JP2006061843A - 鉄粉および金属粉 - Google Patents

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Abstract


【課題】 土壌浄化時の金属還元剤として使用されることにより、副生成物や排ガスの発生を防止することができ、環境アセスメントにも配慮された鉄粉と、該鉄粉を使用した汚染土壌の浄化方法を提供すること。
【解決手段】 スラリー状の鉄粉1、または表面がカーボン被膜にて被覆されている鉄粉1、または鉄とニッケルとの合金からなる鉄粉1を、汚染土壌に対して1〜10重量%の割合で汚染土壌GPと混合撹拌することで処理土壌3を造成し、その表面を養生シート2で覆った状態で所定期間残置させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚染土壌を浄化する際に使用される鉄粉と汚染土壌の浄化方法に係り、特にPCBやトリクロロエチレン(以下、TCEとする)などの有機塩素化合物で汚染された土壌に鉄粉を混合撹拌することにより土壌を浄化するための該鉄粉と汚染土壌の浄化方法に関するものである。
土壌汚染対策法の施行(2003年2月)による特定施設廃止時の汚染調査の義務付けや、不動産鑑定基準の改定(2003年1月)により、土壌汚染が不動産価格決定の要因として加えられるなど、わが国においても土壌汚染や地下水汚染の問題が顕在化する傾向にある。土壌汚染や地下水汚染の原因となる物質は多様であるが、中でも、ジクロロメタンやTCEなどの揮発性有機塩素化合物、およびPCBやダイオキシンなどの有機塩素化合物の占める割合が高い現状である。
有機塩素化合物の一つであるPCBは、その絶縁性・化学的安定性から絶縁油・熱媒体等として広く使用されてきた物質である。昭和40年代に発生した環境汚染問題を契機にその毒性が明らかになり、昭和47年通産省令によりその製造と使用が禁止された。しかしながら、有効な処理方法が確立されず、その廃棄物は30年以上に及び保管され現在に至っている。平成13年「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択され、既に我が国もこれに批准しているが、50カ国を超える批准を得て平成16年5月に至って発効している。この条約において、PCBは製造・使用禁止9物質のひとつとして指定されるとともに平成28年までの適正処理目標が設定されている。国内でも「PCB廃棄物特別措置法」が制定され、これらのPCBを平成28年までに処理することが定められた。現在、国は環境再生保全機構を活用した拠点的な広域処理施設の立地を進め、PCB廃棄物処理の事業化を推進している。
一方、既に環境中へ放出されたPCBについて目を転じると、大気・水質などは恒常的なモニタリングと排出抑制が主な対策となるが、土壌(あるいは底質)に関しては積極的な浄化対策が望まれる。しかしながら、対象となる濃度範囲がCo−PCBのTEQ値換算で数pg/g程度の低濃度域に及ぶため、PCB原液と同様の処理ではコスト・エネルギーの両面で非効率であること、高温高圧あるいは特殊薬品使用を伴うため環境アセスメントの面から「廃PCB等処理基準」で制定された6技術、すなわち、1)高熱焼却 2)脱塩素化分解 3)水熱酸化分解 4)還元熱化学分解 5)光分解 6)プラズマ分解について、オンサイトでの適用は難しいのが現状である。すなわち、土壌汚染の場合には、原液と同じ処理ではエネルギー面において極めて非効率であり、コストが高騰するといった問題がある。さらには、高温高圧を伴う技術では、副生成物の懸念や排ガスの発生などが考えられ、環境アセスメントの面から地方自治体の許認可や周辺住民の理解が得られ難いといった問題もある。
上記の問題に対して、発明者等は、地下水の汚染領域に金属系還元剤を注入する地下水浄化方法や、地下の汚染土壌と金属系還元剤または吸着物質とを混合撹拌する土壌浄化方法に関する発明を特許文献1に開示している。
特開2001−259661号公報
