JP2006066843A - 静電保護素子及び半導体装置及び同半導体装置の製造方法 - Google Patents

静電保護素子及び半導体装置及び同半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
静電破壊に対する強度を向上させた静電保護素子及びこの静電保護素子と高電子移動度トランジスタとを同一基板上に形成した半導体装置及びこの半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置において、静電保護素子は、高電子移動度トランジスタと素子分離された同一基板上であって、キャップ層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定間隔をあけて設けるとともに、第1の電極と第2の電極との間のキャップ層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をキャップ層から下層側へ向けて形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することにより同一基板にNPN構造の保護ダイオードを形成することとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電保護素子及び半導体装置及び同半導体装置の製造方法に関するものである。
従来より、高周波特性に優れ、高速動作が可能な電界効果トランジスタとして、高電子移動度トランジスタ(以下「HEMT(High Electron Mobility Transistor)」という。)が知られていた。
このHEMTは、その特性から携帯電話をはじめとする携帯用通信装置における高周波用RF(Radio frequency)回路などに用いられていた。
このような携帯用通信装置は、年々小型化が進んでおり、これに伴って内蔵するHEMTも小型化が進んでいる。
近年では、ゲート幅が10〜20μmといった微小な構造のHEMTが開発されている。
このように微小な構造を有するHEMTは、静電気を帯びた人体との接触による静電気の放電などによって、高電圧のサージ電流がドレインを介してゲートに流れ込み、ゲートを破壊してしまう静電破壊に対して強度が低いことが知られている。
そのため、HEMTを備えた半導体装置を形成する際は、HEMTを形成する半絶縁性の半導体基板と同一の基板上に静電保護素子を同時に形成し、HEMTのゲートとドレインとの間に、この静電保護素子を接続することによってゲートに高電圧のサージ電流が流れ込むことを防止して、HEMTの静電破壊に対する強度を強化するようにしていた。
このように、同一基板上にHEMT100と静電保護素子101とを形成した半導体装置102は、図10に示すように、GaAs(ガリウム・ヒ素)からなる半絶縁性の半導体基板11上に、GaAsバッファ層12と、アンドープInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)チャネル層13と、アンドープAlGaAs(アルミニウム・ガリウム・ヒ素)スペーサ層14と、n+AlGaAsキャリア供給層15と、n−AlGaAs障壁層16と、n+GaAsキャップ層17とが順にエピタキシャル成長されたエピタキシャル層103が形成されている。
また、HEMT100の形成領域と静電保護素子101の形成領域との間のエピタキシャル層103は、エッチングにより除去されており、これにより、HEMT100と静電保護素子101とを素子分離している。
この素子分離用にエッチングされた部分のエピタキシャル層103の表面と、静電保護素子101の形成領域におけるn+GaAsキャップ層17の表面と、HEMT100の形成領域におけるn−AlGaAs障壁層16の表面には、SiN(窒化シリコン)からなる絶縁層18が形成されている。
静電保護素子101の形成領域には、表面に形成した絶縁層18の所定位置の2箇所に開口18d、18eが設けられており、この開口18d、18eからn+GaAsキャップ層17にP型不純物であるZn(亜鉛)を拡散させることにより第1のP型GaAs領域110と第2のP型GaAs領域111が形成されており、この第1のP型GaAs領域110と第2のP型GaAs領域111の各上部に静電保護素子101の第1の電極113と第2の電極114とが設けられている。
このように、静電保護素子101は、n+GaAsキャップ層17と、n−AlGaAs障壁層16と、第1のP型GaAs領域110と第2のP型GaAs領域111とからなるPNP構造の保護ダイオードにより構成しており、この静電保護素子101をHEMT100のドレイン電極116とゲート電極112との間に接続することによってHEMT100のドレイン電極116からゲート電極112に直接高電圧のサージ電流が流れ込むことを防止するようにしていた(たとえば、特許文献1参照。)。
なお、第1のP型GaAs領域110と第2のP型GaAs領域111とを形成する際は、同時に、HEMT100形成領域のn−AlGaAs障壁層16の所定領域にもZnを拡散させており、これによってHEMTの埋め込みゲート領域19を形成している。
そして、この埋め込みP型GaAsゲート領域19の上部に、ゲート電極112を設けており、このゲート電極112から所定の間隔をあけた両側に、HEMT100のソース電極115とドレイン電極116とがn+GaAsキャップ層17を介してn−AlGaAs障壁層16の上部に設けられている。
特開2002−9253号公報
このように、従来、HEMTと同一基板に静電保護素子を形成した半導体装置では、PNP構造を有する保護ダイオードを静電保護素子として設けていたが、近年、接合型FET(Junction Field Effect Transistor)などHEMT以外のトランジスタに関しては、PNP構造の保護ダイオードよりもNPN構造の保護ダイオードの方が静電破壊に対する強度が高いことが知られている。
