JP2006065843A - 樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置、及び記憶媒体 - Google Patents

樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置、及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】システムの構築条件を入力するだけで、人手による差異が生じることもなく、常に最適な分枝太さの組合せを自動的に容易に得る。
【解決手段】入力処理(S1)で入力された入力情報に基づいて必要電線太さを選定し(S2)、流側の電線太さが上流側の電線太さよりも細くなるように電線太さ調整処理を行う(S3)。そしてその後、入力情報に基づいて各ノードでの電源からの電圧降下を算出し(S4)、この電圧降下が許容電圧降下を超えているときは初期解算出処理を行い、各ノードにおいて電源からの電圧降下が許容電圧降下以下となるように可能な最小限の範囲で電線太さを太くし、初期解を得る(S5→S6)。次いで、初期解を仮想最適解に設定して逐次逓減して最適解算出処理を行い、経済的にも機能的にも最適な1つ又は複数の最適解を得(S7)、表示装置やプリンタに出力する(S8)。
【選択図】図3

Description

本発明は樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置、及び記憶媒体に関し、より詳しくは配電網や配管網が樹枝状(ツリー状)に形成された電力、水道・空気調和・ガス等の各種エネルギー供給システムにおける電線太さや導管太さ等の分枝太さを選定する分枝太さ選定装置、及び分枝太さ選定手順が格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
この種のエネルギー供給システム、例えば樹枝状に形成された配電路システムでは、電気設備で使用する負荷等に応じて電力用ケーブルを選定する必要がある。
そこで、従来より、予めメモリに格納した電力ケーブルの電流計算に必要なサブルーチンを入力装置からCPUに入力すると共に、オペレータは電流計算に必要なプログラム条件を前記入力装置から前記CPUに入力して電流計算を実行する工程と、前記電流計算の終了後、前記電流計算結果のケーブル選定表作成の演算処理を実行する工程と、負荷の定格電流を流した時に生ずる電圧降下により前記電線ケーブル表より使用可能なケーブルを選定する第1の選定工程と、前記定格電流とケーブルの許容電流との比較により前記ケーブル選定表より使用可能なケーブルを選定する第2の選定工程とからなる電力用ケーブル選定方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、電力用ケーブルの選定に必要なサブルーチンがメモリに格納されているので、オペレータはプログラム条件やパラメータ等を対話形式で入力装置から入力するのみで、ケーブルの電流計算、ケーブル選定表作成、及び導体温度の演算結果を自動的に出力装置から出力することができる。
また、その他の電気設備ケーブルの選定方法としては、許容電流値、短絡電流値及び電圧降下のうちのいずれかの条件を選択する条件選択過程と、この選択過程で選択された条件において、ケーブル用途を選出するケーブル用途選出過程と、この選出過程でケーブル用途が選出されたなら、その用途に応じて、ケーブルサイズを選定するケーブルサイズ選定過程とを備えた技術が提案されている(特許文献2)。
特許文献2では、ケーブル用途に応じたケーブルサイズを自動的に選定しているので、個人の能力差による選出間違いが生じるのを防止することができる。
他の従来技術としては、供給源ノードからあるノードに至る複数の経路のパイプの全抵抗を算出し、その全抵抗の最も小さい経路の上流側パイプを、当該ノードの上流側パイプとして算定すると共に、あるパイプの両端のノードに対して、前記流体供給源からの全抵抗の小さい方のノードを上流側ノードとし、大きい方のノードを下流側ノードとして算定する工程と、前記工程において、上流側パイプに指定されないパイプをループ源パイプとする工程と、管網のループ源パイプを無視し、前記各ノードが前記供給源ノードに対して何番目に下流側のノードであるかを示すノード順位を、前記供給源ノードから出発して、下流側のノードをたどり、供給源ノードから何番目に下流側のノードであるかを算定することにより決定する工程と、前記ループ源パイプの上流側ノードと下流側ノードから、ノード順位が減少するようにノードを追跡し、追跡されたノードを結んでループを選定する工程と、ループ源パイプの流量を「0」として管網のツリー構造とし、末端のノードからそのノードに供給されるパイプの流量を定め、各ノードの需要量を加えつつ上流側のパイプの流量を定めてパイプ流量の初期値とする技術も提案されている(特許文献3)。
特許文献3では、各ノードに対して上流側パイプに指定されないパイプをループ源パイプとし、このループ源パイプを管網から取り去った構造において、供給源からのノード順位を定め、このノード順位をもとにループの選定を行い、さらにループ源パイプの流量を「0」として、管網のツリー構造とし、末端のノードの需要量からそのノードに供給されるパイプの流量を定め、各ノードの需要量を加えつつ上流側のパイプの流量を定めて、パイプ流量の初期値としているので、管網のループ設定及び初期値設定を人手に依ることなくコンピュータで自動的に算出することができる。
特許第2635344号公報 特開2000−242703号公報 特許第3308287号公報
しかしながら、特許文献1では、負荷点が1つの場合は許容電圧降下に基づいてケーブル太さを容易に算出することが可能であるが、ツリー構造の配電路システムの場合、負荷点(又は分岐点)が複数存在するため、電源から負荷点(又は分岐点)、又は負荷点(又は分岐点)間となる各区間の許容電圧降下は、通常、電源から末端までの許容電圧降下を、設計者の経験等に基づいて按分して決定することとなる。すなわち、ツリー構造の配電路システムの場合、設計者は、経験や勘等により末端の許容電圧降下から各区間の許容電圧降下を、按分して決めることとなるため、設計者によって電線太さが区々になる虞があり、しかも経済性も担保されず、不要なコスト高を招くという問題点があった。
また、特許文献2は、電圧降下等に応じてケーブル用途を選出し、該ケーブル用途に応じてケーブルサイズを選定しているが、特許文献1と同様、ツリー構造の配電路に応用した場合は、区間が複数存在するため、設計者が、経験等により末端の許容電圧降下から各区間の許容電圧降下を、按分して決めなければならず、したがって設計者によって電線太さが区々になる虞があり、また、不要なコスト高を招くという問題点があった。
さらに、特許文献3は、末端のノードの需要量からそのノードに供給されるパイプの流量を定め、各ノードの需要量を加えつつ上流側のパイプ流量を定めているが、コスト面も考慮した導管太さを算出するものではなく、最適な導管太さの組合せを設計者の経験や勘に頼ることなく容易且つ迅速に得ることができず、特にツリー構造が複雑さを増すと、導管路の個数も増加することから、最適な導管太さを得るのが益々困難になるという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、システムの構築条件を入力するだけで、人手による差異が生じることもなく、常に最適な分枝太さの組合せを自動的に容易に得ることができる樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置、及び分枝太さ選定処理手順が格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、エネルギー供給源から多数の接合点を介して樹枝状に分枝されてなる各分枝路の分枝太さを選定する樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置であって、少なくとも各分枝路の識別情報及び前記接合点の前記エネルギー供給源からの許容回路損失を含む所定のシステム構築条件を入力する入力手段と、前記システム構築条件に基づいて前記各分枝路の必要分枝太さを算出する必要分枝太さ算出手段と、上流側分枝路の分枝太さが前記接合点を挟んで該上流側分枝路と対峙する下流側分枝路の分枝太さ以上であって且つ必要最小限の範囲で太くなるように、前記必要分枝太さを調整し、調整された必要分枝太さの組合せを必要最小解として得る分枝太さ調整手段と、前記エネルギー供給源から前記各接合点までの回路損失を前記システム構築条件及び前記必要最小解に基づいて各接合点毎に算出する回路損失算出手段と、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在するか否かを判断する第1の判断手段と、前記第1の判断手段により前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在すると判断された場合は、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように前記各分枝路の分枝太さを再算出する分枝太さ再算出手段とを備え、前記分枝太さ再算出手段が、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように、前記必要最小解より太い新たな分枝太さの組合せを初期解として算出する初期解算出手段と、前記初期解を初期値として前記各分枝路毎に逓減処理を施しながらコスト評価が最小となるような分枝太さの組合せを最適解として算出する最適解算出手段とを有していることを特徴としている。
また、本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記コスト評価は、少なくともコストと分枝路の距離との積の総和に基づいて行われることを特徴としている。
さらに、本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記最適解算出手段は、前記コスト評価が同等な複数の最適解を算出することを特徴としている。
また、本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記最適解算出手段が、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在する場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とし、さらには前記最適解算出手段が、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在しない場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴としている。
