しかしながら、上記CCD−AF方式は、図15に示すように、無限遠から最至近まで、CCDまたはフォーカスレンズを駆動して、ピントの山を見つける方式であるため、合焦位置を検出するまでに時間がかかるという問題がある。上述の問題を解決するために、CCD−AF方式では、図16(a)に示すように、粗サンプリングを無限遠から最至近まで行って概略の合焦位置を検出し、つづいて、図16(b)に示すように、概略の合焦位置近傍で細かいサンプリングを行って最終的な合焦位置を検出する方式も提案されている。かかる方式によれば、若干合焦位置の検出時間を短縮できるが、十分とは言えない。
また、CCD−AF方式は、ピントを合わせたいエリアに高輝度な被写体(電球、ろうそくの炎、反射している看板など)があると、ピントの山を発見できず、疑合焦してしまうという問題がある。さらに、暗い場面でも、誤合焦の可能性があるという問題がある。また、上述の三角測量方式では、至近距離側での測距のパララックスずれが発生しやすく、また、望遠側での性能が低いなどの問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、短時間でかつ正確に合焦位置を検出することが可能な自動合焦装置および合焦位置検出方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、被写体像を所定位置に結像するフォーカスレンズを含むレンズ系と、前記レンズ系を介して入力される被写体像を撮像して画像データを出力する撮像手段と、撮影の実行を指示するための撮影操作部材と、前記撮像手段を使用して、前記レンズ系を移動させて合焦位置を検出する合焦位置検出手段と、前記撮像手段とは異なる光電変換手段を使用して、被写体との距離を検出する測距手段と、を備え、前記撮影操作部材の操作に先行して、所定の時間間隔で前記測距手段は被写体との距離を測距する測距処理を実行することを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の自動合焦装置において、前記測距手段は、電源がONされると、所定の時間間隔で被写体との距離を測距する測距処理を実行することを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の自動合焦装置において、前記測距手段は、グリップ部が把持されたことを検知した場合に、所定の時間間隔で被写体との距離を測距する測距処理を実行することを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記撮影操作部材が操作された場合に、前記合焦位置検出手段は、前記測距手段の測距結果に対応するレンズ位置に基づき、前記レンズ系の移動開始位置を決定し、合焦位置を検出する動作を実行することを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記測距手段が測距処理を行っている途中で、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を中止して再度測距処理を実行し、再度測距処理を行って得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記測距手段が測距処理を行っている途中で、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を続行し、当該測距処理で得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記測距手段による測距結果と、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、両者の信頼性に関する情報に基づき前記合焦位置検出手段で検出された合焦位置または前記測距手段で測距した測距結果に対応する合焦位置を最終的な合焦位置に決定することを特徴とする。
また、請求項8にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記測距手段による測距結果と、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置を最終的な合焦位置に決定することを特徴とする。
また、請求項9にかかる発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の自動合焦装置において、前記測距手段は、被写体との距離をパッシブ方式の測距センサーにより検出することを特徴とする。
また、請求項10にかかる発明は、請求項9に記載の自動合焦装置において、前記パッシブ方式の測距センサーは、被写体に対して水平方向のコントラスト差を検出する第1の検出手段と、被写体に対して垂直方向のコントラスト差を検出する第2の検出手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、請求項11にかかる発明は、請求項1〜10のいずれか1つに記載の自動合焦装置を適用したことを特徴とするカメラである。
また、請求項12にかかる発明は、請求項1〜10のいずれか1つに記載の自動合焦装置を適用したことを特徴とする携帯情報入力装置である。
また、請求項13にかかる発明は、フォーカスレンズ系を含むレンズ系の被写体に対する合焦位置を検出する合焦位置検出方法において、撮像手段とは異なる光電変換手段を使用して、被写体との距離を検出する測距工程と、前記撮像手段を使用して、前記レンズ系を移動させて合焦位置の検出を行う合焦位置検出工程と、を含み、前記測距工程は、撮影を指示するための撮影操作部材の操作に先行して、所定の時間間隔で測距を行うことを特徴とする。
また、請求項14にかかる発明は、請求項13に記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程は、電源がONされると、所定の時間間隔で実行されることを特徴とする。
また、請求項15にかかる発明は、請求項13に記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程は、グリップ部が把持されたことを検知した場合に所定の時間間隔で実行されることを特徴とする。
また、請求項16にかかる発明は、請求項13〜15のいずれか1つに記載の合焦位置検出方法において、前記撮影操作部材が操作された場合に、前記合焦位置検出工程は、前記測距工程の測距結果に対応するレンズ位置に基づき、前記レンズ系の移動開始位置を決定し、合焦位置を検出する動作を実行することを特徴とする。
また、請求項17にかかる発明は、請求項13〜16のいずれか1つに記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程で、測距処理を行っている途中に、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を中止することを特徴とする。