そこで、HEMTに関しても、NPN構造の保護ダイオード静電保護素子として同一基板上に設けることが望まれているが、HEMTを形成する半絶縁性の半導体基板上には、予め電子が走行するアンドープInGaAsチャネル層が形成されている。
そのため、この半絶縁性の半導体基板上に、静電保護素子としてNPN構造の保護ダイオードを形成すると、n+キャップ層の下方に存在するアンドープInGaAsチャネル層にリーク電流が流れてしまうこととなり、NPN構造の保護ダイオードが静電保護素子として機能しないおそれがあった。
そこで、請求項1に係る本発明では、N型半導体層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定の間隔をあけて設けるとともに、第1の電極と第2の電極との間のN型半導体層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をN型半導体層に形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することによりN型半導体層にNPN構造の保護ダイオードを形成した静電保護素子を提供することとした。
また、請求項2に係る本発明では、半導体基板上にチャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順に積層し、キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成するとともに、障壁層の表面近傍に設けた埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成することによって高電子移動度トランジスタを構成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置において、静電保護素子は、高電子移動度トランジスタと素子分離された同一基板上であって、キャップ層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定間隔をあけて設けるとともに、第1の電極と第2の電極との間のキャップ層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をキャップ層から下層側へ向けて形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することにより同一基板にNPN構造の保護ダイオードを形成することとした。
また、請求項3に係る本発明では、分離溝は、チャネル層を空乏化可能とする深さを有することとした。
また、請求項4に係る本発明では、半絶縁性の半導体基板上に、チャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順次エピタキシャル成長させ、その後、キャップ層表面の所定位置からP型の不純物を拡散させることによりP型埋め込みゲート領域を形成し、このP型埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成した後、キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成することにより高電子移動度トランジスタを形成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置の製造方法において、ソース電極及びドレイン電極形成位置以外のキャップ層を除去すると同時に、静電保護素子の形成領域におけるキャップ層表面の所定位置から下層側へ向けて、キャリア層が空乏化する深さまで達する分離溝を形成する工程と、P型埋め込みゲート領域を形成すると同時に、分離溝の両側のキャップ層の所定位置にP型の不純物を拡散させた第1のP型領域と第2のP型領域とを形成する工程と、ゲート電極を形成すると同時に、第1のP型領域と第2のP型領域と分離溝との表面に配線層を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極を形成すると同時に、分離溝の両側のキャップ層の所定位置に電極を形成する工程とを有することとした。
本発明では、以下に記載するような効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る本発明では、N型半導体層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定の間隔をあけて設けるとともに、第1の電極と第2の電極との間のN型半導体層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をN型半導体層に形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することによりN型半導体層にNPN構造の保護ダイオードを形成した静電保護素子を提供することとしたため、N型の半導体層の表面近傍に、PNP構造の保護ダイオードよりも静電破壊に対する強度が高いNPN構造の保護ダイオードを形成することができ、静電保護素子の静電破壊に対する強度を向上させた静電保護素子を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明では、半導体基板上にチャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順に積層し、キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成するとともに、障壁層の表面近傍に設けた埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成することによって高