JP2006066331A - 有機el発光素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents

有機el発光素子の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高品位の有機EL発光素子を生産性よく製造することができる有機EL発光素子の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明の一態様における有機EL発光素子の製造方法は、基板101上に一対の電極と、前記一対の電極間に有機EL層を有する有機EL発光素子の製造方法であって、有機EL層の少なくとも一部となる有機EL材料を第1のノズル203a及び第2のノズル203bから吐出させ、第1のノズル及び第2のノズルと対向する位置に配置した基板上に塗布することによって、有機EL層を形成するものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL(Electro Luminescence)発光素子の製造方法及び製造装置に関する。
有機EL(Electro Luminescence)素子は、有機発光性化合物を含む有機EL層を陽極と陰極との間に挟んだ積層体構造を有している。陽極と陰極の間に電圧を印加すると、陽極からは正孔が、陰極からは電子がそれぞれ有機EL層に注入されて再結合し、その際に生ずるエネルギーにより有機EL層に含まれる有機発光性化合物の分子が励起される。このようにして励起された分子が基底状態に戻る際のエネルギーが光として放出されて発光現象が生じる。有機EL発光素子はこの発光現象を利用した自発光素子である。
有機EL層は、正孔と電子が再結合して発光する発光層と呼ばれる有機層を少なくとも含み、必要に応じて、正孔が注入されやすくかつ電子を移動させにくい正孔輸送層と呼ばれる有機層、電子が注入されやすくかつ正孔を移動させにくい電子輸送層と呼ばれる有機層などを含む単層構造または多層積層構造を有している。この有機EL層の材料としては、低分子系材料と高分子系材料に大別される。低分子系材料を用いた場合、真空蒸着法などを用いて有機EL層が形成される。
一方、高分子系材料を用いた場合、高分子系材料を溶剤に溶解させ溶液として、主にスピンコート法を用いて有機EL層が形成される。しかし、スピンコート法は、単一材料で基板全面に形成することは可能であるが、カラー表示のための多色化、特性向上のための複合化した有機EL層の形成には向いていない。そこで、さまざまな方法が提案されている。その方法のひとつとして、インクジェット法により、基板上にR、G、B用の3種類のマスクと高分子材料の溶液を使い分け、フルカラーの有機EL発光素子を製造する方法が示されている(特許文献1参照。)。また、単純に塗布ノズルから高分子材料の溶液を滴下させて基板に塗布し、有機EL発光素子を製造する方法が示されている(特許文献2参照。)。さらに他の方法としては、高分子材料の溶液をノズルから細かな粒子状に噴霧して基板に有機EL発光素子を形成するスプレー法が示されている(特許文献3参照。)。
特開2001−297876号公報 特開2001−250684号公報 特開2003−133069号公報
現在、有機EL発光素子は、携帯電話などの小型ディスプレイへの応用が進んでいる段階であるが、パソコンやTVなどの中・大型ディスプレイへの展開が期待されている。しかし、真空蒸着法では、蒸着源に近い基板中央では有機EL層の膜厚が厚くなり、蒸着源から遠い基板端部では膜厚が薄くなるため、基板面内の有機EL層の膜厚にばらつきが生じ易い。したがって、大面積の基板上に均一に有機膜を形成することは困難である。
高分子系材料では、大型化に対応する製造方法が開発されている。しかし、インクジェット法は、材料をR、G、Bそれぞれの画素ごとに制御して製造するため、生産性が低いことが問題である。また、他の方法では、発光効率、駆動電圧、寿命などの点から現時点では多くの欠点を持っている。
特許文献3に示されているように、スプレー法を用いる場合、製造コストを下げることができ、生産性も高くなるというメリットがある。従来、スプレー法では、図7に示すように、ノズル12を用いて有機EL材料の塗布を行っていた。ノズル12を基板11に対して+Y方向に1ライン走査し、その後基板の外側で+X方向に所定の距離を移動する。そして、走査方向を−Y方向に90度変化させ、その直前1ラインに塗布した領域と次のラインの塗布領域が接するまたは重なるように、1ライン走査する。これを順次繰り返すことによって、基板全面に有機EL層を形成していた。
しかし、スプレー塗布開始直後に形成された領域とスプレー塗布終了直前に塗布された領域とでは、溶媒の揮発などによって膜厚ムラが発生する。特に、基板の面積が広くなるに従い、この傾向は強くなる。また、溶媒が揮発して乾燥した領域に、ノズルから吐出された直後の高分子溶液がスプレー塗布されると、溶液のしぶきが塗膜の表面に凸状部(以後、しぶき跡という。)として残ることになり、有機EL発光素子の表示性能が劣化してしまう。
また、ノズルの走査速度を上げることで、スプレー塗布にかかる時間を短くすることができる。しかしながら、走査速度を過剰に上げすぎると、必要な量の高分子溶液を塗布することができず、膜厚が薄くなる。
本発明は、上記のような事情を背景としてなされたものである。発明の目的は、高品位の有機EL発光素子を高い生産性で製造することである。
本発明の第1の態様は、基板上に一対の電極と、前記一対の電極間に有機EL層を有する有機EL発光素子の製造方法であって、有機EL層の少なくとも一部となる有機EL材料を第1のノズル及び第2のノズルから吐出させ、第1のノズル及び第2のノズルにそれぞれ対向する基板上の位置に有機EL材料を塗布する有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第2の態様は、上記の製造方法において第1のノズル及び第2のノズルは、それぞれ独立して基板上を走査しながら、有機EL材料を吐出する有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第3の態様は、上記の製造方法において第1のノズル及び第2のノズルは、基板上を走査する領域が異なる有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第4の態様は、上記の製造方法において第1のノズルが走査するラインと第2のノズルが走査するラインとがお互いに近づくようにあるいは遠ざかるように第1のノズル及び第2のノズルを移動させる有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第5の態様は、上記の製造方法において第1のノズルにより塗布する第1の塗布領域と、第2のノズルにより塗布する第2の塗布領域とが少なくとも一部で重なるように塗布する有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第6の態様は、上記の製造方法において第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査し、第1のノズルを第2のノズルから離れる方向に第1のラインからずらした後、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを、第1のノズルの走査方向と反対方向に走査する有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第7の態様にかかる有機EL発光素子の製造方法は、上記の製造方法において第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査している間に、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを第1のノズルと同じ方向に走査し、かつ、第1のノズルと第2のノズルとの走査方向における位置をずらして走査する有機EL発光素子の製造方法を提供する。
本発明の第8の態様は、基板上に一対の電極と、前記一対の電極間に有機EL層を有する有機EL発光素子の製造装置であって、有機EL層の少なくとも一部となる有機EL材料を貯留する容器と、容器に貯留された有機EL材料を吐出する第1のノズル及び第2のノズルとを備え、有機EL材料を第1ノズル及び第2ノズルと対向する位置に配置した基板上に塗布する有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第9の態様は、上記の製造装置において、第1のノズル及び第2のノズルをそれぞれ独立に制御する制御装置を備えた有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第10の態様は、上記の製造装置において、第1のノズル及び第2のノズルは、基板の走査する領域が異なる有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第11の態様は、上記の製造装置において、第1のノズルが走査するラインと第2のノズルが走査するラインとがお互いに近づくようにあるいは遠ざかるように第1のノズル及び第2のノズルを移動させる有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第12の態様は、上記の製造装置において、第1のノズルにより塗布される第1の塗布領域と、第2のノズルにより塗布される第2の塗布領域とが少なくとも一部で重なるように塗布が行われる有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第13の態様は、上記の製造装置において、第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査し、第1のノズルを第2のノズルから離れる方向に第1のラインからずらした後、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを、第1のノズルの走査方向と反対方向に走査する有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明の第14の態様は、上記の製造装置において、第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査している間に、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを第1のノズルと同じ方向に走査し、かつ、第1のノズルと第2のノズルとの走査方向における位置をずらして走査が行われる有機EL発光素子の製造装置を提供する。
本発明によって、有機EL層の形成にかかる時間を短縮することができる。また、膜厚ムラの発生を抑制することができる。また、走査間隔の制御が容易となり、第1のノズルと、第2のノズルが当たることがない。
本発明によれば、高品位の有機EL発光素子を高い生産性で製造することができる有機EL発光素子の製造方法及び製造装置を提供することができる。
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態の一例を説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず、本実施形態にかかる有機ELパネルの構成について図1を用いて説明する。図1(a)は有機ELパネル100の構成を示す模式的断面図である。また、図1(b)は、図1(a)中の有機EL層104の模式的断面図である。尚、図1は有機ELパネルの構成を模式的に示すものであって、実際の有機ELパネルの詳細構成を反映するものではない。
有機ELパネル100は、ガラスなどよりなる基板101と対向基板106とで得られる気密空間内に、有機EL発光素子110が形成されてなる構成を有する。基板101と対向基板106との間には、接着剤によってシール層108を形成し、2つの基板を固着している。基板101上に形成される有機EL発光素子110は、陽極102、絶縁層103、有機EL層104及び陰極105を備えている。陽極102と陰極105の間に電圧を印加すると、陽極からは正孔が、陰極からは電子がそれぞれ有機EL層104に注入されて再結合し、その際に生ずるエネルギーにより有機EL層104内の有機発光性化合物の分子が励起される。励起された分子が基底状態に戻る際のエネルギーが光として放出され、有機EL層104が発光する。
図1に示すように、基板101上において、最下層には陽極102が形成されている。陽極102は、ITOなどの透明導電膜で形成される。陽極102の上には、ポリイミドなどからなる絶縁層103が形成されている。この絶縁層103には、陽極102と陰極105が交差する位置(すなわち画素が形成される位置)に開口部が設けられている。そして、この絶縁層103の開口部に有機EL層104が形成されている。
