この発明の画像処理装置について説明する前に、従来の画像処理装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、たとえば、ディジタルビデオカメラのような画像処理装置1のブロック図である。画像処理装置1は、レンズ2、撮像素子3、AD(Analog to Digital)変換器4、信号処理回路5、画像メモリ6、制御マイコン7、モニタ信号処理回路8、表示処理回路9、液晶モニタ10、モニタ信号処理回路11、表示処理回路12、ビューファインダ13、表示処理回路14、再生回路15、記録回路16、およびメディア17を含む。
被写体は、レンズ2を介して、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子3によって撮像される。このような構成で用いられるCCDの画素数(解像度)は、たとえば、約300万画素である。
撮像素子3に入射した光は電気信号に変換され、次に、AD変換器4で、その電気信号がディジタル化される。信号処理回路5は、AD変換器4から受信したディジタル信号を、信号処理可能な画像データに変換する。一方、制御マイコン7は、画像処理装置1の操作部等から入力されるユーザの指示等にしたがって生成されるユーザI/F信号を受信し、そのユーザI/F信号に応じて、信号処理回路5に画像データの処理等を制御するための制御信号を送信する。
また、信号処理回路5は、制御マイコン7からの指示に従い、変換した画像データを、必要に応じて画像メモリ6に一時的に記憶し、メディア17へ記録するのに適した画像処理、すなわち、サイズ変換や色変換等を実施する。記録回路16は、信号処理回路5からの画像処理されたデータを、メディア17で記録できる形式に画像データを変換し、こうして変換された画像データをメディア17に格納する。一方、再生回路15は、画像データをメディア17から読み出し、読み出した画像データの形式を、信号処理が可能な形式に変換し、信号処理回路5に送信する。
信号処理回路5は、再生回路15から画像データを受信すると、表示処理回路14に再生画像を送信する。表示処理回路14は、受信した画像データの形式を、信号処理形式から表示用の形式に変換(たとえば、DA(Digital to Analog)変換)し、出力信号を外部モニタに出力する。外部モニタは、受信した画像信号を表示する。ここで、外部モニタは、たとえば、画像処理装置1のラインアウト端子と、所定のケーブルによって接続された高解像度外部モニタである。信号処理回路5は、AD変換器4から受信した画像データも、同様に外部モニタに出力し、記録の有無に関わらず、撮像画像(記録画像)の少なくとも一部をほぼリアルタイムに外部モニタに表示させる。
液晶モニタ10は、ここでは撮像画像を表示するためのパネルモニタであり、ビューファインダ13は、主として被写体の撮像やピント合わせのために用いられるモニタである。画像処理装置1は、図1に示すように、それぞれ解像度の異なる2つの表示装置(液晶モニタ10、ビューファインダ13)を有する場合、記録再生画像をそのまま送信して2つの表示装置にそれぞれ表示させることはできない。そこで、信号処理回路5は、再生時には、再生回路15から画像データを受信すると、それをモニタ信号処理回路8に送信し、そこで、液晶モニタ10の解像度に合わせて画像サイズが変更される。その後、表示処理回路9でDA変換等が行われて、液晶モニタ10に再生画像が表示される。一方、記録時や記録を行わずに撮像のみを行っている場合には、AD変換器4から受信した画像データに対して、再生時と同様の処理が行われ、記録の有無に関わらず、記録画像(撮像画像)の少なくとも一部が縮小されて液晶モニタ10に表示される。
また、ビューファインダ13に画像が表示される場合も液晶モニタ10に表示を行う場合と同様の処理が行われる。すなわち、信号処理回路5は、再生回路15から画像データを受信すると、それをモニタ信号処理回路11に送信し、そこで、ビューファインダ13の解像度に合わせて画像サイズが変更される。その後、表示処理回路12でDA変換等が行われて、ビューファインダ13に再生画像が表示される。AD変換器4から受信した画像データも、同様の処理が行われ、記録の有無に関わらず、記録画像(撮像画像)の少なくとも一部が縮小されてビューファインダ13に表示される。
ここで、液晶モニタ10の画素数は、たとえば100万画素であり、ビューファインダ13の画素数は、たとえば25万画素である。
次に、図2および図3を参照して、従来の画像処理装置1によって撮像される画像と、記録・表示される画像の範囲の関係について説明する。図2は、従来の画像処理装置1の撮像素子3によって撮像される画像の範囲と、その撮像画像を記録する場合の画像の範囲を模式的に表したものである。図2に示された範囲31は、撮像素子3によって撮像された範囲であり、たとえば300万画素のデータからなる。範囲32は、実際に記録回路16によってメディア17に記録される際の被写体の範囲である。図2から分かるように、この例では、撮像画素によって得られた画素データのすべてが記録されている訳ではなく、撮像素子3によって取得された画素データであっても、記録されないものがある。ここでは、記録解像度は、250万画素であるとする。
図3Aには、実際にメディア17に記録される画像データの範囲32が示されている。この範囲は、図2で示した範囲32と同じである。図3Bには、たとえば100万画素のパネルモニタ(液晶モニタ13)に表示された画像データが示されている。この画像データは、たとえば、メディア17に記録される画像データを縮小することによって得られる。すなわち、250万画素の画像データは、100万画素に縮小される。画像データは全体的に縮小されるため、被写体の表示範囲は変わらない。
図3Cには、たとえば25万画素のビューファインダ13に表示された画像データが示されている。この画像データは、たとえば、メディア17に記録される画像データを縮小することによって得られる。すなわち、250万画素の画像データは、25万画素に縮小される。しかしながら、図3Bと同様、被写体の表示範囲は変わらない。
次に、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置ついて説明する。図4は、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一例であるディジタルビデオカメラの外観を示したものである。
図4のディジタルビデオカメラ50は、レンズフード51、パネルモニタ52、ステレオマイク53、マニュアルフォーカスリング54、ズームリング55、ビューファインダ56等を含んでいる。レンズフード51は、レンズに余計な光が回り込むのを防ぐ役割を持ち、さらに、たとえばレンズキャップを内蔵し、レンズ(不図示)を保護する。パネルモニタ52は、記録画像や再生画像を表示させることができるとともに、タッチパネルとして構成され、指先やスタイラスでパネル表面を押すことによって各種設定が可能な構造になっている。ステレオマイク53は、動画撮影時等に周囲の音を入力する。
マニュアルフォーカスリング54は、これを操作することによって、ユーザが手動で合焦操作(ピント合わせ)を行うことができるようになっている。また、ズームリング55を回転させることにより、被写体を拡大等して撮影することができる。ビューファインダ56には、レンズを介して得られる撮像画像が表示される。こうした撮像画像は、ビューファインダ56の他に、パネルモニタ52にも出力することができるので、ユーザは通常、これらのうちどちらかに表示された画像を参照して被写体を選択し、さらに、ピント合わせやズーム操作等を行う。
また、ディジタルビデオカメラ50の上部および側部には、多くのボタンやスイッチを備える操作部57、操作部58が設けられている。ユーザは、これらのボタンやスイッチを操作することによって、ディジタルビデオカメラ50の記録時や再生時における各種機能の実行・調整等を制御する。
図4の矢印59の方向に沿って見たディジタルビデオカメラ50の部分が図5に示されている。図5の上部には、図4に示されていたビューファインダ56が示されている。図5に示す部分にも操作部が設けられており、スライドスイッチ61、メニューボタン62、および選択決定ボタン63等が配置されている。スライドスイッチ61は、ゼブラ処理やピーキング処理を行うように指示するためのスイッチである。なお、ゼブラ処理およびピーキング処理については、後で説明する。メニューボタン62は、カスタムメニューボタン、Pメニューボタン、およびメニューボタンから構成される。
選択決定ボタン63は、たとえば指先で上下方向に回転させることができるローラー状のバンド部を備え、それ自体を押下することもできるボタンである。上下方向の回転によって、たとえばメニュー項目を選択し、押下によって、その選択された項目の選択を決定することができる。記録媒体挿入口64には、所定の可搬型記録媒体が挿入され、ディジタルビデオカメラ50からの画像データや設定に関するデータ等が記憶される。逆に、可搬型記録媒体内に記憶された各種データは、ディジタルビデオカメラ50に送信され、所定の記憶手段に記憶される。
右側には、バッテリー65があり、さらにその右側には電源スイッチ66が配置されている。
次に、図6を参照して、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の構成について説明する。図6には、画像処理システム81を含む画像処理装置のブロック図が示されている。画像処理システム81は、レンズ82、撮像素子83、AD変換器84、信号処理回路85、画像メモリ86、制御マイコン87、モニタ信号処理回路88、表示処理回路89、パネルモニタ90、モニタ信号処理回路91、表示処理回路92、ビューファインダ93、表示処理回路94、再生回路95、記録回路96、およびメディア97を含み、さらに、切出処理回路98、セレクタ99、およびセレクタ100を備える。ここで、メディア97は、たとえば、磁気テープ、フレキシブルディスク、CD−R、記録可能なタイプのDVD、ハードディスク、メモリなどであり、データを記録可能なメディアであればどのようなタイプのものでもよい。また、上記のような記録媒体ではなく、インターネットや電波等の伝送メディアに対して記録画像の送受信を行うこともできる。
たとえばCCDやCMOSセンサで構成される撮像素子83は、レンズ82を介して被写体を撮像する。ここで、CCDの画素数(解像度)は、たとえば、300万画素である。
撮像素子83に入射した光は電気信号に変換され、次に、AD変換器84で、その電気信号がディジタル化され、撮像データが得られる。信号処理回路85は、AD変換器84から受信したディジタル信号(撮像データ)を、信号処理可能な画像データに変換する。一方、制御マイコン87は、画像処理装置の操作部等から入力されるユーザの指示等にしたがって生成されるユーザI/F信号を受信し、その信号に応じて、信号処理回路85に画像データの処理等を制御するための制御信号を送信する。
