JP2006063381A - 貴金属を含む廃液から貴金属回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は従来回収されず破棄されていた100ppm以下の、銀等の貴金属を含む廃液から効率的にこれらの貴金属の回収を目的とするものである。
【解決手段】貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて蒸発・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。次に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
【選択図】図1
【解決手段】貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて蒸発・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。次に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は低濃度のため従来回収が困難であった、写真廃液及び貴金属精錬、メッキ等の廃液に含まれる、金、銀、白金及び、パラジウム等の貴金属の回収方法に関するものである。更に詳しくは従来廃棄されていた 100ppm 以下の貴金属を含む廃液を濃縮・固化することよって、これらの貴金属を500ppm以上含有する固形物を得た後、更に山元還元法によってこれらの貴金属を回収する方法に関するものである。
従来から写真廃液等に含まれる銀を回収する方法として、電気分解により銀を還元し金属銀として回収する方法が知られている。
特許第0956788 号
特許第1040828 号
特許第1099804 号
特許第1198518 号
特開平06-035154 号
特開平06-180484 号
特開平07-300692 号
特開 2001-011681
電気分解法には直接電解法、隔膜電解法等があるが、いずれも写真廃液等を電気分解槽に注入し、通電することにより銀イオンをアノード側へ移動させ、アノードにて銀イオンを還元・電着させ、金属銀を回収する方法である。吸着法では銀を選択的に吸着する吸着材を用い、吸着材を充填したカラムに写真廃液等を通して処理することによって、銀等の貴金属を回収する方法である。また、貴金属−卑金属交換反応では銀よりも卑な金属、例えば鉄・アルミニウム・亜鉛等を用いて酸化・還元反応によって、液中の銀イオン等を還元・析出させて、金属銀等貴金属を回収する方法である。しかし、これらの方法では、低濃度の貴金属を含有する廃液から経済的に、貴金属を回収することは困難であった。
また、銀等の貴金属を吸着剤に吸着させる回収方法或いは、貴金属−卑金属交換反応を用いて銀イオンを還元し、金属銀として回収する方法等が知られている。
特開平06-123942 号
特開 2002-348617
山元還元法とは、非鉄金属を含む廃棄物から非鉄金属資源を回収する方法であり、これら廃棄物を原料として、非鉄精錬技術で金属に還元、回収する方法のことである。貴金属回収に関しては、次のような山元還元の例が知られている。
特開平9-263844号
特開2002-105547
特開2003-221228
上記の方法では写真廃液等の銀濃度がある一定の濃度、100ppmを下回ると銀イオンの還元速度が急激に低下するため、液中の銀を完全に回収することが困難となる。このため経済性の観点から、完全に銀等が回収されないまま、低濃度の銀等を含んだ状態で処理を終了する場合が多い。その結果、回収後の液中には低濃度ながら銀等が残留し、有効に利用されることなく破棄されている。また、これらの廃液にはその他多くの薬剤が含有されているため、そのまま破棄できないため、多額の処理費用をかけて専門の業者に処理を委託せざるを得ないのが現状である。
また吸着法では処理後の吸着材を廃棄する必要があり、新たな経費が発生する。従って、本発明は従来回収されず破棄されていた100ppm以下の、銀等の貴金属を含む廃液から効率的に、これらの貴金属を回収することを目的とするものである。
本発明の貴金属回収方法の原料となる貴金属を含む廃液には、写真関係の銀を含む廃液の他、非鉄金属精錬関係の廃液、半導体生産工程の廃棄物廃液等が含まれていてもよく、これらの中では、写真関係の銀を含む廃液の比率が最も高い。写真関係の廃液には潮解性が高い化合物、主としてチオ硫酸塩及び、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が多量含まれている点が障害になっている。更に、本発明の貴金属回収方法の原料は主として経済性の観点から、回収が困難と考えられていた程、貴金属の含有量が低い廃液を対象にしている点である。従って、このためこのような低濃度の貴金属含有廃液を、如何にして濃縮するかと同時に、潮解性も解消させて山元還元法を適用できるようにするかの、中間の段階における処理方法が最大の課題である。
