JP2006062230A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 紙からなる基材の少なくとも片面の表層にカチオン性物質が付与され、その上にインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙において、基材の表層に付与されたカチオン性物質の片面当りの質量が固形分で0.5〜7.5g/m2の範囲であり、インク受理層が、シリカを主成分とする填料、ポリビニルアルコールを主成分とする結着剤およびカチオン性物質を含有し、該シリカのJIS K5101:1991による吸油量が200〜290ml/100gの範囲であり、かつレーザー法による平均粒径が5〜20μmの範囲であるインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし
Description
しかし、用途に応じて記録用紙を使い分けることは、在庫負担や作業が煩雑である等の問題があり、インクジェット記録方式の利用の拡大に伴い、1つの記録用紙で両方のインクに対応できるものへの要求が、年々増大している。
インク受理層には、画像濃度、にじみ、画像の耐水性等を調整する目的で、通常、カチオン性物質が用いられる。インク受理層に適度な量のカチオン性物質を含有させる等の方法により、染料インクに適するインクジェット記録用紙を製造することは可能であった。
しかし、これに対して顔料インクで印画した場合、画像品質上の様々な問題が発生した。これを解決すべく更に顔料インクに適した条件に調整すると、染料インクでの画像品質上の様々な問題が発生し、両立が不可能であった。
これに対して、基材の上に接着層を設けそのうえに染料インク定着層、さらに最外層に顔料インク定着層を設けそれぞれの機能を分離した多層構造の記録シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、インク受理層にカチオン性物質を含有させるのみならず、更に、基材の表層にもカチオン性物質を付与するという技術が提示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、いずれの場合も、染料インクと顔料インクの両方に対して、画像濃度等の基本的な画像品質が比較的良好なインクジェット記録用紙を製造することができるが、いまだ十分ではない。
上記のように、従来、染料インクで印画した際の白抜けの防止と、顔料インクで印画した際のムラの防止、を同時に満足させるものはなかった。
さらに、インクジェット記録用紙においては、画像濃度、画像の境界部を始めとするにじみの防止等の基本的な印画品質が要求され、これらを、染料インクと顔料インクの両方に対して満たすことは不可能であった。
(1)紙からなる基材の少なくとも片面の表層にカチオン性物質が付与され、その上にインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙において、基材の表層に付与されたカチオン性物質の片面当りの質量が固形分で0.5〜7.5g/m2の範囲であり、インク受理層が、シリカを主成分とする填料、ポリビニルアルコールを主成分とする結着剤およびカチオン性物質を含有し、該シリカのJIS K5101:1991による吸油量が200〜290ml/100gの範囲であり、かつレーザー法による平均粒径が5〜20μmの範囲であることを特徴とするインクジェット記録用紙、
(2)基材の表層に付与されるカチオン性物質が、ポリビニルアミン単独又はポリビニルアミンと他のカチオン性物質との混合物である上記(1)のインクジェット記録用紙、
(3)基材がアニオン性サイズ剤を含浸させたものである上記(1)又は(2)のインクジェット記録用紙、および
(4)染料インク及び顔料インク兼用紙である上記(1)ないし(3)のインクジェット記録用紙、
を提供するものである。
本発明のインクジェット記録用紙は、紙からなる基材の少なくとも片面の表層にカチオン性物質が付与され、その上にインク受理層を設けてなるものである。
本発明において、基材として紙を用いることが必要である。(以下、この基材として用いられる紙を基紙と記することがある。)基紙に用いられる紙については特に制限されず、上質紙、中質紙、パルプ紙、ファンシーペーパー、クラフト紙などがあげられる。
紙の原料である木材パルプとしては、NBKP(針葉樹晒しパルプ)、LBKP(広葉樹晒しパルプ)、NBSP(針葉樹晒しサルファイドパルプ)、GP(砕木パルプ)、TMP(熱処理機械パルプ)、古紙パルプ等が挙げられ、非木材パルプと称されるものとしては、ケナフ、竹、リンター、麻、バガス、ワラ、アシ、エスパルト、バナナ等が挙げられ、その他のパルプとしては合成パルプ等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独であるいは併用して用いられる。さらに、これらに合成繊維を混合して用いてもよい。