特許文献1に開示の地下水および汚染土壌の浄化方法によれば、常温下で汚染物質の分解を促進することができ、排ガスなどの二次汚染の懸念も払拭することができる。しかし、金属系還元剤の具体的な仕様や浄化時の金属系還元剤の性状などの開示がなく、実際に土壌浄化等をおこなう際の実施形態の特定が困難である。
本発明の鉄粉は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、実際に土壌浄化をおこなう際に適用できるように金属還元剤としての鉄粉の実施形態を具体的に提供することを目的としている。また、本発明の鉄粉および汚染土壌の浄化方法は、土壌浄化時の金属還元剤として使用されることにより、副生成物や排ガスの発生を防止することができ、環境アセスメントにも配慮された鉄粉および汚染土壌の浄化方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による鉄粉は、汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、スラリー状であることを特徴とする。
例えば、難分解性有機塩素化合物に対して実用的な脱塩素反応速度を得るには、鉄粉の微粒化によって比表面積を増大させることが効果的である。本発明にて使用される鉄粉は、例えば湿式成形にて微細に成形された鉄粉を使用するのが好ましい。鉄粉を微細に成形することでその比表面積を増加させることができる。ここで、スラリー状の鉄粉とは、例えば鉄粉と清水などを混合することによって生成できる。スラリー濃度については特に限定するものではないが、土壌汚染の土質性状や汚染濃度などに応じた適宜の濃度を選定するのが好ましい。
また、スラリー状の鉄粉とは、汚染土壌への注入ないし散布に際して予めスラリー状に生成された鉄粉のほかに、浄化施工後の仕上がりが鉄粉を含んでスラリー化された状態にあるものも含む意味である。
鉄粉を予めスラリー状とした後に土壌に散布等する場合は、汚染土壌に該スラリー状鉄粉を分散させ易くすることができるため、施工性の向上に繋がる。また、汚染土壌をスラリー状鉄粉にてスラリー化させることにより、土粒子間の空隙を水で飽和させ、鉄粉の劣化を防止できるとともに汚染物質の分解反応の促進を図ることができる。さらには、鉄粉をスラリー状とすることで、鉄粉の発火を防止することができる。
また、本発明による鉄粉の他の実施形態は、汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、該鉄粉の表面がカーボン被膜にて被覆されていることを特徴とする。
本発明の鉄粉も湿式成形された微細な鉄粉を使用するのが好ましい。また、鉄粉の表面を被覆するカーボンとしては、例えばグラファイトなどを使用できる。なお、鉄粉の表面とは、鉄粉の全表面であっても表面の一部であってもよい。鉄粉の表面をカーボン被膜にて被覆することで、鉄粉をスラリー状としなくとも該鉄粉の発火を抑制することが可能となる。さらには、後述する鉄とニッケルとの合金からなる鉄粉と同様に、異種物質が鉄と結合ないし接触していることで、局部的な電極が形成され、鉄の腐食速度を速めることができる。なお、表面がカーボン被膜にて被覆された鉄粉をスラリー状にして汚染土壌の浄化に使用することができることは勿論のことである。
また、本発明による鉄粉の他の実施形態は、汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、該鉄粉が鉄とニッケルとの合金であることを特徴とする。
本発明の鉄粉は、例えば、高圧水を用いて熔融金属の粉砕と急冷凝固を瞬時に行い、金属粉を製造する水アトマイズ法などにより成形することができる。ところで、通常の鉄粉を高機能化させる方法としては、上記する比表面積の増大のほかに、鉄粉と異種金属との合金を使用する方法がある。特に鉄よりも貴な異種金属と鉄との合金を使用することで、鉄は還元され、形成された局部電極によって鉄の腐食速度の向上を図ることができる。かかる鉄の腐食速度の向上は、汚染土壌からの脱塩素の促進に繋がるものである。