絶縁層103は、有機EL層104と陽極102とが接触する開口部を画定する役割を果たしている。また、絶縁層103は、陽極102と陰極105の短絡が発生しないように配設される。本実施形態では、有機EL層104は、図1(b)に示されるように、ポリマーバッファ層1041、正孔注入層1042、正孔輸送層1043、発光層1044電子輸送層1045、電子注入層1046からなる積層構造になっている。ただし、これとは異なる層構成を有することも可能である。ポリマーバッファ層1041は例えば、シクロヘキサノールとN,N−ジメチルイミダゾリジノンと2−メチル−1−プロパノールを所定の割合で混合した溶媒に、1wt%のワニス(アミン系高分子)とドーパントを混合した溶液を用いる。
そして、ポリマーバッファ層1041の上に、正孔注入層1042を40nm、正孔輸送層1043を10nmで形成する。さらにその上に発光層1044を60nmで形成する。続いて、電子輸送層1045を30nm、電子注入層1046を0.5nmで形成する。これにより、図1(b)に示す有機EL層104を形成することができる。これらに用いられる材料は任意の材料を用いることができる。もちろん、上述の構成は、好適な一例であり、これ以外の構成でもよい。本発明では有機EL層104の少なくとも一部がスプレー塗布により形成されていれば良い。
有機EL層104の上には、発光輝度を高めるために、光反射率の高い金属からなる陰極105が設けられている。ここでは図示していないが、陰極105の分離のために例えばノボラック樹脂などからなる隔壁が設けられている。
基板101上には、複数の有機EL発光素子110が設けられ、有機EL発光素子110が形成されている領域が表示領域となる。基板101上には、さらに、各有機EL発光素子110に信号を供給する補助配線(不図示)が設けられている。有機EL発光素子110の陽極102及び陰極105は補助配線に接続されており、これら補助配線はシール層108の外側に延設されている。基板101の端部には駆動回路(不図示)が搭載されており、陽極102及び陰極105は補助配線を介して、駆動回路に接続される。この駆動回路から有機EL発光素子110に電流を供給することにより、有機EL発光素子110が発光して所望の画像を表示することができる。
対向基板106は、パネル中に水分や酸素が入らないように設けられる。対向基板106としては、ステンレス、アルミニウムまたはその合金などの金属類のほか、ガラス、アクリル系樹脂などの1種類または、2種類以上からなるものを使用することができる。対向基板106と基板101はシール層108によってシールされ、対向基板106と基板101の間に封止空間(領域)が形成されている。封止空間内には、有機EL発光素子110の他、有機EL発光素子110への水分や酸素の影響を抑制し安定した発光特性を維持するための吸湿部材107が配設されている。吸湿部材107は、対向基板106上、有機EL発光素子110と対向する面に配設されている。
吸湿部材107は、例えば、所定の粘性を有する粘性吸湿部材を用いることができる。また、水分と反応性の高い有機金属化合物を膜状にしたものを用いることができる。また、無機系の乾燥剤を用いてもよい。吸湿部材107として粘性吸湿部材を用いる場合は、フッ素系オイルからなる不活性液体中に所定量の吸着剤を混合して構成する。または、フッ素系ゲルなどの不活性のゲル状部材に所定量の吸着剤を混合して構成する。吸着剤としては、活性アルミナ、モレキュラシーブス、酸化カルシウム及び酸化バリウムなどの物理的あるいは化学的に水分を吸着するものを用いる。粘性吸湿部材は、吸着剤が流動しない程度の粘性を有するクリーム状あるいはゲル状の粘着性を有するようにし、所定の位置に塗布し配設する。
次に、本実施形態にかかる有機EL表示装置の製造方法の一例について図2を用いて説明する。図2に製造工程のフローチャートを示す。有機EL表示装置は画素となる有機EL発光素子110を複数配置した構造になっている。有機EL表示装置は、有機EL発光素子110が形成された基板と有機EL発光素子を封止するための対向基板とを有する有機ELパネル100と、有機EL発光素子110に駆動信号を供給する駆動回路とを備えている。
まず、有機EL発光素子110を形成するため透明なガラスなどよりなる基板101を用意する(ステップS101)。その基板101上に、陽極材料を成膜する(ステップS102)。陽極材料は、ITOなどの透明導電性薄膜である。また、この陽極材料は、例えば蒸着法やスパッタリング法により基板上に均一性よく成膜される。その後、フォトリソグラフィー及びエッチングにより所定のパターン形状にパターニングされ(ステップS103)、このパターンが陽極102となる。
次に、陽極102上に補助配線材料(不図示)を成膜する(ステップS104)。補助配線材料はAlあるいはAl合金などの低抵抗な金属材料が用いられ、蒸着法、スパッタリング法などによって成膜することができる。さらに陽極102との密着性を向上させるため、あるいは腐食を防止するために、Al膜の下層又は上層にTiNやCr等のバリア層を形成して補助配線を積層構造としても良い。このバリア層も蒸着あるいはスパッタにより形成できる。
次に、この補助配線材料をフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングして、補助配線パターンを形成する(ステップS105)。エッチングには燐酸、酢酸、硝酸等の混合溶液よりなるエッチング液を使用することができる。なお、陽極材料と補助配線材料とを順に成膜し、その後に補助配線材料と陽極材料を順番にパターニングすることも可能である。陽極102及び後に形成される陰極105は、この補助配線パターンを介して、基板の端部に搭載されている駆動回路に接続され、信号が供給される。
次に、陽極102の上に、絶縁層103を形成する(ステップS106)。この絶縁層103は例えばポリイミドなどの絶縁材料を用いることができる。この絶縁層103は、スピンコーティング法によって成膜され、その後フォトリソグラフィー法などの手段によって所定のパターンに形成される。絶縁層103には、陽極102と後述する陰極105が交差する位置(すなわち表示画素が形成される位置)に開口部が設けられる。この開口部に有機EL層104が形成される。
