JP2006052483A - ワイヤーロープ - Google Patents
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Abstract
【課題】機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るための主ロープに使用するのに好適なワイヤーロープの提供。
【解決手段】上記課題は、複数本の金属素線4Aを撚り合わせて形成されたロープ心ストランド4と、このロープ心ストランド4を被覆する樹脂製のロープ心被覆層3と、このロープ心被覆層3に撚り合わせた複数個の外層ストランド2とを具備してなるワイヤーロープ1において、外層ストランド2を、金属素線2Aを複数本撚り合わせてその外層ストランド2の外周表面に凹部が形成されないようにすると共に、ロープ心ストランド4の断面積を、複数本の外層ストランド2の総断面積の10〜15%とし、かつ、隣接する外層ストランド2同士間の隙間Gが、対向する外層ストランド2の最外周面間の距離寸法Dの1/35〜1/40となるようにロープ心被覆層3を形成することで、解決できる。
【選択図】図1
【解決手段】上記課題は、複数本の金属素線4Aを撚り合わせて形成されたロープ心ストランド4と、このロープ心ストランド4を被覆する樹脂製のロープ心被覆層3と、このロープ心被覆層3に撚り合わせた複数個の外層ストランド2とを具備してなるワイヤーロープ1において、外層ストランド2を、金属素線2Aを複数本撚り合わせてその外層ストランド2の外周表面に凹部が形成されないようにすると共に、ロープ心ストランド4の断面積を、複数本の外層ストランド2の総断面積の10〜15%とし、かつ、隣接する外層ストランド2同士間の隙間Gが、対向する外層ストランド2の最外周面間の距離寸法Dの1/35〜1/40となるようにロープ心被覆層3を形成することで、解決できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレベーター、クレーンなどの荷役機械に使用するのに好適なワイヤーロープに関するものである。
一般に、エレベーター、クレーンなどの荷役機械に使用するワイヤーロープは、所定の荷重(張力)負荷のもとでトラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動されており、高頻度で曲げ変形が繰り返される。
そこで、従来のワイヤーロープとしては、図6に示す従来のワイヤーロープ10のように、「中心部に天然繊維心綱11と、この天然繊維心綱11の周りに撚り合わせた複数本の外層ストランド12とからなり、その外層ストランド12を、金属素線13を複数本撚り合わせて形成するようにした構成」のものと、図7に示す従来のワイヤーロープ20のように、「中心部に複数本の金属素線を撚り合わせて形成した金属コア21と、この金属コア21の周りを被覆し、かつ、潤滑油を含浸させてなる繊維製コア被覆層22と、この繊維製コア被覆層22の周りに撚り合わせた複数本の外層ストランド23とからなり、その外層ストランド23を、金属素線24を複数本撚り合わせて形成するようにした構成」のものが開発されている。
さらに、従来のワイヤーロープとしては、「複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランド(金属コア)と、このロープ心ストランドを被覆する潤滑油を含浸させた繊維製のロープ心被覆層(繊維製コア被覆層)と、このロープ心被覆層(繊維製コア被覆層)に撚り合わせた複数個の外層ストランドとからなり、その外層ストランドを、金属素線を複数本撚り合わせて形成すると共に、前記ロープ心被覆層(繊維製コア被覆層)の厚さを、ロープ心ストランド(金属コア)の半径の約10%とした構成」のもの(例えば、特許文献1を参照)や、「複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランド(ロープ心)と、このロープ心ストランド(ロープ心)を被覆する樹脂製のロープ心被覆層(樹脂製被覆層)と、このロープ心被覆層(樹脂製被覆層)に撚り合わせた複数個の外層ストランド(側ストランド) とからなり、そのロープ心被覆層(樹脂製被覆層)の厚さを、0.30乃至0.90mmとし、かつ、その外層ストランド(側ストランド)を、金属素線を複数本撚り合わせて形成すると共に、ロープ心ストランド(ロープ心)を形成する金属素線及び外層ストランド(側ストランド) を形成する金属素線の引張り強度を、それぞれ200kgf以上300kgf以下とする構成」のもの(例えば、特許文献2を参照)が開発されている。
