JP4140804B2 - ジカプロラクトンおよびカプロラクトン重合体の製造方法 - Google Patents

ジカプロラクトンおよびカプロラクトン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素による高分子化合物の合成と分解間での可逆的反応を利用したカプロラクトン重合体から14員環ジカプロラクトン(1,8−dioxacyclotetradecane−2,9‐dione)への変換、および14員環ジカプロラクトンからカプロラクトン重合体への重合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年地球温暖化など地球環境がますます悪化しつつある危機的状況において、限りのある炭素資源(C資源)の有効利用と有限エネルギー資源の節約の観点から、サステイナブル材料利用システムの構築が急がれている。高分子製品についてみると、使用後はそのまま再使用されるか(この中にはPETボトルの繊維素材化なども含まれる)、リサイクルされるかあるいは廃棄されている。リサイクルの方法としては、マテリアルリサイクル法、ケミカルリサイクル法、サーマルリサイクル法などが用いられているが、マテリアルリサイクル法は分子量低下などの品質劣化を伴い、ケミカルリサイクル法はエネルギー多消費型であり、またサーマルリサイクル法は多量の炭酸ガスが発生するなど、それぞれ問題を内包していて、最終的にはどの方法でも廃プラスチックを排出することになり、焼却、埋め立などにより処理されているのが現状である。
炭素資源の有効利用の観点からは、最終的にはケミカルリサイクル法により原料に戻すことが理想的である。ケミカルリサイクル法には、解重合反応によるモノマーの回収や化学的分解反応による原料モノマー回収が知られているが、いずれもエネルギー多消費型で環境に対する負荷は大きく、また一般に採算性はない。
【0003】
また再利用の観点からははずれるが、環境に対する負荷が小さいポリマーとして、地中のバクテリア等により分解されるいわゆる生分解性ポリマーが注目され、種々の生分解性ポリマーが提案されている。たとえば生分解性ポリマーとして生分解性ポリエステルが知られている。その代表的なものとしてはポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ジオールとコハク酸との重縮合ポリエステルなどの脂肪族ポリエステルが挙げられる。中でもポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの開環重合により石油化学工業的に得られることから、1980年頃に既に量産化されており、特徴的な機能を有するプラスチックとして実用化が図られている。ポリカプロラクトンは融点60℃、ガラス転移温度−60℃を有する高結晶性の脂肪族ポリエステルであり、柔軟でナイロン並の抗張力がある。また、室温で放射線を照射すると、分岐構造が導入され、伸張粘度が上がる。そのため成形温度領域が拡大され、発泡製品の製造が可能となり、断熱剤等に広く利用が可能となっている。さらに近年、生分解性の機能に着目した新製品、用途開発も種々行われている。加えて、ポリカプロラクトンは多くの樹脂に対して相溶性があるので、改質剤として、各種生分解性ポリエステルとブレンドすることも検討されている。
【0004】
しかし、ポリカプロラクトンなどの生分解性ポリマーは環境に対する負荷は小さいものの、その原料は回収されないため、炭素資源が有効利用される完全循環型再利用の範疇に入るものではなく、理想的なポリマー分解方法とは云い難い。したがって、生分解性ポリマーと同様、石油エネルギー等の高エネルギーを必要とせずに低分子化合物に分解でき、しかも低分子化合物が有効利用でき、なお望むならばその低分子化合物から元のポリマーが同様に高エネルギーを消費せず得られるのであれば、低エネルギー消費型で完全循環型のポリマー製造・分解法を構築することができる。
【0005】
ポリカプロラクトンの生分解性や酵素分解性については古くは1970年代から多くの研究論文が発表され、自然界における完全生分解性はほぼ共通認識となっており、「Y.Tokiwa,T.Suzuki,Nature 270,76(1997)」、「Y.Tokiwa,T.Suzuki,K.Takeda, Agric.Biol.Chem.52,1936(1998)」には、ポリカプロラクトンの酵素分解について記載されている。
また、本発明者は先に、ポリカプロラクトンが酵素触媒により液状オリゴマー(液状の低分子量体)に分解し、このものは酵素により再重合できることを見いだし、ポリカプロラクトンの新規リサイクル法として発表した(S.Matsumura,H.Ebata,K.Toshima, Macromol.Rapid.Commun.in press.)
