JP2006054061A - 導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】 貴金属元素が熔融はんだ中に溶け出すというはんだ喰われの発生が少ないだけでなく、電気伝導性に優れ、かつ、セラミック基板との接着強度の大きい厚膜導体を形成することができる導電性ペーストを提供する。
【解決手段】 導電性ペーストを、導電粉末、ガラス粉末および有機ビヒクルから構成する。前記導電粉末はAg粉末またはPd粉末を含有するAg粉末からなり、該Ag粉末は粒径2.4μm以下で、その表面はSiまたはSi系化合物で被覆する。前記ガラス粉末は粒径が14μm以下で、軟化点が580℃以下で、かつ、その含有量は前記導電粉末100質量%に対して0.2質量%以上15質量%以下とする。

Description

本発明は、セラミック基板上に厚膜導体を形成するための導電性ペーストに関し、特に、チップ抵抗器、抵抗ネットワーク及びハイブリットIC等の製造において使用される厚膜導体を形成するための導電性ペーストに関する。
セラミック基板上に厚膜導体を形成する場合、導電ペーストが用いられている。導電ペーストは、導電率の大きい導電粉末をガラス粉末とともに有機ビヒクル中に分散させて作製される。そして、この導電ペーストをアルミナ基板等のセラミック基板上にスクリーン印刷法等により所要の形状に塗布し、580〜900℃で焼成して厚膜導体を形成することが一般に行われている。
導電粉末としては、空気雰囲気で焼成しても酸化等が起きず、かつ、導電率の大きい貴金属が好適であり、Au、Ag、Pd、Ptの粉末のうち少なくとも1種が使用される。その中において比較的安価であることから、Ag及びPdが一般的に使用されている(例えば、特許文献1(特開2001−236826号公報)参照)。
また、ガラス粉末としては、軟化点の制御が容易で、化学的耐久性が高いものが一般的に用いられている。例えば、ホウケイ酸鉛系、アルミノホウケイ酸鉛系、ホウケイ酸亜鉛系、アルミノホウケイ酸亜鉛系、ホウケイ酸ビスマス系、アルミノホウケイ酸系ビスマス系等のガラス粉末である。ガラス粉末の粒径としては15μm以下のものが一般的に用いられている。
一方、チップ抵抗器、抵抗ネットワーク、ハイブリットIC等の電子部品の製造工程及び実装工程では、厚膜導体にはんだ付けが行われる。ところが、はんだ付けを行うと、厚膜導体中の貴金属元素が熔融はんだ中に溶け出して、厚膜導体が部分的に消失し、断線してしまうことがある。この現象は、はんだ喰われと呼ばれ、チップ抵抗器、抵抗ネットワーク、ハイブリットIC等の電子部品の歩留まりを低下させたり、電子部品の信頼性を低下させる原因となっている。
このはんだ喰われを防止するため、いくつかの解決策が試みられている。例えば、導電性ペースト中のガラス粉末の量を増やし、厚膜導体表面上にガラス成分を浮かせる方法や導電性ペースト中のPdの量を増やし、Agに対するPdの比を大きくする方法である。
しかしながら、導電性ペースト中のガラス粉末の量を増やす方法では、厚膜導体と電子部品との接触が不完全となったり、電子部品の特性値を測定するためのプローブと厚膜導体との接触が不完全となる等の問題がある。また、導電性ペースト中のPdの量を増やす方法では、形成された厚膜導体の抵抗値が大きくなり、回路設計を行うことが困難になるだけでなく、Agよりも高価なPdの使用量が増えることによりコストアップにもなるという問題がある。
特開2001−236826号公報
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、貴金属元素が熔融はんだ中に溶け出すというはんだ喰われの発生が少ないだけでなく、電気伝導性に優れ、かつ、セラミック基板との接着強度の大きい厚膜導体を形成することができる導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明に係る導電性ペーストの第1の態様は、導電粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを有する導電性ペーストにおいて、前記導電粉末はAg粉末を含み、かつ、該Ag粉末の表面はSiまたはSi系化合物で被覆されていることを特徴とする。
前記導電粉末のAgの含有量は、導電性ペースト100質量%に対して41.0質量%〜84.0質量%であることが好ましい。また、前記Ag粉末の粒径は、SiまたはSi系化合物による被覆を除外したとき2.4μm以下であることが好ましい。
本発明に係る導電性ペーストの第2の態様は、導電粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを有する導電性ペーストにおいて、前記導電粉末はAg粉末およびPd粉末を含み、かつ、該Ag粉末の表面はSiまたはSi系化合物で被覆されていることを特徴とする。
