可能に配置され、該電機子に対して陽極側給電ブラシ及び陰極側給電ブラシから給電を行うように構成されたことを特徴とするモータ。
  6. 請求項5に記載のモータにおいて、
    前記永久磁石の極数Pが4以上の偶数とされ、前記ティース間のスロット数NがP±1、又はP±2とされ、前記整流子に設けられるセグメント数SがN×(P/2)とされ、且つ、短節巻係数KがK≧0.9となるように、前記極数P及び前記スロット数Nの組み合わせが設定されたことを特徴とするモータ。
  7. 請求項6に記載のモータにおいて、
    極数が6、スロット数が8、セグメント数が24のとき、前記接触部は2つのセグメントに設けられ1つのセグメントに設けられないように前記セグメントに3つごとに周方向交互に配置されていることを特徴とするモータ。
  8. 請求項5〜7のうち何れか1項に記載のモータにおいて、
    前記永久磁石の磁極数は6に設定され、前記ティース間のスロット数は8に設定され、前記整流子の外周面に周方向に配設されるセグメント数は24に設定されたことを特徴とするモータ。
  9. コアが有する複数のティースに巻線を巻装し、前記巻線と整流子とを接続する電機子の製造方法において、
    前記コアの各ティースに前記巻線を巻回する巻回工程と、
    前記ティースに巻装された前記巻線の端部を前記コアに設けられた被接触部に接続する接続工程と、
    前記コアに前記整流子を組み付けて、前記被接触部に前記整流子に設けられた接触部を圧入する圧入工程と
    を有することを特徴とする電機子の製造方法。
  10. 請求項9に記載の電機子の製造方法において、
    前記コアは、少なくとも1つのティースを有する複数の分割コア部材が組み付けられて形成されており、前記接続工程の後、前記圧入工程の前に、前記複数の分割コア部材が組み付けられることを特徴とする電機子の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載の電機子の製造方法において、
    前記被接触部は複数が連結された状態で前記コアに設けられ、前記接続工程の後に分割されることを特徴とする電機子の製造方法。
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