JP2006064663A - 炭素繊維束、構造物の歪・応力検知方法等 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭素繊維の性質を最大限に利用して、補強材兼センサとして機能する炭素繊維束を提供する。
【解決手段】 本願の炭素繊維束2は、強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維2a〜2cを含有し、炭素繊維2a〜2cの電気抵抗値を測定するための端子7を備えている。
【選択図】 図1

Description

本願は、炭素繊維からなる炭素繊維束等に関する。
一般に炭素繊維と称される材料は強度が鉄の約10倍と高く、耐久性が良い等の性質を有するため様々な分野の補強材として利用されている。
通常、補強材として使用する際には、炭素繊維を束ねて樹脂で含浸し、シート状やケーブル状で使用される。
また、炭素繊維は歪との関係で特異な電気抵抗値を呈すため、この性質により、ある時点での応力度のみならず、応力度の履歴までも把握することができることが知られており、この性質を利用して例えば構造物の耐力監視等に役立てることができる。
上記性質を利用した従来の技術として、ガラスファイバーと導電性繊維束を組み合わせ、予め導電性繊維束の破断歪より大きなプレストレインを付与した導電性繊維束含有プラスチック複合材を使用し、当該導電性繊維束含有プラスチック複合材又は当該導電性繊維束含有プラスチック複合材の付設された部位の応力度状態等を検知する方法、及び装置がある(特許文献1)。
この技術は、予め導電性繊維束を一時的に破断させ、弾性復帰させることで当該導電性繊維束の導通状態を回復させ、当該導電性繊維束の電気抵抗によって、診断を行っている。よって、破断させた導電性繊維束の電気抵抗値の変化を測定して歪等を検知するものである。
特許第3201837号公報
しかしながら、導電性繊維束として炭素繊維束を使用するような場合には、予め一時的に炭素繊維束を破断させておく必要があるため、炭素繊維束の持つ強度等の性質を利用した補強材としての利用は期待できない。
また、一定の荷重以上の負荷が当該導電性繊維束に加わり、当該導電性繊維束の導通状態が解除された後の当該導電性繊維束の歪等を知ることはできなくなる。
本願は上記各問題点の解決を課題の一例として為されたもので、炭素繊維の性質を最大限に利用して、センサとして機能する炭素繊維束、または補強材兼センサとして機能する炭素繊維束を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の炭素繊維束(2、5)は、強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維(2a〜2c)を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子(7)を備えていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の炭素繊維束は、前記炭素繊維を樹脂(3)で含浸してなることを特徴とする。
また、請求項3に記載の炭素繊維束は、前記炭素繊維が、測定対象となる構造物の歪が所定値以上生じた際に破断することを特徴とする。
また、請求項4に記載の炭素繊維束は、前記炭素繊維に予め所定の力で一時的に負荷を加え初期損傷を与えておくことを特徴とする。
また、請求項5に記載の構造物の歪・応力検知方法は、測定すべき所定の構造物に強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子を備えている炭素繊維束を取り付け、前記炭素繊維の電気抵抗値変化を測定することにより前記構造物の歪又は応力度状態を検知することを特徴とする。
また、請求項6に記載の構造物の歪・応力検知方法は、前記所定の構造物がコンクリート構造物(10)である場合は、当該炭素繊維束を前記コンクリート構造物の内部に有する補強鋼材(12)に沿って配置することを特徴とする。
また、請求項7に記載の構造物の歪・応力検知装置は、測定すべき所定の構造物に取り付けるための強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子を備えている炭素繊維束(2、5)と、前記端子に電流を流して当該炭素繊維の電気抵抗値の変化を測定する測定手段(16)と、当該電気抵抗値の変化に基づいて種類別の炭素繊維の破断を検知し、前記構造物の歪または応力状態を判断する判断手段(17)と、前記判断した結果を出力する出力手段(18)と、を具備することを特徴とする。
以下、本願の炭素繊維束について図面を参照しながら説明する。図1は本願のハイブリッド炭素繊維束の一例を示し、ケーブル状のハイブリッド炭素繊維束である。なお、本実施形態のハイブリッド炭素繊維束は、本願の炭素繊維束として機能する。