電子移動度トランジスタを構成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置において、静電保護素子は、高電子移動度トランジスタと素子分離された同一基板上であって、キャップ層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定間隔をあけて設けるとともに、第1の電極と第2の電極との間のキャップ層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をキャップ層から下層側へ向けて形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することにより同一基板にNPN構造の保護ダイオードを形成することとしたため、PNP構造を有する静電保護素子よりも静電破壊に対する強度が高く、チャネル層におけるリーク電流の発生を防止した静電保護素子を提供することができる。
また、請求項3に係る本発明では、分離溝は、チャネル層を空乏化可能とする深さを有することとしたため、障壁層のエッチングを必要最小限に抑えることができるので、製造プロセスの複雑化を未然に防止しつつ、静電破壊に対する強度を向上させた半導体装置を提供することができる。
また、請求項4に係る本発明では、半絶縁性の半導体基板上に、チャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順次エピタキシャル成長させ、その後、キャップ層表面の所定位置からP型の不純物を拡散させることによりP型埋め込みゲート領域を形成し、このP型埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成した後、キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成することにより高電子移動度トランジスタを形成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置の製造方法において、ソース電極及びドレイン電極形成位置以外のキャップ層を除去すると同時に、静電保護素子の形成領域におけるキャップ層表面の所定位置から下層側へ向けて、キャリア層が空乏化する深さまで達する分離溝を形成する工程と、P型埋め込みゲート領域を形成すると同時に、分離溝の両側のキャップ層の所定位置にP型の不純物を拡散させた第1のP型領域と第2のP型領域とを形成する工程と、ゲート電極を形成すると同時に、第1のP型領域と第2のP型領域と分離溝との表面に配線層を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極を形成すると同時に、分離溝の両側のキャップ層の所定位置に電極を形成する工程とを有することとしたため、製造工程数を増加させることなく、静電破壊に対する強度を強化した静電保護素子を高電子移動度トランジスタと同一基板上に同時に形成することができる。
本発明に係る静電保護素子は、半絶縁性のN型半導体層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定の間隔をあけて設けるとともに、この第1の電極と第2の電極との間のN型半導体層表面からP型の不純物を拡散させることにより第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設けている。
さらに、第1のP型領域と第2のP型領域との間には、この第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をN型半導体層の表層面から下層面側に向けて形成している。
そして、この第1のP型領域と第2のP型領域と分離溝との上部に配線層を形成して第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することによりN型半導体層にNPN構造の保護ダイオードを形成している。
このように、第1のP型領域と第2のP型領域との間に分離溝を形成するとともに、第1のP型領域と第2のP型領域とを配線層によって接続したことによって、N型半導体層中よりも配線層中の方が抵抗値が低くなるため、第1の電極又は第2の電極に電圧が印加された場合に、電子がN型半導体層を通過して第1のP型領域と第2のP型領域との間を移動することがなくなる。
このようにして、N型半導体層にNPN構造を有する保護ダイオードを形成することができるようになり、静電保護素子の静電耐圧が向上させることができる。
また、このようにN型半導体層に形成可能なNPN構造の静電保護素子を、高電子移動度トランジスタを形成する半導体基板と同一の半導体基板上に形成し、この静電保護素子を高電子移動度トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間に接続することによって、静電破壊に対する強度を強化した半導体装置とすることができる。
すなわち、半導体基板上にチャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順に積層し、キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成するとともに、障壁層の表面近傍に設けた埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成することによって高電子移動度トランジスタを構成し、この高電子移動度トランジスタを形成する半導体基板と同一の半導体基板上に、次のように構成した静電保護素子を形成する。