本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記樹枝状エネルギー供給システムが配電路システムであり、前記エネルギー供給源は電源であり、前記回路損失は電圧降下であり、かつ前記分枝路は電線であり、前記システム構築条件には前記配電路の布設条件、温度条件、電線種別、電気方式、及び許容電流値が含まれていることを特徴としている。
本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記樹枝状エネルギー供給システムが配電路システムであり、前記エネルギー供給源は電源であり、前記回路損失は電圧降下であり、かつ前記分枝路は電線であり、さらに前記システム構築条件には前記配電路の布設条件、温度条件、電線種別、電気方式、許容電流値、及び短絡条件が含まれ、前記システム構築条件に基づき各分枝路の短絡電流を算出する短絡電流算出手段と、前記短絡電流に応じた分枝太さを算出する短絡分枝太さ算出手段と、前記分枝太さ調整手段により算出された必要最小解が前記短絡分枝太さ算出手段により算出された分枝太さ以上か否かを判断する第2の判断手段とを備え、前記分枝太さ再算出手段が、前記第1の判断手段の判断結果が肯定的な場合、及び前記第2の判断手段の判断結果が否定的な場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となり且つ前記各分枝路の分枝太さが短絡電流に耐えうる電線太さ以上となるように各分枝路の分枝太さを再演算すると共に、該分枝太さ再算出手段は、最大短絡電流に応じた短絡電線太さを算出する短絡電線太さ算出手段と、前記短絡電線太さを上流側が下流側以上の太さとなるように調整し、該調整された短絡電線太さの組合せを短絡解として算出する短絡解算出手段と、前記初期解、前記必要最小解、及び前記短絡解のうちの最大の電線太さの組合せを更新初期解として選定する更新初期解選定手段とを有し、前記最適解算出手段は、前記初期解に代えて前記更新初期解に基づき前記逓減処理を実行することを特徴としている。
さらに、本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記最適解算出手段は、前記電源からの前記電圧降下が前記電源からの許容電圧降下を超える接合点が存在する場合及び前記短絡電流に耐え得る電線太さ未満となる電線が存在する場合のうちの少なくともいずれか一方の場合は、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とし、さらに前記最適解算出手段は、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在しない場合であって且つ前記短絡電流に耐え得る電線太さ未満となる電線が存在しない場合は、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴としている。
また、本発明の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置は、前記樹枝状エネルギー供給システムは、配管路システムであり、前記回路損失は圧力損失であり、かつ前記分枝路は導管であり、さらに前記システム構築条件には、導管種別、前記導管を流れる流量、及び導管摩擦抵抗が含まれることを特徴としている。
また、本発明に係る記憶媒体は、エネルギー供給源から多数の接合点を介して樹枝状に分枝されてなる各分枝路の分枝太さを選定する分枝太さ選定手順が格納されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、所定のシステム構築条件に基づいて前記各分枝路の必要分枝太さを算出する必要分枝太さ算出手順と、上流側分枝路の分枝太さが前記接合点を挟んで該上流側分枝路と対峙する下流側分枝路の分枝太さ以上であって且つ必要最小限の範囲で太くなるように、前記必要分枝太さを調整し、調整された必要分枝太さの組合せを必要最小解として得る分枝太さ調整手順と、前記エネルギー供給源から前記各接合点までの回路損失を前記システム構築条件及び前記必要最小解に基づいて各接合点毎に算出する回路損失算出手順と、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在するか否かを判断する第1の判断手順と、前記第1の判断手順により前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在すると判断された場合は、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように前記各分枝路の分枝太さを再算出する分枝太さ再算出手順とが格納され、かつ、前記分枝太さ再算出手順が、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように、前記必要最小解より太い新たな分枝太さの組合せを初期解として算出する初期解算出手順と、前記初期解を初期値として前記各分枝路毎に逓減処理を施しながらコスト評価が最小となるような分枝太さの組合せを最適解として算出する最適解算出手順とを有していることを特徴としている。
さらに、本発明の記憶媒体は、所定のシステム構築条件に基づき各分枝路の短絡電流を算出する短絡電流算出手順と、前記短絡電流に応じた分枝太さを算出する短絡分枝太さ算出手順と、前記分枝太さ調整手順により算出された必要最小解が前記短絡分枝太さ算出手順により算出された分枝太さ以上か否かを判断する第2の判断手順とが格納され、前記分枝太さ再算出手順が、前記第1の判断手順の判断結果が肯定的な場合、及び前記第2の判断手段の判断結果が否定的な場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となり且つ前記各分枝路の分枝太さが短絡電流に耐えうる電線太さ以上となるように各分枝路の分枝太さを再演算すると共に、該分枝太さ再算出手順は、最大短絡電流に応じた短絡電線太さを算出する算出する短絡電線太さ算出手順と、前記短絡電線太さを上流側が下流側以上の太さとなるように調整し、該調整された短絡電線太さの組合せを短絡解として算出する短絡解算出手順と、前記初期解、前記必要最小解、及び前記短絡解のうちの最大の電線太さの組合せを更新初期解として選定する更新初期解選定手順とを有し、前記最適解算出手順は、前記初期解に代えて前記更新初期解に基づき前記逓減処理を実行することを特徴としている。
上記分枝太さ選定装置及び記憶媒体によれば、各接合点におけるエネルギー供給源からの回路損失と許容回路損失とを比較し、前者が後者よりも大きい接合点が存在する場合は分枝太さが大きくなるような初期解を求め、該初期解を初期値として逓減処理を施し、これにより最適解を求めているので、システム構築条件を入力手段にするだけで所望の分枝太さの組合せを得ることができ、したがって設計者の経験や勘に頼って各分枝路の回路損失を按分することなく分枝路の分枝太さの組合せを容易且つ迅速に得ることができる。
また、前記最適解算出手段は、前記コスト評価が同等な複数の最適解を算出するので、コスト評価が最適な複数の電線太さの組合せが得られた場合は、ユーザは必要に応じて所望の最適な電線太さの組合せを容易に選択することができる。すなわち、各接合点におけるエネルギー供給源からの回路損失が許容回路損失以下であるコスト評価が最適な電線太さの組合せが複数存在する場合は複数の最適解が得られることになるが、この場合であってもこれら複数の最適解を有効なものとして全て算出することができるので、ユーザは必要に応じて所望の最適な電線太さの組合せを容易に選択することができる。
また、本発明は、前記最適解算出手段が、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在する場合、及び/又は、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在しない場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えているので、ユーザは以前算出した過去のデータを参照しつつ最適な分枝太さの組合せを選定することができる。
また、エネルギー供給システムが配電路システムの場合は、各分岐路の短絡電流と許容短絡電流を比較し、前者が後者よりも大きい分岐路が存在するときは分枝太さが大きくなるような短絡解を求め、初期解、必要最小解及び短絡解のうちの最大の電線太さの組合せを更新初期解に設定し、該更新初期解を初期値として逓減処理を施し、これにより最適解を求めているので、上述と同様、設計者の経験や勘に頼って各分枝路の回路損失を按分する必要がなく、且つ短絡電流にも耐え得る分枝路としての電線の太さの組合せを容易且つ迅速に得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳説する。
図1は樹枝状システムの一例を示す概念図であって、本例ではエネルギー供給源としてのルート1が分枝路2aを介して接合点としてのノード3aに接続されると共に、ノード3aは2本の分枝路2b、2cを介してノード3b、3cに接続され、またノード3b、3cはそれぞれ分枝路2d〜2gを介してノード3d〜3gに接続され、さらにノード3f、3gはそれぞれ分岐路2h、2iを介してノード3h、3iに接続されている。
そして、例えば、上記樹枝状システムが電気をエネルギー源とする配電路に適用される場合は、ルート1は電源、ノード3a〜3iは負荷電流が流れ込む負荷点や配電路の分岐点、端末機器、分枝路2a〜2iはルート1とノード3a、又はノード3a〜3i間の区間をそれぞれ示している。また、上記樹枝状システムが液体や気体等の流体をエネルギー源とする配管路に適用される場合は、ルート1はエネルギー供給源、ノード3a〜3iは管路の分岐点又は端末装置、分枝路2a〜2iはルート1とノード3a、又はノード3a〜3i間の導管をそれぞれ示している。
そして、上記樹枝状システムの各分枝路2a〜2iには識別番号としての区間番号(1)〜(9)が付されており、斯かる区間番号(1)〜(9)を降順で又は昇順でもって所定の演算処理を行い、機能的にも経済的にも最適な分枝太さの組合せ、すなわち、最適解を得ている。
例えば、上記樹枝状システムを配電路に適用した場合は、負荷電流や過電流遮断器の定格電流に基づいて電線太さを算出した後、上流側電線太さが下流側電線太さと同等以上となるように前記電線太さを調整する(以下、この調整された電線太さの組合せを「必要最小解」という。)。そして、この必要最小解に関し、各ノード3におけるルート1からの電圧降下の総計(以下、「全電圧降下」という。)が前記ルート1からの許容電圧降下よりも大きいノードが存在するときは、後述するように区間(1)から順次降順で初期解算出処理を行って必要最小解よりも太い電線太さの組合せ、すなわち初期解を算出し、その後区間(9)から順次昇順で最適解算出処理を行い、これにより1つ又は複数の最適解を得ている。
