JP2006051121A - アルブミンと生体低分子誘導体から構成される生体内分解吸収性粘着性医用材料 - Google Patents
アルブミンと生体低分子誘導体から構成される生体内分解吸収性粘着性医用材料 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】従来の生体組織用接着剤は生体に対する毒性や接着強度の面において、そのいず
れかに欠点をもっている。
【解決手段】 アルブミンの有機溶媒溶液若しくは水溶液又は水−有機溶媒混合溶液を接
着成分とし、クエン酸回路に存在するジ又はトリカルボン酸のカルボキシル基を電子吸引
性基であるスクシンイミジル、スルホスクシンイミジル、マレイミジル、フタルイミジル
、イミダゾールイル、ニトロフェニル、トレジル又はこれらの誘導体によって2つ又は3
つ修飾した低分子誘導体を硬化成分とする生体内分解吸収性粘着性医用材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、蒸留水又は水−有機溶媒混合溶液、無機塩水溶液、緩衝液等の溶媒に溶解し
た種々のアルブミンを接着成分とし、生体由来の低分子誘導体を硬化成分とする、生体用
組織接着剤等の二成分系の生体内分解吸収性粘着性医用材料に関する。
た種々のアルブミンを接着成分とし、生体由来の低分子誘導体を硬化成分とする、生体用
組織接着剤等の二成分系の生体内分解吸収性粘着性医用材料に関する。
外科手術における皮膚、臓器、血管などの創部の閉鎖・接合等において、フィブリン系
接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ゼラチンをホルムアルデヒド又はレゾルシノール
で架橋させたゼラチン系接着剤、ポリウレタン系接着剤などが知られており(特許文献1
〜6及び非特許文献1)生体組織用接着剤として臨床的に使用されている。
接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ゼラチンをホルムアルデヒド又はレゾルシノール
で架橋させたゼラチン系接着剤、ポリウレタン系接着剤などが知られており(特許文献1
〜6及び非特許文献1)生体組織用接着剤として臨床的に使用されている。
本発明者らは、クエン酸回路内に存在するトリカルボン酸であるクエン酸のカルボキシ
ル基を電子吸引性基によって少なくとも1つ以上修飾した生体低分子誘導体を開発し(特
許文献7)、該誘導体を硬化成分とし、有機溶媒溶液若しくは水溶液又は水−有機溶媒混
合溶液に溶解した生分解性高分子(コラーゲンやゼラチンなど)を接着成分とした生体内
分解吸収性粘着性医用材料を開発した(特願2003−35710、非特許文献2〜8)
。なお、タンパク質分子とタンパク質分子とを架橋反応させるための架橋剤としてアルカ
ン二酸ジスクシンイミドが知られている(特許文献8)が生体内分解吸収性や生体内での
使用を目的とした粘着性医用材料ではない。
ル基を電子吸引性基によって少なくとも1つ以上修飾した生体低分子誘導体を開発し(特
許文献7)、該誘導体を硬化成分とし、有機溶媒溶液若しくは水溶液又は水−有機溶媒混
合溶液に溶解した生分解性高分子(コラーゲンやゼラチンなど)を接着成分とした生体内
分解吸収性粘着性医用材料を開発した(特願2003−35710、非特許文献2〜8)
。なお、タンパク質分子とタンパク質分子とを架橋反応させるための架橋剤としてアルカ
ン二酸ジスクシンイミドが知られている(特許文献8)が生体内分解吸収性や生体内での
使用を目的とした粘着性医用材料ではない。
以上に示した従来の生体組織用接着剤は生体に対する毒性や接着強度の面において、そ
のいずれかに欠点をもっている。
のいずれかに欠点をもっている。
このような問題点を解決するため、本発明では、種々のアルブミンを接着成分とし、低
分子誘導体を硬化成分とする低毒性で接着強度の高い二成分系の生体内分解吸収性粘着性
医用材料を提供する。
分子誘導体を硬化成分とする低毒性で接着強度の高い二成分系の生体内分解吸収性粘着性
医用材料を提供する。
すなわち、蒸留水又は水−有機溶媒混合溶液、無機塩水溶液、緩衝液等の溶媒に溶解し
たアルブミンを接着成分とし、クエン酸回路に存在するジ又はトリカルボン酸のカルボキ
シル基を電子吸引性基によって少なくとも1つ以上修飾した低分子誘導体を硬化成分とす
る生体内分解吸収性粘着性医用材料である。
たアルブミンを接着成分とし、クエン酸回路に存在するジ又はトリカルボン酸のカルボキ