ところが、近年、巻上機を昇降路内に設置することによって機械室のないエレベーター、いわゆる、機械室レスエレベーターが普及してきた。そのために、例えば、2:1ローピングの機械室レスエレベーターにおいては、その機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るためのワイヤーロープ(主ロープ)の長さが、1:1ローピングの機械室付きエレベーターに用いられる乗りかごを吊るためのワイヤーロープ(主ロープ)の長さの約4倍となって、そのワイヤーロープ(主ロープ)の初期伸びや経年伸びが大きいので、ワイヤーロープ(主ロープ)の切り詰め作業を頻繁に行わなければならず、エレベーターの保守作業の軽減化を図ることができない。しかも、エレベーターにおいては、安全のため、外層ストランド(側ストランド)の素線切れが早いワイヤーロープ(主ロープ)は寿命に近づいたものと判断されて、ワイヤーロープ(主ロープ)の交換が行われるため、外層ストランド(側ストランド)の素線切れが早いと、ワイヤーロープ(主ロープ)の交換頻度が多くなり、保守経費の軽減化を図ることができない。
特開平10−18190号公報(段落番号0017〜段落番号0018、図1)
特開平07−10478号公報(段落番号0007、段落番号0018〜段落番号0019、図1)
しかしながら、上述した図6のワイヤーロープ10では、ロープ伸びが大きく破断しやすいと共に、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際に潰れて外層ストランド12を形成する金属素線13が部分的に摩耗すること及び複数本の外層ストランド12同士が強く接触し合うことにより、素線切れが短時間に多数発生してしまうので、機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るための主ロープに使用することができないという問題があった。
また、上述した図7のワイヤーロープ20では、そのワイヤーロープ20に加わる応力(荷重)を、金属コア21と複数本の外層ストランド23とで分担しており、ロープ伸びが小さいため、図6のワイヤーロープ10に比べて破断しにくいが、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際に潰れて外層ストランド12同士が強く接触し合うことで、外側ストランド同士のフレッティング摩耗が激しくなり、素線切れが短時間に多数発生してしまう。そのために、ワイヤーロープ20を、機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るための主ロープとして使用した場合には、素線切れの発生により、その主ロープ交換の頻度が多くなるという問題があった。
また、上記特開平10−18190号公報に記載のワイヤーロープでは、潤滑油を含浸させた繊維製のロープ心被覆層(繊維製コア被覆層)によって、ロープ心ストランド(金属コア)と複数個の外層ストランドとの接触による両者の損傷を阻止しているが、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際に潰れて隣接する外層ストランド同士が強く接触するために、外側ストランド同士のフレッティング摩耗が激しいこと、及び複数本の金属素線を撚り合わせて形成されるところの外層ストランドの外周面が、その金属素線によって凹凸が形成されているために、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際におけるワイヤーロープとトラクションシーブとの接触面積が小さくなって、部分的に金属素線に加わる接触面圧が増大することで、外層ストランドの素線切れが短時間に多数発生してしまうという問題があった。
上記特開平07−10478号公報に記載のワイヤーロープでは、樹脂製のロープ心被覆層(樹脂製被覆層)によって、複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランド(ロープ心)と複数個の外層ストランド(側ストランド)との接触による両者の損傷を阻止しているが、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際に潰れて隣接する外層ストランド(側ストランド) 同士が強く接触するために、外側ストランド同士のフレッティング摩耗が激しいこと、及び複数本の金属素線を撚り合わせて形成されるところの外層ストランド(側ストランド)の外周面がその金属素線によって凹凸が形成されているため、トラクションシーブに巻き掛けて摩擦駆動させた際におけるワイヤーロープとトラクションシーブとの接触面積が小さくなって、部分的に金属素線に加わる接触面圧が増大することで、外層ストランド(側ストランド)の素線切れが短時間に多数発生してしまうという問題があった。
本発明の第1目的は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、その第1目的は、ロープ伸びを抑えてロープ切り詰め作業の軽減化を図ると共に、巻き掛けられるトラクションシーブとの接触面圧の低減化を図って長寿命化を可能にするワイヤーロープを提供するにある。