図示のように、ハイブリッド炭素繊維束2は、多数本の連続した炭素繊維2a、2b、2cの集合体であり、紐状の複数本の炭素繊維2a、2b、2cを樹脂3で含浸して形成されている。また、ハイブリッド炭素繊維束2は、強度、延性等の性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cを混在して形成されている。炭素繊維2a、2b、2cは、一般に強度が高いため、当該ハイブリッド炭素繊維束2は、所定の構造物の補強材として使用することができる。具体的には、ハイブリッド炭素繊維束2は、例えば、所定の構造物の内部に一体に配置され使用される。
また、炭素繊維2a、2b、2cは導電性を有する。そして、所定の構造物が荷重を受けて歪むと当該ハイブリッド炭素繊維束2も同様に歪み、炭素繊維2a、2b、2cは伸びる。これにより歪を受けた炭素繊維2a、2b、2cは、歪を受けていない炭素繊維2a、2b、2cと比較して電気抵抗が増加することは明らかである。これらのことから当該歪は炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値の変化を測定することにより知ることができる。したがって、炭素繊維2a、2b、2cからなるハイブリッド炭素繊維束2は、当該所定の構造物の歪や内部応力度状態を検知するためのセンサとして機能する。
図2は、シート状のハイブリッド炭素繊維束の一例を示したものである。
このシート5は、多数本の連続した図1に示すハイブリッド炭素繊維束2を樹脂6で含浸して形成されている。このシート5は、例えば、所定の構造物の応力がかかる方向の下部に貼り付けて補強材として使用される。また、上記同様に、ハイブリッド炭素繊維束2からなるシート5は、当該所定の構造物の歪や応力度状態を検知するためのセンサとして機能する。なお、本願のハイブリッド炭素繊維束2は、プラスチック材等と一体に図1に示すハイブリッド炭素繊維束2を内蔵し、プラスチック複合シート材(プラスチック複合材)としてもよい。
また、図1、及び図2に示すハイブリッド炭素繊維束2の炭素繊維2a、2b、2cの両端には電気の良伝体からなる端子7、7がそれぞれ電気的に接続されている。炭素繊維2aのこれら一対の端子7は、これら両端子間に延在した炭素繊維2a、2b、2cに電流を流して炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定するためのものである。本実施形態においてこれら端子7は、全ての炭素繊維2a、2b、2cについて設けられているものではなく、炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を計測するために選択した何本かの炭素繊維2a、2b、2cのみに設けられている。
なお、端子7、7は、炭素繊維2a、2b、2cの両端部のみに備えるだけでなく、炭素繊維2a、2b、2cの中間地点等適当な場所から外部に取り出すようにしてもよい。このようにすれば、破断した際の電気抵抗値の変化により破断した位置を特定することも可能である。
以下に本願のハイブリッド炭素繊維束の作用について実験例に基づいて説明する。図3は試験片T(ハイブリッド炭素繊維材料)に一体に形成された炭素繊維の両端部の端子7、7に電流を流して当該炭素繊維の電気抵抗値を測定するための配線図である。なお、試験片Tの両端部近傍には引張力Pを加えるための部材9、9を試験片Tの上下面に備えている。
〈実験例〉
本実験では、図3に示す配線図によって、ハイブリッド炭素繊維束2、5からなる試験片Tの両端部に引張力Pを与え、当該試験片Tの炭素繊維2a、2b、2cの両端部の端子7、7に電流を流し、当該引張力Pに対して変位する当該試験片Tの歪と試験片Tを構成する炭素繊維2a、2b、2cの増加抵抗率(R/R0)との関係を測定した。なお、当該試験片Tは、上記図1、図2に示すハイブリッド炭素繊維束2、5と同一構造を有する強度、延性等の性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cの集合体により実験を行った。また、当該実験において、炭素繊維の強度、延性等の性質を適宜選択して行った結果、図4に示すような線図が得られることを確認した。
図4は本実験の測定により得られた荷重−歪線図、及び歪−増加抵抗率を示す線図である。なお、図4に示す試験片Tは、強度、延性等の性質の異なる3種類の炭素繊維2a、2b、2cの集合体により実験を行ったものである。
図4を参照して、ハイブリッド炭素繊維束の作用について説明する。