次に、陰極105の分離のために、隔壁を形成する(ステップS107)。隔壁には、例えば、ノボラック樹脂を用いる。ノボラック樹脂をスピンコートして、フォトリソグラフィー工程でパターニングした後、光反応させて陰極隔壁を形成する。陰極隔壁が逆テーパ構造を有するようネガタイプの感光性樹脂を用いることが好ましい。このような構造にすると、その後、陰極105の蒸着時に蒸着源から見て陰になる部分は蒸着が及ばないため、陰極同士を分離することが可能になる。さらに、開口部のITO層の表面改質を行うために、酸素プラズマ又は紫外線を照射してもよい。
次に、絶縁層103の開口部に形成された陽極102上に、有機EL層104を形成する(ステップS108)。この有機EL層104は、上述したとおり、積層構造を有している。このそれぞれの層をスプレー塗布法、蒸着法などを用いて順次積層する。まず、ポリマーバッファ層1041を形成する。開口部を有する金属マスクをガラス基板に取り付ける。このとき、金属マスクの開口部と有機薄膜層を設けるべき位置が重なるように配置する。そして、シクロヘキサノールとN,N−ジメチルイミダゾリジノンと2−メチル−1−プロパノールを所定の割合で混合した溶媒に、1wt%のワニス(アミン系高分子)とドーパントを混合した溶液をマスクの上からスプレー塗布を行う。この溶液が塗布された基板101を、180℃で5分間仮焼成し、その後、240℃で10分間本焼成することによって、ポリマーバッファ層1041を形成する。
そして、ポリマーバッファ層1041の上に、正孔注入層1042を40nm、正孔輸送層1043を10nmで形成する。さらにその上に発光層1044を60nmで形成する。続いて、電子輸送層1045を30nm、電子注入層1046を0.5nmで形成する。これにより、図1(b)に示す有機EL層104を形成することができる。これらに用いられる材料は任意の材料を用いることができる。もちろん、上述の構成は、好適な一例であり、これ以外の構成でもよい。本発明では有機EL層104の少なくとも一部がスプレー塗布により形成されていれば良い。
次に、有機EL層104上に陰極105を形成する(ステップS109)。陰極105は、発光輝度を高めるために、Mg、MgAg、MgIn、Al、LiAlなどの光反射率の高い金属を使用することが多い。スパッタリング法、イオンプレーティングなどの物理的気相成長法(PVD)で形成することができる。このように陽極102、絶縁層103、有機EL層104、陰極105を積層することによって、有機EL発光素子110を形
これらの工程により基板101上に複数の有機EL発光素子110が形成される。上述の有機EL発光素子の製造工程は典型的な有機EL表示装置に用いられる有機EL発光素子の製造工程の一例であり、有機EL発光素子の製造は上述の製造工程に限られるものではない。
次に有機EL発光素子110を封止するための対向基板106の製造工程について説明する。対向基板106として、ステンレス、アルミニウムまたはその合金などの金属類のほか、ガラス、アクリル系樹脂などの1種類または、2種類以上からなる基板を用意する(ステップS201)。次に、対向基板106上に所定量の吸湿部材107を配設する。つまり、まず、水分を極力取り除いた不活性ガス(例えばドライ窒素)やドライエアによるドライ雰囲気において、対向基板106上に吸湿部材107を配設する(ステップS202)。
次に、基板101と対向基板106を固着するための接着材を塗布し、シール層108を形成する(ステップS204)。シール層108は、ディスペンサを用いて、吸湿部材107の外側に設けられ、表示領域の全周を囲むように対向基板106上に設けられる。シール層108は、水分などの透過性の低いエポキシ樹脂系接着剤、光硬化性樹脂などを用いることができる。
次に、吸湿部材107を配設した対向基板106と、有機EL発光素子110を形成した基板101を貼り合わせて封止する(ステップS110)。両基板の位置合わせを行った後、加圧しながらUV光を照射することによって、光硬化製樹脂を硬化せしめて、両基板を貼り合わせることができる。このようにして有機ELパネル100は製造される。
上述の工程により、基板101と対向基板106との間の空間はシール層108により封止される。シール層108によって画定される封止空間内には吸湿部材107が配設されているため、水分などによる有機EL発光素子110の劣化を抑制することができる。
その後、駆動回路等を実装する(ステップS111)。基板101にはシール層108で囲まれた領域から外に補助配線が延設されている。補助配線の外側の端部には端子部が形成されており、この端子部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付け、駆動回路が設けられたTCP(Tape Carrier Package)を接続する。この有機ELパネル100が筐体に取り付けられ、有機EL表示装置が完成する(ステップS112)。
ここで、本発明の実施形態にかかる有機EL発光素子の製造装置について説明する。図3は、本発明の実施形態にかかる有機EL発光素子の製造装置の概略図である。本発明の実施形態にかかる有機EL発光素子の製造装置は、有機EL材料を塗布するスプレー塗布装置200である。
スプレー塗布装置200は、基板101を搭載するZ方向に移動可能なステージ201と、有機EL層104中のポリマーバッファ層1041を形成するための上述した溶液を貯留しておく容器202と、容器202内に充填された溶液を吐出するためのノズル203とを備えている。また、窒素の圧力により容器202に充填された溶液をノズル203の先端から溶液を吐出させるための圧縮機204を備えている。ここでは、容器202と、ノズル203と、圧縮機204とを合わせたものをスプレーユニット20という。すなわち、スプレーユニット20は、容器202、ノズル203及び圧縮機204から構成される。
本実施形態にかかるスプレー塗布装置200には、スプレーユニット20が二つ備えられている。図3には、第1のスプレーユニット20a、第2のスプレーユニット20bを示す。
さらに、スプレー塗布装置200は、アクチュエータやサーボモータなどからなるX−Y移動手段(不図示)を備えており、それぞれのスプレーユニット20を任意の位置に移動できる。さらに、圧縮機204の圧力や第1及び第2のスプレーユニット20a、20bの位置及び移動速度などを制御できる制御装置205を備えている。第1のスプレーユニット20a、第2のスプレーユニット20bは、それぞれ独立に制御される。