また、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、保湿剤、改質剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することもできる。また、カオリン、チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの填料を添加してもよい。
また、抄紙機としては、長網抄紙機、丸網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種の公知のものを用いることができる。
基紙の坪量を上記範囲にすることで、強度と印刷時の通紙性を両立させ、インクジェット記録用紙の取り扱いが容易である。
上記、カチオン性物質は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、本発明において、ポリビニルアミンを用いると、顔料インクでの印画時のムラの防止性能がより向上するので好ましく、ポリビニルアミン、第4級アンモニウム塩重合体および水溶性変性ポリアミン系樹脂の3種類を組み合わせて用いることが、さらに好ましい。
また、カチオン性物質として上記樹脂類以外に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等を用いることもできる。例えば、塩化物イオン等のハロゲン、カルボン酸等の塩として供給することができる。
さらには、サイズプレス装置やゲートロール装置を用いる方法、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート、コンマコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート等の従来公知の種々の方法によってカチオン性物質を付与することができる。
また、抄紙機に設置された装置を用いることもでき(オンマシン)、抄紙後に別の機械を用いて行なうこともできる(オフマシン)。ここでいう、表層に付与されたとは、抄紙の段階での内添ではなく、紙に上記の方法で付与したことを意味する。
上記のように、種々の方法を用いることができるが、より好ましい方法は、圧力を加えない方法である。例として、リバースロールコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート等が挙げられる。これらを用いると、カチオン性物質が紙の表面に残る割合が多く、本発明の効果を増大させる。これに対し、ここでいう圧力を加える方法、例えばサイズプレス装置を用いる方法であると、カチオン性物質が圧力によって紙の内部に押し込められる。内部に押し込められてもその一部が表面近傍に留まっていれば本発明の効果を発揮することができるが、効果の大きさの点からは、内部に押し込められる割合が少ない方が好ましい。
カチオン性物質を付与するための液体(カチオン性物質を水等の溶剤に分散または溶解させた液体)に就いては、その中に結着剤を含有させないことが好ましい。結着剤を含有させない方が、インク吸収性やコストの面で好適である。
(a)カチオン性物質が紙の内部に染み込んでいるが、その一部またはすべてが紙の表面近傍にとどまっている。
(b)カチオン性物質が紙の表面上に点在している。
(c)カチオン性物質が紙の表面上に層をなして存在している。
カチオン性物質のすべてが紙に染み込むのではなく、カチオン性物質の少なくとも一部が紙の表面上に存在している方が、本発明の効果が向上し、好ましい。
尚、インク受理層を片面にのみ設ける場合、他の表面にカチオン性物質を付与する必要はないが、通常のサイズプレス装置のように同時に両面に付与する装置を用いる場合は、必然的にインク受理層を設けない側にもカチオン性物質を付与することになるが、この態様も本発明に含まれるものである。
また、この付与量全体は、片面のみに付与する場合の2倍となるが、いずれにせよ、インク受理層を設ける一面に付与するカチオン性物質の片面当りの量は、固形分で0.5〜7.5g/m2の範囲が必要である。上記範囲内にカチオン性物質を付与することによって、顔料インクでの印画時のムラの防止性能と、染料インクでの印画時の画像濃度がより向上する。好ましい量に就いて述べると、サイズプレス装置を用いる場合は、片面で、1.0〜7.5g/m2の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.5〜6.0g/m2の範囲である。また、その他の装置を用いる場合は、片面で、0.5〜6.0g/m2の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.6〜3.0g/m2の範囲である。
これにより、(a)染料インクでの印画の画像濃度が向上する、(b)染料インクと顔料インクの両方に対して、白抜け防止、ムラ防止、にじみ防止が全般的にバランスよく向上するという効果が得られる。