しかし、この方法は、ポリカプロラクトンのオリゴマーへの分解過程で水分量や不純物の影響を強く受け、生成するオリゴマーの分子量などの性状が異なり、分解反応を精密に制御することは困難である。また、オリゴマーを用いた重合反応では、減圧操作を必要とし、さらに共重合における正確な組成制御が難しく、得られる分子量分布が広くなることなど、改善の余地が残されている。
【0006】
一方、ε−カプロラクトンを酵素触媒を用いて重合する方法も知られている(「D.Knani,A.L.Gutman,D.H.Kohn,J.Polym.Sci.,Part A,Polym Chem.31,1221(1993)」、「H.Uyama,S.Kobayashi,Chem.Lett.1994,1149」、「R.T.MacDonald,S.K.Pulapura,Y.Y.Svirkin,R.A.Gross,D.L.Kaplan,G.Swift,S.Wolk, Macromolecules 28,73(1995)」、「H.Uyama,K.Takeya,N.Hoshi,S.Kobayashi,Macromolecules 28,7046(1995)」、「G.A.R.Nobes,R.J.Kazlauskas,R.H. Marchessault,Macromolecules 29,4829(1996)」、「L.A.Henderson,Y.Y.Svirkin,R.A.Gross,D.Kaplan,G.Swift,, Macro-molecules 29,7759(1996)」、「A.Cordova,T.Iversen,K.Hult,M.Martinelle,Polymer 39,6519(1998)」)。さらに、ε−カプロラクトンと環状トリメチレンカーボネートモノマーとの酵素触媒共重合についても知られている(Deng,F.;Gross,R.A.Int.J.Biolog.Macromol.1999,25,153.)
この方法は、酵素を用いるため低エネルギー・低環境負荷の方法であるといえる。しかし、ε−カプロラクトンの酵素触媒重合法は、重合速度が若干遅いことや、モノマーが低エネルギー・低環境負荷の酵素法により得られないという課題が残されている。
したがって、カプロラクトン重合体を低エネルギー・完全循環型で再利用する方法は未だ存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カプロラクトン重合体を再重合可能なモノマーへ選択的に変換する方法、および前記モノマーからカプロラクトン重合体を製造する方法を、酵素反応を用いることにより低エネルギー消費でかつ環境受容型の方法として提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、以下のジカプロラクトンの製造方法、およびカプロラクトン重合体の製造方法を提供することにより解決される。
(1)カプロラクトン重合体を溶液中、リパーゼの存在下、解重合させるジカプロラクトンの製造方法であって、前記溶液はアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンから選ばれる溶媒にカプロラクトン重合体を1〜20g/Lの濃度で溶解させたものであり、かつ前記溶液はカプロラクトン重合体に対し0.1〜5重量%の水を含むことを特徴とするジカプロラクトンの製造方法。
)リパーゼがCandida antarctica由来であることを特徴とする前記(1)に記載のジカプロラクトンの製造方法。
(A)カプロラクトン重合体をアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンから選ばれる溶媒に1〜20g/Lの濃度で溶解させ、かつ、カプロラクトン重合体に対し0.1〜5重量%の水を含む溶液中、リパーゼの存在下、解重合させてジカプロラクトンを得る工程、(B)前記(A)の工程で得たジカプロラクトンを、リパーゼの存在下、重合させる工程を含むことを特徴とするカプロラクトン重合体の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、リパーゼの存在下、カプロラクトン重合体を解重合して14員環のジカプロラクトンモノマーを製造する方法、および前記ジカプロラクトンモノマーをリパーゼの存在下重合させることによりカプロラクトン重合体を製造する方法に関する。