ニッケルは、鉄に比して貴な金属であること、材料コストも比較的安価であること、ベースメタルの副次原料、すなわち合金の添加材として多用される金属であることから材料入手も容易であることなどのメリットを有している。なお、鉄とニッケルとの合金からなる鉄粉をスラリー状にして汚染土壌の浄化に使用することもできる。
また、本発明による汚染土壌の浄化方法は、前記鉄粉を使用して汚染土壌を浄化する汚染土壌の浄化方法であって、前記鉄粉と汚染土壌とを混合撹拌して処理土壌を造成し、処理土壌の表面が地上に露出している場合には養生材にて該表面を覆い、処理土壌を所定期間残置させることで汚染土壌を浄化させることを特徴とする。
スラリー状の鉄粉やカーボン被膜にて被覆された鉄粉、鉄とニッケルとの合金からなる鉄粉を汚染土壌に散布もしくは注入し、汚染土壌と該鉄粉とを混合撹拌する。汚染土壌エリアが地中の比較的深い部分にあって、地上からバックホー等の掘削マシンで掘削できない場合には、上記鉄粉を汚染土壌エリアに注入し、オーガ撹拌や二軸撹拌、カッターチェーン撹拌などによって現位置における混合撹拌をおこなうことができる。一方、浅層(深度が0〜数m程度)に汚染土壌が存在する場合には、掘削マシンで汚染土壌を掘り起こして現場ヤード内に積み上げ、自走式の混合撹拌マシンにて汚染土壌に鉄粉を散布しながら混合撹拌していくことができる。さらには、浅層の汚染土壌に地上から鉄粉を散布もしくは注入し、混合撹拌マシンにて現位置で混合撹拌させる方法もある。
鉄粉と汚染土壌とを混合撹拌して処理土壌を造成した後、処理土壌の表面が地上に露出している場合には、養生シートなどの養生材にて処理土壌の表面を覆いながら残置させる。養生材にて処理土壌の表面を覆うことにより、処理土壌の風化や、処理土壌中の水分の蒸発を防止することができる。なお、処理土壌が地表面に積み上げられて造成されている場合の残置場所については、現場内の残置ヤードのほかに、処理土壌をドラム缶等に収容させて工場内や実験室内に残置させることもできる。
また、処理土壌を残置させる所定期間は、汚染物質が分解されて、一定の濃度基準以下となるまでの期間である。したがって、この所定期間は、汚染物質の濃度や使用する鉄粉の仕様および濃度、さらには汚染土壌の性状などによって異なるものの、例えば数ヶ月〜5年程度の期間を必要とする場合が多くなるものと考えられる。
また、本発明による汚染土壌の浄化方法のより好ましい実施態様は、土壌に対する前記鉄粉の量が1〜10重量%であることを特徴とする。
土壌に対する鉄粉の量が1重量%未満の場合には、十分な浄化効果を期待することができない。一方、10重量%を超えると、浄化対象範囲や鉄粉濃度にもよるが、浄化効果の上昇に比べて施工コストの高騰が大きくなり過ぎて費用対効果の面で問題があること、土壌中の鉄分濃度が高くなり過ぎると逆に生態系への影響の問題があることなどが考えられる。発明者等は、後述する実験結果と上述する考察等をもとに、汚染土壌の浄化処理時に使用する鉄粉の汚染土壌に対する量を1〜10重量%と結論付けるに至った。
さらに、本発明による汚染土壌の浄化方法の他の実施形態としては、前記汚染土壌が、PCBやトリクロロエチレンなどの有機塩素化合物によって汚染された土壌であることを特徴とする。
以上の説明から理解できるように、本発明の鉄粉および汚染土壌の浄化方法によれば、常温下で汚染物質の分解を促進することができ、排ガスなどの二次汚染の懸念もないことから、施工中および施工後の安全性を確保することができる。したがって、工事に対する住民の理解も得られやすくなる。また、本発明の鉄粉および汚染土壌の浄化方法を、特に比較的濃度の低い有機塩素化合物による汚染土壌の浄化に適用することで、工事コストを安価なものとできるため経済的である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌を掘削している状況を示した模式図を、(b)は鉄粉を散布しながら混合撹拌している状況を示した模式図を、(c)は養生状況を示した模式図をそれぞれ示している。