また、請求項18にかかる発明は、請求項13〜16のいずれか1つに記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程で、測距処理を行っている途中に、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を続行し、当該測距処理で得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することを特徴とする。
また、請求項19にかかる発明は、請求項13〜18のいずれか1つに記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程の測距結果と、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、両者の信頼性に関する情報に基づき前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置または前記測距工程で測距した測距結果に対応する合焦位置を最終的な合焦位置と決定することを特徴とする。
また、請求項20にかかる発明は、請求項13〜18のいずれか1つに記載の合焦位置検出方法において、前記測距工程の測距結果と、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置を最終的な合焦位置に決定することを特徴とする。
また、請求項21にかかる発明は、請求項13〜20のいずれか1つに記載の発明の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータが読取可能な記録媒体である。
請求項1にかかる自動合焦装置によれば、レンズ系は被写体像を所定位置に結像し、撮像手段はレンズ系を介して入力される被写体像を撮像して画像データを出力し、合焦位置検出手段は撮像手段を使用して、レンズ系を移動させて合焦位置を検出し、測距手段は撮像手段とは異なる光電変換手段を使用して、被写体との距離を検出し、撮影操作部材の操作に先行して、所定の時間間隔で前記測距手段は被写体との距離を測距する測距処理を実行することとしたので、レリーズキーが押下された後に、外部AFを実行し、その後、外部AFの結果に基づいてCCD−AFを実行する場合に比して、AF時間を短縮することができ、また、高精度な合焦位置の検出が可能な自動合焦装置を提供することが可能となる。
また、請求項2にかかる自動合焦装置によれば、測距手段は、電源がONされると、所定の時間間隔で被写体との距離を測距する測距処理を実行することとしたので、請求項1にかかる自動合焦装置の効果に加えて、電源がON後、ただちに、第2の合焦位置検出手段を動作させることが可能となる。
また、請求項3にかかる自動合焦装置によれば、測距手段は、グリップ部が把持されたことを検知した場合に、所定の時間間隔で被写体との距離を測距する測距処理を実行することとしたので、請求項1にかかる自動合焦装置の効果に加えて、電源ON後に、ただちに、第2の合焦位置検出手段を動作せる場合に比して消費電力を低減させることができる。
また、請求項4にかかる自動合焦装置によれば、撮影操作部材が操作された場合に、前記合焦位置検出手段は、前記測距手段の測距結果に対応するレンズ位置に基づき、前記レンズ系の移動開始位置を決定し、合焦位置を検出する動作を実行することとしたので、請求項1〜請求項3にかかる自動合焦装置の効果に加えて、レリーズ前の被写体の動き(近づいてくる場合や/遠ざかっていく場合)を検出でき、動体予測AFが可能となり、動きのある被写体に対しても的確に合焦可能となる。
また、請求項5にかかる自動合焦装置によれば、測距手段が測距処理を行っている途中で、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を中止して再度測距処理を実行し、再度測距処理を行って得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することとしたので、請求項1〜請求項4のいずれか1つにかかる自動合焦装置において、第2の合焦位置検出手段が測距処理を行っている途中で、撮影操作部材が操作された場合でも高速でかつ高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項6にかかる自動合焦装置によれば、測距手段が測距処理を行っている途中で、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を続行し、当該測距処理で得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することとしたので、第2の合焦位置検出手段が測距処理を行っている途中で、撮影操作部材が操作された場合でも高速でかつ高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項7にかかる自動合焦装置によれば、測距手段による測距結果と、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、両者の信頼性に関する情報に基づき前記合焦位置検出手段で検出された合焦位置または前記測距手段で測距した測距結果に対応する合焦位置を最終的な合焦位置に決定することとしたので、請求項1〜6のいずれか1つにかかる自動合焦装置の効果に加えて、より高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項8にかかる自動合焦装置によれば、測距手段による測距結果と、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、前記合焦位置検出手段により検出された合焦位置を最終的な合焦位置に決定することとしたので、請求項1〜6のいずれか1つにかかる自動合焦装置の効果に加えて、処理を簡略化することが可能となる。
また、請求項9にかかる自動合焦装置によれば、測距手段は、被写体との距離をパッシブ方式の測距センサーにより検出することとしたので、請求項1〜請求項8のいずれか1つにかかる自動合焦装置の効果に加えて、汎用の外部AFモジュールを使用することができ、小型化・低コスト化・処理の簡略化が可能となる。
また、請求項10にかかる自動合焦装置によれば、パッシブ方式の測距センサーは、被写体に対して水平方向のコントラスト差を検出する第1の検出手段と、被写体に対して垂直方向のコントラスト差を検出することとしたので、請求項9にかかる自動合焦装置の効果に加えて、被写体の種類やカメラの撮影角度(横位置や縦位置)によらず、正確な測距が可能となる。
また、請求項11にかかるカメラによれば、請求項1〜請求項10のいずれか1つにかかる自動合焦装置を適用することとしたので、カメラにおいて、高精度かつ高速な合焦位置検出が可能となる。