前記導電粉末中のAgおよびPdの含有量は、前記導電性ペースト100質量%に対して41.0質量%〜84.0質量%であることが好ましい。さらに、前記Pdの含有量は、前記導電粉末100質量%に対して20.0質量%以下であり、かつ、前記Pd粉末の粒径は0.4μm以下であることが好ましい。
また、本発明に係る導電性ペーストの第1および第2の態様において、前記SiまたはSi系化合物の含有量は、Si相当量で前記Ag粉末中のAg100質量%に対して0.4質量%〜2.4質量%であることが好ましい。
さらに、前記ガラス粉末の軟化点は580℃以下であることが好ましい。前記ガラス粉末の含有量は、前記導電粉末100質量%に対して0.2質量%〜15.0質量%であることが好ましく、また、5.0質量%〜15.0質量%であることがさらに好ましい。前記ガラス粉末の粒径は、14μm以下であることが好ましい。
本発明による導電性ペーストは、ロール分散性が良好である。また、本発明による導電性ペーストをセラミック基板上に塗布して、580℃〜900℃で焼成して形成される厚膜導体は、比抵抗が小さく、かつ、厚膜導体とセラミック基板との接着強度も大きく、さらには、熔融はんだ中に貴金属が溶け出すはんだ喰われの発生も少ない。したがって、本発明による導電性ペーストを用いることにより、低コストに、電子部品の歩留まりや信頼性を向上させることができる。
本発明者は、前述した課題を解決するため試験研究を重ねた。その結果、SiまたはSi系化合物により表面を被覆したAg粉末を導電性ペーストの主成分として用いると、はんだ喰われがほとんど発生しない厚膜導体を形成できるとの知見を得た。はんだ喰われがほとんど発生しない理由は、被覆していたSiがAg粒子の表面に残留して被覆状態を維持し、Agが熔融はんだ中に溶け出すのを抑制しているためと考えられる。
また、本発明者は、本発明の導電性ペーストに用いるガラス粉末は、十分低い軟化点を有し、かつ、焼結時の流動性が大きいことが必要であるとの知見を得た。用いるガラス粉末にこれらの特性が必要な理由は、ガラス粉末の軟化点が高かったり、焼結時の流動性が小さかったりすると、前記焼成温度域でもガラスが流動せず、Ag粉末同士が接触しにくくなり、Ag粉末の焼結を阻害しかねないからであり、また、ガラスが十分に流動しないと基板とガラスとの接触面積が大きくならず、形成される厚膜導体と基板との接着強度が小さくなるからである。
本発明は、上述した知見に基づき完成されたものである。以下、本発明に係る導電性ペーストの各構成要件における数値限定理由等について説明する。
「導電粉末」
本発明の導電性ペースト中における導電粉末として、Ag粉末とPd粉末とを用いるが、主成分はAgである。Ag粉末は、SiまたはSi系化合物により被覆されたものを用いる。Ag粒子表面を被覆したSiまたはSi系化合物は焼成処理後もAg粒子の表面に残留して被覆状態を維持し、Agが熔融はんだ中に溶け出すのを抑制する。Ag粒子表面を被覆したSiまたはSi系化合物は焼成処理後もAg粒子の表面に残留して被覆状態を維持していることは、SEMにより確認した。
AgとPdとの合計した含有量は、導電性ペースト100質量%に対して41.0質量%以上84.0質量%以下の範囲に入ることが必要である。この含有量が41.0質量%より少ないと形成された厚膜導体中の導電成分が粗となり抵抗値が大きくなってしまうからであり、一方、84.0質量%より多いと導電成分が過度な緻密状態となり、有機ビヒクル燃焼時に発生するガスが厚膜導体中から外に抜けず、厚膜導体に発泡が生じてしまうことがあるからである。
Pd粉末の添加量として適する範囲は、導電粉末100質量%に対して20.0質量%以下である。Pd粉末の含有量が20.0質量%よりも多くなると厚膜導体の比抵抗が大きくなるだけでなく、Agよりも価格の高いPdの使用量を増やすことになり、コスト的にも問題となるからである。なお、Pd粉末の添加量を、導電粉末100質量%に対して6.0質量%未満としても、はんだ喰われ性を良好に保つためには、導電性ペーストの焼成温度を850℃程度に上げることが必要であるので、この場合には、添加するガラス粉末は、軟化点が500〜580℃のものを用いることが好ましい。
Ag粉末の形状については特に限定しなくとも本発明に用いることができ、球状でも粒状でもよい。Ag粉末の粒径はSiまたはSi系化合物による被覆を除外したとき2.4μm以下であることが好ましい。Ag粉末の粒径が2.4μmよりも大きくなると形成された厚膜導体とセラミック基板との接着強度が低くなるだけでなく、形成された厚膜導体の比抵抗も大きくなり、さらに導電性ペースト自体の分散性も悪くなるからである。