シル基を電子吸引性基によって少なくとも1つ以上修飾した低分子誘導体を硬化成分とす
る生体内分解吸収性粘着性医用材料である。
本発明で使用する生体内に存在している分子、すなわち生体由来のジ又はトリカルボン
酸は、例えば、リンゴ酸、オキサル酢酸、クエン酸、cis−アコニット酸、2−ケトグ
ルタル酸、又はこれらの誘導体である。
酸は、例えば、リンゴ酸、オキサル酢酸、クエン酸、cis−アコニット酸、2−ケトグ
ルタル酸、又はこれらの誘導体である。
また、電子吸引性基としては、スクシンイミジル、スルホスクシンイミジル、マレイミ
ジル、フタルイミジル、イミダゾールイル、ニトロフェニル、トレジル又はこれらの誘導
体の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
ジル、フタルイミジル、イミダゾールイル、ニトロフェニル、トレジル又はこれらの誘導
体の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、アルブミンとしては、ヒト血液由来アルブミン及び、組み換えアルブミン、アル
ブミンの主要なフラグメント、及び化学的に改変されたアルブミンからなる群より選択さ
れるタンパク質が挙げられる。
ブミンの主要なフラグメント、及び化学的に改変されたアルブミンからなる群より選択さ
れるタンパク質が挙げられる。
また、アルブミンを溶解する溶媒は、蒸留水、緩衝液、無機塩水溶液又は有機溶媒の1
種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、無機塩水溶液中に含まれる無機塩としては、塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸
塩、炭酸塩、ホウ酸塩の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
塩、炭酸塩、ホウ酸塩の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、有機溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)、乳酸、乳酸オリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの1
種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
F)、乳酸、乳酸オリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの1
種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
本発明でのアルブミンと生体由来の低分子誘導体からなる二成分系の生体内分解吸収性
粘着性医用材料は、適切な溶媒の選択と溶媒中のアルブミン濃度の制御により、高い接着
強度及び高い生体適合性をもつので従来の接着剤の欠点を解消した毒性の無い接着強度の
優れた接着剤を提供できる。
粘着性医用材料は、適切な溶媒の選択と溶媒中のアルブミン濃度の制御により、高い接着
強度及び高い生体適合性をもつので従来の接着剤の欠点を解消した毒性の無い接着強度の
優れた接着剤を提供できる。
本発明で低分子誘導体の出発物質として使用するクエン酸回路に存在するジ又はトリカ
ルボン酸は、例えば、リンゴ酸、オキサル酢酸、クエン酸、cis−アコニット酸、2−
ケトグルタル酸、又はこれらの誘導体である。
ルボン酸は、例えば、リンゴ酸、オキサル酢酸、クエン酸、cis−アコニット酸、2−
ケトグルタル酸、又はこれらの誘導体である。
本発明において硬化成分として用いる生体低分子誘導体は、クエン酸回路に存在するジ
又はトリカルボン酸を電子吸引性基、例えば、スクシンイミジル、スルホスクシンイミジ
ル、マレイミジル、フタルイミジル、イミダゾールイル、ニトロフェニル、トレジル又は
これらの誘導体の1種又は2種以上の組み合わせと合成反応させ、活性エステルを導入し
たものである。
又はトリカルボン酸を電子吸引性基、例えば、スクシンイミジル、スルホスクシンイミジ
ル、マレイミジル、フタルイミジル、イミダゾールイル、ニトロフェニル、トレジル又は
これらの誘導体の1種又は2種以上の組み合わせと合成反応させ、活性エステルを導入し
たものである。
すなわち、本発明において硬化成分として用いる生体低分子誘導体は、クエン酸回路に
存在するジ又はトリカルボン酸の有機溶媒溶液に、縮合剤、例えば、1−エチル−3−(