図2は、汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の他の実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌に鉄粉を散布して現位置にて混合撹拌している状況を示した模式図を、(b)は養生状況を示した模式図をそれぞれ示している。図3は、汚染土壌が中深度や深層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌に鉄粉を注入して現位置にて混合撹拌している状況を示した模式図を、(b)は養生状況を示した模式図をそれぞれ示している。図4は、PCB濃度の低減傾向に関する解析結果を示したグラフを示している。
使用する鉄粉1は、スラリー状の鉄粉であっても、カーボン被膜にて表面を被覆された鉄粉であっても、さらには鉄とニッケルとの合金からなる鉄粉であってもよい。鉄とニッケルとの合金の場合には、例えば、鉄に対するニッケルの重量%を2%程度とすることができる。
図1は、汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示している。地盤Gの表層に存在する汚染土壌GPを掘削マシンaにて掘削し(図1a)、現場ヤード内に積み上げていく。掘削された箇所には埋め戻し等を施しておくのが好ましい。
次に、積み上げられた汚染土壌GP上から、撹拌混合マシンbにて鉄粉1の散布と鉄粉1および汚染土壌GPの撹拌混合をおこなう(図1b)。
汚染土壌GPと鉄粉1との撹拌混合を十分におこなって処理土壌3を造成した後、養生シート2を処理土壌3の表面に被せて処理土壌3を残置させる(図1c)。残置期間は、少なくとも処理土壌3の汚染濃度が一定の濃度基準以下となるまでである。
一方、汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の他の実施形態が図2に示されている。地盤Gの表層に存在する汚染土壌GPに表層から鉄粉を散布もしくは注入しながら、混合撹拌マシンbにて現位置における混合撹拌をおこなう(図2a)。
処理土壌3の地上に露出する部分には養生シート2を被せ、処理土壌3を所定期間残置させる(図2b)。
図3は、汚染土壌が中深度や深層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示している。混合撹拌マシンcと、スラリー状の鉄粉1を収容したタンクc2と、タンクc2から混合撹拌マシンcに鉄粉1を供給するポンプc1とから浄化システムを構成しておく。地盤中に存在する汚染土壌GPまで混合撹拌マシンcのロットを挿入し、ロットの先端に備えた撹拌翼から鉄粉1を吐出させ、該撹拌翼にて汚染土壌GPと鉄粉1を混合撹拌する(図3a)。汚染土壌エリアの全域に亘ってロットの挿入および撹拌翼による鉄粉1の吐出と混合撹拌とを繰り返すことで処理土壌3が造成される(図3b)。なお、地盤の中深度や深層に汚染物質が存在する場合には、汚染調査(資料調査、表層ガス調査地下水調査、ボーリング)をおこない、汚染状況や地盤性状等に基づいて対策選定をおこない、原位置混合撹拌工法の選定をおこない、鉄粉の配合量設計をおこない、詳細な施工計画へ移行するのが好ましい。
以下に、5種類の鉄粉(金属還元剤)を使用して汚染土壌中のPCB濃度の推移を確認する実験内容およびその結果を示す。
表1に、使用した鉄粉の仕様を示している。鉄粉A,Bでは、微粒子鉄粉を利用して比表面積を大きくすることで、反応性の向上が期待できる。鉄粉Cでは、鉄よりも貴な異種金属であるニッケルと鉄との合金であるため、局部電極による腐食速度の向上が期待できる。鉄粉Dは廃材利用によるコスト面でのメリットが期待でき、鉄粉Eは、発明者等が反応性の検討の際に評価のベースとして使用してきた鉄粉である。
Figure 2006061843
比表面積の測定はBET法による。