以下、上記樹枝状システムを配電路に適用した場合について、本発明の分枝太さ選定装置を詳述する。尚、配電路システムでは、システムの構築段階で既存の電線を改変することなく流用する固定区間が設けられることがあることから、本実施の形態でも配電路システムに固定区間が存在するものとして説明する。
図2は本発明に係る樹枝状システムの分枝太さ選定装置としての電線太さ選定装置の一実施の形態を示すブロック構成図である。
すなわち、該電線太さ選定装置は、布設方法や温度条件、後述する各種計算条件、各ノード3a〜3iや各区間2a〜2iに対する回路条件等を入力するキーボードやマウス等を備えた入力装置4と、後述する所定の演算プログラム、演算処理に使用される各種テーブルや各種データが格納されたROM(読出専用メモリ)5と、演算結果を一時的に保存したりワークエリアとしての機能を有するRAM(随時読出書込メモリ)6と、演算結果、環境定義ファイル、ユーザデータファイル、演算プログラム等が必要に応じて記憶されたHDD(ハードディスクドライブ)7と、演算プログラムその他の各種データや演算結果を記憶したCD−ROMやフレキシブルディスク等の記憶媒体が挿脱自在とされた外部記憶装置8と、演算結果等を表示する表示装置9と、演算結果を印字出力するプリンタ10と、これら各構成要素の制御を司るCPU(中央演算処理装置)11とを備えている。
図3は、上記電線太さ選定装置における電線太さ選定処理手順の第1の実施の形態を示すメインルーチンのフローチャートであって、本プログラムはROM5から読み出されてCPU11で実行される。
まず、ステップS1では、所定の入力情報を入力装置4に入力する。すなわち、ステップS1の入力処理では、電線種別のパラメータ、各種計算条件、各ノード3a〜3iや各区間2a〜2iの回路条件等が入力情報として入力される。
ここで、電線種別のパラメータとしては、各種電線種別、より線又は単線の区別、布設方法(空中、暗きょ布設、直接埋設布設、管路引き入れ布設等)や温度条件(周囲温度又は基底温度)、前記各布設方法や温度条件で使用される許容電流値、許容電流減少係数等があり、これらパラメータを細分化して入力しておくことにより、所望のシステム条件に応じた最適な電線太さを容易に選定することができる。また、布設方法を包含した電線種別を特定する識別情報、各規格太さの断面積やインピーダンス、条数、使用可能な最小電線太さや最大電線太さの指定等を必要に応じて入力する。
各種計算条件としては、配電路に共通する計算条件と各配電路に個別の計算条件がある。前者には、例えば後述するコスト及び総コスト長の算出式があり、後者には、例えば配電路の識別情報、低圧幹線、高圧又は特別高圧等の電気方式、標準電圧又は使用電圧、動力回路の種類、電圧降下式等がある。
回路条件としては、非動力負荷容量、動力負荷容量、始動方式別の動力負荷容量、負荷容量の力率、各ノード3(3a〜3i)の需要率、区間2(2a〜2i)に対する合成需要率、各ノード3のルート1からの許容電圧降下等があり、これら回路条件が必要に応じて入力される。また、電気方式によっては配電路の途中で電気方式が変更されることがあることから(例えば、低圧幹線)、区間2の電気方式も必要に応じて入力される。また、その他区間2の回路条件としては、電線種別(布設方法等を含む。)、こう長、許容電流低減率、固定区間の指定及び該固定区間の電線太さ等があり、これら回路条件が必要に応じて入力される。
尚、これら入力情報は、一旦入力処理を行った後は、HDD7に格納することにより、次回以降は、更新入力情報以外は新たに入力処理を行うのを省略することができる。
次に、ステップS2では、ステップS1の入力処理で入力された入力情報に基づいて必要電線太さを選定し、続くステップS3では下流側の電線太さが上流側の電線太さ以下となるように電線太さ調整処理を行う。
次に、ステップS4では入力情報に基づき、各ノード3におけるルート1からの全電圧降下を算出する。すなわち、例えば、電圧の種別に応じ、直流750V以下、交流600V以下の低圧の場合は数式(1)により、また直流750V超7000V以下、交流600V超7000V以下の高圧又は7000V超の特別高圧の場合は数式(2)により各区間2の電圧降下ΔVを算出し、これら各区間2の電圧降下ΔVを加算し、各ノード3におけるルート1からの電圧降下、すなわち全電圧降下を算出する。
ΔV=K1・L・I/A …(1)
ΔV=K2・I・(rcosθ+xsinθ)・L …(2)
尚、数式(1)、(2)中、Lは線路のこう長、Iは負荷電流、Aは電線断面積、rは線路の交流導体抵抗、xは線路のリアクタンス、cosθは負荷端力率、K1及びK2は配電方式(単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式等)によって決まる定数である。
次いで、ステップS5では、予め設定されている各ノード3のルート1からの許容電圧降下とステップS4で算出された各ノード3での全電圧降下とを比較し、全電圧降下が許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断する。
そしてその答が否定(No)の場合は、各電線太さの選定に問題はないと判断し、ステップS8に進む。
一方、ステップS5の答が肯定(Yes)の場合はステップS6に進んで初期解算出処理を行う。すなわち、各ノード3での全電圧降下が許容電圧降下以下となるように可能な最小限の範囲で電線太さを太くする処理を区間毎に降順で行い、これにより順次新たに電線太さを算出し、これら電線太さの組合せである初期解を得る。
そして、続くステップS7では、ステップS6で算出された初期解に基づいて最適解算出処理を行う。すなわち、初期解を仮想最適解として各区間の電線太さに対し逐次逓減処理を行い、区間を昇順しながら経済的にも最適な電線太さの組合せ、すなわち1つ又は複数の最適解を選定する。
続くステップS8では出力処理を行って演算結果を表示装置9に出力し、また必要に応じてプリンタ10に印字出力し、本プログラムを終了する。尚、本プログラムの終了に先立って必要なデータ等はHDD7や外部記憶装置8に書き込まれて格納される。
以下、上述した必要電線太さ選定処理、電線太さ調整処理、初期解算出処理、及び最適解算出処理の各処理内容を詳述する。
図4はステップS2で実行される必要電線太さ選定処理ルーチンのフローチャートである。
まず、ステップS11では各区間2の負荷電流を区間(9)からの昇順で算出する。すなわち、各ノード3に供給される非動力負荷容量、動力負荷容量、負荷容量の力率、需要率及び合成需要率に基づき、各区間2の負荷電流を算出する。尚、例えば動力幹線の場合は動力負荷電流等、必要な基礎データを算出し、電動機群等の始動電流による電圧降下を考慮すべき場合は、考慮すべき始動容量、始動容量の力率、始動時の需要率、合成需要率等に基づいて各区間の始動電流と始動電流の力率を算出しておく。そして、始動電流による電圧降下も、始動電流についての許容電圧降下に対し、以下に述べるような負荷電流による電圧降下の場合と同様の処理を行えばよい。
次に、ステップS12では過電流遮断器の定格電流を算出する。すなわち、過電流遮断器は通常は少なくともルート1の下流側近傍に配され、必要に応じてノード3の下流側近傍に配されている。そして、このステップS12では、負荷の種類(例えば、低圧の電灯幹線、低圧の一般動力幹線、低圧の特殊動力幹線、高圧動力幹線、高圧動力幹線以外の高圧又は特別高圧)に応じ、所定の内線規程その他の計算方法に基づいて過電流遮断器の定格電流を算出する。
次に、ステップS13では、ステップS11で算出された負荷電流及び低圧の場合のステップS12で算出された過電流遮断器の定格電流、その他の必要な入力情報に基づいて各区間2の必要電線太さを算出する。
次に、ステップS14では、電線種別によって設定されている最小電線太さとステップS13の算出結果とを比較し、電線太さの太い方を必要電線太さに選定する。
そして続くステップS15では、固定区間については入力処理(ステップS1)で入力された電線太さをそのまま当該区間の電線太さに選定し、メインルーチン(図3)に戻る。
図5はステップS3で実行される電線太さ調整処理ルーチンのフローチャートである。
上記必要電線太さ選定処理では、電線の布設方法や電線の温度条件のみによって、負荷電流や低圧幹線の場合に過電流遮断器の定格電流に基づいて電線太さを選定しているため、ノード3を挟んで下流側区間の電線太さが上流側区間の電線太さよりも太くなる虞があり、このため電線太さ調整処理では、固定区間を除き上流側区間の電線太さが下流側区間の電線太さ以上となるように処理区間を昇順しながら電線太さを調整している。
すなわち、ステップS21では、電線太さの調整対象となる処理区間(図1の例でいうと、最降順区間である区間(9))を設定し、続くステップS22では当該処理区間の直近上流側にはルート1が接続されているかを判断する。そして最初のループではその答が否定(No)となるため、ステップS23に進み、当該処理区間が固定区間か否かを判断する。そしてその答えが肯定(Yes)の場合はステップS27に進む一方、その答えが否定(No)の場合はステップS24に進み、上流側の区間は全て固定区間か否かを判断する。そしてその答えが肯定(Yes)の場合は、ステップS27に進む一方、その答えが否定(No)の場合はステップS25に進み、当該処理区間の上流側であって固定区間でない最下流区間の電線太さが当該処理区間の電線太さ以上か否かを判断する。
そして、その答が肯定(Yes)の場合は電線太さを調整する必要がないことからステップS27に進む。
一方、その答が否定(No)の場合はステップS26に進み、前記最下流側区間(図1の例でいえば区間(8))の電線太さを当該処理区間の電線太さ以上の所定最小太さに設定しステップS27に進む。
そして、ステップS27では、次昇順区間(例えば、区間(8))を処理区間に設定し、ステップS22に戻る。
以下、各区間について上述と同様、ステップS22〜ステップS27の処理を繰り返し実行し、その後直近上流側がルート1になった時点でステップS22の答は肯定(Yes)となり、ステップS28に進んで各処理区間で算出された電線太さの組合せを必要最小解としてRAM6に保存し、メインルーチン(図3)に戻る。
図6は図3のステップS6で実行される初期解算出処理ルーチンのフローチャートである。
本ルーチンは、電線太さ調整処理(ステップS3)で算出された必要最小解の電線太さでは、全電圧降下が許容電圧降下を超えてしまうノードが存在する場合に、各区間の電線太さを必要最小解よりも太くなるようにルート1から順次降順で処理し、初期解を得ている。
まず、ステップS31では処理区間(例えば、図1でいえば、区間(1))を設定し、続くステップS32では処理区間の下流側に許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断する。
