JP2006063103A - ポリ(エステル−ウレタン)及びその製造方法、環状(エステル−ウレタン)オリゴマー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生分解性を有し、かつケミカルリサイクルが可能なポリ(エステル−ウレタン)及び前記ポリ(エステル−ウレタン)を環境低負荷型プロセスにより製造する方法を提供する。
【解決手段】 以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)(一般式(1)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示す。)、ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させる前記ポリ(エステル−ウレタン)の製造方法、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマー(mは1〜8の整数)、該オリゴマーを重合させるポリ(エステル−ウレタン)の製造方法、ポリ(エステル−ウレタン)を解重合することによる前記オリゴマーの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】 以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)(一般式(1)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示す。)、ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させる前記ポリ(エステル−ウレタン)の製造方法、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマー(mは1〜8の整数)、該オリゴマーを重合させるポリ(エステル−ウレタン)の製造方法、ポリ(エステル−ウレタン)を解重合することによる前記オリゴマーの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、酵素を用いた、生分解性ポリ(エステル−ウレタン)の合成、環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの合成、及び前記オリゴマーからのポリ(エステル−ウレタン)の再重合に関する。
近年、化学的社会システムの環境に対する低負荷化を図る「グリーンケミストリー」の一環として、再生可能資源から生産され、微生物による分解資化(生分解)を受け、生態系の循環システム(バイオサイクル)に還元される機能性材料の開発が求められている。
ところで、ポリウレタンは主鎖にウレタン結合を持つポリマーで、二官能以上のアルコールと二官能以上のイソシアナート類の反応で得られる。用いる原料の種類により、ウレタンゴム、弾性繊維、高結晶性硬化性樹脂、塗膜・皮膜、ウレタンフォームなどが得られる。これらの従来のポリウレタンは一般に難生分解性である。
ところで、ポリウレタンは主鎖にウレタン結合を持つポリマーで、二官能以上のアルコールと二官能以上のイソシアナート類の反応で得られる。用いる原料の種類により、ウレタンゴム、弾性繊維、高結晶性硬化性樹脂、塗膜・皮膜、ウレタンフォームなどが得られる。これらの従来のポリウレタンは一般に難生分解性である。
また、ウレタンフォームのケミカルリサイクル方法として、複数の方法が検討されている。分解方法としてはグリコール分解法、アミン分解法、アンモニア分解法、加水分解法、熱分解法などがある。これらの分解法で得られた分解回収原料のみによってウレタンフォームを製造しようとすると、十分な特性がでないため、新しい原料との併用が必要となる。例えば、分解で得られた生成物に、アルキレンオキサイドを付加重合させてウレタン原料のポリエーテルポリオールにする方法は、タンデムケモリシスといわれる。
したがって、ポリウレタンとしての特性を十分保持しながら、生分解性を有し、かつケミカルリサイクルが必要なポリウレタンの製造が要望されるが、現在、生分解性を有し、かつケミカルリサイクルが可能なポリウレタンは全く知られていない。
これに対し、以下の非特許文献1には、ジオール成分としてジウレタンジオールを10%含むブタン−1,4−ジオールを、酸成分として遊離のアジピン酸を用い、これらを酵素存在下バルク重合させてポリエステルウレタンセグメントとポリエステルセグメントを有するポリマーを製造することが記載されている。しかしながら、このポリマーはウレタン成分はジオールとしてわずかに含まれているだけであるため、このポリマーは実質的にはポリエステルというべきものである。また、遊離のアジピン酸を用いバルク重合していることからみて、このポリマーは汎用合成樹脂として使用するに足る充分な分子量を有しているとは考え難い。
CHEM. COMMUN. 2002,934-935
CHEM. COMMUN. 2002,934-935
本発明の目的は、生分解性を有し、かつケミカルリサイクルが可能なポリ(エステル−ウレタン)及び前記ポリ(エステル−ウレタン)を環境低負荷型プロセスにより製造する方法を提供すること、更に環状(エステル−ウレタン)オリゴマー及び前記オリゴマーを用いてポリ(エステル−ウレタン)を環境低負荷型プロセスにより製造する方法を提供することにある。
本発明の前記課題は、以下のポリ(エステル−ウレタン)及びその製造方法、環状(エステル−ウレタン)オリゴマー及びその製造方法を提供することにより解決される。
(1)以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)。
(1)以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)。
一般式(1)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示す。