また、請求項12にかかる携帯情報入力装置によれば、請求項1〜請求項10のいずれか1つにかかる自動合焦装置を適用することとしたので、携帯情報入力装置において、高精度かつ高速な合焦位置検出が可能となる。
また、請求項13にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程は、撮像手段とは異なる光電変換手段を使用して、被写体との距離を検出し、合焦位置検出工程によって、前記撮像手段を使用して、前記レンズ系を移動させて合焦位置の検出を行い、前記測距工程は、撮影を指示するための撮影操作部材の操作に先行して、所定の時間間隔で測距を行うこととしたので、外部AFの結果に基づいてCCD−AFを実行する場合に比して、AF時間を短縮することでき、また、高精度な合焦位置の検出が可能な合焦位置検出方法を提供することが可能となる。
また、請求項14にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程は、電源がONされると、所定の時間間隔で実行されることとしたので、請求項13にかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、電源がON後、ただちに、測距工程を実行することが可能となる。
また、請求項15にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程は、グリップ部が把持されたことを検知した場合に所定の時間間隔で実行されることとしたので、請求項13にかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、電源がON後、ただちに、測距工程を実行することが可能となる。
また、請求項16にかかる合焦位置検出方法によれば、撮影操作部材が操作された場合に、前記合焦位置検出工程は、前記測距工程の測距結果に対応するレンズ位置に基づき、前記レンズ系の移動開始位置を決定し、合焦位置を検出する動作を実行することとしたので、請求項13〜請求項15にかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、レリーズ前の被写体の動き(近づいてくる場合や/遠ざかっていく場合)を検出でき、動体予測AFが可能となり、動きのある被写体に対しても的確に合焦可能となる。
また、請求項17にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程で、測距処理を行っている途中に、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を中止することとしたので、請求項13〜請求項16のいずれか1つにかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、測距工程で測距処理を行っている途中で、撮影操作部材が操作された場合でも高速でかつ高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項18にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程で、測距処理を行っている途中に、前記撮影操作部材が操作された場合には、当該測距処理を続行し、当該測距処理で得られた測距結果を用いて、最終の合焦位置を決定することとしたので、請求項13〜請求項16のいずれか1つにかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、測距工程で測距処理を行っている途中で、撮影操作部材が操作された場合でも高速でかつ高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項19にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程の測距結果と、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、両者の信頼性に関する情報に基づき前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置または前記測距工程で測距した測距結果に対応する合焦位置を最終的な合焦位置と決定することとしたので、請求項13〜18のいずれか1つにかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、より高精度な合焦位置の検出が可能となる。
また、請求項20にかかる合焦位置検出方法によれば、測距工程の測距結果と、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、前記合焦位置検出工程で検出された合焦位置を最終的な合焦位置に決定することとしたので、請求項13〜18のいずれか1つにかかる合焦位置検出方法の効果に加えて、処理を簡略化することが可能となる。
また、請求項21にかかるコンピュータが読取可能な記録媒体によれば、請求項13〜請求項20のいずれか1つに記載の発明の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されているので、コンピュータで記録媒体に記録されているプログラムを実行することにより、高精度かつ高速な合焦位置検出が可能となる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる自動合焦装置、カメラ、携帯情報入力装置、合焦位置検出方法、およびコンピュータが読取可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる自動合焦装置および合焦位置検出方法を適用したデジタルカメラの構成図である。同図において、100はデジタルカメラを示しており、デジタルカメラ100は、レンズ系101、絞り・フィルター部等を含むメカ機構102、CCD103、CDS回路104、可変利得増幅器(AGCアンプ)105、A/D変換器106、IPP107、DCT108、コーダー109、MCC110、DRAM111、PCカードインターフェース112、CPU121、表示部122、操作部123、SG(制御信号生成)部126、ストロボ装置127、バッテリ128、DC−DCコンバータ129、EEPROM130、フォーカスドライバ131、パルスモータ132、ズームドライバ133、パルスモータ134、モータドライバ135、外部AFセンサー136を具備して構成されている。また、PCカードインターフェース112を介して着脱可能なPCカード150が接続されている。
レンズユニットは、レンズ系101、絞り・フィルター部等を含むメカ機構102からなり、メカ機構102のメカニカルシャッタは2つのフィールドの同時露光を行う。レンズ系101は、例えば、バリフォーカルレンズからなり、フォーカスレンズ系101aとズームレンズ系101bとで構成されている。