信号処理回路85は、制御マイコン87からの指示に従い、変換した画像データを、必要に応じて画像メモリ86に一時的に記憶し、メディア97へ記録するのに適した画像処理、すなわち、サイズ変換や色変換等を実施する。記録回路96は、信号処理回路85から画像処理後の画像データを受信すると、当該画像データをメディア97で記録できる形式に変換し、こうして変換された画像データをメディア97に格納する。一方、再生回路95は、画像データをメディア97から読み出し、読み出した画像データの形式を、信号処理が可能な形式に変換し、信号処理回路85に送信する。
信号処理回路85は、再生回路95から画像データを受信すると、表示処理回路94に再生画像を送信する。表示処理回路94は、受信した画像データの形式を、信号処理形式から表示用の形式に変換(たとえば、DA変換)し、出力信号を外部モニタに出力する。外部モニタは、受信した画像信号を表示する。ここで、外部モニタは、たとえば、画像処理装置のラインアウト端子107と、所定のケーブルによって接続された高解像度外部モニタである。信号処理回路85は、AD変換器84から受信した画像データも同様に外部モニタに出力し、記録の有無に関わらず、撮像画像(記録画像)の少なくとも一部をほぼリアルタイムにその外部モニタに表示させる。
パネルモニタ90は、ここでは撮像画像を表示するためのパネルモニタであり、パネルモニタ90の画素数は、たとえば100万画素である。ビューファインダ93は、主として被写体の撮像やピント合わせのために用いられるモニタであり、ビューファインダ93の画素数は、たとえば25万画素である。
この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置では、2つの表示装置(パネルモニタ90、ビューファインダ93)の少なくとも一方に、AD変換器84からの撮像画像(記録画像)または、再生回路95からの再生画像が縮小して表示される(縮小表示)。また、画像処理装置の2つの表示装置のうち一方には、AD変換器84からの撮像画像(記録画像)の一部を、その表示装置の画像サイズに合わせて切り出した画像を表示させることができる(切り出し表示)。
縮小表示のための画像データと切り出し表示のための画像データは、セレクタ99とセレクタ100にそれぞれ入力され、どの表示装置にどの画像を表示させるかは、制御マイコン87からセレクタ99およびセレクタ100に入力される制御信号により決定される。ユーザは、画像処理装置の操作部において、たとえば、スライドスイッチ(不図示)のようなものにより、どちらの表示装置に切り出し表示を行うかを指示することができ、この指示に基づいてユーザI/F信号が生成され、このユーザI/F信号によって制御マイコン87の制御信号が作られる。この例では、切り出し表示は、どちらかの表示装置に対して行うようにすることができ、他の表示装置は従来の縮小表示となる。
ここで、縮小表示のための画像データについては、図1に関連して説明した、従来の画像処理装置1の場合と同様の処理がされる。すなわち、信号処理回路85が、AD変換器84からの撮像画像または、再生回路95からの再生画像を受信すると、それをモニタ信号処理回路88およびモニタ信号処理回路91に送信し、モニタ信号処理回路88は、パネルモニタ90の解像度に合わせて画像データを縮小し、一方、モニタ信号処理回路91は、ビューファインダ93の解像度に合わせて画像データを縮小する。その後、モニタ信号処理回路88によって縮小された画像データは、セレクタ99に入力され、モニタ信号処理回路91によって縮小された画像データは、セレクタ100に入力される。画像データの縮小は、従来より一般的に用いられている方法、たとえばフィルタ処理等によって行われる。
ユーザが、ディジタルビデオカメラの操作部において、どちらかの表示装置に切り出し表示を行うよう指示すると、制御マイコン87から切出処理回路98に切出処理コマンドが発行される。切出処理コマンドには、画像を切り出す処理が実行されることを表す切り出し信号、切り出し画像を出力したい表示装置の出力サイズに応じたモニタサイズ、および画像の切り出し開始位置を示すスタートアドレスが含まれる。スタートアドレスは、通常、撮像データの中央部分が切り出されるように設定されるが、ユーザが、たとえば、撮像画像が表示されたパネルモニタ90上の所定の位置をスタイラス等で指示等することで変更することができる。これによって、撮像画像の右端や上部を切り出してパネルモニタ90やビューファインダ93に表示させることができる。
制御マイコン87から切出処理回路98に切出処理コマンドが発行されると、AD変換器84からの撮像画像(記録画像)が、信号処理回路85を介して切出処理回路98に提供される。そこで、切出処理回路98は、受信した撮像画像を、切出処理コマンドによって指定されたモニタサイズに切り出し、切り出された画像データをセレクタ99およびセレクタ100(または、切り出し画像を出力する表示装置に接続された方のセレクタ)に出力する。切出処理回路98は、切り出し処理の際に、画像メモリ86を用いて画像の切り出しを行う。
セレクタ99で選択された画像データは、その後、表示処理回路89によってDA変換等が行われ、パネルモニタ90に切り出し画像または縮小画像のいずれかが表示される。同様に、セレクタ100で選択された画像データは、その後、表示処理回路92によってDA変換等が行われ、ビューファインダ93に切り出し画像または縮小画像のいずれかが表示される。
図6の画像処理装置はさらに、マイク101、I/F(インタフェース:interface)102、信号処理回路103、およびRAM(Random Access Memory)104を備える。音声は、マイク101、およびI/F102を介して信号処理回路103に送信され、そこで所定のデータ処理が行われ、記録回路96に送信される。記録回路96に送信された音声データは、所定のフォーマットで、たとえば映像データとともに、メディア97に記録される。RAM104には、画像処理装置の設定等の情報が記録されており、たとえば、後述するピクチャープロファイルのデータ等が記録される。
再生回路95から出力された画像データおよび音声データは、出力端子106を介して接続された外部記録装置等に記録され、また、ネットワーク等によって他の端末に伝送される。
次に、図7を参照して、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の切り出し処理をより詳細に説明する。図7に示すように、切出処理回路98は、アドレス生成器121、データセレクタ122、およびタイミングジェネレータ123を含んでいる。上述のように、制御マイコン87から切出処理回路98に対して、切り出し信号、モニタサイズ、およびスタートアドレスを含む切出処理コマンドが発行されると、アドレス生成器121において、撮像画像から表示装置のモニタサイズに応じたサイズの画像を切り出すための切り出し有効期間が決定され、それが、データセレクタ122およびタイミングジェネレータ123に送られる。
データセレクタ122は、こうして決定された切り出し有効期間の情報に基づき、入力した画像データにイネーブル信号を付加し、これをアドレス生成器121に送信する。そこで、アドレス生成器121は、受信した画像データを制御し、画像メモリ86に格納する。
タイミングジェネレータ123は、クロック信号およびF(フレーム)パルスを入力し、アドレス生成器121から与えられた切り出し有効期間と表示装置の有効期間から、画像データの読み出しタイミングを計算し、アドレス生成器121に画像データ出力要求を発行する。アドレス生成器121は、タイミングジェネレータ123からの画像データ出力要求に従い、画像メモリ86から画像データの部分を読み出し、出力する。こうして出力された画像データは、出力する表示装置のモニタサイズに応じたサイズとなり、図6に示された、対応するセレクタ99またはセレクタ100に送信される。
次に、図8ないし図11を参照して、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置によって撮像される画像と、記録・表示される画像の範囲の関係について説明する。図8は、画像処理装置の撮像素子83によって撮像される画像の範囲と、その撮像画像を記録・表示する場合の画像の範囲を模式的に表したものである。図8の範囲131は、撮像素子83によって撮像された範囲であり、たとえば300万画素のデータからなる。範囲132は、実際に記録回路96によってメディア97に記録される際の被写体の範囲である。図8から分かるように、撮像画素によって得られた画素データのすべてが記録されている訳ではなく、撮像素子83によって取得された画素データであっても、記録されないものがある。ここでは、記録された画像の画素数は250万画素であるとする。
範囲133は、パネルモニタ90の画素数に対応する範囲であり、この例では100万画素である。また、範囲134は、ビューファインダ93の画素数に対応する範囲であり、この例では25万画素である。
図9Aには、実際にメディア97に記録される画像データの範囲141が示されている。この範囲は、図8で示した範囲132に対応する。図9Bには、パネルモニタ90のサイズに合わせて切り出し表示(縮小せずにそのまま表示)された画像データの範囲142が示されている。この範囲は、図8で示した範囲133に対応する。図9Cには、ビューファインダ93のサイズに合わせて切り出し表示(縮小せずにそのまま表示)された画像データの範囲143が示されている。この範囲は、図8で示した範囲134に対応する。これらの表示範囲は、いずれも縮小がされていないため、モニタサイズの大きさに応じて、被写体の表示範囲が異なっていることが分かる。これは、図2および図3に関連して説明した、従来の画像処理装置1における被写体の表示範囲とは異なる。
図10は、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一時点におけるパネルモニタ90の表示内容と、ビューファインダ93の表示内容の一例を示している。図10Aには、第1の時点における25万画素のビューファインダ93の表示内容が、図10Bには、第1の時点における100万画素のパネルモニタ90の表示内容が示されている。この例では、図10Aのビューファインダには切り出し表示がされ、図10Bのパネルモニタには縮小表示がされている。したがって、図10Aでは、図8の範囲134に示した範囲が縮小されずに表されているのに対し、図10Bでは、図8の範囲133のサイズに、範囲132の画像データが縮小して表示されている。
これは、ユーザが、ビューファインダ93に切り出し表示をさせるように指示したものである。この結果、ユーザは、ビューファインダ93に表示された画像を見ることによって、詳細かつ鮮明に被写体の部分を確認することができ、正確なピント調整等が可能になるとともに、パネルモニタ90に表示された画像を見ることによって、レンズがとらえた被写体の全体を把握することができる。