(2)以下の一般式(2)で表されるジウレタンジオールと以下の一般式(3)で表されるジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることを特徴とする、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)の製造方法。
(2)以下の一般式(2)で表されるジウレタンジオールと以下の一般式(3)で表されるジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることを特徴とする、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)の製造方法。
一般式(2)中、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示し、一般式(3)中、xは2〜10の整数を、Rはアルキル基を示す。一般式(1)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示す。
(3)以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることを特徴とする、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)の製造方法。
(3)以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることを特徴とする、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)の製造方法。
一般式(4)及び一般式(1)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示し、一般式(4)中、mは1〜8の整数を示す。
(4)以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマー。
(4)以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマー。
一般式(4)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示し、mは1〜8の整数を示す。
(5)以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)を有機溶媒中、加水分解酵素の存在下解重合させることを特徴とする、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの製造方法。
(5)以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)を有機溶媒中、加水分解酵素の存在下解重合させることを特徴とする、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの製造方法。
一般式(1)及び一般式(4)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示し、一般式(4)中、mは1〜8の整数を示す。
(6)以下の一般式(2)で表されるジウレタンジオールと以下の一般式(3)で表されるジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下、希釈下条件で重合させることを特徴とする、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの製造方法。
(6)以下の一般式(2)で表されるジウレタンジオールと以下の一般式(3)で表されるジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下、希釈下条件で重合させることを特徴とする、以下の一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの製造方法。
一般式(2)中、yは2又は3を、zは2〜6の整数を示し、一般式(3)中、xは2〜10の整数を、Rはアルキル基を示す。一般式(4)中、xは2〜10の整数を、yは2又は3を、zは2〜6の整数を、mは1〜8の整数を示す。
本発明のポリ(エステル−ウレタン)は、循環型のケミカルリサイクルが容易でかつ生分解性を有する。すなわち、本発明のポリ(エステル−ウレタン)は解重合により容易に環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを得ることができ、該オリゴマーは再重合により容易にポリ(エステル−ウレタン)に再生される。また、前記ポリ(エステル−ウレタン)は、酵素を用いる環境低負荷型プロセスにより製造することができ、前記解重合及び再重合も同様な環境低負荷型プロセスによることができる。更にジウレタンジオール部分とジカルボン酸エステル部分を選ぶことで多彩な物性を有するものが得られることから、多くの分野での利用が期待される。また、従来のポリウレタンに比べて、分子構造が一定であることから、生体適合性材料としても可能性がある。
本発明においては、石油化学由来の汎用難分解性ポリマーであるポリウレタンに生分解性を付与するため、難分解性ポリウレタン鎖に環境中の一般的な微生物が分泌する加水分解酵素によって容易に分解されるエステル結合を導入することにより、ケミカルリサイクルが容易な循環型ポリ(エステル−ウレタン)へ改変した。この改変ポリ(エステル−ウレタン)は、自然界では、エステル結合部分が微生物由来のリパーゼの作用により切断され、最終的に生分解される。
一方、化学的には、ポリ(エステル−ウレタン)にリパーゼのような加水分解酵素を水分が限定された条件で作用させると、再重合可能な環状のオリゴマー(環状(エステル−ウレタン)オリゴマー)へ変換することができ、また、前記環状オリゴマーにリパーゼのごとき加水分解酵素を作用させて、ポリ(エステル−ウレタン)を再生させることができ、ここにケミカルリサイクルが完成する。
更に、前記環状オリゴマーはジウレタンジオールにジカルボン酸アルキルエステルを後述のように特定の条件で反応させることによっても得ることができる。
