JP2006060095A - ダイアタッチ可能な半導体チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
表面に回路が形成されたウエハとその裏面に形成された接着剤層とを一体的にダイシングし、切断・分離された接着剤層付き半導体チップをシリコーン系粘着性ダイシングフィルムから剥離させて容易に取り出す、ダイアタッチ可能な半導体チップの製造方法を提供する。
【解決手段】
(イ) 表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる工程、
(ロ) 前記接着剤層上に、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層を重ねて貼り付ける工程、
(ハ) 前記ウエハを前記接着剤層とともに一体的にダイシングする工程、および
(ニ) 前記接着剤層を裏面に有する半導体チップを、前記粘着性ダイシングフィルムから剥離させて取り出す工程
を有してなる、接着剤層を裏面に有するダイアタッチ可能な半導体チップの製造方法。
【選択図】 なし
Description
即ち、本発明は、
(イ) 表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる工程、
(ロ) 前記接着剤層上に、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層を重ねて貼り付ける工程、
(ハ) 前記ウエハを前記接着剤層とともに一体的にダイシングする工程、および
(ニ) 前記接着剤層を裏面に有する半導体チップを、前記粘着性ダイシングフィルムから剥離させて取り出す工程
を有してなる、接着剤層を裏面に有するダイアタッチ可能な半導体チップの製造方法を提供するものである。
[接着剤層]
本発明においては、先ず(イ)工程として、表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる。
(A) フェノール性水酸基およびシロキサン結合をポリマー骨格に有するポリイミド系樹脂、
(B) 2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、および
(C) エポキシ樹脂用硬化剤
を含む接着剤組成物からなる接着剤層とすることが好ましい。前記接着剤組成物は、常温で固体であって所定形状を保ち、フィルム状薄膜を形成することができ、加熱により可塑状態を経て、硬化するものであって、ウェハおよびダイボンド工程における基材(リードフレーム等)に対し、優れた接着性を有するものである。また、弾性率が低く、耐熱性に富む硬化物を与える。
上記(A)成分のフェノール性水酸基およびシロキサン結合をポリマー骨格に有するポリイミド系樹脂としては、下記一般式(3):
(式中、Xは芳香族環または脂肪族環を含む四価の有機基であり、Yは二価の有機基であり、nは1〜300、好ましくは2〜300、より好ましくは5〜300整数である。)
で表される構造のポリイミド前駆体であるポリアミック酸、および該ポリアミック酸の閉環誘導体である下記一般式(4):
なお、イミド化が不十分である等の場合に、また所望により、ポリアミック酸とポリイミドとを組み合わせて用いることができるが、上記のとおり、接着剤層の加熱硬化時に水が副生するので、その対策が必要とされる。
上記一般式(3)で表されるポリアミック酸は、下記一般式(5):
(式中、Xは上記と同じである。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(6):
H2N−Y−NH2 (6)
(式中、Yは上記と同じである。)
で表されるジアミンとのほぼ等モル量を、常法に従って有機溶剤中で反応させることによって得ることができる。
一般式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、上記一般式(6)で表されるジアミンとしては、フェノール性水酸基を有するジアミンとジアミノシロキサン化合物との組み合わせを含むジアミンを用いることが好ましい。上記のとおり、フェノール性水酸基を有するジアミンの使用は、接着力の向上に寄与し、また、ジアミノシロキサン化合物の使用は、ポリイミド樹脂の低弾性率化に寄与するものである。
フェノール性水酸基を有するジアミンとしては、例えば、下記一般式(7):
ジアミノシロキサン化合物としては、下記一般式(2):
(式中、R2は独立に炭素原子を3〜9個有する二価の有機基であり、R3およびR4は各々独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、mは1〜200、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜80の整数である。)
で表されるジアミンが挙げられる。
等で表されるアリーレン基;これらが組み合わされたアルキレン・アリーレン基(なお、上記一般式(2)中のアミノ基は、アリーレン基中の芳香環に結合する);式:−(CH2)3−O−、式:−(CH2)4−O−等で表されるオキシアルキレン基(なお、上記一般式(2)中のアミノ基は、アルキレン基側に結合する);下記構造式:
上記一般式(6)で表されるジアミンであって、上記のフェノール性水酸基を有するジアミンおよび上記のジアミノシロキサン化合物以外のジアミン(以下、「他のジアミン」という)を更に組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸およびポリイミドの調製方法としては、例えば、上記テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを含む出発原料を、不活性な雰囲気下で溶媒に溶かし、通常、80℃以下、好ましくは0〜40℃で反応させて、ポリアミック酸を合成する。更に、得られたポリアミック酸を、通常、100〜200℃、好ましくは150〜200℃の高温下で処理することにより、ポリアミック酸の酸アミド部分を脱水閉環させ、目的とするポリイミドを合成する方法が挙げられる。
(上記各式中、R1は上記と同じである。)
で表される基から選ばれる基であり、qは1〜3の整数である。]
で表されるフェノール性水酸基を有するモノアミン等のモノアミン;またはこれら両者の組み合わせを添加することもできる。また、前記ジカルボン酸無水物およびモノアミンは、何れも、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。但し、ジカルボン酸無水物の添加量は、テトラカルボン酸二無水物に対して、通常、0〜2モル%であり、モノアミンの添加量は、ジアミンの全量に対して、通常、0〜2モル%である。
上記(B)成分の2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂に特に制限はない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル;アニリン、イソシアヌール酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものなどのグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンジエポキシド;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;クロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル;ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、上記(B)成分の2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(C)成分のエポキシ樹脂用硬化剤としては、従来から公知のものを全て使用するこことができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンアミン、メンタンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等のアミン化合物、エポキシ樹脂−ジエチレントリアミンアダクト、アミン−エチレンオキサイドアダクト、シアノエチル化ポリアミンなどの変性脂肪族ポリアミン、メラミン樹脂、アニリン樹脂等のアミノ樹脂等のアミン系化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、トリメチロールアリルオキシフェノール;低重合度のフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂、部分エポキシ化もしくはブチル化フェノール樹脂、Super Beckcite 1001(商品名、日本ライヒホールド化学工業社製)、Hitanol 4010(商品名、日立製作所社製)、Scado form L.9(商品名、Scado Zwoll社製)、Methylon 75108(商品名、ゼネラルエレクトリック社製)等の一分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を含有するフェノール樹脂;Beckamine P.138(商品名、日本ライヒホールド化学工業製)、メラン(商品名、日立製作所社製)、U−Van 10R(商品名、三井化学社製)等の炭素樹脂;式:HS(C2H4OCH2OC2H4SS)nC2H4OCH2OC2H4SH(式中、nは1〜10の整数である)で表される樹脂等の1分子中にメルカプト基を少なくとも2個有するポリスルフィド樹脂;無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、ドデシル無水こはく酸、無水クロレンディック酸等の有機酸もしくはその無水物(酸無水物)などが挙げられる。
この(C)成分のエポキシ樹脂用硬化剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
よって、本発明で用いる接着剤組成物への(B)成分の配合量は、(A)成分のポリイミド系樹脂100質量部に対して、通常、1〜900質量部、特に5〜400質量部であることが好ましい。
本発明で用いる接着剤組成物には、上記(C)エポキシ樹脂硬化剤に加えて、必要に応じて硬化促進剤を配合することができる。この硬化促進剤としては、公知のものを全て使用することができ、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。
本発明で用いる接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、更に、シリカ微粉末、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、導電性粒子等の充填剤;無機系あるいは有機系の顔料、染料等の着色剤;濡れ向上剤、酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤などを目的に応じて添加することができる。
本発明で用いる接着剤組成物は、上記(A)〜(C)成分および必要により硬化促進剤等のその他の成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。
