JP2006055818A - 水質指標取得方法および半透膜装置と運転方法 - Google Patents

水質指標取得方法および半透膜装置と運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】再現性欲評価することが困難であったフィルターを用いた水質指標評価を正確に行う方法、および、正確な水質指標に基づき適切に運転できる水処理装置、特に、汚れに対して敏感な半透膜装置を提供する。
【解決手段】 液体をフィルターに通して、フィルター濾過開始直後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて水質指標を取得する方法であって、少なくとも濾過開始後におけるフィルターの濾過抵抗、液体温度のいずれかに基づいてフィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗と一定時間後のフィルター濾過抵抗の少なくとも一方を補正することによって水質指標を補正することを特徴とする水質指標の取得方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、逆浸透膜をはじめとする分離膜への供給水の水質指標として、フィルターの透過性経時変化に基づいて導かれる水質取得方法、とくに、SDI(Silt Density Index)を正確に把握する方法、および水質取得方法を備えた水処理装置とその運転方法に関する。
近年、水資源の枯渇が深刻になりつつあり、これまで利用されてこなかった水資源の活用が検討されつつある。とくに、もっとも身近でそのままでは利用できなかった海水から飲料水を製造する技術、いわゆる”海水淡水化”が注目されてきている。海水淡水化は、従来、水資源が極端に少なく、かつ、石油による熱資源が非常に豊富である中東地域で蒸発法を中心に実用化されてきているが、中東のように熱源が豊富でないその他の地域ではエネルギー効率の高い逆浸透法が採用され、カリブ諸島や地中海エリアなどで多数のプラントが建設され実用運転されている。最近では、逆浸透法の技術進歩による信頼性の向上やコストダウンが進み、中東においても多くの逆浸透法海水淡水化プラントが建設され始めている。
海水淡水化においては、海水という自然水を原水とするため、その設置場所、給水場所によって水質が大きく異なることが知られており、緯度や海流から生じる温度差、湾内外などによる濃度の差、また、給水地点の深度や周辺の環境差による汚れの違いなどが海水淡水化プラントを運転する上で、非常に重要な要素となっている。この中で、とくに、原水の汚れは、逆浸透法で用いられる半透膜(逆浸透膜やナノ濾過膜)の表面を汚染し、透水性能を低下させたり、膜自体にダメージを与えたりする。このため、半透膜のメーカーは、半透膜の原水として用いることができる水質として、SDI(silt density index)という指標がある一定値以下となるように定めて、膜メーカーの定める上限値を上回る水が半透膜に供給された場合は、ただちに半透膜システムの運転負荷低減や運転停止を施している場合が多い。このSDIは、ASTM(American Standard Test Method)がD4189−95で定めている水質指標(非特許文献1参照)で、細孔径0.45μmの精密濾過フィルターに一定圧力30psi(207kPa)で通水して、一定時間経過後に透水性の低下度合いを次式で示される数値として表すものである。
Figure 2006055818
ここで、tは濾過開始直後から500mlの濾過水を得るまでの時間(秒)であり、tsは濾過開始s秒後から500mlの濾過水を得るまでの時間(秒)である。
しかしながら、SDIという指標は、一般には対象水をそのままの状態で測定するため、水質以外の要因である温度がまちまちである。しかも、SDIの測定は、フィルターに一定時間通水して透水性の低下を測定するものであるが、同じ水を同じ方法で測定しても同じSDIを得るのは非常に難しいことが知られている(非特許文献2参照)。これを解決するために、(特許文献1参照)に示されるように、測定前に加圧するという方法が試みられてはいるが、十分な測定精度を得るに至っていない。そればかりか、測定前にフィルターに通水することは、Tiが正確に測定できないことになり、本来のSDIを測定していることにはならない。
ところで、一般に温度が異なると、液の粘度の影響によってフィルターの通水速度は変化することが知られており、その結果、同じ水質でも温度が異なると一定時間の通水量に違いが生じてくる、すなわち、通水量が違うとフィルターに蓄積する汚れ量も違ってくるため、透水性低下の度合いも変化することになる。ここでは、温度が高いほど一定時間の通水量が増加するため、SDIが増大(悪化)すると考えられる。実際に、本発明者らが、同じ水の温度を変えてSDIを測定したところ、異なるSDI値を得ることが判明した。
また、SDI測定に使用されるフィルターは、いくつかのフィルターメーカーから供給されているが、フィルター自体の製造のばらつきが大きいため、同じ水でもフィルターによって