本発明者らはこれらの課題について検討した。その結果、貴金属の含有量が低い廃液を、真空蒸発法によって貴金属を濃縮した後、高温雰囲気中における噴霧・乾燥によって、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる方法か、或いは貴金属を含む廃液を高温の縦形平盤状加熱面に供給して揮発性成分を蒸発させ、得られた固形物をスクレーパーでかき取り、更にトンネル状コンベア型の熱風乾燥炉中で、高温雰囲気中で熱処理して固形物を得る方法が有効であることを見出した。これらの方法によって得られた固形物は貴金属含有量が高められると同時に、潮解性も解消されているため、山元還元法を適用すれば、従来困難であった低濃度の貴金属含有廃液から、効率的に貴金属が回収できることを見出して、本発明に到達した。
すなわち、貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて蒸発・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。次に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
また、貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、温度100 〜160 ℃に加熱して揮発性成分を蒸発させる。次に250 〜500 ℃で熱処理することによって、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。更に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
貴金属として、金、銀、白金及び、パラジウムからなる群より選ばれた、少なくとも1種類を含む廃液が、潮解性を有する有機及び/ または無機化合物としてチオ硫酸塩及びエチレングリコール及び、ジエチレングリコールからなる群より選ばれた、少なくとも一つの成分を含有する写真廃液を含み、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて噴霧・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。更に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
更に、貴金属として、金、銀、白金及び、パラジウムから選ばれた、少なくとも1種類を含む廃液が、潮解性を有する有機及び/ または無機化合物として、チオ硫酸塩及びエチレングリコール及び、ジエチレングリコールからなる群より選ばれた、少なくとも一つの成分を含有する。この廃液を真空蒸発法によって貴金属濃度を4倍以上に濃縮した後、スチームを熱源とする表面温度100 〜160 ℃の縦形平盤状加熱面に供給して揮発性成分を蒸発させる。
得られた固形物をスクレーパーでかき取り、更にトンネル状コンベア型の熱風乾燥炉で、250 〜500 ℃で熱処理することによって、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させる。更に、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法である。
本発明に用いる貴金属濃度100ppm以下の廃液とは、写真感光材料を処理する工程で使用される発色現像液・漂白液・定着液・安定液等の使用済み廃液から、従来技術により銀を回収した後の、銀濃度100ppm以下の廃液を主成分とするものである。その他、貴金属を含む産業廃棄物、電子工業プロセス等からの廃液が含まれていても、本発明が実施できる範囲内であれば使用可能である。
更に粉体状廃棄物、特に銀が含まれる写真フィルム等の焼却飛灰は、適宜廃液中に混合分散させて使用できる。また、本発明の固形物を得る熱処理工程の途中、もしくは最終工程でこれら粉体状廃棄物を混合することもできる。
これらの貴金属濃度100ppm以下の廃液を熱処理する方法については、例えばスチーム、熱媒油等を熱源とする乾燥装置、熱風を熱源とする乾燥装置等を、本発明に適用することができる。より詳しくは蒸気を熱源とする乾燥装置としては、例えば蒸発濃縮装置、ドラムドライヤー、縦形平面状乾燥装置等である。