この静電保護素子は、高電子移動度トランジスタと素子分離された同一の半導体基板上であって、キャップ層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定間隔をあけて設けており、この第1の電極と第2の電極との間のキャップ層表面からP型の不純物を拡散させることによって第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設けている。
そして、この第1のP型領域と第2のP型領域との間に、第1のP型領域と第2のP型領域とを分離する分離溝をキャップ層から下層側へ向けて形成している。
さらに、この分離溝と第1のP型領域と第2のP型領域との上部に配線層を形成することによって第1のP型領域と第2のP型領域とを接続することで、同一の半導体基板上にNPN構造の保護ダイオードを形成することにより構成している。
このように、NPN構造の保護ダイオードは、従来のPNP構造の保護ダイオードよりも静電破壊に対する強度が高いため、このNPN構造の保護ダイオードにより構成した静電保護素子を高電子移動度トランジスタと同一の半導体基板上に設けることによって、高電子移動度トランジスタの静電破壊に対する強度を強化させることができる。
また、第1のP型領域と第2のP型領域との間に形成した分離溝は、チャネル層を空乏化させることができる深さとなるように形成している。
そのため、この分離溝はNPN構造の保護ダイオードを形成するために必要最小限の深さまでキャップ層と障壁層とをエッチングすればよいため、比較的短時間のエッチングにより分離溝を形成することができる。
以下に、高電子移動度トランジスタ(以下、HEMT「High Electron Mobility Transistor」1という。)と同一基板上に静電保護素子2を形成した本発明に係る半導体装置3について、図面を参照しながら説明する。
この半導体装置3は、図1に示すように、半絶縁性の半導体基板であるGaAs(ガリウム・ヒ素)基板21の表面に、GaAsバッファ層22と、アンドープのInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)チャネル層23と、同じくアンドープのAlGaAs(アルミニウム・ガリウム・ヒ素)スペーサ層24と、比較的高濃度にN型の不純物をドープしたN+AlGaAsキャリア供給層25と、比較的低濃度にN型の不純物をドープしたn−AlGaAs障壁層26と、比較的高濃度にN型の不純物をドープしたn+GaAsキャップ層27とを順次エピタキシャル成長させたエピタキシャル層4が形成されている。
また、HEMT形成領域5と静電保護素子形成領域6との間のエピタキシャル層4をエッチングにより除去することによって、HEMT1と静電保護素子2とを素子分離するようにしている。
また、HEMT形成領域5において、n−AlGaAs障壁層26の所定位置には、P型の不純物であるZn(亜鉛)を拡散させた埋め込みゲート領域7が形成されており、この埋め込みゲート領域7の上部にTi(チタン)とPt(白金)とAu(金)とを順次積層させたゲート電極8が形成されている。
そして、このゲート電極8の両側にHEMT1のソース電極9とドレイン電極10とがn+GaAsキャップ層27を介してn−AlGaAs障壁層26の上部に形成されてHEMT1を構成している。
また、静電保護素子形成領域6において、n+GaAsキャップ層27の表面には、第1の電極211と第2の電極212とが所定間隔をあけて形成されており、この第1の電極211と第2の電極の間のn+GaAsキャップ層27内部には、所定間隔をあけてP型の不純物を拡散させた第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとが形成されている。
この第1の電極211と第2の電極212とは、HEMT1のソース電極9及びドレイン電極10を形成する工程で同時に同一材料によって形成されるものである。
また、第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとは、HEMT1の埋め込みゲート領域7を形成する工程で同時に同一材料によって形成されるものである。
さらに、この第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとの間には、この第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを分離する分離溝11が形成されている。
特に、この分離溝11は、HEMT1を形成する際にエピタキシャル成長させたInGaAsチャネル層23に蓄積されるキャリア(電子)が完全に空乏化される深さとなるように形成されている。
そして、この分離溝11と第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとの上部にAuGe(金・ゲルマニウム)とNi(ニッケル)とAuとを順次積層させた配線層210を形成することによって第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを接続している。
また、配線層210は、HEMT1のゲート電極8を形成する工程で同時に同一材料により形成されるものである。
このように、静電保護素子形成領域6には、n+GaAsキャップ層27とn−AlGaAs障壁層26とからなるN型領域と、第1のP型領域29aとによってPN接合のダイオードが形成されており、また、n+GaAsキャップ層27とn−AlGaAs障壁層26とからなるN型領域と、第2のP型領域29bとによってPN接合のダイオードが形成されている。
そして、第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを配線層210で接続することによってPNP構造の保護ダイオードが形成されている。なお、図中に示す符号28はSiN(窒化シリコン)からなる絶縁層である。
以下に、HEMT1を形成する基板と同一のGaAs基板21上に静電保護素子2を形成する半導体装置3の製造方法について図2〜図9を参照して説明する。