本発明の解重合によって生成する14員環のジカプロラクトンモノマー(1,8‐dioxacyclotetradecane−2,9−dione)は以下の構造式で表わされる。
【0010】
【化1】
Figure 0004140804
【0011】
また、本発明のカプロラクトン重合体は、分子中に以下の構造式で示される単位を繰り返し単位として有する重合体である。本発明の解重合方法を利用して効率よくジカプロラクトンを回収するために、下記単位構造を50モル%以上含有する重合体であることが好ましい。また、カプロラクトン重合体の分子量(数平均分子量)は特に制限はない。
【0012】
【化2】
Figure 0004140804
【0013】
前記式中の末端基部分にはポリマー合成法により決定されるいずれの置換基によって置換されていることが可能である。
上記単位の他に、以下の構造式(A)、構造式(B)または構造式(C)等で示される単位を含有することができるがこれら単位に限定されるものではない。前記単位は50モル%より低い含有量であることが好ましい。
【0014】
【化3】
Figure 0004140804
【0015】
式中R1は炭素数1〜17(5を除く)の直鎖または分岐のアルキレン基を、R2は炭素数2〜11の直鎖または分岐のアルキレン基を、R3は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基を、R4は炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキレン基をそれぞれ表わす。
【0016】
[カプロラクトン重合体の解重合]
本発明のカプロラクトン重合体の解重合は、カプロラクトン重合体をアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンから選ばれる溶媒に溶解し、それにリパーゼを加えて解重合溶液を調製し、該溶液を適切な温度に保持しつつ、好ましくは攪拌しながら、適切な時間解重合反応をさせることにより行われる。カプロラクトン重合体は、最初のカプロラクトン重合体の分子量には無関係にジカプロラクトンに解重合する。本発明の解重合反応においては、たとえばポリカプロラクトンを酵素で処理することにより、ジカプロラクトンモノマーを収率97%以上で得ることができる。
【0017】
本発明の解重合に用いる酵素としてはカーボネート結合を加水分解する酵素であるリパーゼが使用される。リパーゼは入手のしやすさと酵素の熱安定性により好ましく、中でもCandida antarctica由来のリパーゼ(以下において「CAリパーゼ」ということがある。)が好ましい。また、リパーゼは、固定化していても固定化していなくてもよい。リパーゼとしては、例えば、Candida antarctica由来の固定化酵素であるノボノルディスクバイオインダストリー(株)のNovozym 435(商品名)を挙げることができる。
本発明の解重合におけるリパーゼ(固定化酵素を含む)の添加量は、ポリマー当たりリパーゼ1〜500重量%、好ましくは、リパーゼ5〜100重量%である。1重量%未満では、反応は重合に偏りモノマーの生成が著しく低下し、500重量%を超えるとジカプロラクトンモノマーがさらに酵素分解を受け、ヒドロキシ酸にまで分解し、前記構造式のジカプロラクトンモノマーの収量が著しく低下する。
【0018】
本発明において用いられる溶媒であるアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンは、カプロラクトン重合体を溶解し、かつ酵素を失活させない溶媒である。水やアルコールは、生成するジカプロラクトンモノマーの酵素分解を引き起こすので好ましくない。
【0019】