本発明方法の(イ)工程は、表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる工程であり、上記のとおりにして得られた接着剤組成物を用いて、表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる。
本発明方法の(ロ)工程は、上記により得られたウエハ裏面の前記接着剤層上に、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層を重ねて貼り付ける工程である。なお、後述するように、前記接着剤層とシリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層とは、ウエハおよび前記接着剤層のダイシングに耐える程度に密着している必要があるが、ダイシング工程後には、両者の界面で容易に剥離し得るものでなければならない。
上記粘着性ダイシングフィルムの粘着層の原料としては、例えば、付加反応硬化型、有機酸化物硬化型等の硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、得られる硬化物が粘着性を示すように三次元網状のオルガノポリシロキサンレジンを配合したものを用いるのがよい。
上記有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
粘着性ダイシングフィルムは、基材フィルム上に、上記シリコーン系粘着剤組成物を塗布し、加熱処理して硬化させることにより形成させることができる。
上記のとおりにして得られた基材フィルム上に粘着層が形成されているシリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層面と、上記裏面に接着剤層が形成されたウエハの接着剤層面とを圧着させて張り合わせる。ここで、前記粘着層と接着剤層とを圧着させる際の圧着条件としては、常温で、通常、0.01〜2MPa、特に0.1〜1MPa程度とすることが好ましい。
(1) 環流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、および攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ジアミノシロキサン:KF−8010(商品名:信越化学社製)44.03質量部、反応溶媒として 2-メチルピロリドン 100質量部を仕込み、80℃で攪拌し、ジアミンを分散させた。これに酸無水物として2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FDA)38.72質量部と 2-メチルピロリドン 100質量部の溶液を滴下して室温で2時間攪拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
で表されるフェノール性水酸基を有する芳香族ジアミン(ジアミン−1)17.25質量部と 2-メチルピロリドン 100質量部を環流冷却器が連結されたコック付き25mLの水分定量受器、温度計、および攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに仕込み、分散させ、上記酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを滴下した後、室温で16時間攪拌し、ポリアミック酸溶液を合成した。その後、キシレン 25mLを投入してから温度を上げ、約180℃で2時間環流させた。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、180℃でキシレンを除去した。反応終了後、大過剰のメタノール中に得られた反応液を滴下し、ポリマーを析出させ、減圧乾燥してポリマー骨格にフェノール性水酸基を有するポリイミドA1を得た。
合成例1に記載の工程(1)において、酸無水物として6FDAに代えてベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)33.84質量部を用いること、ジアミノシロキサンとしてKF−8010に代えて 1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(PAM20)36質量部を用いること、2-メチルピロリドン(全量)を 401.21質量部用いること以外は、合成例1と同じにして、ポリマー骨格にフェノール性水酸基を有するポリイミドA2を得た。
合成例1に記載の工程(1)において、ジアミノシロキサン:KF−8010(商品名:信越化学社製)45.10質量部および酸無水物として6FDA 39.67質量部を用いること、工程(2)において、芳香族ジアミン(ジアミン−1)を使用せず、これに代えてBAPP 15.24質量部を用いること以外は、合成例1と同じにして、ポリマー骨格にフェノール性水酸基を有しないポリイミドAyを得た。
合成例1〜3で得られたポリイミド−A1、A2、またはAyの各40質量部をシクロヘキサノン60質量部に溶解した。この溶液に、下記構造式:
で表されるエポキシ化合物(B1):RE−600NM(商品名、日本化薬社製)、液状エポキシ樹脂(B2):RE310S(商品名、日本化薬社製)、または、エポキシクレゾールノボラック樹脂(B3):EOCN−1020−55(商品名、日本化薬社製)を表1〜表3に記載のとおりにして前記ポリイミドと組み合わせ、その各40質量部、および(C)ジシアンジアミド系硬化剤:DICY−7(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)2.0質量部を混合し攪拌して表1〜表3に記載の接着剤組成物I〜IV、並びに接着剤組成物V(比較用)を得た。