透水性が異なり、SDIが大きくばらつくという問題を有している。
その結果、正確にSDIを測定することができず、半透膜にとって適さない原水が供給されたことを的確に知ることができず、問題ない水が給水されているにもかかわらず、逆浸透膜の運転をやめて稼働率を低下させることになったり、逆に、汚れた水が給水されているにもかかわらず半透膜装置を運転して半透膜の寿命を縮めることになっていた。
ASTM D4189−95, "スタンダード・テスト・メソッド・フォー・シルト・デンジティー・インデックス・オブ・ウォーター(Standard Test Method for Silt Density Index (SDI) of Water)",1995年 N.R.G.ウォルトン(N. R. G. Walton), デザリネーション(Desalination),第61巻,1987年,p201−210 特開2004−108864号公報([0027]〜[0042]段落)
本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、測定環境やフィルターのばらつきなどに依らないSDIの正確な導出方法およびそれを用いた淡水製造方法および淡水製造装置を提供することにある。
かかる課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)液体をフィルターに通して、フィルター濾過開始直後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて水質指標を取得する方法であって、少なくとも濾過開始後におけるフィルターの濾過抵抗、液体温度のいずれかに基づいてフィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗と一定時間後のフィルター濾過抵抗の少なくとも一方を補正することによって水質指標を補正することを特徴とする水質指標の取得方法。
(2)前記水質指標がASTM D4189−95で定義されたSDI測定方法に準じて得られた、次式で示されることを特徴とする(1)に記載の水質指標の取得方法。
Figure 2006055818
ここで、
:濾過開始直後に一定透過量Qを得るために要した時間[s]
:濾過開始s分後に一定透過量Qを得るために要した時間[s]
α:少なくとも液の温度、フィルター濾過開始直後の濾過抵抗のいずれかを変数とする関数。
(3)前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする(2)に記載の水質指標の取得方法。
Figure 2006055818
ここで、
:標準条件における濾過開始直後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
im:評価条件における濾過開始直後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
sm:評価条件における濾過開始s分後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
ηstd:標準条件における粘度[Pa・s]
η:評価条件における粘度[Pa・s]
P:濾過圧力[Pa]。
(4)前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする(2)に記載の水質指標の取得方法。
Figure 2006055818
(5)前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする(2)に記載の水質指標の取得方法。
Figure 2006055818
ここで、
ssは、0<ss<sを満たす定数
(6)液体を半透膜で処理する半透膜装置の運転方法において、前記半透膜の上流の一部をフィルターに通して、フィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて、少なくとも濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗、対象液体温度のいずれかに基づいてフィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗と一定時間後のフィルター濾過抵抗の少なくとも一方を補正することによって得られた補正水質指標を取得し、前記水質指標があらかじめ定めた設定値を上回った場合に、淡水製造速度を減じることを特徴とする半透膜装置の運転方法。
(7)液体を半透膜で処理する半透膜装置であって、前記半透膜の上流の一部をフィルターに通して、フィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて、少なくとも濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗、対象液体温度のいずれかに基づいて補正された水質指標を自動取得するユニットを具備するとともに、前記水質指標があらかじめ定めた設定値を上回った場合に、淡水製造速度を減じる制御機構を備えることを特徴とする半透膜装置。