カプロラクトン重合体の溶媒中の濃度は重要である。カプロラクトン重合体の濃度が小さくなるほどジカプロラクトンの濃度は増加する。濃度を溶剤1リットル当たりのジカプロラクトンの重量で表わす(g/L)と、たとえば、カプロラクトン重合体を1g/L含むトルエン溶液では97%のジカプロラクトンの収率が得られた。
解重合反応溶液中に含まれるカプロラクトン重合体の濃度は1〜20g/Lである。1g/Lより低い濃度の場合は、収率自体は特に低くないが濃度が低いため得られるジカプロラクトンの量を十分に得にくく、また20g/Lを超えるとジカプロラクトンへの変換率が低下するので、前記範囲が好ましい。
【0020】
さらに、溶媒としては水は適切ではないが、解重合の系の中に全く水が存在しないとリパーゼの活性が保てないので、系に微量の水分を添加する。リパーゼ自体が水分を保持している場合には、水を添加する必要はない。リパーゼの活性を保つための水分は、反応系中ポリカプロラクトンに対して0.1〜5重量%である。
解重合の温度は25〜80℃、好ましくは30〜50℃である。25℃より低い温度では解重合速度が小さく、また80℃を超えるとリパーゼの失活が起こり易いので前記範囲が適切である。
また、解重合の反応時間は少なくとも10時間であることが望ましい。反応時間の上限は特にないが、48時間以上行ってもそれ以上解重合は進行せず経済的に不利となるので前記範囲が適切である。10ないし48時間が一般的な反応時間である。
【0021】
[ジカプロラクトンの重合]
本発明のジカプロラクトンの重合は、ジカプロラクトンを適当な溶剤に溶解し、それにリパーゼを加えて重合溶液を調製し、該溶液を適切な温度に保持しつつ、好ましくは攪拌しながら、適切な時間重合反応をさせることにより行われる。
カプロラクトン重合体の解重合によりジカプロラクトンが生成する酵素反応は、可逆反応であるので、ジカプロラクトンをリパーゼにより重合させることができる。リパーゼは固定化されていても固定化されていなくてもよい。ジカプロラクトンの重合に用いるリパーゼとしてはCAリパーゼ(Candida antarctica lipase)、PPL(porcine pancreatic lipase)、Candida cylindracea lipase 、Lipase PS、Lipozyme IMなど、制限なく用いることができるが、特にCandida antarctica由来のリパーゼ(CAリパーゼ)が好ましく用いられる。CAリパーゼは固定化されていても固定化されていなくてもよい。CAリパーゼを用いることにより、極めて高いモノマー変換率でジカプロラクトンを重合させることが可能になった。リパーゼとしては、例えば、Candida antarctica由来の固定化酵素であるノボノルディスクバイオインダストリー(株)のNovozym 435(商品名)を挙げることができる。
【0022】
ジカプロラクトンをリパーゼを用いて重合させることにより、数平均分子量で20000までの分子量のカプロラクトン重合体が得られる。また、モノマー変換率は100%を達成することも可能である。
本発明のジカプロラクトンの重合におけるリパーゼ(固定化酵素を含む)の添加量は、ジカプロラクトン当たりリパーゼ0.1〜50重量%、好ましくは、リパーゼ0.1〜10重量%である。0.1重量%未満では、重合速度が低下し、モノマー変換率も低くなりやすく、また、50重量%を超えると生成するポリマーの分子量が低くなりやすいので、前記範囲が適切である。
【0023】
ジカプロラクトンを溶解させる溶媒としては、酵素を失活させない溶媒、たとえばアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼン等が用いられる。
酵素活性を保つための反応系中の水分量は前記カプロラクトン重合体の解重合の場合と同様である。
