JP2006049849A - 表面処理方法および表面処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大気圧近傍の圧力下でガス放電を発生させて表面処理を行う表面処理装置において、ガスを用いて被処理体の表面処理をドライ方式にて実施しながらも、所定の処理効果を達成できる表面処理方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 プラズマ発生器10は、酸素を含むガスがガス導入口10aを介して供給され、大気圧またはその近傍の圧力下にて、プラズマを誘起してオゾンを発生させる。このオゾンは、第1ガス供給管12を介して液体混合器20に導入され、容器22内の純水24と接触され、オゾンに水蒸気が混合される。水蒸気と混合されたオゾンを、第2ガス供給管14を介して被処理体1の表面1aに接触させて、被処理体1を表面処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反応性ガス、たとえば大気圧またはその近傍の圧力下でガス放電により励起されたガスで被処理体の表面を処理する方法及び装置に関するものであり、被処理体表面の濡れ性、接着性などを改善するのに好適な表面処理方法および処理装置に関する。
ガス放電により被処理体の表面を処理する技術は広く知られているが、最近は、大気圧近傍の圧力下でガス放電させることにより、真空設備を必要とせず、簡単かつ小型で低価格の表面処理装置が実現されている。本願発明者は、前記分野におけるドライ洗浄技術を被処理体の濡れ性、物質間の接着性を上げるために利用することを試みた。そして、本願発明者は、前記ドライ洗浄において、オゾンガスを使用することを試みた。しかし、本願発明者の実験では、オゾンガスを被処理体に吹き付けただけでは、該被処理体の濡れ性、物質間の接着性が充分に改善されないことが判明した。
特開平4−79324号公報 特開平6−224168号公報 特開平5−152270号公報 特開平5−235520号公報 特開平4−302145号公報
そこで、本発明は、前述したような問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、反応性ガスによって表面処理を行う表面処理技術において、ガスを用いて被処理体の表面処理をドライ方式にて実施しながらも、所定の処理効果を達成できる表面処理方法および表面処理装置を提供することにある。
本発明の表面処理方法は、少なくとも1種の反応性ガスおよび水蒸気を含む処理ガスと被処理体とを接触させて、被処理体の表面処理を行うことを特徴とする。
本発明において、前記反応性ガスとは、主として、たとえば放電によってプラズマを誘起して活性化された活性種(励起種)、あるいは化学的に反応性の高い酸性あるいは塩基性の化合物のガスを意味する。
そして、前者の活性種を反応性ガスとして用いる場合には、たとえば、前記処理ガスは、少なくとも1種のガスを含む第1のガスと、少なくとも水蒸気を含む第2のガスとを混合した後、活性化処理する方法、あるいは前記処理ガスは、少なくとも前記水蒸気を含む第2のガスと、少なくとも1種のガスを含む第1のガスを活性化処理して形成された反応性ガスを含む第3のガスとを混合する方法によって形成することができる。
前記第1のガスとしては、酸素、窒素、フッ素,塩素,臭素などを有するハロゲン化合物および空気のうちの少なくとも1種を含むガスが好ましい。第1のガスとして酸素を含むガスを用いることにより、活性化処理によって生成されたオゾンによるドライ処理ができる。そして、第1のガスとして酸素および窒素が共存する場合には、反応性の高い窒素酸化物、たとえばNO、NO、NOが形成される。また、第1のガスとして、ハロゲン化合物を用いた場合には、反応性の高いハロゲン活性種が形成される。
前記活性化処理、すなわちガスを反応性の高い状態にする処理方法としては、放電によってプラズマを生成してガスを分解する放電処理、熱エネルギーによってガスを熱分解する加熱処理、および光、たとえば紫外線を照射してガスを分解する光照射処理を例示することができる。これらの処理方法は、対象とするガスの種類に応じて好適な処理方法が選択されるが、実用的には放電処理が好ましい。
また、前記反応性ガスは、上述したドライ活性化処理だけでなく、水溶液を用いた活性化処理によっても形成することもできる。このような活性化処理としては、硝酸などの水溶液を加熱したりキャリヤガスと接触させることにより反応性ガスを形成する処理方法、および硝酸塩、亜硝酸塩などを含む水溶液や水を電気分解することによって窒素酸化物やオゾンを生成する処理方法などを用いることもできる。
本発明によれば、処理ガスとして反応性ガスと水蒸気とを共存させることにより、処理ガスの反応性が高まり、被処理体の表面処理を効率よくかつ確実に行うことができる。たとえば、反応性ガスがオゾンの場合には、水蒸気の存在により、オゾンの分解反応が促進されることによって酸素プラズマの反応エネルギーが増加し、酸素プラズマと被処理面との反応が促進される。その結果、被処理体の表面処理、たとえばクリーニングや改質が効率よく行われる。また、反応性ガスが窒素酸化物の場合には、水蒸気が存在することにより、窒素酸化物(NO、NO、NO)が水と反応して硝酸、亜硝酸などの酸が生成し、これらの酸によって被処理体の表面処理が効率よく行われる。
本発明では、前記放電処理を用いることが好ましく、その処理方法としては、以下のものを例示できる。
(a) 大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、少なくとも1種のガスを含む第1のガスを励起させる工程と、
前記励起された第1のガスに水蒸気を混合させる工程と、
前記水蒸気および前記励起された第1のガスを含む処理ガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法。
(b) 少なくとも1種のガスを含む第1のガスに水蒸気を混合する工程と、
前記水蒸気が混合された第1のガスを含む雰囲気にて、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して前記ガスを励起させる工程と、
前記励起されたガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法。
(c) 大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、少なくとも1種のガスを含む第1のガスを励起させる工程と、
水蒸気をキャリヤガスに混合して第2のガスを形成する工程と、