である。
本発明により、温度やフィルターの透水性の違いに依らず、正確にSDIを知ることが可能となり、半透膜を汚れから守りつつ、性能を最大限に発揮させることができる。
以下、本発明の水質指標の取得方法を図1に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる水質指標の取得装置としてSDI測定装置の構成例を示したものである。図1において、SDI測定装置は、加圧手段1,圧力計2,圧力調整器3から加圧空気をバルブ4をとおして対象水タンク5の内部を加圧し、対象水6をフィルターホルダー10に供給する。このとき、フィルターホルダーには、30psi(207kPa)の圧力が作用するように、濾過圧力調整器8を制御しながら、バルブ7を開くことによって濾過を開始し、メスシリンダー11を用いて濾過開始直後から500mlを量り、濾過するのに要した時間をt、濾過開始後s秒後から500mlを濾過するのに要した時間をtとする。
このtとtが温度,圧力,フィルターのばらつきなどの影響を受けるが、本発明者らが、鋭意検討を行った結果、SDIを次式によって求めることで、測定環境に依らない正確なSDI測定が可能となることを見出した。すなわち、
Figure 2006055818
ここで、αは、温度,圧力,フィルターの濾過抵抗,水質(フィルター閉塞定数),液の濃度などにもとづく補正係数である。
この補正係数について、濾過の基礎理論であるHermansらの取り扱い(ハーマンズ P.H.(Hermans,P.H.),ブレディー H.L.(Bredee,H.L.),ジャーナル・オブ・ソーシャル・ケミストリー & インダストリー(J.Soc.Chem.Ind.),第55巻,1936年,p1T−4T.)に基づくと
Figure 2006055818
ここで、Vは透過水量[m],kはファウリング定数[(m・Pa・s/m1−n・m−3],nはろ過定数[−],Rは透過抵抗[m・Pa・s/m]で透過係数K[m/(Pa・s・m)]の逆数として次式で表される。
透過流束:
Figure 2006055818
ここで、Pは濾過圧力[Pa],sは濾過時間[秒],Qは濾過量[m],tは濾過量Qを得るのに要する時間[秒],Aは濾過面積[m]。透過流束Jv[m/(m・s)]の温度依存性は、液の粘度ηによって
Figure 2006055818
ここで、
Jvstd:は、標準条件における透過流束[m/(m・s)]
ηstd:標準条件における粘度[Pa・s]。
ここで、述べる標準条件は特に限定されるものではないが、対象となる液体のもっとも標準的な条件とするのが好ましい。具体的には、例えば、日本近海の海水や河川水であれば、温度20℃とするのが一般的である。
(3)を解くと、
Figure 2006055818
(4)(6)式から
Figure 2006055818
Figure 2006055818
に基づき、数値積分解析を行った結果を表1に示すが、
<I> 表中(1)に示されるように、濾過状態のうち、フィルターの孔が対象液中の微粒子などによって完全にふさがれ、孔の数が減少していくという完全閉塞濾過状態(n=2)では、膜の濾過抵抗のばらつきがSDIの値に影響しない(±0.00)一方、微粒子などがフィルター表面に堆積していくケーク濾過状態(n=0)の場合には、膜の濾過抵抗の差異がSDIに大きく影響を及ぼす(±0.77)。
<II> 圧力は絶対値よりも測定中一定に保つことが重要である。(2)に示す絶対値の影響は、せいぜい±0.11であるが、(3)に示すように測定中に変化があった場合は、最大0.30とSDIに大きく影響を及ぼす。
<III> 水温は、絶対値も測定中一定に保つことも重要である。(4)(5)に示されるように水温の絶対値の変動はどのような水質であっても±0.28〜±0.48となり、無視できない。すなわち、夏期と冬期の値はそのままでは比較できない。一方、温度変化については、変動は生じるものの実際の計測中に水温変動が生じることはほとんどないので、実質的には、問題は小さい。
<IV> (6)〜(9)は計測者の手による測定誤差に関するものであるが、500mlをきちんと量り、時間計測もストップウオッチなどで測定する限りそれほど問題は生じない。計測者の手際によって生じる最も懸念された誤差が、t測定開始時間、すなわち、バルブを開いてからt計測開始するまでの時間であるが、これも数秒程度であれば遅れてもt/tに対する影響は小さい。
ことが判明した。
Figure 2006055818
<I>に関して、(9)を解析的に解くと次のようになる。
完全閉塞状態の場合は、n=2とおいて計算すると、
Figure 2006055818
ここで、Qは、t,tを測定するための時間であり、ASTM D4189−95においては、500ml。
