JP2006066460A - 熱電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱電モジュールで用いられる熱電素子の破損を防止する。
【解決手段】 熱電素子であって、電極と接する面Aの頂点のうち、少なくとも一つの頂点が面取り加工された状態になっている。
【選択図】 図2
【解決手段】 熱電素子であって、電極と接する面Aの頂点のうち、少なくとも一つの頂点が面取り加工された状態になっている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、熱電変換を行うための熱電モジュールで利用される熱電素子に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する熱電モジュールは、トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果等と呼ばれる熱電効果を利用した2種類の熱電素子を組み合わせて構成され、熱電対や電子冷却素子等もこれに該当する。熱電材料として半導体が用いられる場合には、P型とN型の熱電素子が組み合わされる。
熱電モジュールは、構造が簡単かつ取扱いが容易で安定な特性を維持できることから、広範囲にわたる利用が注目されている。特に、電子冷却素子としては、局所冷却や室温付近の精密な温度制御が可
能であることから、オプトエレクトロニクス用デバイスや半導体レーザ等の温度調節、並びに、小型冷蔵庫等への適用に向けて、広く研究開発が進められている(例えば特許文献1)。
能であることから、オプトエレクトロニクス用デバイスや半導体レーザ等の温度調節、並びに、小型冷蔵庫等への適用に向けて、広く研究開発が進められている(例えば特許文献1)。
ところで、このような熱電素子を用いた熱電モジュールを、例えば発電装置として用いる場合に、熱電モジュールに与えられる熱により、熱電モジュールの温度は、高温側において500℃〜600℃に達する場合がある。
ここで、上記のような熱電モジュールでは、P型またはN型の熱電素子に金属製の電極が接合されている。この熱電素子と電極とは、一般に、線膨張係数が異なるので、上記のような高温の領域になると、線膨張係数の相違により熱電素子に応力が生じる。この結果、熱電素子が破損してしまうことがある。
そこで、本発明の目的は、熱電モジュールに用いる熱電素子の破損を防止するための技術を提供することである。
本発明の一つの実施態様に従う熱電素子は、電極と接する面の頂点のうち、少なくとも一つの頂点が面取り加工された状態になっている。
本発明の一つの実施態様に従う熱電素子は、電極と接する面の頂点から前記電極と垂直方向へ延びる辺のうち、少なくとも一つの辺が面取り加工された状態になっている。
以下、本発明の一実施形態に係る熱電モジュールを構成する熱電素子について説明する。図1は、本実施形態に係る熱電モジュールの概要を示す。熱電モジュール1は、熱交換基板として2枚の絶縁板30、40と、2枚の絶縁板30、40の間に2次元的に交互に配列された多数の熱電素子であるP型素子(P型半導体熱電素子)50とN型素子(N型半導体熱電素子)60とを備える。P型素子50としては、例えばMn−Si系化合物を用いることができ、N型素子60としてはMg−Si系化合物、あるいはBi−Te系化合物を用いることができる。P型素子50及びN型素子60は、絶縁板30,40の表面上に配列された多数の電極70によって電気的に直列に接合される。一つの電極70には一つのP型素子と一つのN型素子が接続されており、以下、これをPN素子対と呼ぶ。
このようなPN素子対の一方の端のN型素子と、他方の端のP型素子には、リード線80が接続されている。絶縁板40側を冷却水等で冷やし、絶縁板30側に熱を加えると、起電力が発生して、2本のリード線間に電気抵抗負荷を与えると、図1に示すように電流が流れる。即ち、熱電モジュール1の両側(図中の上下)に温度差をつけることにより、電力を取り出すことができる。
あるいは、PN素子対に電流を流すと、電流の方向により定まる一方の側の絶縁板で吸熱が生じ、他方の側の絶縁板で放熱が生じる。
ここで、本実施形態では、以下に説明するような面取り加工を施したP型またはN型の熱電素子を用いることにより、熱電素子にかかる応力を緩和し、熱電素子の破損を防止している。また、以下に説明する形状の熱電素子を製造する場合、直方体の熱電素子に対して所定の頂点または辺を削り取る面取り加工を行ってもよいし、面取り加工がされた形状の型を用いて成形してもよい。
熱電素子の具体的な形状について、図2〜図8を用いて説明する。図2、図3、図5〜図8の各図に示す(a)はそれぞれの熱電素子の斜視図、(b)はそれぞれの熱電素子の上面図である。また、図7の円柱形状の熱電素子以外は四角柱(直方体)についての面取り加工を例に説明しているが、これは一般の多角柱の熱電素子の面取り加工にも適用可能である。
図2及び図3に示す熱電素子は、熱電素子の電極と接合される面Aの頂点について面取り加工が行われた形状になっている。ここで、図2の例では面A側の4つの頂点を直線的に面取りしており、図3の例ではRを付けて面取りをしている。以下、図2のような直線的な面取りをC面取りといい、図3のようなRを付けた面取りをR面取りという。R面取りの方がC面取りよりも角がないので、若干応力分散の効果が高い。図5以降の例では、C面取りを適用した例を示すが、いずれの場合もR面取りを適用することもできるし、C面取りとR面取りを組み合わせてもよい。