前記励起された第1のガスと、前記水蒸気が混合された第2のガスとを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法。
(d) 少なくとも1種のガスを含む第1のガスに水蒸気を混合する工程と、
大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、前記水蒸気が混合された第1のガスを励起させる工程と、
大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、少なくとも1種のガスを含む第4のガスを励起させる工程と、
前記励起された第1および第4のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
を有することを特徴とする表面処理方法。
また、放電処理を用いた処理装置としては、以下のものを例示できる。
(A) 少なくとも1種のガスを含む第1のガスが供給され、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、前記第1のガスを励起させるプラズマ発生手段と、
水蒸気とキャリヤガスとを混合して第2のガスを形成する手段と、を有し、
前記励起された第1のガスおよび前記水蒸気が混合された第2のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理することを特徴とする表面処理装置。
(B) 少なくとも1種のガスを含む第1のガスと水蒸気とを混合する手段と、 前記水蒸気が混合された第1のガスが供給され、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、前記水蒸気が混合された第1のガスを励起させるプラズマ発生手段と、を有し、前記励起されたガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理することを特徴とする表面処理装置。
(C) 少なくとも1種のガスを含む第1のガスを水蒸気と混合する手段と、
前記水蒸気を含む第1のガスが供給され、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、前記水蒸気が混合された第1のガスを励起させる第1プラズマ発生手段と、
少なくとも1種のガスを含む第4のガスを大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、前記第4のガスを励起させる第2プラズマ発生手段と、を有し、前記励起された第1および第4のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理することを特徴とする表面処理装置。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
(実施の形態1)
この実施の形態1に係る表面処理装置を図1に示す。図1において、被処理体1の被処理面1aを処理する表面処理装置は、大別して、プラズマ発生器10と、液体混合器20と、処理室5とを有する。
プラズマ発生器10はガス導入口10aを有し、このガス導入口10aを介して、例えば、所定の流速の圧縮空気が導入される。このプラズマ発生器10は、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記空気を励起して、オゾンOを発生させるものである。
ここで、前記プラズマ発生器10は、特に制限されないが、たとえば、図2に示すように、密閉可能なチャンバー(図示せず)と、このチャンバー内に対向して配置される一対の電極57および54と、一方の電極57に貫通して形成されたガス供給路56を含む処理ガス供給部と、処理ガス排出部(図示せず)と、を含んで構成される。前記処理ガス供給部は、図示しないボンベ等から被励起ガス、即ち、本実施の形態では、圧縮空気が供給され、少なくとも被励起ガスが前記電極57および電極54の間に供給されるように構成されている。そして、チャンバー内の圧力は、大気圧またはそれに近い圧力となっている。一方の前記電極57は、高周波電源に接続され、他方の前記電極54は接地され、プラズマ発生器を構成している。また、前記電極57は、セラミックスなどの絶縁体51を介して支持部52に支持されている。
このプラズマ発生器10にて発生されたオゾンは、第1ガス供給管12を介して、その後段の液体混合器20に供給される。この液体混合器20は、容器22内部に液体24、たとえば純水を収容し、バブリングにより導入ガスに水蒸気とを混合するものである。この実施の形態の装置では、第1ガス供給管12の導出端部12bは、容器22内に収容された純水の液面24aに到達しない位置にて支持されている。また、この容器22内部には、第2ガス供給管14の導入端部14aが、第1ガス供給管12の導出端部12bと同様に、液面24aに到達しない位置にて支持されている。この第2ガス供給管14の導出端部14bは、被処理体1の被処理面1aと対向する位置に配置される。
次に、本実施の形態1の表面処理装置における表面処理方法について具体例を挙げて説明する。被処理体1の被処理面1aの表面を改質する処理として、例えばレジスト材がスピン塗布される半導体ウエハ表面の濡れ性を改善する処理を行なっている。
プラズマ発生器10のガス導入口10aには、例えば3リットル/minの流速にて圧縮空気が導入される。プラズマ発生器10では、大気圧下にて空気中のガスを励起してプラズマを生成する。ところで、空気は混合ガスであって、その組成として、窒素Nがその体積の約80%、酸素Oがその体積の約20%を占め、残りの体積は微量のアルゴン等により構成されるものである。これにより、前記空気からオゾンおよび微量の窒素酸化物NOxが生成されることになる。
このオゾンおよび窒素酸化物を含む反応性ガスは、第1ガス供給管12を介して液体混合器20に導入される。実施の形態1では、たとえば、500ミリリットルの純水を収容可能な容器22内部に、液体24として100ミリリットルの純水を収容し、第1ガス供給管12の導出端部12bより所定の流速にて噴出される前記反応性ガスを純水と接触させる。これにより、容器22内部に導入された反応性ガスは、水蒸気を含むことになる。
水蒸気および反応性ガスが混合された処理ガスは、容器22内部に配置された導入端部14aを介して第2ガス供給管14に導入され、導出端部14bを介して被処理体1の被処理面1aに接触されることになる。そして、被処理体1の被処理面1aが処理ガスと接触することで、この被処理面1aが表面処理され、たとえばその濡れ性が改善される。