なお、本実施の形態では、静電保護素子形成領域6に関してのみ図示し、HEMT形成領域5に関しては図示を省略して説明する。
まず、図2に示すように、半絶縁性の半導体基板であるGaAs基板21の表面に、HEMTを形成するのに必要な、GaAsバッファ層22と、アンドープのInGaAsチャネル層23と、同じくアンドープのAlGaAsスペーサ層24と、比較的高濃度にN型の不純物をドープしたn+AlGaAsキャリア供給層25と、比較的低濃度にN型の不純物をドープしたn−AlGaAs障壁層26と、比較的高濃度にN型の不純物をドープしたn+GaAsキャップ層27とを順次エピタキシャル成長させる。
次に、図3に示すように、このエピタキシャル成長させた各層のうち、HEMT形成領域5と静電保護素子形成領域6以外の部分をリン酸と過酸化水素水との混合液を用いたエッチングにより除去することによって、HEMT形成領域5と静電保護素子形成領域6との素子分離を行う。
次に、HEMT形成領域5において、ソース電極9の極形成領域とドレイン電極10の形成領域以外の部分のn+GaAsキャップ層27をエッチングにより除去する。
このとき同時に、図4に示すように、静電保護素子形成領域6において、保護ダイオードの第1のN型領域27aと第2のN型領域27bとなる部分以外のn+GaAsキャップ層27をクエン酸と過酸化水素水との混合液を用いたエッチングにより除去する。
その後、第1のN型領域27aと第2のN型領域27bとの間のn−AlGaAs障壁層26の一部が薄膜化されるように予めフォトリソグラフィによるマスク処理を施した後に、リン酸と過酸化水素水との混合液を用いたエッチングを行うことによって、後に形成する第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを分離する分離溝11を形成する(図5参照。)。
特に、この分離溝11は、InGaAsチャネル層23に蓄積されるキャリア(電子)が完全に空乏化される深さに達するまでエッチングすることにより形成している。
その後、図5に示すように、これら全ての表面にSiNからなる絶縁層28を形成する。
次に、HEMT形成領域5において、絶縁層28の表面にフォトリソグラフィにより所定のパターニングを施したマスク層を形成した後、エッチングを行うことによってゲート電極8の形成位置の絶縁層28にゲート用開口を形成する。
このとき同時に、図6に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、保護ダイオードの第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを形成する位置の絶縁層28にも第1のP型領域用開口28cと第2のP型領域用開口28dとを形成する。
その後、HEMT形成領域5において、ゲート用開口からn−AlGaAs障壁層26へP型の不純物であるZnを拡散させることによって埋め込みゲート領域7を形成する。
このとき同時に、図7に示すように、第1のP型領域用開口28c及び第2のP型領域用開口28dからn−AlGaAs障壁層26へZnを拡散させることにより、第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを形成する。
なお、Znをn−AlGaAs障壁層26に拡散させる際は、H(水素)とAsH(ヒ化水素)雰囲気中でZnの供給源となるZn(CH(ジメチルジンク)を用いて気相拡散させるようにしている。
次に、これら全ての表面にTiとPtとAuとを蒸着又はスパッタリングにより順次積層させた多層金属層を形成する。
その後、HEMT形成領域5において、この多層金属層の表面にフォトリソグラフィを用いて所定のパターニングを施したマスク層を形成した後、エッチングを行うことによって埋め込みゲート領域7の上部に多層金属膜からなるゲート電極8を形成する。
このとき同時に静電保護素子形成領域に対してもフォトリソグラフィとエッチングを行い、図8に示すように、第1のP型領域29aと第2のP型領域29bの上部と、分離溝11を含む第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとの間の絶縁層28との表面に多層金属膜による配線層210を形成することによって、第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを接続する。
このように、同一工程において、同一の材料を用いてゲート電極8と配線層210とを形成するようにしている。
次に、HEMT形成領域5において、ソース電極9の形成領域及びドレイン電極10の形成領域の絶縁層28を除去することによってn+GaAsキャップ層27の表面を露出させるとともに、静電保護素子形成領域6においても保護ダイオードの第1のN型領域27a及び第2のN型領域27b上部の絶縁層28を除去して、n+GaAsキャップ層27の表面を部分的に露出させる。
その後、これら全ての表面にAuGeとNiとAuとを蒸着又はスパッタリングにより順次積層させた後、HEMT形成領域5において、この積層させた多層金属膜にフォトリソグラフィとエッチングを行うことによって、n+GaAsキャップ層27とオーミック接合するように、多層金属膜によるソース電極9とドレイン電極10とを形成する。
このとき同時に、図9に示すように、保護ダイオードの第1のN型領域27a及び第2のN型領域27b上部に多層金属膜からなる第1の電極211と第2の電極212とを形成して静電保護素子2を形成する。
最後に、HEMT1のゲート電極8とソース電極9とドレイン電極10と、静電保護素子2の第1の電極211と第2の電極212のそれぞれのコンタクト抵抗を低減するためのアロイ処理(熱処理)を行って、図1に示すような同一のGaAs基板21上にHEMT1と静電保護素子2とを形成した半導体装置3を形成する。