アニオン性サイズ剤としては、水溶性高分子タイプからエマルジョンタイプの各種サイズ剤が使用できるが、好ましくは、スチレン−マレイン酸系共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体塩、オレフィン−無水マレイン酸共重合体および該部分エステル又はアミド等の誘導体塩、酢酸ビニル−マレイン酸系共重合体塩などの水溶液が挙げられる。
(a)付与する量は、アニオン性サイズ剤の片面当りの固形分量で0.05〜0.6g/m2の範囲が好ましい。尚、この量は、基紙の両面のうち、インク受理層を設ける一面に付与する量である。
(b)アニオン性サイズ剤に、でんぷん、ポリビニルアルコールを混合して用いることが好ましい。その混合液の固形分濃度は、3〜20質量%の範囲が好ましい。(アニオン性サイズ剤だけでなく、固形分すべての濃度で。)
(c)付与するのに用いる装置は、サイズプレス装置が好ましい。
インク受理層には填料の主成分としてシリカを含有することが必要である。したがって、填料はシリカのみを用いればよいが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、他の填料を混合して用いても良い。
使用できる填料としては、特に有機、無機化合物の制限はなく、炭酸カルシウム、タルク、クレー、けいそう土、ポリスチレン、ポリメタクリレート、酸化チタン、焼成カオリン、含水マグネシウムシリケート等が挙げられる。これらの填料は、一種単独、又は二種以上を混合して用いてもよい。
シリカの使用量は、固形分質量比で、全填料に対し、90%以上であることが好ましい。
シリカのJIS K5101:1991による吸油量を上記範囲にすることによって、染料インクでの印画時の白抜けの防止性能が向上し、印画の境界部の滲みの発生の抑制能力が向上していると推測される。好ましくは、220〜250ml/100gの範囲である。
また、シリカのレーザー法による平均粒径を上記範囲にすることによって、画像品質が向上するとともに、インク受理層を形成するための塗工液で沈降が発生し難く、インク受理層を形成するための塗工液の増粘が無く、塗工液の扱い易さに優れる。
ここで言う平均粒径は、レーザー法を用いて測定された、2次粒子の平均粒子径である。
使用できる結着剤としては、ポリビニルブチラール、ゼラチン、ポリビニルアセタール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリプロピレン、バーサチック酸ビニル重合体、これらの共重合物、さらにはスチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、これらの共重合物等が挙げられる。
これらの結着剤は、一種単独、又は二種以上を混合して用いてもよい。
ポリビニルアルコールの使用量は、固形分質量比で、全結着剤に対し、90%以上であることが好ましい。
結着剤としてポリビニルアルコールを用いることによって、インク受理層の強度が向上する。
ポリビニルアルコールとしてはシリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなども用いることができる。
上記、カチオン性物質は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体が好ましく、染料インクおよび顔料インク両インクでの画像濃度、染料インクでの白抜け防止、顔料インクでのムラ防止を総合的に向上することができる。
さらに、本発明のインクジェット記録用紙には、本発明の効果を損なわない範囲でインク受理以外の目的を有する層も設けてもよく、例えば、隠蔽性を向上させる目的で、適当な不透明度を有する層を設けてもよく、紫外線吸収層を設けてもよい。また、カール防止のための層を設けてもよい。
インク受理層は、必要な成分を分散させたり溶解させた塗工液を塗工して乾燥させることなどによって形成することができる。塗工は、インバースロールコート、リバースロールコート、エアナイフコート、グラビアコート、ブレードコート、コンマコート、ワイヤーバーコート、カーテンコート等の従来公知の種々の方法を用いることが可能である。
なお、インクジェット記録用紙の性能は、以下に示す方法に従って評価した。
また、印画に使用したプリンターとインクは、セイコーエプソン社製の染料タイプのインクジェットプリンター(機種名:PM9000C)及びセイコーエプソン社製の顔料タイプのインクジェットプリンター(機種名:MC9000)で、それぞれ純正のインクを用いた。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのベタを印画し、反射濃度を、マクベス濃度計RD−918を用いて測定した。
(2)白抜け
ブラックのベタを印画し、目視で観察し下記の基準で評価した。