通常、単体の炭素繊維は、所定の荷重に対し比例して歪が増加し、破断する。しかし、本実施形態のように性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cを混在して形成されたハイブリッド炭素繊維束2、5からなる試験片Tは、図4に示すように、1の炭素繊維2aが、所定の荷重に従って歪が増加し破断しても、他の炭素繊維2b、2cによって引き継ぐことが可能となる。具体的には、図4に示すように、試験片Tは、まず、第1段階(Zone1)として、a−b間では、所定の荷重が加わり歪の上昇にともなって、1種類目の炭素繊維2aが徐々に破断する。完全に1種類目の炭素繊維2aが破断すると、b−c間に示すように増加抵抗率が急激に上がり、次の炭素繊維(2種類目、及び3種類目の炭素繊維2b、2c)に引き継がれる。次に、第2段階(Zone2)として、c−d間では、更に所定の荷重が加わり歪の上昇に伴って、2種類目の炭素繊維2bが1種類目の炭素繊維2aと同様に徐々に破断する。そして、完全に2種類目の炭素繊維2bが破断すると、d−e間に示すように、増加抵抗率が急激に上がり、次の炭素繊維(3種類目の炭素繊維2c)に引き継がれる。そして、第3段階(Zone3)として、e−f間では、更に所定の荷重が加わり歪の上昇に伴って、3種類目の炭素繊維2cが1、又は2種類目の炭素繊維2a、2bと同様に徐々に破断し、完全に3種類目の炭素繊維2cが破断する。
上記実験例に示すように、試験片Tに所定の荷重Pが加わり歪を生じたとすると、試験片Tを構成する炭素繊維2a、2b、2cは、その歪にともなって電気抵抗値の変化を示すことがわかる。したがって、炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定することにより、試験片T自体の歪を把握できる。
また、性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cを混在することにより、1の炭素繊維2aが破断しても他の炭素繊維2b、2cに引き継ぐことが可能となる。また、所定の歪の値で炭素繊維2aが破断して他の炭素繊維2b、2cに引き継がれる際に増加抵抗率の急激な上昇が見られる。よって、炭素繊維が引き継がれる際の歪の値を所定の値になるように炭素繊維を選択することによって、例えば、コンクリート構造物(例えば、PC構造物)に本願のハイブリッド炭素繊維束2、5を適用すれば、当該PC構造物の劣化診断等を容易に行うことが可能となる。具体的には、PC構造物は、歪率が0.15%までは安全である判断でき、歪率が0.5%までは安全性は確保されるが注意を要する状態であると判断できることが一般に知られているため、歪率が0.15%、0.5%である場合に、炭素繊維2a、2bが破断するように、炭素繊維2a、2bをそれぞれ選定することにより、炭素繊維2a、2b、2cからなるハイブリッド炭素繊維束2、5をセンサとして機能させることが可能となる。
また、荷重の増加によって炭素繊維2a、2b、2cは徐々に破断するため、当該破断の際の電気抵抗値を連続的に測定することにより、PC構造物の内部応力状態、歪状態を検知できる。
また、炭素繊維2a、2b、2cは、破断した際の歪(破断歪)を記憶する性質をもっているため、当該破断歪の値を計測することにより、過去に生じた最大応力度等も検知できる。
また、例えば、当該試験片Tを所定の構造物の下部に配置すれば、構造物の劣化に伴い、当該試験片Tが歪むため、構造物自体の内部応力や破壊進行状態を知ることもできると考えられる。
よって、本願のハイブリッド炭素繊維束2、5を使用すれば、当該ハイブリッド炭素繊維束2、5は、補強材として機能するとともに補強材として適用した構造物の歪等を検知するセンサとしても機能する。
また、ハイブリッド炭素繊維束2、5を構成する性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cをそれぞれ異なる所定値以上の歪が生じたときに破断するように選択し、当該炭素繊維2a、2b、2cの破断を検知することにより、容易にハイブリッド炭素繊維束2、5を適用した構造物等の歪・応力状態を知ることができる。
なお、図4に示すように、測定開始後、初期の電気抵抗値の変化が表れにくいため、炭素繊維2a、2b、2cのそれぞれを予め所定の力で一時的に負荷を加え、炭素繊維2a、2b、2cに初期損傷を与えておくとよい。また、本願のハイブリッド炭素繊維束2、5を形成した後、所定の力で負荷を加え、初期損傷を与えるようにしてもよい。負荷とは、ねじり、曲げ、引張等である。
このようにすれば、ハイブリッド炭素繊維束2、5の剛性を変化させて炭素繊維2a、2b、2cの強度が落ちるので、検知できる範囲の初期値を早めることができる。そして炭素繊維2a、2b、2cの歪等に対する電気抵抗値が敏感に変化するものとなる。よって、炭素繊維2a、2b、2cに初期損傷を与える場合は、炭素繊維2a、2b、2cに初期損傷を与えない場合と比較して、測定開始後の初期の電気抵抗値が敏感に変化するため、炭素繊維2a、2b、2cに生じる電気抵抗値を確実に測定することができる。
次に、所定の構造物に本願のハイブリッド炭素繊維束を適用した場合の実施例について説明する。
図5は、PC構造物に図1に示すハイブリッド炭素繊維束を適用した場合の実施例である。