最初のループでは、ステップS32の答は肯定(Yes)となるので、ステップS33に進み、処理区間が固定区間か否かを判断する。
そして、ステップS33の答が肯定(Yes)の場合、すなわち固定区間の場合は電線太さに変更が生じないことからステップS41に進み、次降順区間が存在するか否かを判断する。そしてステップS41の答が否定(No)の場合は、処理すべき区間はないからステップS45に進む一方、ステップS41の答が肯定(Yes)の場合はステップS42に進んで次降順区間(例えば、区間(2))を処理区間に設定し、ステップS32に戻る。
また、ステップS33の答が否定(No)の場合はステップS34に進み、処理区間の電線太さX1を、可能な限り大きくした可能最大太さに設定し、第1のノードフラグI1を「0」に設定する。ここで、第1のノードフラグI1は電線太さX1を可能最大太さに設定した場合に下流側で許容電圧降下を超えるノードが存在しないと判断されたときに「1」に設定され、それ以外は「0」に設定される。また、可能最大太さとは、処理区間の電線種別の使用する最大の電線太さ以下であって、かつ処理区間の上流側に固定区間以外の区間が存在するときは、その最下流側区間の電線太さと同等以下となる最大の電線太さをいう。
次に、ステップS35では処理区間の電線太さX1を可能最大太さに設定したことから再度処理区間の下流側全ノードにおける全電圧降下を上記数式(1)又は数式(2)に基づいて算出する。
次いで、ステップS36では、処理区間の下流側に許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断し、その答が否定(No)の場合はステップS38に進んで、今回ループの電線太さX1をレジスターY1にコピーすると共に、該電線太さX1を所定値α1だけ減じて新たな電線太さX1を設定し、また許容電圧降下を超える下流側ノードが存在しないことから第1のノードフラグI1を「1」に設定し、ステップS35に戻る。ここで、所定値α1は、新たな電線太さX1がレジスターY1にコピーされた電線太さよりも規格上1ランク細くなるような値に設定される。
また、ステップS36の答が肯定(Yes)の場合はステップS37に進み、第1のノードフラグI1が「0」か否かを判断する。そして、その答が肯定(Yes)の場合はステップS40に進み、ステップS34で設定された電線太さX1を当該処理区間の電線太さに設定し、ステップS41に進む。すなわち、この場合はステップS38が実行されることなくステップS34→ステップS35→ステップS36→ステップS37の順序で処理された場合であり、ステップS40ではステップS34で設定された電線太さX1、すなわち可能最大太さをそのまま当該処理区間の電線太さに設定し、ステップS41に進む。そして、ステップS41では次降順区間が存在するか否かを判断し、その答が否定(No)の場合はステップS45に進む一方、その答が肯定(Yes)の場合はステップS42で次降順区間を処理区間に設定し、ステップS32に戻る。
一方、ステップS37の答が否定(No)、すなわちステップS36→ステップS38のループが実行された結果、第1のノードフラグI1が「1」に設定されている場合は、ステップS39に進み、当該処理区間の電線太さをレジスターY1にコピーされている電線太さに設定し、かつI1=1であることから下流側ノードは全て許容電圧降下以下であり、したがって続くステップS43では処理区間の下流側最大降順の次降順区間を検索し、ステップS44に進む。
また、その後のループでステップS32の答が否定(No)になると、許容電圧降下を超える下流側ノードが存在しないことから、このときもステップS43に進み、処理区間の下流側最大降順の次降順区間を検索し、ステップS44に進む。
ステップS44ではそのような区間が存在するか否かを判断し、その答が肯定(Yes)のときはステップS42に進んで当該区間、すなわち次降順区間を処理区間に設定してステップS32に戻り、上記処理を繰り返す。これにより、図1の例でいえば、ステップS43及びステップS44では、例えば、区間(2)の下流側最大降順区間(4)の次降順となる区間(5)が検索され、ステップS32に戻って上記処理ステップが繰り返されることとなる。
また、ステップS44の答が否定(No)になると、全区間について直近下流側ノードは許容電圧降下以下となるように電線太さが選定されたこととなることから、ステップS45に進み、算出された電線太さの組合せを初期解としてRAM6に保存し、メインルーチン(図3)に戻る。
図7及び図8はステップS7で実行される最適解算出処理ルーチンのフローチャートであって、該最適解算出処理では、初期解を仮想最適解に設定すると共に、必要最小解より大きな区間(最適化対象区間)を昇順で検索して最適化対象区間を検出し、該最適化対象区間の電線太さを逓減すると共に、逓減された電線太さに応じて最適化対象区間の下流側区間の電線太さを調整し、最適化対象区間以降(最適化対象区間及びその下流側区間)の電線太さの組合せを総コスト長が最小となるように仮想最適解を更新し、さらに最適化対象区間の直近下流側区間以降に必要最小解より大きな区間がある区間を最適化調整区間とし、該最適化調整区間がある場合は下流側についても最適化処理を行い、これにより各ノードでの全電圧降下が許容電圧降下以下であって且つ経済的に最適な電線太さの組合せ、すなわち最適解を得ている。尚、各ノードでの全電圧降下が許容電圧降下以下の電線太さの組合せが複数存在する場合があることから、経済的に最適な電線太さの組合せは1つとは限らず、したがって複数の最適解が得られる場合がある。
以下、最適解算出処理について詳述する。
まず、ステップS51ではステップS6で算出された初期解を仮想最適解としてRAM6に保存し、さらに総コスト長Tが同一となる最適解が複数得られる場合があることから、仮想最適解と同等のものを第2仮想最適解としてRAM6に保存する。
次いで、ステップS52では仮想最適解に基づいて各ノードの全電圧降下を算出し、さらに下記数式(3)で定義される総コスト長Tを算出する。
Figure 2006065843
ここで、nは区間数、Cはコスト、Pは電線の条数、Lは線路のこう長である。
尚、コストには布設材料を含む電線の単価や施工費、労務費等直接的に価格に反映されるもののみならず、電線材料や断面積等の間接的に価格に反映されるものも含む。
次いで、ステップS53では区間(1)以外の各区間に対して、当該各区間以降の電線太さの組合せを1要素として作成し、そのような要素の集合体を第1の区間配列と定義し、各々第1の区間配列を構成する要素に対して当該各区間以降の部分コスト長(第1の部分コスト長)MT1を前記数式(3)に準じて夫々算出し、RAM6に保存する。尚、区間(1)を除外したのは、以下の処理で使用されることがないためである。
次に、ステップS54では区間(9)から昇順で必要最小解より大きな区間(最適化対象区間)を検索し、ステップS55では最適化対象区間が存在するか否かを判断する。そして、ステップS55の答が肯定(Yes)の場合はステップS56に進み、最適化対象区間の電線太さZ1を所定値β1だけ減じて当該最適化対象区間の電圧降下を再計算する。ここで、所定値β1は、新たな電線太さZ1が現在の電線太さZ1よりも規格上1ランク細い電線太さとなるような値に設定される。
続くステップS57では、当該最適化対象区間の電線太さが逓減されたことから下流側区間の全ての第1の区間配列の要素を全て削除する。
次いでステップS58では当該最適化対象区間の下流側に固定区間以外の区間が存在するか否かを判断し、その答が否定(No)のときは図8のステップS60に進む一方、その答が肯定(Yes)、すなわち固定区間以外の区間がある場合はステップS59に進み、最適化対象区間の下流側区間について調整処理を行う。すなわち、固定区間以外の区間が下流側に存在する場合は、上記ステップS56で最適化対象区間の電線太さを細くしたことにより、最適化対象区間よりも下流側区間の下流側ノードにおける全電圧降下が許容電圧降下を超える虞があることから、下流側区間の電線太さを調整する。
図9は、図7のステップS59で実行される下流側区間調整処理ルーチンのフローチャートである。
すなわち、まず、ステップS71では前記最適化対象区間の次降順区間を調整区間及び開始区間に設定する。ここで、調整区間とは電線太さの調整対象となる区間をいい、開始区間とは本ルーチンの実行初期に設定される区間をいう。したがって、本ルーチンの初期状態では調整区間と開始区間とは同一区間となるが、調整区間は本ルーチンの実行中に逐次変動する区間であるのに対し、開始区間はステップS71又はステップS89で設定又は再設定されない限り変動しない区間を示している。
次に、ステップS72では開始区間の下流側の全区間を必要最小解に設定した後、ステップS73では調整区間が固定区間か否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)の場合、すなわち、固定区間の場合はステップS83に進む一方、その答が否定(No)の場合はステップS74に進み、調整区間の電線太さX2を可能な限り大きくした可能最大太さに設定し、第2のノードフラグI2を「0」に設定する。ここで、第2のノードフラグI2は、下流側で許容電圧降下を超えるノードが存在しないと判断されたときに「1」に設定され、それ以外は「0」に設定される。また、可能最大太さとは、調整区間の電線種別に使用する最大の電線太さ以下であって、かつ固定区間を除く上流側の最下流側区間の電線太さと同等以下になる最大の電線太さをいう。
次に、ステップS75では、調整区間の電線太さX2が可能最大太さに設定されたことから下流側の全ノードについて全電圧降下を算出し、続くステップS76では、当該調整区間の下流側で許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断する。
そしてその答が否定(No)の場合は、ステップS79に進んで電線太さX2をレジスターY2にコピーし、さらに当該調整区間の下流側には許容電圧降下を超えるノードが存在しないことから、第2のノードフラグI2を「1」に設定し、続くステップS80では電線太さX2が必要最小解か否かを判断する。
そしてその答が否定(No)の場合はステップS81に進み、電線太さX2を所定値α2だけ減じて新たな電線太さX2を設定し、ステップS75に戻る。ここで、所定値α2は、所定値α1と同様、新たな電線太さX2が前回ループの電線太さよりも規格上1ランク細い電線太さとなるような値に設定される。
一方、ステップS76又はステップS80の答が肯定(Yes)の場合はステップS77に進み、第2のノードフラグI2が「0」か否かを判断する。そして、その答が肯定(Yes)の場合は、ステップS78に進み、調整区間の電線太さX2を可能最大太さに設定してステップS83に進む。そしてステップS83では開始区間の下流側の次降順区間を検索し、ステップS85に進む。