3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、又は、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DCC)の存在下で電子吸引性基となる分子、例えば、スクシンイミジルを加え
、再結晶によって精製することにより得られる。
存在するジ又はトリカルボン酸の有機溶媒溶液に、縮合剤、例えば、1−エチル−3−(
3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、又は、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DCC)の存在下で電子吸引性基となる分子、例えば、スクシンイミジルを加え
、再結晶によって精製することにより得られる。
かかる反応物は、例えば、生体低分子0.001〜10重量%に対し、N−ヒドロキシ
スクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、又はこれらの誘導体を0.00
1〜10重量%、カルボジイミド(EDC)を0.001〜20重量%の割合で用い、反
応温度0〜100℃、反応時間1〜48時間の適宜の条件を選択して得られる。
スクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、又はこれらの誘導体を0.00
1〜10重量%、カルボジイミド(EDC)を0.001〜20重量%の割合で用い、反
応温度0〜100℃、反応時間1〜48時間の適宜の条件を選択して得られる。
硬化成分の生体由来低分子誘導体は、クエン酸回路に存在するジ又はトリカルボン酸の
カルボキシル基を電子吸引性基によって2つ又は3つ修飾したものが挙げられる
本発明で接着成分として使用するアルブミンには、天然に存在するアルブミンタンパク
質及び、組み換えアルブミンタンパク質、アルブミンタンパク質の主要なフラグメント、
及び化学的に改変されたアルブミンからなる群より選択されるタンパク質を含む。
カルボキシル基を電子吸引性基によって2つ又は3つ修飾したものが挙げられる
本発明で接着成分として使用するアルブミンには、天然に存在するアルブミンタンパク
質及び、組み換えアルブミンタンパク質、アルブミンタンパク質の主要なフラグメント、
及び化学的に改変されたアルブミンからなる群より選択されるタンパク質を含む。
アルブミンと生体由来低分子誘導体の割合は、蒸留水又は水−有機溶媒混合溶液、無機
塩水溶液、緩衝液等の溶媒中のアルブミン濃度0.01〜80重量%程度に対し、生体由
来低分子誘導体0.01〜1000mM程度とする。溶媒中のアルブミンのより好ましい
濃度範囲は、3〜60重量%程度である。また、アルブミンに対する生体由来低分子誘導
体のより好ましい濃度範囲は10〜200mM程度である。アルブミンと生体由来低分子
誘導体を使用する直前に混合し、好ましくは、0〜100℃程度、より好ましくは4〜6
0℃程度で反応させる。なお、アルブミンと生体由来低分子誘導体の配合に際しては、均
一に反応させるため、生体由来低分子誘導体も上記溶媒に溶解し、双方を上記濃度範囲と
なるように適宜濃度の溶媒溶液として混合するのが好ましい。
塩水溶液、緩衝液等の溶媒中のアルブミン濃度0.01〜80重量%程度に対し、生体由
来低分子誘導体0.01〜1000mM程度とする。溶媒中のアルブミンのより好ましい
濃度範囲は、3〜60重量%程度である。また、アルブミンに対する生体由来低分子誘導
体のより好ましい濃度範囲は10〜200mM程度である。アルブミンと生体由来低分子
誘導体を使用する直前に混合し、好ましくは、0〜100℃程度、より好ましくは4〜6
0℃程度で反応させる。なお、アルブミンと生体由来低分子誘導体の配合に際しては、均
一に反応させるため、生体由来低分子誘導体も上記溶媒に溶解し、双方を上記濃度範囲と
なるように適宜濃度の溶媒溶液として混合するのが好ましい。
上記の濃度を外れると、アルブミンと生体低分子誘導体の反応により生成する架橋体の
架橋密度が低くなるため、硬化しなくなる。特に、接着剤用途として用いる場合には、組
織との接着性が悪くなり接着剤として用いることができない。温度が低い場合には反応速
度が遅くなるため架橋体が生成しづらくなり、温度が高い場合にはアルブミンの変性や生
体由来低分子誘導体の活性エステル基の分解が生じるので不適当である。
架橋密度が低くなるため、硬化しなくなる。特に、接着剤用途として用いる場合には、組