一方、化学的には、ポリ(エステル−ウレタン)にリパーゼのような加水分解酵素を水分が限定された条件で作用させると、再重合可能な環状のオリゴマー(環状(エステル−ウレタン)オリゴマー)へ変換することができ、また、前記環状オリゴマーにリパーゼのごとき加水分解酵素を作用させて、ポリ(エステル−ウレタン)を再生させることができ、ここにケミカルリサイクルが完成する。
更に、前記環状オリゴマーはジウレタンジオールにジカルボン酸アルキルエステルを後述のように特定の条件で反応させることによっても得ることができる。
先ず、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリ(エステル−ウレタン)について説明する。
一般式(1)中、xは2ないし10の整数を、yは2又は3を、zは2ないし6の整数を表す。xは2〜6が好ましく、より好ましくは2〜4の整数である。
前記ポリ(エステル−ウレタン)の分子量(Mw)は10,000〜1,000,000である。
前記ポリ(エステル−ウレタン)の分子量(Mw)は10,000〜1,000,000である。
次に、前記一般式(1)で表されるポリ(エステル−ウレタン)は、以下の一般式(2)で表されるジウレタンジオール(DUD)と一般式(3)で表されるジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることにより製造することができる。
一般式(2)中、y及びzは前記一般式(1)におけるy及びzと同義である。ジウレタンジオールは以下の一般式(5)で表される環状カーボネートと一般式(6)で表される脂肪族ジアミンを反応させることにより容易に得られる。触媒は不要であり、反応時、50〜110℃程度に加熱することが好ましい。
一般式(5)中、yは前記一般式(1)におけるyと同義であり、一般式(6)中、zは一般式(1)におけるzと同義である。
また、ジカルボン酸ジアルキルエステルのアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。
また、ジカルボン酸ジアルキルエステルのアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。
本発明の重合反応に用いる加水分解酵素としては、加水分解酵素であれば特に制限なく使用される。また、酵素は、固定化していても固定化していなくてもよいが、重合生成物の回収や酵素の再利用の観点からは固定化しているものが便利である。加水分解酵素としては入手のしやすさと酵素の熱安定性によりリパーゼが好ましく、中でもCandida antarctica由来のリパーゼが好ましい。リパーゼとしては、例えば、Candida antarctica由来の固定化酵素である、ノボザイムズジャパン(株)の「Novozym 435(商品名)」を挙げることができる。
本発明の重合反応における固定化酵素の添加量は、原料のジカルボン酸ジアルキルエステル当たり1〜100質量%、好ましくは、10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。1質量%未満では、重合反応が著しく低下し、また、100質量%を超えても重合生成物の収量に顕著な変化はみられないので、前記範囲が適切である。
本発明の重合反応における固定化酵素の添加量は、原料のジカルボン酸ジアルキルエステル当たり1〜100質量%、好ましくは、10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。1質量%未満では、重合反応が著しく低下し、また、100質量%を超えても重合生成物の収量に顕著な変化はみられないので、前記範囲が適切である。
次に、本発明の重合反応において用いる有機溶媒は、原料のジウレタンジオール及びジカルボン酸ジアルキルエステルを溶解させるものが用いられ、また、分子量の高いポリ(エステル−ウレタン)を得る点から、生成するポリ(エステル−ウレタン)に対する溶解性も良好なものを用いることが好ましい。したがって、有機溶媒は、用いる原料等を考慮して適宜選択される。例えば、後述の表1に示した一般式(2)で表されるジウレタンジオール、及びジカルボン酸ジアルキルエステルとしてアジピン酸ジエチルエステルを用いる場合は、アニソール、キシレン、トルエン、アニソール/ジメチルホルムアミド混合溶媒等が好ましく用いられ、中でもアニソールが好ましい。
また、本発明の重合反応は脱アルコール反応であるため、反応系を、脱アルコールを促進する程度に加熱(一般的には60〜110℃程度)することが好ましく、有機溶媒の沸点は前記加熱温度より高い方が好ましい。
また、本発明の重合反応は脱アルコール反応であるため、反応系を、脱アルコールを促進する程度に加熱(一般的には60〜110℃程度)することが好ましく、有機溶媒の沸点は前記加熱温度より高い方が好ましい。
ジウレタンジオール及びジカルボン酸ジアルキルエステルはほぼ等モル量用いればよく、また、有機溶媒は、ジウレタンジオール及びジカルボン酸ジアルキルエステルの合計量に対して50〜1000質量%程度用いればよい。
更に、前記の脱アルコールを促進するため、脱離アルコールをモレキュラーシーブにより反応系外に取り出すことが好ましい。
本発明のポリ(エステル−ウレタン)は、また、下記一般式(4)で表される環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下重合させることによっても製造することができる。この方法では、脱離成分がないため、DUDとジカルボン酸ジアルキルエステルからの重縮合反応によりポリ(エステル−ウレタン)を製造する場合に比較して、より速やかに開環重合が進行しかつ高分子量のものが得られる。
一般式(4)中、x、y及びzは一般式(1)におけるx、y及びzと同義であり、mは1〜8の整数を示す。