Pd粉末の粒径は0.4μm以下であることが好ましい。Pd粉末の粒径が0.4μmよりも大きくなると、形成された厚膜導体にはんだ喰われが発生しやすくなってしまうだけでなく、形成された厚膜導体の比抵抗も大きくなるからである。
なお、本発明の導電性ペースト中における導電粉末は、540℃程度の温度域から焼結を始めるので、従来通りの焼成温度域の580〜900℃で焼成することにより厚膜導体を形成でき、焼成によってセラミック基板の特性及びすでに形成された導体等の特性が阻害されることはない。
「ガラス粉末」
本発明の導電性ペースト中におけるガラス粉末として、軟化点が十分に低く、焼結時の流動性が大きいガラス粉末を用いる。本発明の導電性ペーストの焼成温度域での導電粉末同士の焼結を阻害させず、かつ、基板との接着強度を向上させるためである。ガラス粉末の軟化点は、導電粉末の焼結温度との関係から580℃以下であることが必要である。
ガラス粉末の含有量は、導電粉末100質量%に対して0.2質量%〜15.0質量%の範囲であることが必要である。含有量が0.2質量%より少ないと、接着に関与するガラス成分の絶対量が不足し、厚膜導体とセラミック基板との接着強度が著しく低下する。なお、導電性ペーストの焼成温度が600℃程度以下の場合は、ガラス粉末の含有量は、導電粉末100質量%に対して5.0質量%〜15.0質量%の範囲とすることが必要である。一方、その含有量が、15.0質量%を上回ると、ガラス成分がAg粉末同士のネットワーク形成および焼結を阻害したり、厚膜導体表面にガラス成分が染み出してはんだとの濡れ性を低下させてしまう。また、電気特性検査時のプローブと厚膜導体との接触も不完全となる。
なお、このガラス粉末の粒径は14μm以下が望ましい。ガラス粉末の粒径が14μmよりも大きくなると導電性ペースト自体のロール分散性が悪くなるからである。
さらに、使用環境等を考慮すると、本発明の導電性ペースト中におけるガラス粉末は、耐候性、耐水性、耐酸性に優れていることが望ましい。なお、このような低軟化点ガラスの組成は特に限定されず、例えばPbO−SiO2−ZnO−Al23系ガラス等を用いることができる。
「有機ビヒクル」
本発明の導電性ペーストに用いる有機ビヒクルとしては、従来と同様に、エチルセルロース、ロジン系樹脂等をターピネオール、ブチルカルビトール等の溶剤に溶解したものでよい。
表1および表2は、左欄に本発明の実施例及び比較例として作製した導電性ペーストの配合条件を示し、右欄にその特性の評価結果を示す。表1は600℃焼成を行った場合で、表2は850℃焼成を行った場合である。
まず、本発明の実施例および比較例の導電性ペーストの製造に用いた材料と製造方法について説明する。導電粉末としては、表1の試料番号27および表2の試料番号28と30を除き、所要量のSiで被覆したAg粉末(標準的な粒径は1.0μm)と、Pd粉末(標準的な粒径は0.1μm)とを所定の割合で配合したものを用いた。
表1の試料番号1〜27のうち試料番号14〜16以外のものは導電粉末中の全質量を100質量%としたときのPd粉末の割合を13.0質量%とした。試料番号1〜27のうち試料番号21〜24以外のものについては導電性ペースト100質量%に対してAgとPdの合計含有量を75.0質量%とした。表2の試料番号28〜33のものについても、導電性ペースト100質量%に対してAgとPdの合計含有量を75.0質量%とした。なお、表1の試料番号27および表2の試料番号28と30については、Siでの被覆のないAg粉末(標準的な粒径は1.0μm)を用いた。
ガラス粉末としては、所要の軟化点に調整されたホウケイ酸鉛系、アルミノホウケイ酸鉛系、ホウケイ酸亜鉛系、アルミノホウケイ酸亜鉛系、ホウケイ酸ビスマス系、アルミノホウケイ酸系ビスマス系のガラスから少なくとも1種類を選択して用いた。表1及び表2に記載のガラスA、B、C、DはPbO−ZnO−SiO2−Al23系である。標準的に用いたガラス粉末は、軟化点400℃のガラスAの粉末であり、表1の試料番号1〜27のうち試料番号11〜13以外のものはガラスAの粉末を用いた。試料番号11〜13のものについては、ガラス粉末として軟化点570℃のガラスBを使用した。表2の試料番号28〜33のものについても、ガラス粉末として軟化点570℃のガラスBを使用した。
そして、前記導電粉末と前記ガラス粉末を表1及び表2に記載の割合で配合した。これに有機ビヒクルとしてエチルセルロースのターピネオール溶液を加え、3本ロールミルで混練することにより、表1および表2に記載の配合からなる導電性ペーストを作成した。