重油などの液体燃料や、LPG 、LNG 等の気体燃料を熱源として発生させた、熱風による乾燥装置としては、例えばスプレードライヤーやキルン式乾燥装置等がある。本発明の原料廃液は種々な化学成分の混合物であること、熱処理することにより液体状態から、固形物を含有する液状物、粘稠な流体、乾燥固体、更には特定成分が熱分解された生成した固体へと、熱処理の段階に応じて状態が変化する。このため蒸発濃縮及び/または縦形平面状乾燥装置及び/またはトンネル状コンベア型加熱装置を、組み合わせて用いることができる。
一般に写真廃液中にはチオ硫酸塩、ジエチレングリコール、エチレングリコールのような潮解性を示す物質が多く含有されている。チオ硫酸塩は定着操作における未感光ハロゲン化銀の溶解除去、ジエチレングリコール、またはエチレングリコールは有機化合物の溶剤として使用されている。これらの化合物は何れも沸点が比較的が高く、具体的な分解点または沸点は、チオ硫酸アンモニウム: 150℃、チオ硫酸ナトリウム: 220℃、エチレングリコール: 197℃、ジエチレングリコール: 245℃である。これらの含有量や、熱処理の程度によっては、得られた固形物に尚残存する潮解性により、後工程である山元還元の際に支障をきたす場合もある。極端な場合には、得られた固形物が空気中に放置している間にスラリー状に戻ってしまうこともある。
上記、潮解性物質の分解を行うためには、250 〜500 ℃で加熱して、潮解性を有する化合物を分解・蒸発除去する必要がある。250 〜500 ℃とする理由は、潮解性の原因物質である、チオ硫酸アンモニウム・チオ硫酸ナトリウム・エチレングリコール・ジエチレングリコール等の化合物の総ての分解点または、沸点を上回る温度で加熱すれば、潮解性を除去できるためである。処理方法としては前段処理により乾燥物を得、その乾燥物をベルトコンベアーに乗せ、トンネル状の熱風炉内を通過させることにより連続的に熱処理するトンネル炉方式や、ロータリーキルン方式、もしくは液状態からこの温度領域まで一段処理するスプレードライヤー方式などが挙げられる。どの方式を採用するかは、処理しようとする場所の環境及び操業条件、次に山元還元法で処理する場合の条件等の要求を勘案し、適宜選択・組み合わせることができる。
このような加熱・分解工程を経て得られた固形物中には、貴金属が500ppm以上入っている必要がある。貴金属が500ppm以上とする理由は、山元還元法による貴金属回収処理を行う際、これ以下の濃度では経済的に回収が困難となるからである。このため貴金属濃度は高い方が好ましく、1,000ppm以上であればより好ましい。
ここで熱処理工程としては、蒸発濃縮・蒸発固化・乾燥の三段階処理、あるいは濃縮・固化乾燥の二段階処理、あるいは直接加熱乾燥による一段階処理等を用いることができる。処理しようとする場所の環境条件等に左右されるので、限定することはできないが、本発明で処理する廃液の量が比較的少量である数百t /日以下程度までは、二段階処理もしくは三段階処理を用いる方が設備規模も小さくなり好ましい。
二段階もしくは三段階処理の例を以下に示す。最初に行う蒸発濃縮処理においては減圧濃縮法、常圧濃縮法の両方を用いることができる。特に減圧濃縮法は処理時間、処理経費の観点から好ましい。処理条件は 120〜180mmHg の減圧下で、処理温度を55〜70℃とすることが、エネルギーコストが最小になる領域であるため、好ましい。この方法により液量を1/4 〜1/10にまで縮減させて濃縮物を得る。濃縮率が1/4 に満たない場合は、この工程で処理する経済的意義が無い。むしろ、廃液を直接次の工程である蒸発固化工程で処理する方が好ましい。一方、濃縮率が1/10を上回ると、固形物の析出が顕著になり、液の移送などの操作が困難となり好ましくない。液量を縮減させる程度は、得られた濃縮物を次工程の蒸発固化工程へ移送する方法に応じて調製する。移送にポンプを使用する場合は、濃縮液は液状であることが好ましいが、ポンプ性能によっては多少の析出物が含まれてもよい。
次の蒸発固化工程に用いる装置としては、例えばドラムドライヤー・薄膜真空加熱ドライヤー・縦形平面状加熱盤ドライヤー等が適用できる。特にスチームを熱源とする表面温度 100〜160 ℃の縦形平面状加熱盤ドライヤーは乾燥効率の面で好ましい。この処理方法によれば、先に述べた濃縮工程で得られた濃縮液に限らず、廃液を濃縮工程なしで処理し、固形物を得ることができる。この方式であれば濃縮物の性状やその供給量、処理後の固形物の排出等を最適化するための、微妙な操作条件の調整が不要である。すなわち、ノズルより盤面に吐出された濃縮物は、自重で落下しようとする力と盤の回転により持ち上げられる力、加熱蒸発による濃縮物の粘度上昇等が自然にバランスされるため、容易に安定した操作状態を維持することが可能である。