フォーカスドライバ131は、CPU121から供給される制御信号に従って、パルスモータ132を駆動して、フォーカスレンズ系101aを光軸方向に移動させる。ズームドライバ133は、CPU121から供給される制御信号に従って、パルスモータ134を駆動して、ズームレンズ系101bを光軸方向に移動させる。また、モータドライバ135は、CPU121から供給される制御信号に従ってメカ機構102を駆動し、例えば、絞りの絞り値を設定する。
CCD(電荷結合素子)103は、レンズユニットを介して入力した映像を電気信号(アナログ画像データ)に変換する。CDS(相関2重サンプリング)回路104は、CCD型撮像素子に対する低雑音化のための回路である。
また、AGCアンプ105は、CDS回路104で相関2重サンプリングされた信号のレベルを補正する。尚、AGCアンプ105のゲインは、CPU121により、CPU121が内蔵するD/A変換器を介して設定データ(コントロール電圧)がAGCアンプ105に設定されることにより設定される。さらにA/D変換器106は、AGCアンプ105を介して入力したCCD103からのアナログ画像データをデジタル画像データに変換する。すなわち、CCD103の出力信号は、CDS回路104およびAGCアンプ105を介し、またA/D変換器106により、最適なサンプリング周波数(例えば、NTSC信号のサブキャリア周波数の整数倍)にてデジタル信号に変換される。
また、デジタル信号処理部であるIPP(Image Pre-Processor)107、DCT(Discrete Cosine Transform)108、およびコーダー(Huffman Encoder/Decoder)109は、A/D変換器106から入力したデジタル画像データについて、色差(Cb、Cr)と輝度(Y)に分けて各種処理、補正および画像圧縮/伸長のためのデータ処理を施す。DCT108およびコーダー109は、例えばJPEG準拠の画像圧縮・伸長の一過程である直交変換・逆直交変換、並びに、JPEG準拠の画像圧縮・伸長の一過程であるハフマン符号化・復号化等を行う。
さらに、MCC(Memory Card Controller)110は、圧縮処理された画像を一旦蓄えてPCカードインターフェース112を介してPCカード150への記録、或いはPCカード150からの読み出しを行う。
CPU121は、ROMに格納されたプログラムに従ってRAMを作業領域として使用して、操作部123からの指示、或いは図示しないリモコン等の外部動作指示に従い、上記デジタルカメラ内部の全動作を制御する。具体的には、CPU121は、撮像動作、自動露出(AE)動作、自動ホワイトバランス(AWB)調整動作や、AF動作等の制御を行う。上述の操作部123は、操作者が撮影を指示するレリーズキーを備えている。
また、カメラ電源はバッテリ128、例えば、NiCd、ニッケル水素、リチウム電池等から、DC−DCコンバータ129に入力され、当該デジタルカメラ内部に供給される。
表示部122は、LCD、LED、EL等で実現されており、撮影したデジタル画像データや、伸長処理された記録画像データ等の表示を行う。操作部123は、撮影指示を行うためのレリーズキー、機能選択およびその他の各種設定を外部から行うためのボタン等を備えている。CPU121は、レリーズキーが半押しされてRL−1がONとなるとAF動作等を実行し、また、レリーズキーが全押しされてRL−2がONとなると撮影動作を実行する。EEPROM130には、CPU121がデジタルカメラの動作を制御する際に使用する調整データ等が書き込まれている。
上記したデジタルカメラ100(CPU121)は、被写体を撮像して得られる画像データをPCカード150に記録する記録モードと、PCカード150に記録された画像データを表示する表示モードと、撮像した画像データを表示部122に直接表示するモニタリングモード等を備えている。
図2は、上記IPP107の具体的構成の一例を示す図である。IPP107は、図2に示す如く、A/D変換器106から入力したデジタル画像データをR・G・Bの各色成分に分離する色分離部1071と、分離されたR・G・Bの各画像データを補間する信号補間部1072と、R・G・Bの各画像データの黒レベルを調整するペデスタル調整部1073と、R、Bの各画像データの白レベルを調整するホワイトバランス調整部1074と、CPU121により設定されたゲインでR・G・Bの各画像データを補正するデジタルゲイン調整部1075と、R・G・Bの各画像データのγ変換を行うガンマ変換部1076と、RGBの画像データを色差信号(Cb、Cr)と輝度信号(Y)とに分離するマトリクス部1077と、色差信号(Cb、Cr)と輝度信号(Y)とに基づいてビデオ信号を作成し表示部122に出力するビデオ信号処理部1078と、を備えている。
更に、IPP107は、ペデスタル調整部1073によるペデスタル調整後の画像データの輝度データ(Y)を検出するY演算部1079と、Y演算部1079で検出した輝度データ(Y)の所定周波数成分のみを通過させるBPF1080と、BPF1080を通過した輝度データ(Y)の積分値をAF評価値としてCPU121に出力するAF評価値回路1081と、Y演算部1079で検出した輝度データ(Y)に応じたデジタルカウント値をAE評価値としてCPU121に出力するAE評価値回路1082と、ホワイトバランス調整部1074による調整後のR・G・Bの各画像データの輝度データ(Y)を検出するY演算部1083と、Y演算部1083で検出した各色の輝度データ(Y)をそれぞれカウントして各色のAWB評価値としてCPU121に出力するAWB評価値回路1084と、CPU121とのインターフェースであるCPUI/F1085と、及びDCT108とのインターフェースであるDCTI/F1086等を備えている。
図1の外部AFセンサー136は、パッシブ方式の測距センサーからなり、被写体の距離を測距するためのものである。図3は、外部AFセンサーの概略構成を示す図である。外部AFセンサー136は、レンズ151と、フォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)と、演算回路(不図示)を備えている。図3および図4を参照して外部AFセンサー136の測距原理を説明する。図3において、被写体までの距離をd、レンズ151とフォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)との距離をf、フォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)に入力する光の幅をそれぞれ、X1、X2、光の入射されるフォトセンサーアレイ152a、152b間の距離をBとすると、外部AFセンサー136の前面から被写体までの距離dは、三角測量により、d=B・f/(X1+X2)で算出できる。図4は、左右のフォトセンサーアレイの被写体像を示しており、演算回路は、各フォトセンサーアレイの被写体像の光量を積分し、左右センサーデータのずれを演算することで、被写体の距離dを算出し、CPU121に出力する。