ジカプロラクトンの他に共重合モノマーとして、ラクチド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ベンジルβ−マロラクトネート、ペンタデカノラクトンなどの環状ラクトンや、トリメチレンカーボネート、メチルトリメチレンカーボネート、ジメチルトリメチレンカーボネートなどの環状カーボネートを共重合させることが可能である。したがって、前記構造式のカプロラクトン単位の他に、他のラクトン単位、カーボネート単位を有するポリエステルまたはポリエステルカーボネートを容易に製造することができる。
【0024】
ジカプロラクトンからカプロラクトン重合体への重合も可逆反応であるので、生成したカプロラクトン重合体からジカプロラクトンへの解重合を抑制するためには、特に重合条件を、系の水分量を抑え、重合温度を高くすることが好ましい。
ジカプロラクトンの重合において、リパーゼのジカプロラクトンに対する割合は、1:1000〜1:2の範囲が適している。
重合の温度は、30ないし85℃が可能であるが、特に40ないし75℃の範囲内で行うことが好ましい。30℃より低いと反応速度が小さくなり、また、85℃を超えると、酵素の失活が生ずるので、重合温度は前記範囲が適している。一般に、ジカプロラクトンの重合は、カプロラクトン重合体の解重合の際の温度より高いことが好ましい。
反応時間は、0.5〜48時間が適当である。0.5時間より短いと十分反応が進行せず、また、48時間を超えると生成したカプロラクトン重合体が解重合を起こしたりするので、前記時間範囲が好ましい。
【0025】
本発明のリパーゼによりカプロラクトン重合体を解重合させる方法は、ワンポットによる簡便な操作でよい他、反応条件は温和でありまた低エネルギー消費でもある。また、本発明の解重合によりカプロラクトン重合体は直接ジカプロラクトンに戻すことができる。ジカプロラクトンは、機能性、生分解性ポリマー合成のためのモノマーとして、医薬品基材や化粧品、化成品の分野における合成中間体として有用である。また、ジカプロラクトンは、生分解性発泡製品の製造原料となり、断熱剤等工業的利用が考えられる。
加えて、ジカプロラクトンは、酵素重合に適するモノマーであり、リパーゼにより、簡便な操作でかつ温和な条件で容易に重合可能であり、またその際他のモノマーと共重合させることも可能で、容易にカプロラクトン重合体を製造することができる。
さらに、解重合または重合を行うのに用いるリパーゼは、回収して繰り返し用いることができ、その際酵素としての活性の減少は実質的にないという有利な点を有する。
したがって、本発明により、低エネルギー消費で環境に対する負荷が小さく、かつ炭素資源を完全再利用することが可能な、完全循環型のカプロラクトン重合体の利用システムを構築することが可能になった。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
ポリ(カプロラクトン)(和光純薬化学工業(株)製、Mn=110000、Mw/Mn=1.6)(30mg)をトルエン(15mL)に溶解し、これに固定化リパーゼ(Novozym 435)(3mg)および水(60mg)を添加し40℃で24時間撹拌を行った。これにクロロホルムを少量加え、不溶の固定化リパーゼをセライトを用いて濾別し、濾液より溶媒をエバポレーターを用いて減圧濃縮し、14員環ジカプロラクトンモノマー(1,8−dioxacyclotetradecane−2,9−dione)を最高収率97%で得た。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行い、以下のような結果が得られた。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ=1.35-1.75(m,6H,CH2 of C-3,4 and 5),2.38(t,J=6.05Hz,2H,CH2 of C-2),4.16(t,J=5.63Hz,2H,CH2 of C-6).
13C-NMR(75MHz,CDCl3):δ=24.6,24.6,28.1(C-3,4 and 5, CH2),34.6(C-2,CH2),63.0(C-6,CH2),173.5(C-1,C=0).
元素分析値:C,63.08;H,8.73%. 計算値(C12H20O4):C,63.13;H,8.83%.