ここで、図1に示す長さLが異なる2種類の第2ガス供給管14を用意し、それぞれについて所定の効果を得るための処理時間について考察してみた。L=10cmとした場合には、被処理体1aの濡れ性を改善するために、30〜40秒の処理時間を要した。これに代えて、L=6mの第2のガス供給管14を用いた場合には、僅か3秒の処理時間で被処理面1aの濡れ性が改善されることがわかった。
これらの実験から、反応性ガスに対して水蒸気が混合された後直ちに被処理面1aにオゾンを接触するよりも、オゾンと水蒸気とを比較的長い時間接触させた方が、短い処理時間にて被処理面1aの濡れ性を改善できることが分かった。
また、図1に示す液体混合器20の構成に代えて、図3に示す構成を採用することもできる。図3に示す液体混合器20は、第1ガス供給管12の端部12bが、容器22内に収容された純水24中に浸されている。こうすると、容器22内部にて、オゾンを純水と効率よく接触させることができ、図1に示す第2のガス供給管14の長さLを短くしても、比較的短い処理時間にて処理効果を得ることができる。図3に示す液体混合器20は、後述する各実施の形態においても採用することができる。
このように、オゾンを含む反応性ガスに水蒸気を含ませることにより、被処理体の濡れ性が向上することが確認された。また、前記空気にてオゾンを生成した後に、水蒸気を含ませているため、前記プラズマ発生器10においてオゾンの発生効率を低下させることなく、オゾンを効率よく生成することができる。
(実施の形態2)
この実施の形態2に係る表面処理装置を図4を参照して詳細に説明する。図4において、被処理体1の被処理面1aを処理する表面処理装置は、大別して、液体混合器20と、プラズマ発生器10と、処理室5とを有する。
液体混合器20には、第1のガス供給管12を介して、その導入端部12aより、例えば、所定の流速の圧縮酸素が供給される。この液体混合器20は、容器22内部に液体24、たとえば純水を収容し、導入ガスと液体の蒸気とをバブリングにより混合するものである。この実施の形態の装置では、第1ガス供給管12の導出端部12bは、容器22内に収容された純水の液面24aに到達しない位置にて支持されている。また、この容器22内部には、第2ガス供給管14の導入端部14aが、第1ガス供給管12の導出端部12bと同様に、液面24aに到達しない位置にて支持されている。
プラズマ発生器10はガス導入口10aを有し、このガス導入口10aと前記第2ガス供給管14の導出端部14bが結合され、例えば、前記水蒸気を含む酸素ガスが前記プラズマ発生器10に導入される。このプラズマ発生器10は、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記水蒸気を含む酸素ガスを励起して、主としてオゾンを発生させるものである。
前記プラズマ発生器10は第3ガス供給管15と接続され、該第3ガス供給管15は、前記プラズマ発生器10にて生成された反応性ガス、たとえばオゾンを含む処理ガスを処理室5に導入する。そして、前記第3ガス供給管15の導出端部15bは、被処理体1の被処理面1aと対向する位置に配置される。
次に、本実施の形態の表面処理装置を使用した表面処理について具体例を挙げて説明する。この実施の形態の装置では、被処理体1の被処理面1aの表面を改質する処理として、液晶表示装置の基板用のガラス等の濡れ性を改善する処理を行なっている。
液体混合器20には、第1ガス供給管12の導入端部12aより第1ガス供給管12を介して、例えば、圧縮酸素が導入される。この実施の形態では、容器22内部に、純水24を収容し、第1ガス供給管12の導出端部12bより所定の流速にて噴出される前記酸素を純水と接触させる。これにより、容器22内部に導入された前記酸素は、水蒸気を含むことになる。
前記水蒸気が混合された導入ガスは、容器22内部に配置された第2ガス供給管14の導入端部14aを介して第2ガス供給管14に導入され、プラズマ発生器10のガス導入口10aと結合された前記第2ガス供給管14のガス導出端部14bより、プラズマ発生器10に導入される。
前記プラズマ発生器10では、大気圧またはその近傍の圧力下にて、プラズマを生成し、その導入ガス、たとえば、水蒸気を含む酸素ガスを励起してオゾン等が生成される。この場合、前記水蒸気に起因して、前記プラズマ発生器10におけるオゾン発生効率については前記実施の形態1に比べて低下する。
前記プラズマ発生器10にて生成された反応性ガス、たとえばオゾンと、水蒸気とを含む処理ガスは、第3ガス供給管15を介して、前記第3ガス供給管15の導出端部15bより、被処理体1の被処理面1aに接触する。そして、被処理体1の被処理面1aが前記オゾンおよび水蒸気と接触するときに、前記オゾンが酸素ラジカルに変化する。このとき、処理ガスに含まれる水蒸気によって前記酸素ラジカルの生成が促進され、この被処理面1aの濡れ性が改善される。
前記プラズマ発生器10に供給するガスは、酸素に限定されるものではなく、他のガス、たとえば、窒素,窒素と酸素の混合ガス等を使用することができる。この使用ガスを変えた場合の実験例および接触角の変化について以下に順に示す。また、表面処理の条件を同一にして、ガスのみを変えてそれぞれ実験を行い、被処理体としてはどの実験においても液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
(1)導入ガスとして圧縮酸素を使用した実験例
まず、図4に示す表面処理装置を圧縮酸素に適用した実験例について説明する。この実験例においては、処理機構について既に述べたため、説明の繰り返しを省略し、効果のみを定量的に述べる。前記プラズマ発生器10への圧縮酸素の供給を200cc/min、前記プラズマ発生器10の高周波電源の周波数を10kHz、その駆動電力を50Wとし、処理時間を20分として、10×10×12cmの処理室を使用し、1リットルの純水を液体混合器20にて収容し、被処理体1として、液晶基板用の高耐圧ガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性が、接触角を基準にして表すと、処理前が90度であったのに対し、処理後には22度となり、前記被処理面1aの濡れ性が向上したことが確認された。
ここで、前記接触角は、濡れ性を示す指標となるものであって、被処理体の被処理面と滴下された液体とのなす角度である。つまり、本発明にて起用している接触角は、図5に示すように、前記被処理面1aと、純水との接触角θを表している。この接触角θは、被処理体1の被処理面1aと水滴11との接点9から引いた前記水滴11の球表面への接線13と、前記被処理面1aとがなす角度を指している。本発明においては、被処理面1aを洗浄するということが目的であるため、液晶表示装置の基板用のガラスにおいては、この接触角θは40度以下、さらには30度以下が望ましい。即ち、前記接触角になる程度の洗浄が実現すれば、被処理体の製造工程における洗浄工程においては効果的である。