PC構造物10は内部に補強鋼材としての鉄筋12を有しており、当該鉄筋12を測定することによってPC構造物10の内部応力等を的確に測定できると考えられる。よって、本願のハイブリッド炭素繊維束5は、PC構造物の内部に有する鉄筋に沿って配置される。なお、図5に示すように、ハイブリッド炭素繊維束2は、予め当該鉄筋12を含んで、性質の異なる複数種類の炭素繊維2a、2b、2cを樹脂3等で含浸して形成してもよい。
次に、図6を用いて図5に示すPC構造物の劣化診断を行うための診断方法について説明する。
図6はPC構造物の診断方法を示すブロック図である。この診断は診断装置によって行われる。診断装置は、ハイブリッド炭素繊維束の電気抵抗値を測定するための測定部16と、測定した値から炭素繊維の破断を判断するとともにPC構造物10の劣化状態を判断するための判断部17と、判断した結果を画像等に表示するための出力部18と、各部16〜18を制御するための制御部(図示なし)と、を備えている。なお、例えば、本実施形態の測定部16は、本発明の測定手段を構成するとともに、本実施形態の判断部17は、本発明の判断手段を構成する。また、例えば、本実施形態の出力部18は、本発明の出力手段を構成するとともに、本実施形態の炭素繊維束2、5は、本発明の炭素繊維束を構成する。
図6に示すように、まず、測定部16は、連続的にハイブリッド炭素繊維束2の炭素繊維2a、2b、2cのそれぞれの電気抵抗値を測定する。判断部17は、測定した電気抵抗値から1種類目の炭素繊維2aが破断したか否かを判断する。また、判断部17は、当該1種類目の炭素繊維2aが破断したと判断した場合には、PC構造物10が安全段階から注意段階に以降したことを判断する。そして、出力部18は、この判断結果(注意を要する)を画像等の出力装置に出力する。
さらに、測定部16は炭素繊維2b、2cの電気抵抗値を測定し続ける。判断部17は、測定した電気抵抗値から2種類目の炭素繊維2bが破断したか否かを判断する。判断部17は、当該2種類目の炭素繊維2bが破断したと判断した場合には、PC構造物10が注意段階から危険段階に移行したことを判断する。そして、出力部18は、この判断結果(危険を要する)を画像等の出力装置に出力する。
このようにすれば、PC構造物10の内部応力状態を容易に把握することができる。また、具体的な電気抵抗値を連続的に測定しているので、PC構造物10の内部応力状態を具体的な値として知ることもできる。更に、破断した炭素繊維2a、2bは破断直後の応力を記憶しているため、応力度の履歴までも把握することができる。
図7は、所定の構造物に図2に示すシート状のハイブリッド炭素繊維束を適用した場合の実施例である。
シート状のハイブリッド炭素繊維束5は、所定の構造物22に負荷Fがかかる方向の構造物22下部に貼り付けられる。
このようにして、実施例1と同様にモニタリング(劣化診断)を行えば、構造物22の応力状態を容易に把握することができる。また、具体的な電気抵抗値を連続的に測定しているので、構造物22の応力状態を具体的な値として知ることもできる。更に、破断した炭素繊維は破断直後の応力を記憶しているため、応力度の履歴までも把握することができる。
次に、ハイブリッド炭素繊維束の他の実施形態について説明する。図8はハイブリッド炭素繊維束の他の実施形態を示す断面図である。
図8に示すように、ハイブリッド炭素繊維束25のそれぞれの炭素繊維25aは導電部26とセンサ部27とから構成され、当該導電部26には弾性係数の低い炭素繊維26aを使用し、当該センサ部27には弾性係数の高い炭素繊維27aを使用して形成されている。複数の炭素繊維25aのセンサ部27は、炭素繊維25aが伸びている方向にそれぞれ異なる位置に配置されて形成されている。
このように、本実施形態のハイブリッド炭素繊維束25を所定の構造物に適用した場合、当該構造物に所定の荷重が加わり内部破壊が進むと、炭素繊維25aのセンサ部27のみが破断する。このようにすれば、センサ部27はそれぞれの炭素繊維25aの異なる位置に配置されているため、破断した際の電気抵抗値の変化により、破断した位置を特定できる。また、構造物の内部応力の状態をより具体的に把握することもできる。
以上に説明したように、本願のハイブリッド炭素繊維束2、5は、強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維2a、2b、2cを含有し、前記炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定するための端子7を備えているまた、ハイブリッド炭素繊維束2は、炭素繊維2a、2b、2cを樹脂で含浸してなる。
このようにすれば、例えば、所定の構造物に適用することにより、補強材として機能するとともに、所定の構造物の歪や内部応力状態を検知するためのセンサとして機能する。
また、前記炭素繊維2a、2b、2cは、測定対象となる構造物10、22の歪が所定値以上生じた際に破断するものが選定される。
このようにすれば、例えば、所定の構造物に適用することにより、構造物の劣化診断を行うことができる。
また、前記炭素繊維2a、2b、2cに予め所定の力で一時的に負荷を加え初期損傷を与えておくことが好ましい。