前記オリゴマーは、ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下、希釈化した条件下において反応させて得られる。原料(ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステル)に対し、1000〜10000質量%の有機溶媒を用いて、高度に希釈した条件で重合反応を行うと、一般式(4)で示されるような環状(エステル−ウレタン)オリゴマーが得られる。他の反応条件は、一般式(1)で表されるポリ(エステル−ウレタン)の製造方法と同様である。
前記オリゴマーは、ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステルを、有機溶媒中、加水分解酵素の存在下、希釈化した条件下において反応させて得られる。原料(ジウレタンジオールとジカルボン酸ジアルキルエステル)に対し、1000〜10000質量%の有機溶媒を用いて、高度に希釈した条件で重合反応を行うと、一般式(4)で示されるような環状(エステル−ウレタン)オリゴマーが得られる。他の反応条件は、一般式(1)で表されるポリ(エステル−ウレタン)の製造方法と同様である。
また、本発明のポリ(エステル−ウレタン)を有機溶媒(例えば、アニソール)中、加水分解酵素の存在下、解重合することによっても環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを製造することができる。この場合、水分が限定された条件、すなわち、水を添加しない希釈条件で解重合を行う。解重合条件(加水分解酵素、温度等)の条件はポリ(エステル−ウレタン)製造の場合と同様である。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
参考例
(ジウレタンジオールの合成)
5mLナスフラスコに炭酸エチレン0.713g(8.1mmol)及びヘキサメチレンジアミン0.465mg(4.0mmol)をはかり取り、これに攪拌子を付して、窒素雰囲気下、90℃で1日間攪拌した。反応終了後、ジメチルホルムアミド(DMF)を1mL加え、90℃で溶解し、ついでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60N:200g、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=7/1(v/v))により、Rf=0.37のフラクションを分取し、白色粉末状のジウレタンジオール1.05g(収率89%)を得た。得られたジウレタンジオールの構造解析は、1H NMRによった。図1に1H NMRグラフを示す。
同様にして、表1に示すような、炭酸エチレンまたはトリメチレンカーボネートと各種メチレン鎖長を有するジアミンの組合わせから各種ジウレタンジオール(DUD)を得た。収率を表1に示す。
参考例
(ジウレタンジオールの合成)
5mLナスフラスコに炭酸エチレン0.713g(8.1mmol)及びヘキサメチレンジアミン0.465mg(4.0mmol)をはかり取り、これに攪拌子を付して、窒素雰囲気下、90℃で1日間攪拌した。反応終了後、ジメチルホルムアミド(DMF)を1mL加え、90℃で溶解し、ついでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60N:200g、展開溶媒:クロロホルム/メタノール=7/1(v/v))により、Rf=0.37のフラクションを分取し、白色粉末状のジウレタンジオール1.05g(収率89%)を得た。得られたジウレタンジオールの構造解析は、1H NMRによった。図1に1H NMRグラフを示す。
同様にして、表1に示すような、炭酸エチレンまたはトリメチレンカーボネートと各種メチレン鎖長を有するジアミンの組合わせから各種ジウレタンジオール(DUD)を得た。収率を表1に示す。
実施例1(ポリ(エステル−ウレタン)の合成)
前記表1に示す各ジウレタンジオール(No.1〜10)と、アジピン酸ジエチルを等モル量用いて、ポリ(エステル−ウレタン)を合成した。以下に反応条件を詳細に示す。
モレキュラーシーブス4A約2gを充填した小カラムを上部に取り付けた小試験管に各ジウレタンジオール0.385mmol、アジピン酸ジエチル77.8mg(0.385mmol)、Novozym435を23.3mg(30質量%)及びアニソール0.25mLをはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、3日間攪拌した。反応終了後、DMFを5mLを加え、110℃で溶解し、桐山漏斗を用いて酵素を吸引ろ過した。エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮し、次いで80℃で6時間減圧乾燥後、再沈殿(良溶媒:DMF1mL、貧溶媒:メタノール30mL)を3回繰り返すことにより、ポリ(エステル−ウレタン)を得た。
表2に、転化率、ポリ(エステル−ウレタン)の重量平均分子量(Mw)、Mw/Mn、Tg、Tc、及びTmを示す。表2から判るように、トリメチレンカーボネートから調製したDUDを用いて製造したポリ(エステル−ウレタン)の方が、エチレンカーボネートを用いる場合よりも、より高分子量となった。
前記表1に示す各ジウレタンジオール(No.1〜10)と、アジピン酸ジエチルを等モル量用いて、ポリ(エステル−ウレタン)を合成した。以下に反応条件を詳細に示す。
モレキュラーシーブス4A約2gを充填した小カラムを上部に取り付けた小試験管に各ジウレタンジオール0.385mmol、アジピン酸ジエチル77.8mg(0.385mmol)、Novozym435を23.3mg(30質量%)及びアニソール0.25mLをはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、3日間攪拌した。反応終了後、DMFを5mLを加え、110℃で溶解し、桐山漏斗を用いて酵素を吸引ろ過した。エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮し、次いで80℃で6時間減圧乾燥後、再沈殿(良溶媒:DMF1mL、貧溶媒:メタノール30mL)を3回繰り返すことにより、ポリ(エステル−ウレタン)を得た。