したがって、
Figure 2006055818
となり、t/tは、膜の濾過抵抗Rに依らない。
この場合、
Figure 2006055818
なお、kは(4)式と(10)式から、次式で示される。
Figure 2006055818
一方、ケーク濾過の場合は、n=0とおいて計算すると、
Figure 2006055818
ここで、
Figure 2006055818
なので、
Figure 2006055818
したがって、
Figure 2006055818
結局、
Figure 2006055818
とすることができる。
なお、kは、(13)式から求めることができる。
これらは、対象となる水の種類によって適宜選択することができ、水中の不純物が非常に小さい高分子などのみの場合、標準閉塞濾過としてn=1.5を適用することができる。また、比較的大きな粒子が多い場合は、n=0とすることが適当である。これらは、対象水を濾過処理する場合に、濾過抵抗の経時変化を測定することで得ることができる。
ここで、本発明の主なターゲットである海水や河川水などいろいろな物質を含有している自然水のSDI測定環境下での濾過状態は、文献(M.タニグチ(M.Taniguchi),J.E.キルドゥフ(J.E.Kilduff)、 G.ベルフォルト(G.Belfort),エンバイロンメンタル・サイエンス & テクノロジー(Environ.Sci.Technol.)第37巻,2003年,p1676−1683)にも示されているように、はじめにフィルター孔の側壁にフィルター孔よりも小さな物質が多く存在する場合は、付着して孔径を小さくする過程(これを標準閉塞といい、n=1.5となる)からすぐに上述のような完全閉塞(n=2)に移行するかもしくははじめから完全閉塞状態になり、その後、孔が閉塞した上にケーク層が形成されるすなわち完全閉塞(n=2)からケーク濾過(n=0)に移行するのが一般的である。
現実には、nが徐々に減少していくことになるが、これをモデル的に、n=2とn=0の2種類の段階で濾過が起こるとすると、
Figure 2006055818
とすることができる。ここで、ssは濾過開始から濾過終了までの間の時間、すなわち、0<ss<sを満たす定数となる。このssの設定についても水の種類によって適宜選択することができるが、本発明者らが、鋭意検討を行った結果、自然水を砂濾過処理した自然水(海水,河川水,地下水)や水道水の場合、この移行時間は水質とフィルター濾過量によって変化するものの、SDI15測定においては、SDI15が2以上では、濾過開始後5分程度であることが明らかになった。その結果、このような水では、(2)式におけるαは、時間5分の値と時間s(SDI15の場合は=15分)の値を用いて次のように求めればよい。
Figure 2006055818
ここで、添え字の5は、5分後を意味する。
一方、SDI15が2以下の場合は、tの代わりに他の時間を適用することでαを適切に算出することができるが、tを使用してもそれほどの誤差は生じない。
一方、SDIを短時間で測定したい場合は、例えば、SDIやSDIが適用されることがあるが、ケーク濾過状態に入る前の段階でSDI測定する場合は、(12)式を適用することができる。すなわち、フィルターの濾過抵抗の影響はないということになる。
以上のように、補正係数αを決定するためには、フィルターの濾過に影響を及ぼす因子である、液体の温度、フィルター自体の濾過抵抗、フィルター濾過圧力のうち、少なくとも一つ、とくに、液体の温度とフィルター自体の濾過抵抗のうちどちらか一つの関数として、決定することが必要である。また、より正確にαを算出するためには、あらかじめ、濾過抵抗の経時変化をプロットして、直線的に濾過抵抗が上昇する時間ssを見出して、SDIの場合は、(22)式に示されるような式で補正することが好ましい。
本発明の水質指標が適用可能な液体は特に制限されるものではなく、基本的には水の汚さに応じて、また汚れとなる物質の大きさに応じてフィルターの孔径や濾過圧力、濾過時間を適宜選択することが可能であるが、一般的にはASTM D4189−95に示されるSDIの測定に適用するのが好ましい。
ところで、本発明にかかるSDI測定方法は海水淡水化や上水製造などにおける水質指標として用いるのに好適である。とくにSDIを測定することは非常に重要であり、これによって原水中の汚れが半透膜にあたえる影響を最小限に抑えることが可能となる。
本発明の水質指標を適用すべき液体は、特に限定されるものではなく、自然水やその処理水、生活排水、産業排水など、またアルコール溶液など有機溶媒に対しても適用することが可能であるが、本発明の趣旨における対象液体は、海水、海水を凝集処理したり濾過処理したもの、地下水、河川水や湖水などの表層水などを挙げることができる。とくに、本発明における補正手段を適用するにあたっては、ケーク濾過状態で水質指標が測定されることが特に好ましい。