このようにすれば、炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定する際に、初期の電気抵抗値が敏感に変化するため、確実に初期の電気抵抗値を測定することができる。
また、本願の構造物の歪・応力検知方法は、測定すべき所定の構造物10、22に強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維2a、2b、2cを含有し、前記炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定するための端子7を備えているハイブリッド炭素繊維束2、5を取り付け、前記炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値変化を測定することにより前記構造物10、22の歪又は応力度状態を検知する。
このようにすれば、構造物10、22の内部応力状態を容易に把握することができるとともに、構造物10、22の劣化診断(安全性診断)を行える。
また、前記所定の構造物がPC構造物10である場合は、当該ハイブリッド炭素繊維束2を前記PC構造物10の内部に有する鉄筋12に沿って配置すればよい。
このようにすれば、PC構造物10の内部応力等を的確に測定できる
また、本願の構造物の歪・応力検知装置は、測定すべき所定の構造物10、22に取り付けるための強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維2a、2b、2cを含有し、前記炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値を測定するための端子7を備えているハイブリッド炭素繊維束2、5と、前記端子7に電流を流して当該炭素繊維2a、2b、2cの電気抵抗値の変化を測定する測定部16と、当該電気抵抗値の変化に基づいて種類別の炭素繊維2a、2b、2cの破断を検知し、前記構造物10、22の歪または応力状態を判断する判断部17と、前記判断した結果を出力する出力部18と、を具備している。
このようにすれば、構造物10、22の内部応力状態を容易に把握することができるとともに、構造物10、22の劣化診断(安全性診断)を行える。
ケーブル状のハイブリッド炭素繊維束の一例である。 シート状のハイブリッド炭素繊維束の一例である。 炭素繊維の電気抵抗を測定するための配線図である。 本願のハイブリッド炭素繊維束の荷重−歪線図、及び歪−増加抵抗率を示す線図の一例である。 PC構造物にケーブル状のハイブリッド炭素繊維束を適用した場合の実施例である。 PC構造物の診断方法を示すブロック図である。 所定の構造物にシート状のハイブリッド炭素繊維束を適用した場合の実施例である。 ハイブリッド炭素繊維束の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
2、5 炭素繊維束
2a〜2c 炭素繊維
3 樹脂
7 端子
10 PC構造物
12 鉄筋
16 測定部
17 判定部
18 出力部

Claims (7)

  1. 強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子を備えていることを特徴とする炭素繊維束。
  2. 前記炭素繊維を樹脂で含浸してなることを特徴とする炭素繊維束。
  3. 前記炭素繊維は、測定対象となる構造物の歪が所定値以上生じた際に破断することを特徴とする請求項1、又は2に記載の炭素繊維束。
  4. 前記炭素繊維に予め所定の方法で一時的に負荷を加え初期損傷を与えておくことを特徴とする請求項1〜3に記載の炭素繊維束。
  5. 測定すべき所定の構造物に強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子を備えている炭素繊維束を取り付け、前記炭素繊維の電気抵抗値変化を測定して前記構造物の歪又は応力度状態を検知することを特徴とする構造物の歪・応力検知方法。
  6. 前記所定の構造物がコンクリート構造物である場合は、
    当該炭素繊維束を前記コンクリート構造物の内部に有する補強鋼材に沿って配置することを特徴とする請求項5に記載の構造物の歪・応力検知装置。
  7. 測定すべき所定の構造物に取り付けるための強度、延性等の性質が異なる多種の炭素繊維を含有し、前記炭素繊維の電気抵抗値を測定するための端子を備えている炭素繊維束と、
    前記端子に電流を流して当該炭素繊維の電気抵抗値の変化を測定する測定手段と、
    当該電気抵抗値の変化に基づいて種類別の炭素繊維の破断を検知し、前記構造物の歪または応力状態を判断する判断手段と、
    前記判断した結果を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする構造物の歪・応力検知装置。
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