織との接着性が悪くなり接着剤として用いることができない。温度が低い場合には反応速
度が遅くなるため架橋体が生成しづらくなり、温度が高い場合にはアルブミンの変性や生
体由来低分子誘導体の活性エステル基の分解が生じるので不適当である。
接着成分及び硬化成分を作成するための蒸留水又は水−有機溶媒混合溶液、無機塩水溶
液、緩衝液等の溶媒としては、有機溶媒として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N
−ジメチルホルムアミド(DMF)、乳酸、乳酸オリゴマー、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールの1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。また、
適宜比率の蒸留水と有機溶媒の双方の混合溶媒を用いてもよい。無機塩水溶液、緩衝液と
して、生理食塩水、炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液が挙げられ
る。これらの溶媒を使用することにより、生体組織用接着剤として用いた場合に、接着剤
を付着させた周囲の生体組織を浸透圧、pHの変化により壊死させないようにすることが
できる。
液、緩衝液等の溶媒としては、有機溶媒として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N
−ジメチルホルムアミド(DMF)、乳酸、乳酸オリゴマー、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールの1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。また、
適宜比率の蒸留水と有機溶媒の双方の混合溶媒を用いてもよい。無機塩水溶液、緩衝液と
して、生理食塩水、炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液が挙げられ
る。これらの溶媒を使用することにより、生体組織用接着剤として用いた場合に、接着剤
を付着させた周囲の生体組織を浸透圧、pHの変化により壊死させないようにすることが
できる。
本生体内分解吸収性粘着性医用材料は、接着成分中のアルブミンのアミノ基と硬化成分
中の生体由来低分子誘導体の活性エステル基が架橋反応することにより硬化し、生成した
架橋体はハイドロゲル状となる。接着剤として用いる場合には、接着成分と硬化成分の混
合物を硬化する前に接着部に導入することにより、生体組織のアミノ基と活性エステル基
が反応し接着硬化する。架橋体中に存在するアルブミンとクエン酸および架橋によって生
じるN-ヒドロキシスクシンイミドは生体内に存在する成分であるため、本材料は高い生体
親和性および低い毒性をもつ。架橋体の生体内での分解性は主にアルブミンの生分解性に
依存すると考えられる。
中の生体由来低分子誘導体の活性エステル基が架橋反応することにより硬化し、生成した
架橋体はハイドロゲル状となる。接着剤として用いる場合には、接着成分と硬化成分の混
合物を硬化する前に接着部に導入することにより、生体組織のアミノ基と活性エステル基
が反応し接着硬化する。架橋体中に存在するアルブミンとクエン酸および架橋によって生
じるN-ヒドロキシスクシンイミドは生体内に存在する成分であるため、本材料は高い生体
親和性および低い毒性をもつ。架橋体の生体内での分解性は主にアルブミンの生分解性に
依存すると考えられる。
なお、本発明の医療用接着材料は当該用途に適用後は、半年以内に吸収、消失する特性
があり、体内に異物として残存することがない。その生体内での分解及び吸収はアルブミ
ンの生体内分解速度に依存し、アルブミン濃度が低いほど分解されやすい。また、硬化成
分濃度が高いほど分解されにくい。
があり、体内に異物として残存することがない。その生体内での分解及び吸収はアルブミ
ンの生体内分解速度に依存し、アルブミン濃度が低いほど分解されやすい。また、硬化成
分濃度が高いほど分解されにくい。
<クエン酸低分子誘導体の合成>
クエン酸のDMF溶液(クエン酸の濃度:5重量%)中に室温にて、N−ヒドロキシス
クシンイミドを3.2当量分と縮合剤としてEDCを3.1当量分加え、24時間攪拌し
た。これによりクエン酸のカルボン酸がスクシンイミジル基で修飾されたクエン酸低分子
誘導体と副生成物のウレアが生じた。続いて、反応溶液中の有機溶媒であるDMFのみを