このスプレー塗布装置200を用いた有機EL層104中のポリマーバッファ層1041の塗布方法について説明する(図2中ステップS108)。まず、ステージ201に陽極及び絶縁層を形成した基板101を載せる。そして、基板101上に開口部を有するマスク300を取りつける。このとき、マスク300の開口部と有機EL材料を塗布すべき領域が重なるように配置する。また、ステージ201は、基板101とノズル203の先端との距離が所定の距離になるように、Z方向に移動し調整されている。そして、ノズル203の先端から溶液を吐出させ、基板101上に載置したマスク300上からスプレー塗布する。X−Y移動手段によって、スプレーユニット20をスプレー塗布終点位置まで移動させながらスプレー塗布し、基板101の全面に溶液を塗布することができる。
スプレーユニット20の基板101上の位置、圧縮窒素の圧力、スプレーユニット20の移動速度などは制御装置205によって任意に設定することができ、制御装置205から出力される制御信号によって制御される。このスプレー塗布始点位置からスプレー塗布終点位置までの間、溶液は常に吐出され、基板101上に連続的にスプレー塗布される。スプレー塗布終点位置まで移動したところで、溶液の吐出及びスプレーユニット20の移動を停止する。
本実施形態では、基板101とノズル203との距離は80mm、走査速度は300mm/s、N流量は5.0×10−3/min、溶液流量0.9×10−6/minとした。また、スプレーユニット20から吐出される溶液は、コーン状に広がりを持っており、溶液が基板101に着滴したときの塗布される領域は、ノズルと基板との距離が80mmの時に、基板上に着滴する領域は半径が約15mmの円状である。この溶液が塗布される領域の中央付近と端部では、溶液の塗布量に差が出てしまい、膜厚がばらついてしまう。これを抑制し、均一なポリマーバッファ層1041を形成するために、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとの間の距離は12mmに設定し、隣のラインの塗布領域と重なるようにする。また、同様に第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとの走査間隔もまた12mmにする。これによって、塗布領域が重なり、均一なポリマーバッファ層1041を得ることができる。
第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bの走査方法について、図4、図5、図6を参照して説明する。図4は、基板101に対して第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bが有機EL材料を塗布する領域を示した図である。また、図5及び図6は基板101に対するノズル203の走査経路を示した図である。図5(a)、図5(b)、図6(a)図6(b)はそれぞれ走査方法の例を示したものである。
図4に示すように、第1のスプレーユニット20aは基板101の第1の塗布領域21a、第2のスプレーユニット20bは第2の塗布領域21bに対して塗布を行う。すなわち、図5あるいは図6に示すように基板上を走査して、第1のスプレーユニット20aで基板の左側の第1の塗布領域21aに、第2のスプレーユニット20bで基板の右側の第2の塗布領域21bに溶液を塗布する。ここで、第1の塗布領域21aと第2の塗布領域21bとは略同じ面積を占めている。
また、第1の塗布領域21aと第2の塗布領域21bとは上述したように基板101の中央において重なっている。すなわち、第1のスプレーユニット20aが最も右側のラインを走査しているときに塗布される領域と、第2のスプレーユニット20bが最も左側のラインを走査しているときに塗布される領域とが重なり合っている。このように第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが基板中央部分において、走査ラインが隣接しており、双方のスプレーユニットにより重複して塗布される領域を重複領域22と呼ぶ。
図5及び図6において、第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bはそれぞれ走査開始時点での位置にあるものとしている。走査開始時点で基板101の外側に配置された第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bは基板101を横切るようY方向に走査を開始する。そして、基板101の外側まで走査した後、お互いが離れるようあるいは遠ざかるように90°方向を変えて所定の走査間隔分移動する。X方向に所定の走査間隔分移動した後、第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bは再度、基板101を横切るようY方向に移動する。これを繰り返し、基板101の全面に溶液を塗布する。このように双方のスプレーユニットは基板101上をラスタ走査して、溶液を塗布する。
なお、重複領域22に対応するラインにおける第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとの間隔と、スプレーユニットのそれぞれが移動する走査間隔とを等しいものとしている。これにより、重複領域22と重複領域以外の領域とが同じ間隔で走査され、膜厚を均一にすることができる。
図5は、重複領域22において第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとがすれ違う例を示している。まず、基板101の中央の重複領域22からスプレー塗布を開始する例について図5(a)を参照して説明する。第1のスプレーユニット20aを基板の1辺の中央付近に配置し、第2のスプレーユニット20bを、第1のスプレーユニット20aを配置した辺と対向する辺の中央付近に配置する。第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとの間のX方向における距離は、上述したようにポリマーバッファ層1041を均一に形成するために塗布領域が重なるように設定してある。
重複領域22を塗布する際、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bは、お互いがすれ違うように反対方向(図5(a)中、第1のスプレーユニット20aは+Y方向、第2のスプレーユニット20bは−Y方向)に走査する。すなわち、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが隣接するラインにおいて、第1のスプレーユニット20aが+Y方向に、第2のスプレーユニット20bが−Y方向に走査される。