表2に、転化率、ポリ(エステル−ウレタン)の重量平均分子量(Mw)、Mw/Mn、Tg、Tc、及びTmを示す。表2から判るように、トリメチレンカーボネートから調製したDUDを用いて製造したポリ(エステル−ウレタン)の方が、エチレンカーボネートを用いる場合よりも、より高分子量となった。
また、表2中のNo.5のポリ(エステル−ウレタン)について、1H NMR、及びSECで構造解析を行った。結果を図2及び図3にそれぞれ示す。
実施例2(ポリ(エステル−ウレタン)の、環状(エステル−ウレタン)オリゴマーへの解重合)
ネジ付き小試験管に表2に示すNo.5のポリ(エステル−ウレタン)を2.0mg、Novozym435を4.0mg及びアニソールを0.5mLはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、1日間攪拌した。反応終了後、DMFを5mL加え、110℃で溶解し、桐山漏斗を用いて酵素を吸引ろ過した。エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮後、減圧乾燥することで環状1及び2量体を主成分とする重量平均分子量400(分散値1.9)の環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを得た。
得られた環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの構造解析を、MALDI−TOF MS及びSECで行った、結果を図4及び図5にそれぞれ示す。
ネジ付き小試験管に表2に示すNo.5のポリ(エステル−ウレタン)を2.0mg、Novozym435を4.0mg及びアニソールを0.5mLはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、1日間攪拌した。反応終了後、DMFを5mL加え、110℃で溶解し、桐山漏斗を用いて酵素を吸引ろ過した。エバポレーターを用いて、ろ液を濃縮後、減圧乾燥することで環状1及び2量体を主成分とする重量平均分子量400(分散値1.9)の環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを得た。
得られた環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの構造解析を、MALDI−TOF MS及びSECで行った、結果を図4及び図5にそれぞれ示す。
実施例3(環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの合成)
モレキュラーシーブス4Aを充填した小カラムを上部に取り付けたナスフラスコに、アジピン酸ジメチル0.174g及びDUDNo.5のジウレタンジオール0.292g、Novozym435を34.8mg及びアニソールを5mLをはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、80℃で1日間攪拌した。反応終了後、DMF5mLに溶解し、酵素をろ過した。ろ液を濃縮後、減圧乾燥することで環状1及び2量体を主成分とする重量平均分子量400(分散値 1.7)の環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを得た。得られた環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの構造解析は、1H NMR、MALDI−TOF MS及びSECによった。結果を図6、図7及び図8にそれぞれ示す。
モレキュラーシーブス4Aを充填した小カラムを上部に取り付けたナスフラスコに、アジピン酸ジメチル0.174g及びDUDNo.5のジウレタンジオール0.292g、Novozym435を34.8mg及びアニソールを5mLをはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、80℃で1日間攪拌した。反応終了後、DMF5mLに溶解し、酵素をろ過した。ろ液を濃縮後、減圧乾燥することで環状1及び2量体を主成分とする重量平均分子量400(分散値 1.7)の環状(エステル−ウレタン)オリゴマーを得た。得られた環状(エステル−ウレタン)オリゴマーの構造解析は、1H NMR、MALDI−TOF MS及びSECによった。結果を図6、図7及び図8にそれぞれ示す。
実施例5(環状(エステル−ウレタン)1量体の開環重合)
ネジ付き小試験管に前記一般式(4)において、x=4、y=2、z=6、m=1の環状(エステル−ウレタン)1量体を80.0mg、Novozym435を16.0mg及びアニソールを0.267mLはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、2日間攪拌した。反応終了後、DMFに溶解し、酵素をろ過した。ろ液を濃縮し、次いで80℃で6時間減圧乾燥後、再沈殿前の段階で、重量平均分子量82000(分散値1.5)の白色粉末状のポリ(エステル−ウレタン)が得られた。得られたポリ(エステル−ウレタン)の構造解析は、1H NMR及びSECによった。結果を図9及び図10にそれぞれ示す。
ネジ付き小試験管に前記一般式(4)において、x=4、y=2、z=6、m=1の環状(エステル−ウレタン)1量体を80.0mg、Novozym435を16.0mg及びアニソールを0.267mLはかり取り、これに攪拌子を付し、窒素雰囲気下、110℃、2日間攪拌した。反応終了後、DMFに溶解し、酵素をろ過した。ろ液を濃縮し、次いで80℃で6時間減圧乾燥後、再沈殿前の段階で、重量平均分子量82000(分散値1.5)の白色粉末状のポリ(エステル−ウレタン)が得られた。得られたポリ(エステル−ウレタン)の構造解析は、1H NMR及びSECによった。結果を図9及び図10にそれぞれ示す。
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