このように、酸素を本実施の形態の表面処理装置に適用して、オゾンと水蒸気とを利用して、被処理面の表面処理を行なうことにより、前記被処理面の濡れ性が向上することが確認された。
(2)導入ガスとして圧縮窒素を使用した実験例
次に、図4に示す表面処理装置を圧縮窒素に適用した実験例について説明する。前記プラズマ発生器10への窒素の供給を200cc/min、前記プラズマ発生器10の高周波電源の周波数を10kHz、駆動電力を50Wとし、10×10×12cmの処理室を使用し、処理時間を20分として、1リットルの純水を液体混合器にて収容し、被処理体として液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理体における濡れ性を接触角を基準にして表すと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には16度となり、被処理面1aの濡れ性が著しく向上したことが確認された。
本実験例においては、以下のメカニズムで被処理体1の表面処理が行われると考えられる。即ち、窒素が液体混合器20に導入されたことにより、液体混合器20にて水蒸気を含む窒素ガスが生成される。そして、この窒素ガスがプラズマ発生器10に導入されたことにより、該混合ガスが分解し、反応性ガスとして窒素酸化物が生成される。
そして、被処理体1の被処理面1aが、窒素酸化物および水蒸気を含む処理ガスと接触するときに、硝酸、亜硝酸などの酸性物質が生成し、この酸性物質によって表面処理が行われる。
このように、窒素を本実施の形態の表面処理装置に適用して、前記酸性物質の酸化力を利用して被処理体の表面処理を行なうことにより、被処理体の濡れ性が著しく向上することが確認された。
また、供給するガスは圧縮酸素あるいは窒素を含むガスに限定されることなく、ハロゲン化合物、たとえば、フッ素化合物,塩素化合物,臭素化合物,ヨウ素化合物等を含むガスを使用することができる。たとえば、フッ素化合物であるテトラフルオロカーボン等を使用することによっても、水蒸気の存在下でプラズマ放電することによって、フッ酸が生成され、このフッ酸によって被処理体の濡れ性を向上することができる。この場合、供給ガスとして比較的人体に安全なハロゲン化合物を用いて表面処理を行うことができる。また、ハロゲン化合物を用いる場合、特に被処理体として半導体ウエハを用いると、一層の効果が期待できる。
また、本実施の形態において、液体混合器20に収容する液体を、前述した純水でなく、純水と他の物質との水溶液を使用することもできる。前記液体混合器20にハロゲン、たとえばヨウ素の水溶液を収容し、前記液体混合器20に供給するガスを圧縮酸素として、ヨウ素と酸素との混合ガスを前記プラズマ発生器10に導入し、前記プラズマ発生器10にて生成された反応性ガスを処理室5に供給することによっても、被処理体の表面処理を効率的に行なうことができる。特に、この場合は被処理体としてITO(InxSnyOz:x,y,zは整数)を使用すると、一層の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
この実施の形態3に係る表面処理装置を図6に示す。図6において、被処理体1の被処理面1aを処理する表面処理装置は、大別して、プラズマ発生器10と、液体混合器20と、処理室5とを有する。
前記プラズマ発生器10はガス導入口10aを有し、このガス導入口10aを介して、例えば、所定の流速の圧縮酸素が導入される。このプラズマ発生器10は、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記酸素を励起して、オゾンを発生させるものである。
一方、第2ガス供給管14のガス導入端部14aより、例えば、キャリヤガスとして所定の流速の圧縮酸素が導入される。そして、前記キャリヤガスは、前記第2ガス供給管14を介してガス導出端部14bより、液体混合器20に供給される。この液体混合器20は、容器22内部に液体24、たとえば純水を収容し、キャリヤガスと液体の水蒸気とをバブリングにより混合するものである。そして、前記容器22内部には、第3ガス供給管15の導入端部15aが設けられている。
そして、たとえば、前記プラズマ発生器10にて生成されたオゾンが、第1ガス供給管12を介して、前記第1ガス供給管12と一体に形成された前記第3ガス供給管15に導入される。一方、前記液体混合器20により生成された水蒸気を含むキャリヤガス、たとえば、前記水蒸気を含む酸素ガスが、前記第3ガス供給管15に導入される。このことによって、たとえば、前記プラズマ発生器10からのオゾンと、前記液体混合器20からの水蒸気を含む酸素ガスとが、前記第3のガス供給管15にて混合される。そして、前記第3ガス供給管15の導出端部15bにより、たとえば、前記オゾンおよび水蒸気を含む処理ガスが処理室5に導入される。
また、本発明の表面処理装置は、規定の量の酸素ガスを導入して該ガスを励起させるプラズマ発生器10のみでなく、それと並列に接続された液体混合器にキャリヤガスが導入される機構を有している。このことにより、ガス生成機構を2系統にできるため、処理室に導入できるガスの種類及び量を調整することができる。
そして、前記オゾンおよび水蒸気を含む処理ガスが、被処理体1の被処理面1aに接触するときに、前記被処理面1a上にて前記オゾンが酸素ラジカルに変化する。そして、水蒸気にて、前記酸素ラジカルの生成が促進され、前記被処理面1aの濡れ性が改善される。
また、本実施の形態においては、液体混合器20に収容される液体は、酸、塩基、あるいは低級アルコールなどを含む水溶液であってもよい。
このように、本発明の表面処理装置は、濡れ性の改善に効果があるものであって、前述したように、プラズマ発生器10に供給するガスは、酸素に限定されるものではなく、他のガスを使用することができる。この使用ガスを変えた場合の実験例および接触角の変化について以下に順に示す。また、表面処理の条件を同一にして、ガスのみを変えてそれぞれ実験を行い、被処理体としてはどの実験においても液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
(1)導入ガスとして圧縮酸素を使用した実験例