上記調製例1〜5で得られた各接着剤組成物を、フルオロシリコーン系離型剤を被覆した厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃で30分間加熱し乾燥し、厚さ約50μmの接着剤層を形成させ、各接着剤組成物−I〜VIから接着剤層−I〜VIを調製した。
(a) 式:(CH3)3SiO1/2で表されるシロキサン単位 1.1モルと、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位 1モルとの割合からなる三次元網状構造のメチルポリシロキサンレジンを60質量%含むトルエン溶液 50質量部、(b)分子鎖末端および側鎖にビニル基を100g当たり0.002モル有する、重合度2,000の生ゴム状のジメチルポリシロキサン 70質量部、並びに、(c)トルエン 80質量部を均一になるまで溶解し、次いで、この混合溶液に、(d)下記構造式:
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.64質量部と、(e)前記(b)および(d)成分の合計量に対して白金金属原子として重量基準で40 ppm なる量の、塩化白金酸の2-エチルヘキサノール変性溶液と、(f)反応抑制剤として 3-メチル-1-ブチン-3-オール 0.15質量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物D1を調製した。
上記調製例6に記載の、(a)成分(トルエン溶液)66.66質量部、(b)成分 60質量部、(c)成分 73.34質量部、(d)成分 0.55質量部、(e)成分(40 ppm)、および(f)成分0.15質量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物D2を調製した。
上記調製例6に記載の、(a)成分(トルエン溶液)83.33質量部、(b)成分 50質量部、(c)成分 66.67質量部、(d)成分 0.46質量部、(e)成分(40 ppm)、および(f)成分0.15質量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物Dxを調製した。
上記調製例6に記載の、(a)成分(トルエン溶液)25質量部、(b)成分 85質量部、(c)成分 90質量部、(d)成分 0.78質量部、(e)成分(40 ppm)、および(f)成分0.15質量部を混合して、シリコーン系粘着剤組成物Dyを調製した。
ブチルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートの質量比が75/25である共重合体(重量平均分子量:290,000)の25質量%酢酸エチル溶液 100重量部と、ジブチル錫ジラウレート 0.05質量部との混合溶液に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネ−ト 6.7重量部と酢酸エチル7重量部との混合溶液を滴下した。滴下終了後、赤外吸収スペクトル測定によりイソシアネート基(−NCO)に由来する吸収が消失するまで、60℃で加熱攪拌し、メタクリロイル基を有するアクリレート重合体を含む溶液を得た。
上記調製例6〜9で得られた各シリコーン系粘着剤組成物−D1、D2、DxまたはDyを、厚さ 100μmの無延伸ポリエチレン(LLDP)上に塗布し、100℃で10分間加熱して厚さ 15μmのシリコーン粘着層を形成させることにより、シリコーン系粘着性ダイシングフィルム−D1、D2、DxまたはDyを調製した。
上記調製例10で得られた紫外線硬化型粘着剤組成物Dzを、厚さ 100μmの無延伸ポリエチレン(LLDP)上に塗布し、100℃で10分間加熱して厚さ 30μmの粘着層を形成させ、更に、0.5ppmの酸素濃度雰囲気下で2000mJの紫外線を照射することにより、紫外線硬化型粘着性ダイシングフィルムDzを調製した。
表面に回路が形成されているシリコンウエハ(径:6インチ(15.24cm))の裏面を、上記各接着剤層−I〜Vの上に重ねて、2kg/cmの荷重で圧着し、次いでPETフィルムを剥離して除去し、接着剤層付きシリコンウエハ−I〜Vを調製した。
表面に回路が形成されているシリコンウエハ(径:6インチ(15.24cm))の裏面に、MIKASA社製;MIKASA SPINNER 1H-DS を用いて、接着剤組成物Iを500rpm/30秒および1000rpm/30秒の回転条件でスピンコートして、80℃で30分間加熱乾燥し、厚さ約50μmの接着剤層を形成した後に、上記実施例1〜5、比較例1〜6と同じにして、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムD1または紫外線硬化型粘着性ダイシングフィルムDzを貼り付けた。
表面に回路が形成されているシリコンウエハ(径:6インチ(15.24cm))の裏面に、CW Price社製Thick Film Printerと、スクリーン(厚さ:100μm)とを用いて、接着剤組成物Iをスクリーン印刷し、厚さ約50μmの接着剤層を形成した後に、上記実施例1〜5、比較例1〜6と同じにして、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムD1または紫外線硬化型粘着性ダイシングフィルムDzを貼り付けた。