上記処理にて得られた固形物中に潮解性がない場合や潮解性があっても山元還元処理やそのための輸送・保管に支障のない範囲であれば、最終工程である山元還元により処理を行う。潮解性が残存し、次工程で支障がある場合には、更に潮解性除去処理を行う。前述の処理で得られた固形物中に、潮解性を有する成分が含まれない場合や、潮解性があっても山元還元処理やそのための輸送・保管に支障のない範囲であれば、そのまま最終工程である山元還元法による処理を行うことができる。
しかし、潮解性が残存してそのままでは、次工程に支障がある場合には、更に潮解性除去処理を行う。潮解性を示す成分としては、写真廃液中に含まれるチオ硫酸塩・エチレングリコール・ジエチレングリコール等である。そのため、これらの物質が分解する温度で加熱分解処理をすれば、潮解性を解消させることができる。具体的には 250〜500 ℃、より好ましくは300 〜350 ℃で熱処理をすることが適当である。 250〜500 ℃での処理を行う装置としては、熱媒油を用いた縦形平面状加熱盤ドライヤーや、トンネル状コンベア型の熱風乾燥炉などが使用できる。好ましくは、価格的にも安価で、保守管理の容易なトンネル状コンベア型熱風乾燥炉が好ましい。
トンネル状コンベア型熱風乾燥炉では、潮解性の残存する固形物をベルト状金属製コンベアなどに積載し、電気ヒーターによる伝熱ならびにその副射熱、または重油燃焼による熱風を熱源として250 〜500 ℃の温度に加熱されたトンネル状加熱炉内を通過させることにより固形物に含まれる潮解性物質を熱分解させる。加熱時間は被熱処理物の性状及び形状により異なるが、通常は20〜30分程度で充分である。この方式を採用することで、連続的に対象物を熱処理することが可能となり、非常に効率的である。
また加熱時に発生するガスは、その廃液等の性状により多種・多様であるが、通常は燃焼処理が簡便で且つ適用範囲も広いため好ましい。燃焼処理は発生ガスを高温バーナー等で直接加熱することによって、ガス中に含まれる化合物を分解・酸化することができる。その他酸やアルカリ溶液のスクラバーを用いてガスを回収する方法や、オゾン酸化法により排ガスを酸化分解する方法等がある。発生するガスの成分や発生量に応じて、適当な方法を選択併用することができる。
本発明ではその他、廃液及び/または濃縮操作により得られた濃縮液を、スプレー式乾燥装置等を用いて、 250〜500 ℃の温度雰囲気で熱処理する方法も含まれている。スプレードライヤーとは、廃液及び/または廃液の濃縮物を、ロータリーアトマイザーと呼ばれる微粒子化用回転式噴霧器や、一流体もしくは二流体ノズルと呼ばれる噴霧器から、熱風等により加熱された乾燥塔内へスプレーすることにより、液が乾燥塔内を落下する間に水分が蒸発すると同時に潮解性物質が熱分解され、粒径1mm 以下の粒子状固形物が得られる装置である。
この方法によれば、一段階での廃液の直接乾燥加熱、或いは廃液を濃縮し、乾燥加熱するという二段階での処理が可能である。しかし、この設備は大型になるため、その稼働効率の向上・コストメリットの観点から、特に廃液の量が比較的多量である50〜数百t /日以上の場合に用いることが好ましい。次の段階で前述の処理によって得られた固形物から山元還元法により銀等の貴金属を回収することになる。
山元還元法とは、非鉄金属を含む廃棄物からの非鉄金属資源の回収方法であり、これら廃棄物を非鉄金属の原料とし、非鉄精錬技術で金属に還元、回収する方法を指している。山元還元法としては前述の各種方法がある。特に銅を含有する産業廃棄物、例えば電子部品材料などの廃棄物から回収された、金・銀・白金等の貴金属も含有する銅合金を、反射炉等で硫化鉱とする際の原料の一部として、本発明で得られる固形物を使用する方法、もしくは反射炉等で得られた硫化鉱を自溶炉等にて精鉱する際の原料の一部として使用する方法が好ましい。
より好ましくは、前述の方法で得られた固形物の粒径を1mm 以下にすることにより、自溶炉で硫化鉱と共に精鉱する方法である。自熔炉で分離された貴金属を含有する、品位 98%程度の粗銅は必要であれば更に、精製炉で99% 以上に精製した後湿式電解される。湿式電解において、銀をはじめとする貴金属は銅電解槽の底にスラッジとして沈降するので、回収されたスラッジから、スラッジが含有する貴金属の種類・量に応じて、王水その他の強酸溶解、溶剤抽出等の公知の技術を用いて銀を分離精製し、更にその他の貴金属を順次分離・回収する。