試験方法は、風乾した5mm通過試料土壌に対して所定量の鉄粉を均一になるように混合し、空隙を蒸留水で飽和した状態を保ちながら密閉容器中で養生した。なお、試料土壌は、室内試験に使用した実汚染土壌はKC−400主体のPCBにより汚染されており、5mm通過分風乾土壌をアルカリ分解後にn−ヘキサン抽出GC−ECD分析でトータルPCB量を測定した結果、1950mg/kgと非常に高濃度であった。サンプルは必要本数作成し、一定時間ごとに抜き取って、土壌溶出濃度および土壌含有濃度を測定した。表2に鉄粉混合の試験ケースを示す。鉄粉配合量は2%および5%(一部5%のみ)とし、表1に示した5種類の異なる鉄粉について検討した。
Figure 2006061843
試験結果を表3に示す。
Figure 2006061843
表3より、比表面積が大きい鉄粉AおよびBを5%配合したCase2および4では、14日後の時点で明確な濃度低減傾向が伺えた。また、30日経過後では、全体的にPCB含有濃度が初期濃度の40%〜60%の範囲まで低減した。今後さらに詳細な異性体分布などの分析を実施し、反応メカニズムを検討する予定である。また、土壌溶出濃度については7日目のデータであるが、混合直後にほぼ定量下限値になった。これは、疎水性の強いPCBが比表面積の大きい鉄粉表面に吸着するためであると考えられる。
図4には、Case2の30日目までの分析結果にもとづいて、PCB濃度の低減傾向を推測した結果を示す。ここで、鉄粉添加量がPCB量に対して十分であり、脱塩素反応が擬一次反応に従って進行するものと仮定し、最小自乗法で求めた近似式の傾きを反応速度定数とした。その結果、PCB含有濃度が1/10になるのに80日程度を要することが示された。
今後は、さらに異性体組成の経時変化など、詳細な分析データを解析することで、脱塩素反応の進行過程を評価する必要がある。また、鉄粉(金属還元剤)の性状(例えば比表面積や異種金属の効果など)による反応性に関して、その支配要因を把握し、より効果的な高機能鉄粉を検討していく必要がある。また、PCBは疎水性が強く、土壌中では細粒分に吸着して存在すると考えられる。そのため、PCBによる汚染土壌の浄化に際しては、土質性状が脱塩素反応速度におよぼす影響を考慮し、土質性状に応じた配合設計や浄化期間の予測をすることが望ましい。
ところで、実施工にあたっては、掘削した汚染土壌あるいは原位置で鉄粉を機械撹拌により混合する。その際、鉄粉の設計配合量に対する実際の配合量のばらつきを評価することが重要となる。撹拌方法としては、オーガー撹拌方式、二軸撹拌方式、カッターチェーン撹拌方式について、揮発性有機塩素化合物を対象とした原位置混合撹拌工法の実績がある。配合の均一さを評価する目的で、混合後の脱塩素反応速度定数のばらつきを変動係数で評価した例を表4に示す。
Figure 2006061843
はモニタリングデータより算定した反応速度定数を示す。
表4より、機械撹拌後の土壌濃度のモニタリング結果から算定した反応速度定数の変動係数は40〜60%と比較的大きく、設計配合量に安全率を見込む必要がある。PCB汚染土壌に対しても同様の不均一さが見込まれ、安全率を考慮した配合設計が必要となる。また、不均一さを改善するための反応剤供給方法(スラリー化など)や撹拌工法の検討なども今後の課題であると考えられる。
汚染土壌に対する鉄粉混合の浄化効果を室内試験で評価するにあたり、TCEなどの揮発性有機塩素化合物は、揮発性が高く標準砂などを用いた模擬汚染土壌の作成が困難である。そこで、実汚染サイトから採取した土壌コア試料を用い、鉄粉混合による浄化効果を室内試験で検討することとした。
サイトAの試料土壌は既に汚染物質が揮発していたため、汚染土壌の所定量に対して所定量の浄化用鉄粉(鋳物工場ショットブラスト工程排出物)を混合し、模擬汚染溶液で飽和した。一方、サイトBの試料土壌中には汚染物質が残存していたため、鉄粉のみを混合した。以上の要領で作成した試料土壌を茶褐色ガラスバイアルビンに封入し、一定時間ごとに汚染物質濃度をヘッドスペース〜GC-PID法で定量した。なお、一旦開封したバイアルビン中の土壌濃度は変化しやすいため、分析する時間に対応した本数の試料をそれぞれ準備した。表5に試験ケースの一覧を示す。なお、サイトAおよびサイトBで使用される鉄粉は、実施例1における鉄粉Aと同様の形態(スラリー状)であって、粒径の大きな(すなわち、比表面積の小さな)鉄粉を使用した。ここでの粒径は、実施例1における鉄粉Dと同程度(すなわち、比表面積が同程度)である。このように、汚染物質の脱塩素のし易さに応じて、使用する鉄粉を適宜変えながら汚染土壌の浄化をおこなうことが望ましい。