(1) 上記のとおりにして得られた接着剤層−I〜Vについて、ガラス転移点、ヤング率、接着力および湿熱処理後の接着力を下記試験方法に従って測定した。結果を表1〜表3に示す。
上記接着剤層−I〜Vを175℃で1時間熱処理し、硬化させ、20mm×5mm×50μmのフィルムを得て、これを試料として、熱機械特性の測定装置:TMA−2000(商品名、アルバック理工製)を用い、引張りモード、チャック間距離:15mm、測定温度:25〜300℃、昇温速度:10℃/分、および測定荷重:10gの条件で、ガラス転移点(℃)を測定した。
上記ガラス転移点の測定に用いたものと同じ試料を用いて、動的粘弾性測定装置を用い、引張りモード、チャック間距離:15mm、測定温度:25℃、および測定周波数:30Hzの条件で、ヤング率(MPa)を測定した。
上記接着剤層−I〜Vを5mm×5mmに切断して、基材フィルム(PETフィルム)を剥離し、これを18mm×18mmの42アロイ(凸版印刷社製:KAKU−42、42アロイの試験片)に80℃,0.01MPaの条件で30秒間熱圧着し、固定した後、再度、18mm×18mmの42アロイの試験片を前記と同条件で熱圧着し、固定した。この熱圧着した積層体を、175℃で1時間加熱処理して接着剤層を硬化させ、接着用試験片(42アロイ−接着剤層−42アロイ)を作製した。その後、この接着用試験片を試料として、島津製作所社製のオートグラフ引張り試験機を用いて、速度:2.0mm/分でせん断接着力(MPa、初期値)を測定した。
上記接着用試験片を85℃/85%RHの条件下で168時間保持した。得られた湿熱処理後の接着用試験片を用いて、上記と同じにしてせん断接着力(MPa、湿熱処理後)を測定した。
上記接着剤層と上記粘着性ダイシングフィルムの粘着層とを、幅300mmのロールを用いて荷重2kgをかけて、圧着して、粘着性ダイシングフィルム付き接着剤層を幅25mmのテープ状に切り出した。接着剤層側の基材フィルム(PETフィルム)を剥離して除去し、接着剤層側の全面をステンレス板(SUS27CP、厚さ:1.0mm、幅:30mm)に80℃,0.01MPaの条件で60秒間熱圧着して、固定し、試験体とした。
上記粘着性ダイシングフィルムに貼り付けた接着剤層付シリコンウエハを、その粘着性ダイシングフィルム側の面をダイシングフレームに取り付けて、10mm×10mmの形状のチップにダイシングした。
ダイシング時乃至ダイシング終了前に、接着剤層付チップが粘着性ダイシングフィルムから剥離してチップ飛びが生じたか否かを目視により確認し、チップ飛びがなかった場合について○で表示し、チップ飛びがあった場合について×で表示した。
上記ダイシング時にチップ飛びがなかったものについて、ダイシング終了後、切断されたチップの面に直径8mmの吸引コレットを配置して、吸引により、接着剤層付チップの分離・取出し(ピックアップ)を行なった。
接着剤層付チップが粘着性ダイシングフィルムから剥離してチップ取り出しが可能であった場合について○で表示し、接着剤層付チップが粘着性ダイシングフィルムから剥離せずチップ取り出しが不可能であった場合に×で表示した。
Claims (5)
- (イ) 表面に回路が形成されたウエハの裏面に接着剤層を形成させる工程、
(ロ) 前記接着剤層上に、シリコーン系粘着性ダイシングフィルムの粘着層を重ねて貼り付ける工程、
(ハ) 前記ウエハを前記接着剤層とともに一体的にダイシングする工程、および
(ニ) 前記接着剤層を裏面に有する半導体チップを、前記粘着性ダイシングフィルムから剥離させて取り出す工程
を有してなる、接着剤層を裏面に有するダイアタッチ可能な半導体チップの製造方法。 - 前記接着剤層が、
(A) フェノール性水酸基およびシロキサン結合をポリマー骨格に有するポリイミド系樹脂、
(B) 2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、および
(C) エポキシ樹脂用硬化剤
を含む接着剤組成物から形成されたものである、請求項1に記載の製造方法。 - 前記(A)成分のポリイミド系樹脂が、テトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(1):
(式中、R1は独立に水素原子、ハロゲン原子または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基である。)
で表される構造のジアミン、および下記一般式(2):
(式中、R2は独立に炭素原子を3〜9個有する二価の有機基であり、R3およびR4は各々独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、mは1〜200の整数である。)
で表される構造のジアミンを含むジアミンとの反応生成物であるポリアミック酸、並びに、該ポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミドより成る群から選ばれるポリマーである、請求項2に記載の製造方法。 - 前記粘着性ダイシングフィルムの粘着層の前記接着剤層に対する粘着力が 0.2〜2.0N/25mmである、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記粘着性ダイシングフィルムの粘着層が、白金系触媒を含む付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物から形成されたものである、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
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