まず、図6に示す表面処理装置を酸素に適用した実験例について説明する。この実験例においては、処理機構について既に述べたため、説明の繰り返しを省略し、効果のみを定量的に述べる。本発明の実験例においては、前記プラズマ発生器10への圧縮酸素の供給を200cc/min、前記プラズマ発生器10の高周波電源の周波数を10kHz,駆動電力を50Wとし、前記液体混合器20への圧縮酸素の供給を200cc/minとし、処理時間を20分として、10×10×12cmの処理室を使用し、1リットルの純水を液体混合器にて収容し、被処理体1として、液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性が、接触角を基準にして表すと、処理前が90度であったのに対し、処理後には14度となり、前記被処理面1aの濡れ性を著しく向上したことが確認された。
このように、酸素を本実施の形態の表面処理装置に適用して、オゾンおよび水蒸気を利用して、被処理体の表面処理を行なうことにより、被処理面1aの濡れ性が著しく向上することが確認された。
(2)導入ガスとして、窒素と酸素の混合ガス,圧縮空気を使用した実験例
次に、本実施の形態の表面処理装置を窒素と酸素の混合ガスおよび空気に適用した実験例について説明する。
前記プラズマ発生器10への窒素と酸素の混合ガス(窒素:酸素=9:1)の供給を200ミリリットル/min、前記プラズマ発生器10の高周波電源の周波数を10kHz、駆動電力を50Wとし、圧縮空気の供給を200ミリリットル/minとし、10×10×12mの処理室を使用し、処理時間を20分として、1リットルの純水を液体混合器にて収容し、被処理体1として液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性が接触角を基準にして表すと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には20度となり、前記被処理面1aの濡れ性を向上したことが確認された。
本実験例においては、以下のメカニズムで被処理体1の表面処理が行われたものと考えられる。即ち、前記プラズマ発生器10に窒素と酸素の混合ガスが導入されることにより、前記プラズマ発生器10にて主として窒素酸化物が生成される。これは、空気と比較して、窒素の濃度が高いガスを使用したことにより、前記窒素酸化物が生成されやすくなったものである。この場合、混合ガスは乾燥した状態であったので、前記プラズマ発生器10でのプラズマ励起によりオゾンも発生する。このとき、前記窒素酸化物においては一酸化窒素の割合が多かった。ちなみに、処理室5内のガスを採取して調べたところ、オゾンの濃度は0.03ppm、一酸化窒素の濃度が6ppmであった。
そして、被処理体1の被処理面1aが前記窒素酸化物、オゾンおよび水蒸気と接触するときに、前記被処理面1aにおいて圧縮空気はキャリアガスとして機能する。前記オゾンは、前記被処理面1aで酸素ラジカルに変化すると共に、窒素酸化物が水蒸気と反応することによって酸性物質が生成することにより、前記被処理面1aの表面処理がなされる。本実験例では、オゾンによる酸素ラジカルのみでなく、窒素酸化物によっても、効果的に前記被処理面1aの表面処理が行われたことが確認された。そして、前記オゾンは、水蒸気の存在によって、酸素と酸素ラジカルとの分解が促進される。
なお、処理ガスとして、オゾン、窒素酸化物および水蒸気が共存する場合には、後述する実施の形態においても、基本的には本実験例と同様のメカニズムで被処理体の表面処理が行われると考えられる。
(実施の形態4)
この実施の形態4に係る表面処理装置を図7に示す。図7において、被処理体1の被処理面1aを処理する表面処理装置は、大別して、第1プラズマ発生器10xと、第2プラズマ発生器10yと、処理室5とを有する。本実施の形態の装置においては、予め、処理室5内を所定の湿度、たとえば、相対湿度5%〜90%にする。そのための方法としては、水分を含むもの、たとえば、純水を染み込ませた布などの担体もしくは、加湿器等を前記処理室5に設置することにより、前記処理室5の湿度を高める方法を用いることができる。図7には、鎖線にて、処理室5内に水滴を含む担体Cを設けた例を記載した。この水滴を含む担体Cは、予め処理室5内に放置されることにより、前記処理室5内の雰囲気を所定の湿度にすることもできる。また、もちろん、水滴を含む担体Cのかわりに、水蒸気を処理室5内に直接供給することもできる。
第1プラズマ発生器10xはガス導入口10aを有し、このガス導入口10aを介して、例えば、所定の流速の圧縮酸素が導入される。前記第1プラズマ発生器10xは、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記酸素を励起して、オゾンを発生させるものである。そして、前記第1プラズマ発生器10xにより発生されたオゾンは、前記第1プラズマ発生器10xと接続されたガス供給管12xを介して、第1ガス供給管12に導入される。
一方、第2プラズマ発生器10yはガス導入口10bを有し、このガス導入口10bを介して、例えば、所定の流速の圧縮空気が導入される。前記第2プラズマ発生器10yは、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記空気を励起して、窒素酸化物,オゾンを発生させるものである。そして、前記第2プラズマ発生器10yにより発生された反応性ガスは、前記第2プラズマ発生器10yと接続されたガス供給管12yを介して、第1ガス供給管12に導入される。
そして、前記第1ガス供給管12には、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yにてそれぞれ生成された反応性ガス、たとえば、前記オゾンおよび窒素酸化物を含む処理ガスが導入される。そして、前記第1ガス供給管12の導出端部12bは、処理室5内にて被処理体1の被処理面1aと対向する位置に配置され、前記反応性ガスを含む処理ガスが処理室5内に導入される。
また、本発明の表面処理装置は、規定の量のガスを導入して、該ガスを励起する第1,第2プラズマ発生器10x,10yをそれぞれ並列に2つ設けている。このことにより、ガス生成機構を2系統にできるため、処理室5に導入できるガスの種類及び量を調整することができる。なお、プラズマ発生器は3以上並列に設けてもよい。
そして、被処理体1の被処理面1aがオゾンと接触するときに、前記オゾンが前記被処理面1a上で、酸素ラジカルに変化することで、さらに、窒素酸化物と水蒸気との反応で酸性物質が生成することで、この被処理面1aの濡れ性が改善される。