本明細書において、外部AFセンサー136を使用して合焦位置を検出する動作を外部AFといい、CCD103を使用して合焦位置を検出する場合をCCD−AF(内部AF)という。CCD−AFでは、フォーカスレンズ系101aを移動して、CCD103から出力される画像信号に応じた被写体のコントラストを示すAF評価値をサンプリングし、AF評価値のピーク位置を合焦位置とする山登りサーボ方式を使用する。外部AFとCCD−AFを使用してAFを行うことをハイブリットAFという。
つぎに、上記構成のデジタルカメラのAFに関する動作例(動作例1、動作例2)を説明する。動作例1はCCD−AFと外部AFを略同時に実行する場合の動作例を示し、動作例2はCCD−AFに先行して外部AFを実行する場合の動作例を示す。
(動作例1)
デジタルカメラのAFに関する動作例1を図5〜図7を参照して説明する。図5は、CPU121の制御により実行されるデジタルカメラのAFに関する動作例1を説明するためのフローチャートである。
図5において、まず、CPU121は、レリーズキーが半押しされて、RL−1がONとなったか否かを判断する(ステップS1)。レリーズキーが半押しされて、RL−1がONされた場合には、CPU121は、フォーカスレンズ系101aをCCD−AFの開始位置(基準位置)に設定する(ステップS2)。CCD−AFの開始位置(基準位置)としては、例えば、レンズ系101の現ポジションを使用することができる。通常、同一の条件で連続して撮影する頻度が高いと考えられるからである。
そして、CPU121は、外部AFとCCD−AFを略同時にスタートさせる(ステップS3)。外部AFでは、外部AFセンサー136により、測距処理が行われ、被写体との距離の測定が行われて合焦位置の検出が行われる。また、CCD−AFでは、フォーカスレンズ系101aを基準位置の近傍で移動させて、AF評価値を取得し、合焦位置の検出が行われる。
この後、CPU121は、外部AFが終了したか否かを判断し(ステップS4)、外部AFが終了した場合には、外部AFの距離測定結果が、CCD−AFの開始位置(基準位置)に対応する撮影距離と所定値以上異なるか否かを判断する(ステップS5)。この判断の結果、外部AFの距離測定結果が、CCD−AFの開始位置(基準位置)に対応する撮影距離と所定値以上異ならない場合には、ステップS8に移行する。他方、外部AFの距離測定結果が、CCD−AFの開始位置(基準位置)に対応する撮影距離と所定値以上異なる場合には、CPU121は、CCD−AFを中断して、外部AFセンサー136で測定された距離に対応する位置を新たな基準位置とし、当該基準位置にフォーカスレンズ系101aを移動する(ステップS6)。つづいて、当該基準位置の近傍でCCD−AFを再実行する(ステップS7)。
ステップS8では、CPU121は、CCD−AFが終了したか否かを判断し、CCD−AFが終了した場合には、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異なるか否かを判断する(ステップS9)。
ここで、ステップS9の所定値について説明する。同一の距離で測距していても、外部AFは分解能が落ちるため、その分結果がずれる可能性がある。厳密に考えると、“所定値”は、この考えられる測距誤差を積み上げた値となる。例えば、所定値は、1/L(撮影距離)で0.03mm程度(例えば、3mと2.75m(1/Lで0.333と0.363))とすることができる。この所定値以上外部AFとCCD−AFの測距結果が異なる場合は、両者が別の部分を測距している場合や、他の理由でいずれかの出力が異常であると考えられる。従って、かかる場合は、どちらかの結果を選択するような判断が必要となり、その判断の中に、両者の信頼性を比較する部分が必要となる。一般に、マルチAF等では、近い被写体を優先させることが多い。また、ハイブリットAFでも、双方の結果が同様に信頼できる場合は撮影距離が近い方を選ぶのが妥当と考えられる。
つぎに、ステップS9で、CPU121は、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異ならない場合には、CCD−AFの合焦位置を最終の合焦位置と決定する(ステップS10)。他方、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異なる場合には、CPU121は、被写体に応じて、外部AFとCCD−AFの信頼性に関する情報に基づき、外部AFの合焦位置とCCD−AFの合焦位置のいずれかを最終の合焦位置と決定する(ステップS11)。
ここで、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合に、被写体に応じて、外部AFとCCD−AFの信頼性に関する情報に基づき、外部AFの合焦位置とCCD−AFの合焦位置のいずれかを最終の合焦位置と決定する具体的な方法を説明する。
図6は、ハイブリットAFでのCCD−AFと外部AFの優位性を示している。同図において、▲1▼はCCD−AF、▲2▼は本実施の形態で使用している外部パッシブAF、▲3▼は外部アクティブAFを示し、各被写体(低輝度被写体、連続パターン被写体、低コントラスト被写体、ガラス越し被写体、高輝度被写体、通常の被写体)での優位性を示している。
(1)低輝度被写体の場合・・▲1▼CCD−AFも▲2▼外部パッシブAFもパッシブ方式の方のため、暗時には弱いが、▲2▼外部パッシブAFの方がセンサが大きく、感度上有利である。また、受光時間を長くしてもAF時間への影響が少なく感度UPが可能となる。
(2)連続パターン被写体の場合・・・▲2▼外部パッシブAFの場合には、連続パターン(縦横縞)の場合、擬合焦の恐れがある。
(3)低コントラスト被写体の場合・・・パッシブ方式は、低コントラストが苦手である。ただし、補助光を用いれば、▲2▼外部パッシブAFはある程度救済可能(▲1▼CCD−AFを補助光で救済するには、長大な補助光投影時間が必要となり、消費電力上あまり好ましくない)。
(4)ガラス越し被写体の場合・・・▲3▼外部アクティブAFの場合は、ガラスからの反射光を拾っていしまい、ガラスに合焦してしまう。
(5)高輝度被写体の場合・・・電球、ろうそくの炎、反射している看板等の被写体の場合、CCD−AFでは最至近側に擬合焦を発生しやすい。
(6)通常の被写体の場合・・・被写体の条件に問題がなければ、精度的には▲1▼CCD−AFの方が有利となる。ただし、Wide系の場合は外部AFの精度でも十分である。