図11は、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の一時点におけるパネルモニタ90の表示内容と、ビューファインダ93の表示内容の他の例を示している。図11Aには、前述の第1の時点とは異なる第2の時点における25万画素のビューファインダ93の表示内容が、図11Bには、第2の時点における100万画素のパネルモニタ90の表示内容が示されている。この例では、図11Aのビューファインダ93には縮小表示がされ、図11Bのパネルモニタ90には切り出し表示がされている。したがって、図11Aでは、図8の範囲134のサイズに、範囲132の画像データが縮小して表示されているのに対し、図11Bでは、図8の範囲133に示した画像データが縮小されずに表されている。
これは、ユーザが、パネルモニタ90に切り出し表示をさせるように指示したものである。この結果、ユーザは、パネルモニタ90に表示された画像を見ることによって、詳細かつ鮮明に被写体の部分を確認することができ、正確なピント調整等が可能になるとともに、ビューファインダ93に表示された画像を見ることによって、レンズがとらえた被写体の全体を把握することができる。
上述した、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置においては、前述のように、パネルモニタ90およびビューファインダ93のどちらか一方を切り出し表示とし、他方を縮小表示とするように構成されているが、図7に示す切出処理回路98を、両方のモニタサイズについて画像データの切り出しができるように構成するかまたは、パネルモニタ90用の切出処理回路とビューファインダ93用の切出処理回路をそれぞれ用意することによって、パネルモニタ90およびビューファインダ93の両方を切り出し表示とすることが可能である。また、画像処理装置は、3以上の表示装置を備えることも可能であり、それらのすべて、あるいは一部に切り出し表示を行うように切出処理回路98を構成することもできる。
また、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置では、2つの表示装置(パネルモニタ90およびビューファインダ93)を有するように構成されているが、それ以上の表示装置を備えることも可能であり、それぞれについて縮小表示と切り出し表示を切り替えることができる。さらに、画像処理装置が1つの表示装置しか持たない場合でもこの発明を適用することが可能である。
次に、図12ないし図14を参照して、切り出し表示がされた場合の表示について説明する。切り出し表示は、従来の縮小表示に対して相対的には「拡大」された表示であるということもできる。したがって、これ以降、この切り出し表示のことを、適宜、「拡大表示」と称する。
画像処理装置は、図4に示したように、ユーザが手動で合焦操作(フォーカス操作)を行うことができるマニュアルフォーカスリング54を備え、さらに、所定の操作部に拡大フォーカスキーを備える。所定の表示装置において拡大表示が行われるタイミングは、ユーザによるマニュアルフォーカスリング54と拡大フォーカスキーの操作に基づいて決定される。拡大表示が行われるタイミングの例については、後で詳細に説明する。
図12は、拡大表示がされる前後の表示装置における表示態様の一例を示す図である。ここで、表示装置は、たとえば、パネルモニタ90あるいはビューファインダ93のいずれかである。図12Aは、通常の表示状態を示しており、マニュアルフォーカスであることを意味するマニュアルフォーカスアイコン161が画面の下部に表示されている。図12Bでは、上述のように、ユーザの所定の操作によって図12Aの表示内容が拡大表示された場合の表示態様が示されている(この状態を「拡大フォーカス」と称する)。また、このとき、拡大フォーカスであることを表すために、拡大フォーカスアイコン162が画面の下部に表示され、さらに、その右側に距離表示163(10m)が表示される。ユーザは、図12Aおよび図12Bに示したようなアイコン等の表示によって、表示装置に表示された画像が縮小表示なのか拡大表示なのかを容易に判別することができる。
図13は、拡大表示がされる前後の表示装置における表示態様の別の例を示す図である。図13Aは、通常の表示状態を示しており、画面の上部には、情報表示部171が示されている。情報表示部171には、バッテリー状態、ステータス、時間、ズーム情報等の各種情報が含まれる。図13Bでは、上述のように、ユーザの所定の操作によって図13Aの表示内容が拡大表示された場合の表示態様が示されている。このとき、拡大フォーカスであることを表すために、拡大フォーカスアイコン172が画面の上部左側に表示され、また情報表示部171は表示されない。ユーザは、図13Bのように、他の情報を排して非常に単純な形態で表された拡大フォーカスアイコン172によって、その表示が拡大表示であることを容易に理解することができる。
図14は、拡大表示がされる前後の表示装置における表示態様のさらに別の例を示す図である。図14Aは、通常の表示状態を示しており、画面の上部には、情報表示部181が示されている。情報表示部181には、バッテリー状態、ステータス、時間等の各種情報が含まれる。さらに、図14Aの表示態様では、画面の下部にマニュアルフォーカスアイコン182も表示される。なお、ここで、「ABC」の文字は、被写体である。図14Bでは、上述のように、ユーザの所定の操作によって図14Aの表示内容が拡大表示された場合の表示態様が示されている(被写体である文字「ABC」が拡大されている)。この例では、情報表示部181と同様の情報表示部183が画面の上部に表示されるとともに、拡大フォーカスアイコン184が画面の中央付近に表示され、さらに、拡大フォーカスであることを表すためのメッセージ185が、拡大フォーカスアイコン184の下側に表示される。ユーザは、図14Bのように、画面に拡大フォーカスアイコン184とメッセージ185が表示されることによって、その表示が拡大表示であることを容易に理解することができる。
これまで、図12ないし図14を参照して、拡大表示がされる前後の表示装置における表示態様をいくつか説明してきたが、この発明の範囲がこれらの表示態様に限られるものではなく、拡大フォーカスであることを表すための、他の多くの方法が存在する。また、上述の例では、拡大フォーカスであることを示す所定の情報表示が、被写体が映された記録・撮像画像の表示の上に重複して表示されているが、拡大フォーカスであることを、表示装置以外の、たとえば、画像処理装置のLED(Light Emitting Diode)表示部等に示すようにすることもできる。
図12ないし図14における表示態様において、拡大フォーカスであることを表す拡大フォーカスアイコン等は、被写体の画像の上に重ねて表示されるが、これは、たとえばOSD(On Screen Display)機能を用いて実現される。OSD機能は、表示装置にメニューを表示させたり、設定内容を表示させたりする場合にも用いられるものである。ここで、図15を参照して、OSD機能を実現するための構成について説明する。
図15に示すOSDシステム200は、制御マイコン201、HD(High Definition)用OSD202、I/F203、ビットマップOSD204、およびダウンコンバータ205を含んでいる。HD用OSD202は、主として、HD品質の出力画像に、所定の表示情報をオーバーラップ表示させる回路であり、ビットマップOSD204は、主として、SD(Standard Definition)品質の出力画像に、所定の表示情報をオーバーラップ表示させる回路である。
制御マイコン201は、図6に示す画像処理装置に対するユーザの操作に応じて、HD用OSD202およびビットマップOSD204の動作を制御する。たとえば、制御マイコン201は、OSD機能によってどのような表示情報を出力するかや、どのようなサイズの画像にその表示情報をオーバーラップさせるか等について、対応する機能をそれぞれ動作させるよう制御する。また、制御マイコン201とビットマップOSD204との間にはI/F203が介在し、両者の間のデータを仲介する。
SD品質の画像データであるSDデータは、たとえば、記録・撮像・再生画像のデータであり、これらはダウンコンバータ205に提供され、ユーザの指示等に応じて、パネルモニタ、ビューファインダ、SDデータ出力端子、およびSDデータ録画系に出力される。ここで、パネルモニタやビューファインダに出力する場合には、ダウンコンバータ205による縮小処理が行われ、画像データの画素数が、パネルモニタやビューファインダの表示サイズに調整される。それぞれの表示装置・端子への出力の際に、オーバーラップして表示させる表示情報がある場合には、その表示情報が、ビットマップOSD204から提供される。たとえば、SDデータがパネルモニタに提供される場合、パネルモニタの表示サイズに合わせて縮小された、ダウンコンバータ205からの画像データと、ビットマップOSD204から提供された表示情報が、加算器208によって合成され、パネルモニタに出力される。SDデータがビューファインダに提供される場合、ビューファインダの表示サイズに合わせて縮小された、ダウンコンバータ205からの画像データと、ビットマップOSD204から提供された表示情報が、加算器209によって合成され、ビューファインダに出力される。
SDデータがSDデータ出力端子に提供される場合、ダウンコンバータ205では縮小処理はされず、元のデータサイズの画像データと、ビットマップOSD204から提供された表示情報が、加算器211ないし加算器213によって合成され、SDデータ出力端子に出力される。SDデータ出力端子は、たとえば、外部SDモニタ等に接続され、SD出力端子に出力されたSDデータは、その外部SDモニタに表示される。また、SDデータがSDデータ録画系に提供される場合、ここでもダウンコンバータ205での縮小処理はされず、元のデータサイズの画像データと、ビットマップOSD204から提供された表示情報が、加算器212によって合成され、SDデータ録画系に出力される。こうして出力されたSDデータは、たとえば所定の記録装置等に入力され、所定のフォーマットで録画される。
HD品質の画像データであるHDデータもまた、記録・撮像・再生画像のデータ等であり、これらのデータは、HD用OSD202から提供された表示情報と、加算器206で合成され、HDデータ録画系に出力される。こうして出力されたHDデータは、たとえば所定の記録装置等に入力され、所定のフォーマットで録画される。また、HDデータは、HD用OSD202から提供された表示情報と、加算器207で合成され、ダウンコンバータ205に提供され、さらにそこから、ユーザの指示等に応じて、パネルモニタ、ビューファインダ、HDデータ出力端子、SDデータ出力端子、およびSDデータ録画系に出力される。