次に、表1および表2に記載の配合からなる導電性ペーストに所定の熱処理等を行い、0.6mm幅のパターンの厚膜導体を形成した。表1の600℃焼成の場合は、96%アルミナ基板上に前記各導電ペーストをスクリーン印刷し、150℃で乾燥させた後、ベルト炉で熱処理を行った。ベルト炉での熱処理は入炉から出炉まで40分で、ピーク温度600℃に5分間保持した。表2の850℃焼成の場合も、600℃焼成の場合と同様に、96%アルミナ基板上に前記各導電ペーストをスクリーン印刷し、150℃で乾燥させた後、ベルト炉で熱処理を行った。ただし、ベルト炉での熱処理は入炉から出炉まで30分で、ピーク温度850℃に9分間保持した。
試料番号1〜6の実施例および比較例は、Siの被覆量が厚膜導体および導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、Siの被覆量をAg粉末100質量部に対して0〜2.5質量%に調整した。
試料番号7〜10および試料番号4の実施例および比較例は、ガラス粉末の含有量が厚膜導体及び導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、ガラス粉末としては粒径5.0μm、軟化点400℃のガラスAを用い、その含有量を導電粉末100質量%に対して4.0〜16.0質量%に調整した。
試料番号11〜13の実施例については、ガラス粉末の軟化点が厚膜導体及び導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、ガラス粉末としては粒径5.0μm、軟化点570℃のガラスBを用い、その含有量を導電粉末100質量%に対して6.0〜14.0質量%に調整した。
試料番号14〜16及び試料番号4の実施例及び比較例は、Pd粉末の含有量が厚膜導体及び導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、導電粉末100質量%に対してPd粉末の含有量を5.0〜15.0質量%に調整した。
試料番号17および18並びに試料番号4の実施例および比較例は、Si被覆Ag粉末の粒径が厚膜導体及び導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、Si被覆を行う前のAg粉末の粒径を1.0μm〜2.5μmに調整した。
試料番号19および20並びに試料番号4の実施例及び比較例は、Pd粉末の粒径が厚膜導体及び導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、Pd粉末の粒径を0.1μm〜0.5μmに調整した。
試料番号21〜24並びに試料番号4の実施例および比較例は、導電粉末中のAgとPdの合計含有量が厚膜導体および導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、導電性ペースト100質量%に対してAgとPdの合計含有量を40.0〜85.0質量%に調整した。
試料番号25および26並びに試料番号4の実施例および比較例は、ガラス粉末の粒径が厚膜導体および導電性ペーストの特性に及ぼす影響を調べるためのもので、ガラスAと同一成分のガラス粉末の粒径を5.0μm〜15.0μmに調整した。
試料番号27の比較例は、Ag粉末へのSi被覆の効果を調べるためのもので、Si被覆をしていないAg粉末とPd粉末からなる導電粉末にSiO2粉末をAg100質量%に対して1.0質量%添加し3本ロールミルで混練したものである。試料番号27の比較例は、Siの被覆量をAg粉末中のAg100質量%に対して1.0質量%に調整した試料番号4の実施例と比較した。
表2は、前述のように、850℃焼成を行った場合の導電性ペーストの配合条件と得られた厚膜導体の特性を示したものである。試料番号28の比較例は、Si被覆をしていないAgにSiO2粉末をAg100質量%に対して0.5質量%添加したものである。Pdの含有量は0である。試料番号29の実施例はAg粉末に0.5質量%のSi被覆を行ったものである。試料番号30の比較例は、導電粉末100質量%としたときのPd粉末の含有量を0.7質量%としたもので、他の配合条件は試料番号28の比較例と同様である。試料番号31、32および33の実施例は、導電粉末100質量%としたときにPdの含有量をそれぞれ0.7、7.0及び13.0質量%としたもので、他の配合条件は試料番号29の実施例と同様である。なお、試料番号28〜33のいずれもガラス粉末の含有量を導電粉末100質量%に対して0.3質量%とした。
表1および表2の右欄には、導電性ペーストを3本ロールミルで作製した時の分散性、得られた各試料の厚膜導体についての外観、10μm換算抵抗値、接着強度及びはんだ喰われを測定又は評価した結果を示す。
まず、各測定内容及び評価内容について説明する。導電性ペーストのロール分散性は、出来上がった厚膜導体ペーストをグラインドゲージを用いて測定し、組織粒の大きさが12μm以下を○(良好)、13μm以上を×(不良)の評価とした。