減圧留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィーにて未反応の原料と副生成物を除
去して精製し、クエン酸の3つのカルボキシル基が、N−ヒドロキシスクシンイミドに修
飾された低分子誘導体を合成した。純度は、ガスクロマトグラフィーによる測定で90%
以上であった。
クエン酸のDMF溶液(クエン酸の濃度:5重量%)中に室温にて、N−ヒドロキシス
クシンイミドを3.2当量分と縮合剤としてEDCを3.1当量分加え、24時間攪拌し
た。これによりクエン酸のカルボン酸がスクシンイミジル基で修飾されたクエン酸低分子
誘導体と副生成物のウレアが生じた。続いて、反応溶液中の有機溶媒であるDMFのみを
減圧留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィーにて未反応の原料と副生成物を除
去して精製し、クエン酸の3つのカルボキシル基が、N−ヒドロキシスクシンイミドに修
飾された低分子誘導体を合成した。純度は、ガスクロマトグラフィーによる測定で90%
以上であった。
<生体組織接着剤の調製>
次いで、生体組織接着剤を下記のようにして調製した。ヒト血清由来のアルブミン(シ
グマアルドリッチジャパン(株)製A1653)を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)
に48重量%となるように溶解した。このアルブミン溶液に硬化成分として上記のクエン
酸低分子誘導体を200mM添加し、25℃で数秒間攪拌し硬化前の混合溶液を得た。
次いで、生体組織接着剤を下記のようにして調製した。ヒト血清由来のアルブミン(シ
グマアルドリッチジャパン(株)製A1653)を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)
に48重量%となるように溶解した。このアルブミン溶液に硬化成分として上記のクエン
酸低分子誘導体を200mM添加し、25℃で数秒間攪拌し硬化前の混合溶液を得た。
生体組織に対する接着強度の試験として、被接着物としてコラーゲンケーシング(新田
ゼラチン(株)製、組成:コラーゲン44%、セルロース 18%、グリセリン 15%、植物性
油脂3%、CMC(Carboxymethyl Cellurose) 2%)を用いて接着強度測定を実施した。
ゼラチン(株)製、組成:コラーゲン44%、セルロース 18%、グリセリン 15%、植物性
油脂3%、CMC(Carboxymethyl Cellurose) 2%)を用いて接着強度測定を実施した。
コラーゲンケーシング(幅10mm×長さ25mm)の10mm×10mmの領域に厚さが均一
になるように硬化前の混合溶液を50μl塗布し、同等の大きさのコラーゲンケーシング
をその接着面上に重ね合わせた。さらに、その接着面上に50gの錘をのせ、37℃で1
時間放置した。接着強度は、引っ張り試験機(英弘精機(株)製TA-XT2i)により測定し
た。測定条件は25℃、測定スピード2mm/sで行った。
になるように硬化前の混合溶液を50μl塗布し、同等の大きさのコラーゲンケーシング
をその接着面上に重ね合わせた。さらに、その接着面上に50gの錘をのせ、37℃で1
時間放置した。接着強度は、引っ張り試験機(英弘精機(株)製TA-XT2i)により測定し
た。測定条件は25℃、測定スピード2mm/sで行った。
比較として、他の接着剤群であるシアノアクリレート接着剤(商品名DERMABOND;ジョ
ンソンアンドジョンソン)、ゼラチン系接着剤(商品名GRF glue;泉工医科工業(株))
、フィブリン接着剤(商品名Bolheal;藤沢薬品工業(株))についても接着強度測定を
実施した。他の接着剤群と実施例の接着強度を比較した結果を表1に示した。
ンソンアンドジョンソン)、ゼラチン系接着剤(商品名GRF glue;泉工医科工業(株))
、フィブリン接着剤(商品名Bolheal;藤沢薬品工業(株))についても接着強度測定を
実施した。他の接着剤群と実施例の接着強度を比較した結果を表1に示した。
以上の結果から、生体組織の接着において、本接着剤はゼラチン系接着剤やフィブリン
接着剤よりも接着強度が高く、シアノアクリレート接着剤と同等の接着強度を有する。
接着剤よりも接着強度が高く、シアノアクリレート接着剤と同等の接着強度を有する。
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に50重量%となるように溶解したアルブ