第1の塗布領域21aと第2の塗布領域21bとは面積が略等しいので、走査ライン数は同じとなる。図5(a)に示す例ではお互いに6本のラインを走査する。第1のスプレーユニット20aは右側のラインから順番に左端のラインまで走査し、第2のスプレーユニット20bは左側のラインから順番に右端のラインまで走査する。そして、第1のスプレーユニット20aでは矢印1のラインが第2のスプレーユニット20bでは矢印2のラインが重複領域22に対応する。
第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとは走査ライン数が同じであるため、走査距離が同じである。したがって、走査を同時に開始することにより、走査が同時に終了し塗布時間を短縮することができる。しかし、走査間隔に比べて第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bの大きさが大きい場合、スプレーユニット同士を反対方向に走査すると、それらが重複領域においてすれ違うときに当たることになる。この場合、同時に走査を開始することができない。これを避けるため、まず、第1のスプレーユニット20aが重複領域22に対応するラインを走査した(図5(a)中矢印1)後に、第2のスプレーユニット20bから離れる方向(−X方向)に移動する。第1のスプレーユニット20aが第2のスプレーユニット20bと干渉しない位置まで移動したら、第2のスプレーユニット20bの走査を開始する。
そして、第2のスプレーユニット20bがその塗布領域に対応するラインを走査する(図5(a)中矢印2)。その後、第2のスプレーユニット20bは、基板101の外側で90度方向を変え所定の走査間隔分移動をする。このとき、第1のスプレーユニット20aは−X方向に移動したが、第2のスプレーユニット20bは+X方向に、お互いが離れるように移動する。第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニット20bは、1ラインの走査が終了すると、基板101の外側でお互いが離れるよう90°方向を変え、所定の走査間隔分移動する。すなわち、1ラインの走査が終了すると、第1のスプレーユニット20aは−X方向に、第2のスプレーユニット20bは+X方向に移動する。これにより、第1のスプレーユニット20aの走査するラインと第2のスプレーユニット20bの走査するラインとが離れるように、スプレーユニットが移動していく。
第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bの塗布する領域は、基板中央の重複領域22の1ラインのみで重なる。基板101上のほかの領域に対しては、それぞれのスプレーユニット20a及び20bが別々に塗布を行う。すなわち、重複領域22を除く第1の塗布領域21aは第1のスプレーユニット20aにより塗布され、重複領域22を除く第2の塗布領域21bは第2のスプレーユニット20bにより塗布される。これによって、基板101を分割して塗布を行うことができ、スプレー塗布にかかる時間を短縮することができる。
第1のスプレーユニット20aは、基板の中央の重複領域22の1ラインを走査し走査間隔分の移動が終わった後、第2のスプレーユニット20bが重複領域22に対応するラインを走査している間に、次のラインの走査を開始することが好ましい。すなわち、第1のスプレーユニット20aは重複領域22に対応するラインを走査し、走査間隔分の移動が終了した後、引き続き、隣のラインを走査するようにする。第1のスプレーユニット20aが第2のスプレーユニット20bと干渉しない位置まで移動したら、第2のスプレーユニット20bの走査を開始する。この場合、第2のスプレーユニット20bが重複領域22に対応するラインを走査しているとき、第1のスプレーユニット20aは、重複領域22に対応するラインの隣のラインを走査することになる。
そして、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが、引き続き基板101上を走査する。これにより、第1のスプレーユニット20aが走査を終了したとき、第2のスプレーユニット20bが最後のライン(右端のライン)を走査していることになる。このように走査することにより、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとの走査時間のずれを小さくすることができるため、塗布時間を短縮することができる。これによって、さらに塗布にかかる時間を短くすることができる。
以上のように走査することによって、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bの塗布領域が重なる重複領域22、また、それぞれのスプレーユニット20の1ラインごとに重なる塗布領域において、前のラインの塗布と、次のラインの塗布との時間間隔を短くすることができる。よって、材料溶液が乾燥し、そこにスプレー塗布されることによるしぶき跡が残るのを抑制することができる。
すなわち、隣のラインを走査する時間間隔が長いと、溶液が乾燥した後、再度溶液が塗布することとなる。上述のように塗布することにより、重複領域22に対応するラインを塗布する際、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが走査する時間間隔を短くすることができる。このため、第1のスプレーユニット20aからの溶液が乾燥する前に、第2のスプレーユニット20bからの溶液が塗布される。これにより、塗布溶液が自己レベリングし、均一な膜厚で塗布することができる。
図5(b)は、基板101の対向する辺の端部から走査を開始する例を示す図である。第1のスプレーユニット20aと、第2のスプレーユニット20bを基板の対角に配置する。この場合、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとは、それぞれ基板101に対してY方向に1ライン走査し、基板101の外側でX方向に走査間隔分移動をする。このとき、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとは、お互いが近づくように、第1のスプレーユニット20aは+X方向に、第2のスプレーユニット20bは−X方向に移動する。これを繰り返し、基板101に溶液を塗布していく。これにより、第1のスプレーユニット20aの走査するラインと第2のスプレーユニット20bの走査するラインとが近づくように、スプレーユニットが移動していく。