本発明の第2目的は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、その第2目的は、ロープ伸びを抑えてロープ切り詰め作業の軽減化を図ると共に、複数本の外側ストランド同士のフレッティング摩耗を防止して長寿命化を可能にするワイヤーロープを提供するにある。
上記第1目的は、複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランドと、このロープ心ストランドを被覆する樹脂製のロープ心被覆層と、このロープ心被覆層に撚り合わせた複数個の外層ストランドとを具備してなるワイヤーロープにおいて、前記外層ストランドを、金属素線を複数本撚り合わせてその外層ストランドの外周表面に凹部が形成されないようにすると共に、前記ロープ心ストランドの断面積を、前記複数本の外層ストランドの総断面積の10〜15%とすることにより、達成できる。
上記第2目的は、複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランドと、このロープ心ストランドを被覆する樹脂製のロープ心被覆層と、このロープ心被覆層に撚り合わせた複数個の外層ストランドとを具備してなるワイヤーロープにおいて、前記ロープ心ストランドの断面積を、前記複数本の外層ストランドの総断面積の10〜15%とすると共に、隣接する前記外層ストランド間の隙間が、対向する前記外層ストランドの最外周面間の距離寸法(ワイヤーロープ径)の1/35〜1/40となるように、前記ロープ心被覆層を形成することにより、達成できる。
本発明によれば、巻き掛けられるトラクションシーブとの接触面圧の低減化が図られて長寿命化が可能となり、機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るための主ロープに使用するのに好適なワイヤーロープが得られた。
また、本発明によれば、複数本の外側ストランド同士間のフレッティング摩耗を防止して長寿命化が可能となり、機械室レスエレベーターに用いられる乗りかごを吊るための主ロープに使用するのに好適なワイヤーロープが得られた。
以下、本発明に係るワイヤーロープの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるワイヤーロープの要部断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係わるワイヤーロープの要部拡大図である。図3は、本発明の一実施形態に係わるワイヤーロープの縦弾性率とロープ伸び率との関係特性図である。図4は、本発明の一実施形態に係わるワイヤーロープの縦弾性率と金属素線の合計断面積との関係特性図である。図5は、本発明の一実施形態に係わるワイヤーロープの応力と素線切れ数との関係特性図である。図6は、従来例その1に係わるワイヤーロープの要部断面図である。図7は、従来例その2に係わるワイヤーロープの要部断面図である。
図1に示すワイヤーロープ1は、複数本の金属素線4Aを撚り合わせて形成されたロープ心ストランド4と、このロープ心ストランド4を被覆する樹脂製のロープ心被覆層3と、このロープ心被覆層3に撚り合わせた8個の外層ストランド2とからなっている。外層ストランド2は、複数本の金属素線2Aを撚り合わせてその外層ストランド2の外周表面に凹部が形成されないように構成されている。また、ワイヤーロープ1は、図1の一点鎖線で示すワイヤーロープ1外周の軌跡Qに、8個の外層ストランド2のそれぞれの外周表面の1/18以上を一致させるように構成されている。
ワイヤーロープ1は、ロープ心ストランド4の断面積S1が、8本の外層ストランド2の総断面積S2の10〜15%となるように構成されている。ロープ心被覆層3は、隣接する外層ストランド2同士間の隙間Gが、対向する外層ストランド2の最外周面間の距離寸法(ワイヤーロープ径)Dの1/35〜1/40となるように、形成されている。図1に示すワイヤーロープ1では、対向する外層ストランド2の最外周面間の距離寸法(ワイヤーロープ径)Dが10ミリメートルの場合、隣接する第2ストランド2間の隙間Gが、0.25ミリメートルより大きく、かつ、0.28ミリメートルよりも小さい値となるように、ロープ心被覆層3の外側に8本の外層ストランド2を撚り合わせてある。
外層ストランド2の金属素線2Aに発生する応力Xは、その外層ストランド2に加わる張力Tにより発生する引張応力X1(N/平方ミリメートル)とその外層ストランド2に加わる曲げ力により発生する曲げ応力X2(N/平方ミリメートル)の和であって、次の数式で求められる。
X=X1+X2=T/A+E×D/D1
ここで、Tはワイヤーロープ1に加わる張力を、Aは金属素線2Aの合計断面積(平方ミリメートル)を、Eはワイヤーロープ1の縦弾性率(N/平方ミリメートル)を、Dはワイヤーロープ1の外径(ミリメートル)を、D1はトラクションシーブに巻き掛けた場合におけるワイヤーロープ1の曲げ直径(ミリメートル)を、それぞれ表している。