パネルモニタやビューファインダに出力する場合には、ダウンコンバータ205による縮小処理が行われ、画像データの画素数が、パネルモニタやビューファインダの表示サイズに調整される。ここで、HD用OSD202からの表示情報は、加算器207によってHDデータと合成されてからダウンコンバータ205に提供される。また、HDデータがSDデータ出力端子に提供される場合、オーバーラップ表示される表示情報は、パネルモニタ等に出力される場合と同様、HD用OSD202から提供され、それが、加算器207によってHDデータと合成され、ダウンコンバータ205に提供される。ダウンコンバータ205は、入力された合成後のHDデータをSDデータに縮小し、それを所定のSDデータ出力端子に出力する。SDデータ出力端子は、たとえば、外部SDモニタ等に接続され、SD出力端子に出力されたSDデータは、その外部SDモニタに表示される。また、ダウンコンバータ205によって縮小されたSDデータは、SDデータ録画系にも出力される。こうして出力されたSDデータは、記録装置等に入力され所定のフォーマットで録画される。
HDデータがHDデータ出力端子に出力される場合、ダウンコンバータ205は、そのまま出力し、その後、加算器210によって、HD用OSD202からの表示情報と合成され、HD出力端子に提供される。HDデータ出力端子は、たとえば、外部HDモニタ等に接続され、HD出力端子に出力されたHDデータは、その外部HDモニタに表示される。
図15に示すOSDシステム200は、実質的には、図6に示した画像処理システム81に一体的に組み込まれるものであるが、ここでは、OSDシステム200の説明を容易にするため、OSDを実現するための機能を抜き出して表してある。ここで、図6の制御マイコン87は、図15の制御マイコン201に対応する。また、図6の表示処理回路89、表示処理回路92、および表示処理回路94に、点線で囲まれた「OSD」から制御が行われているように表現されているのは、図15に関連して上記で説明したように、OSDシステム200によって、画像データに一定の表示情報が付加され、そのように表示情報の付加された画像データが、パネルモニタ90やビューファインダ93に出力されることを意味している。
また、図15を参照して説明したOSDシステム200は、単なる例示に過ぎず、他の構成によってもOSD機能を実現することが可能であり、この発明の範囲を、例示したものに限定すべきでない。
次に、図16ないし図20を参照して、表示装置において拡大表示が行われるタイミングについて説明する。前述のように、表示装置において拡大表示が行われるタイミングは、ユーザによるマニュアルフォーカスリング54の操作(フォーカス操作)と拡大フォーカスキーの操作(たとえば、拡大フォーカスキーの押下)に基づいて決定される。
図16ないし図20のタイミングチャートでは、拡大フォーカスキーを押下するタイミング、フォーカス操作のタイミング、フォーカス操作の履歴、拡大フォーカスタイマー、および表示装置の拡大状態がそれぞれ示されている。拡大フォーカスキーを押下するタイミングについては、キーの押下を行う場合を立ち上がりとして示し、押下したキーを戻す場合を立ち下がりとして示している。また、フォーカス操作のタイミングについては、操作を開始する場合を立ち上がりとして示し、操作の終了を立ち下がりとして示している。拡大フォーカスタイマーについては、タイマーの開始が立ち上がりに対応し、タイマーによる計時とともに高さが減少して右下がりの線となり、この高さがゼロとなったところでタイマーが終了する。拡大状態を示す場合は、立ち上がりで拡大表示が開始され、立ち下がりで拡大表示が終了する。
図16は、拡大表示タイミングの第1の例を示すものである。図16の例では、タイミングt1からタイミングt2まで拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、拡大フォーカスキーの押下に応じて、表示装置の拡大表示がタイミングt5より開始される。タイミングt1とタイミングt5が同一のタイミングとして表示されていないのは、制御等による遅れを考慮したものであるが、このような遅れは極めて小さい。ここでは、こうした遅れを分かり易く示しているに過ぎない。このことは、図16ないし図20のタイミングチャートの他の部分に関しても同様である。
拡大フォーカスキーの押下が終了すると(タイミングt2)、それに応じて、タイミングt3から拡大フォーカスタイマーが起動し、5秒間計時する。タイミングt4(すなわち、タイミングt3の5秒後)に拡大フォーカスタイマーが終了し、これに応じて、タイミングt6で、表示装置の拡大表示が解除される。
すなわち、図16の場合は、拡大表示が、拡大フォーカスキーの押下によって始まり、拡大フォーカスキーの押下の終了から5秒後に終了する。
図17は、拡大表示タイミングの第2の例を示すものである。図17の例では、まず、タイミングt11からタイミングt12まで拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、拡大フォーカスキーの押下に応じて、表示装置の拡大表示がタイミングt17より開始される。拡大フォーカスキーの押下が終了すると(タイミングt12)、それに応じて、タイミングt15から拡大フォーカスタイマーが起動し、5秒間計時する。ここでは、この5秒間の計時が終了する前に、ふたたび、タイミングt13で拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、これに応じて拡大フォーカスタイマーによる計時が中断し(タイミングt16)、これに応じて、拡大表示がタイミングt18で強制終了される。
すなわち、図17の場合は、拡大表示の間に拡大フォーカスキーを押下すると、拡大表示が中断され、通常の表示(縮小表示)に戻る。
図18は、拡大表示タイミングの第3の例を示すものである。図18の例では、まず、タイミングt21からタイミングt22まで拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、拡大フォーカスキーの押下に応じて、表示装置の拡大表示がタイミングt31より開始される。拡大フォーカスキーの押下が終了すると(タイミングt22)、それに応じて、タイミングt27から拡大フォーカスタイマーが起動し、5秒間計時する。ここでは、この5秒間の計時の間に、ユーザによるフォーカス操作が行われる(タイミングt23)。
このフォーカス操作の開始に応じ、タイミングt28で拡大フォーカスタイマーの計時が中断され、同時にフォーカス操作履歴が記録される(タイミングt25)。次に、フォーカス操作がタイミングt24で終了すると、これに応じて、拡大フォーカスタイマーが、タイミングt29から2秒間の計時を開始する。拡大フォーカスタイマーが2秒を計時してタイミングt30になると、これに応じて、拡大表示が終了し(タイミングt32)、それと同時に、フォーカス操作履歴の記録が終了する(タイミングt26)。
すなわち、図18の場合は、拡大表示の間にフォーカス操作を行うと、フォーカス操作の終了後2秒経って拡大表示が終了する。
図19は、拡大表示タイミングの第4の例を示すものである。図19の例では、まず、タイミングt43において、フォーカス操作が開始され、その後、タイミングt41からタイミングt42まで拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、拡大フォーカスキーの押下に応じて、表示装置の拡大表示がタイミングt49より開始され、これとともに、タイミングt45で、フォーカス操作履歴が記録される。次に、タイミングt42で、拡大フォーカスキーの押下が終了する。
その後、タイミングt44でフォーカス操作が終了すると、それに応じて、タイミングt47から拡大フォーカスタイマーが起動し、2秒間計時する。拡大フォーカスタイマーによる2秒の計時が終了すると(タイミングt48)、これに応じて、タイミングt50で拡大表示が終了し、これとともに、タイミングt46でフォーカス操作履歴の記録が終了する。
すなわち、図19の場合は、フォーカス操作中に拡大フォーカスキーを押下すると、その押下によって拡大表示が開始され、フォーカス操作の終了後2秒経って拡大表示が終了する。
図20は、拡大表示タイミングの第5の例を示すものである。図20の例では、タイミングt61からタイミングt62まで拡大フォーカスキーが押下される。そうすると、拡大フォーカスキーの押下に応じて、表示装置の拡大表示がタイミングt69より開始される。その後、フォーカス操作がタイミングt63で開始されると、これに応じて、タイミングt65で、フォーカス操作履歴の記録が開始される。
次に、拡大フォーカスキーが押下されている状態で、フォーカス操作が終了し(タイミングt64)、その後、拡大フォーカスキーの押下がタイミングt62で終了する。そうすると、この拡大フォーカスキーの押下の終了に応じて、タイミングt67から拡大フォーカスタイマーが起動し、2秒間計時する。拡大フォーカスタイマーによる2秒の計時が終了すると(タイミングt68)、これに応じて、タイミングt70で拡大表示が終了し、これとともに、タイミングt66でフォーカス操作履歴の記録が終了する。
すなわち、図20の場合は、拡大フォーカスキーの押下を続けたままフォーカス操作を開始・終了すると、拡大フォーカスキーの押下によって拡大表示が開始され、拡大フォーカスキーの押下の終了後2秒経って拡大表示が終了する。
以上、図16ないし図20のタイミングチャートを通して、拡大表示がされるタイミングを説明してきたが、これらは単なる例示に過ぎず、他の様々な態様が考えられる。また、表示装置ごとに、拡大表示が行われる操作を変えるように構成することもできる。
図21は、画像処理装置における拡大フォーカスボタンの配置例を示したものである。また、図21に示した部分は、図4のディジタルビデオカメラ50の操作部58の上部に対応する部分である。
操作部230の中央上部には拡大フォーカスキー231が配置されており、ユーザは、パネルモニタ90やビューファインダ93に、拡大された画像を表示したい場合に、拡大フォーカスキー231を押下する。拡大フォーカスキー231の隣には、ズームボタン232が配置されており、「W」のマークの方を押下すると、広角となり、「T」のマークの方を押下すると、望遠となる。また、ボタン233は、バッテリーを取り外すためのボタンであり、ボタン234は、画像データを記録するカセットを取り出すためのイジェクトボタンである。
この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置では、一方の表示装置については、その表示装置のモニタサイズに合わせた縮小がされた撮像画像が表示され、他方の表示装置については、その表示装置のモニタサイズに合わせた画像が、撮像画像から切り出されて表示されるよう構成されているが、この構成をより拡張し、2つの表示装置において、縮小率の異なる画像を表示させるよう構成することもできる。たとえば、パネルモニタ90(100万画素)には、撮像画像(250万画素)のすべてが100万画素に縮小されて表示され、ビューファインダ93(25万画素)には、撮像画像の一部(100万画素)が縮小されて表示される。このような構成にすることによって、ビューファインダ93には、上述した切り出し画像より(縮小またはフィルタ処理によって)ぼやけた画像が表示される可能性があるが、より広範囲を表示することができ、撮像画像のすべてを圧縮して表示するより鮮明な表示画像が得られる可能性がある。