そして最後に、基板101の中央の重複領域22においてすれ違うことになる。上述したように、走査間隔に比べて第1のスプレーユニット20a及び第2のスプレーユニットの大きさが大きい場合、スプレーユニット20a、20bは重複領域において、当たらずにすれ違うことができない。したがって、第1のスプレーユニット20aが先に基板101上を走査し(図5(b)中矢印3)塗布を行った後、第2のスプレーユニット20bが、塗布を行う。これによって、基板101の全面に対する塗布時間を短くすることができ、かつ、塗布領域が重なる重複領域22において、前のラインを塗布と次のラインの塗布との時間間隔を短くすることができる。このため、膜厚ムラの発生を抑制することができる。
この場合、重複領域22に対応するラインを走査するタイミングを、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとでずらすため、走査を開始するタイミングをずらしてもよい。あるいは、走査を同じタイミングで開始して、走査の途中でいずれか一方のスプレーユニットの走査を停止してもよい。この場合、例えば、基板の外側で第1のスプレーユニット20a又は第2のスプレーユニット20bの走査を停止することが好ましい。これにより、膜厚ムラが発生するのを防ぐことができる。さらに、基板の外側で走査を停止しているとき、溶液の吐出を止めることにより溶液の使用量を節約することができる。
図6は、重複領域22において第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが同じ方向に走査する例を示している。図5(a)では、基板の中央から塗布を開始する場合に、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとがすれ違う例について説明したが、図6(a)では、基板101の中央の重複領域22において第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとが同じ−Y方向に走査する例を示す。第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bは、図5(a)と同じように、Y方向に1ラインの塗布が終わると、お互いが離れるようにX方向に走査間隔分の移動を行う。
基板101の同じ一辺の中央に、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bをスプレーユニット同士が当たらないようにY方向に位置をずらして配置する。すなわち、第1のスプレーユニット20aを第2のスプレーユニット20bより基板101から遠ざけて配置する。図6(a)では、スプレーユニット同士が干渉しないように第2のスプレーユニット20bを第1のスプレーユニット20aよりも基板から遠ざけて配置している。そして、同時に走査を開始すると、重複領域に対応するラインではスプレーユニット同士が干渉しない距離を保ったまま、−Y方向に移動する。
第1のスプレーユニット20aが1ライン走査し終わる前に、第2のスプレーユニット20bが走査を開始するようにするほうがさらに好ましい。すなわち、スプレーユニット20同士が干渉しないように、基板101上の位置をずらして走査を行う。このようにすることによって、さらに溶液の塗布にかかる時間を短くすることができる。また、前のラインと次のラインとの塗布の時間間隔を短くすることができるため、膜厚ムラを抑制することができる。
また、図6(b)では、図5(b)と同じように基板101の対向する辺の端部から塗布を開始する例を示す。図6(b)に示すように、基板101の一辺の一方の端に第1のスプレーユニット20aを配置し、同じ辺のもう一方の端に第2のスプレーユニット20bを配置する。第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bは、それぞれ基板101を同じY方向に1ライン走査する。その後、基板101の外側で第1のスプレーユニット20aは+X方向に、第2のスプレーユニット20bは−X方向にお互いが近づくように所定の走査間隔分の移動を行う。これを繰り返し、基板101に溶液を塗布していく。そして、基板101の中央の重複領域22において、同じY方向に走査する。
重複領域22に対応するラインを走査するタイミングを第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとでずらすため、走査を開始するタイミングをずらしてもよい。あるいは、走査を同じタイミングで開始して、走査の途中でいずれか一方のスプレーユニットの走査を停止してもよい。この場合、例えば、基板101の外側で第1のスプレーユニット20a又は第2のスプレーユニット20bの走査を停止することが好ましい。これにより、膜厚ムラが発生するのを防ぐことができる。さらに、走査を停止しているとき、溶液の吐出を止めることにより溶液の使用量を節約することができる。これにより、重複領域に対応するラインにおいて、第1のスプレーユニット20aと第2のスプレーユニット20bとで位置がY方向にずれた状態で走査を行う。
なお、スプレーユニット20の走査方法は、上述した例に限らない。また、スプレーユニット20が二つ以上設けられていてもよく、スプレーユニット20が複数のノズル、容器などを備えたものであってもよい。スプレーユニット20は容器202、ノズル203及び圧縮器204以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、スプレーユニット20を駆動するための駆動機構やその配線等を備えていてもよい。これらが干渉しないように上述した方法でスプレーユニット20を走査する。スプレーユニット20を3以上配設した場合、これらが略同じ面積を塗布するようにすることが好ましい。これにより、塗布時間を短縮することができる。
上述の塗布方法は、有機EL発光素子を有する有機EL表示装置に用いることが好適である。さらに有機EL表示装置にかぎらず、例えば、有機EL発光素子を用いた光源装置に対しても利用可能である。この場合、上述の製造方法において、面状の有機EL発光素子からなる有機EL発光領域を形成する。そして、同様の工程により面状光源装置を製造する。これにより、均一で高輝度の面状光源装置を得ることができる。また、有機EL発光装置には有機EL表示装置及び有機EL光源装置等の有機EL発光素子の発光を利用した装置が含まれるものとする。