厚膜導体の焼成外観については、2.0×2.0mmの厚膜導体の表面を工場顕微鏡を用いて観察して評価した。
厚膜導体の抵抗値については、通常の厚膜導体の幅の100倍である0.6mm幅の厚膜導体のパターンについて、デジタルマルチメーターを用いて測定した。判断基準は、10μm換算抵抗値で35Ωとし、35Ω未満を良好、35Ω以上を不良とした。
厚膜導体の接着強度は、2.0×2.0mmの厚膜導体上に直径0.65mmのSnめっき銅線を63%Sn/37%Pbはんだを用いてはんだ付けし、垂直方向に引っ張ることにより、厚膜導体がセラミック基板から剥離するときの引張り力を測定することにより求めた。判断基準は接着強度35Nとし、35N以上を良好、35N未満を不良とした。
はんだ喰われについては、2.0×2.0mmの大きさの厚膜導体を、225〜235℃に保持した63%Sn/37%Pbはんだ浴中に25秒浸漬し、浸漬後の厚膜導体の表面を工場顕微鏡にて観察し、残存面積を測定することにより評価した。判断基準は、残存面積70%未満を×(不良)、残存面積70%以上85%未満を○(良好)、残存面積85%以上を◎(極めて良好)とした。
Figure 2006054061
Figure 2006054061
次に、表1および表2の右欄に示す各実施例および比較例についての試験結果について説明する。
比較例である試料番号1および2は、Ag粉末表面へのSi被覆量が本発明における好ましい範囲の下限値である0.4質量%(Ag100質量%に対して)を下回っているので、はんだ喰われが基準以上に生じた。
比較例である試料番号6は、Ag粉末表面へのSi被覆量が本発明における好ましい範囲の上限値である2.4質量%(Ag100質量%に対して)を上回っているので、厚膜導体とセラミック基板との接着強度が不足する結果となった。
比較例である試料番号7は、ガラス粉末の添加量が本発明における好ましい範囲の下限値である5.0質量%(導電粉末100質量%に対して)を下回っているので、厚膜導体とセラミック基板との接着強度が不足する結果となった。ただし、試料番号31〜33の実施例のように焼成温度を上げ、かつ、軟化点温度の高いガラス粉末を使用することで、該下限を下回る含有量でも十分な接着強度が得られた。
比較例である試料番号10は、ガラス粉末の添加量が本発明における好ましい範囲の上限値である15.0質量%(導電粉末100質量%に対して)を上回っているので、10μm換算抵抗値が基準値35Ωを上回る結果となった。また、厚膜導体とセラミック基板との接着強度が不足する結果となった。さらに、焼成後の厚膜導体の外観にガラスの染み出しが観察された。
比較例である試料番号14は、Pd粉末の含有量が導電粉末100質量%に対して5.0質量%と小さく、かつ、焼成温度が600℃と低いため、はんだ喰われが基準以上に生じた。ただし、実施例である試料番号29、31〜33のように焼成温度を850℃に上げることにより、Pd粉末の含有量が該下限を下回る場合でも、はんだ喰われを防止することができた。
比較例である試料番号17は、Ag粉末の粒径が本発明における好ましい範囲の上限値である2.4μmを上回っているので、ロール分散性は基準よりも悪い結果となった。ロール分散性が悪いため、導電粉末同士の焼結が十分に行われておらず、10μm換算抵抗値が基準値35Ωと同じ値となった。また、セラミック基板との接着強度も基準を下回る結果となった。
比較例である試料番号19は、Pd粉末の粒径が本発明における好ましい範囲の上限値である0.4μmを上回っているので、はんだ喰われが基準以上に生じるとともに、10μm換算抵抗値が基準値35Ωを上回る結果となった。Pd粉末の粒径が本発明における好ましい範囲の上限値である0.4μmを上回っているので、導電粉末同士の焼結が十分に行われなかったためと思われる。
比較例である試料番号21は、導電粉末中のAgとPdの合計質量が本発明における好ましい範囲の下限値である41.0質量%(導電性ペーストの全質量を100質量%とする)を下回っているので、はんだ喰われが基準以上に生じた。また、10μm換算抵抗値が基準値35Ωを上回る結果となった。さらに、厚膜導体とセラミック基板との接着強度が不足する結果となった。さらにまた、焼成後の厚膜導体の外観には所々に空隙が観察され、粗な構造となっていた。
比較例である試料番号24は、導電粉末中のAgとPdの合計質量が本発明における好ましい範囲の上限値である84.0質量%(導電性ペーストの全質量を100質量%とする)を上回っているので、焼成後の外観には発泡が観察された。このため、10μm換算抵抗値、接着強度及びはんだ喰われについての評価は行わなかった。