【0027】
参考例1
ポリ(カプロラクトン)(和光純薬化学工業(株)製、Mn=110000、Mw/Mn=1.6)(30mg)をトルエン(lmL)に溶解し、これに固定化リパーゼ(Novozym 435)(3mg)および水(60mg)を添加し、40℃で24時間撹拌を行った。これにクロロホルムを少量加え、不溶の固定化リパーゼをセライトを用いて濾別し、濾液より溶媒をエバポレーターを用いて減圧濃縮し、14員環ジカプロラクトンモノマー(1,8−dioxacyclotetradecane−2,9−dione)を収率80%で得た。
【0028】
実施例
ポリ(カプロラクトン)(和光純薬化学工業(株)製、Mn=110000、Mw/Mn=1.6)(1g)をトルエン(334mL)に溶解し、これに固定化リパーゼ(Novozym 435)(100mg)および水(2g)を添加し40℃で24時間撹拌を行った。これにクロロホルムを少量加え、不溶の固定リパーゼをセライトを用いて濾別し、濾液より溶媒をエバポレーターを用いて減圧濃縮し、14員環ジカプロラクトンモノマー(1,8−dioxacyclotetradecane−2,9−dione)を収率96%で得た。
【0029】
実施例
トルエン1mlに、ジカプロラクトンを0.1gおよび固定化リパーゼ(Novozym 435)を0.01g添加し、次いで液温が70℃になるまで、サーモスタット付き油浴で加熱した。溶液温度を70℃に保持し12時間攪拌した。その後クロロホルムを1ml添加し、不溶のリパーゼを濾過で除いた。減圧下クロロホルムを蒸発させ除いた。モノマー変換率は100%であった。また、ポリカプロラクトンの収率は99%であった。
GPC法により分子量を測定したところ、Mw=41800、Mn=19000、Mw/Mn=2.2であった。
得られたポリカプロラクトンの分析結果を以下に示す。
IR(KBr):2984(CH2),1748,1184(esterC=0)cm-1
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ=1.3-1.70(m,6H,CH2 of C-3,4 and 5),2.31(t,J=6.8Hz,2H,CH2of C-2),4.05(t,J=6.8Hz,2H,CH2 of C-6).
13C-NMR(75MHz,CDCl3):δ=24.5,25.5,28.3(C-3,4 and 5, CH2),34.1(C-2,CH2),64.1(C-6,CH2),174.5(C-1,C=0).
【0030】
実施例
実施例1において固定化酵素を濾過により回収し、真空で乾燥した。次いで、この酵素を用いて実施例1と同様の解重合を行ったところ、収率97%でジカプロラクトンが回収された。
【0031】
【発明の効果】
本発明のリパーゼによりカプロラクトン重合体を解重合させる方法は、ワンポットによる簡便な操作でよい他、反応条件は温和でありまた低エネルギー消費でもある。また、本発明の解重合によりカプロラクトン重合体は直接ジカプロラクトンに戻すことができる。ジカプロラクトンは、機能性、生分解性ポリマー合成のためのモノマーとして、医薬品基材や化粧品、化成品の分野における合成中間体として有用である。また、ジカプロラクトンは、生分解性発泡製品の製造原料となり、断熱剤等工業的利用が考えられる。
加えて、ジカプロラクトンは、酵素重合に適するモノマーであり、リパーゼにより、簡便な操作でかつ温和な条件で容易に重合可能であり、またその際他のモノマーと共重合させることも可能で、容易にカプロラクトン重合体を製造することができる。
さらに、解重合または重合を行うのに用いるリパーゼは、回収して繰り返し用いることができ、その際酵素としての活性の減少は実質的にないという有利な点を有する。
したがって、本発明により、低エネルギー消費で環境に対する負荷が小さく、かつ炭素資源を完全再利用することが可能な、完全循環型のカプロラクトン重合体の利用システムを構築することが可能になった。

Claims (3)

  1. カプロラクトン重合体を溶液中、リパーゼの存在下、解重合させるジカプロラクトンの製造方法であって、前記溶液はアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンから選ばれる溶媒にカプロラクトン重合体を1〜20g/Lの濃度で溶解させたものであり、かつ前記溶液はカプロラクトン重合体に対し0.1〜5重量%の水を含むことを特徴とするジカプロラクトンの製造方法。
  2. リパーゼがCandida antarctica由来であることを特徴とする請求項1に記載のジカプロラクトンの製造方法。
  3. (A)カプロラクトン重合体をアセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、トルエン、ベンゼンから選ばれる溶媒に1〜20g/Lの濃度で溶解させ、かつ、カプロラクトン重合体に対し0.1〜5重量%の水を含む溶液中、リパーゼの存在下、解重合させてジカプロラクトンを得る工程、(B)前記(A)の工程で得たジカプロラクトンを、リパーゼの存在下、重合させる工程を含むことを特徴とするカプロラクトン重合体の製造方法。
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