Figure 2006061843
実験の結果、いずれの場合も概ね鉄粉配合量と濃度低減傾向は比例関係にあり、汚染物質ごとの比較ではTCEあるいはPCE(テトラクロロエチレン)と比較して、cis1,2−DCE(ジクロロエチレン)では反応速度が小さくなっている。この傾向は、水溶液系で実施した分解試験結果と同様の傾向であり、塩素価数の小さいジクロロエチレン系化合物に対する反応速度が小さくなる傾向を示した。また、粘性土と砂質土の比較では前者の方が反応速度定数は小さく、特にサイトBの実汚染土壌における相違が大きかった。
表6に各実験ケースにおける反応速度定数と計算上の半減期の一覧を示す。最も反応性の低い粘性土中のcis1,2−DCEについてもおよそ30日程度の半減期であった。実際の浄化期間を見積もる際には、施工上の鉄粉混合の不均一さや汚染物質の偏在などを考慮して一定の安全率を乗じる必要があるが、今後の詳細なメカニズムの検討やモニタリングデータの蓄積により判断する必要があるものと考えられる。
Figure 2006061843
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌を掘削している状況を示した模式図。(b)は鉄粉を散布しながら混合撹拌している状況を示した模式図。(c)は養生状況を示した模式図。 汚染土壌が浅層にある場合の汚染土壌の浄化方法の他の実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌に鉄粉を散布して現位置にて混合撹拌している状況を示した模式図。(b)は養生状況を示した模式図。 汚染土壌が中深度や深層にある場合の汚染土壌の浄化方法の一実施形態を示した図であり、(a)は汚染土壌に鉄粉を注入して現位置にて混合撹拌している状況を示した模式図。(b)は養生状況を示した模式図。 PCB濃度の低減傾向に関する解析結果を示したグラフ。
符号の説明
1…鉄粉、2…養生材(養生シート)、3…処理土壌、G…地盤、GP…汚染土壌、a…掘削マシン、b,c…混合撹拌マシン

Claims (6)

  1. 汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、
    前記鉄粉がスラリー状であることを特徴とする鉄粉。
  2. 汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、
    前記鉄粉の表面がカーボン被膜にて被覆されていることを特徴とする鉄粉。
  3. 汚染土壌と混合攪拌することによって土壌を浄化させる鉄粉であって、
    前記鉄粉が、鉄とニッケルとの合金からなることを特徴とする鉄粉。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鉄粉を使用して汚染土壌を浄化する汚染土壌の浄化方法であって、
    前記鉄粉と汚染土壌とを混合撹拌して処理土壌を造成し、処理土壌の表面が地上に露出している場合には養生材にて該表面を覆い、処理土壌を所定期間残置させることで汚染土壌を浄化させることを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
  5. 土壌に対する前記鉄粉の量が1〜10重量%であることを特徴とする請求項4に記載の汚染土壌の浄化方法。
  6. 前記汚染土壌が、PCBやトリクロロエチレンなどの有機塩素化合物によって汚染された土壌であることを特徴とする請求項4または5に記載の汚染土壌の浄化方法。
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