ここで、Tはワイヤーロープ1に加わる張力を、Aは金属素線2Aの合計断面積(平方ミリメートル)を、Eはワイヤーロープ1の縦弾性率(N/平方ミリメートル)を、Dはワイヤーロープ1の外径(ミリメートル)を、D1はトラクションシーブに巻き掛けた場合におけるワイヤーロープ1の曲げ直径(ミリメートル)を、それぞれ表している。
ワイヤーロープ1の縦弾性率とロープ伸び率とは、図3の関係特性図に示すように、縦弾性率を大きくすれば、ロープ伸び率が小さくなるという関係を有している。そこで、所要のロープ伸び率値Y1に対応するワイヤーロープ1の縦弾性率の値を、図3の関係特性図により求めると、E1となる。よって、ワイヤーロープ1の縦弾性率を、縦弾性率値E1より大きくすれば、ロープ伸びの少ないワイヤーロープ1とすることができることがわかる。
さらに、外層ストランド2の金属素線2Aの合計断面積とワイヤーロープ1の縦弾性率とは、図4の関係特性図に示すように、金属素線2Aの合計断面積を大きくすれば、縦弾性率が大きくなるという関係を有している。そこで、図3の関係特性図により求めた縦弾性率値E1を得るために必要な金属素線2Aの合計断面積の値を、図4により求めると、Agとなる。
さらに、外層ストランド2の金属素線2Aに発生する応力Xと金属素線2Aの素線切れ数とは、図5の関係特性図に示すように、応力Xが小さくなれば、素線切れ数が小さくなるという関係を有している。そして、図5に示す応力値Xcは、図6に示す従来のワイヤーロープ10に発生する応力であって、810(N/平方ミリメートル)である。この応力値Xcよりも、外層ストランド2の金属素線2Aに発生する応力を小さくすれば、素線切れ数が極端に少なくなることがわかる。したがって、図3の関係特性図により求めた縦弾性率値E1と、図4の関係特性図により求めた金属素線2Aの合計断面積値Agとを、上記数式に入れて求めた応力Xを、図5に示す応力値Xcより小さく設定することで、金属素線2Aの素線切れ数が少なくなり、ワイヤーロープ1の長寿命化が図られることがわかる。
次に、ロープ伸び率の目標値Yを、0.15%とした場合における、ロープ心ストランド4の断面積S1と外層ストランド2の総断面積S2との断面積比率の設定の手順を説明する。
(1)まず、最初に、図6に示す従来のワイヤーロープ10は、ロープ伸び率が、0.18%であり、かつ、縦弾性率が56.6kN/平方ミリメートルであること、及び図7に示す従来のワイヤーロープ20は、ロープ伸び率が、0.1%であり、かつ、縦弾性率が61.8kN/平方ミリメートルであることから、図3の関係特性図を作成する。この図3の関係特性図より、ロープ伸び率を0.15%とした場合の、縦弾性率値E1である59.2kN/平方ミリメートルが求められる。
(2)次いで、図6に示す従来のワイヤーロープ10は、外層ストランド12の合計断面積が、36.5平方ミリメートルであり、かつ、縦弾性率が56.6kN/平方ミリメートルであること、及び図7に示す従来のワイヤーロープ20は、外層ストランド23の合計断面積が、45.3平方ミリメートルであり、かつ、縦弾性率が61.8kN/平方ミリメートルであることから、図4の関係特性図を作成する。この図4関係特性図より、縦弾性率値E1が59.2kN/平方ミリメートルの場合の、外層ストランドの合計断面積である41平方ミリメートルが求められる。
(3)次いで、外層ストランド23の合計断面積から外層ストランド12の合計断面積を引き算することで、図7に示す従来のワイヤーロープ20の金属コア(ロープ心ストランド)21の断面積を求める。すなわち、外層ストランド23の合計断面積45.3平方ミリメートルから外層ストランド12の合計断面積36.5平方ミリメートルを引き算することで、ワイヤーロープ20の金属コア(ロープ心ストランド)21の断面積8.8平方ミリメートルが求められる。
(4)次いで、図7に示す従来のワイヤーロープ20の外層ストランド23の合計断面積と、上記(2)で求めた縦弾性率値E1の場合の外層ストランドの合計断面積との差を、求める。すなわち、図7に示す従来のワイヤーロープ20の外層ストランド23の合計断面積45.3平方ミリメートルから上記(2)で求めた59.2kN/平方ミリメートルの場合の外層ストランドの合計断面積41平方ミリメートルを、引き算することにより、その断面積4.3平方ミリメートルが求められる。
(5)最後に、上記(3)で求めた断面積から上記(4)で求めた断面積を引き算して得られる断面積と、図6に示す従来のワイヤーロープ10の外層ストランド12の合計断面積との断面積比率を求める。すなわち、上記(3)で求めた断面積8.8平方ミリメートルから上記(4)で求めた断面積4.3平方ミリメートルを引き算して得られる断面積4.5平方ミリメートルを、図6に示す従来のワイヤーロープ10の外層ストランド12の合計断面積36.5平方ミリメートルで割って得られる数値に百を掛けることにより、約12.3%という断面積比率が求められる。