一方、ステップS77の答が否定(No)、すなわち第2のノードフラグI2が「1」のときはステップS82に進んで調整区間の電線太さX2をレジスターY2にコピーされている値に設定し、その後ステップS84に進む。そしてステップS84では開始区間の下流側であって、調整区間の下流側以外の次降順区間を検索し、ステップS85に進む。
ステップS85ではステップS83及びステップS84の検索結果によりそのような区間が存在するか否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)のときはステップS86に進み、当該区間を次調整区間に設定し、ステップS73に戻って上記処理を繰り返す。
一方、ステップS85の答が否定(No)のときはステップS87に進み、開始区間の下流側以外の次降順区間を検索し、ステップS88でそのような区間が存在するか否かを判断する。そして、その答が肯定(Yes)の場合は、ステップS89に進んで当該区間を次調整区間及び次開始区間に設定した後、ステップS72に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、ステップS88の答が否定(No)の場合は、下流側区間の調整が全て終了したこととなり、本ルーチンを終了して図8のステップS60に進む。
すなわち、図1の例で言えば、最適化対象区間を区間2aとした場合、次降順区間である区間2bが調整区間及び開始区間となる。そして、ステップS73〜ステップS82の処理を経て調整区間である区間2bの電線太さX2が決定する。そして、区間2bの電線太さX2が可能最大太さに設定されたとき(ステップS78)又は区間2bが固定区間の場合はステップS83→ステップS85→ステップS86を経て調整区間である区間2bの次降順区間、すなわち区間2dが次調整区間となる。
また、調整区間2dにおいて電線太さがY2に設定されたときは(ステップS82)、第2のノードフラグI2が「1」の場合であり、許容電圧降下を超えるノードが存在しないことから調整区間である区間2d以降の電線太さを調整する必要がなく、したがってステップS84では、開始区間2bの下流側であって、調整区間2dの下流側以外の次降順区間、すなわち区間2eを次調整区間に設定する。
また、開始区間2bの下流側区間の電線太さが全て調整済みになると、ステップS87〜ステップS89で開始区間2bの下流側以外の次降順区間、すなわち、区間2cが次調整区間及び次開始区間に設定されることとなる。
次いで、図8のステップS60では、ステップS54で検索された最適化対象区間の下流側全ノードについての全電圧降下を上述した数式(1)又は数式(2)に基づいて再計算し、また総コスト長T1を数式(3)に準じて再計算し、続くステップS61では所定の比較処理を行う。
図10及び図11はステップS61で実行される比較処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS91では最適化対象区間の下流側に許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合はステップS95に進む一方、その答が否定(No)の場合はステップS92に進み、最適化対象区間の下流側の各区間について、当該各区間以降の電線太さの組合せを当該各区間の第1の区間配列の要素として作成し、各々第1の区間配列を構成する要素に対し当該各区間以降の部分コスト長(第1の部分コスト長)MT1を数式(3)に準じて算出し、RAM6に保存する。
次に、ステップS93では最適化対象区間及び該最適化対象区間の下流側区間、すなわち最適化対象区間以降について部分比較処理を行う。
図12はステップS93で実行される部分比較処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS111では最適化対象区間がルート1の直近下流側か否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合は部分比較処理は総コスト長の比較になることから、ステップS112〜ステップS117の処理は必要がなく、したがって図10のステップS94に進む。
一方、ステップS111の答が否定(No)の場合は、ステップS112に進んで最適化対象区間以降の部分コスト長(第2の部分コスト長)MT2を算出し、続くステップS113で最適化対象区間の第1の区間配列に要素が存在するか否かを判断する。
そして、その答が否定(No)の場合はステップS116に進む一方、その答が肯定(Yes)の場合はステップS114に進み、最適化対象区間において第2の部分コスト長MT2が第1の部分コスト長MT1と同等以下か否かを判断する。
そしてステップS114の答が否定(No)の場合は部分比較処理を終了し、図10のステップS94に進む。
一方、ステップS114の答が肯定(Yes)の場合はステップS115に進み、前記第2の部分コスト長MT2が前記第1の部分コスト長MT1より小さいか否かを判断する。そしてその答が否定(No)の場合はステップS116に進み、その答が肯定(Yes)の場合はステップS117で当該最適化対象区間の第1の区間配列の要素を全て削除し、ステップS116に進む。
そしてステップS116では、最適化対象区間の電線太さと該最適化対象区間の直近下流側各区間の第1の区間配列の各要素の全ての組合せを該最適化対象区間の第1の区間配列の要素としてRAM6に追加保存し、第1の部分コスト長MT1を第2の部分コスト長MT2に設定し、図10のステップS94に進む。
図13は、第1の区間配列の要素を説明する説明図である。
すなわち、区間2cを最適化対象区間とした場合、一点鎖線Aで示すように、区間2f以降と区間2g以降の各々について、実線の電線太さの組合せV1、W1と、破線の電線太さの組合せV2、W2の部分コスト長が等しく、かつこれら電線太さの組合せが区間2f又は区間2gの第1の区間配列の要素であれば、最適化対象区間である区間2cの電線太さと電線太さの組合せV1及びV2と電線太さの組合せW1及びW2の4通りの組合せ(2cとV1とW1、2cとV1とW2、2cとV1とW2、2cとV2とW1、及び2cとV2とW2)が区間2cの第1の区間配列の要素として追加されることとなる。
尚、一般的には、最適化対象区間の直近下流側にm個の区間がある場合、追加する要素数Eは、下記の数式(4)で示される。
Figure 2006065843
ここで、Nはi番目の第1の区間配列の要素数(1≦i≦m)である。
次に図10に戻り、ステップS94では、配電路に許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かを判断する。そして、ステップS94又は上記ステップS91の答が肯定(Yes)のときはステップS95に進み、許容電圧降下を超えるノードが存在することから現在の電線太さの組合せを、不満足例として所定の範囲でRAM6に保存し、本比較処理を終了して図8のステップS62に進む。ここに所定の範囲とは、例えば区間(1)の電線太さの範囲や上流側と下流側の電線太さの差を限定する範囲をいう。
一方、ステップS94の答が否定(No)のときは、ステップS96に進み、ステップS60で算出された総コスト長(第2の総コスト長)T1が仮想最適解の総コスト長(第1の総コスト長)T以下か否かを判断する。そしてその答が否定(No)の場合はステップS97に進み、許容電圧降下を超えるノードが存在しないことから現在の電線太さの組合せを、満足例として前記所定の範囲でRAM6に保存し、本比較処理を終了してステップS62(図8)に進む。
このように算出された現在の電線太さの組合せをRAM6に保存することにより、ユーザは以前算出した過去のデータを随時参照しつつ最適な分枝太さの組合せを選定することが可能となる。
一方、ステップS96の答が肯定(Yes)のときは、ステップS98に進み、仮想最適解を満足例として前記所定の範囲でRAM6に格納した後、現在の電線太さの組合せを仮想最適解に設定してRAM6に保存しステップS99に進む。
そして、ステップS99では第2の総コスト長T1が第1の総コスト長Tより小さいか否かを判断し、その答が否定(No)の場合はステップS101に進む一方、その答が肯定(Yes)の場合はステップS100でRAMに保存されている第2仮想最適解を全て削除し、ステップS101に進む。
続いてステップS101では、第1の区間配列から求められた電線太さの組合せを第2仮想最適解としてRAM6に追加保存し、さらに第1の総コスト長T1を第2の総コスト長T2に設定して本比較処理を終了し、図8のステップS62に進む。
尚、第1の区間配列から求まる電線太さの組合せを、図13の説明図で説明すると、二点鎖線Bで示すように、最適化対象区間(又は後述の最適化調整区間)を区間2gとして電線太さの組合せがW1の場合、ステップS101を実行すると、区間2b以降と区間2f以降の各々について、実線の電線太さの組合せU1、V1と破線の電線太さの組合せU2、V2において部分コスト長が等しく、これら電線太さの組合せが区間2b又は区間2fの第1の区間配列の要素であれば、区間2b以降はU1及びU2、区間2f以降はV1及びV2、並びに区間2b以降及び区間2f以降以外は現在の配電路の電線太さの組合せ、すなわち4通りの組合せとなる。
一般的にいうと、最適化対象区間(又は後述の最適化調整区間)の上流側ノードの直近下流側区間であって、最適化対象区間を除き該最適化対象区間とルート1との間にない区間の第1の区間配列の各要素の組合せと、これら区間以降以外は現在の配電路の電線太さの組合せであり、上記数式(4)と同様の数の組合せとなる。
次に、図8に戻り、ステップS62では最適化対象区間の直近下流側区間について該直近下流側区間以降に必要最小解より大きな区間がある区間を最適化調整区間として降順に検索し、ステップS63ではそのような区間が存在するか否かを判断する。その答が肯定(Yes)の場合はステップS65に進み、下流側最適化処理を行った後、ステップS62に戻る。
図14及び図15はステップS65で実行される下流側最適化処理ルーチンのフローチャートであって、この下流側最適化処理では、検索された最適化調整区間を必要最小解まで逓減したときに最適化調整区間以降の部分コスト長が最小となる第2の区間配列を求め、これにより最適化対象区間以降の電線太さを最適化している。
すなわち、ステップS121では最適化調整区間以降の電線太さの組合せを第2の区間配列としてRAM6に保存し、続くステップS122では最適化調整区間以降の部分コスト長(第3の部分コスト長)ST1を算出してRAM6に保存し、さらにフラグJとフラグHを「0」に設定する。ここで、フラグJは第2の区間配列が後述のステップS138でステップS121の初期状態と異なるとき、すなわち部分最適化されたときに「1」に設定され、それ以外は「0」に設定される。フラグHは初期状態のときは「0」に設定され、下流側が部分最適化されたときは「2」に設定され、これら以外は「1」に設定される。