次に、この発明の第2の実施形態に係る画像処理装置について説明する。この発明の第2の実施形態に係る画像処理装置は、図4で示した、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置と同様の外観からなる。この発明の第2の実施形態は、効果的なピーキング処理を実現する画像処理装置である。ピーキング処理とは、画像のエッジ成分を強調する処理であり、これによってフォーカスがあわせやすくなる。この実施形態では、強調されるエッジ部分(ピーキング部分)に付される色と、ピーキングのレベルを任意に選択可能としている。
最初に、ピーキング処理を実現する回路について、図22を参照して説明する。遅延回路251ないし遅延回路253は、輝度データ(data_y)から、隣接する画素データD1ないし画素データD3をそれぞれ出力する。こうして出力された画素データD1には−1が、画素データD2(中心画素)には2が、画素データD3には−1が、それぞれ掛けられ、加算器254に入力される。加算器254の出力は、乗算器255に提供される。乗算器255は、さらにエンハンス値(enh)を入力し、ピーキング処理結果を加算器256と判定回路257に出力する。
加算器256は、乗算器255からのピーキング処理結果と画素データ2を入力し、加算結果をスイッチ258に提供する。また、判定回路257は、乗算器255からのピーキング処理結果と画素データ2を入力し、ピーキング処理で所定のしきい値を越えたものがあるかどうかを判定する。所定のしきい値を越えた画素データがある場合、色選択情報で指定された色にその画素データの色を置き換える。判定回路257の出力は、スイッチ258に提供される。スイッチ258は、ユーザから指示等に応じて、判定回路257から入力した画素データと、加算器256からの画素データとを切り替えて出力する。
次に、図23を参照して、ピーキング処理を行うためのスライドスイッチについて説明する。図23に示すスライドスイッチ271は、図5に示すスライドスイッチ61を拡大して示したものである。スライドスイッチ271は、矢印273の方向にスライドさせることによってピーキング処理を実行し、矢印272の方向にスライドさせることによってゼブラ処理を実行するようになっている。このように、この画像処理装置では、ユーザが、スライドスイッチ271のようなハードキーを操作することによってピーキング処理かゼブラ処理のどちらかが実行され、両方の処理が同時に実行されることはない。また、ゼブラ処理の内容については、後で説明する。
次に、図24ないし図26を参照して、ピーキング処理が行われた場合の表示内容と、ピーキング処理に用いられる色、およびピーキングのレベルを選択する画面について説明する。図24Aは、パネルモニタ90またはビューファインダ93の表示画像であり、この例では、カバン291が被写体として選択されている。画像のエッジ部分292ないしエッジ部分295が、強調表示されたエッジ部分であるとする。ここで、検出されるエッジ部分は、被写体であるカバンの輪郭であるとはかぎらない。カバンの皺や、光の反射部分がエッジ部分として検出されることもある。また、図24ないし図26は、ピーキング処理に関する概要を説明するために用いる概念図であり、エッジ部分の描写について厳密なものとなっていないことに注意すべきである。
図24Aは、検出されたエッジ部分292ないしエッジ部分295が強調表示された例である。この例では、エッジ部分の輝度が強調され、その部分については「ぎらつく」ような表示がなされる。図24Bは、図24Aで示された、検出されたエッジ部分292ないしエッジ部分295に所定の色付けをしたものである。色付部分302ないし色付部分305の位置は、それぞれ図24Aのエッジ部分292ないしエッジ部分295の位置に対応する。このように、周辺画素と大きく輝度が異なるようなエッジ部分に色付けをすることにより、当該部分が強調して表示される。
図25Aは、ピーキング処理についての設定内容を、OSD機能を用いて表示した画面(パネルモニタ90やビューファインダ93の表示内容)の例である。OSD機能によって表示されているため、背後には、被写体であるカバンの画像が表示されている。設定内容表示は、「ピーキング」と表示されたタイトル部321と、ピーキング処理に用いられる色とピーキングのレベルが示された内容表示部322と、表示を終了する際に選択する終了指示部323からなる。ここで、内容表示部322内の「カラー」と表示された部分324を選択し決定すると、図25Bのような表示内容となる。また、この場合、上記の選択操作と決定操作は、たとえば、図5に示すような選択決定ボタン63を使用して行われる。
図25Bには、カラー選択表示がされており、「カラー」と表示されたタイトル部331と、色の候補(白、赤、黄)がリストされている色候補表示部332と、表示を終了する際に選択する終了指示部333からなっている。ここで、たとえば、ピーキング処理に用いられる色が「白」となっている場合は、「白」と表示された部分334がハイライト表示等される。これを「赤」に変更するためには、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いて色候補表示の中から「赤」を選択し、決定する。このように、ピーキング処理に用いられる色は、GUI(Graphical User Interface)を用いて容易に設定することができ、たとえば、撮影対象ごとに、これを変更するようにすることもできる。また、ピーキング処理に用いられる色の種類は、ここでは3種類となっているが、任意の数の色とすることが可能である。ここで選択された色が、図22に関連して説明した色選択情報の内容として反映される。
図25Aに示す表示状態おいて、内容表示部322内の「レベル」と表示された部分を選択し決定すると、図26のような表示内容となる。図26には、レベル選択表示がされており、「レベル」と表示されたタイトル部351と、レベルの候補(高、中、低)がリストされているレベル候補表示部352と、表示を終了する際に選択する終了指示部353からなっている。ここで、たとえば、ピーキングのレベルが「中」となっている場合は、「中」と表示された部分354がハイライト表示等される。これを「高」に変更するためには、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いてレベル候補表示の中から「高」を選択し、決定する。このように、ピーキングのレベルは、GUIを用いて容易に設定することができ、たとえば、撮影対象ごとに、これを変更するようにすることもできる。また、ピーキングのレベルの種類は、ここでは3種類となっているが、任意の数のレベルとすることが可能である。このレベルの内容によって、図22に関連して説明したしきい値の内容が調整される。
これまで説明してきたピーキング処理は、この発明の第1の実施形態に関して説明した拡大フォーカスと組み合わせて使用することができる。たとえば、拡大フォーカスキーを押下してパネルモニタまたはビューファインダの表示内容を拡大させながら、スライドスイッチ271を、ピーキング処理を実行する方向にスライドさせて、強調表示されたエッジ部分を表示させることができる。
次に、この発明の第3の実施形態に係る画像処理装置について説明する。この発明の第3の実施形態に係る画像処理装置は、図4で示した、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置と同様の外観からなる。この発明の第3の実施形態は、ゼブラ処理に関して改良を加えるものである。ゼブラ処理は、露出オーバーで白トビが発生する可能性のある部分を縞模様で表示する機能である。
最初に、ゼブラ処理を実行する回路の概要について、図27を参照して説明する。輝度データ(y_in)は、最初に、ダイナミックレンジ変更回路371に提供され、そこで、たとえば、0〜255の範囲から、0〜239の範囲へとダイナミックレンジの変更をし、さらに、ダイナミックレンジの範囲を実質的に110とする処理を含む輝度データの変更処理が行われる。ダイナミックレンジ変更回路371の出力データは、一方で、遅延回路372を介して出力され(zbr_y)、他方で、輝度判定回路373に送信される。
輝度判定回路373では、ダイナミックレンジ変更回路371によって変更された輝度データの値が所定の範囲であった場合に、データ「1」を出力する。AND回路374には、この輝度判定回路373の出力、クロック信号(zbr_clk)、およびゼブラ処理実行信号(zbr_on)が入力され、出力は遅延回路375に提供され、そこでzbrが出力される。ここで、ゼブラ処理実行信号(zbr_on)は、たとえば、上述のスライドスイッチ271が、ゼブラ処理を実行する方向にスライドされている場合に「1」となる。
輝度判定回路373は、「1」を出力するための条件を複数、たとえば8通り保持しており、設定によって、そのうちの1つを選択する。すなわち、これが、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲となる。8通りの条件は、たとえば以下のようなものである。ここで、輝度判定回路373に入力される輝度データは、tmp_zbr_yとする。
(1)142≦tmp_zbr_y≦164
(2)153≦tmp_zbr_y≦175
(3)164≦tmp_zbr_y≦186
(4)175≦tmp_zbr_y≦197
(5)186≦tmp_zbr_y≦208
(6)197≦tmp_zbr_y≦219
(7)208≦tmp_zbr_y≦230
(8)219≦tmp_zbr_y≦239
ただし、このような、輝度判定回路373における条件は、より多く用意することもできるし、ユーザが、具体的な数値を指定するように構成することも可能である。
また、ゼブラ処理を行うよう指示するためのスライドスイッチは、前述した、図23に示すスライドスイッチ271であり、矢印272の方向にスライドさせることによってゼブラ処理を実行するようになっている。
ここで、ゼブラ処理が行われた場合の表示の例について、図28を参照して説明する。図28Aおよび図28Bは、パネルモニタ90またはビューファインダ93の表示画像であり、書類390が被写体として選択されている。図28Aは、ゼブラ処理がオンとなっている場合の表示内容であり、白トビが発生する可能性のある部分(より、詳細には、設定された輝度の範囲にある画素を有する部分)に縞模様391が表示されている。これに対し、図28Bは、同じ被写体を同じ条件で撮影したものであるが、ゼブラ処理がオフとなっており、縞模様は表示されていない。