以上のように、上記(1)から(5)の手順により、ロープ伸び率の目標値Yが0.15%とした場合における断面積比率を、簡単に求めることができる。また、ロープ伸び率の目標値Yを、0.15%以外の目標値Yに変えた場合も、上記(1)から(5)の手順により、その変えた目標値Yに対応する断面積比率を、簡単に求めることができる。なお、上記(1)から(5)の手順によって得られた断面積比率は、ワイヤーロープ製造上のばらつき等を考慮して、10〜15%の範囲に設定するとよい。
上記一実施形態のワイヤーロープ1によれば、そのワイヤーロープ1に加わる応力Xを、複数本の金属素線4Aを撚り合わせたロープ心ストランド4と金属素線2Aを複数本撚り合わせてなる複数本の外周ストランド2とによって、分担し、かつ、ロープ心ストランド4の断面積S1を、8本の外層ストランド2の総断面積S2の10〜15%に設定した構成であるので、図6に示す従来のワイヤーロープ10のロープ伸び率0.18%に比べ、図1に示す上記一実施形態のワイヤーロープ1のロープ伸び率0.15%と、0.03%低減することができ、ロープ伸びが少ないと共に、外層ストランド2の外周表面に凹部がないために、外層ストランド2のトラクションシーブやプーリーへの接触面積が大きくなって、図1に示す上記一実施形態のワイヤーロープ1の接触面圧は、図6に示す従来のワイヤーロープ10の接触面圧の0.55倍、図7に示す従来のワイヤーロープ20の接触面圧の0.44倍と接触面圧が小さくなるので、外層ストランド2を構成する金属素線2Aの素線切れ数が低減して長寿命化が図られる。
さらに、上記一実施形態のワイヤーロープ1を機械室レスエレベーターの乗りかご用の主ロープとして使用しても、ロープ伸びが少ないので、そのワイヤーロープ(主ロープ)1の切り詰め作業を頻繁に行わなくともよくなると共に、外層ストランド2の素線切れ数が少ないので、そのワイヤーロープ(主ロープ)1の交換頻度が少なくなる。したがって、上記一実施形態のワイヤーロープ1を機械室レスエレベーターの乗りかご用の主ロープとして使用した場合には、エレベーターの保守経費及び保守作業の軽減化を図ることができる。
さらに、上記一実施形態のワイヤーロープ1によれば、隣接する外層ストランド2間の隙間Gが、対向する外層ストランド2の最外周面間の距離寸法(ワイヤーロープ径)Dの1/35〜1/40となるように、ロープ心被覆層3が形成されているので、複数本の外側ストランド2同士間のフレッティング摩耗がなく、外層ストランド2を形成する金属素線2Aの谷切れや赤錆の発生を抑えることができ、かつ、ロープ心被覆層3の破損を阻止できることを、耐久性試験によって確認できた。
1 ワイヤーロープ
2 外層ストランド
2A 金属素線
3 ロープ心被覆層(樹脂製コア被覆層)
4 ロープ心ストランド
4A 金属素線
10 ワイヤーロープ(従来例その1)
11 天然繊維心綱
12 外層ストランド
13 鋼線
2 外層ストランド
2A 金属素線
3 ロープ心被覆層(樹脂製コア被覆層)
4 ロープ心ストランド
4A 金属素線
10 ワイヤーロープ(従来例その1)
11 天然繊維心綱
12 外層ストランド
13 鋼線
Claims (2)
- 複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランドと、このロープ心ストランドを被覆する樹脂製のロープ心被覆層と、このロープ心被覆層に撚り合わせた複数個の外層ストランドとを具備してなるワイヤーロープにおいて、前記外層ストランドを、金属素線を複数本撚り合わせてその外層ストランドの外周表面に凹部が形成されないようにすると共に、前記ロープ心ストランドの断面積を、前記複数本の外層ストランドの総断面積の10〜15%とする構成にしたことを特徴とするワイヤーロープ。
- 複数本の金属素線を撚り合わせて形成されたロープ心ストランドと、このロープ心ストランドを被覆する樹脂製のロープ心被覆層と、このロープ心被覆層に撚り合わせた複数個の外層ストランドとを具備してなるワイヤーロープにおいて、前記ロープ心ストランドの断面積を、前記複数本の外層ストランドの総断面積の10〜15%とすると共に、隣接する前記外層ストランド同士間の隙間が、対向する前記外層ストランドの最外周面間の距離寸法の1/35〜1/40となるように、前記ロープ心被覆層を形成したことを特徴とするワイヤーロープ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004233352A JP2006052483A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | ワイヤーロープ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004233352A JP2006052483A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | ワイヤーロープ |
Publications (1)
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