続いてステップS123では、下流側の最適化調整区間を直近下流側区間について降順で検索し、ステップS124で最適化調整区間が存在するか否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)の場合はステップS133に進み、本ルーチンを再帰的に呼び出して実行し、ステップS134では本ルーチンの返り値によって部分最適化がなされたか否かを判断する。そして、その答が否定(No)、すなわち返り値が「0」のときはステップS123に戻る一方、その答が肯定(Yes)のとき、すなわち返り値が「1」のときはステップS135に進んでフラグHを「2」に設定し、ステップS123に戻る。
一方、ステップS124の答が否定(No)の場合はステップS125に進み、フラグHが「0」か否かを判断し、その答が肯定(Yes)のとき、すなわち初期状態にあるときは図15のステップS127に進む。
また、ステップS125の答が否定(No)、すなわち後述するステップS128又は前述したステップS135でフラグHが「1」又は「2」に設定されており、初期状態にないときは、ステップS126に進んで最適化調整区間以降の各下流側ノードの全電圧降下が許容電圧降下以下か否かを判断する。そしてその答が否定(No)の場合は図15のステップS127に進む一方、その答が肯定(Yes)の場合はステップS136に進んで最適化調整区間以降の部分コスト長(第4の部分コスト長)ST2を再算出し、図15のステップS137に進む。
次いで図15のステップS137では、第4の部分コスト長ST2が第3の部分コスト長ST1以下か否かを判断し、その答が否定(No)の場合はステップS127に進む一方、その答が肯定(Yes)の場合はステップS138に進み、最適化調整区間の第2の区間配列を現在の最適化調整区間以降の電線太さの組合せに更新し、第3の部分コスト長ST1を第4の部分コスト長ST2に設定し、これにより部分コスト長が更新されたことからフラグJを「1」に設定し、ステップS140に進む。
続いてステップS140ではフラグHが「2」に設定されているか否かを判断し、その答が否定(No)の場合はステップS127に進む一方、その答が肯定(Yes)のとき、すなわちフラグHが「2」に設定されているときは、下流側が部分最適化されたと判断してステップS141に進み、上述した部分比較処理(図12)を最適化対象区間を最適化調整区間として再度実行し、ステップS127に進む。ここに、フラグHによって部分比較処理の実行を制御したのは、後述するステップS132での比較処理中の部分比較処理と重複するのを避けるためである。
次に、図15のステップS127では最適化調整区間が必要最小解か否かを判断し、その答が否定(No)の場合は、ステップS128に進み、電線太さZ2を所定値β2だけ減じて新たな電線太さZ2を設定し、当該最適化調整区間の電圧降下を算出し、フラグHを「1」に設定する。ここで、所定値β2は、所定値β1と同様、新たな電線太さZ2が現在の電線太さよりも規格上1ランク細い電線太さとなるような値に設定される。
続くステップS129では、当該最適化調整区間に逓減処理が施されたことから下流側区間の全ての第1の区間配列の要素を全て削除し、ステップS130に進む。
次いで、ステップS130では、下流側に固定区間以外が存在するか否かを判断し、その答が肯定(Yes)のときはステップS142に進み、上述した下流側区間調整処理(図9)を再度実行し、ステップS131に進む。
そしてステップS131では下流側全ノードの全電圧降下及び総コスト長(第2の総コスト長)T1を再度算出し、続くステップS132では上述した比較処理(図10、図11)を最適化対象区間を最適化調整区間として再度実行し、ステップS123(図14)に戻る。
一方、ステップS127の答が肯定(Yes)、すなわち最適化調整区間が必要最小解の場合はステップS143に進んで最適化調整区間以降を第2の区間配列の電線太さに戻し、また下流側ノードの全電圧降下を再計算し、さらにフラグJを返り値としてステップS62(図8)又はステップS134(図14)に戻る。
そして、図8のステップS63の答が否定(No)、すなわち最適化調整区間が存在しなかった場合はステップS64で当該区間は必要最小解か否かを判断し、その答が否定(No)の場合は図7のステップS56に戻る。
一方、ステップS64の答が肯定(Yes)の場合は、ステップS66で当該区間以降を仮想最適解に戻し、さらに下流側全ノードの全電圧降下を再算出して図7のステップS54に戻る。
次に、図7に戻り、ステップS55の答が否定(No)、すなわち必要最小解より大きな区間の電線太さが存在しなかったときは、ステップS67に進み、仮想最適解を最終的な最適解に設定し、さらに第2仮想最適解を最適解と同等なものとしてRAM6に保存し、図3(メインルーチン)に戻る。
このように本第1の実施の形態では、各ノードにおける全電圧降下と許容電圧降下とを比較し、全電圧降下が許容電圧降下を超えるノードが存在する場合は、再演算して最適解を得ているので、設計者は経験や勘に頼って許容電圧降下を按分する手間を省くことができ、経済的にも最適な電線太さの組合せを容易かつ迅速に得ることができる。
尚、上記第1の実施の形態は、配電路システムについて詳述したが、配電路システム以外の空気や各種ガスなどの気体や液体等の流体供給設備における配管路システムにおいても、電圧降下に代えて圧力損失を使用し、ルート1をエネルギー供給源、ノード3を分岐点又は末端装置、区間2を導管とし、ルート1から各ノードまでの圧力損失の総計(全圧力損失)が各ノード3での許容圧力損失を超えるノードが存在する場合に上述と同様の初期解算出処理及び最適解算出処理を実行することにより、最適な導管太さを得ることができる。
また、上記第1の実施の形態の配電路システムでは、短絡電流を考慮しなかったが、短絡電流を考慮して電線太さを求めるようにするのも好ましい。
以下、第2の実施の形態として、短絡電流を考慮した電線太さの選定手順を詳述する。尚、本第2の実施の形態は、配電路システムに特有のものであり、配電路システム以外のシステム、例えば流体供給系の配管路システムの場合は考慮する必要がない。
図16は本発明に係る第2の実施の形態の制御手順を示すメインルーチンのフローチャートである。
まず、ステップS151では入力処理を行う。すなわち、キーボードやマウス等を使用して入力情報を入力する。入力情報としては、第1の実施の形態で述べた入力情報に加え、短絡電流算出に必要な各電線種別のパラメータ、電源位置での短絡容量、過電流遮断器の動作時間、短絡電流計算法等が必要に応じて入力される。ここで、短絡電流計算法としては、各区間の直近下流側のノード位置の短絡電流を採用するか、或いは各区間の直近上流側のノード位置の短絡電流を採用するかが指定される。尚、前者の場合はルート1方向から視て区間の末端で短絡が生じる場合を想定したものであり、後者は区間の途中で短絡が生じる場合を想定したものである。配電路中の特定地点で短絡が発生すると、ルート1から短絡地点まで大電流が一様に流れるため、短絡地点がルート1に近い程、短絡電流は大きくなる。したがって、システムの安全性を考慮すると、後者の短絡電流計算法を採用した方が、設計上はより好ましいということになる。尚、ルート1(電源)内で短絡が発生したときの短絡電流を各区関に共通すると仮定する場合もあるが、この場合は、第1の実施の形態における必要電線太さ選定処理で、ルート1での短絡発生を考慮した電線太さを算出することにより、実質的に第1の実施の形態に含めることができる。
次いで、ステップS152〜ステップS154では、第1の実施の形態のステップS2〜ステップS4と同様、必要電線太さ選定処理、電線太さ調整処理、及び各ノードでの全電圧降下算出処理を行い、続くステップS155で短絡電流確認処理を行い、必要最小解が短絡電流に耐え得るか否かを確認する。
図17は短絡電流確認処理ルーチンのフローチャートであって、本ルーチンではルート側から降順で順次短絡電流の確認処理を行っている。
ステップS161では、ルート1の直近下流側区間(図1の例でいえば、区間(1))を処理区間に設定し、確認フラグSを「0」に設定する。ここで、確認フラグSは、処理区間の電線太さが短絡電流に耐え得る電線太さ以上か否かを示し、前記電線太さ以上であれば確認フラグSは「0」に設定され、前記電線太さ未満であれば確認フラグSは「1」に設定される。このステップS161では、処理区間の電線太さは短絡電流に耐え得る電線太さ以上であると想定し、確認フラグSを「0」に設定する。
次いで、ステップS162では処理区間の直近下流側ノードのパーセントインピーダンス%Zを算出し、続くステップS163では数式(5)に基づいて短絡電流Isを算出する。
Is=100In/%Z…(5)
ここで、Inは基準容量の定格電流である。
次に、ステップS164では、処理区間について短絡電流に応じた電線太さXsを選定する。すなわち、数式(6)に基づいて断面積Aを算出し、断面積A相等以上の電線太さのうち最小の電線太さXsを選定する。
Figure 2006065843
ここで、tは短絡時に過電流遮断器が遮断するまでの最短動作時間、K3は絶縁体種及び導体種によって決定される定数である。
そして、ステップS165では必要最小解である処理区間の電線太さXdがステップS164で算出された電線太さXs以上か否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合は、ステップS167に進み、処理区間が最終降順区間か否かを判断する。そしてその答が否定(No)の場合はステップS168に進んで次降順区関を処理区間に設定し、ステップS162に戻って上記処理ステップを繰り返す。
そして、ルート1の下流側区間の全てで必要最小解の電線太さXdが電線太さXs以上であるとステップS167の答が肯定(Yes)となり、ステップS169に進んで確認結果SをRAM6に保存し、メインルーチン(図16)に戻る。
また、ステップS165の答が否定(No)の場合は、当該処理区間の電線太さXdは短絡電流の電線太さXs未満であることが確認されたことになるので、ステップS166に進んで確認フラグSを「1」に設定し、続くステップS169で確認結果SをRAM6に保存してメインルーチン(図16)に戻る。
すなわち、配電路中の一区間で電線太さが短絡電流に耐えられないことが確認された時点で確認結果(S=1)をRAM6に保存し、本ルーチンを終了してメインルーチンに戻り、また、配電路中の全区間で電線太さが短絡電流に耐え得ることが確認された場合は確認結果(S=0)をRAM6に保存し、本ルーチンを終了してメインルーチン(図16)に戻る。
尚、図17では区間の直近下流側のノード位置での短絡電流を順次算出しているが、区間の直近上流側のノード位置での短絡電流を順次算出する場合も、略同様にすればよい。