本発明によって取得した水質指標は、液体処理装置の運転制御に適用することが可能である。本発明における水質指標測定手段を備えた液体処理装置としては、特に制限されるものではないが、海水やかん水の淡水化装置、地下水や河川水の清澄化,飲料水製造などの水処理装置に好適である。また、水質指標を処理された水(生産水)の水質として適用することももちろん可能であり、その場合にも、前述のようなに様々なプロセスの生産水の水質評価に用いることが可能である。ただし、フィルターよりも高度に処理された水、例えば、逆浸透膜で処理された水の場合は、フィルターがほとんど閉塞しないので、フィルターによる水質指標は適当でない。一般には、砂濾過、精密濾過、限外濾過などの処理水質評価に用いるのが好適である。
図2に本発明を適用した水処理装置の例を示す。
ここでは、原水供給ライン12に併設されたサンプリングライン13とそれに直結したフィルターを用いた水質指標測定ユニット14、濾過圧力出力15,フィルター濾過抵抗出力16,補正演算ユニット17、原水温度センサー18、温度出力19、補正水質指標出力32、ポンプ制御出力22、水処理ユニット20、原水供給ポンプ21、運転制御ユニット31からなり、原水供給ポンプ21の出力は、水質指標測定ユニットとセンサーからの入力に基づき補正演算ユニット17から出された補正水質指標出力32によって運転制御ユニットで出力制御されている。この装置では原水の補正SDI値があらかじめ設定した値を上回った場合に、原水供給ポンプ21を停止して、水処理ユニット20が水質の悪い原水によって汚染されるのを防止する。
本発明における水質指標測定ユニットとしては、対象液体をフィルターに通して、開始後におけるフィルター透過速度および一定時間後のフィルター透過速度に基づいて水質指標を取得するものであり、一般に適用されているSDIの測定ユニットが代表例としてあげられるが、特に制限されるものではない。
また、フィルターとしても、特に制限はなく、必要に応じて精密濾過フィルター、限外濾過フィルター、ナノろ過フィルターなどを用いることができ、その分画特性や透過特性など限定されるものではない。ただし、SDIの場合は、分画孔径0.45μmのフィルターを値要するように定められている。さらに、フィルターの素材も特に制限されるものではないが、水処理ユニットの素材に近いもので試験することが望ましい。すなわち、水処理ユニットがポリエチレンの精密濾過ユニットである場合は、水質指標測定ユニットにおいてもポリエチレンのフィルターで試験すると、より現実的である。なお、SDI測定においては混合セルロースエステルのフィルターを用いるのが一般的である。
つづいて、補正演算ユニットとしては、水質指標測定条件(フィルターの濾過抵抗、測定圧力、液温)に基づいて、前述した(12), (18),(19)式のいずれかに基づいた補正を行うことが好ましいが、とくに制限されるものではなく、温度のみに基づいて補正したり、フィルターの濾過抵抗のみに基づいて補正することも差し支えない。
次に、他の例として、海水淡水化半透膜装置に対する適用例を図3に示す。
図3に示す海水淡水製造装置は、海水25に前処理を施すろ過器などの前処理ユニット33と、前処理した海水を淡水化処理するために原水を昇圧供給する昇圧ポンプ23と半透膜ユニット24が設けられている。ここには、海水イオン濃度を知るための電気伝導度センサー25、温度センサー18、原水流量センサー26、透過水流量センサー27、圧力センサー28が具備されている。また、半透膜ユニット23の濃縮水ライン29には、濃縮水流量調節バルブ24が設けられている。また、昇圧ポンプ23の前から分岐させたサンプリングライン13は水質指標測定ユニット14に連結され、そこから測定条件や測定結果が補正演算ユニット17に送られる。補正演算ユニット17で算出された補正水質指標は、運転制御ユニット31に送られ、ここで昇圧ポンプ23や濃縮水バルブ30の流量を制御する。
具体的には、水質が悪くなった場合、すなわち、本発明によって補正されたSDI値が大きくなった場合、半透膜ユニット23における、透過水(生産水)の流量を減じる、すなわち、濃縮水バルブ24の開度を大きくしたり、昇圧ポンプ22の出力を下げて運転圧力を下げるという方法をとることで供給液の水質悪化に伴う膜面への汚れの蓄積を抑えることができる。さらに、SDI値があらかじめ設定された上限値を上回った場合は、淡水生産を中止し、半透膜ユニット23の汚染を防止することができる。具体的には、半透膜の場合は、運転可能上限SDIを3から5の間に設定し、これ以上になった場合は、半透膜ユニットへの海水の供給を停止し、運転を中止することができる。
ところで、本発明で用いられる水処理ユニットは、特に制限されるものではなく、砂濾過、凝集濾過、イオン交換、蒸発法、吸着法、膜分離など多種多様なプロセスを適用することができるが、フィルターの濾過抵抗の増大を水質指標としてみることから、原水の汚れに対して非常に敏感な、膜分離、中でも、逆浸透膜やナノろ過膜を用いたプロセスに特に好適に用いられる。