上記図6に示すようなCCD−AFと外部パッシブAFの優位性(信頼性)に関する情報を予めメモリに記憶しておき、CPU121は、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合には、被写体の状態(低輝度被写体、連続パターン被写体、低コントラスト被写体、ガラス越し被写体、高輝度被写体、通常の被写体)に応じて、メモリに記憶されたCCD−AFと外部パッシブAFの優位性(信頼性)に関する情報に基づいて、被写体に応じて、外部AFの合焦位置とCCD−AFの合焦位置のいずれかを最終の合焦位置と決定する。ここで、被写体の状態は、例えば、AE評価値等で判断することができる。具体的には、以下のような処理を行う。
(a)本実施の形態の如く外部パッシブAFを使用した場合(CCD−AFと外部パッシブAFのハイブリットAF)
被写体の輝度がLv=7より暗い場合は、CCD−AFは誤差を多く含むので、外部パッシブAF結果を優先させる。また、被写体のコントラストデータに連続性が認められる場合には、外部パッシブAFだと擬合焦が懸念されるため、CCD−AF結果を優先させる。また、被写体が低コントラストの場合は、補助光を使用して外部パッシブAFを再度実施し、その結果を優先させることにしても良い(補助光は低輝度時にも有効である。CCD−AFでの補助光は、スキャン中、常に発光している必要があるため、消費電力に影響大で実現は難しい)。また、被写体に高輝度が含むと判定される場合(CCDサンプリング域内に外部AF結果があるにもかかわらず、CCD−AF結果が至近側でピークの場合)には、CCD−AFの結果は信用できないため、外部AFの結果を優先させる。
なお、本実施の形態では、外部パッシブAFを使用することとしたが、外部アクティブAFを使用することにしても良い。その場合の処理は以下の如くとなる。
(b)外部パッシブAFの代わりに外部アクティブAFを使用した場合(CCD−AFと外部アクティブAFのハイブリットAF)
CCD−AFと外部アクティブAF時は、被写体の輝度がLv=7より暗い場合は、CCD−AF結果は誤差を多く含むので、外部アクティブのAF結果を優先させる。また、被写体が低コントラストの場合は、CCD−AF結果は誤差を多く含むので、外部アクティブAFの結果を優先させる。また、被写体がガラス越しの場合は、外部AFアクティブAFではガラス越しに合焦してしまうため、CCD−AFの結果を優先させる(ただし、ガラス越しか否かを自動で判断するのは比較的困難であるが、CCD−AFの結果が遠くて、CCD−AFでの被写体輝度情報に比べて、外部アクティブAFでの受光光量が強い場合(=反射率の高い被写体)にはガラス越しの被写体と判断する)。
CPU121は、以上の如くして決定した合焦位置にフォーカスレンズ系101aを移動させる(ステップS12)。その後、レリーズキーが全押しされてRL−2がONとなると、撮影動作を行い、被写体の画像データを取り込み、PCカード150に記録する。
図7は、動作例1における外部AFとCCD−AFの実行タイミングを説明するためのタイミングチャートを示す。同図の(a)は、外部AFの距離測定結果とCCD−AFの開始位置(基準位置)に対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合のタイミングを示す。同図(b)は、外部AFの距離測定結果とCCD−AFの開始位置(基準位置)に対応する撮影距離とが所定値以上異なり、CCD−AFを中断して、外部AFセンサー136で測定された距離に対応する位置を新たな基準位置とし、再度CCD−AFを実行した場合(▲2▼)を示している。
以上説明したように、動作例1によれば、レリーズキーが半押しされてRL−1がONとなると、CCD−AFと外部AFを略同時に実行することとしたので、外部AFを実行した後に、外部AFの結果に基づいてCCD−AFを実行する場合に比して、AF時間を短縮することが可能となる。
また、動作例1によれば、CCD−AFを実行する場合に、該レンズ系の現ポジションを基準位置としてレンズ系をサンプリングのために移動させることとしたので、よりAFの高速化を図ることが可能となる。付言すると、同一の条件で連続して撮影する頻度が高いので、基準を“現ポジション(=1回前のピント位置)”とすることにより、より高い頻度でAFを高速化させることが可能となる。
なお、CCD−AFを実行する場合の開始位置として、レンズ系の現ポジションを使用することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、レリーズキーが全押しされた際、すなわち、撮影が実行された際のレンズ系の合焦位置をメモリに記憶しておき、メモリに記憶されている直近の複数回のレンズ系の合焦位置に基づいて、CCD−AFを実行する場合のレンズ系の開始位置を算出することにしても良い。また、操作部123に、撮影モードを選択するキーを設け、当該選択キーで、人撮影モード、風景撮影モード、接写モード等を選択し、人撮影モードが選択された場合には、通常、人を撮影する場合には、撮影距離が2〜3mであることが多いので、撮影距離2〜3mに対応するレンズ系の位置を開始位置とし、また、風景撮影モードが選択された場合には、通常、撮影距離が無限大であることが多いので、無限大に対応するレンズ系の位置を開始位置とし、また、接写モードが選択された場合には、撮影距離1m未満に対応するレンズ系の位置を開始位置とすることにしても良い。
また、連写モードが選択されている場合には、CCD−AFを実行する場合の開始位置を各撮影毎に変更しないで、同じ開始位置を使用することにしても良い。
また、動作例1によれば、外部AFの測距結果が、CCD−AFの動作基準位置に対応する撮影距離と所定値以上異なる場合は、その時点でCCD−AFを中断し、外部AFの測距結果に対応するレンズ系の位置にCCD−AFの基準位置を変更して、その基準位置の近傍でCCD−AFを再実行することとしたので、基準位置から被写体が大幅にずれている場合でも、高速なAFを実現することが可能となる。付言すると、CCD−AFは、一般に時間がかかる。そのため、設定基準がずれてしまった場合に、終了するまで待ってから、CCD−AFを再度実施すると、CCD−AFに長大な時間がかかることになる。そこで、基準がずれていることが判明した段階で即座に中断し、再実行することにより、被写体までの時間が頻繁に変わるような場合にも、違和感の無いAF速度を実現できることになる。
また、動作例1によれば、外部AFによる測距結果と、CCD−AFにより決定されたレンズ系のポジションに対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、被写体に応じて、双方の信頼性に関する情報に基づいて、CCD−AFおよび外部AFの結果のいずれかを選択して最終的なレンズ系の合焦位置を決定することとしたので、より信頼性の高い合焦動作が可能となる。なお、外部AFによる測距結果と、CCD−AFにより決定されたレンズ系のポジションに対応する撮影距離とが所定値以上異なる場合は、一般に、外部AFに比してCCD−AFの方が合焦精度が高いため、CCD−AFの結果を最終的な合焦位置とすることにしても良い。これによれば、処理の簡略化を図ることが可能となる。