次に、図16に戻り、ステップS156では、各ノードでの全電圧降下が許容電圧降下以下であって、かつ短絡電流確認処理で得られた確認フラグSが「0」か否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)のときはステップS159に進み、必要最小解を所望電線太さの組合せとして表示装置9やプリンタ10に出力して処理を終了し、一方、その答が否定(No)の場合はステップS157に進み、更新初期解選定処理を行う。
図18は更新初期解選定処理ルーチンのフローチャートである。
すなわち、ステップS171では各ノードでの全電圧降下が許容電圧降下以下か否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合はステップS173に進む一方、その答が否定(No)の場合は第1の実施の形態で詳述した初期解算出処理ルーチン(図6)を実行して初期解を求め、その後ステップS173に進む。
そしてステップS173では最大短絡電流電線太さ算出処理を実行し、最大短絡電流に耐え得る電線太さを算出する。
図19はステップS173で実行される最大短絡電流電線太さ算出処理ルーチンのフローチャートであって、本第2の実施の形態では区間の直近下流側のノード位置での短絡電流に基づいて電線太さを算出している。
すなわち、ステップS181ではルート1の直近下流側を処理区間(図1の例でいえば区間(1))に設定し、ステップS182では該処理区間が固定区間か否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合はステップS193に進んで最終降順区間か否かを判断する。そして、ステップS193の答が否定(No)であれば、ステップS194に進んで次降順区関を処理区間に設定した後、ステップS182に戻る。
一方、ステップS182の答が否定(No)、すなわち、当該処理区間が固定区間でないときはステップS183に進み、処理区間の電線太さX3を可能最大太さFに設定し、かつ電線フラグGを「0」に設定する。ここで、可能最大太さFとは、図6のステップS34で述べた可能最大太さと同様、処理区間の電線種別の使用する最大の電線太さ以下であって、かつ処理区間の上流側に固定区間以外の区間が存在するときは、その最下流側区間の電線太さと同等以下となる最大の電線太さをいう。また、電線フラグGは、電線太さX3が可能最大太さFよりも細くされた場合に「1」に設定され、それ以外は「0」に設定される。
次いで、ステップS184では、ステップS162、163(図17)と同様の方法で、直近下流側ノード(直近上流側のノード位置での短絡電流を採用する場合は直近上流側)のパーセントインピーダンス%Zを算出し、さらにパーセントインピーダンス%Zに基づいて短絡電流Isを算出する。そして、ステップS185では短絡電流に応じた処理区間の電線太さZ3を算出する。続くステップS186では電線フラグGが「0」か否かを判断し、その答が肯定(Yes)の場合はステップS187に進んで可能最大太さFがステップS185で算出された電線太さZ3より大きいか否かを判断する。
そしてその答が肯定(Yes)のときはステップS190に進み、算出された電線太さZ3をレジスターY3にコピーし、さらにY3値は可能最大太さFより小さい(電線太さが細い)ことから電線フラグGを「1」に設定し、ステップS184に戻る。
一方、ステップS187の答が否定(No)のときは可能最大太さFをRAM6に保存し、ステップS192に進む。
そしてその後のループでステップS186の答が否定(No)になると、ステップS189に進み、レジスターY3に保存されている電線太さが電線太さZ3より大きいか否かを判断する。
そしてその答が肯定(Yes)のときはステップS190に進み、今回ループで算出された電線太さZ3をレジスターY3にコピーし、かつ電線フラグGを「1」に設定し、ステップS184に戻る。
一方、ステップS189の答が否定(No)のときはステップS191に進み、ステップS185で算出された今回ループの電線太さZ3をRAM6に保存し、ステップS192に進む。
そしてステップS192では、当該処理区間の電線太さX3を可能最大太さFに設定し、ステップS193に進む。すなわち、下流側の最大短絡電流を算出するためには今回ループの処理区間の電線太さを可能最大太さFにして下流側の次処理区間の電線太さを算出する必要があることから、ステップS192では処理区間の電線太さX3を可能最大太さFに設定する。
そして、ステップS193では当該処理区間が最終降順区間か否かを判断し、その答が否定(No)のときはステップS194に進んで次降順区間を処理区間に設定し、ステップS182に戻って上述の処理ステップを繰り返す。
一方、ステップS193の答が肯定(Yes)の場合は、全区間で最大短絡電流に耐え得る電線太さが算出されていることからステップS195に進み、固定区間以外の区間の電線太さX3をRAM6の保存値、すなわちF値又はZ3値に設定し、図18のステップS174に進んで最大短絡電流電線太さ調整処理を行う。
図20はステップS174で実行される最大短絡電流電線太さ調整処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS201では、電線太さの調整対象となる処理区間(例えば、区間(9))を設定し、続くステップS202では当該処理区間の直近上流側はルート1に接続されているか否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)の場合は、ステップS208に進む一方、その答が否定(No)のときはステップS203に進み、当該処理区間が固定区間か否かを判断する。そしてその答が肯定(Yes)の場合はステップS207に進む一方、その答が否定(No)の場合はステップS204に進み、上流側の区間は全て固定区間か否かを判断する。その答が肯定(Yes)の場合は、ステップS207に進む一方、その答が否定(No)の場合はステップS205に進み、当該処理区間の上流側であって固定区間でない最下流側区間の電線太さが当該処理区間の電線太さ以上か否かを判断する。
そして、その答が肯定(Yes)の場合はステップS207に進む一方、その答が否定(No)の場合はステップS206に進み、前記最下流側区間の電線太さを処理区間以上の所定最小太さに設定し、ステップS207に進む。
そして、ステップS207では、次昇順区間(図1の例でいえば区間(8))を処理区間に設定し、ステップS202に戻る。
以下、各区間について昇順でステップS202〜ステップS207の処理を繰り返し実行し、直近上流側がルート1になった時点でステップS202の答は肯定(Yes)となり、ステップS208に進んで短絡電流に対する電線太さの調整がなされた電線太さの組合せを短絡解としてRAM6に保存し、図18のステップS175に進む。
そして、図18のステップS175では、各区間についてステップS172で算出された初期解、ステップS153で算出された必要最小解(ステップS172の初期解算出処理が実行されなかった場合)、及びステップS174で算出された短絡解のうち、最大となる電線太さの組合せ、すなわち最大解を更新初期解に選定して本ルーチンを終了し、メインルーチン(図16)に戻る。
そして、続く図16のステップS158では第1の実施の形態と略同様の手順で最適解算出処理を実行する。
図21は最適解算出処理ルーチンの要部フローチャートである。
すなわち、ステップS211では、ステップS157の更新初期解選定処理で選定された更新初期解を仮想最適解に設定し、仮想最適解と同等のものを第2仮想最適解に設定し、これらをRAM6に保存し、その後は図7のステップS52以降と同様の処理手順を実行し、1つ又は複数の最適解を算出する。
尚、第1の実施の形態では、図7及び図8の最適解算出処理ルーチン内で実行されるステップS52、ステップS56、ステップS60、ステップS66、下流側区間調整処理ルーチン(図9)のステップS75、下流側最適化処理ルーチン(図14及び図15)のステップS128、ステップS131、及びステップS143において、全電圧降下又は電圧降下を算出しているが、本第2の実施の形態では、これらに加え、該当区間の短絡電流に耐え得る電線太さも算出される。
さらに、本第2の実施の形態では、下流側区間調整処理ルーチン(図9)のステップS76、比較処理ルーチン(図10及び図11)のステップS91及びステップS94では、許容電圧降下を超えるノードが存在するか否かの判断に加えて、OR条件で電線太さが短絡電流に耐え得る電線太さより小さい区間が存在するか否かの判断を行い、また、下流側最適化処理ルーチン(図14及び図15)のステップS126では、許容電圧降下以下か否かの判断に加えて、AND条件で最適化調整区間以降の各区間の電線太さが短絡電流に耐え得る電線太さ以上か否かの判断を行う。
そしてこのように最適解が算出されると、図16のメインルーチンに戻り、ステップS159では演算結果を表示装置9やプリンタ10に出力し、本プログラムを終了する。
このように本第2の実施の形態では、電圧降下に加え短絡電流が許容短絡電流を超えている場合も、再演算して最適解を得ているので、設計者は経験や勘に頼って許容電圧降下を按分する手間を省くことができると同時に、短絡電流にも耐え得る経済的にも最適な電線太さの組合せを容易かつ迅速に得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態ではルート1が1個のノード3に接続され、ノード3から樹枝状に分枝路2が形成されているが、図22に示すようにルート1から複数の分枝路2を介して複数のノード3を有するようにシステムを構築した場合も、同様に本発明を適用できるのはいうまでもない。
また、上記実施の形態では、分枝太さ選定装置のROM5内に予め上記フローチャートで示した演算プログラムが格納されている場合について述べたが、上記演算プログラムをCD−ROMやフレキシブルディスク等の記憶媒体に記憶させておき、これら記憶媒体を上記分枝太さ選定装置にインストールして演算処理を実行するのも好ましい。
本発明に係る樹枝状エネルギー供給システムの一実施の形態を示す概念図である。 本発明に係る分枝太さ選定装置としての電線太さ選定装置の一実施の形態を示すブロック構成図である。 電線太さ選定処理手順の一実施の形態(第1の実施の形態)を示すメインルーチンのフローチャートである。 必要電線太さ選定処理ルーチンのフローチャートである。 電線太さ調整処理ルーチンのフローチャートである。 初期解算出処理ルーチンのフローチャートである。 最適解算出処理ルーチンのフローチャート(1/2)である。 最適解算出処理ルーチンのフローチャート(2/2)である。 下流側区間調整処理ルーチンのフローチャートである。 比較処理ルーチンのフローチャート(1/2)である。 比較処理ルーチンのフローチャート(2/2)である。 部分比較処理ルーチンのフローチャートである。 第1の区間配列の要素概念を説明するための説明図である。 下流側最適化処理ルーチンのフローチャート(1/2)である。 下流側最適化処理ルーチンのフローチャート(2/2)である。 本発明の第2の実施の形態に係る分枝太さ選定装置の処理手順を示すメインルーチンのフローチャートである。 短絡電流確認処理ルーチンのフローチャートである。 更新初期解選定処理ルーチンのフローチャートである。 最大短絡電流電線太さ算出処理ルーチンのフローチャートである。 最大短絡電流電線太さ調整処理ルーチンのフローチャートである。 第2の実施の形態に係る最適解算出処理ルーチンの要部フローチャートである。 本発明に係る樹枝状エネルギー供給システムの他の実施の形態の概念図である。