本発明においては、灰吹き法、混こう法等も使用可能である。一般に原料固形物を粉砕し、これに鉛・マンガン等を溶融添加し、浮き上がってくるスラグ層と貴金属−鉛合金とに分離し、更に得られた合金から、灰吹床で鉛を灰に吸収させ、灰上に残る貴金属を分離・回収する方法である。また、混こう法の場合には原料固形物に水銀を添加し、貴金属−水銀の合金を形成し他の成分と分離させ、得られた貴金属−水銀合金から、水銀を蒸発除去することにより、貴金属を得ることができる。
本発明の貴金属を含む廃液から貴金属回収方法によって、従来廃棄されていた写真廃液や、低濃度貴金属含有廃液中から貴金属が回収・再利用され、資源の有効活用を図ることができる。更に、これまで廃棄していた写真廃液がなくなることにより、環境への負荷が軽減され、廃液処理費用も削減されることによる経済効果が見込まれる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
写真廃液から、減圧蒸留・蒸発固化・高温加熱による潮解性除去及び、山元還元の四段階処理によって、銀を回収する方法について実施例を示す。銀を電気分解により回収除去した写真定着廃液 80tに、現像廃液 20tを混合した混合写真廃液を用い処理を行った。この液には銀:90mg/lが含有されていた。
前記の混合廃液を、図1に示す写真廃液槽(1) より、減圧蒸留装置の導入部から2t/hrで、蒸発釜(2) へ投入し、140mm Hgの減圧下、処理温度59〜67℃にて、液量が 1/5になるまで濃縮した。得られた濃縮液は蒸発釜内から、濃縮液槽(3) へ回収した。
濃縮工程で発生したアンモニアガスは、硫酸スクラバー(4) で硫酸アンモニウムとして回収した。また、蒸発蒸気はコンデンサー(5) にて熱交換を行い、液体として凝縮液槽(6) へ回収した。得られた濃縮液は、次工程である縦形平面状加熱盤乾燥装置へ送液した。
上記の濃縮処理にて得られた濃縮液を、縦形平面状加熱盤乾燥装置へ送液し、吹き付けノズル(7) を経由して縦形平面状加熱盤(8) へ供給した。この縦形平面状加熱盤には、配管(9) から、スチームを圧力 0.4Mpa で導入し、加熱盤表面の温度は 140℃であった。加熱盤上へノズルより噴出された濃縮液は、縦形平面状加熱盤に薄膜状に塗布され、塗布されなかった濃縮液は、重力にしたがって濃縮液槽(3) へ返送された。加熱盤に薄膜状に塗布された濃縮液は、加熱盤の回転中に加熱盤表面の熱によって乾燥されて、固形状となり、スクレーパー(10)でかき取り回収された。
加熱盤へのスケーリングは見られなかった。乾燥時に発生する各種ガスはガス回収装置で回収され、冷却後、凝縮水として回収された。得られた乾燥物は薄片状で乾燥状態は良好であったが、湿度の高い雰囲気に放置すると、顕著な潮解性を示し、数分でスラリー状に戻る現象が見られた。この固形物中にはチオ硫酸アンモニウム: 10wt%、エチレングリコール: 10wt%、ジエチレングリコール: 10wt%が含まれていた。
前記縦形平面状加熱盤乾燥装置にて得られた潮解性を有する乾燥物を、更にベルトコンベアー部(11)へ導入し、トンネル状加熱炉(12)入口に誘導した。トンネル状加熱炉内には重油を熱源とした熱風が循環しており、炉内温度は 300℃であった。トンネル炉(12)の通過には約30分を要し、加熱後の固形物はフレコンバック(13)に回収した。加熱後の固形物は潮解性が除去されており、 4.8tであった。なお、固形物中の銀濃度は1,800mg/kgであった。
上記加熱処理によって得られた固形物から、山元還元法にて銀を回収した。山元還元では、この固形物にスラグ成分並びに銅等を添加し、1600℃に加熱することによりスラグ相と金属相に分離し、銀含有銅合金を得、それを硫化鉱とともに反射炉での原料の一部として使用した。反射炉ではマット相とスパイス相に分離し、スパイス相より銀を常法により分離回収した。
実施例1の混合写真廃液 100t に、電子部品材料製造工程から発生した金含有廃液10t 、廃棄宝飾品からの白金回収工程で発生した白金含有廃液 10t、更に廃触媒からのパラジウム回収工程で発生した、パラジウム含有廃液 10tを添加し、銀濃度 70mg/l 、金濃度 3mg/l、白金濃度 5mg/l、パラジウム 9mg/lの廃液を得た。この廃液を実施例1と同様に濃縮操作を行い、液量が 1/6になるまで濃縮した。濃縮液は更に実施例1と同様の縦型平面状加熱板乾燥処理トンネル炉加熱処理を行い、潮解性のない固形物 5.0t を得た。
固形物中の銀濃度は、1750mg/Kg 、金濃度 75mg/Kg、白金濃度 120mg/Kg 、パラジウム濃度 230mg/Kg である。この潮解性のない固形物を実施例1と同様山元還元にて、貴金属をスパイス相より分離回収した。
写真廃液から、減圧蒸留・スプレードライヤーによる乾燥加熱・山元還元の三段階処理により銀を回収する方法について実施例を示す。