このように、本発明の表面処理装置は、濡れ性の改善に効果があるものであって、前述したように、第1,第2のプラズマ発生器10x,10yに供給するガスは、酸素および空気に限定されるものではなく、他のガス、たとえば、窒素、ハロゲン化合物等を使用することができる。この使用ガスを変えた場合の実験例、および接触角の変化について以下に順に示す。また、表面処理の条件を同一にして、ガスのみを変えてそれぞれ実験を行い、被処理体としてはどの実験においても液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
(1)導入ガスとして圧縮酸素および圧縮空気を使用した実験例
まず、図7に示す表面処理装置を酸素および空気に適用した実験例について説明する。本発明の実験例においては、処理機構について上に述べたため、説明の繰り返しを省略し、効果のみを定量的に述べる。前記第1プラズマ発生器10xへの圧縮酸素の供給を200cc/min、前記第2プラズマ発生器10yへの圧縮空気の供給を200cc/minとし、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yの高周波電源の周波数をそれぞれ10kHz、駆動電力をそれぞれ50Wとし、処理時間を20分として、10×10×12cmの処理室5を使用し、被処理体1として、液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性を、接触角を基準にして表すと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には17度になり、被処理面1aの濡れ性を向上したことが確認された。
本実験例においては、以下のメカニズムで被処理体1の表面処理が行われたものと考えられる。即ち、前記圧縮酸素が第1プラズマ発生器10xに導入されることにより前記第1プラズマ発生器10xにて高濃度のオゾンが生成される。一方、圧縮空気が第2プラズマ発生器10yに導入されることにより、前記空気が分解され、前記第2プラズマ発生器10yにて窒素酸化物およびオゾンが生成される。
そして、被処理体1の被処理面1aと、前記窒素酸化物,オゾンおよび水蒸気とが接触することで、前記オゾンは酸素ラジカルに変化する。そして、前記水蒸気と窒素酸化物とが反応して、酸性物質が生成される。さらに、本実験例では、オゾンによる酸素ラジカルのみでなく、前記窒素酸化物によっても、前記被処理面1aの濡れ性が著しく向上することが確認された。
(2)導入ガスとして圧縮空気を使用した実験例
次に、図7に示す表面処理装置を、圧縮空気に適用した実験例について説明する。前記第1プラズマ発生器10xへの圧縮空気の供給を200cc/min、前記第2プラズマ発生器10yへの圧縮空気の供給を200cc/min、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yの高周波電源の周波数をそれぞれ10kHz、その駆動電力を50Wとし、10×10×12cmの処理室5を使用し、処理時間を20分とし、被処理体1として液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性を、接触角を基準にして表わすと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後は25度になり、被処理面の濡れ性を向上したことが確認された。
本実験例においては、以下のメカニズムで被処理体1の表面処理が行われたものと考えられる。
本実験例においては、圧縮空気が第1プラズマ発生器10xに導入されたことにより、前記第1プラズマ発生器10xにて前記空気が分解され、オゾンおよび窒素酸化物が生成された。そして、前記第1プラズマ発生器10xにて生成されたオゾンおよび窒素酸化物は、第1ガス供給管12に導入される。一方、同様に、前記圧縮空気が第2プラズマ発生器10yに導入されたことにより、前記第2プラズマ発生器10yにて前記圧縮空気が分解され、オゾンおよび窒素酸化物が生成される。同様に、第2プラズマ発生器10yにて生成されたオゾンおよび酸化物は、第1ガス供給管12に導入される。
このように、前記第1プラズマ発生器10x,第2プラズマ発生器10yからのオゾンおよび窒素酸化物は、それぞれ前記第1のガス供給管12にて混合され、さらに前記第1ガス供給管12の導出端部12bを介して、水蒸気を含む処理室5に導入される。そして、被処理体1の被処理面1aにて、前記オゾンは酸素ラジカルに変化する。さらに、前記窒素酸化物は水蒸気と反応して、酸性物質が生成される。このように、本実験例においては、主として、酸素ラジカルおよび酸性物質を利用することで、被処理体1の被処理面1aの濡れ性が向上することが確認された。
(実施の形態5)
本実施の形態5に係る表面処理装置を図8に示す。図8において、被処理体1の被処理面1aを処理する表面処理装置は、大別して、第1プラズマ発生器10x,第2プラズマ発生器10y,液体混合器20および処理室5を有する。
液体混合器20には、第1ガス供給管12を介して、その導入端部12aより、例えば、所定の流速の圧縮空気が供給される。この液体混合器20は、容器22内部に水、たとえば純水24を収容し、導入ガスと液体の水蒸気とをバブリングにより混合するものである。また、この容器22内部には、第2ガス供給管14の導入端部14aが、液面24aに到達しない位置にて支持されている。そして、前記液体混合器20に導入されたガス、たとえば、前記空気に水蒸気を含ませる。
第1プラズマ発生器10xはガス導入口10aを有し、このガス導入口10aと前記第2ガス供給管14の導出端部14bが結合され、例えば、水蒸気を含む空気が前記第1プラズマ発生器10xに導入される。この第1プラズマ発生器10xは、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記空気を励起させて、オゾンおよび窒素酸化物を発生させるものである。前記第1プラズマ発生器10xは、ガス供給管15xを介して、第3ガス供給管15と接続され、該第3ガス供給管15に、前記第1プラズマ発生器10xにて生成されたオゾンおよび窒素酸化物を含む反応性ガスおよび水蒸気が導入される。
一方、第2プラズマ発生器10yはガス導入口10bを有し、このガス導入口10bより、たとえば、圧縮酸素が導入される。この第2プラズマ発生器10yは、大気圧またはその近傍の圧力下の雰囲気にて、プラズマにより、その導入ガス、たとえば、前記酸素を励起して高濃度のオゾンを発生させるものである。そして、前記第2プラズマ発生器10yは、ガス供給管15yを介して、前記第3ガス供給管15と接続され、該第3ガス供給管15に、前記プラズマ発生器10yにより生成されたオゾンが導入される。