ここで用いられる半透膜ユニット12は、取扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に納めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いる。この流体分離素子は、平膜で形成する場合、例えば図4に示すように、多数の孔を穿設した筒状の中心パイプ37の周りに、半透膜38と、トリコットなどの透過水流路材39と、プラスチックネットなどの供給水流路材40とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。この流体分離素子において、供給水41は、一方の端部からユニット内に供給され、他方の端部に到達するまでの間に半透膜38を透過した透過水42が、中心パイプ37へと流れ、他方の端部において中心パイプ37から取り出される。一方、半透膜38を透過しなかった供給水41は、他方の端部において濃縮水43として取り出される。
半透膜42の素材には酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができる。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。
前処理ユニット33は、供給される原水の水質によって必要に応じて設置すればよく、砂濾過や精密濾過膜、限外濾過膜、また、活性炭吸着塔、キレート剤添加手段、イオン交換樹脂塔などを用いることができる。海水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってもそれら有機物を分解することはできるが活性炭ろ過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化ろ過法や接触酸化ろ過法などを用いることが好ましい。
昇圧ポンプ22は、特に限定されるものではなく、必要とする出力に応じて適宜、選定、使用することができるが、本発明において、海水を原水にする場合は、浸透圧以上の圧力を供給水に与える必要があるので、最低でも3MPaの圧力が必須であり、実質的には、5MPa以上の圧力を必要流量において出力する必要がある。
<実施例1,比較例1>
海水に塩化第二鉄を8mg/l添加した後に砂+アンスラサイトによる加圧二層濾過した水を分けてウォーターバスで異なる温度に調節した水を、ミリポア製SDI測定キット(ホルダー:ポリプロピレン製XX4304700、フィルター:セルロース混合エステル, 標準濾過抵抗R=12.44×10・Pa・s/m)を用いてASTM D4189−95に定められた方法でSDI15を測定した結果を表2に示すが、従来の(1)式で計算したSDI15は、温度が高くなるほど大きくなっており、同じ水質であるにもかかわらず、あたかも水質が悪化しているような結果を示した。一方、(20)式に基づいて算出したαを元に(2)式から算出した補正SDI15は、温度の影響が排除され、温度に関わらず、同程度の値を示した。
Figure 2006055818
<実施例2,比較例2>
フィルターに異なる同じ製品で濾過抵抗が大きく異なる(すなわち、tが異なる)ものを選び出し、温度を25℃と一定にした他は実施例1と同じ方法で、SDI15を測定した結果を表3に示すが、従来の(1)式で計算したSDI15は、全く同じ水質、温度であるにもかかわらず、SDI15に大きな差を生じた。一方、(20)式に基づいて算出したαを元に(2)式から算出した補正SDI15は、フィルターの個体差の影響が排除され、すべて同程度の値を示した。
Figure 2006055818
本発明の水質指標評価方法により、これまで正確に把握することが不可能であったフィルターによる水質指標評価を季節やフィルターのばらつきの影響なく正確に測定することが可能となり、水処理装置、特に汚れに対して敏感な半透膜装置を適切に運転することが可能となる。
本発明に係る水質指標取得方法であるSDI測定装置の概略フロー図である。 本発明に係る水質取得方法を適用した水処理装置の実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係る水質取得方法を適用した海水淡水化半透膜装置の実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係る海水淡水化半透膜装置に用いる半透膜エレメントの一例である。
符号の説明
1:加圧手段
2:圧力計
3:圧力調整器
4:エアーバルブ
5:試料水タンク
6:試料水
7:試料水バルブ
8:圧力調整器
9:圧力計
10:フィルターホルダー
11:メスシリンダー
12:原水供給ライン
13:サンプリングライン
14:水質指標測定ユニット
15:濾過圧力出力
16:フィルター濾過抵抗出力
17:補正演算ユニット
18:原水温度センサー
19:温度出力
20:水処理ユニット
21:原水供給ポンプ
22:ポンプ制御出力
23:昇圧ポンプ
24:半透膜ユニット
25:電気伝導度センサー
26:原水流量センサー