ミン(ヒト血清由来アルブミン;シグマアルドリッチジャパン(株)製A1653)−クエン
酸誘導体(実施例1で合成したものに同じ)200mMの生体用組織接着剤を実施例1と
同様に調製した。この接着剤を用いて、マウスの皮膚表面の創傷部における生体反応の試
験を実施した。
ミン(ヒト血清由来アルブミン;シグマアルドリッチジャパン(株)製A1653)−クエン
酸誘導体(実施例1で合成したものに同じ)200mMの生体用組織接着剤を実施例1と
同様に調製した。この接着剤を用いて、マウスの皮膚表面の創傷部における生体反応の試
験を実施した。
まず、マウス背部をカミソリで剃毛し、皮膚を2cm程度切った後に生体用組織接着剤
をこの皮膚切開創に塗布した。加えて、固定のために切開創の中央をステイプルで固定し
た。接着剤を塗布したマウスを別々の飼育用檻に入れ、2週間にわたり切開創の経時変化
を観察した。
をこの皮膚切開創に塗布した。加えて、固定のために切開創の中央をステイプルで固定し
た。接着剤を塗布したマウスを別々の飼育用檻に入れ、2週間にわたり切開創の経時変化
を観察した。
比較として、他の接着剤群であるシアノアクリレート接着剤(商品名DERMABOND)、ゼ
ラチン系接着剤(商品名GRF glue)、フィブリン接着剤(商品名Bolheal)及びコントロ
ール(生体用組織接着剤を適用しない場合)についても同様の実験を行った。皮膚切開創
表面の炎症反応を目視で観察した結果を表2に示した。
ラチン系接着剤(商品名GRF glue)、フィブリン接着剤(商品名Bolheal)及びコントロ
ール(生体用組織接着剤を適用しない場合)についても同様の実験を行った。皮膚切開創
表面の炎症反応を目視で観察した結果を表2に示した。
本実施例の接着剤により接着した切開創において、炎症反応はみられず2週間後には創
はほぼ治癒していた。他の接着剤と炎症反応を比較すると、シアノアクリレート接着剤又
はフィブリン接着剤と同等であり、ゼラチン系接着剤より炎症反応は抑制されていた。ま
た、コントロールよりも炎症反応は小さかった。
はほぼ治癒していた。他の接着剤と炎症反応を比較すると、シアノアクリレート接着剤又
はフィブリン接着剤と同等であり、ゼラチン系接着剤より炎症反応は抑制されていた。ま
た、コントロールよりも炎症反応は小さかった。
本発明の二成分系の生体内分解吸収性粘着性医用材料は、生体用組織接着剤として、皮
膚と皮膚などの軟組織間の接着、骨と骨などの硬組織間の接着、骨と軟骨などの硬組織と
軟組織の接着を目的として用いられる。また、止血剤、血管塞栓剤、シーラント、又は動
脈瘤の封止剤としても用いられる。
膚と皮膚などの軟組織間の接着、骨と骨などの硬組織間の接着、骨と軟骨などの硬組織と
軟組織の接着を目的として用いられる。また、止血剤、血管塞栓剤、シーラント、又は動
脈瘤の封止剤としても用いられる。
Claims (5)
- 蒸留水又は水−有機溶媒混合溶液、無機塩水溶液、緩衝液等の溶媒に溶解したアルブミン
を接着成分とし、生体由来のジ又はトリカルボン酸のカルボキシル基を電子吸引性基であ
るスクシンイミジル、スルホスクシンイミジル、マレイミジル、フタルイミジル、イミダ
ゾールイル、ニトロフェニル、トレジル、又はこれらの誘導体によって2つ又は3つ修飾
した低分子誘導体を硬化成分とし、アルブミンと低分子誘導体の割合は、溶媒中のアルブ
ミン濃度0.01〜80重量%に対し、低分子誘導体0.01〜1000mMであること
を特徴とする生体内分解吸収性粘着性医用材料。 - 請求項1記載のジ又はトリカルボン酸が、リンゴ酸、オキサル酢酸、コハク酸、2−ケト
グルタル酸、フマル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸又はこれらの誘導体であることを
特徴とする生体内分解吸収性粘着性医用材料。 - 請求項1記載のアルブミンが、ヒト血液由来アルブミン及び、組み換えアルブミン、アル
ブミンの主要なフラグメント、及び化学的に改変されたアルブミンからなる群より選択さ
れるタンパク質を含む生体内分解吸収性粘着性医用材料。 - 請求項1記載の生体内分解吸収性粘着性医用材料からなることを特徴とする軟組織と軟組
織、軟組織と硬組織、又は硬組織と硬組織を接着する生体用組織接着剤。 - 請求項1記載の生体内分解吸収性粘着性医用材料からなることを特徴とする止血剤、血管
栓塞剤、シーラント又は動脈瘤の封止剤。
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