そして、前記第3ガス供給管15の導出端部15bは、処理室5において被処理体1の被処理面1aと対向する位置に配置され、処理ガスは処理室5に導入される。そして、前述したメカニズムによって、オゾン、窒素酸化物および水蒸気によって被処理面の表面処理が行われる。
このように、本発明の表面処理装置は、濡れ性の改善に効果があるものであって、前述したように、第1,第2プラズマ発生器10x,10yに供給するガスの組み合わせは、限定されるものではなく、さまざまなガスを使用することができる。この使用ガスを変えた場合の実験例および接触角の変化について以下に順に示す。また、被処理体としてはどの実験においても液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
(1)導入ガスとして、圧縮空気および圧縮酸素を使用した実験例
まず、図8に示す表面処理装置を空気,酸素に適用した実験例について説明する。本発明の実験例においては、前記第2プラズマ発生器10yへの酸素の供給を200cc/min、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yの高周波電源の周波数をそれぞれ10kHz、駆動電力をそれぞれ50Wとし、前記液体混合器20への圧縮空気の供給を200cc/minとし、1リットルの純水を液体混合器20にて収容し、処理時間を20分として、10×10×12cmの処理室5を使用し、被処理体1として、液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面1aにおける濡れ性が、接触角を基準にして表すと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には36度となり、前記被処理面の1aの濡れ性が向上したことが確認された。
このように、空気と酸素を本実施の形態の表面処理装置に適用して、窒素酸化物、オゾンおよび水蒸気にて、前述したメカニズムにより、被処理面の表面処理を行なうことにより、被処理面の濡れ性が向上することが確認された。
(2)導入ガスとして圧縮窒素および圧縮空気を使用した実験例
次に、図8に示す表面処理装置を窒素,空気に適用した実験例について説明する。前記第2プラズマ発生器10yへの圧縮窒素の供給を200cc/min、前記液体混合器20への圧縮空気の供給を200cc/min、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yの高周波電源の周波数を10kHz,駆動電力を50Wとし、10×10×12cmの処理室5を使用し、処理時間を20分として、1リットルの純水を液体混合器20にて収容し、被処理体1として液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面における濡れ性を接触角を基準にして表わすと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には36度となり、前記被処理面の濡れ性が向上したことが確認された。
本実験例においては、圧縮窒素が液体混合器20に導入されることにより、液体混合器20にて水蒸気を含む窒素ガスが生成される。そして、この窒素ガスが第1プラズマ発生器10yに導入されることにより、該混合ガスが分解し、窒素酸化物および微量のオゾンを含む反応性ガスが生成される。この反応性ガスには水蒸気が含まれている。
一方、圧縮空気が前記第2プラズマ発生器10yに導入されたことにより、前記第2プラズマ発生器10yにてオゾンおよび窒素酸化物が生成される。
そして、処理室5には、前記第3ガス供給管15を介して、前記第1プラズマ発生器10xからの処理ガスと前記第2プラズマ発生器10yからの処理ガスがそれぞれ導入される。そして、本実験例では、前述したメカニズムにより、オゾン、窒素酸化物および水蒸気によって前記被処理面1aが表面処理される。
(3)導入ガスとして圧縮窒素,圧縮酸素を使用した実験例
次に、図8に示す表面処理装置を窒素,酸素に適用した実験例について説明する。前記第2プラズマ発生器10yへの圧縮酸素の供給を200cc/min、前記液体混合器20への圧縮窒素の供給を200cc/minとし、前記第1,第2プラズマ発生器10x,10yの高周波電源の周波数を10kHz、駆動電力を50Wとし、10×10×12cmの処理室5を使用し、処理時間を20分として、1リットルの純水を液体混合器20にて収容し、被処理体1として液晶表示装置の基板用のガラスを使用した。
この結果、前記被処理面における濡れ性を接触角を基準にして表わすと、処理前の接触角が90度であったのに対し、処理後には26度となり、前記被処理面1aの濡れ性を向上したことが確認された。
すなわち、本実験例においては、圧縮窒素が液体混合器20に導入されることにより、液体混合器20にて水蒸気を含む窒素ガスが生成される。そして、この窒素ガスが第1プラズマ発生器10yに導入されたことにより、該混合ガスが分解し、主として窒素酸化物が生成される。一方、圧縮酸素が前記第2プラズマ発生器10yに導入されたことにより、前記第2プラズマ発生器10yにて主としてオゾンが生成される。
そして、前記第3ガス供給管15を介して、前記第1プラズマ発生器10xからの窒素酸化物、前記第2プラズマ発生器10yからのオゾンを含む反応性ガス、および水蒸気を含む処理ガスが処理室5に導入される。本実験例では、前述したメカニズムにより、オゾン、窒素酸化物および水蒸気によって前記被処理面1aが表面処理される。
(実施の形態6)
この実施の形態の装置は、図9に示すように、図1に示す液体混合器20に代えて加湿器30を用意し、この加湿器30とプラズマ発生器10とを並列に連結したものである。即ち、プラズマ発生器10に連結された第1のガス供給管12と、加湿器30に連結された第2のガス供給管14とが並列に配置され、共に第3のガス供給管15に連結されている。
この実施の形態の装置では、プラズマ発生器10にて発生され、第1のガス供給管12を経由して供給されるオゾンと、加湿器30にて発生され、第2のガス供給管14を経由して供給される水蒸気とは、第3のガス供給管15にて混合される。その後、この水蒸気が混合されたオゾンは、実施形態の1と同様に、被処理体1の被処理面1aに接触し、表面処理がなされる。
(実施の形態7)