また、本実施の形態のデジタルカメラは、外部AFセンサー136として、パッシブ方式の測距センサーを使用することとしたので、汎用の外部AFモジュールを使用することができ、小型化・低コスト化・処理の簡略化が可能となる。
(動作例2)
デジタルカメラのAFに関する動作例2を図8〜図12を参照して説明する。図8は、CPU121の制御により実行されるデジタルカメラのAFに関する動作例2を説明するためのフローチャートである。
図8において、まず、電源が投入されると(ステップS21)、CPU121は、外部AF実行タイミングであるか否かを判断し(ステップS22)、この判断の結果、外部AFの実行タイミングでない場合には、ステップS24に移行する。他方、外部AF実行タイミングであれば、外部AFによる測距処理を実行して(ステップS23)、外部AFセンサー136は被写体との距離を測距して、ステップS24に移行する。
ステップS24では、CPU121は、レリーズキーが半押しされて、RL−1キーがONされたか否かを判断する。RL−1がONでない場合には、ステップS22に戻り、RL−1がONされるまで、外部AFの実行タイミングで、外部AF測距処理が行われる。他方、ステップS24で、RL−1がONされた場合には、CPU121は、外部AFの測距結果に基づいて、CCD−AFの開始位置(基準位置)を算出する(ステップS25)。
ここで、外部AFの測距結果に基づいて、CCD−AFの開始位置(基準位置)を算出する方法を説明する。例えば、外部AFの過去2点の測距結果から基準位置を予測する方法を使用することができる。これによれば、被写体が、近づいてくるか、遠ざかっているか、また、止まっているかを判断することが可能となる。
図9は、外部AFの直近の過去2点の距離測定結果からCCD−AFの開始位置(基準位置)を算出する場合を説明するための説明図を示す。同図において、Lccdは予測される被写体距離(CCD−AFの基準位置)、L2はレリーズ操作直前の外部AFによる被写体距離、L1はL2よりさらに1回前の外部AFによる被写体距離、t1はコンティニュアス外部AFの間隔、t2はレリーズ操作直前の外部AFからレリーズまでの時間を示す。予測される被写体距離(CCD−AFの基準位置)Lccdは、下式により算出する。そして、算出された予測される被写体距離Lccdに対応するレンズ系の位置をCCD−AFの開始位置(基準位置)と決定する。
Lccd=L2+t2×(L2−L1)/t1
例えば、t1=t2とした場合に、過去2回が2m、3mの場合には、次は4m、他方、過去2回が4m、3mの場合には、次は2mと予測される。よって、それぞれ4m前後、2m前後に対応するレンズ系の位置でCCD−AFを実施することになる。
なお、ここでは、過去2点からCCD−AFの基準位置を決定することにしたが、過去3点もしくはそれ以上の時系列データを用いることにしても良い。これにより、より細かい動体予測が可能となる。例えば、過去3点からCCD−AFの基準位置を決定する場合は、被写体が、近づいてくるか、遠ざかっているか、止まっているか、前後に揺れているかを判断することも可能となる。例えば、1回目と2回目、2回目と3回目の被写体距離を比較することにより、被写体移動の加速度成分も検出可能である。この場合、2次曲線で近似する方法や(上から落ちてくる被写体とか)、三角関数で近似する方法(ブランコに乗っている被写体とか)等を使用することができる。
そして、CPU121は、算出したCCD−AFの開始位置(基準位置)にフォーカスレンズ系101aを移動させる(ステップS26)。つづいて、CPU121は、フォーカスレンズ系101aを基準位置に移動した後、外部AFとCCD−AFを同時にスタートさせる(ステップS27)。外部AFでは、外部AFセンサー136により、被写体との距離の測定が行われ合焦位置の検出が行われる。また、CCD−AFでは、フォーカスレンズ系101aを基準位置の近傍で移動させて、AF評価値を取得し、合焦位置の検出が行われる。
つぎに、CPU121は外部AFおよびCCD−AFが終了したか否かを判断し(ステップS28)、外部AFとCCD−AFが終了した場合には、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異なるか否かを判断する(ステップS29)。この判断の結果、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異ならない場合には、CPU121は、CCD−AFの合焦位置を最終の合焦位置と決定する(ステップS30)。他方、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異なる場合には、CPU121は、被写体に応じて、両者の信頼性に関する情報に基づいて、外部AFとCCD−AFの結果のいずれかを最終的な合焦位置と決定する(ステップS31)。最終的な合焦位置の決定方法は、動作例1と同様であるのでその説明は省略する。
この後、CPU121は、決定した合焦位置にフォーカスレンズ系101aを移動させる(ステップS32)。その後、レリーズキーが全押しされてRL−2がONとなると、撮影動作を行い、被写体の画像データを取り込み、PCカード150に記録する。
図10を参照して、動作例2における、外部AFとCCD−AFの実行タイミングを説明する。図10は、動作例2における外部AFとCCD−AFの実行タイミングを説明するためのタイミングチャートを示す。同図の(a)は、外部AFの実行タイミングでレリーズが押された場合、(b)は、外部AFの休止中にレリーズが押された場合、(c)は、外部AF作動中にレリーズが押された場合(その1)、(d)は、外部AF作動中にレリーズが押された場合(その2)のタイミングを示す。
同図(a)に示すように、外部AFの実行タイミングでレリーズが押された場合には、レリーズのONのタイミングで外部AFとCCD−AFを実行する。また、同図(b)に示すように、外部AF休止中にレリーズが押された場合には、外部AFの休止を終了して、レリーズのONのタイミングで外部AFとCCD−AFを実行する。外部AF作動中にレリーズが押された場合には、同図(c)に示すタイミングと、同図(d)に示すタイミングが考えられ、いずれのタイミングを使用することにしても良い。
外部AF作動中にレリーズが押された場合には、同図(c)に示すように、レリーズの時点で外部AF▲3▼を中止し、再駆動することにしても良い。この場合は、外部AF▲3▼のデータは取得しないで、外部AFの▲4▼のデータとCCD−AFとの結果に基づいて、最終的な合焦位置を判断することになる。
また、外部AF作動中にレリーズが押された場合には、同図(d)に示すように、レリーズの時点でも外部AF▲3▼を中断せず、外部AF▲3▼のデータとCCD−AFとの結果に基づいて、最終的な合焦位置を判断することになる。通常は、外部AF作動時間は0.1秒以下であるため、(d)の方式でも実使用上問題は無い。ただし、被写体が低輝度時等の場合は、外部AFでも0.1秒前後の時間がかかるため、(c)の方式の方が確実である。