次に、図29および図30を参照して、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲を表示する態様について説明する。図29および図30に表された輝度範囲表示は、OSD機能を用いて表示した画面(パネルモニタ90やビューファインダ93の表示内容)の例である。そのため、背後には、被写体である書類390が表示されている。
ユーザは、画像処理装置の操作部において所定の操作を行うことによって輝度範囲表示をさせることができ、これによって、現在設定されている輝度範囲を把握することができる。図29Aには、輝度範囲表示の一例が示されている。輝度範囲表示392には、「ゼブラレベル」と表示されたタイトル、0〜110までの数値に対応するバー、および「73±12」と表示された範囲表示が含まれている。ここで、バーの中の黒帯状部分が、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲である。この例では、バーの全体が0〜110までの範囲として示されているが、前述の輝度判定回路373における輝度の値に対応付ければ、129〜239となる。また、「73±12」の範囲表示は、バーの中の黒帯状部分に対応する。すなわち、61(=73−12)〜85(73+12)の範囲に該当する場合に、ゼブラパターンを表示する設定となっている。61〜85という範囲は、輝度判定回路373における輝度の値に対応付ければ、190〜214となる。また、表示を終了する際に選択する終了指示部393も表示されており、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いて、この部分を選択・決定すれば、表示が終了する。
図29Bには、輝度範囲表示の別の態様が示されている。図29Bの表示も、図29Aの場合と同じく、OSD機能による表示である。輝度範囲表示394には、「ゼブラレベル」と表示されたタイトル、0〜110までの数値に対応するバー、および「76以上」と表示された範囲表示が含まれている。ここで、バーの中の黒帯状部分が、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲である。この例では、バーの全体が0〜110までの範囲として示されている。また、「76以上」の範囲表示は、バーの中の黒帯状部分に対応し、バーのうち、76の値の該当する位置から右側が黒帯状部分となっている。また、表示を終了する際に選択する終了指示部395も図29Aと同様に表示されている。
図30には、輝度範囲表示のさらに別の態様が示されている。図30の表示も、図29Aの場合と同じく、OSD機能による表示である。輝度範囲表示396には、「ゼブラレベル」と表示されたタイトル、0〜110までの数値に対応するバー、および「72以下」と表示された範囲表示が含まれている。ここで、バーの中の黒部分が、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲である。この例では、バーの全体が0〜110までの範囲として示されている。また、「72以下」の範囲表示は、バーの中の黒帯状部分に対応し、バーのうち、72の値の該当する位置から左側が黒帯状部分となっている。また、表示を終了する際に選択する終了指示部397も図29Aと同様に表示されている。
次に、図31を参照して、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲を設定する態様について説明する。図31に表された輝度範囲設定表示は、OSD機能を用いて表示した画面(パネルモニタやビューファインダの表示内容)の例であり、ユーザは、画像処理装置の操作部において所定の操作を行うことによって、この輝度範囲設定表示を表示させることができる。背後には、被写体である書類390が表示されている。
ユーザは、輝度範囲設定表示により、現在設定されている輝度範囲を変更して新たな輝度範囲を設定することができる。図31に示された輝度範囲設定表示401には、「ゼブラ範囲」と表示されたタイトル、0〜110までの数値に対応するバー、および「73±10」の表示と、このうち「10」の部分の上下方向にそれぞれ配置された三角マークを含む範囲表示が含まれている。ここで、バーの中の黒帯状部分が、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲である。また、範囲表示のうち、「10」の部分は、たとえば、図5に示すような選択決定ボタン63を用いて上記三角マークを選択・決定することによって、他の数字に変更することが可能である。図31には、表示を終了する際に選択する終了指示部402も表示されており、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いて、この部分を選択・決定すれば、表示が終了するとともに、輝度範囲の変更が反映される。
次に、図32を参照して、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲を表示する際の、画面遷移の概要について説明する。ノーマル画面411は、単に被写体が映し出されている通常時の画面である。ここで、画像処理装置の操作部において所定の操作を行うと、メニュー画面413の表示された画面412に遷移する。メニュー画面413は、たとえば、OSD機能を用いて表示される。メニュー画面413には、いくつかの表示項目のリストが表示され、そのうちの1つとして「ゼブラレベル」が表示される。この部分を、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いて選択すると、右側に、現在の設定内容が表示される。この場合では、「95±10」が表示される。ここで、選択決定ボタン63を用いて、決定をすると、画面416に遷移する。また、表示を終了する際に選択する終了指示部を、選択決定ボタン63を用いて選択し、決定すると、ノーマル画面411に戻る。
ノーマル画面411が表示されている場合に、上記とは別の操作をすると、メニュー画面415の表示された画面414に遷移する。メニュー画面415は、たとえば、OSD機能を用いて表示される。メニュー画面415は、メニュー画面413と同様のリストが表示される。「ゼブラレベル」の項目を、たとえば、図5に示す選択決定ボタン63を用いて選択すると、右側に、現在の設定内容が表示される。この場合では、「95±10」が表示される。ここで、選択決定ボタン63を用いて決定をすると、画面416に遷移する。画面414とメニュー画面415は、所定の操作によって相互に遷移が可能である。また、表示を終了する際に選択する終了指示部を、選択決定ボタン63を用いて選択し、決定すると、ノーマル画面411に戻る。
画面416では、レベル表示画面417が表示され、ここには、「ゼブラレベル」と表示されたタイトル、0〜110までの数値に対応するバー、および「95±10」と表示された範囲表示が含まれる。ここで、表示を終了する際に選択する終了指示部を、選択決定ボタン63を用いて選択し、決定すると、ノーマル画面411に戻る。また、表示を終了する際に選択する終了指示部を、選択決定ボタン63を用いて選択し、決定すると、ノーマル画面411に戻る。また、別の操作によって、前の画面(すなわち、画面412または画面414)に戻ることもできる。
このような画面の遷移は、図31で説明した輝度の範囲を設定する画面についても同様に実現される。
このように、ゼブラパターンを表示する基準となる輝度の範囲をユーザが任意に設定できるため、ユーザは、ゼブラパターンを表示させる条件を、従来より詳細かつ自由に設定することができるようになった。
次に、この発明の第4の実施形態に係る画像処理装置ついて説明する。この発明の第4の実施形態に係る画像処理装置は、図4で示した、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置と同様の外観からなる。この発明の第4の実施形態は、ホワイトバランスの処理に関するものである。
ここで、ホワイトバランスについて概略的に説明する。先ず、色温度について説明する。色温度は、完全黒体を熱したときに完全黒体から放射される放射光の色であり、その色と温度とは、1:1の関係で定義づけられる。ある色の放射光を完全黒体に放射させるために必要な温度が色温度の単位であり、熱力学的温度の単位である「K」(ケルビン)で表現される。完全黒体からの放射光の色は、完全黒体の温度が高くなるにつれて、色度が赤から白、さらに青の方向に変化する。そのため、全体的に赤みが強い画面を「色温度が低い」と表現し、全体的に青みが強い画面を「色温度が高い」と表現することが可能となる。一般的な光源の色温度は、60Wタングステン白熱電灯で約2800K、昼光太陽光で約5600K、昼光色の蛍光灯で約6500Kなどとなっている。
ホワイトバランスは、ビデオカメラなどの調整機能の一つであり、ある色温度の光源下で撮影された白い物体の色が、偏りのない白色に撮影されるように、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)各色のバランスを調節する機能である。
ビデオカメラで、たとえば、60Wタングステン白熱電灯のような色温度が低い光源下でホワイトバランスの調整を行った場合、その光源下では、白い物体は白色に撮影される。しかしながら、そのホワイトバランス設定のままで、より色温度の高い、たとえば、昼光太陽光下に移動して撮影を行った場合、白色の物体は、青みがかった白として撮影されてしまうことになる。そのため、色温度が異なる光源の元で撮影を行う際には、その都度、ホワイトバランス調整を行う必要がある。
最初に、この発明のホワイトバランスの処理を実現する回路の構成について、図33を参照して説明する。CCD431に結像された被写体光は、CCD431の各画素の色フィルタによって、R、G、Bに分けられ、光電変換される。次に、この光電変換された信号は、サンプルホールド・AGC回路432によってサンプリングおよび増幅され、A/Dコンバータ433によってディジタル信号に変換される。
R、G、Bそれぞれのディジタル信号は、ホワイトバランスアンプ434を介して出力信号として取り出されるとともに、WBアンプゲイン設定ブロック436に送信される。WBアンプゲイン設定ブロック436はまた、色温度に応じて設定されたRGBアンプゲインを入力し、そこで、WBアンプゲイン435が求められる。ホワイトバランスアンプ434は、WBアンプゲイン435を受信し、R、G、Bそれぞれのディジタル信号について、WBアンプゲインがかけられる。アンプゲインは、R、G、B独立に変更可能であるが、Gアンプゲインを固定してR、Bの2つのアンプゲインのみを可変とするようにしてもよい。