27:透過水流量センサー
28:圧力センサー
29:濃縮水ライン
30:濃縮水流量制御バルブ
31:運転制御ユニット
32:補正水質指標出力
33:前処理ユニット
34:電気伝導度出力
35:原水流量出力
36:端板
37:中心パイプ
38:半透膜
39:透過水流路材
40:原水流路材
41:供給水
42:透過水
43:濃縮水

Claims (7)

  1. 液体をフィルターに通して、フィルター濾過開始直後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて水質指標を取得する方法であって、少なくとも濾過開始後におけるフィルターの濾過抵抗、液体温度のいずれかに基づいてフィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗と一定時間後のフィルター濾過抵抗の少なくとも一方を補正することによって水質指標を補正することを特徴とする水質指標の取得方法。
  2. 前記水質指標がASTM D4189−95で定義されたSDI測定方法に準じて得られた、次式で示されることを特徴とする請求項1に記載の水質指標の取得方法。
    Figure 2006055818
    ここで、
    :濾過開始直後に一定透過量Qを得るために要した時間[s]
    :濾過開始s分後に一定透過量Qを得るために要した時間[s]
    α:少なくとも液の温度、フィルター濾過開始直後の濾過抵抗のいずれかを変数とする関数。
  3. 前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする請求項2に記載の水質指標の取得方法。
    Figure 2006055818
    ここで、
    :標準条件における濾過開始直後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
    im:評価条件における濾過開始直後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
    sm:評価条件における濾過開始s分後の濾過抵抗[m・Pa・s/m
    ηstd:標準条件における粘度[Pa・s]
    η:評価条件における粘度[Pa・s]
    P:濾過圧力[Pa]
  4. 前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする請求項2に記載の水質指標の取得方法。
    Figure 2006055818
  5. 前記補正係数αを次式によって算出することを特徴とする請求項2に記載の水質指標の取得方法。
    Figure 2006055818
    ここで、
    ssは、0<ss<sを満たす定数
  6. 液体を半透膜で処理する半透膜装置の運転方法において、前記半透膜の上流の一部をフィルターに通して、フィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて、少なくとも濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗、対象液体温度のいずれかに基づいてフィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗と一定時間後のフィルター濾過抵抗の少なくとも一方を補正することによって得られた補正水質指標を取得し、前記水質指標があらかじめ定めた設定値を上回った場合に、淡水製造速度を減じることを特徴とする半透膜装置の運転方法。
  7. 液体を半透膜で処理する半透膜装置であって、前記半透膜の上流の一部をフィルターに通して、フィルター濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗および一定時間後のフィルター濾過抵抗に基づいて、少なくとも濾過開始後におけるフィルター濾過抵抗、対象液体温度のいずれかに基づいて補正された水質指標を自動取得するユニットを具備するとともに、前記水質指標があらかじめ定めた設定値を上回った場合に、淡水製造速度を減じる制御機構を備えることを特徴とする半透膜装置。
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JP2008000658A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Miura Co Ltd 膜濾過システム
KR101317711B1 (ko) * 2013-05-23 2013-10-18 이성재 염지하수를 이용한 냉난방장치의 재순환수 담수화 시스템
CN107290495A (zh) * 2017-07-11 2017-10-24 中国科学院南京地理与湖泊研究所 基于多参数指标的河流水质评价方法

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