ところで、図2の例では、電極との接合面Aの4つの頂点のすべてを面取りしているが、必ずしもすべての頂点の面取りをしなくてもよい。例えば、図4に上面図を示すように、任意の数の頂点の面取りを行ってもよい。すなわち、図4は、(a)一つの頂点のみを面取りした場合、(b)対角の二つの頂点を面取りした場合、(c)隣り合う二つの頂点を面取りした場合、及び(d)三つの頂点を面取りした場合の、それぞれの上面図を示す。これは、図3のR面取りの場合も同様である。さらに、以下に説明する図5及び図6の辺の面取りについても、4辺すべてについて面取りを行う必要はなく、任意の一つ以上の辺について面取りを行うことができる。
次に、図5に示す熱電素子は、電極と接合される面Aの辺について辺面取りが行われた形状になっている。図6に示す熱電素子は、図5の辺面取りがされた形状に対して、辺面取りによって生じた辺Bの面取りが、さらに行われている。図7に示す熱電素子は、円柱形状の熱電素子において、電極と接合される面Aの円周に沿って面取りがされた形状になっている。
なお、上記の面取りは、熱電モジュールの高温側の接合面及び低温側の接合面の双方に適用可能である。また、熱電モジュールの高温側の接合面の方が低温側の接合面よりも大きな応力が生じるので、高温側の接合面についてだけ上記の面取りを行ってもよい。
さらに、図8に示す熱電素子は、電極と接合される面Aの頂点から、この面Aと垂直方向へ延びる辺について面取りが行われた形状になっている。この垂直方向の辺の面取りと、図5,図6に示す接合面Aの周囲の辺面取りとを組み合わせることもできる。また、面取りを行う辺は、必ずしも4辺すべてでなくてもよく、任意の1辺、2辺、3辺でもよい。
ここで、図8に示す垂直辺の面取りを行った場合について、熱電素子にかかる応力の最大値と面取り率との関係をシミュレーションにより求めた結果を図9に示す。ここで、面取り率とは、面取り加工後の熱電素子の体積(素子体積)に対する面取り加工により除去した熱電素子の体積(面取り体積)を百分率で表したものである。つまり、面取り率は以下の式で表される。
面取り率(%)=(面取り体積÷素子体積)×100
図9からわかるように、面取りを行っていないとき(面取り率0%)に生じるミーゼス応力と垂直応力は、面取りを行うと急激に減少する。そして、面取り率が0.2%〜2%程度まではミーゼス応力及び垂直応力が最も低い水準となる。そして、面取り率が2%を越えると、ミーゼス応力及び垂直応力は、それ以降徐々に上昇する。従って、面取り率が0.1%〜2%の範囲でミーゼス応力及び垂直応力の緩和効果が大きい。さらには、面取り率が0.2〜1%の範囲で、ミーゼス応力及び垂直応力の緩和効果がより大きい。
面取り率(%)=(面取り体積÷素子体積)×100
図9からわかるように、面取りを行っていないとき(面取り率0%)に生じるミーゼス応力と垂直応力は、面取りを行うと急激に減少する。そして、面取り率が0.2%〜2%程度まではミーゼス応力及び垂直応力が最も低い水準となる。そして、面取り率が2%を越えると、ミーゼス応力及び垂直応力は、それ以降徐々に上昇する。従って、面取り率が0.1%〜2%の範囲でミーゼス応力及び垂直応力の緩和効果が大きい。さらには、面取り率が0.2〜1%の範囲で、ミーゼス応力及び垂直応力の緩和効果がより大きい。
また、シミュレーションにより求めた、面取り率別の垂直応力の分布図を図10〜図12に示す。図10が面取り率0%、図11が面取り率0.4%、図12が面取り率1.5%である。垂直応力は、図中のZ軸方向の応力である。図10〜12のいずれの場合も、接合面Aの中央に応力の極大点が存在する。この極大点の垂直応力は、およそ30MPa程度である。この極大点(接合面Aの中央)から離れると一旦応力が減少し、接合面Aの周辺へ向かうに連れて、再び応力が増加している。
そして、面取りを行っていない図10の場合、接合面Aの頂点の付近で大きな応力が発生している。4つの頂点のうちの一つの頂点(MAX1)で最大応力116.76MPaが生じている。
一方、面取り率0.4%の図11の場合、図10で最大応力が生じたMAX1の点が取り除かれている。図11の場合、接合面Aの周囲の辺の付近に応力が集中している。そして、一つの辺の中央付近(MAX2)で最大応力79.088MPaが生じている。従って、図11の例では、面取りをしていない図10の場合と比べると応力が分散され、応力の大きさが減少していることがわかる。
さらに、面取り率1.5%の図12の場合も、接合面Aの辺に応力が集中していることがわかる。そして、面取りにより生じた新たな頂点(MAX3)で最大応力89.359が生じている。
ここで、図8に示す垂直辺の面取りが施された熱電素子は、例えば、特表2000―511351号公報に記載されている矩形格子を用いて熱電モジュールを製造する場合に用いると好適である。すなわち、格子を成形する段階における加工精度の問題で、それぞれの格子の角にRが残ってしまうことがある。このような格子を用いた場合、面取りしていない熱電素子を挿入すると、熱電素子の垂直辺と格子の角のRが残っている部分とがぶつかって、破損してしまうことがある。しかしながら、上記のように垂直辺の面取りをした熱電素子では、この破損の可能性が低減し、好適である。
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
1…熱電モジュール、30,40…絶縁板、50…P型素子、60…N型素子、70…電極、A…接合面。
Claims (2)
- 熱電素子であって、
電極と接する面の頂点のうち、少なくとも一つの頂点が面取り加工された状態になっていることを特徴とする熱電素子。 - 熱電素子であって、
電極と接する面の頂点から、前記電極と接する面と垂直方向へ延びる辺のうち、少なくとも一つの辺が面取り加工された状態になっていることを特徴とする熱電素子。
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