この発明においては、ホワイトバランスの調整(屋外レベル調整)を行うために、基準の色温度に対する相対値を用いる。たとえば、各ケルビン値に対応する値を以下のように設定する。
6300K・・・・+1
5800K・・・・ 0
5300K・・・・−1
4800K・・・・−2
4300K・・・・−3
3800K・・・・−4
3300K・・・・−5
2800K・・・・−6
2300K・・・・−7
ただし、デフォルト値は、5800K(相対値は0)である。
この例では、500Kごとに、異なる相対値に対応付けているが、他の間隔、たとえば、200Kや300Kごとに対応付けを行っても良い。このようにして設定された相対値が、RGBアンプゲインとしてWBアンプゲイン設定ブロック436に入力される。
次に、図34を参照して、相対値を設定する態様の一例について説明する。図34に示されているのは、パネルモニタ90やビューファインダ93に、OSD機能によって表示された設定表示であり、各設定表示相互の遷移を含めて概念的に示したものである。
設定表示は、たとえば、アイコンと数値(相対値)の対で構成される。この表示は、数値だけで構成されてもよい。また、数値のレベルごとに異なるシンボルアイコンを用意し、数値とそのシンボルアイコンを一緒に表示し、またはそのシンボルアイコンのみを表示するように構成してもよい。シンボルアイコンは、たとえば、日没や日の出を表すアイコン、月(満月)を表すアイコン、ストロボを表すアイコン、蛍光灯を表すアイコン、雲を表すアイコン等が考えられる。
図34に示す設定表示451は、この状態で、たとえば選択決定ボタン63を用いて決定をすると、レベル設定モード452に変わる。そこで、選択決定ボタン63を用いた選択を行うと、順次異なる相対値(およびアイコン)の表示がされ、ユーザが変更したい相対値の表示がされたところで決定の操作をすると、その値がRGBアンプゲインとして用いられる。たとえば、「−7」が数値として選択された場合は、これに対応する2300Kが、WBアンプゲイン設定ブロック436に入力される。また、この数値(相対値)と色温度の対応付けの情報が、WBアンプゲイン設定ブロック436によって保持されている場合は、WBアンプゲイン設定ブロック436に数値を入力し、そこで色温度への変換がされるように構成されうる。
選択決定ボタン63では、ローラー状の部分の移動方向を変えることによって、相対値(およびアイコン)の表示を順次切り替えるように制御することができる。
このような構成とすることにより、ホワイトバランス調整を行う際に、基準の色温度に対する相対値によって調整を行うことができ、より容易な設定が可能となる。
次に、この発明の第5の実施形態に係る画像処理装置について説明する。この発明の第5の実施形態に係る画像処理装置は、図4で示した、この発明の第1の実施形態に係る画像処理装置と同様の外観からなる。この発明の第5の実施形態は、あらかじめ複数の項目に対する設定を複数パターン記録することができる機能を有するものである。
この発明の実施形態では、撮像の方法、撮像データの処理、および画像データの処理に関する設定項目(たとえば、色の濃さ、色の明るさ、ホワイトバランスなどの各種設定項目)に対してそれぞれ設定値が指定されて1つの設定値群(以降、これをピクチャープロファイルまたはプロファイルと称する)を形成し、それを、あらかじめ複数のパターン用意する(すなわち、複数のピクチャープロファイルを用意する)。撮影時に、これらのピクチャープロファイルのうちから1つを選択し、指定することによって、状況に応じた好みの画質で撮影を行うことができる。また、カメラモードやメモリーモードといった電源モードごとにピクチャープロファイルを保持するようにすることもできる。
また、ユーザは、これらのピクチャープロファイルの設定値を変更することによって、所望のピクチャープロファイルを構成することもできる。事前に用意されるピクチャープロファイルには、たとえば、以下のように、所定の撮影状況に応じた推奨値を有するものがある。
・HDビデオ撮影に適した設定値を有するピクチャープロファイル
・SDに適した設定値を有するピクチャープロファイル
・人物撮影に適した設定値を有するピクチャープロファイル
・映画のような映像を撮影する場合に適した設定値を有するピクチャープロファイル
・モノトーンを撮影する場合に適した設定値を有するピクチャープロファイル
・夕焼けを撮影する場合に適した設定値を有するピクチャープロファイル。
次に、図35ないし図37を参照して、ピクチャープロファイルの選択およびピクチャープロファイルの設定値の変更を行うための画面の遷移について説明する。図35ないし図37に示された各画面は、たとえば、パネルモニタ90やビューファインダ93に、OSD機能を用いて表示されるものである。
最初に、図35に示された各画面について説明する。画面1はノーマル画面であり、レンズを通して得られた画像等が表示されるが、ここでは、そのような撮像画像等の表示は省略した。画面1はまた、ピクチャープロファイル(PP)の指定がオフとなった状態であり(PP−OFF)、このことは、ピクチャープロファイルの設定内容が撮像画像に反映されていないことを意味する。
画面1が表示されている状態でPPキーを押下すると、画面2に表示が切り替わる。ここで、PPキーは、たとえば、画像処理装置の操作部に設けられている所定のキーである。画面2は、PP切替画面であり、この画面2を参照して、指定するピクチャープロファイルを選択する。画面2には、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部501、複数のピクチャープロファイルをリスト表示するリスト部502、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部503が含まれる。画面2が表示された状態で、リスト部502の中の「切」を選択すると、画面1に戻る。ピクチャープロファイルとしてPP1を指定しようとする場合は、リスト部502の中の「PP1」と表示された部分504を選択し、決定する。この選択・決定操作により、画面は、図36に示す画面4に遷移し、そこで、PP1の最終的に選択が決定される。画面4の詳細については後述する。ここで、画面上に表示された項目の選択や決定は、たとえば、選択決定ボタン63によって行われる。なお、PP1のようなピクチャープロファイルの名称は、ユーザによって変更することが可能である。ピクチャープロファイルの名称を、その用途と関連づけて設定すれば、ピクチャープロファイルの内容が分かり易くなり、指定する際に便利である。
終了指示部503を選択して決定操作を行うと、画面1または画面3のノーマル画面に戻る。この終了処理の動作は、以降の各画面についても同様である。
また、画面2が表示された状態で、「PP1」等のピクチャープロファイル名を選択し、PPキーを押下すると、画面3のようなノーマル画面となる。この画面3は、画面1のノーマル画面と同様のものであるが、ピクチャープロファイルの指定がオンとなった状態であり(PP−ON)、このことは、ピクチャープロファイルの設定内容が撮像画像に反映されることを意味する。また、画面3の左下には、PP1というピクチャープロファイルの指定がオンとなっていることを示す「PP1」の表示がされている。画面3が表示された状態でPPキーを押下すると、画面1の場合と同様に画面2が表示される。
次に、図36に示された各画面について説明する。画面4は、実行/設定選択画面であり、前述したように、画面2が表示された状態でピクチャープロファイルを選択し、決定すると表示される。画面4には、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部、ピクチャープロファイルに関する処理をリスト表示するリスト部511、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部が含まれる。
ここで、リスト部511の中から「戻る」を選択すると、図35の画面2に戻る。リスト部511の中から「決定」と表示された部分512を選択し、決定すると、ピクチャープロファイルとしてPP1が選択されたことが決定され、図35の画面3の表示になる。リスト部511の中から「設定変更」を選択し、決定すると、画面5の表示がされる。
画面5は、設定選択画面であり、ここで、選択されたピクチャープロファイル(この例では「PP1」)の各設定値が指定される。画面5には、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部、ピクチャープロファイル内の各設定項目をリスト表示するリスト部521、各設定項目の設定値を表示する設定値表示部522、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部が含まれる。ユーザは、選択決定ボタン63によって、設定値を指定する設定項目を選択し、決定する。この例では、「色のこさ」と表示された部分523が選択され、選択決定ボタン63による決定操作がされている。このような操作が行われると、図37に示す画面7が表示され、そこで、その設定項目(すなわち、色のこさ)についての設定値が指定される。画面7の詳細については後述する。
画面6は、画面5と同様の設定選択画面である。この画面は、画面5の状態で、ユーザが選択決定ボタン63による選択操作を続けた場合の状態を示しており、画面5では表示されていなかった設定項目が新たにスクロール表示されてきている。この例では、「コピー」と表示された部分533が選択され、選択決定ボタン63による決定操作がされている。このような操作が行われると、図37に示す画面8が表示され、そこで、ピクチャープロファイルのコピーの指定が行われる。画面8の詳細については後述する。このように、ピクチャープロファイルの設定内容を、他のピクチャープロファイルにコピーすることができる。また、ピクチャープロファイルの設定値の内容を、外部メモリに記憶させることができる。外部メモリに記憶された設定値の内容は、互換性のある画像処理装置等で使用することができる。このような外部メモリは、たとえば、図5に示したような記録媒体挿入口64に挿入され、ピクチャープロファイルの設定値の内容が、その外部メモリにコピーされる。
リスト部には、コピーやリセットといった、設定項目以外のものも含まれうることに注意すべきである。また、画面5のリスト部521の中から「戻る」を選択し、決定することによって、画面4に戻ることができる。
次に、図37に示された各画面について説明する。画面7は設定画面であり、前述したように、画面5が表示された状態で「色のこさ」を選択、決定すると表示される。画面7には、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部、「色のこさ」と表示された設定項目名表示部541、設定項目に対する設定値を表示する設定値表示部542、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部が含まれる。