○・・・白抜けの発生無し。
△・・・白抜けが若干発生したが実用上支障無し。
×・・・白抜けが発生し、実用上支障有り。
(3)ムラ
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの混色によるレッド、グリーン、ブルーのベタを印画し、目視で観察し下記の基準で評価した。
○・・・ムラの発生無し。
△・・・ムラが若干発生したが実用上支障無し。
×・・・ムラが発生し、実用上支障有り。
(4)にじみ
イエロー、ブラックの2色のベタを、2色が接するように印画し、2色それぞれの輪郭及び2色が接する境界に就いて、画像のにじみを目視で観察し下記の基準で評価した。
○・・・にじみの発生無し。
△・・・にじみが若干発生したが実用上支障無し。
×・・・にじみが発生し、実用上支障有り。
(5)吸油量
JIS K5101:1991に準拠した。
(6)平均粒径
レーザー法により測定された2次粒子径の平均粒子径である。
ここでいう基紙処理とは、基紙にカチオン性物質を付与する処理等である。
「カチオン1」
*[日華化学社製、商品名:ネオフィックスE−117、固形分濃度50質量%、ジシアンジアミド縮合物、カチオン性]12.0質量部
*水 88.0質量部
上記物質を混合、攪拌し、均一な液体を得た。
*[星光PMC社製、商品名:IJ耐水化剤DK6854、固形分濃度50質量%、水溶性変性ポリアミン系樹脂、カチオン性]18.0質量部
*[日華化学社製、商品名:ネオフィックスCF20、固形分濃度36質量%、ポリビニルアミンと第4級アンモニウム塩の混合物、カチオン性]25.0質量部
*水 57.0質量部
上記物質を混合、攪拌し、均一な液体を得た。
「カチオン3」
*[星光PMC社製、商品名:パールガムCS、固形分濃度20質量%、スチレン−アクリル系樹脂、カチオン性] 12質量部
*水 88質量部
上記物質を混合、攪拌し、均一な液体を得た。
*[敷島スタ−チ社製、商品名:マーメイドM―200、固形分濃度87質量%以上、でんぷん]5.0質量部
*[クラレ社製、商品名:クラレポバールPVA−126、固形分濃度95質量%以上、ポリビニルアルコール]2.0質量部
*[荒川化学工業社製、商品名:ポリマロン482S、固形分濃度25質量%、アニオン性のサイズ剤]1.8質量部
*水 91.2質量部
水にマーメイドM―200、クラレポバールPVA−126を混合し、加熱溶解させてから、ポリマロン482Sを混合し、均一な液体を得た。
「インク受理層A」
*シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレ社製、商品名:クラレRポリマー R−1130、固形分濃度100質量%、〕2.8質量部
*水和アルミニウム酸化物〔日産化学工業社製、商品名:アルミナゾル200、固形分濃度10質量%、〕5.6質量部
*カチオン性樹脂〔住友化学工業社製、商品名:スミレ−ズレジン1001、固形分濃度30質量%、アクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体〕5.9質量部
*シリカ〔水澤化学工業社製、商品名:ミズカソーブC−1、固形分濃度100質量%、吸油量250ml/100g、平均粒径10.0μm〕5.4質量部
*シリカ〔富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア450、固形分濃度100質量%、吸油量200ml/100g、平均粒径8.0μm〕 5.4質量部
*水 75.0質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
*シラノール変性ポリビニルアルコール〔クラレ社製、商品名:クラレRポリマー R−1130、固形分濃度100質量%〕4.6質量部
*水和アルミニウム酸化物〔日産化学工業社製、商品名:アルミナゾル200、固形分濃度10質量%〕6.2質量部
*カチオン性樹脂〔住友化学工業社製、商品名:スミレ−ズレジン1001、固形分濃度30質量%、アクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体〕3.4質量部
*シリカ〔水澤化学工業社製、商品名:ミズカシルP−78D、固形分濃度100質量%、吸油量240ml/100g、平均粒径12.0μm〕9.1質量部
*水 76.7質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
インク受理層Bのシリカ「ミズカシルP−78D」9.1質量部を、下記のシリカに替えた以外は、インク受理層Bと同様とした。
*シリカ〔グレースジャパン社販売、商品名:サイロジェットP412、固形分濃度100質量%、吸油量280ml/100g、平均粒径12.0μm〕9.1質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