このように、本実施の形態では、HEMT1を形成する基板と同一のGaAs基板21上に、第1のN型領域27aと第2のN型領域27bを設けるとともに、第1のP型領域29aと第2のN型領域29bとを形成し、さらに、この第1のP型領域29aと第2のP型領域29bとを配線層210によって接続することによって、NPN構造の保護ダイオードを形成することができるので、静電破壊に対する強度を向上させた静電保護素子2とHEMT1とを同一のGaAs基板21上に形成した半導体装置3を製造工程数を増加させることなく製造することができる。
HEMTと同一基板上に静電保護素子を形成した本発明に係る半導体装置を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る静電保護素子の製造工程を示す断面図である。 HEMTと同一基板上に静電保護素子を形成した従来の半導体装置を示す断面図である。
符号の説明
1 HEMT
2 静電保護素子
3 半導体装置
4 エピタキシャル層
5 HEMT形成領域
6 静電保護素子形成領域
7 埋め込みゲート領域
8 ゲート電極
9 ソース電極
10 ドレイン電極
11 分離溝
21 GaAs基板
22 GaAsバッファ層
23 InGaAsチャネル層
24 AlGaAsスペーサ層
25 n+AlGaAsキャリア供給層
26 n−AlGaAs障壁層
27 n+GaAsキャップ層
27a 第1のN型領域

Claims (4)

  1. N型半導体層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定の間隔をあけて設けるとともに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記N型半導体層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、前記第1のP型領域と前記第2のP型領域とを分離する分離溝を前記N型半導体層に形成するとともに、前記第1のP型領域と前記第2のP型領域とを接続することにより前記N型半導体層にNPN構造の保護ダイオードを形成したことを特徴とする静電保護素子。
  2. 半導体基板上にチャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順に積層し、前記キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成するとともに、前記障壁層の表面近傍に設けた埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成することによって高電子移動度トランジスタを構成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置において、
    前記静電保護素子は、前記高電子移動度トランジスタと素子分離された前記同一基板上であって、前記キャップ層の表面に第1の電極と第2の電極とを所定間隔をあけて設けるとともに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記キャップ層表面に第1のP型領域と第2のP型領域とを所定間隔をあけて設け、前記第1のP型領域と前記第2のP型領域とを分離する分離溝を前記キャップ層から下層側へ向けて形成するとともに、前記第1のP型領域と前記第2のP型領域とを接続することにより前記同一基板にNPN構造の保護ダイオードを形成したことを特徴とする半導体装置。
  3. 前記分離溝は、前記チャネル層を空乏化可能とする深さを有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 半絶縁性の半導体基板上に、チャネル層とキャリア供給層と障壁層とキャップ層とを順次エピタキシャル成長させ、その後、前記キャップ層表面の所定位置からP型の不純物を拡散させることによりP型埋め込みゲート領域を形成し、このP型埋め込みゲート領域の表面にゲート電極を形成した後、前記キャップ層表面の所定位置にソース電極とドレイン電極とを形成することにより高電子移動度トランジスタを形成し、この高電子移動度トランジスタと同一基板上に静電保護素子を形成した半導体装置の製造方法において、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極形成位置以外の前記キャップ層を除去すると同時に、前記静電保護素子の形成領域における前記キャップ層表面の所定位置から下層側へ向けて、前記キャリア層が空乏化する深さまで達する分離溝を形成する工程と、
    前記P型埋め込みゲート領域を形成すると同時に、前記分離溝の両側の前記キャップ層の所定位置にP型の不純物を拡散させた第1のP型領域と第2のP型領域とを形成する工程と、
    前記ゲート電極を形成すると同時に、前記第1のP型領域と前記第2のP型領域と前記分離溝との表面に配線層を形成する工程と、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成すると同時に、前記分離溝の両側の前記キャップ層の所定位置に電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007059882A (ja) * 2005-07-28 2007-03-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体装置
KR101418211B1 (ko) 2012-03-19 2014-07-09 후지쯔 가부시끼가이샤 반도체 장치
JP2015023074A (ja) * 2013-07-17 2015-02-02 豊田合成株式会社 半導体装置

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