ユーザは、設定項目「色のこさ」の設定値をより大きくしようとする場合は、設定値表示部542の上部にある三角マークを選択し、設定項目「色のこさ」の設定値をより小さくしようとする場合は、設定値表示部542の下部にある三角マークを選択して、設定表示部542に表示された数値を変更する。また、設定表示部542に数値を直接入力するように構成することもできる。こうした設定値の指定が終わると、図36に示された画面5に戻り、画面5の設定値表示部522には、変更された設定値が表示される。
画面8は、コピー先選択画面であり、前述したように、画面6が表示された状態で「コピー」を選択、決定すると表示される。画面8には、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部、コピー先がリスト表示されたリスト部551、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部が含まれる。リスト部551の中から「戻る」を選択、決定すると、図36の画面6に戻る。一方、リスト部551の中の「PP2」と表示された部分552を選択し、決定操作を行うと、画面9が表示される。
画面9は、コピー確認画面であり、「ピクチャープロファイル」という表示を含むタイトル部、「PP1をPP2にコピーしますか?」というテキスト情報が表示された情報表示部561、「はい」「いいえ」のリストから構成されるリスト部562、およびこの画面を終了するときに選択される終了指示部が含まれる。リスト部562の中から「いいえ」を選択、決定すると、画面8に戻り、「はい」を選択し、決定すると、PP1の設定値が、PP2にコピーされ、画面6が表示される。
次に、図38を参照して、ピクチャープロファイルの設定項目について説明する。ただし、これらの設定項目は例示であり、これ以外の設定項目に対する設定値をピクチャープロファイルに記憶させてもよい。また逆に、ピクチャープロファイルが、図38に示された設定項目のすべてについて設定値を有しなければならないということもない。
図38には、表示順、設定項目、段階数、パラメータ、および表示タイプが示されている。表示順は、たとえば、図36に示した画面5や画面6に設定項目が表示される場合の表示順を表している。設定項目は、その設定項目の内容を表す名称である。段階数は、その設定項目の設定値がいくつのレベルで指定可能かを示しており、パラメータは、設定値の指定に実際に用いられる値であり、かっこ内の値はデフォルト値を示している。表示タイプは、パラメータが数値で表されるか、リストで表されるかを示している。表示タイプが「数値」であれば、たとえば、設定値は1から10のうちの数値で表され、表示タイプが「リスト」であれば、たとえば、設定値は、「高」、「中」、「低」のうちいずれかから選ばれる。
図38に示された設定項目のうち、AWB(Auto White Balance)感度は、色環境をサンプリングする際の感度である。
次に、図39を参照して、表示タイプが数値である設定項目の設定と、表示タイプがリストである設定項目の設定について説明する。図39に示された画面5/6(設定選択画面)は、実質的に、図36に示した画面5および画面6と同様のものである。この例では、スクロールバー611が付加され、このスクロールバー611を操作することにより、設定項目のスクロール表示を行う。リスト表示部612の中の「色のこさ」と表示された部分614を選択し、決定することにより、図39の上部に示された画面7の設定画面が表示され、そこで、色のこさの設定値が決定される。図38に示したとおり、「色のこさ」の表示タイプは「数値」で、設定値は、−8から+7の16段階で指定される。
画面7には、設定値指定部601が表示され、現在の設定値が示される。ユーザは設定値の上下に配置された三角マークを選択等することによって、この設定値を−8から+7の範囲で別の値に変更することができる。変更操作が終了すると、画面5/6に戻る。
一方、たとえば、画面5/6のリスト表示部612の中から「オートアイリスリミット」(不図示、当該項目は、画面5/6において、設定項目をスクロール表示させることによって表示される)を選択し、決定すると、図39の下部に示された画面7の設定画面が表示され、そこで、オートアイリスリミットの設定値が決定される。図38に示したとおり、「オートアイリスリミット」の表示タイプは「リスト」で、設定値は、「F11」、「F9.6」、「F8」のいずれかをとる。
画面7には、設定値指定部621が表示され、現在の設定値が、たとえば、高輝度で表示される。ユーザは、設定値指定部621でリスト表示されている他の設定値を選択等することによって、この設定値を別のものに変更することができる。変更操作が終了すると、画面5/6に戻る。
また、設定項目に対する設定値の指定に関しては、設定画面において、「基準値(デフォルト値)」を表示しておくように制御することができる。これについて、図40を参照して説明する。図40Aおよび図40Bは、設定項目「シャープネス」の設定値を指定するための設定画面(画面7)である。「シャープネス」は、図38に示すように、表示タイプは「数値」で、設定値は、0から15の16段階で指定される。ここで、シャープネスのデフォルト値が、記録モード「HD」の場合は「3」、記録モード「SD」の場合は「12」であるとする。
図40Aには、設定値指定部651が表示され、設定値指定部651内には、設定値を表示する設定値表示部652、その設定項目のデフォルト値の相対的な位置を表すデフォルト値表示部653、および指定された設定値の相対的な位置を表すための設定値表示バー654と設定値表示帯部655が含まれる。
図40Aにおいて、シャープネスの設定値は「3」に設定されている。ユーザは、設定値表示部652の上下に配置された三角マークを選択等することによって、この設定値を変更することができる。設定値表示バー654は、その左端が、とりうる設定値の最小値(この場合は「0」)の位置を表し、その右端が、とりうる設定値の最大値(この場合は「15」)の位置を表す。その設定値表示バー654内には、設定値表示帯部655があり、現在の設定値に応じたバー上の相対的位置に配置される。したがって、現在の設定値が「3」である場合、設定値表示帯部655は、設定値表示バー654の左側(より詳細には、設定値表示バー654の左端部と設定値表示バー654の中央部とのほぼ中間の位置)に配置される。デフォルト値表示部653も、上述の設定値表示帯部655と同様の相対的位置に配置される。この場合、記録モードがHDであるため、シャープネスのデフォルト値は「3」であり、したがって、デフォルト値表示部653は、設定値表示帯部655のほぼ真上に配置される。
図40Bは、図40Aの状態で、記録モードをHDからSDに変更した場合の画面表示を示したものである。図40Bは、図40Aと同様、設定値指定部661が表示され、設定値指定部661内には、設定値を表示する設定値表示部662、その設定項目のデフォルト値の相対的な位置を表すデフォルト値表示部663、および指定された設定値の相対的な位置を表すための設定値表示バー664と設定値表示帯部665が含まれる。
図40Bの場合は、図40Aの場合とは異なり、記録モードがSDであるため、シャープネスのデフォルト値は「12」である。したがって、この場合、デフォルト値表示部663は、設定値表示帯部665の真上ではなく、デフォルト値「12」に対応する位置、すなわち、設定値表示バー664の右側上部に配置される。
このように、各設定項目の設定値を、数値のような絶対的な表示と、バーを用いた相対表示(すなわち、設定項目の設定範囲において現在の設定値がどのような相対的位置にあるかを表示したもの)の両方で表示することができる。このような表示方法によって、設定値の上限値および下限値と、現在の設定値の関係を容易に把握することができる。
図41Aは、別のピクチャープロファイルの設定の例であるが、記録モードがHDで、シャープネスの設定値を「12」に設定した状態を表している。この場合、記録モードがHDであるため、シャープネスのデフォルト値は「3」であり、デフォルト値表示部672は、設定値表示バー673の左側上部に配置される。
図41Bは、図41Aの状態で、記録モードをHDからSDに変更した場合の画面表示を示したものである。この場合、シャープネスのデフォルト値は「12」となり、デフォルト値表示部682は、設定値表示帯部684のほぼ真上に配置される。
図42Aは、工場出荷時あるいはリセット時の設定画面(画面7)の画面表示を示したものである。工場出荷時、およびリセット時には、50Hz動作モードとなり、50Hz動作モードでのシャープネスのデフォルト値は「3」であり、60Hz動作モードでのシャープネスのデフォルト値は「4」であると仮定する。そうすると、図42Aでは、デフォルト値表示部692が、設定値表示帯部694のほぼ真上に配置される。
図42Bは、図42Aの状態のときに、周波数切替を行って、50Hz動作モードから60Hz動作モードになった場合の設定画面を示している。60Hz動作モードに切り替えられたことによって、シャープネスのデフォルト値は「3」から「4」に自動的に切り替えられている。そのため、デフォルト値表示部702は、設定値「4」の位置に移動し、設定値表示帯部704の右斜め上の位置に配置される。
図42Cは、図42Bの状態のときに、シャープネスの設定値を「3」から「4」に変更した場合の設定画面の表示を表している。シャープネスの設定値を「3」から「4」に変更することにより、設定値表示帯部714は、「3」の位置から「4」の位置に移動(すなわち、わずかに右側に移動)する。それによって、デフォルト値表示部712は、設定値表示帯部714のほぼ真上に配置されることになる。
これまで、この発明の各実施形態に係る画像処理装置を、ディジタルビデオカメラのような、主として動画の撮影に用いられる装置を例にとって説明してきたが、この発明を、静止画の撮影を行う画像処理装置に適用することも可能であり、したがって、この発明の範囲を動画撮影のための装置のみに限定すべきではない。
50・・・ディジタルビデオカメラ、51・・・レンズフード、52・・・パネルモニタ、53・・・ステレオマイク、54・・・マニュアルフォーカスリング、55・・・ズームリング、56・・・ビューファインダ、57,58・・・操作部、61・・・スライドスイッチ、62・・・メニューボタン、63・・・選択決定ボタン、64・・・記録媒体挿入口、65・・・バッテリー、66・・・電源スイッチ、81・・・画像処理システム、82・・・レンズ、83・・・撮像素子、84・・・AD変換器、85・・・信号処理回路、86・・・画像メモリ、87・・・制御マイコン、88・・・モニタ信号処理回路、89・・・表示処理回路、90・・・パネルモニタ、91・・・モニタ信号処理回路、92・・・表示処理回路、93・・・ビューファインダ、94・・・表示処理回路、95・・・再生回路、96・・・記録回路、97・・・メディア、98・・・切出処理回路、99、100・・・セレクタ