比較例である試料番号26は、ガラス粉末の粒径が本発明における好ましい範囲の上限値である14μmを上回っているので、ロール分散性は基準よりも悪い結果となった。
比較例である試料番号27は、Ag粉末の表面にSiを被覆することの代わりに、SiO2をAg粉末100質量%に対して1.0質量%添加しているが、はんだ喰われが基準以上に生じた。このことから、Ag粉末の表面にSiを被覆することがはんだ喰われの発生を防止する上で重要であると判断できる。
比較例である試料番号28及び30は、Ag粉末の表面にSiを被覆することの代わりに、SiO2をAg粉末100質量%に対して0.5質量%添加した導電性ペーストを850℃で焼成したものであるが、はんだ喰われが基準以上に生じた。このことから、Ag粉末の表面にSiを被覆することがはんだ喰われの発生を防止する上で重要であると判断できる。
上述した各比較例の導電性ペーストに対して、本発明における好ましい範囲内である各実施例(試料番号3〜5,8,9,11〜13,15,16,18,20,22,23,25,29,31〜33)の導電性ペーストから形成された厚膜導体は、焼成外観、抵抗値、接着強度、はんだ喰われ性のいずれもが良好となっており、また本発明における好ましい範囲内である各実施例(試料番号3〜5,8,9,11〜13,15,16,18,20,22,23,25,29,31〜33)の導電性ペーストはロール分散性も良好となっている。

Claims (11)

  1. 導電粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを有する導電性ペーストにおいて、前記導電粉末はAg粉末を含み、かつ、該Ag粉末の表面はSiまたはSi系化合物で被覆されていることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記導電粉末のAgの含有量は、導電性ペースト100質量%に対して41.0質量%〜84.0質量%である請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 導電粉末と、ガラス粉末と、有機ビヒクルとを有する導電性ペーストにおいて、前記導電粉末はAg粉末およびPd粉末を含み、かつ、該Ag粉末の表面はSiまたはSi系化合物で被覆されていることを特徴とする導電性ペースト。
  4. 前記導電粉末中のAgおよびPdの合計含有量は、前記導電性ペースト100質量%に対して41.0質量%〜84.0質量%である請求項3に記載の導電性ペースト。
  5. 前記Pdの含有量は、前記導電粉末100質量%に対して20.0質量%以下であり、かつ、前記Pd粉末の粒径は0.4μm以下である請求項3または4に記載の導電性ペースト。
  6. 前記SiまたはSi系化合物の含有量は、Si相当量で前記Ag粉末中のAg100質量%に対して0.4質量%〜2.4質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 前記Ag粉末の粒径は、SiまたはSi系化合物による被覆を除外したとき2.4μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ペースト。
  8. 前記ガラス粉末の軟化点は580℃以下である請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ペースト。
  9. 前記ガラス粉末の含有量は、前記導電粉末100質量%に対して0.2質量%〜15.0質量%である請求項1〜8のいずれかに記載の導電性ペースト。
  10. 前記ガラス粉末の含有量は、前記導電粉末100質量%に対して5.0質量%〜15.0質量%である請求項1〜8のいずれかに記載の導電性ペースト。
  11. 前記ガラス粉末の粒径は、14μm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の導電性ペースト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009135286A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Taiyosha Electric Co Ltd チップ抵抗器及びチップ抵抗器の製造方法
US8238069B2 (en) 2008-02-05 2012-08-07 Murata Manufacturing Co., Ltd. ESD protection device
JP2016110738A (ja) * 2014-12-03 2016-06-20 山陽特殊製鋼株式会社 導電フィラー用粉末

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