符号の説明
1 ルート、電源(供給源)
2 分枝路、区間
3 ノード、接合点
4 入力装置(入力手段)
6 RAM(記憶手段)
11 CPU

Claims (12)

  1. エネルギー供給源から多数の接合点を介して樹枝状に分枝されてなる各分枝路の分枝太さを選定する樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置であって、
    少なくとも各分枝路の識別情報及び前記接合点の前記エネルギー供給源からの許容回路損失を含む所定のシステム構築条件を入力する入力手段と、
    前記システム構築条件に基づいて前記各分枝路の必要分枝太さを算出する必要分枝太さ算出手段と、
    上流側分枝路の分枝太さが前記接合点を挟んで該上流側分枝路と対峙する下流側分枝路の分枝太さ以上であって且つ必要最小限の範囲で太くなるように、前記必要分枝太さを調整し、調整された必要分枝太さの組合せを必要最小解として得る分枝太さ調整手段と、
    前記エネルギー供給源から前記各接合点までの回路損失を前記システム構築条件及び前記必要最小解に基づいて各接合点毎に算出する回路損失算出手段と、
    前記各接合点における前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在するか否かを判断する第1の判断手段と、
    前記第1の判断手段により前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在すると判断された場合は、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように前記各分枝路の分枝太さを再算出する分枝太さ再算出手段とを備え、
    前記分枝太さ再算出手段が、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように、前記必要最小解より太い新たな分枝太さの組合せを初期解として算出する初期解算出手段と、
    前記初期解を初期値として前記各分枝路毎に逓減処理を施しながらコスト評価が最小となるような分枝太さの組合せを最適解として算出する最適解算出手段とを有していることを特徴とする樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  2. 前記コスト評価は、少なくともコストと分枝路の距離との積の総和に基づいて行われることを特徴とする請求項1記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  3. 前記最適解算出手段は、前記コスト評価が同等な複数の最適解を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  4. 前記最適解算出手段は、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在する場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  5. 前記最適解算出手段は、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在しない場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  6. 前記樹枝状エネルギー供給システムは配電路システムであり、前記エネルギー供給源は電源であり、前記回路損失は電圧降下であり、かつ前記分枝路は電線であり、
    前記システム構築条件には前記配電路の布設条件、温度条件、電線種別、電気方式、及び許容電流値が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  7. 前記樹枝状エネルギー供給システムは配電路システムであり、前記エネルギー供給源は電源であり、前記回路損失は電圧降下であり、かつ前記分枝路は電線であり、さらに前記システム構築条件には前記配電路の布設条件、温度条件、電線種別、電気方式、許容電流値、及び短絡条件が含まれ、
    前記システム構築条件に基づき各分枝路の短絡電流を算出する短絡電流算出手段と、
    前記短絡電流に応じた分枝太さを算出する短絡分枝太さ算出手段と、
    前記分枝太さ調整手段により算出された必要最小解が前記短絡分枝太さ算出手段により算出された分枝太さ以上か否かを判断する第2の判断手段とを備え、
    前記分枝太さ再算出手段が、前記第1の判断手段の判断結果が肯定的な場合、及び前記第2の判断手段の判断結果が否定的な場合のうちの少なくともいずれか一方である場合に、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となり且つ前記各分枝路の分枝太さが短絡電流に耐えうる電線太さ以上となるように各分枝路の分枝太さを再演算すると共に、
    該分枝太さ再算出手段は、最大短絡電流に応じた短絡電線太さを算出する短絡電線太さ算出手段と、
    前記短絡電線太さを上流側が下流側以上の太さとなるように調整し、該調整された短絡電線太さの組合せを短絡解として算出する短絡解算出手段と、
    前記初期解、前記必要最小解、及び前記短絡解のうちの最大の電線太さの組合せを更新初期解として選定する更新初期解選定手段とを有し、
    前記最適解算出手段は、前記初期解に代えて前記更新初期解に基づき前記逓減処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  8. 前記最適解算出手段は、前記電源からの前記電圧降下が前記電源からの許容電圧降下を超える接合点が存在する場合及び前記短絡電流に耐え得る電線太さ未満となる電線が存在する場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする請求項7記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  9. 前記最適解算出手段は、前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在しない場合であって且つ前記短絡電流に耐え得る電線太さ未満となる電線が存在しない場合に、算出された分枝太さの組合せを記憶する記憶手段を備えていることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  10. 前記樹枝状エネルギー供給システムは、配管路システムであり、前記回路損失は圧力損失であり、かつ前記分枝路は導管であり、さらに前記システム構築条件には、導管種別、前記導管を流れる流量、及び導管摩擦抵抗が含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の樹枝状エネルギー供給システムの分枝太さ選定装置。
  11. エネルギー供給源から多数の接合点を介して樹枝状に分枝されてなる各分枝路の分枝太さを選定する分枝太さ選定手順が格納されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
    所定のシステム構築条件に基づいて前記各分枝路の必要分枝太さを算出する必要分枝太さ算出手順と、上流側分枝路の分枝太さが前記接合点を挟んで該上流側分枝路と対峙する下流側分枝路の分枝太さ以上であって且つ必要最小限の範囲で太くなるように、前記必要分枝太さを調整し、調整された必要分枝太さの組合せを必要最小解として得る分枝太さ調整手順と、前記エネルギー供給源から前記各接合点までの回路損失を前記システム構築条件及び前記必要最小解に基づいて各接合点毎に算出する回路損失算出手順と、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超える接合点が存在するか否かを判断する第1の判断手順と、前記第1の判断手順により前記エネルギー供給源からの回路損失が前記許容回路損失を超えている接合点が存在すると判断された場合は、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように前記各分枝路の分枝太さを再算出する分枝太さ再算出手順とが格納され、
    かつ、前記分枝太さ再算出手順が、前記各接合点において前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となるように、前記必要最小解より太い新たな分枝太さの組合せを初期解として算出する初期解算出手順と、前記初期解を初期値として前記各分枝路毎に逓減処理を施しながらコスト評価が最小となるような分枝太さの組合せを最適解として算出する最適解算出手順とを有していることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
  12. 所定のシステム構築条件に基づき各分枝路の短絡電流を算出する短絡電流算出手順と、前記短絡電流に応じた分枝太さを算出する短絡分枝太さ算出手順と、前記分枝太さ調整手順により算出された必要最小解が前記短絡分枝太さ算出手順により算出された分枝太さ以上か否かを判断する第2の判断手順とが格納され、
    前記分枝太さ再算出手順が、前記第1の判断手順の判断結果が肯定的な場合、及び前記第2の判断手順の判断結果が否定的な場合のうちの少なくとも一方の場合に、前記各接合点における前記エネルギー供給源からの前記回路損失が前記許容回路損失以下となり且つ前記各分枝路の分枝太さが短絡電流に耐えうる電線太さ以上となるように各分枝路の分枝太さを再演算すると共に、
    該分枝太さ再算出手順は、最大短絡電流に応じた短絡電線太さを算出する短絡電線太さ算出手順と、前記短絡電線太さを上流側が下流側以上の太さとなるように調整し、該調整された短絡電線太さの組合せを短絡解として算出する短絡解算出手順と、前記初期解、前記必要最小解、及び前記短絡解のうちの最大の電線太さの組合せを更新初期解として選定する更新初期解選定手順とを有し、
    前記最適解算出手順は、前記初期解に代えて前記更新初期解に基づき前記逓減処理を実行することを特徴とする請求項11記載のコンピュータ読取可能な記憶媒体。
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