実施例1の写真混合廃液 100t を用い、実施例1と同様の濃縮処理を行い濃縮液を得た。この濃縮液を濃縮液槽からポンプを用い、液噴霧部(14)へ導入した。乾燥塔(15)内は重油を熱源とする熱風によって 380℃に加熱した。この乾燥塔内へ液噴霧部(14)から、濃縮液 1.5t/hrで噴霧し、液は乾燥塔内を落下する間に固化・加熱乾燥された。固化・加熱された固形物は、下部に設けた固形物取り出し口から取り出され、フレコンバッグ (13) へ回収された。得られた固形物は、 4.3tで銀濃度は2,000mg/kgであった。この加熱処理によって得られた固形物は、実施例1と同様の山元還元法にて銀を回収した。
実施例1の廃液 130t を実施例3と同様の操作を行い、4.5tの固形物を得た。この固形物中の銀濃度は 2000mg/Kg、金濃度 90mg/Kg、白金濃度 140mg/Kg 、パラジウム濃度 260mg/Kg であり、この固形物を実施例1と同様な山元還元法にて貴金属を回収した。
本発明の貴金属を含む廃液から貴金属回収方法によって、従来廃棄されていた写真廃液や、低濃度貴金属含有廃液中から貴金属が回収・再利用され、資源の有効活用を図ることができる。更に、これまで廃棄していた写真廃液がなくなることにより、環境への負荷が軽減され、廃液処理費用も削減されることによる経済効果が見込まれる。
1 原料廃液槽
2 蒸発釜
3 濃縮液槽
4 硫酸スクラバー
5 コンデンサー
6 凝縮液槽
7 吹付けノズル
8 縦形平面状加熱盤
9 スチーム供給配管
10 スクレーパー
11 ベルトコンベヤー
12 トンネル状加熱炉
13 フレコンバック
14 液噴霧部
15 乾燥塔
2 蒸発釜
3 濃縮液槽
4 硫酸スクラバー
5 コンデンサー
6 凝縮液槽
7 吹付けノズル
8 縦形平面状加熱盤
9 スチーム供給配管
10 スクレーパー
11 ベルトコンベヤー
12 トンネル状加熱炉
13 フレコンバック
14 液噴霧部
15 乾燥塔
Claims (4)
- 貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて蒸発・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させた後、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法。
- 貴金属濃度が100ppm以下で、液中に潮解性を有する有機及び/ または無機化合物を含む廃液を、温度100 〜160 ℃に加熱して揮発性成分を蒸発させ、更に250 〜500 ℃で熱処理することによって、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させ、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法。
- 貴金属として、金、銀、白金及び、パラジウムからなる群より選ばれた、少なくとも1種類を含む廃液が、潮解性を有する有機及び/ または無機化合物としてチオ硫酸塩及びエチレングリコール及び、ジエチレングリコールからなる群より選ばれた、少なくとも一つの成分を含有する写真廃液を含み、250 〜500 ℃の温度雰囲気中にて噴霧・乾燥させ、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させ、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、請求項1記載の貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法。
- 貴金属として、金、銀、白金及び、パラジウムから選ばれた、少なくとも1種類を含む廃液が、潮解性を有する有機及び/ または無機化合物として、チオ硫酸塩及びエチレングリコール及び、ジエチレングリコールからなる群より選ばれた、少なくとも一つの成分を含有する写真廃液を含み、真空蒸発法によって貴金属濃度を4倍以上に濃縮した後、スチームを熱源とする表面温度100 〜160 ℃の縦形平盤状加熱面に供給して揮発性成分を蒸発させ、得られた固形物をスクレーパーでかき取り、更にトンネル状コンベア型の熱風乾燥炉で、250 〜500 ℃で熱処理することによって、潮解性がなく貴金属が濃縮された固形物を生成させ、山元還元法にて貴金属を回収することを特徴とする、請求項2記載の貴金属を含む廃液からの貴金属の回収方法。
Priority Applications (1)
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