インク受理層Bのシリカ「ミズカシルP−78D」9.1質量部を、下記のシリカに替えた以外は、インク受理層Bと同様とした。
・シリカ〔ウィルバー・エリス社販売、商品名:ガシル HP395(GASIL HP395)、固形分濃度100質量%、吸油量280ml/100g、平均粒径14.5μm〕9.1質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
インク受理層Bのシリカ「ミズカシルP−78D」9.1質量部を、下記のシリカに替えた以外は、インク受理層Bと同様とした。
*シリカ〔水澤化学工業社製、商品名:ミズカシルP−50、固形分濃度100質量%、吸油量170ml/100g、平均粒径8.5μm〕9.1質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
インク受理層Bのシリカ「ミズカシルP−78D」9.1質量部を、下記のシリカに替えた以外は、インク受理層Bと同様とした。
*シリカ〔富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア370、固形分濃度100質量%、吸油量300ml/100g、平均粒径6.4μm〕9.1質量部
上記物質を混合し、均一な液体を得た。
NBKPとLBKPを離解及び叩解したものを、質量比1対3の比率で混合し、パルプに対する質量比で、澱粉を1%、内添サイズ剤を4%添加し、濾水度450mlcsfにて製造したパルプスラリーを用いて長網抄紙機により、坪量128g/m2になるよう抄造し、マシンカレンダー処理をして基紙を作製した。
基紙の片面に、「カチオン1」の液体を塗工し乾燥させた。塗工量は、固形分で1.3g/m2とした。
その上に、「インク受理層A」の塗工液を塗工して乾燥させ、インク受理層を形成し、インクジェット記録用シートを作成した。塗工量は、固形分で4.8g/m2とした。
第1表−1及び第1表−2に示す通り、基紙処理用の液体、同液体の付与の方法と付与量、インク受理層形成用の液体、それらの塗工量、を種々組み合わせ、それ以外は実施例1と同様にして、実施例2〜9および比較例1〜6のインクジェット記録用紙を作成した。評価結果についても同様に、第1表−1及び第1表−2に示す。
尚、基紙処理用の液体の付与の方法は、第1表−1及び第1表−2で「塗工」としたのは実施例1と同様であり、「サイズプレス」としたのは、抄紙機に設置されているサイズプレス装置にて抄紙と連続して含浸させたものである。また、サイズプレス装置で含浸させる場合は、基紙の両面に液体が染み込んで付与されるが、第1表−1及び第1表−2に記載の付与量は、そのうちの片面に付与された量である。尚、いずれの例においても、インク受理層は片面のみに設けた。
また、比較例5と6は、実施例5に対してシリカのみを変更したものにあたるが、シリカの吸油量が本発明の要件を満たさないと、染料インクに対する白抜けと顔料インクに対するムラの項目のいずれかが×となることが解る。
また、実施例7は、実施例9に対して、基材に付与するカチオン性物質のみを変更したものにあたるが、顔料インクに対するムラの防止性能が向上しており、本発明において、基材に付与するカチオン性物質としてポリビニルアミンを用いることの効果が示されている。
また、実施例7は、実施例8に対して、基材にカチオン性物質を付与する前にアニオン性サイズ剤を付与した点のみが異なるものにあたるが、染料インクに対する画像濃度が向上している。
Claims (4)
- 紙からなる基材の少なくとも片面の表層にカチオン性物質が付与され、その上にインク受理層を設けてなるインクジェット記録用紙において、基材の表層に付与されたカチオン性物質の片面当りの質量が固形分で0.5〜7.5g/m2の範囲であり、インク受理層が、シリカを主成分とする填料、ポリビニルアルコールを主成分とする結着剤およびカチオン性物質を含有し、該シリカのJIS K5101:1991による吸油量が200〜290ml/100gの範囲であり、かつレーザー法による平均粒径が5〜20μmの範囲であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 基材の表層に付与されるカチオン性物質が、ポリビニルアミン単独又はポリビニルアミンと他のカチオン性物質との混合物である請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 基材がアニオン性サイズ剤を含浸させたものである請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
- 染料インク及び顔料インク兼用紙である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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