なお、上記ステップS28において、外部AFで検出された測距結果とCCD−AFで検出された合焦位置に対応する撮影距離とが、所定値以上異なる場合には、図11に示すように、CCD−AFの開始位置(基準位置)を変えて、再度CCD−AFを行うことにしても良い。
図12は上記動作例2を説明するための説明図を示す。同図において、縦軸はコントラスト(AF評価値)、横軸はレンズ位置(至近〜無限)を示している。まず、外部AFにより合焦位置を検出し、ついで、当該検出された合焦位置の近傍で、CCD−AFで細かいサンプリングを行って、合焦位置を検出する。そして、両合焦位置に基づいて最終的な合焦位置を決定する。
以上説明したように、動作例2によれば、電源のONがなされると、レリーズキーの押下に先行して、すなわち、レリーズキーが押下されない状態においても、所定の間隔で外部AFで測距処理を行い、レリーズキーが押下された場合には、外部AFの測距結果に基づいてCCD−AFを行う場合の基準位置を算出して、当該レンズ基準位置の近傍でCCD−AFを行うこととしたので、レリーズキーが押下された後に、外部AFを実行し、その後、外部AFの結果に基づいてCCD−AFを実行する場合に比して、AF時間を短縮することが可能となる。
なお、上記動作例2では、電源のON後に、所定間隔で外部AFによる測距処理を行うこととしたが、電源のON後に、所定間隔で外部AFによる測距処理を行うかわりに、例えば、デジタルカメラのボディのグリップ部に感圧センサや赤外センサーを設け、操作者がデジタルカメラのボディのグリップ部を握ったことを検知し、当該検知後に、所定時間間隔で外部AFによる測距処理を行うことにしても良い。これにより、電源ON後に所定間隔で外部AFによる測距処理を行う構成に比して、消費電力を低減できるという効果を奏する。
また、動作例2によれば、外部AFにより所定時間間隔で検出された複数回の測距結果を使用して、CCD−AFを行う場合のレンズ系の基準位置を算出することとしたので、レリーズ前に被写体の動き(近づいてくる場合や/遠ざかっていく場合)を検出でき、動体予測AFが可能となり、動きのある被写体に対しても的確に合焦可能となる。
なお、上記図3および図4に示したパッシブ方式の測距センサー(外部AFセンサー136)は、横方向にフォトセンサーアレイが配されており、被写体に対して水平方向のコントラスト差を検出する構成(縦縞検出用)であるが、図13および図14に示すように、被写体に対して水平方向のコントラスト差を検出する構成(縦縞検出用)に加えて、垂直方向のコントラスト差を検出する構成(横縞検出用)も追加して、被写体に対して水平方向および垂直方向のコントラスト差を検出する構成としても良い。図14は、外部AFセンサーの他の概略構成例を示す図である。図14に示す外部AFセンサー136は、略十字形状を呈しており、レンズ151と、フォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)と、レンズ153と、フォトセンサーアレイ154a(上センサ)、154b(下センサ)と、演算回路(不図示)を備えている。図3と同一の部分は同一符号を付してある。フォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)で被写体に対して水平方向のコントラスト差を検出し、フォトセンサーアレイ154a(上センサ)、154b(下センサ)で被写体に対して垂直方向のコントラスト差を検出する。
図13および図14を参照して外部AFセンサー136の測距原理を説明する。図3において、被写体までの距離をd、レンズ151とフォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)との距離をf、フォトセンサーアレイ152a(左センサ)、152b(右センサ)に入力する光の幅をそれぞれ、X1、X2、光の入射されるフォトセンサーアレイ152a、152b間の距離をB1とすると、外部AFセンサー136の前面から被写体までの距離dは、三角測量により、d=B1・f/(X1+X2)で算出できる。また、被写体までの距離をd、レンズ153とフォトセンサーアレイ154a(上センサ)、154b(下センサ)との距離をf、フォトセンサーアレイ154a(上センサ)、154b(下センサ)に入力する光の幅をそれぞれ、X3、X4、光の入射されるフォトセンサーアレイ154a、154b間の距離をB2とすると、外部AFセンサー136の前面から被写体までの距離dは、三角測量により、d=B2・f/(X3+X4)で算出できる。
図14は、左右のフォトセンサーアレイおよび上下のフォトセンサーアレイの被写体像を示している。演算回路は、左右のフォトセンサーアレイの被写体像の光量を積分し、左右のフォトセンサーアレイのデータのずれを演算することで、被写体に対する水平方向のコントラスト差を検出して被写体の距離dを算出する。また、演算回路は、上下のフォトセンサーアレイの被写体像の光量を積分し、上下のフォトセンサーアレイのデータのずれを演算することで、被写体に対する垂直方向のコントラスト差を検出して被写体の距離dを算出する。演算回路は、測距結果の精度の高い方(コントラスト差が大きい方)の測距結果をCPU121に出力する。
例えば、図13において、被写体例をS(横縞の被写体)とした場合の各センサの出力は図14に示すようになり、左右のフォトセンサーアレイの出力ではコントラスト差が小さくなり、測距が困難であるが、上下のフォトセンサーアレイの出力ではコントラスト差が大きくなり、容易に測距が可能となる。このように、横縞の被写体の場合は、上下のフォトセンサーアレイの方が測距精度が高くなり、他方、縦縞の被写体の場合は、左右のフォトセンサーアレイの方が測距精度が高くなる。従って、左右のフォトセンサーアレイおよび上下のフォトセンサーアレイを使用することにより、測距する場合に、苦手な被写体を減らすことができ、合焦確率を格段に向上させることが可能となる。また、左右のフォトセンサーアレイおよび上下のフォトセンサーアレイを使用することにより、カメラの位置を縦位置および横位置のいずれにした場合においても高精度に測距することが可能となる。なお、図13に示す外部AFセンサー136は、十字形状としたがL字形状としても良い。
また、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形して実行可能である。例えば、本実施の形態においては、本発明にかかる自動合焦装置および自動合焦方法をデジタルカメラに適用した例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、PDA等の情報携帯入力装置等にも適用可能である。要は、画像を入力する際にAFを行う全ての装置に適用可能である。