この実施の形態の装置は、図10に示すように、図1に示す第2のガス供給管14の途中にイオナイザー50を連結したものである。このイオナイザー50は、水蒸気と混合されたオゾンを被処理体1の被処理面1aに接触させる前に、オゾンを再励起する手段の一つである。このイオナイザー50は、オゾンの通過経路途中に例えば針状の電極を用意し、これに例えば60HzのAC電圧あるいはDCパルス電圧などを印加して、オゾンをイオン化するものである。前記の構成に代えて、オゾンの通過経路途中に2本の針状電極を用意し、それぞれに60Hzの電圧を印加すると共に、各針状電極にて周期的に電圧の極性を変化させることもできる。
この実施の形態の装置では、水蒸気と混合されたオゾンが、被処理面1aに接触される前に再励起され、その反応エネルギーが高まるため、図1に示す実施の形態1よりもさらに処理時間を短縮することができる。さらに、オゾンの再励起の手段として、たとえば、特開昭64−4024号公報に開示のある紫外線照射を用いずに済むため、被処理体1が有機系の素材であっても、変色等の問題が生ずることがない。このように、紫外線により特性が変化する被処理体1を処理することも可能となる。
本発明者の実験によれば、図1に示す第2のガス供給管14の長さLを6mとしたとき、実施の形態1では3秒の処理時間を要したところ、この実施の形態では1秒短縮されて2秒の処理時間で済むことが分かった。
(実施の形態8)
この実施の形態による装置は、図11に示すように、プラズマ発生器10及び加湿器30を有する並列連結型の表面処理装置にて、第3のガス供給管15途中にイオナイザー50を設けたものである。この場合も、実施の形態7と同様に、水蒸気が混合されたオゾンが、被処理面1aに接触される前に再励起されるために、処理時間を短縮させることができる。
以上、実施の形態1乃至8にて、被処理体の表面処理方法について例を挙げて述べてきたが、ガス生成手段としては、プラズマ発生器に限定されることなく、ガスに紫外線を局所的に照射することにより処理ガスを生成することもでき、たとえば、圧縮酸素に紫外線を局所的に照射することによりオゾンを生成することもできる。また、水溶液の電気分解により処理ガスを生成することもでき、たとえば、水を電気分解することにより、陽極からオゾンを発生させることもできる。更に、酸、塩基あるいは有機溶剤などを含む液体に熱を加えて気化させることによっても処理ガスを生成することもできる。
また、前述した実施の形態では、液体の気化の方法として、バブリングの例を記載したが、これに限定されず、液体の加熱による気化,2種類以上の液体の混合による化学反応等の方法を利用することもできる。
また、前述した実施の形態では、表面処理の被処理体として主として液晶表示装置の基板用のガラスあるいはシリコン基板を実験例に使用したが、被処理体は、特に限定されることなく、表面処理によって活性素子自身に直接ダメージを与えることのない性質を有する被処理体であれば本発明を適用することができる。
また前述した実施の形態では、導入ガスとして、酸素、窒素、圧縮空気、ハロゲン化合物のうち、少なくとも1種を含むガスを例にとったが、当然のことながら、本願発明の趣旨に反しないガスであれば、添加することができる。
本発明の実施の形態1に係る表面処理装置の概略説明図である。 図1に示すプラズマ発生器の概略説明図である。 図1に示す液体混合器の変形例を示す概略説明図である。 本発明の実施の形態2に係る表面処理装置の概略説明図である。 接触角を説明するための概略説明図である。 本発明の実施の形態3に係る表面処理装置の概略説明図である。 本発明の実施の形態4に係る表面処理装置の概略説明図である。 本発明の実施の形態5に係る表面処理装置の概略説明図である。 本発明の実施の形態6に係る表面処理装置の概略説明図である。 本発明の実施の形態7に係る表面処理装置の概略説明図である。 本発明の実施の形態8に係る表面処理装置の概略説明図である。
符号の説明
1 被処理体、1a 被処理面、5 処理室、10,10x,10y プラズマ発生器、10a,10b ガス導入口、11 液体、12,12x,12y 第1ガス供給管、12a 導入端部、14 第2ガス供給管、14a 導入端部、14b 導出端部、15,15x,15y 第3ガス供給管、15a 導入端部、15b 導出端部、20 液体混合器、22 容器、24 純水、24a 水面、30 加湿器、50 イオナイザー

Claims (6)

  1. 少なくとも1種のガスを含む第1のガスに、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して前記第1のガスを励起させる工程と、
    前記第1のガスに水蒸気を混合する工程と、
    励起させた前記第1のガスをイオン化処理する工程と、
    イオン化処理された前記第1のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1のガスは、酸素および窒素の少なくとも一方を含むガスであることを特徴とする表面処理方法。
  3. 大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して、少なくとも1種のガスを含む第1のガスを励起させる工程と、
    前記励起された第1のガスと、前記水蒸気が混合された第2のガスとをイオン化処理する工程と、
    イオン化処理された処理ガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
  4. 請求項3において、前記第1のガスは、酸素および窒素の少なくとも一方を含むガスであることを特徴とする表面処理方法。
  5. 少なくとも1種のガスを含む第1のガスを、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して励起させるプラズマ発生手段と、
    励起された前記第1のガスと水蒸気とを混合する手段と、
    水蒸気が混合された前記第1のガスをイオン化処理する手段と、を有し、
    イオン化処理された前記第1のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理することを特徴とする表面処理装置。
  6. 少なくとも1種のガスを含む第1のガスを、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを誘起して励起させるプラズマ発生手段と、
    水蒸気を発生させる水蒸気発生手段と、
    励起された前記第1のガスと水蒸気とを混合する手段と、
    水蒸気が混合された前記第1のガスをイオン化処理する手段と、を有し、
    イオン化処理された前記第1のガスを被処理体の表面に接触させて、前記被処理体を表面処理することを特徴とする表面処理装置。
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