本実施形態にかかる有機ELパネルの模式的断面図である。 本実施形態にかかる有機ELパネルの製造工程を示すフローチャートである。 本実施形態の有機EL発光素子の製造装置の概略図である。 本実施形態の第1のスプレーユニット及び第2のスプレーユニットの塗布領域を示す図である。 本実施形態のスプレーユニットの走査方法の一例を説明する図である。 本実施形態のスプレーユニットの走査方法の一例を説明する図である。 従来の有機EL発光素子の製造装置のスプレーユニットの走査方法の一例を説明する図である。
符号の説明
20a 第1のスプレーユニット
20b 第2のスプレーユニット
21a 第1の塗布領域
21b 第2の塗布領域
22 重複領域
100 有機ELパネル
101 基板
102 陽極
103 絶縁層
104 有機EL層
105 陰極
106 対向基板
107 吸湿部材
108 シール層
110 有機EL発光素子
200 スプレー塗布装置
201 ステージ
202a 第1の容器
202b 第2の容器
203a 第1のノズル
203b 第2のノズル
204a 第1の圧縮機
204b 第2の圧縮機
205 制御装置
300 マスク
1041 ポリマーバッファ層
1042 正孔注入層
1043 正孔輸送層
1044 発光層
1045 電子輸送層
1046 電子注入層

Claims (14)

  1. 基板上に一対の電極と、前記一対の電極間に有機EL層を有する有機EL発光素子の製造方法であって、
    有機EL層の少なくとも一部となる有機EL材料を第1のノズル及び第2のノズルから吐出させ、第1のノズル及び第2のノズルにそれぞれ対向する基板上の位置に有機EL材料を塗布する有機EL発光素子の製造方法。
  2. 第1のノズル及び第2のノズルは、それぞれ独立して基板上を走査しながら、有機EL材料を吐出する請求項1に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  3. 第1のノズル及び第2のノズルは、基板上を走査する領域が異なる請求項1または2に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  4. 第1のノズルが走査するラインと第2のノズルが走査するラインとがお互いに近づくようにあるいは遠ざかるように第1のノズル及び第2のノズルを移動させる請求項3に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  5. 第1のノズルにより塗布する第1の塗布領域と、第2のノズルにより塗布する第2の塗布領域とが少なくとも一部で重なるように塗布する請求項1、2、3または4に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  6. 第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、
    第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査し、
    第1のノズルを第2のノズルから離れる方向に第1のラインからずらした後、
    第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを、第1のノズルの走査方向と反対方向に走査する請求項5に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  7. 第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、
    第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査している間に、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを第1のノズルと同じ方向に走査し、
    かつ、第1のノズルと第2のノズルとの走査方向における位置をずらして走査する請求項5に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  8. 基板上に一対の電極と、前記一対の電極間に有機EL層を有する有機EL発光素子の製造装置であって、
    有機EL層の少なくとも一部となる有機EL材料を貯留する容器と、
    容器に貯留された有機EL材料を吐出する第1のノズル及び第2のノズルとを備え、
    有機EL材料を第1ノズル及び第2ノズルと対向する位置に配置した基板上に塗布する有機EL発光素子の製造装置。
  9. 第1のノズル及び第2のノズルをそれぞれ独立に制御する制御装置を備えた請求項8に記載の有機EL発光素子の製造装置。
  10. 第1のノズル及び第2のノズルは、基板の走査する領域が異なる請求項8または9に記載の有機EL発光素子の製造装置。
  11. 第1のノズルが走査するラインと、第2のノズルが走査するラインとがお互いに近づくようにあるいは遠ざかるように第1のノズル及び第2のノズルを移動させる請求項10に記載の有機EL発光素子の製造装置。
  12. 第1のノズルにより塗布される第1の塗布領域と、第2のノズルにより塗布される第2の塗布領域とが少なくとも一部で重なるように塗布が行われる請求項8、9、10または11に記載の有機EL発光素子の製造装置。
  13. 第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、
    第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査し、
    第1のノズルを第2のノズルから離れる方向に第1のラインからずらした後、
    第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを、第1のノズルの走査方向と反対方向に走査する請求項12に記載の有機EL発光素子の製造装置。
  14. 第1の塗布領域と第2の塗布領域とが重なり合う重複領域に対応するラインを走査する際、
    第1のノズルで重複領域に対応する第1のラインを走査している間に、第2のノズルで重複領域に対応する第2のラインを第1のノズルと同じ方向に走査し、
    かつ、第1のノズルと第2のノズルとの走査方向における位置をずらして走査が行われる請求項12に記載の有機EL発光素子の製造装置。
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